JP3816421B2 - 電解アルカリ洗浄水の生成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械・金属・エレクトロニクスをはじめとする洗浄分野全般、特に工業部品洗浄及び食品加工工業に用いて好適な電解アルカリ洗浄水の生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機械・金属・エレクトロニクス分野では、それぞれの生産過程で様々な洗浄工程があるが、例えば、フロンやエタンなどの有機塩素化合物(揮発性有機化合物)は法規制により使用が禁止あるいは制限されており、短時間に高い清浄度が得られ、しかも生物や環境に安全である代替洗浄剤の開発が求められてきた。
【0003】
上記の有機塩素化合物に代って登場した炭化水素洗浄剤も代替洗浄剤のひとつだが、引火性や作業環境の面で問題をかかえている。また、近年、界面活性剤を用いた水系洗浄も注目を集め、用途に合せた工業用洗剤が市販され実用化が進んでいる。
しかし、水系洗浄は洗浄効果を上げる為に界面活性剤等の薬品を使用するため、この界面活性剤を洗い流すリンス工程が必要となり、大量のリンス水が必要となる。又、界面活性剤は有機物であるため排水基準であるBOD.CODに該当し、排水基準を満たす為には大規模な排水処理設備を必要とする問題がある。
【0004】
これに対し、水を電気分解することによって生成したアルカリ生成水を洗浄水として用いることが考えられ、既に、特開平7−73409号公報、特開平7−166197号公報、特開平9−137287号公報、及び、特開平10−192860号公報等に見られるように幾つかの出願も成されているが、しかし、これ等の出願に記載の発明では、洗浄力の基準をpHやORP、表面張力といった数値のみで洗浄力を判断しており、洗浄力と電気分解における相関も曖昧であった。
【0005】
そこで本出願人は、先に出願した特願2001−168956に於いて、洗浄の主因子をアルカリ濃度(水酸化ナトリウム濃度)であると想定し、その発生原理から考えた場合の効率良い電解条件を規定した。また、同時に行ったアルカリ比の測定により、対極にて発生する酸性物質(酸性電解水)の混入による洗浄効果の低下を防止するために、電解槽の構造や運用における条件も合せて規定した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、後に行った各種の洗浄評価試験において、例えば図2に示す(データ1)の洗浄率試験1に見られるように、アルカリ性の電解水は同濃度の水酸化ナトリウムと比べ、明らかに優位な洗浄結果を得られることが判明した。
【0007】
工業電解における水酸化ナトリウムの製法と、電解水の製法が酷似していることは明らかであり、また、図7、図8、図9及び図10に示した保存性試験の各データ(2−1,2−2,2−3,2−4)に見られるように、アルカリ性電解水と水酸化ナトリウムとの差異が見出せない現状等を考えた場合、アルカリ性電解水中には水酸化ナトリウムが生成されていると考えるのが自然である。
【0008】
前述の洗浄試験からも、アルカリ性電解水と水酸化ナトリウム溶液との洗浄効果差は明らかであり、アルカリ濃度(水酸化ナトリウム濃度)だけでは説明のつかない、他の洗浄因子も同じに存在すると可能性は極めて高い。このような状況を踏まえ、未見の洗浄因子を効率良く発生させ、且つ、適正な値で制御することによって、洗浄効果の高いアルカリ性電解水を生成することが望ましいと考えるに至った。
【0009】
一方、水素と洗浄の関係については、一部の学会等で発表がある通り関係が示唆され初めている。例えば、特開平11−77023号公報には、超純水を脱気することにより水素ガスを効率良く熔解させることが可能と記載されており、0
.7mg/1以上の溶存水素量が洗浄には適当であるとされている。また、上記発明では超純水に水素を溶存させた水溶液を、半導体用シリコン基板等の電子材料ウエット洗浄に用いるとされている。
【0010】
一般に電子材料のウエット洗浄では、被洗浄物の清浄度を極めて厳密に管理する必要があるため、超純水を使用する例が多い。しかし、純水は電気伝導度が殆ど0に近い為、電気分解を行うことが困難である。従って半導体関係の洗浄においては、前述の特許内容の様に必要とするガスを予め用意した溶液に気体透過膜等の装置によって溶解させる方法を採用している例が多い。しかし、特開平11−77023号公報内の記述にもある通り、別途水素ガスを発生させる装置、若しくは、水素ガスのボンベ等を用意しなければならず、また、溶解させるには脱気させる工程を必要とする。脱気させないで溶解させた場合、0.6mg/1の水素溶存が限界との記述もある。
【0011】
電磁部品に限定しない工業洗浄における部品洗浄は、広範囲なジャンルにわたっており、例えば、金属加工部品の洗浄等では溶接・切削等の工程が洗浄工程に隣接しており、容易に水素ボンベなどを併設するのは大変危険である。また、各種洗浄試験の結果では汚染物によっては水素のみを溶存させても期待通りの結果が得られず、pHをアルカリにする必要があることが判っている。これは、電子材料に比べ、一般の工業部品洗浄においては汚染物質が多岐に渡っており、例えば油脂や鉱物油等は、アルカリ性物質(水酸化ナトリウム等)によるアルカリ鹸化作用や分散能力を同時に必要とすることが理由と考えられる。
【0012】
この様な一般工業洗浄分野においては、水素をボンベ等で溶存させる方法では、別にpHをアルカリ性にする為に水酸化ナトリウム等の添加剤を必要とし、結果として大変煩雑であると同時に、コスト増を招く結果となる。更に、電解水関係においては、どの様な電解条件によってどの位の水素を溶存させることが可能かについて全く判らないのが実状であった。
【0013】
上記の各課題を解決すべく調査と研究をおこなった結果、電気分解によって発生している水素が洗浄効果に寄与しており、また、同時に水溶液はアルカリ性であることが望ましいという結論に至った。
【0014】
そこで本発明の技術目的は、各種の生成条件と洗浄試験結果に基づいて、洗浄水として適正な生成条件を備えると共に、pHを所定のアルカリ値にすることによって、安全で高い洗浄力を備えた電解アルカリ洗浄水を生成することができる生成装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1に係る電解アルカリ洗浄水の生成装置は、陽陰両極間に隔壁が存在する有隔膜電解槽に原水を流入させて電気分解を行い、陰極間で生成されたアルカリ生成水を洗浄水として利用するようにした電解アルカリ洗浄水の生成装置であって、 両極間を流れる電流を検知する電流検知手段と、 原水の単位時間当り流量を検知する流量検知手段と、原水の水量を調節する自動水量調節弁と、 上記単位時間当り流量と電解槽体積とから算出された電解槽内滞留時間と、両極間を流れる電流値と電極面積とから算出された電流密度とを乗じた積を演算する滞留時間と電流値の積値算出手段とを備え、上記滞留時間と電流密度の積値が所定の値となるように、上記両電極間の電流値、又は、上記原水流量のいずれか一方又は両方を制御するように構成したことを特徴としている。
【0016】
(2) また、本発明の請求項2に係る電解アルカリ洗浄水の生成装置は、上記滞留時間と電流値を乗じた積が1.3〜40secA/dm2となり、生成されたアルカリ生成水のpHが10〜12.5で、且つ、溶存水素濃度が0.3〜1.85mg/1となるように、上記両電極間の電流値、又は、上記原水流量のいずれか一方又は両方を制御するように構成したことを特徴としている。
【0017】
(3) 更に、本発明の請求項3に係る電解アルカリ洗浄水の生成装置は、上記滞留時間と電流値を乗じた積を、任意の積値に選択可能にする選択手段を備えて成ることを特徴としている。
【0018】
上記(1)、(2)、(3)で述べた手段によれば、水道水若しくは純水に少量の電解質を添加することにより、脱気すること無く飽和に近い溶存水素濃度達成することができ、且つ、pHを所定のアルカリにすることにより、安全で洗浄力の高い洗浄水を生成することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
<溶存水素と洗浄力の関係について>
汚染物質は動物性油脂・粒子汚れ・鉱物油の3種とし、図2の(データ1)に示すように、各汚染物質に適正な洗浄方法を選択した。また、図11に示した (データ3)では、水酸化ナトリウムに水素を溶解させた水溶液と電解水の洗浄比較を行った。この結果から判る通り、溶存する水素の有無により洗浄結果に違いがあり、水素が洗浄に寄与していることが判断出来る。洗浄力の試験方法については以下の通りである。
【0020】
(1) 動物性油脂の洗浄試験方法
JISK3362(1998)に記載と同様の方法にてモデル汚こうを作成し、洗浄前のモデル汚れ片に付着している汚こうの量αと洗浄後のモデル汚れ片に付着している汚こうの量βとの差から、各洗浄力判定用水溶液の洗浄率Xを求めた。
(2) 粒子汚れの洗浄評価方法
披検汚れであるカオリンをスライドグラスに付着させ、乾燥させたものをモデル汚れ片とし超音波洗浄装置にて洗浄した後、独自の方法で製作した光学式センサーにて測定した。
(3) 鉱物油の洗浄評価方法
金属部品に鉱物油を付着させ超音波洗浄を行った後、n−ヘキサンにより 超音波抽出しエバポレーターで減溶、加熱乾固して重量を計った。
また、溶存水素の測定に使用した機器は、隔膜型ポーラログラフ式の溶存水素計を用いた。
【0021】
<水素量とpH・汚染物質との関係について>
動植物性油脂及び鉱物油を水系洗浄剤で洗浄するためには、油を水に可溶化させ被洗浄物から剥がす効果を必要とする。一般には界面活性剤やアルカリビルダーが用いられることが多く、アルカリ性水溶液は油に対し鹸化・乳化・分散作用があり油脂の洗浄には効果的である。また、多くの粒子汚れはアルカリ性の水溶液中でマイナスのゼータ電位を持ち、同じくマイナス電位を持つ被洗浄物との反発作用によって洗浄効果を得るとされている。従って水素が多く溶存している場合でもpHが中性であれば洗浄効果は少く、アルカリになるにつれて洗浄効果が高くなることが考えられる。そこで、図12に示すように粒子汚れの代表的なゼータ電位(データ4)を測定したところ、pHがアルカリになるにつれて粒子のゼータ電位のマイナス数値が大きくなり、被洗浄物との反発作用により剥離し易くなることが判った。
【0022】
ゼータ電位の測定にはレーザー・回転プリズム方式のゼータ電位測定器を用いた。このメカニズムを洗浄に利用するためには、水溶液をアルカリにする必要がある。図3に示した(データ1−1)はpHと洗浄率の関係を示した表図、図4に示した(データ1−2)はpHと洗浄率の関係を示したグラフ、図5に示した(データ1−3)は[OH−]濃度と洗浄率の関係を示したグラフ、図6に示した(データ1−4)はpHと[OH−]濃度の関係を示したグラフである。
pH10未満では洗浄率が悪くなっている。この理由は上記(データ1−4)のpHと[OH−]濃度のグラフに示されているように、洗浄に寄与している[OH−]濃度がpH10未満では極端に少いためであると考えられる。これ等の結果から総合判断して、pH10以上が望ましいという結果に至った。また、pHの上限値となるpH12.5は、図18に示した(データ8)の溶存水素とpHの関係を根拠として、飽和となる値を上限値とした。
【0023】
<溶存水素量と電流密度・電解槽内の滞留時間について>
電気分解においては、電流密度によって水の性状規定することが多く行われている。図13に示した(データ5−1)からも判るとおり、電流密度の上昇により溶存水素が増加することが判る。グラフ内の●■▲◆はそれぞれ使用した電解槽内の滞留時間を変えたものである。この結果から、溶存水素量を多くするには電流密度を上げることは重要であるが、それだけでは必要とされる水素量を制御出来ないことが判った。
【0024】
そこで滞留時間×電流密度という考えかたでグラフを作り直したのが図14に示した(データ5−2)である。このグラフからも判る通り、各滞留時間別のデータが収束することが判った。この結果から、溶存水素量を適正に制御するためには電解槽内の滞留時間と電流密度が大事であると言うことが出来る。尚、溶存水素量の測定及びその他の測定誤差を考え、データを整理したものが図15に示した(データ5−3)である。洗浄力と溶存水素の関係は図16に示した(データ6)から判るとおり、0.3mg/1付近にて洗浄率が急激に変化することが判明し、その結果、溶存水素量の下限は0.3mg/1とすることが望ましいことが判った。0.3mg/1の溶存水素濃度を得るには図15に示した(データ5−3)によれば、滞留時間×電流密度を1.3secA/dm2に設定する必要がある。
【0025】
また、溶存水素量は化学便覧等により飽和点があることが、図17に示した(データ7)のグラフに示すように良く知られており、際限無く増加することは無い。従って飽和点に達した時点を滞留時間×電流密度の上限値と設定する必要がある。同じく図15に示した(データ5−3)から水素量の飽和点を考えると、40secA/dm2付近であると考えることが出来る。尚、測定時期が夏季であり、当時の水温から1.5mg/1付近を飽和点と判断した。
【0026】
<装置の構成について>
次に、本発明に係るアルカリ洗浄水の製造装置を図面と共に説明すると、図1は本発明の装置の全体を説明した構成図であって、図中、1は有隔膜電解槽(以下単に電解槽と言う)で、1Tはその電解槽1の内部を陽極室1Aと陰極室1Bの2室に仕切る隔膜で、この隔膜1Tは電気抵抗が例えば0.01〜0.0001Ωcm2、平均孔径が0.2〜3.5μmに構成されている。
【0027】
3は水道水又は純水に対して、ナトリウム化合物やカリウム化合物等から成る電解質を添加した原水を、上記の電解槽1に供給する給水パイプで、3Aと3Bはこの給水パイプ3に通じる各陽極室1Aと陰極室1Bの入水口(入水パイプ)を示す。
【0028】
5は上記の電解質を収容した電解質タンク、6は電解質供給用のポンプで、このポンプ6は制御プログラムを格納した制御基板10からの指令に従って、必要量の電解質を逆止弁(図示省略)を備えた添加パイプ6Pを通して上記の水道水、又は、純水に添加することにより、電気伝導度が例えば20〜500mS/mになるように調整した原水を作って、上記電解槽1に給水する仕組に成っている。
【0029】
また、4Aと4Bは上述した各陽極室1Aと陰極室1Bの取出し側に接続した出水口(出水パイプ)で、これ等各出水口4A,4Bの経路途中には、前記の制御基板10によって制御可能に構成した流量センサと水量調節バルブ(いずれも図示省略)が夫々設けられている。12と13は上記給水パイプ3に設けた流量検知センサと水量調節弁で、これ等のセンサ12と調節弁13も上記の制御基板10に接続されていて、水道水又は純水の給水量を調節可能に構成している。
【0030】
9は上記陽極室1Aと陰極室1Bの内部に設けた各電極2A,2B用の電源基板、7と8は各電極2A,2Bと電源基板9の間に接続した電流センサと電流可変回路であって、この電源基板9は上述した制御基板10に接続されて、各電極2A,2Bに供給する電流を調節可能に構成している。
【0031】
11は水素濃度調整スイッチを備えた上記制御基板10の操作基板であって、制御基板10には前記請求項6で述べた各手段を実行するためのプログラムが格納されている。
【0032】
即ち、制御基板10には、上記流量検知センサ12が検出した単位時間当りの原水の流量、及び、電解槽1の体積とから算出された電解槽内滞留時間と、上記電流センサ7の検出による両電極2A,2Bの間を流れる電流値及び電極面積とから算出された電流密度との積値を演算する積値算出手段と、これ等滞留時間と電流密度の積値が1.3〜40secA/dm2となると共に、陰極室1B内で生成される電解アルカリ水のpHが10〜12.5の範囲内となるように、上記電流可変回路8及び水量調節弁13を制御して、両電極2A,2Bの間の電流値、又は、原水流量のいずれか一方、又は、両方を制御する制御手段を実行するためのプログラムが格納されている。
【0033】
また、上記滞留時間と電流密度の積値は、上述した1.3〜40secA/dm2の範囲内に於いて、上記操作基板11によって任意に調節可能に構成されている。
【0034】
<装置への運用に関して>
通常、電解槽1の体積と電極2A,2Bの面積は実運用装置においては普遍である場合が多いので、実際は電解電流と生成水量をコントロールし、電解槽1の体積と電極2A,2Bの面積は計算式に予め入力しておく。また、装置の運用によっては電解槽1の仕様を変更する場合もあり、その際は計算式を自動若しくは手動で変更する事も必要である。
【0035】
最初に電流を固定した状態での制御方法について記述する。
電流値を固定した状態(定電流電源等)で溶存水素濃度をコントロールするためには、電流センサ7から得られた電流値と、予め入力されている電極板2A,2Bの面積から電流密度を計算し、流量検知センサ12によって得られた単位時間当りの水量と、同じく予め入力されている電解槽1の体積から電解槽内滞留時間を計算した上で、必要となる溶存水素濃度と計算により得られた電流密度から適正な滞留時間を割り出し、水量調節弁13を開閉させて電解槽1の滞留時間のコントロールを行う。
水量調節弁13によるコントロールは、コスト等により限られた電源容量の中で、幅広い溶存水素濃度を得るのに有効である。
【0036】
次に生成水量を固定した状態での制御方法について記述する。
水量を固定した状態で溶存水素濃度をコントロールするためには、流量検知センサ12から得られた水量と、予め入力されている電解槽1の体積から電解槽滞留時間を計算し、同じく予め入力されている電極2A,2Bの面積から電流密度を計算した上で、必要となる溶存水素濃度と計算により得られた電解槽滞留時間から適正な電流密度を割り出し、電流可変回路8により電解電流のコントロールを行う。
【0037】
電流可変回路8によるコントロールは、電流容量に余裕がある場合に行うのが望ましい。また、上記水量調節弁13によるコントロールでは、低い溶存水素濃度時と高い溶存水素濃度時において生成水量に差が発生するが、電流可変式においてはこの現象が無いため、生成水量を一定にする方法としては有効である。
【0038】
尚、上記2点の方法を組み合わせ、電流と水量双方をコントロールして制御を行う方式も可能である。この場合2方法の中間の特性を示す。
【0039】
また、上記電解質添加に使用するポンプ6の吐出量は、それぞれの条件において必要とされる電流値を得るために適量添加する必要がある。添加量は電流センサ7から得られた電解電流値を元に、規定の電流に達していなければ増加させる制御を行うことが望ましい。従って原水の電気伝導に度により電解質を添加しなくても規定電流値に達している場合等は、特に添加の必要は無い。
【0040】
【発明の効果】
以上述べた次第で、本発明に係る電解アルカリ洗浄水の生成装置によれば、洗浄水として用いる電解アルカリ生成水のpHを10〜12.5とし、且つ、溶存水素濃度が0.3〜1.85mg/1となるように生成すると共に、電気分解に必要な両電極間の電流密度と電気分解に要する原水の槽内滞留時間との積値が1.3〜40secA/dm2となるように設定して電解水の生成を行うため、pH値の高い電解アルカリ生成水を生成でき、これと同時に陰極側には溶存水素が生成されて、アルカリ水(OH−が洗浄に寄与する)と溶存水素との作成により、優れた洗浄効果を発揮できる洗浄水を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電解アルカリ洗浄水の生成装置の構成を説明した全体構成図である。
【図2】 各汚染物質に対して適正な洗浄方法を選択した場合に於ける洗浄率を表にした(データ1)の表図である。
【図3】 pHの違いによる洗浄率を表にした(データ1−1)の表図である。
【図4】 図3に示めされている表図を線で表わした(データ1−2)のグラフである。
【図5】 各汚染物質に対する〔OH−〕濃度と洗浄率の関係を示した(データ1−3)のグラフである。
【図6】 pHと〔OH−〕濃度の関係を表にした(データ1−4)のグラフである。
【図7】 保存性試験の結果を示した(データ2−1)のグラフである。
【図8】 他の保存性試験の結果を示した(データ2−2)のグラフである。
【図9】 他の保存性試験の結果を示した(データ2−3)のグラフである。
【図10】 他の保存性試験の結果を示した(データ2−4)のグラフである。
【図11】 溶存水素と洗浄率の関係を示した(データ3)の表図である。
【図12】 ゼータ電位の測定値を示した(データ4)のグラフである。
【図13】 電流密度と溶存水素の関係を示した(データ5−1)のグラフである。
【図14】 データ処理前の滞留時間×電流密度と溶存水素の関係を説明した(データ5−2)のグラフである。
【図15】 データ処理後の滞留時間×電流密度と溶存水素の関係を説明した(データ5−3)のグラフである。
【図16】 溶存水素量と洗浄率の関係を示した(データ6)のグラフである。
【図17】 水素の水に対する飽和溶解度の関係を示した(データ7)のグラフである。
【図18】 溶存水素とpHの関係を示した(データ8)のグラフである。
【符号の説明】
1 有隔膜電解槽
1T 隔膜
1A 陽極室
1B 陰極室
2A,2B 電極
3 給水パイプ
5 電解質タンク
6 電解質供給用ポンプ
7 電流センサ
8 電流可変回路
9 電源基板
10 制御基板
11 操作基板
12 流量検知センサ
13 水量調節弁
Claims (3)
- 陽陰両極間に隔壁が存在する有隔膜電解槽に原水を流入させて電気分解を行い、陰極間で生成されたアルカリ生成水を洗浄水として利用するようにした電解アルカリ洗浄水の生成装置であって、
両極間を流れる電流を検知する電流検知手段と、
原水の単位時間当り流量を検知する流量検知手段と、
原水の水量を調節する自動水量調節弁と、
上記単位時間当り流量と電解槽体積とから算出された電解槽内滞留時間と、両極間を流れる電流値と電極面積とから算出された電流密度とを乗じた積を演算する滞留時間と電流値の積値算出手段とを備え、
上記滞留時間と電流密度の積値が所定の値となるように、上記両電極間の電流値、又は、上記原水流量のいずれか一方又は両方を制御するように構成したことを特徴とする電解アルカリ洗浄水の生成装置。 - 上記滞留時間と電流値を乗じた積が1.3〜40secA/dm2となり、生成されたアルカリ生成水のpHが10〜12.5で、且つ、溶存水素濃度が0.3〜1.85mg/1となるように、上記両電極間の電流値、又は、上記原水流量のいずれか一方又は両方を制御するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の電解アルカリ洗浄水の生成装置。
- 上記滞留時間と電流値を乗じた積を、任意の積値に選択可能にする選択手段を備えて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解アルカリ洗浄水の生成装置。
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