JP3816015B2 - メーキャップ化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射干渉色を有する雲母チタンに、接合物質を用いて、該反射干渉色と補色色相の関係にある有色顔料を被覆した複合粉体を含有するメーキャップ化粧料に関し、更に詳しくは、特別な化粧テクニックを用いることなく、顔面の陰影を強調し、正面に見える部分の色より側面に見える部分の色の方が濃くなるため、色調のコントラストが強調され、立体感のある仕上がり効果に優れ、しかも、ギラギラとした艶が無く、自然な仕上がりが得られるメーキャップ化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のメーキャップ化粧料においては、顔全面に肌色系のファンデーションを塗布し、口元や目元に彩度の高い口紅やアイシャドウ等のポイントメーキャップ化粧料を塗布することにより、口元や目元を強調する化粧を施してきた。また、顔の側面部に、顔の正面より濃い色のファンデーションを塗布することにより、シャープな印象の化粧を施す技術があった。更に、これら化粧に用いられるファンデーションとして、雲母チタン等の光輝性粉体を含有するものを選択し、顔面に艶を与え、立体感を演出する技術があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単にポイントメーキャップ化粧料を塗布しただけでは、口元や目元を強調することはできるが、立体感のある仕上がりは得られなかった。また、顔の側面部に、顔の正面より濃い色のファンデーションを塗布する技術では、色の濃さの異なる複数の化粧料を揃える必要があり、化粧方法に難しいテクニックを必要とするものであった。更に、光輝性粉体を含有するファンデーションを用いる技術では、仕上がりに必要以上の艶が出てしまい、自然な仕上がりが得られず、且つ色調のコントラストを強調することによる立体感を得ることは困難であった。
【0004】
このため、特別な化粧テクニックを用いなくても、顔面の陰影を強調し、正面に見える部分の色より側面に見える部分の色の方が濃くなるため、色調のコントラストが強調され、立体感のある仕上がり効果に優れ、しかも、ギラギラとした艶感が無く、自然な仕上がりが得られるメーキャップ化粧料の開発が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意研究した結果、反射干渉色を有する雲母チタンに、該反射干渉色と補色色相の関係にある有色顔料を被覆した複合粉体は、正面に見える部分の色より側面に見える部分の色の方が濃くなるという膜特性を有することを見出し、この特性をファンデーション等のメーキャップ化粧料に応用することにより、上記課題を解決するメーキャップ化粧料が得られることを見つけ出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、反射干渉色を有する雲母チタンに、接合物質を用いて、該反射干渉色と補色色相の関係にある有色顔料を被覆した複合粉体を含有することを特徴とするメーキャップ化粧料を提供するものである。
【0007】
また、前記雲母チタンが、青色〜緑色の反射干渉色を有することを特徴とする前記メーキャップ化粧料を提供するものである。
【0008】
前記複合粉体の以下に示す測定方法により求められる△L(明度差)値及び△C(彩度差)値が、△L値30〜45、且つ△C値5〜50であることを特徴とする前記メーキャップ化粧料を提供するものである。
測定方法:
半透明両面テープ上に試料を0.3mg/cmになるよう均一に塗布し、該テープ面と垂直な方向を0°とした場合、入射光角15°、受光角−15°及び−60°で測色し、CIE1976L表色系における、それぞれの受光角のL15、a15、b15及びL60、a60、b60を求める。次いで、以下に示す計算式により、△L値及び△C値を求める。
ΔL=L15−L60
Δa=a15−a60
Δb=b15−b60
ΔC=(Δa+Δb1/2
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、反射干渉色を有する雲母チタンに、接合物質を用いて、該反射干渉色と補色色相の関係にある有色顔料を被覆した複合粉体(以下、「本発明の複合粉体」と略す。)を含有することを特徴とするメーキャップ化粧料に関するものである。
【0010】
本発明の複合粉体は、反射干渉色を有する雲母チタンに、該反射干渉色と補色色相の関係にある有色顔料を被覆したものであり、正面に見える部分の色より側面に見える部分の色の方が濃くなるという膜特性を有する粉体である。このため、本発明の複合粉体を含有するメーキャップ化粧料は、正面に見える部分の色と、側面に見える部分の色に、大きな明度差及び彩度差を生じさせることにより、顔面の陰影と色調のコントラストを強調し、立体感のある仕上がり効果が付与される。
【0011】
本発明の複合粉体に用いられる反射干渉色を有する雲母チタンとは、赤色、黄色、青色、緑色等の有色の反射干渉色を有するものであり、通常、パール剤として化粧料に用いられるものである。また、これら雲母チタンの中でも、反射干渉色が青色〜緑色の雲母チタンを選択すると、より自然な仕上がりで、立体感を付与することが可能な複合粉体となる。更に、これら雲母チタンの平均粒径は、反射干渉色の強さ等の観点より、5〜200μmが好ましい。尚、これら雲母チタンは、シリコーン類、フッ素化合物類、金属石鹸類、油剤類等の通常公知の処理剤により処理して用いても良い。
【0012】
このような反射干渉色を有する雲母チタンは、市販品として、TIMIRONSUPER BLUE(反射干渉色:青色)、TIMIRON SUPER GREEN(反射干渉色:緑色)〔何れも、メルク社製〕、FLAMENCO BLUE 620C(反射干渉色:青色)、FLAMENCO SPARKLEGREEN 820J(反射干渉色:緑色)〔何れも、エンゲルハード社製〕等が挙げられる。
【0013】
次に、本発明の複合粉体における、雲母チタンに被覆する有色顔料は、通常化粧料に用いられる白色以外の顔料であり、被覆する雲母チタンの反射干渉色と補色色相を有するものが、適宜選択され用いられる。このような有色顔料は、ベンガラ、黄酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、チタンイエロー、黒酸化チタン、黒酸化鉄、水酸化クロム、カーボンブラック、チタン酸コバルト、チタン酸リチウムコバルト等の無機顔料、赤226号、赤202号、黄色4号アルミニウムレーキ、青色1号、青色404号等の有機顔料等が挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。尚、これら有色顔料は、シリコーン類、フッ素化合物類、金属石鹸類、油剤類等の通常公知の処理剤により処理して用いても良い。
【0014】
本発明における補色色相とは、P.C.C.S.色彩体系の色相環表上において、おおよそ対角の位置にあたる色相を意味し、補色色相の関係にある組み合わせとしては、例えば、青色−橙色〜黄色、緑色−紫色〜赤色等が挙げられる。すなわち本発明の複合粉体においては、反射干渉色が青色の雲母チタンと黄色顔料、反射干渉色が緑色の雲母チタンと赤色顔料等が、それぞれ補色色相の関係の組み合わせとして挙げられる。
【0015】
本発明の複合粉体における、反射干渉色を有する雲母チタン表面に、該反射干渉色と補色色相の関係にある有色顔料が被覆している状態は、完全被覆の状態でなくても、一部被覆や担持している状態でも良い。
【0016】
本発明の複合粉体に用いられる接合物質とは、反射干渉色を有する雲母チタン表面に、該反射干渉色と補色色相の関係にある有色顔料を接合させ、且つ雲母チタンの反射干渉色を変化させるために用いられるものであり、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス等のワックス類、ロジン酸ペンタエリスリット、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル−シリコーングラフトコポリマー等の油溶性樹脂類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルから選ばれる一種以上のモノマーを重合したホモポリマーやコポリマー等のアクリル系高分子類、酢酸ビニル、ビニルピロリドンから選ばれる一種以上のモノマーを重合したホモポリマーやコポリマー等のビニル系高分子類等が挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。
【0017】
また、本発明の複合粉体においては、一定の接合強度を確保する観点より、接合物質は、アクリル系高分子類やビニル系高分子類が好ましい。
【0018】
本発明の複合粉体において、雲母チタンに有色顔料を複合化する方法は、特に限定されず、通常公知の複合化方法を用いることができる。具体的には、接合物質を溶解又は分散したエタノールや水等の溶媒中に、雲母チタンと有色顔料を添加し、十分混合した後、加熱及び減圧することにより該溶媒を除去し複合化する方法、接合物質を溶解又は分散したエタノールや水等の溶媒に有色顔料を分散し、噴霧コーティング装置により雲母チタンに有機顔料を複合化する方法、メカノケミカル処理する方法等が挙げられる。かかる方法によって得られた複合粉体は、エネルギー流体ミル等の粉砕機による粉砕、水簸等による分級、または必要に応じて水洗して用いることができる。更に、本発明の複合粉体は、シリコーン類、フッ素化合物類、金属石鹸類、油剤類等の通常公知の処理剤により処理して用いても良い。
【0019】
本発明の複合粉体における、雲母チタン、有色顔料、接合物質の質量比率は、自然な仕上がり感、接合強度確保の観点より、69〜98:1〜30:1〜10が好ましい。
【0020】
本発明の複合粉体による膜は、正面に見える部分と側面に見える部分に、大きな明度差及び彩度差を生じさせることにより、顔面の陰影と色調のコントラストを強調し、立体感のある仕上がり効果を付与する粉体である。具体的には、反射干渉色が緑色の雲母チタンに赤色顔料を被覆した粉体は、正面に見える部分は、反射干渉色の緑色と顔料の赤色が補色色相の関係にあることから、互いの色味を打ち消し合い、全体として色が薄く見える。一方、側面に見える部分は、反射干渉色の緑色は弱くなり、顔料の赤色が強くなって、全体として色が濃く見える。同様に、反射干渉色が青色の雲母チタンに黄色顔料を被覆した粉体は、正面に見える部分は、反射干渉色の青色と顔料の黄色が補色色相の関係にあることから、互いの色味を打ち消し合い、全体として色が薄く見える。一方、側面に見える部分は、反射干渉色の青色が弱くなり、顔料の黄色が強くなって、全体として色が濃く見える。
【0021】
よって、これら本発明の複合粉体を用いることにより、化粧した顔面において、正面に見える部分は、色が薄く、自然な明るさがあり、側面に見える部分は、色が濃く、暗くなり立体感を強調することができる。尚、ここで述べる正面に見える部分、側面に見える部分とは、例えば、顔を正面から見たときに、正面に見える部分は額、頬骨付近、鼻の頭、口元等のことであり、側面に見える部分とは、顔の輪郭、頬の側面等のことである。
【0022】
更に、本発明の複合粉体の光学特性について、以下に示す測定方法により△L値(明度差)及び△C値(彩度差)を求めて確認した。
測定方法:
半透明両面テープ上に試料を0.3mg/cmになるよう均一に塗布し、該テープ面と垂直な方向を0°とした場合、入射光角15°、受光角−15°及び−60°で測色し、CIE1976L表色系における、それぞれの受光角のL15、a15、b15及びL60、a60、b60を求める。次いで、以下に示す計算式により、△L値及び△C値を求める。
ΔL=L15−L60
Δa=a15−a60
Δb=b15−b60
ΔC=(Δa+Δb1/2
【0023】
本発明の複合粉体における、ΔLが30〜45であると、顔面の陰影をより強調でき、正面から見える部分にギラギラとした艶が無く、△Cが5〜50であると、仕上がりに単に明暗を与えるだけでなく、色調のコントラストをより強調でき、立体感のある仕上がり効果がより優れる。
【0024】
本発明のメーキャップ化粧料における、本発明の複合粉体の含有量は、より自然に立体感のある仕上がり効果を得るためには、0.1〜30質量%(以下、単に「%」と略す。)が好ましい。
【0025】
本発明のメーキャップ化粧料には、上記成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、上記本発明の複合粉体以外の粉体、油剤、水溶性高分子、界面活性剤、ゲル化剤、保湿剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、香料、美容成分等の通常化粧料に汎用される成分を含有することが可能である。
【0026】
本発明のメーキャップ化粧料には、感触調整剤、着色剤、パール剤、紫外線遮蔽剤等として、上記本発明の複合粉体以外の粉体を含有することができる。このような粉体は、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造、等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、着色剤として、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、タール系色素等、感触調整剤として、酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、セリサイト、タルク、炭化珪素、窒化硼素、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン等、光輝性粉体として、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、アルミニウムパウダー等、紫外線遮断剤として、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等の複合粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。尚、これら粉体は、分散性や付着性を改良するために、シリコーン類、フッ素化合物類、金属石鹸類、油剤類等の通常公知の処理剤により処理して用いても良い。本発明のメーキャップ化粧料にこれら粉体を含有する場合は、化粧料の剤型によって異なるが、概ね1〜90%が好ましい。
【0027】
本発明のメーキャップ化粧料には、エモリエント感付与剤等として、油剤を含有することができる。このような油剤は、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、モクロウ、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。本発明のメーキャップ化粧料にこれら油剤を含有する場合の含有量は、化粧料の剤型によって異なるが、概ね0.5〜80%が好ましい。
【0028】
本発明のメーキャップ化粧料は、ファンデーション、頬紅、白粉、下地料、コンシーラー、アイシャドウ、口紅等に応用できるが、これらの中でも、ファンデーション、頬紅、白粉、化粧下地、コンシーラー等のベースメーキャップ化粧料において、本発明の効果が顕著である。また、本発明のメーキャップ化粧料の剤型は、特に限定されないが、水中油型、油中水型等の乳化型、固形や粉末状等の粉末型、油性型等が挙げられる。更に、本発明のメーキャップ化粧料の使用方法は、マット使用、パフ使用、指使用等の使用方法を特に限定するものでは無い。
【0029】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
製造例1:
エタノール200gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これにベンガラ(注2)50gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が緑色の雲母チタン(注3)945gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、ベンガラ被覆雲母チタン約1000g得た。
注1:PVP/VA−S630〔ゼネラルアニソン社製〕
注2:タロックスレッドR−516−L〔チタン工業社製〕
注3:TIMIRON SUPER GREEN〔メルク社製〕
【0031】
製造例2:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これにベンガラ(注2)100gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が緑色の雲母チタン(注3)895gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、ベンガラ被覆雲母チタン約1000g得た。
【0032】
製造例3:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これにベンガラ(注2)300gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が緑色の雲母チタン(注3)695gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、ベンガラ被覆雲母チタン約1000g得た。
【0033】
製造例4:
エタノール200gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これに黄酸化鉄(注4)50gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が青色の雲母チタン(注5)945gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、黄酸化鉄被覆雲母チタン約1000g得た。
注4:タロックスイエローレモン〔チタン工業社製〕
注5:TIMIRON SUPER BLUE〔メルク社製〕
【0034】
製造例5:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これに黄酸化鉄(注4)100gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が青色の雲母チタン(注5)895gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、黄酸化鉄被覆雲母チタン約1000g得た。
【0035】
製造例6:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これに黄酸化鉄(注4)300gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が青色の雲母チタン(注5)695gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、黄酸化鉄被覆雲母チタン約1000g得た。
【0036】
製造例7:
精製水200gに接合物質として酢酸ビニル重合体エマルション(注6)12.5gを分散し、これにベンガラ(注2)100gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が緑色の雲母チタン(注3)895gとを均一混合した後、100℃で12時間乾燥し水分を除去して、ベンガラ被覆雲母チタン約1000g得た。
注6:ビニブラン GV−5651(固形分40%の水系エマルション)
〔日信化学工業社製〕
【0037】
製造例8:
精製水200gに接合物質として酢酸ビニル重合体エマルション(注6)12.5gを分散し、これに黄酸化鉄(注4)100gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が青色の雲母チタン(注5)895gとを均一混合した後、100℃で12時間乾燥し水分を除去して、黄酸化鉄被覆雲母チタン約1000g得た。
【0038】
製造例9:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注7)10gを分散し、これにベンガラ(注2)100gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が緑色の雲母チタン(注8)895gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、ベンガラ被覆雲母チタン約1000g得た。
注7:PVP/VAE−735〔ISPヴァンダイク社製〕
注8:FLAMENCO SPARKLE GREEN 820J
〔エンゲルハード社製〕
【0039】
製造例10:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注9)10gを溶解し、これに黄酸化鉄(注4)100gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が青色の雲母チタン(注10)895gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、黄酸化鉄被覆雲母チタン約1000g得た。
注9:PVP/VAE−535〔ISPヴァンダイク社製〕
注10:FLAMENCO BLUE 620C〔エンゲルハード社製〕
【0040】
製造例11:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これに赤色226号(注11)50gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が緑色の雲母チタン(注3)945gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、赤色226号被覆雲母チタン約1000g得た。
注11:赤色226号〔大東化成社製〕
【0041】
製造例12:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これに黄色4号(注12)50gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が青色の雲母チタン(注5)945gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、黄色4号被覆雲母チタン約1000g得た。
注12:黄色4号AL−K〔三栄化学工業社製〕
【0042】
製造例13:
エタノール300gに接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これに群青(注13)200gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が黄色の雲母チタン(注14)795gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、群青被覆雲母チタン約1000g得た。
注13:群青CB−80〔第一化成工業社製〕
注14:TIMIRON SUPER GOLD〔メルク社製〕
【0043】
製造比較例1:
エタノール300gにベンガラ(注2)300gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が緑色の雲母チタン(注3)700gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、ベンガラと雲母チタンの混合粉体約1000g得た。
【0044】
製造比較例2:
エタノール300gに黄酸化鉄(注4)300gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が青色の雲母チタン(注5)700gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、黄酸化鉄と雲母チタンの混合粉体約1000g得た。
【0045】
製造比較例3:
エタノール300gにビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これにベンガラ(注2)300gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が無彩色の雲母チタン(注15)695gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、ベンガラ被覆雲母チタン約1000g得た。
注15:TIMICA EXTRA BRIGHT 1500
〔エンゲルハード社製〕
【0046】
製造比較例4:
エタノール300gにビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(注1)5gを溶解し、これに黄酸化鉄(注4)300gを添加し、デスパミキサーにて均一分散し分散液を調製した。次いで、ヘンシェルミキサー中で前記分散液と反射干渉色が無彩色の雲母チタン(注15)695gとを均一混合した後、60℃で3時間乾燥しエタノールを除去して、黄酸化鉄被覆雲母チタン約1000g得た。
【0047】
試験例:
上記製造例1〜13及び製造比較例1〜4の粉体、表1に示す市販の顔料被覆雲母チタンについて、以下に示す測定方法により、△L値及び△C値を求め、結果を表1に示した。
測定方法:
半透明両面テープ(フィルム両面テープ No.765 #50 寺岡製作所社製)上に試料を0.3mg/cmになるように均一に塗布し、変角色差計(日本電色社製:シグマ−80)を用い、該テープ面と垂直な方向を0°とした場合、入射光角15°、受光角−15°及び−60°で測色し、CIE1976L表色系における、それぞれの受光角のL15、a15、b15及びL60、a60、b60を求める。次いで、以下に示す計算式により、△L値及び△C値を求める。
ΔL=L15−L60
Δa=a15−a60
Δb=b15−b60
ΔC=(Δa+Δb1/2
【0048】
【表1】
Figure 0003816015
【0049】
次に、メーキャップ化粧料の実施例を示す。
実施例1〜6及び比較例1〜5:パウダーファンデーション
表2及び表3に示す組成のパウダーファンデーションを下記の製法により調製し、「立体感(顔面の陰影)を強調できる」、「立体感(色味の変化)を感じる」、「ギラツキの無さ」、「自然な仕上がり」の各項目について、以下に示す評価方法により評価し、結果を併せて表2及び表3に示した。
【0050】
【表2】
Figure 0003816015
【0051】
【表3】
Figure 0003816015
【0052】
(製法)
A:成分(1)〜(19)を混合する。
B:Aに成分(20)〜(26)を添加し、均一分散する。
C:Bを粉砕し、金皿にプレス成型しパウダーファンデーションを得た。
【0053】
(評価方法)
20名の化粧品専門パネルにより、上記実施例及び比較例のパウダーファンデーションを使用してもらい、室内にて太陽光ランプが顔の正面上部から照射される位置にて、顔の正面から30cm離して鏡を設置し、各パネルが鏡を見て、「立体感(顔面の陰影)を強調できる」、「立体感(色味の変化)を感じる」、「ギラツキの無さ」、「自然な仕上がり」について、下記の評価基準に基づき7段階の評点を付し、全パネルの評点の平均点より、下記判定基準に従って判定した。尚、「立体感(色味の変化)を感じる」については、正面に見える部分のた色よりも、側面に見える部分の色の方が、濃いと感じたものを良好と評価してもらった。
Figure 0003816015
【0054】
表2及び表3の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜6のパウダーファンデーションは、「立体感(顔面の陰影)を強調できる」、「立体感(色味の変化)を感じる」、「ギラツキの無さ」、「自然な仕上がり」の全ての項目に優れたメーキャップ化粧料であった。一方、光輝性粉体等を全く用いていない比較例1では、立体感のある仕上がり効果が得られない。また、接合物質を用いない、雲母チタンと有色顔料の混合粉体を用いた比較例2では、ギラツキがあり、自然な仕上がりが得られなかった。更に、反射干渉色が無彩色の雲母チタンと有色顔料を被覆した複合粉体を用いた比較例3でも、ギラツキがあり、自然な仕上がりが得られなかった。そして、反射干渉と補色色相の関係にない有色顔料を被覆した市販の顔料被覆雲母チタンを用いた比較例4及び比較例5では、何れも、ギラツキがあり、自然な仕上がりが得られなかった。
【0055】
実施例7:水中油型乳液状ファンデーション
Figure 0003816015
【0056】
(製法)
A:成分(1)〜(7)を加熱し、混合溶解する。
B:成分(8)〜(13)を加熱し、均一に混合分散する。
C:AにBを加えて乳化する。
D:Cを冷却した後、成分(14)〜(20)を加え、均一に分散する。
E:Dを容器に充填して、水中油型乳液状ファンデーションを得た。
【0057】
本発明の実施品である実施例7の水中油型乳液状ファンデーションは、「立体感(顔面の陰影)を強調できる」、「立体感(色味の変化)を感じる」、「ギラツキの無さ」、「自然な仕上がり」の全ての項目に優れたメーキャップ化粧料であった。
【0058】
実施例8:油中水型乳液状下地料
Figure 0003816015
【0059】
(製法)
A:成分(1)〜(13)を加熱し、混合溶解する。
B:成分(14)〜(18)を加熱し、均一に混合分散する。
C:AにBを加えて乳化する。
D:Cを容器に充填して、油中水型乳液状下地料を得た。
【0060】
本発明の実施品である実施例8の油中水型乳液状下地料は、「立体感(顔面の陰影)を強調できる」、「立体感(色味の変化)を感じる」、「ギラツキの無さ」、「自然な仕上がり」の全ての項目に優れたメーキャップ化粧料であった。
【0061】
実施例9:粉末状白粉
Figure 0003816015
【0062】
(製法)
A:成分(1)〜(9)を混合分散する。
B:Aを粉砕する。
C:Bを容器に充填して、粉末状白粉を得た。
【0063】
本発明の実施品である実施例9の粉末状白粉は、「立体感(顔面の陰影)を強調できる」、「立体感(色味の変化)を感じる」、「ギラツキの無さ」、「自然な仕上がり」の全ての項目に優れたメーキャップ化粧料であった。
【0064】
実施例10:油性固形ファンデーション
Figure 0003816015
【0065】
(製法)
A:成分(1)〜(6)を加熱し、混合分散する。
B:Aに成分(7)〜(15)を添加して、均一分散する。
C:Bを再び加熱し、脱泡する。
D:Cを容器に溶融充填して、油性固形ファンデーションを得た。
【0066】
本発明の実施品である実施例10の油性固形ファンデーションは、「立体感(顔面の陰影)を強調できる」、「立体感(色味の変化)を感じる」、「ギラツキの無さ」、「自然な仕上がり」の全ての項目に優れたメーキャップ化粧料であった。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のメーキャップ化粧料は、特別な化粧テクニックを用いなくても、顔面の陰影を強調し、正面に見える部分の色より側面に見える部分色の方が濃くなるため、色調のコントラストが強調され、立体感のある仕上がり効果に優れ、しかも、ギラギラとした艶が無く、自然な仕上がりが得られるメーキャップ化粧料であった。

Claims (2)

  1. 反射干渉色を有する雲母チタンに、接合物質としてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体を用い、該反射干渉色と補色色相の関係にある有色顔料を、雲母チタン:有色顔料:接合物質の質量比率が69〜98:1〜30:1〜10となるように被覆した複合粉体を含有することを特徴とするメーキャップ化粧料。
  2. 前記雲母チタンが、青色〜緑色の反射干渉色を有することを特徴とする請求項1記載のメーキャップ化粧料。
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