JP3815745B2 - 熱電発電体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、熱電発電体に係り、特に太陽光その他の熱源を受熱して起電力を発生し、或いは現存技術を以てしては有効利用のできない低温の熱源から起電力を発生することを可能にする熱電発電体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より太陽光を利用したSi太陽電池が目覚ましい発展を遂げており、一部では該Si太陽電池を利用した発電装置の実用化も始まっている。しかし太陽電池には、周知のように、コストの壁及び日照下でないという作動しないという制約が有り、その普及が妨げられている。
【0003】
太陽電池の基礎になっているエネルギー変換原理は、Si半導体のエネルギーバンドを何らかの手段により傾斜させておき、当該半導体のバンドギャップより大きいエネルギーを有する光を照射して電子を価電子帯から伝導帯に励起し、傾斜しているエネルギーバンドの作用により電荷分離して電子と正孔を別々に集合させて、フェルミレベルの傾斜を生じさせ、斯くして起電力を発生させるというものである。
【0004】
従ってSi太陽電池の場合、Siに吸収されて光電変換を起こし得るのはhν>Eg(Si)の関係を満たす光子である。(hν:太陽光のフォトンエネルギー、又1.1evのエネルギーは光の波長に換算して1.13μmである。)
一方太陽光のうち1.1ev大きいエネルギーを持つphoton即ち1.13μmより短波長の光の割合は約75%であり、従ってhν>Egの関係を満たし、Siに吸収された光エネルギーのうち、電力に変換され得るのはEgだけであり、hν−Egは熱になって了う。この段階でのエネルギー効率は約55%である。
又、電圧として現わるのは約0.6vであり、これはEgに対して55%である。
【0005】
従ってSi太陽電池は制約要因により理論値としての光電変換効率は約22%になって了う。
この為Si太陽電池製法に関わる技術に由来するものは既に相当解消されている現在、前記した光電変換効率の低さが最大の難関として残っている。
【0006】
一方、従来よりゼーベック効果に基礎を置く熱電発電素子が実用化され僻地用電源その他の種々の分野で汎用的に用いられている。(特開平6−53555、特開平6−69549号)
かかる熱電発電素子は前記したSi太陽電池と異なり、バンドギャップに制限を受ける事なく、言換えれば波長制限を受ける事なく、太陽光以外のその他の熱源を受熱して起電力を発生し、或いは排熱その他の低級の熱源から起電力を発生することを可能にするもので、この面でSi太陽電池に比較して有利である。
しかも熱を直接電力に変換できる事は、ゴミ償却場、温泉熱、内燃機関およびその排熱等太陽光のみの利用に比較してその利用分野が限りなくひろがり、而も火力発電や原子力発電、更には地熱発電等に比較して安全上からも極めて有効な発電体であり、又自動車等のエネルギー源として搭載した場合においても化石燃料を使用せず又その排気ガスも存在しないために、現在の様に地球規模で環境エコロジーが叫ばれている現在、種々の面でその大規模な普及が強く要請されている。
【0007】
このような社会的要請から若し前記熱電発電素子の熱効率が例えば30%を越える程に高くなれば、太陽熱利用を含めて熱電発電方式の用途及びその普及は飛躍的に広がることが予想される。
しかしながら既存のゼーベック効果を利用した熱電発電素子は熱効率が最大18%以下と低く、この熱効率の向上の為に多くの改良努力がなされているが、依然として根本的な解決には遠いのが現状である。
又、この熱効率が低いために、前記熱電発電素子を太陽熱発電用電池に適用した場合に、所望の電力を得るための設置コストが大になり、この面での実用化への試みは従来、ほとんどなされていないのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
次に前記ゼーベック効果に基礎を置く熱電発電素子の熱効率が低い最大の理由を以下に詳説する。
ゼーベック効果に基礎を置く熱電発電素子(以下ゼーベック素子という)では、熱起電力を発生させるためには、その両極に温度差が必要である。
即ち、温度差によりキャリア濃度の差を生じさせ、その結果としてキャリアの拡散移動、そしてフェルミレベルの傾斜を生じ起電力を発生させるものである。
一方、前記素子両端に温度差が存在することの必然の結果として、素子内に高温側から低い低温側に向う熱貫流が発生する。一般にこの貫流熱量は、ペルチェ効果に基づく発熱量やや吸熱量、或いは抵抗発熱量より大きく、この為かかる貫流熱量の存在が前記熱電発電素子の熱効率を悪くする最大要因となっている。
【0009】
例えば、p型半導体を用いるゼーベック素子について図示すると図5のようになる。
尚、図中Eは正孔h+のエネルギー、EFはフェルミエネルギーレベル、fhHは高温側の正孔h+の分布関数、fhLは低温側の正孔h+の分布関数、CBは伝導帯、VBは価電子帯、Hは高温側の正孔h+(キャリア)濃度、Lは低温側の正孔h+濃度である。
同図より明らかなように、従来のゼーベック素子においては、前記素子両極におけるキャリヤの濃度差を生ぜしめる為に、温度差を与える必要があり、これが熱効率を悪くする為の最大の要因となっている。
【0010】
そこで本発明者達は、かかる技術的課題を達成する為に、仕事関数値を異にする金属体A及びBとの間に、半導体層を接触挟持させるとともに、該金属体との接触により半導体層に形成されるオーミック接触乃至ショットキー障壁により前記半導体層内に単調形状のエネルギーバンドの傾斜を発生する事を特徴とする熱電発電体を提案し(特開平6ー151978号)、そしてこのような単調形状のエネルギーバンドは、金属体A、B、及び半導体層C夫々の仕事関数値を下記式1)を満足するように設定することにより容易に達成されるとしている。
φA>φSC>φB …1)
φA:金属体Aの仕事関数
φB:金属体Bの仕事関数
φSC:半導体層Cの仕事関数
そして前記エネルギーバンドにおいては、電子についてはショトキー障壁高さが、電子の分布関数のほぼ零点に対応するエネルギーレベルより上位に位置していること、また正孔については、価電子帯の障壁高さが、正孔の分布関数ほぼ零点対応するエネルギーレベルより上位に位置していることを特徴としている。
【0011】
しかしながら、前記従来技術においても発電当初においては所望の熱効率が得られるが、実験の結果その熱交換効率が時系列的に大幅に低下していくことが確認された。
【0012】
本発明は、かかる技術的課題を達成する為に、両極が等温の状態で起電力が発生可能な熱電発電体を提供するとともに、特に長時間に亙って高効率のエネルギー変換を維持出来る熱電発電体を提供する事を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、仕事関数値を異にする金属体A及びBとの間に、φA>φSC>φBの関係を持つ半導体層を接触挟持させただけでは、長期間の高効率エネルギー変換が持続しない理由を、接合面における格子定数ミスマッチの悪影響が経時的に強くなってキャリヤ再結合率が増大するところに在ると考察し、格子定数問題を伴わないで半導体面に対し外部から必要なフェルミレベルを作用させる方法として、電極に於いて適正な標準電極電位を持つ電気化学反応を起こさせて、その電位を作用源とする方式を考案したものである。
この場合、半導体層が適度の含水状態に在って、層内の全域に、H2 =2H+2e-反応のフェルミレベルを、共通する基準レベルとして存在させることが重要であることが判明した。
【0014】
したがって、本発明は半導体層の一方の側に対し外部から相対的に高いフェルミレベルを作用させて半導体のエネルギーバンド形状を電子に関してオーミックコンタクト型となし、他方の側に対し外部から相対的に低いフェルミレベルを作用させて半導体のエネルギーバンド形状を電子に関してショットキー障壁型にするのに、夫々、適正な標準電極電位をもつ電気化学反応を作用源とする第1の特徴と、半導体層を適度に含水させる、即ち、より好ましくは含水状態にある半導体微粒子を凝集させて半導体層を形成させる第2の特徴からなる。
【0015】
尚、後記に詳説するように水、水溶液の代りに溶融塩を含有するのが一層好ましい事も判明した。
更に前記溶融塩がNaCl+KCl+AlCl3 その他の熱発電温度域で溶融状態にある溶融塩である事も判明し、この場合前記熱電発電体の発電温度域が、略40℃以上、好ましくは略70℃以上がよい事も判明した。
又前記半導体層と電極、特にカソード電極との接触が、水、水溶液若しくは溶融塩の存在下に接触する部位と半導体層と電極との直接接触する部位が混在している方が好ましい事も判明した。
そしてこのような構成は前記半導体層に直結する電極の形状を、多孔板状、金網状若しくは凹凸を持つ板状、として生ずる空隙に電解質水溶液若しくは溶融塩を満たすことにより達成される。
【0016】
尚、エネルギレベルの表示方法は真空準位を最高位の零となし、そこからマイナス領域に拡がるものとする。
従って、卑に高い電極電位をもつ反応のフェルミレベルは、貴に高い電極電位をもつ反応のフェルミレベルより、真空準位に近く位置しているので相対的に高いフェルミレベルと表示する。
【0017】
本発明は、カソード反応のフェルミレベルεC、アノード反応のフェルミレベルεA、反半導体のフェルミレベルEfとするときεC>Ef>εAなる条件が成立するように半導体及び電極反応の種類を選択することにより、半導体のカソード側に電子に関してオーミックコンタクト型のエネルギーバンド形状を、又半導体のアノード側に電子に関してショットキー障壁型のエネルギーバンド形状を夫々成立させる事が出来る。
【0018】
又本発明は含水状態にある半導体微粒子を凝集させて半導体層を形成する訳であるが、この凝集状態とは、適当なバインダを用いて固化した状態、バインダを用いないスラリ状態、のいずれでもよい。
この含水させる意味は乾燥微粒子をバインダで固めてもエネルギバンドは個々の粒子内に局在したままであるが、含水状態、特に電解質と溶存する水溶液を適度に含有する半導体微粒子を凝集状態に置くと、エネルギバンドが局在状態から開放されて連続状態に移行すると考えられる処にある。
【0019】
更に半導体層を含水状態に置くことにより、半導体層内全域に、H2=2H+2e-反応のフェルミレベル(−4.43eV)が、共通する基準レベルとして成立する処となり、カソード反応のフェルミレベルεC、反半導体のフェルミレベルEf、アノード反応のフェルミレベルεAが共通の基準の上に結合される。
【0020】
従って、本発明は前記2つの特徴が相俟って半導体層内に単調化傾斜形状をもつエネルギバンドを成立させる事が出来る。
【0021】
又本発明は半導体〜電解質水溶液〜電極の間に直列の電気化学電池系が構成されることを回避するために、半導体層と直結する電極を設けた上で、半導体層と電極間の少なくとも一部に接して電解質水溶液層若しくは溶融塩層を設けることを特徴としている。
尚、前記電解質水溶液を用いた場合は、半導体〜電解質水溶液〜電極の間の電気化学電池系が半導体層の熱電発電系と直列に連結されている状態では、発生電気量と等価量の電極消耗が進行し、熱電発電体の寿命が短くなるという問題を生ずる。
この場合は溶融塩を用いることにより前記欠点が回避される。
この溶融塩層は、電極反応生成物の析出を阻止して、電極面を常時活性状態に維持する作用に加えて、反応原料物質の電極面への供給を促進して起電力を増大させる効果を併せ持っている。
【0022】
又前記電解質水溶液を用いた場合は、カソードを電気化学的コロージョンから保護するために、順方向のバイアス電圧を印加することにより前記欠点が抑制される。
即ち、本発明による熱電発電体の固有の開放電圧よりも高い電圧を、外部電源により順方向に印加することによりカソードに於ける局部電池状態の発生を抑制して、過度のカソード消耗を防止するというものである。
【0023】
【作用】
次に本発明の作用について説明する。
半導体の薄層内にフェルミレベルの傾斜を生じさせ、両端面間に起電力を発生させるには、
I.伝導帯に電子が励起されて一方向に移動すること。
II.価電子帯に正孔が発生して、電子移動と逆方向に一方向に移動すること。
III.その結果として両端面即ち両極に於いて、熱平衡値を超える密度のキャリヤ集積状態を作り出すことが必要である事はよく知られている。
そして前記キャリヤを、上記のように分離し、一極に集積させる原動力はエネルギーバンドの傾斜であり、バンドギャップが大きい半導体の場合には、このエネルギーバンドの傾斜はpn接合により形成される。
【0024】
太陽電池のようにキャリヤを励起するエネルギーが可視光である場合には、光の持つエネルギーが大きいので、半導体として、バンドギャップの大きい種類が利用でき、従ってpn接合によるエネルギーバンド傾斜発生が一番良く用いられている方式である。
一方、本発明では、キャリヤの励起エネルギーに熱を用いるので、半導体は真性半導体であれ、化合物半導体であれ、そのバンドギャップが小さいことが望まれる。
【0025】
ところが、バンドギャップの小さい半導体では、pn接合によるエネルギーバンドの傾斜発生ができない。
そこで、本発明では、フェルミレベルの異なる2種類の電気化学反応を、半導体層の両側で別々に発生させ、フェルミレベルの高い電気化学反応を起こす側にオーミックコンタクト型のエネルギーバンド形状、フェルミレベルの低い電気化学反応を起こす側にショットキー障壁型のエネルギーバンド形状を形成させること、そして更に半導体層に適量の水、好ましくは半導体層に適量の電解質水溶液を含有させて、当該層内に、H2電極のフェルミレベルを共通の基準エネルギーレベルとして存在させること、この2つの作用によって半導体層内に、単調傾斜型のエネルギーバンドを成立させることが出来る。
【0026】
この場合半導体層の両側で、フェルミレベルの相異する電気化学反応を起こさせても、半導体層内に水(水溶液)の導通が存在しなければフェルミレベルの貴卑の差が共通基準に則して影響することができない。
従って、半導体層内に水溶液の導通状態を存在させることは、エネルギーバンドの単調傾斜形状成立にとって、極めて重要な条件である。
【0027】
更に、この状態の実現には、半導体層が空隙を持たない緻密固体乃至結晶であるより、微粒子の凝集状態である半導体層の方が好適である。
即ち、焼結していない半導体微粒子の乾燥状態集合体では、エネルギーバンドが個々の粒子内に局在して、全体的な連続性が無いと考えられるのに対し、含水状態の半導体微粒子集合体では、水の作用によりエネルギーバンドが局在状態から解放されて全体的な連続性を獲得し、斯くして、結晶半導体と同じような振舞ができるようになることも知見し、これも本発明に於ける重要な点である。
【0028】
さて前記の半導体層を硫化物半導体で構成した場合、Cu2S、CuFeS2、PbS等のバンドギャップが約1eV以下である硫化物半導体を用いるのがよい。 又前記半導体層が、適量の水を含有する微粒子の凝集体であるのが好ましい事は前記した通りであるが、特にCu+、Cu2+のようにレドックス反応サイクルを構成し得る多価イオン対を含有するのが好ましい。
【0029】
即ち、化合物半導体である硫化第一銅の場合、Cu+過剰状態でn形、S2-過剰状態でp形になることはよく知られているところである。
そこで本発明ではCu+過剰状態のn形硫化第一銅を半導体に用いる事により、個々の微粒子内でドナーレベルから伝導帯への電子の熱励起が容易に起きる。
【0030】
そしてこのような半導体は、塩化第一銅(CuCl)の粉末に、硫化アルカリの濃厚水溶液を、化学量論比にやや不足する量だけ作用させてスラリー状の反応生成物を得、これを濾紙を用いて脱水後、膠質状態を解除して得た微粒子状の硫化第一銅からなる半導体で構成される。
【0031】
更に本発明の一層好ましい実施例では、電極反応をフェルミレベル作用源として用いる場合に伴われる、半導体〜電解質水溶液〜電極間の電気化学電池が電荷の主輸送路にならないよう考案している。
即ち、フェルミレベルの高いカソード反応は、半導体面において、フェルミレベルが幾分低い求電子反応を誘発させ、ここにカソードで[アニオン+カソード→電子]、半導体面で[電子→アニオン]という電気化学電池系が成立する。半導体層からカソードへの負電荷輸送が、この電気化学電池系により担われる場合には、発生電気量と等価量のカソード消耗が必然的に起きてしまい、発電系の寿命が短くなることとか、高コスト発電になるとかの問題を生ずる。
そこで本発明では、電気化学反応を起こして高いフェルミレベルを発生しているカソードを半導体層に直結させ、電気化学電池系を経由しないで電子を半導体層からカソードに抜出す路を作りこれを負電荷の主輸送路とすること、そして、半導体〜電解質水溶液〜カソードから成る電気化学電池系は、高いフェルミレベルをカソードにおいて発生させることを主任務とし、負電荷輸送には参加しないという分業体制を作ることにより、前記問題の発生を抑止した。
【0032】
尚、半導体層と電極に接して電解水溶液を設ける事の意味は、次の如くである。
即ち電解水溶液の存在は、電極反応に必要な活性イオン濃度、また不要な生成イオン濃度を調整するために、外部調整システムに循環する作用を営む。又電解質水溶液が、熱源から吸熱して熱電発電体に熱を運搬するように、循環システムを構成する。
この結果前記電解水溶液の存在により、単位面積あたり、乃至単位体積あたりの発電量が大きいヘビービューティ型の熱電発電体を構成し得る。
【0033】
又本発明は好ましくは、カソード電極と半導体層に接して水溶液層の溶質がNaCl,KCl,LiCl等の塩化アルカリ、Na2S、K2S等の硫化アルカリ、チオ尿素、チオ硫酸ソーダの何れか1種、若しくは多種混合物であり、他方、アノード電極と半導体層の間に設けた水溶液層の溶質が標準電極電位が+側にある銅イオン、好ましくは(Cu+〜Cu2+)、(Cu(NH3)2 +〜Cu(NH3)22+)、(CuCl2 -〜CuCl3 -〜CuCl4 2-)の何れかの組であるのがよい。
【0034】
又前記電極は、アノード側に位置する電極を、カーボン、白金属金属等の仕事関数が大きくかつ硫黄イオンと反応しない金属体で構成するのがよく、又、カソード側に位置する電極は、銅、鉄、亜鉛、アルミニウム等の、硫黄イオンと容易に反応し、かつ金属硫化物生成に関わる電気化学反応の標準電極電位がマイナス側に高い金属体で構成するのがよい。
【0035】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示的に詳しく説明する。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
先ず本発明の基本概念について図1に基づいて説明する。
(A)は本発明の実施例1のセル構成を示す。半導体層(C)である例えばCu2 S層のアノード(A)側に、ショットキーバリア型のエネルギーバンド形状を成立させる作用源として仕事関数の大きいカーボンを接続する。
また、Cu2 S層のカソード(B)側にオーミックコンタクト型のエネルギーバンド形状を成立させる作用源をカソードにおけるフェルミレベルの高い電気化学反応とする。
【0036】
即ち半導体層(C)の接触面が一部の領域において、カソードと直結しており、残りの領域において、電解質水溶液Aqと接触している。
又カソード電極Cuは半導体層(C)と電解質水溶液(D)Aqの双方に接触している。 カソード電極Cuと電解質水溶液(D)Aqの接触部(界面χ)において発生する電気化学反応による高いフェルミレベルが直結領域を通して半導体層(C)に印加される。
この場合、電解質水溶液(D)Aqがカソード電極(B)Cu(界面χ)と半導体層(C)(界面y)の双方に接触して存在している事が重要である。
【0037】
即ちこの半導体層(C)とカソード電極(B)の双方に接触して存在する水溶液(D)Aqがカソード固有の仕事関数の作用をマスクして電極反応の高いフェルミレベルが半導体層(C)に対して作用する事が可能とする。
【0038】
具体的に説明するにカソード(B)側にオーミックコンタクト型のエネルギバンド形状を成立させる為に、外部から作用する高いフェルミレベルの作用源を仕事関数の低い金属とする場合、半導体の結晶格子定数とカソード結晶格子定数のマッチングの問題が生じる。マッチングが悪いと接触面での界面準位が高密度に発生してキャリアの再結合率が増大して大きい電流を得る事が出来ない。
或いはセル製作直後に大きい電流が得られてもマッチングが経時劣化して電流の減衰を生じる場合がある。これに対し、カソード電気化学反応を作用源とする場合には、マッチング問題を生じない。カソードにおける電気化学反応による高いフェルミレベルが半導体層のオーミックコンタクト形成に対する作用源になるために、図1(A)〜(C)の構成が必要である。
【0039】
そして図1の(C)は、カソード電極(B)Cuと半導体層(C)の間に、電解質水溶液(D)Aqが全て介在させている。
かかるセル構成では、カソード(B)側において発生するフェルミレベルの高い電気化学反応が界面yにおいて、幾分低いフェルミレベルの低い電気化学反応を誘発する。
【0040】
例えば、カソード反応が
2Cu+S2-=Cu2S+2e- E0 x =−0.89V
である場合、界面yでは次の反応が進行可能である。
2H2O++2e-=2OH-+H2 E0 y =−0.8285V
【0041】
このE0 yによって半導体層のエネルギバンド形状がオーミックコンタクト型となり、熱電発電が可能となる。
【0042】
しかしながら界面y→xの負荷電荷輸送はもっぱら電気化学電池系により行われる。
界面yにおいて、[e- →アニオン]
界面xにおいて、[アニオン+カソード →e-]
しかしながらかかる実施例においては、発生電気量に等価量のカソード(B)の消耗が起きてしまい、セル寿命が長時間化させるのが困難である。
これに対し図1(A)及び(B)のように構成した場合は、半導体層(C)から流出する電子が電界水溶液層(D)Aqを経由しないで直接にカソード(B)に流入するので電気化学電池系による負電荷輸送の過程が起きない。
【0043】
従ってカソード(B)の消耗を伴わないで、発電が可能であり、カソード反応は高いフェルミレベルの発生源としてのみの役割をになう処となる。
即ち、図1(A)若しくは(B)のセル構成の熱発電の実験結果に基づく経時変化を図1(D)に基づいて説明するに、40℃発電では、熱電発電がよく起きなかったが、70℃発電では熱電発電がよく起きる。
【0044】
これは図1(A)若しくは(B)の電解質水溶液(D)Aqとカソード電極(B)Cuとの界面χでは2Cu+S2-=Cu2S+2e-反応が、電解質水溶液Aqの作用によって起き、一方電解質水溶液Aqと半導体層(C)との界面yにおいて、
Cu2S=2Cu+ +S2- 及び、
Cu+e-=Cuが起きて電気化学発電を生じる。
【0045】
そして40℃発電では、電解質水溶液(D)Aq中の[S2-][Cu+]の経時減少が電流IAの減衰を招いている。
70℃発電では熱電発電がよく起きるが、この場合電極反応はフェルミレベルの発生だけをその役割としており、反応速度は極く小さくてよい。
従って[S2-]が小さくても電流IAが大きい値で発生し且つ持続する。
尚、図1(C)のセル構成では、カソード電極Cuと半導体層Cu2 Sの間に、電解質水溶液Aqを全て介在させたセル構成では、40℃でも大きい電流を発生するが、長期継続性の面で難点がある。
【0046】
図1(A)若しくは(B)のセル構成では略70℃の高温作動型セルにするのが好ましいが、この場合、電解質水溶液(D)Aqの代りに溶融塩を用いることにより熱発電温度域をより高くする事が出来る。
このような溶融塩はNaCl+KCl+AlCl3 その他の熱発電温度域で溶融状態にある溶融塩であれば特に限定されない。
【0047】
次に前記図1(A)若しくは(C)の実施例の実験結果を示す。
図2は本発明の実施例に係る熱電発電素子1の概略斜視図を示し、仕事関数の大きい材質から成るアノード(A)と、電気化学反応によって高いフェルミレベルを発生する材質から成るカソード(B)との間に、半導体層(C)を接触挟持させ、更に電解質水溶液層(D)を、半導体層(C)とカソード(B)の双方に接触するように配置するとともに、両電極(A)及び(B)にリード線2を介して負荷抵抗3を接続させている。
【0048】
そして前記構成の素子1において、夫々の実施例の構成及び組立手順について説明する。
(実施例1)
アノード電極(A)はグラファイトシート、カソード電極(B)は銅の太線で構成する。
前記半導体層(C)が、硫化物半導体微粒子の凝集体として形成され、少量の水、及びCu+、Cu2+のようにレドックス反応サイクルを構成し得る多価イオン対を含有する。
【0049】
このような半導体層(C)の製造は、粉末状塩化第一銅(CuCl)に硫化カリウム(K2S)の濃厚水溶液を、化学量論量よりやや不足する量だけ作用させて硫化第一銅(Cu2S)を生成させる。
そして前記スラリー状で得られる硫化第一銅(Cu2S)を濾紙上に移して脱水し、更に膠質状態を解除するために粉末シリカゲルを適量加える。
ここに更に、3M社製多用途接着剤を適量加えて良く混合し、糊状になった硫化第一銅を硬質ゴムシートを用いて作製したケース4の中に収納して、放置乾燥する。
【0050】
これにより前記半導体層(C)が、硫化物半導体微粒子の凝集体として形成され、少量の水、及びCu+、Cu2+のようにレドックス反応サイクルを構成し得る多価イオン対を含有する。
この際、アノード(A)のグラファイトシートは予め硬質ゴムの前記ケース4と接着しておく。
従って、硫化第一銅層からなる半導体層(C)とアノード(A)のグラファイトシートとの接続は、該硫化第一銅の糊状体を前記ケース4に収納した時点で形成される。
尚前記の硫化第一銅からなる半導体層(C)は4.0cm2×3mmtのセル構成とする。
【0051】
硫化第一銅の膠質状態を解除するには粉末シリカゲル以外に塩化ナトリウム結晶を加える方式も有るが、この場合には、カソード電極(B)の銅薄板のコロージョンが著しく進行するので、好ましくない。
そして前記硫化第一銅層が外観上乾燥した時点でカソード(B)として成型した太線の銅線Cuを取り付け、所定の締具を用いて組立てる。
その上で、チオ硫酸ソーダとNaClを溶存する水溶液層(D)を形成する。
【0052】
次に前記実施例についてセル温度を略70℃にして図2に示すように抵抗負荷を直列に接続して(回路抵抗3Ω)セル単体の発電初期性能(Voc(開放電圧)及びIA(短絡電流)はスタート後180分間の平均値)の平均値)を調べてみたところVoc:150mV、電流IA:6.0mAであった。
【0053】
(比較例1)
前記実施例1と同様に、硫化第一銅(Cu2S)とシリカゲル粉の混合物を調整した後、該混合物を乾燥用シリカゲルを収納した密封箱の中に入れて約12時間乾燥する。
その後、乾燥粉に3M社製多用途接着剤を適量加えて良く混合し、糊状にして、硬質ゴムシート製ケース4の中に収納、放置乾燥する。
そしてアノード(A)のグラファイトシートを予め硬質ゴムケース4と接着しておく点及び硫化第一銅に混合した3M接着剤が乾燥してからカソード(B)を接続する点は、実施例1と同様である。ただし、比較例1では、電解質水溶液層(D)を設けず、更にカソード(B)としてAlの太線加工物を用いる。
これは、カソードに作用させる高いフェルミレベルを、電極電気化学反応に依らず、低い仕事関数の形で印加するためである。
【0054】
次に図3(B)に示す前記比較例1について前記実施例と同様に、セル温度略70℃における、セルの発電初期性能を調べた所、
初期起電力 Voc:120mV、 IA:4.0mA
260分後の起電力 Voc: 50mV、 IA:1.0mA
と実用に耐え得ないものであった。
【0055】
(実施例2)
図3(C)に示すように、前記実施例1と同様に、その面積×厚みが4.0cm2×3mmtのCu2Sからなる半導体層(C)を形成し、カソードをアルミニウム太線、電解質をチオ硫酸ソーダ及びNaClの水溶液として、前記実施例と同様に製造する。○印は、半導体層(C)がまだ湿潤状態に在る状態でカソード電極(B)となるAl太線と接続されている事を示す。
【0056】
かかる実施例2によれば、セル温度略70℃における、セルの初期発電性能を調べた所、Vocについては330mVと前記実施例より上昇し、回路抵抗3Ωの時の電流IAについては21.5mAと増大した。
【0057】
かかる実験より明らかなように、比較例1のようにフェルミレベルを異にする金属体(A)及び(B)の間に、φA>φSC>φBの関係を持つ半導体を接触挟持しただけでは、起電力の急激な減衰が起きてしまう。
起電力を維持するためには、別の条件が必要であるらしい。それが、半導体層と電極との接触面における格子定数のマッチングの問題であり、半導体層結晶格子と電極の結晶格子が直結した状態で作用する仕事関数の差をエネルギーバンド傾斜発生の作用源に用いる代りに、電極で電気化学反応を起こさせてそのフェルミレベルを半導体層のエネルギーバンド傾斜発生の作用源とすること、及び半導体層を含水状態にして、当該層内に基準のエネルギーレベルを成立させることにより、満足に解決される。
【0058】
(比較例2)
比較例2は、半導体層(C)を実施例1におけると同様に作成し、図4(A)に示すように、カソード(B)となる銅薄板と半導体層(C)との間にK2S5wt% 水溶液層(Dc)を10mmw×20mmH×5mmt形成する。
かかる比較例2によれば、セル温度を40℃に低下させてセルの発電初期性能を調べた所、回路抵抗3Ω時の電流IAとして4.7mAが得られた。
しかし乍ら、総発生電気量が約120クーロンに達した時点でカソード(B)を点検した所、著るしいコロージョンの発生が観察された。
これは、水溶液層(Dc)における負電荷輸送が電極反応系により行われているための結果である。
【0059】
かかる点より本実施例が長時間に亙って充分なる発電能力が得られる事が分かった。
起電力滅衰の理由は電極反応を駆動する原料イオンが経時的に減量し、又カソード面にCuClなどの固体膜が生成し、これが原料アニオンの拡散を妨害し、且つ電気抵抗を形成する所にある。
【0060】
一方、実施例1及び2のように、半導体層(C)とカソード(B)の直結領域が存在する場合には、直結接触面にCuClなどが生成蓄積することが無く、従って抵抗の経時増大を生じない。
一方、S2-若しくはCl-イオンを含有する水溶液層(D)の存在は、カソード反応を持続させる役割を果たしている。
【0061】
(比較例3)
しかしながら前記半導体層(C)が存在せず、K2S水溶液層(Dc)のみの存在では起電力が出ない。
即ち図4(B)に示すように、前記アノード電極(A)とカソード電極(B)との間に、5wt%,10mmw×10mmH×5mmtのK2S水溶液層(Dc)のみを存在させた場合(従来の化学電池と同様)セル温度32℃のセルの発電初期性能(電流はスタート後10分間の平均値)はVoc:100mV、回路抵抗12Ω時の電流IA:0.26mAと前記実施例に比較して起電力が大幅に低下する。
【0062】
(比較例4)
図4(C)は、比較例3として前記実施例で製造した4cm2×3mmtのCu2S層とカソード電極(B)との間に10mw×10mmH×5mmtの飽和NaCl水溶液層(Ec)を介挿して、セル温度を約40℃でセルの発電初期性能(電流はスタート後100分間の平均値)を調べた所、Voc:110mV、電流IA:3.0mAと起電力が低下していた。
【0063】
この理由は前記比較例4では、カソード銅板(B)のコロージョンの程度が激しく、この為起電力が低いためと考えられる。
そしてこのようなコロージョンの防止は前記塩化ナトリウムその他の塩化アルカリを弱酸性化すればよいがこれのみならず、前記カソード電極(B)とアノード電極(A)に、外部電源による順方向バイアス電圧を印加してカソード電極(B)を防食するように構成してもよい。
【0064】
(実施例3)
例えば前記比較例4にバイアス電圧を印加した構成を、図5に従って説明するに、Eは外部電源、Rwは負荷抵抗、Saは負荷回路電流計、Sbはバイアス電流計、Roは抵抗器で、外部電源Eに接続されたアルミ電極AlR 、バイアス電流計Sbに接続されたカーボン電極CR 、及び両電極AlR 、CR を浸漬する水道水から構成される。
そして該実施例のセル温度を約40℃、外部電源E:4.5V、バイアス電流IB:0.2mAを流した場合のセルの発電初期性能(電流IAはスタート後300分間の平均値)を調べてみた所、Voc:570mV、回路抵抗12Ω時の電流IA:38mAと比較例3に比較して起電力が大幅に向上していることがよく理解できる。
また発電テストにおける全発生電気量も159クーロンと大きく、又カソード銅薄板のコロージョンが僅かに起きている程度でコロージョンは実質的にほとんど阻止されている事が理解できる。
【0065】
従ってかかる実験結果より、アノード電極(A)に、カーボンや白金属金属等の、仕事関数が大きく、かつ硫黄イオンと反応しない物質を用い、一方、カソード電極(B)に銅、鉄、亜鉛、アルミニウムなど、硫黄イオンと容易に反応し、かつ該金属硫化物生成に関わる電気化学反応の標準電極電位がマイナス側に高い金属を用い、前記フェルミレベルを異にする両電極の間に、バンドギャップが約1eV以下である硫化物半導体、例えばCu2S、CuFeS2、PbSなどの硫化半導体層Cを接触挟持したセルであり、そして前記半導体層(C)が、適量の水が存在する硫化物半導体、好ましくはCu2S、CuFeS2、PbS等のバンドギャップが約1eV以下で、更に好ましくは前記半導体層(C)が、微粒子状硫化物の凝集体である硫化物半導体であるのがよい。
【0066】
そしてアノード電極(A)と半導体層(C)の間に設けた水溶液層DAの溶質は、(Cu+ 〜Cu2+)、(Cu(NH3 )2 + 〜Cu(NH3 )2 2+)、(CuCl2 - 〜CuCl3 - 〜CuCl4 2-)のように標準電極電位が+側にある銅イオンをもちい、又カソード電極(B)と半導体層(C)の間に設けた水溶液層(D)の溶質は塩化アルカリ、硫化アルカリ、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素の何れか1種、若しくは多種混合物であるのがよい。
尚、前記カソード電極(B)とアノード電極(A)に、外部電源Eによる順方向バイアス電圧を印加してカソード電極(B)を防食してもよい。
【0067】
(実施例4)
図3(D)に示すように、前記実施例1と同様に、その面積×厚みが4.0cm2 ×3mmtのCu2 Sから成る半導体層(C)を形成し、カソード(B)をアルミニウム薄板、電解質(D)をAlCl3 +KCl+NaCl混合溶融塩として、前記実施例1と同様に製造する。
カソード(B)とCu2 S層からなる半導体層(C)との間の溶融塩層厚さを約1mmtとする。
かかる実施例によれば、セル温度105℃における、セルの初期発電性能を調べた所、Vocについては370mV、回路抵抗3Ωの時の電流IA については25.3mAであった。更に総発生電気量が150クーロンの時のカソードの消耗は、発生電気量に対比して少ないものであった。
尚、前記各例の図中の○印は界面が湿潤状態にあるものを示す。又、図7、図8に各実施例1−4、比較例1−2の発電性能を示し、本図より本発明の効果が確認される。
【0068】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、アノードとカソードの両極が等温の状態で起電力が発生するとともに、特に長時間に亙って実用的に高い起電力を維持する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の基本構成に対応する実施例のセル構成、(B)はカソードと半導体層の接続部の典形要部構成図、(C)は他の実施例のセルの構成図、(D)は実施例1のセル性能図を示す。
【図2】本発明の実施例に対応するセル構成を示し、本発明の基本構成に対応する。
【図3】(A)は実施例1、(B)は比較例1、(C)は実施例2、(D)は実施例4に夫々対応する概略図である。
【図4】(A)は比較例2、(B)は比較例3、(C)は比較例4に夫々対応する概略図である。
【図5】実施例3に対応する概略図で、比較例3に外部順方向バイアス電源を接続した構成を示す。
【図6】ゼーベック効果に基礎を置く熱電発電素子の熱発電を示す原理図。
【図7】実施例における発電性能を表わすグラフ図。
【図8】比較例における発電性能を表わすグラフ図。
【符号の説明】
1 熱電発電体
(A) アノード側電極
(B) カソード側電
(C) 半導体層
E 外部電源
(D) カソード側水溶液層若しくは溶融塩層
DA アノード側水溶液層
Claims (5)
- 半導体の薄板内にエネルギーバンドの斜形状を成立させ、バンド間に熱励起されたキャリヤ対を分離して電流の発生が可能になるように構成した熱電発電体において、半導体を塩化第一銅CuClの粉体に、硫化アルカリの濃厚水溶液を化学量論値に不足する量で反応させて膠質状生成物を得た後、凝結させたCu 2 Sの水和微粒子集合体とすることを特徴とする熱電発電体。
- 前記半導体薄板の一方の平面に、{Cu + 〜Cu 2+ }、{Cu + (NH 3 ) 2 〜CU 2+ (NH 3 ) 2 }、{CuCl 2 − 〜CuCl 3 − 〜CuCl 4 2− }の何れかの組を溶質とする水溶液を接触させることを特徴とする請求項1記載の熱電発電体。
- 前記半導体薄板の残る一方の平面に、銅、鉄、亜鉛などの金属から成る電極を接触させることを特徴とする請求項1若しくは2記載の熱電発電体。
- 前記の水和微粒子状態の半導体が、Cu 2 S,CuFeS 2 ,PbSなどの何れかであることを特徴とする請求項1記載の熱電発電体。
- 前記半導体薄板に直結する金属電極の形状を、多孔板状、金網状もしくは凹凸を持つ板状、として、生ずる空隙に硫化アルカリ、チオ尿素、チオ硫酸ソーダ、塩化アルカリの一種、若しくは多種混合物の水溶液を満たすことを特徴とする請求項1記載の熱電発電体。
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