JP6443461B2 - 発電装置の異常検出装置 - Google Patents

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Description

この発明は、発電装置の異常検出装置に関し、より詳細には、均一温度場であっても熱を電力に変換可能な半導体単結晶を熱電変換素子として備える発電装置の異常検出装置に関する。
ゼーベック効果を利用した様々な熱電変換素子が知られている。この熱電変換素子を用いて起電圧を得るためには、当該熱電変換素子を構成する2種類の金属もしくは半導体の間に温度差を必要とする。一方、特許文献1には、温度差を必要とせずに発電を行える熱電変換素子として利用可能な半導体単結晶が開示されている。具体的には、この半導体単結晶は、n型半導体部と、p型半導体部と、n型半導体部とp型半導体部との間に位置する真性半導体部とを有し、真性半導体部のバンドギャップエネルギがn型半導体部およびp型半導体部のバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成されている。
国際公開第2015/125823号
特許文献1に記載の半導体単結晶を熱電変換素子として使用する場合には、当該熱電変換素子を備える発電装置の異常を精度良く検出できることが望ましい。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、発電のために温度差を必要としない熱電変換素子(n型半導体部とp型半導体部との間に位置する真性半導体部のバンドギャップエネルギがn型半導体部およびp型半導体部のバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成された半導体単結晶)を備える発電装置の異常検出装置であって、当該発電装置の異常を精度良く検出できるようにすることを目的とする。
本発明に係る発電装置の異常検出装置は、発熱機器の排熱が伝わる部位に配置された熱電変換モジュールであって、n型半導体部とp型半導体部とこれらの間にある真性半導体部とを有し、前記真性半導体部のバンドギャップエネルギが前記n型半導体部および前記p型半導体部のそれぞれのバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成された半導体単結晶を熱電変換素子として少なくとも1つ備える熱電変換モジュールと、前記熱電変換モジュールとの間で電気回路を構成する負荷機器と、を備える発電装置の異常検出を行う。前記異常検出装置は、前記少なくとも1つの熱電変換素子のうちの少なくとも1つを判定対象として素子単位で前記異常検出を行い、または、前記熱電変換モジュールの全体を判定対象としてモジュール単位で前記異常検出を行うものである。前記異常検出装置は、前記異常検出の対象となる1または複数の熱電変換素子に関して、前記n型半導体部における前記真性半導体部と反対側の端部の温度であるn型端部温度、前記p型半導体部における前記真性半導体部と反対側の端部の温度であるp型端部温度、および、前記真性半導体部の温度である真性部温度を検出または推定する温度取得手段と、前記温度取得手段により検出または推定された前記n型端部温度、前記p型端部温度および前記真性部温度に基づいて、前記素子単位または前記モジュール単位で推定起電圧および当該推定起電圧に基づく推定発電電力のうちの少なくとも一方を算出する推定出力算出手段と、前記素子単位または前記モジュール単位で実起電圧および実発電電力のうちの少なくとも一方を検出する実出力検出手段と、前記素子単位または前記モジュール単位で、前記推定起電圧に対する前記実起電圧の乖離の度合いが第1所定値以上であるか否かの第1判定、および、前記推定発電電力に対する前記実発電電力の乖離の度合いが第2所定値以上であるか否かの第2判定のうちの少なくとも一方を実施し、前記第1判定および前記第2判定のうちの少なくとも一方が成立する場合に、前記発電装置の異常を検出する異常検出手段と、を備える。
前記熱電変換モジュールは、前記発熱機器の排熱を伝える熱供給体の表面に設置されてもよい。前記少なくとも1つの熱電変換素子は、前記熱供給体の前記表面において1列に並んで設置された1組の熱電変換素子を含んでいてもよい。前記温度取得手段は、前記1組の熱電変換素子の前記n型端部温度、前記p型端部温度および前記真性部温度の合計の数よりも少ない数の温度センサであって、前記1列と平行な方向に並ぶように間隔をあけて前記熱供給体に取り付けられた複数の温度センサを含んでいてもよい。そして、前記温度取得手段は、前記複数の温度センサの検出値に基づく前記1組の熱電変換素子の温度分布に基づいて、前記1組の熱電変換素子のそれぞれの前記n型端部温度、前記p型端部温度および前記真性部温度を推定してもよい。
前記発熱機器の排熱が伝わる前記部位は、前記発熱機器の排熱を回収した排熱回収流体が流れる流路であってもよい。前記熱電変換モジュールは、前記排熱回収流体が並列に流れる複数の単位流路となるように前記流路を区画する流路形成部材を含んでいてもよい。前記流路形成部材は、前記熱電変換モジュールが備える前記少なくとも1つの熱電変換素子の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有していてもよい。前記熱電変換モジュールが備える前記少なくとも1つの熱電変換素子は、前記複数の単位流路の延伸方向に垂直な方向に並び、かつ、前記複数の単位流路に跨るように設置された複数の熱電変換素子を1組として、複数組の熱電変換素子を含んでいてもよい。前記複数組の熱電変換素子のそれぞれは、前記真性半導体部の表面が前記排熱回収流体に曝されるようにしつつ前記流路形成部材によって覆われていてもよい。前記温度取得手段は、前記複数の単位流路のそれぞれにおいて、個々の前記単位流路内にある複数の熱電変換素子の一部の熱電変換素子の前記真性半導体部の温度を検出する複数の真性部温度センサと、前記流路形成部材に設置された1または複数の端部温度センサと、を含んでいてもよい。前記温度取得手段は、前記複数の真性部温度センサの検出値に基づいて、前記複数組の熱電変換素子のそれぞれの前記真性部温度を前記単位流路毎に検出または推定してもよい。そして、前記温度取得手段は、前記1または複数の端部温度センサの検出値に基づいて、前記複数組の熱電変換素子のそれぞれの前記n型端部温度および前記p型端部温度を検出または推定してもよい。
前記複数の真性部温度センサは、前記複数の単位流路に1つずつ配分されており、かつ、前記複数組の熱電変換素子のうちで前記複数の単位流路の最も下流に位置する組の熱電変換素子のそれぞれに取り付けられていてもよい。
前記異常検出装置は、前記流路形成部材を加熱または冷却することによって、前記異常検出の対象となる1または複数の熱電変換素子が起電圧を生成可能な温度範囲内で前記1または複数の熱電変換素子の温度を調節する温度調節器をさらに備えていてもよい。前記異常検出手段は、前記第1判定および前記第2判定のうちの少なくとも一方の成立を受けて前記発電装置の異常を検出した場合に、前記排熱回収流体の流れがなく、かつ、前記排熱回収流体の温度が安定している状況下において、前記温度調節器による前記加熱または前記冷却を実行してもよい。前記温度調節器による前記加熱または前記冷却が行われている温度調節状態における前記1または複数の熱電変換素子の起電圧推定範囲から前記実起電圧が外れた場合、または、前記温度調節状態における前記1または複数の熱電変換素子の発電電力推定範囲から前記実発電電力が外れた場合には、前記発電装置の異常は、前記熱電変換モジュールの異常に起因するものであると判定してもよい。そして、前記実起電圧が前記起電圧推定範囲内にある場合、または、前記実発電電力が前記発電電力推定範囲内にある場合には、前記発電装置の異常は、前記流路の異常に起因するものであると判定してもよい。
前記異常検出手段は、前記温度調節状態において、前記複数の真性部温度センサの検出値の少なくとも1つが、前記温度調節器による前記加熱による入熱量または前記冷却による出熱量に応じた許容範囲から外れた場合には、前記真性部温度の検出に関する異常が生じていると判定してもよい。
前記異常検出手段は、前記温度調節状態において、前記1または複数の端部温度センサの検出値の少なくとも1つが、前記温度調節器による前記加熱による入熱量または前記冷却による出熱量に応じた許容範囲から外れた場合には、前記n型端部温度または前記p型端部温度の検出に関する異常が生じていると判定してもよい。
本発明に係る発電装置では、n型半導体部とp型半導体部との間に位置する真性半導体部のバンドギャップエネルギがn型半導体部およびp型半導体部のバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成された半導体単結晶が熱電変換素子として用いられる。このような構造の熱電変換素子は、ゼーベック効果を利用した熱電変換素子とは異なり、素子両端に温度差が生じていなくても起電圧を発生させることができる。このため、本発明に係る熱電変換素子の推定起電圧を素子温度に基づいて算出するためには、素子両端の温度を取得するだけでは十分とはいえない。この点に関し、本発明によれば、検出または推定された素子両端の温度(n型端部温度およびp型端部温度)と真性半導体部の温度(真性部温度)とに基づいて、素子単位またはモジュール単位で推定起電圧および当該推定起電圧に基づく推定発電電力の少なくとも一方が算出される。そのうえで、素子単位またはモジュール単位で、推定起電圧に対する実起電圧の乖離の度合いが第1所定値以上であるか否かの第1判定、および、推定発電電力に対する実発電電力の乖離の度合いが第2所定値以上であるか否かの第2判定のうちの少なくとも一方が実施される。そして、第1判定および第2判定のうちの少なくとも一方が成立する場合に、発電装置の異常が検出される。このように、上述の3点の温度を利用する本発明によれば、発電のために温度差を必要としない熱電変換素子を少なくとも1つ備える発電装置の異常を精度良く検出できるようになる。
本発明の実施の形態1に係る発電装置が備える熱電変換素子の構成を模式的に示す斜視図である。 図1に示す熱電変換素子のバンドギャップエネルギの状態を示す概念図である。 熱電変換素子の実起電圧Vtaと温度との関係を表した図である。 本発明の実施の形態1に係る発電装置が備える熱電変換モジュールの構成を模式的に示す図である。 図4に示す熱電変換モジュールの内部構造を模式的に示す部分透視図である。 各熱電変換素子における温度取得の対象部位を説明するための図である。 素子端面と垂直な方向における熱電変換素子内の温度分布とバンドギャップエネルギの分布とを表した図である。 推定起電圧Vteの算出に用いるマップのイメージ図である。 本発明の実施の形態1に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。 発電装置の等価回路を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態5に係る熱電変換素子の温度推定手法を説明するための図である。 本発明の実施の形態5に係る熱電変換素子の温度取得処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6に係る発電装置およびその異常検出装置の構成を模式的に表した図である。 図16に示す素子積層体の構成を模式的に表した斜視図である。 図17に示す方向D5の位置が同じかつ排気ガスの流れ方向D3に平行に並んだ3組の熱電変換素子のうちで、図16の下方側の単位流路に位置する3つの熱電変換素子の温度Tiについて説明するための図である。 図17に示す方向D5の位置が同じかつ排気ガスの流れ方向D3に平行に並んだ3組の熱電変換素子のうちで、単位流路のそれぞれの内部における上流側に位置する2つの熱電変換素子の温度Tiについて説明するための図である。 本発明の実施の形態7に係る異常検出装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態7に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。 温度センサの検出値とヒータによる入熱量との関係を表した図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
実施の形態1.
まず、図1〜図9を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
[熱電変換素子の構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る発電装置10(後述の図4参照)が備える熱電変換素子12の構成を模式的に示す斜視図である。図1に示す一例では、熱電変換素子12は、角柱形状で形成されている。熱電変換素子12は、一端側にn型半導体部12aを備え、他端側にp型半導体部12bを備えている。また、熱電変換素子12は、n型半導体部12aとp型半導体部12bとの間に、真性半導体部12cを備えている。
図2(A)および図2(B)は、図1に示す熱電変換素子12のバンドギャップエネルギの状態を示す概念図である。図2(A)および図2(B)の縦軸は電子のエネルギであり、横軸は熱電変換素子12におけるn型半導体部12a側の端面(n型半導体部12aにおける真性半導体部12cと反対側の端面)12aesからの距離L1(図1参照)である。もう一方の端面12besは、p型半導体部12bにおける真性半導体部12cと反対側の端面である。
図2(A)および図2(B)に示すように、n型半導体部12aは、フェルミレベルfが伝導帯側にある部位であり、p型半導体部12bは、フェルミレベルfが価電子帯側にある部位である。真性半導体部12cは、フェルミレベルfが伝導帯と価電子帯との間の禁制帯の中央にある部位である。バンドギャップエネルギは、価電子帯の最上部と伝導帯の最下部とのエネルギ差に相当するものである。これらの図から分かるように、熱電変換素子12では、真性半導体部12cにおけるバンドギャップエネルギは、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bにおけるバンドギャップエネルギよりも低くなっている。なお、図2(A)および図2(B)中に示すn型半導体部12a、p型半導体部12bおよび真性半導体部12cの長さの割合は、一例であり、この割合は、熱電変換素子(半導体単結晶)12の形成の仕方に応じて変化する。また、n型半導体部12a、p型半導体部12bおよび真性半導体部12cにおけるバンドギャップエネルギは、例えば逆光電子分光法によって測定することができる。
上述の特性(すなわち、真性半導体部12cにおけるバンドギャップエネルギが、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bにおけるバンドギャップエネルギよりも低いこと)を有する熱電変換素子(半導体単結晶)12は、例えば、クラスレート化合物(包接化合物)によって構成することができる。このようなクラスレート化合物の一例としては、シリコンクラスレートBaAuSi38を用いることができる。
本実施形態の熱電変換素子12の製造方法は、熱電変換素子12が上述の特性を有するようにできるものであれば特に限定されない。熱電変換素子12が一例としてシリコンクラスレートBaAuSi38である場合には、例えば、国際特許出願の国際公開第2015/125823号において詳述されている製造方法を用いることができる。その概要は次の通りである。すなわち、BaとAuとSiとの比(モル比)が8:8:38となるようにBa粉末、Au粉末およびSi粉末を秤量する。秤量した粉末を、アーク溶融法を利用して溶融する。得られた融液を冷却することで、シリコンクラスレートBaAuSi38のインゴットを得る。このように調製されたシリコンクラスレートBaAuSi38のインゴットを粒状に粉砕する。粉砕されたシリコンクラスレートBaAuSi38を、チョクラルスキー法を利用して坩堝内で溶融することで、シリコンクラスレートBaAuSi38の単結晶を得る。図1に示す熱電変換素子12は、このような手法で得られたシリコンクラスレートBaAuSi38の単結晶を角柱形状(より具体的には、直方体形状)に切断して得られたものである。熱電変換素子の形状は、上記単結晶を角柱形状に限らず、立方体形状、円柱形状、あるいは他の所望の形状に切断することによって任意に選択することができる。例えば、n型半導体部12aと真性半導体部12cとp型半導体部12bとが薄く積層されたような平板形状に熱電変換素子12を形成することもできる。
[発電原理]
図2(A)は、熱電変換素子12を所定の温度に加熱したときの熱励起の状態を示す概念図である。熱電変換素子12を温度T0(後述の図3参照)以上に加熱すると、図2(A)に示すように、価電子帯の電子(黒丸)が伝導帯に熱励起する。より具体的には、熱の供給によってバンドギャップエネルギを超えるエネルギが価電子帯の最上部に位置する電子に対して与えられると、電子が伝導帯に励起する。このような熱による電子の励起は、熱電変換素子12の温度が上昇していく過程では、バンドギャップエネルギが相対的に低い真性半導体部12cにおいてのみ生じる状態が得られる。図2(A)はそのような状態が得られる所定の温度(例えば、温度T0)に熱電変換素子12が加熱された状態を示している。この状態では、バンドギャップエネルギが相対的に高いn型半導体部12aおよびp型半導体部12bでは電子が熱励起されない。
図2(B)は、熱電変換素子12を上記所定の温度に加熱したときの電子(黒丸)および正孔(白丸)の移動を示す概念図である。図2(B)に示すように、伝導帯に励起した電子は、エネルギの低い方、すなわち、n型半導体部12a側に移動する。一方、電子の励起により価電子帯に生じた正孔は、エネルギの高い方、すなわち、p型半導体部12bに移動する。このようなキャリアの偏りによって、n型半導体部12aが負に帯電し、p型半導体部12bが正に帯電するため、n型半導体部12aとp型半導体部12bとの間で起電力が生じる。このため、熱電変換素子12によれば、n型半導体部12aとp型半導体部12bとの間に温度差がなくても発電が可能となる。このような発電原理は、温度差に基づいて起電力が生じるゼーベック効果とは異なる。
図3は、熱電変換素子12の実起電圧Vtaと温度との関係を表した図である。ここでいう熱電変換素子12の実起電圧Vtaとは、熱電変換素子12に電流が流れていないときに、正極として機能するp型半導体部12b側の端部と、負極として機能するn型半導体部12a側の端部との間に生じる電位差である起電圧(起電力)Vtの検出値のことである。より具体的には、図3に示す関係は、n型半導体部12aとp型半導体部12bとの間で温度差が生じない態様で熱電変換素子12を加熱していった際に生じる起電圧の温度特性を表している。なお、実起電圧Vtaが生じる温度範囲は、熱電変換素子の構造によって異なるものとなる。
図3に示すように、熱電変換素子12を温度T0以上に加熱することによって、実起電圧Vtaが生じる。より具体的には、熱電変換素子12の温度が高くなるにつれ、実起電圧Vtaが上昇していく。この関係から分かるように、熱電変換素子12の起電圧は温度に依存する。図3に示すように温度上昇に伴って実起電圧Vtaが高くなる理由は、供給熱量の増加によって、バンドギャップエネルギが相対的に低い真性半導体部12cにおいて励起できる電子および正孔の数が増えるためであると考えられる。また、図3に示すように、実起電圧Vtaは、ある温度T1においてピーク値を示し、温度T1よりも熱電変換素子12をさらに昇温させると、実起電圧Vtaが低下していく。その理由は、熱電変換素子12の温度が高くなると、真性半導体部12cのみならずn型半導体部12aおよびp型半導体部12bにおいても電子および正孔の熱励起が生じることが影響していると考えられる。
[実施の形態1における熱電変換モジュールの適用部位]
上述の構成を有する熱電変換素子12を発熱機器の排熱が伝わる部位に配置することで、発電が可能となる。ただし、熱電変換素子12は、上記部位への配置においては単独で使用されることはなく、他の部品(例えば、電極)とともに構成する熱電変換モジュールの形態で使用される。すなわち、ここでいう熱電変換モジュールとは、半導体単結晶とそれを熱電変換素子として機能させるための部品(例えば、電極)とが1つの装置としてまとまったものを意味する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る発電装置10が備える熱電変換モジュール14の構成を模式的に示す図である。本実施形態の熱電変換モジュール14は、一例として、内燃機関を備える車両に適用されている。本実施形態では、内燃機関が上記の発熱機器に相当する。より詳細には、内燃機関は、作動時に熱を発生する発熱機器である。
より具体的には、熱電変換モジュール14は、図4に示すように、内燃機関の排気管16の外表面16aに取り付けられている。熱伝導により排気管16の内側から外側へ伝わった熱は、外表面16aに取り付けられた熱電変換モジュール14によって吸熱されて電力に変換される。すなわち、熱電変換モジュール14によれば、発熱機器である内燃機関の排熱を電力として回収することができる。なお、本発明に係る熱電変換モジュールの適用部位は、発熱機器の排熱が伝わる部位であれば特に限定されない。すなわち、熱電変換モジュール14が一例として車両に適用される場合、熱電変換モジュール14は、内燃機関以外に、トランスミッション、バッテリ、ブレーキ装置などの作動時に熱が発生する発熱機器に対して取り付けられてもよい。後述の実施の形態6、7のように、発熱機器の排熱を回収した排熱回収流体が流れる流路中に設置することもできる。
[熱電変換モジュールの構成]
図5は、図4に示す熱電変換モジュール14の内部構造を模式的に示す部分透視図である。なお、図5(後述の図14、16、17、20も同様)においては、熱電変換素子12の配置を分かり易く図示するために、n型半導体部12aとp型半導体部12bとを色分けして区別している。真性半導体部12cは、色分けされたn型半導体部12aとp型半導体部12bとの間に位置している。
図5に示すように、熱電変換モジュール14は、複数の熱電変換素子12を備えている。より具体的には、熱電変換モジュール14は、複数の熱電変換素子12の積層体である素子積層体18を備えている。素子積層体18では、隣り合う熱電変換素子12が電極20を介して直列に接続されている。電極20としては、例えば、電気抵抗率の低い銅などの金属材料を用いることができる。より詳細には、電極20間の電位差をできるだけ確保しつつ電流を円滑に流せるようにするために、電極20は、一方の熱電変換素子12のn型半導体部12aにおける真性半導体部12cと反対側の端部12ae(図1参照)と、他方の熱電変換素子12のp型半導体部12bにおける真性半導体部12cと反対側の端部12be(図1参照)とを接続している。すなわち、電極20は、バンドギャップエネルギが最も高い部位同士を接続している。
素子積層体18は、ケーシング22(図5では、一部の壁22aのみ図示)の中に収められている。ケーシング22は、図示省略する取り付け具を用いて排気管16の外表面16aに取り付けられている。ケーシング22は高い熱伝導性を有し、また、外部と内部とを絶縁している。本実施形態では、複数の熱電変換素子12および電極20(すなわち、素子積層体18)と、それらを収容するケーシング22とによって熱電変換モジュール14が構成されている。素子積層体18の各熱電変換素子12には、排気管16からの熱がケーシング22の壁22aを介して伝えられる。ただし、熱電変換モジュール14が設置される環境によっては、ケーシング22を省略することも可能である。
なお、図5に示す熱電変換モジュール14が備える熱電変換素子12の数は、あくまでも一例にすぎない。より多くの熱電変換素子12が直列もしくは並列に接続されていてもよいし、熱電変換素子12が十分な発電能力を有しているのであれば単数でもよい。つまり、熱電変換モジュール14を構成する熱電変換素子12の個数は、熱電変換モジュール14に要求される発電電力と、熱電変換素子12の1個当たりの発電電力とによって決まる。
[発電装置の構成]
上述の熱電変換モジュール14を機能させるための装置が発電装置10である。図4、5に示すように、本実施形態の発電装置10は、熱電変換モジュール14を含む電気回路24と、電子制御ユニット(ECU)26とを備えている。熱電変換モジュール14から電力を取り出すための導線28は、素子積層体18の両端に位置する熱電変換素子12から引き出されている。
上記の導線28が外部の負荷機器30に接続されて電気回路24が構成されることにより、熱の入力を受けた熱電変換モジュール14による発電が開始される。繰り返しの説明になるが、熱電変換素子12による発電には温度差は必要としないため、熱電変換モジュール14は温度差のない環境に置かれても熱の入力があれば発電する。既述した熱電変換素子12の発電原理によれば、p型半導体部12bが正極として機能し、n型半導体部12aが負極として機能する。このため、発電により生じた起電圧による電流の流れ方向は、図5に示すようにp型からn型となる。
負荷機器30は電力を消費する機器である。負荷機器30としては、例えば、車両に搭載された電装部品(例えば、灯火類またはエアコン)、電動モータ、または、電力を蓄えるバッテリが該当する。電気回路24には、当該電気回路24を開閉するスイッチ32が接続されている。スイッチ32の開閉は、ECU26により制御され、これにより、電気回路24を流れる電流のオン/オフが切り替えられる。なお、スイッチ32に加え、電流調整器(例えば、可変抵抗)が負荷機器30と直列に接続されてもよい。このような電流調整器によれば、可変抵抗の抵抗値を変化させることで、電気回路24に流れる電流、つまり、熱電変換モジュール14から電気回路24に印加される電流を可変にすることができる。このため、熱電変換モジュール14から負荷機器30に供給される電力をより詳細に制御できるようになる。
ECU26は、少なくとも1つのメモリ26aと少なくとも1つのプロセッサ26bとを有する。メモリ26aには、排熱回収制御に用いるプログラムおよびマップを含む各種のデータが記憶されている。メモリ26aからプログラムを読み出してプロセッサ26bで実行することにより、ECU26による排熱回収制御に関係する機能が実現される。
[異常検出装置の構成]
以上説明した熱電変換素子12を利用する発電装置10によれば、温度差を必要とせずに発電を行うことができる。このような発電装置10では、熱電変換素子12または電極20などの構成部品に異常が生じると、意図した発電電力を発揮させられなくなる可能性がある。そこで、本実施形態のシステムは、発電装置10の異常検出を行う異常検出装置40を備えている。異常検出装置40は、上述のECU26と、複数の温度センサ(例えば、熱電対)34と、複数の電圧センサ36と、電流センサ38とを備えている。すなわち、ECU26は、排熱回収制御に関する制御装置に該当するだけでなく、異常検出装置40の主たる構成要素としても機能する。なお、排熱回収制御に用いられるECUと、異常検出装置40が備えるECUとは別体であってもよい。
[熱電変換素子の3点の温度取得(検出または推定)]
図6は、各熱電変換素子12における温度取得の対象部位を説明するための図である。各熱電変換素子12の温度取得は、図6中に丸印で示す3点を対象として行われる。この3点の温度は、バンドギャップエネルギの最も低い部位である真性半導体部12cの温度Ti、n型半導体部12aの端面12aesの温度Tn、および、p型半導体部12bの端面12besの温度Tpのことである。
上述の複数の温度センサ34は、熱電変換モジュール14の各熱電変換素子12における上記3点の温度を検出または推定するために備えられている。より詳細には、図5に示すように、温度センサ34は、各熱電変換素子12の真性半導体部12cの表面に取り付けられている。また、温度センサ34は、各電極20にも取り付けられている。金属である電極20は高い熱伝導性を有している。そこで、図5に示す例では、電極20を介して隣り合う(すなわち、素子積層体18の両端に位置するn型半導体部12aまたはp型半導体部12b以外の)n型半導体部12aおよびp型半導体部12bのそれぞれの端面12aesまたは12besの温度Tn、Tpは、電極20の温度と等しい値として推定される。さらに、温度センサ34は、素子積層体18の両端に位置するn型半導体部12aまたはp型半導体部12bの端部12aeまたは12beにも取り付けられている。
また、上述の複数の電圧センサ36は、熱電変換素子12の両端の電圧を検出するものであり、素子積層体18の各熱電変換素子12に対して設置されている(ただし、図5においては、1つの電圧センサ36のみを図示)。電流センサ38は、電気回路24を流れる電流を検出する(図5のみに図示)。
図7は、素子端面と垂直な方向(以下、便宜上、距離L1を利用して「L1方向」と称する)における熱電変換素子12内の温度分布とバンドギャップエネルギの分布とを表した図である。図7に示す温度分布は、真性半導体部12cの温度Tiが相対的に高くなっている例を示している。熱電変換素子12内のバンドギャップエネルギの分布は、図2(A)および図2(B)の説明と整合したものである。より詳細には、本発明で用いられる熱電変換素子12のバンドギャップエネルギの分布は、熱電変換素子12の具体的な構造に応じて定まるものである。しかしながら、バンドギャップエネルギが真性半導体部12cにおいて最も低く、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bにおいて最も高くなるという基本的な特性は熱電変換素子12の構造によらずに共通である。
熱電変換素子12の実起電圧Vtaは、図3を参照して説明したように、熱電変換素子12の温度に依存する。ただし、実起電圧Vtaは、バンドギャップエネルギの分布が変わると(すなわち、L1方向の各位置でのバンドギャップエネルギの値が変わると)変化する。より具体的には、ある同一温度の下では、バンドギャップエネルギが低いほど、上述した電子の熱励起が促進される。上述の発電原理によれば、真性半導体部12cに関しては、バンドギャップエネルギが低いことは実起電圧Vtaを高めるように作用する。一方、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bの端面12aesまたは12besに関しては、バンドギャップエネルギが低いことは実起電圧Vtaの生成を抑制するように作用する。
以上のことから、熱電変換素子12の実起電圧Vtaは、L1方向の温度分布およびバンドギャップエネルギの分布に応じて定めることが分かる。バンドギャップエネルギの分布に関しては、上述のように、熱電変換素子12(半導体単結晶)の構造に応じて定まるので、事前に把握することができる。温度分布は、図7に示すように、Ti、Tn、Tpの3点の温度が分かれば、図7中に破線で示すように近似的に把握することができる。
そこで、本実施形態では、熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpと起電圧Vtとの関係を定めたマップを利用して、これらの3点の温度から起電圧Vtの推定値(以下、「推定起電圧Vte」と称する)が算出される。推定起電圧Vteは、ある3点の温度Ti、Tn、Tpの下で発揮するであろう起電圧Vtの設計値に相当する。
図8は、推定起電圧Vteの算出に用いるマップのイメージ図である。このマップは、3点の温度Ti、Tn、Tpをそれぞれマップ軸として用いて推定起電圧Vteを算出するものである。図8は、このマップを温度Tiと推定起電圧Vteとを軸として2次元的に表したものである。図8には、3点の温度Ti、Tn、Tpによって特定される推定起電圧Vteの2つのマップ値が例示的に表されている。このようなマップは、上記3点の温度を変化させつつ、熱電変換素子12の実起電圧Vtaを実験的に計測することで事前に取得することができる。また、このような手法で取得されることで、マップには、用いられる熱電変換素子12のバンドギャップエネルギの分布(図7参照)の影響が考慮されることになる。
さらに付け加えると、上記マップに用いられる3つの温度測定点は、熱電変換素子12内においてバンドギャップエネルギが最も低くなる部位(真性半導体部12c)とバンドギャップエネルギが最も高くなる2つの部位(端面12aes、12bes)であり、何れも実起電圧Vtaの生成に特に影響が大きい部位である。このため、このような3点の温度Ti、Tn、Tpを利用することで、熱電変換素子12内の温度分布を正確に把握できるので、推定起電圧Vteを精度良く推定できるようになる。なお、3点の温度Ti、Tn、Tpと推定起電圧Vteとの関係は、マップとして規定されたものに限られず、例えば、計算式として規定されていてもよい。
[公知の異常検出手法の課題]
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子のための異常検出手法として、次のような手法が知られている。すなわち、ゼーベック効果を利用した熱電変換素子を備える発電装置では、熱電変換素子の両端に対して積極的に温度差を与えることによって起電圧が生成される。このため、このような公知の発電装置では、熱電変換素子における高温側の端部と低温側の端部の2点の温度を取得すれば、熱電変換素子、さらには熱電変換モジュールの起電圧を推定することができる。そして、推定された起電圧を、計測された実起電圧と比較することで、発電装置の異常検出が可能となる。
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子では、両端の温度が等しい環境下では発電が行われない。このため、上記の公知の推定手法によれば、両端の温度が等しい環境下では、起電圧はゼロとして推定されることになる。一方、本実施形態の熱電変換素子12では、ゼーベック効果を利用する熱電変換素子とは発電原理が異なり、両端の温度Tn、Tpが同じ場合であっても、上記図3に示すように熱電変換素子12の温度次第では発電が可能となる。したがって、公知の推定手法は、両端の温度が等しい環境下において、熱電変換素子12の起電圧Vtを正しく推定することができないといえる。
これに対し、図6〜図8を参照して説明した本実施形態の手法によれば、3点の温度Ti、Tn、Tpを利用して推定起電圧Vteが算出される。このため、本実施形態の発電原理に従う熱電変換素子12(熱電変換モジュール14)を用いる発電装置10において、推定起電圧Vteを精度良く算出することができる。
[実施の形態1の具体的な異常検出処理]
図9は、本発明の実施の形態1に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンの処理は、発熱機器(内燃機関)からの熱の供給を受けて熱電変換モジュール14が発電を行える温度状況下において開始される。また、本ルーチンの処理は、熱電変換モジュール14が備える熱電変換素子12毎に実行されるものとする。
図9に示すルーチンでは、ECU26は、まず、判定対象の熱電変換素子12の3点の温度(真性半導体部12cのTi、n型半導体部12aの端面12aesの温度Tn、および、p型半導体部12bの端面12besの温度Tp)を取得する(ステップ100)。より詳細には、上記3点の温度は、温度センサ34が取り付けられた部位であれば温度センサ34を用いて検出される。また、電極20に隣り合う端面12aes、12besの温度Tn、Tpは、温度センサ34を用いて検出される電極20の温度と同じ値として推定される。なお、電極20に隣り合う端面12aesおよび12besの温度Tn、Tpは、異なる温度センサ34でそれぞれ検出されてもよい。
次に、ECU26は、判定対象の熱電変換素子12の推定起電圧Vteを算出する(ステップ102)。ECU26には、図8を参照して説明したようなマップが記憶されている。ステップ102では、そのようなマップを参照して、ステップ100にて取得された3点の温度に対応する推定起電圧Vteが算出される。
次に、ECU26は、判定対象の熱電変換素子12の実起電圧Vtaを検出する(ステップ104)。実起電圧Vtaは、例えば、スイッチ32が開放された状態で電圧センサ36を用いて検出することができる。
次に、ECU26は、ステップ102および104にて取得された推定起電圧Vteと実起電圧Vtaとの差(Vte−Vta)の絶対値が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップ106)。この閾値は、推定起電圧Vteと実起電圧Vtaとの誤差として想定される値の上限として事前に決定された値である。本実施形態では、ステップ106の処理により、推定起電圧Vteに対する実起電圧Vtaの乖離の度合いが第1所定値以上であるか否かが判定される。なお、この乖離の度合いが第1所定値以上であるか否かの判定は、推定起電圧Vteと実起電圧Vtaとの差を利用したものに限られず、例えば、推定起電圧Vteに対する実起電圧Vtaの比を所定の閾値と比較することで行われてもよい。このことは、後述のステップ204、308および404の判定についても同様である。
ECU26は、ステップ106の判定が成立する場合、つまり、上記の起電圧の差(Vte−Vta)の絶対値が上記閾値以下である場合には、判定対象の熱電変換素子12に異常は発生していないと判定する(ステップ108)。なお、本ルーチンの処理を熱電変換モジュール14が備えるすべての熱電変換素子12に対して実行した結果として、何れの熱電変換素子12にも異常が認められなかった場合には、発電装置10に異常が発生していないと判定することができる。
一方、ECU26は、ステップ106の判定が不成立となる場合、つまり、上記の起電圧の差(Vte−Vta)の絶対値が上記閾値よりも大きい場合には、判定対象の熱電変換素子12に異常が生じていると判定する(ステップ110)。この場合には、発電装置10の異常が検出される。
以上説明した図9に示すルーチンの異常検出処理によれば、熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpに基づく推定起電圧Vteに対して、実起電圧Vtaが誤差として想定される範囲を超えて乖離している場合には、判定対象の熱電変換素子12に異常が生じていることを理由として、発電装置10の異常が検出される。以上説明したように、上記3点の温度に基づく推定起電圧Vteを利用する異常検出処理によれば、温度差がなくても発電が可能な熱電変換素子12を備える発電装置10の異常を精度良く検出できるようになる。
なお、上述した実施の形態1においては、ECU26がステップ100の処理を実行することにより本発明における「温度取得手段」が実現されており、ECU26がステップ102の処理を実行することにより本発明における「推定出力算出手段」が実現されており、ECU26がステップ104の処理を実行することにより本発明における「実出力検出手段」が実現されており、そして、ECU26がステップ106〜110の処理を実行することにより本発明における「異常検出手段」が実現されている。また、n型半導体部12aの端面12aesの温度Tnが本発明における「n型端部温度」に相当し、p型半導体部12bの端面12besの温度Tpが本発明における「p型端部温度」に相当し、真性半導体部12cの温度Tiが本発明における「真性部温度」に相当し、ステップ106の処理による判定が本発明における「第1判定」に相当している。さらに付け加えると、n型端部温度は、端部12ae(すなわち、端面12aesおよびその近傍の部位)の温度であれば、必ずしも端面12aesの温度Tnに限られない。このことは、p型端部温度についても同様である。また、熱電変換素子12の3点の温度を取得するために、上記温度センサ34に代え、例えば、サーモビュアが用いられてもよい。
実施の形態2.
次に、図10および図11を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2に係る異常検出処理も、実施の形態1と同様に発電装置10を対象としている。また、実施の形態2の異常検出装置のハードウェア構成は、実施の形態1の異常検出装置40のそれと同じである。このことは、後述の実施の形態3、4も同様である。
[実施の形態2の具体的な異常検出処理]
熱電変換モジュール14が備える各熱電変換素子12の内部抵抗の値は、経年的に変化することがある。内部抵抗の値が変化すると、熱電変換素子12により発電された電力(発電電力)が変化し、これに伴い、熱電変換モジュール14の発電電力も変化する。なお、本明細書でいう発電電力とは、熱電変換素子12もしくは熱電変換モジュール14から外部に取り出された電力を意味する。すなわち、熱電変換素子12の内部抵抗によって消費された電力は、熱電変換素子12の発電電力には含まれないものとする。このことは、熱電変換モジュール14についても同様である。
内部抵抗の変化に伴って熱電変換素子12の発電電力が変化すると、実起電圧Vtaは正常範囲内にあっても、実際に発電された電力(以下、「実発電電力Pta」と称する)は正常範囲から外れる可能性がある。そこで、本実施形態では、素子単位で実発電電力Ptaを推定発電電力Pteと比較することによって、発電装置10の異常検出を行うこととした。ここでいう推定発電電力Pteとは、熱電変換素子12の上述の3点の温度Ti、Tn、Tpに基づく推定起電圧Vteから推定される発電電力のことである。
図10は、本発明の実施の形態2に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。図10に示すルーチン中のステップ100、102、108および110の処理については、実施の形態1において既述した通りである。
図10に示すルーチンでは、ECU26は、ステップ102における推定起電圧Vteの算出に続いて、判定対象の熱電変換素子12の推定発電電力Pteを算出する(ステップ200)。ここで、図11は、発電装置10の等価回路を示す図である。図11に示すように、発電装置10の等価回路は、電圧値Vmを有する直流電源42と、それに直列に接続された2つの抵抗44、46とによって表される。直流電源42の電圧値Vmは、熱電変換モジュール14の起電圧を表している。
図11において、抵抗44は外部抵抗であり、発電装置10では負荷機器30の負荷抵抗に相当する。抵抗値Roは外部抵抗(負荷抵抗)44の抵抗値を表している(以下、「外部抵抗値Ro」と称する)。抵抗46は熱電変換モジュール14の内部抵抗であり、抵抗値Rimは内部抵抗46の抵抗値を表している(以下、「内部抵抗値Rim」と称する)。また、図11において、外部抵抗44に印加される電圧の値はVoで表され、内部抵抗46に印加される電圧の値はVimで表され、電気回路24に流れる電流の値はIで表されている。なお、電気回路24上に負荷機器30と直列で可変抵抗を備える場合には、可変抵抗の抵抗値と抵抗値Roとの和が外部抵抗値となる。
図11に示す等価回路では、内部抵抗46に印加される電圧の値Vimは、以下の式(2)のように起電圧値Vmと内部抵抗値Rimと外部抵抗値Roとによって表される。また、発電電力(すなわち、熱電変換モジュール14で発電されて外部に取り出される電力)Pmは、外部抵抗44に印加される電圧の値Voと電流値I(=Vim/Rim)との積である。発電電力Pmは、式(1)の関係を利用して、以下の式(2)のように起電圧値Vmと内部抵抗値Rimと外部抵抗値Roとによって表すことができる。式(2)において、内部抵抗値Rimは、熱電変換モジュール14の構造で定まる既知の値である。外部抵抗値Roは、負荷機器30の作動状態によって決まる所与値である。
Figure 0006443461

Figure 0006443461
熱電変換モジュール14では、各熱電変換素子12が直列に接続されている。このため、熱電変換モジュール14の推定起電圧をVmeとし、かつ、熱電変換モジュール14が備える熱電変換素子12の数をNとしたとき、個々の熱電変換素子12の推定起電圧Vteは、推定起電圧Vmeを素子数Nで除することで得られる。また、個々の熱電変換素子12の内部抵抗値Ritは、熱電変換モジュール14の内部抵抗値Rimを素子数Nで除することで得られる。そして、熱電変換モジュール14の推定発電電力をPmeとしたとき、各熱電変換素子12の推定発電電力Pteは、推定発電電力Pmeを素子数Nで除することで得られる。したがって、各熱電変換素子12の推定発電電力Pteは、熱電変換モジュール14に対する上記の式(2)の関係を変形することで、以下の式(3)のように表すことができる。なお、式(3)においては、熱電変換モジュール14の各電極20の抵抗値は考慮されていない。これに対し、推定発電電力Pteの算出精度の向上のために、各電極20の抵抗値を考慮してもよい。
Figure 0006443461
ステップ200では、判定対象の熱電変換素子12の推定発電電力Pteが式(3)を用いて算出される。この算出に用いられる推定起電圧Vteの値はステップ100の処理による算出値である。熱電変換素子12の内部抵抗値Ritおよび素子数Nは既知の値である。外部抵抗値(負荷抵抗値)Roの検出手法に限定はない。外部抵抗値Roを検出する1つの方法は、負荷機器30にかかる電圧と負荷機器30に流れる電流とをそれぞれ測定し、それらの測定値から計算することである。別の方法として、負荷機器30の作動状態ごとに外部抵抗値を測定し、その測定結果に基づいて作成された、負荷機器30の作動状態と外部抵抗値とを関連付けるマップをメモリに記憶しておくことである。
次に、ECU26は、判定対象の熱電変換素子12の実発電電力Ptaを検出する(ステップ202)。実発電電力Ptaの検出手法についても限定はない。一例として、ステップ202では、熱電変換素子12の両端の電圧が、スイッチ32を閉じた状態(すなわち、熱電変換素子12が発電を行っている状態)で電圧センサ36を用いて測定される。また、熱電変換素子12に流れる電流の値Iが電流センサ38によって測定される。そのうえで、実発電電力Ptaはそれらの測定値の積として算出される。
次に、ECU26は、ステップ200および202にて取得された推定発電電力Pteと実発電電力Ptaとの差(Pte−Pta)の絶対値が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップ204)。この閾値は、推定発電電力Pteと実発電電力Ptaとの誤差として想定される値の上限として事前に決定された値である。本実施形態では、ステップ204の処理により、推定発電電力Pteに対する実発電電力Ptaの乖離の度合いが第2所定値以上であるか否かが判定される。
ECU26は、ステップ204の判定が成立する場合、つまり、上記の発電電力の差(Pte−Pta)の絶対値が上記閾値以下である場合には、判定対象の熱電変換素子12に異常は発生していないと判定する(ステップ108)。一方、ECU26は、ステップ204の判定が不成立となる場合、つまり、上記の発電電力の差(Pte−Pta)の絶対値が上記閾値よりも大きい場合には、判定対象の熱電変換素子12に異常が生じていると判定する(ステップ110)。この場合には、発電装置10の異常が検出される。
以上説明した図10に示すルーチンの異常検出処理によれば、熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpに基づく推定起電圧Vteから推定される推定発電電力Pteに対し、実発電電力Ptaが誤差として想定される範囲を超えて乖離している場合には、判定対象の熱電変換素子12に異常が生じていることを理由として、発電装置10の異常が検出される。また、このような手法によれば、熱電変換素子12の実起電圧Vtaは正常であっても内部抵抗値Ritが経年的に変化していることを理由として意図した実発電電力Ptaが発揮されていない異常を精度良く検出できるようになる。
ところで、熱電変換素子12の起電圧Vtに着目した実施の形態1の異常検出処理と、熱電変換素子12の発電電力Ptに着目した実施の形態2の異常検出処理とは、何れか一方が単独で実施されるのではなく、これらの処理の両方が順に実施されてもよい。これらの処理による判定の一方もしくは両方が成立する場合に、発電装置10の異常を検出してもよい。また、両方の異常検出処理を実施することで、発電装置10の異常が、実起電圧Vtaを要因とするのか、あるいは、内部抵抗値Ritを含めて実起電圧Vta以外を要因とするのかを判別することも可能となる。
また、上述した実施の形態1および2においては、熱電変換モジュール14が備えるすべての熱電変換素子12に関して、熱電変換素子12毎に異常検出が行われる例を挙げた。しかしながら、熱電変換素子を実行単位とする異常検出処理は、必ずしも熱電変換モジュールが備えるすべての熱電変換素子を対象として実行されなくてもよく、全部ではない1つまたは複数の熱電変換素子を対象として実行されてもよい。
なお、上述した実施の形態2においては、ECU26がステップ100の処理を実行することにより本発明における「温度取得手段」が実現されており、ECU26がステップ102および200の処理を実行することにより本発明における「推定出力算出手段」が実現されており、ECU26がステップ202の処理を実行することにより本発明における「実出力検出手段」が実現されており、そして、ECU26がステップ108、110および204の処理を実行することにより本発明における「異常検出手段」が実現されている。また、ステップ204の処理による判定が本発明における「第2判定」に相当している。
実施の形態3.
次に、図12を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
[実施の形態3の具体的な異常検出処理]
本実施形態に係る異常検出処理は、「起電圧V」を利用する点において実施の形態1と共通している。ただし、本実施形態に係る異常検出処理は、以下に図12を参照して説明する手法で、個々の熱電変換素子12ではなく熱電変換モジュール14の全体を判定対象としてモジュール単位で実行される。
図12は、本発明の実施の形態3に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンの処理も、図9に示すルーチンと同様に、発熱機器(内燃機関)からの熱の供給を受けて熱電変換モジュール14が発電を行える温度状況下において開始される。
図12に示すルーチンでは、ECU26は、まず、熱電変換モジュール14のすべての熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpを取得する(ステップ300)。これらの3点の温度の具体的な取得手法は、ステップ100と同じである。
次に、ECU26は、すべての熱電変換素子12の推定起電圧Vteを順番に算出する(ステップ302)。具体的には、各熱電変換素子12の推定起電圧Vteが、ステップ102と同様に上記3点の温度と推定起電圧Vteとの関係を定めたマップを用いて順番に算出される。
次に、ECU26は、熱電変換モジュール14の推定起電圧Vmeを算出する(ステップ304)。熱電変換モジュール14は複数の熱電変換素子12を直接に接続して得られたものである。このため、熱電変換モジュール14の推定起電圧Vmeは、ステップ302にて取得したすべての熱電変換素子12の推定起電圧Vteを足し合わせることにより算出される。なお、上述の推定起電圧Vmeの算出には各電極20での電圧降下が考慮されていない。しかしながら、より精度の良い異常検出を行うために、推定起電圧Vmeは各電極20での電圧降下を考慮して算出されてもよい。
次に、ECU26は、熱電変換モジュール14の実起電圧Vmaを検出する(ステップ306)。実起電圧Vmaは、例えば、スイッチ32が開放された状態で個々の熱電変換素子12毎の両端の電圧を電圧センサ36を用いて検出し、得られた検出値を足し合わせることによって検出することができる。あるいは、素子積層体18の両端の電圧を検出する電圧センサを備え、スイッチ32が開放された状態で当該電圧センサによって検出される電圧の値が実起電圧Vmaとして用いられてもよい。
次に、ECU26は、ステップ304および306にて取得された推定起電圧Vmeと実起電圧Vmaとの差(Vme−Vma)の絶対値が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップ308)。この閾値は、推定起電圧Vmeと実起電圧Vmaとの誤差として想定される値の上限として事前に決定された値である。本実施形態では、ステップ308の処理により、推定起電圧Vmeに対する実起電圧Vmaの乖離の度合いが第1所定値以上であるか否かが判定される。
ECU26は、ステップ308の判定(|Vme−Vma|≦閾値)が成立する場合には、熱電変換モジュール14に異常が生じておらず、このため、発電装置10に異常が発生していないと判定する(ステップ310)。一方、ECU26は、ステップ308の判定(|Vme−Vma|≦閾値)が不成立となる場合には、熱電変換モジュール14に異常が生じており、このため、発電装置10に異常が生じていると判定する(ステップ312)。
以上説明した図12に示すルーチンの異常検出処理によれば、各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpに基づく推定起電圧Vteから熱電変換モジュール14の推定起電圧Vmeが算出される。このように、上記3点の温度に基づいて算出される推定起電圧Vmeに対する実起電圧Vmaの誤差を評価することにより、図1〜図3に示す構成の熱電変換素子12を利用する発電装置10において、熱電変換モジュール14の異常に起因する発電装置10の異常を精度良く検出することができる。
なお、上述した実施の形態3においては、ECU26がステップ300の処理を実行することにより本発明における「温度取得手段」が実現されており、ECU26がステップ302および304の処理を実行することにより本発明における「推定出力算出手段」が実現されており、ECU26がステップ306の処理を実行することにより本発明における「実出力検出手段」が実現されており、そして、ECU26がステップ308〜312の処理を実行することにより本発明における「異常検出手段」が実現されている。また、ステップ308の処理による判定が本発明における「第1判定」に相当している。
実施の形態4.
次に、図13を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
[実施の形態4の具体的な異常検出処理]
実施の形態3に対する本実施形態の位置付けは、実施の形態1に対する実施の形態2の位置付けと同様である。すなわち、本実施形態に係る異常検出処理は、熱電変換モジュール14の全体を対象として、熱電変換モジュール14の推定発電電力Pmeと実発電電力Pmaとを比較することにより実行される。
図13は、本発明の実施の形態4に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。図13に示すルーチン中のステップ300〜304、310および312の処理については、実施の形態3において既述した通りである。
図13に示すルーチンでは、ECU26は、ステップ304における推定起電圧Vmeの算出に続いて、熱電変換モジュール14の推定発電電力Pmeを算出する(ステップ400)。推定発電電力Pmeは、推定起電圧Vme、外部抵抗値Ro、および内部抵抗値Rimを上記の式(2)の右辺に代入することで算出される。外部抵抗値Roは、ステップ200のために上述した手法で検出することができる。推定起電圧Vmeはステップ304の処理による算出値である。熱電変換モジュール14の内部抵抗値Rimは既知の値である。
次に、ECU26は、熱電変換モジュール14の実発電電力Pmaを検出する(ステップ402)。実発電電力Pmaの検出手法についても限定はない。一例として、ステップ402では、スイッチ32が閉じた状態ですべての熱電変換素子12の両端の電圧が電圧センサ36を用いて測定されたうえで足し合わされる。これにより、発電中の熱電変換モジュール14(素子積層体18)の両端電圧値が検出される。この両端電圧値は、素子積層体18の両端の電圧を検出する電圧センサを用いて検出されてもよい。また、熱電変換モジュール14に流れる電流の値Iが電流センサ38によって測定される。そのうえで、実発電電力Pmaは熱電変換モジュール14の両端電圧値と電流値Iとの積として算出される。
次に、ECU26は、ステップ404の判定を実行し、その判定結果に応じて、熱電変換モジュール14の異常に起因する発電装置10の異常の有無を判定する(ステップ310、312)。ステップ404では、ステップ400および402にて取得された推定発電電力Pmeと実発電電力Pmaとの差(Pme−Pma)の絶対値が所定の閾値以下であるか否かが判定される。この閾値は、推定発電電力Pmeと実発電電力Pmaとの誤差として想定される値の上限として事前に決定された値である。本実施形態では、ステップ404の処理により、推定発電電力Pmeに対する実発電電力Pmaの乖離の度合いが第2所定値以上であるか否かが判定される。
以上説明した図13に示すルーチンの異常検出処理によれば、各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpに基づく推定起電圧Vteから熱電変換モジュール14の推定発電電力Pmeが算出される。このように、上記3点の温度に基づいて算出された推定発電電力Pmeに対する実発電電力Pmaの誤差を評価することにより、図1〜図3に示す構成の熱電変換素子12を利用する発電装置10において、熱電変換モジュール14の異常に起因する発電装置10の異常を精度良く検出することができる。また、熱電変換モジュール14の実起電圧Vmaは正常であっても内部抵抗値Rimが経年的に変化していることを理由として意図した実発電電力Pmaが発揮されていない異常を精度良く検出できるようになる。
ところで、熱電変換モジュール14の起電圧Vmに着目した実施の形態3の異常検出処理と、発電電力Pmに着目した実施の形態4の異常検出処理とは、何れか一方が単独で実施されるのではなく、これらの処理の両方が順に実施されてもよい。
なお、上述した実施の形態4においては、ECU26がステップ300の処理を実行することにより本発明における「温度取得手段」が実現されており、ECU26がステップ302、304および400の処理を実行することにより本発明における「推定出力算出手段」が実現されており、ECU26がステップ402の処理を実行することにより本発明における「実出力検出手段」が実現されており、そして、ECU26がステップ310、312および404の処理を実行することにより本発明における「異常検出手段」が実現されている。また、ステップ404の処理による判定が本発明における「第2判定」に相当している。
実施の形態5.
次に、図14および図15を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
[実施の形態5に係る熱電変換素子の3点の温度Ti、Tn、Tpの推定手法]
図14は、本発明の実施の形態5に係る熱電変換素子12の温度推定手法を説明するための図である。図14では、本実施形態の温度推定手法の適用対象の一例として、上述した発電装置10が表されている。素子積層体18は、より詳細には、電極20を介して3本(一例)の単位積層体18aを折り返すように直列に接続することにより構成されている。
単位積層体18aのそれぞれを構成する1組(一例として4つ)の熱電変換素子12は、ケーシング22の壁22aの表面に1列に並んで設置されている。換言すると、図14の構成では、複数組(一例として3組)の熱電変換素子12がそれぞれ1列に並んで設置されている。図14に示す例では、1列に並んでいる1組の熱電変換素子12は電極20を介して直列に接続されているが、これらは並列に接続されてもよい。また、図14に示す例では、排気管16の外表面16aに設置されたケーシング22の壁22aが本発明における「発熱機器の排熱を伝える熱供給体」に相当する。
本実施形態の異常検出装置50は、複数の温度センサ34に代え、複数の温度センサ52を備えている。すなわち、温度センサ52は、単位積層体18a(1組の熱電変換素子12)の3点の温度Ti、Tn、Tpの合計の数(12点)よりも少ない数(一例として、3つ)だけ備えられている。図14に示すように、これらの温度センサ52は、単位積層体18aの1列と平行な方向(以下、単に「列方向D1」と称する)に沿って並ぶように間隔をあけてケーシング22の壁22aに取り付けられている。より詳細には、温度センサ52は、単位積層体18aに近接した位置において壁22aに取り付けられている。
次に、図14とともに図15を参照して、各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpの推定手法を説明する。図15は、本発明の実施の形態5に係る熱電変換素子12の温度取得処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。このサブルーチンの処理結果は、例えば、実施の形態1〜4で説明した図9、10、12または13に示すルーチンにおけるステップ100または300の処理に利用することができる。
図15に示すサブルーチンでは、ECU26は、まず、熱供給体(ケーシング22の壁22a)の3点の温度を、温度センサ52を用いて検出する(ステップ500)。ここで、図14中の下方のグラフは、個々の単位積層体18aの各部の温度と、単位積層体18aの列方向D1における単位積層体18aの一方の端面からの距離L2との関係を示している。図14中の丸印は、温度センサ52の設置部位と距離L2が同じ位置での単位積層体18aの温度を示している。
本実施形態では、一例として、列方向D1の距離L2が同じ位置における温度センサ52の設置部位と単位積層体18aとの温度差をゼロとみなしている。すなわち、丸印で表された単位積層体18aの温度は、距離L2が同じ位置での温度センサ52の検出値と同じであると推定される。したがって、3つの温度センサ52の検出値を取得することで、これらの検出値に基づいて、列方向D1における3点の丸印の温度以外の各位置での温度(すなわち、単位積層体18aの温度分布)を図14中に破線で示すように把握できるようになる。
ECU26は、ステップ500の処理に続いてステップ502の処理を実行する。ステップ502では、それぞれの単位積層体18a(1組の熱電変換素子12)が備える各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpが、上記温度分布に基づいて次のように推定される。
まず、図14の下方に位置する単位積層体18aの各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpの推定手法を説明する。前提として、ここでは、実施の形態1でも説明したように、電極20の温度およびこれに隣り合う端面12aes、12besの温度Tn、Tpは同じ値であるとみなされている。図14中の四角印は、各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpのうちで、丸印以外の温度に相当する。四角印のそれぞれの温度は、温度分布の近似曲線(図14中の破線)を公知の手法で算出することで、近似曲線と距離L2とを用いて推定することができる。
また、本ステップ502では、図14の上方および中央に位置する残りの単位積層体18aの各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpは、一例として、次のようにして推定される。すなわち、本実施形態では、内部の熱伝導率が一様なケーシング22の壁22aが熱供給体として用いられている。このため、壁22aは、3つの単位積層体18aが並ぶ方向(列方向D1と垂直な方向D2)の位置によらずに、均等な温度になっていると考えることができる。したがって、ケーシング22の壁22a(熱供給体)から個々の単位積層体18aへの熱伝導の条件は同等であるといえる。
そこで、本ステップ502では、図14の上方および中央に位置する単位積層体18aにおける列方向D1の各位置での温度(Ti、TnまたはTp)は、図14の下方に位置する単位積層体18aにおける列方向D1の同じ位置での温度と同じであると推定される。ただし、方向D2の位置によって熱伝導の条件が異なる熱供給体が使用される場合には、例えば、単位積層体18a(1組の熱電変換素子12)毎に1組の熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpの合計の数よりは少ない数で温度センサを備えつつ、本実施形態に従う温度推定を単位積層体18a毎に行ってもよい。
以上説明した本実施形態の異常検出装置50によれば、複数の温度センサ34を備える実施の形態1の異常検出装置40と比べて温度センサ52の数を減らしつつ、各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpを取得できるようになる。
ところで、図14に示す熱電変換モジュール14の構成とは異なり、ケーシング22が省略される熱電変換モジュール構成の場合には、複数組の熱電変換素子12は排気管16の外表面16aに設置されることになる。この構成では、排気管16が上記「熱供給体」に相当する。
なお、上述した実施の形態5においては、ECU26がステップ500および502の処理を実行することにより本発明における「温度取得手段」が実現されている。
実施の形態6.
次に、図16〜図19を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。
[実施の形態6に係る発電装置の構成]
図16は、本発明の実施の形態6に係る発電装置60およびその異常検出装置70の構成を模式的に表した図である。図17は、図16に示す素子積層体66の構成を模式的に表した斜視図である。なお、図16、17において、上記図4、5に示す構成要素と同一の要素については、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図16に示すように、発電装置60が備える熱電変換モジュール62は、発熱機器(一例として、内燃機関)の排熱を回収した排熱回収流体(一例として、排気ガス)が流れる排気流路64に設置されている。熱電変換モジュール62は、素子積層体66とシールド68とを備えている。なお、排熱回収流体は特に限定されるものではないが、内燃機関が発熱機器である例においては、排気ガス以外にも、内燃機関を冷却する冷却水または内燃機関を潤滑するオイルなどが排熱回収流体に該当する。
シールド68は、後述の真性半導体部12cへの集中的な入熱を確保する機能とともに、排気流路64の「流路形成部材」としての機能をも有している。より具体的には、排気流路64は、板状に形成された3枚のシールド68によって、排気ガスが並列に流れるように区画された複数(一例として、2つ)の単位流路64a、64bを備えている。シールド68は、熱電変換素子12の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有している。シールド68の材質としては、例えば、セラミックスを用いることができる。
図16に示すように、素子積層体66は、単位流路64a、64bの延伸方向(排気ガスの流れ方向)D3に垂直な方向D4に並び、かつ、2つの単位流路64a、64bに跨るように設置された複数(一例として、2つ)の熱電変換素子12を1組として、複数組(一例として、9つ)の熱電変換素子12を備えている。ここでは、この1組の熱電変換素子12のことを、単位積層体66aとも称する。本実施形態における個々の単位積層体66aでは、2つの熱電変換素子12が電極20を介して直列に接続されている。
より詳細には、素子積層体66では、一例として、9本の単位積層体66aが、図16および図17に示すように、単位流路64a、64bの延伸方向D3および方向D5(方向D3、D4の双方に垂直な方向)のそれぞれの方向に所定間隔をあけて配置されている。
9組の熱電変換素子12のそれぞれは、図16、17に示すように、真性半導体部12cの表面が排気ガスに曝されるようにしつつシールド(流路形成部材)68によって覆われている。熱電変換素子12の発電原理によれば、バンドギャップエネルギが最も低い真性半導体部12cへの入熱をバンドギャップエネルギが最も高い端部12ae、12be(図1参照)と比べて促進させることで、効果的に起電圧Vtを生成させることができる。熱伝導率の低いシールド68によれば、排気ガスから端部12ae、12beへの伝熱を抑制することができる。したがって、上記の態様でシールド68によって各熱電変換素子12の一部を覆うようにすることで、真性半導体部12cへの集中的な入熱が可能となり、効果的な発電が可能となる。
[実施の形態6に係る異常検出装置の構成]
本実施形態の異常検出装置70は、ECU26と、複数の温度センサ72、74と、電圧センサ76と、電流センサ38(図5と同じ)とを備えている。温度センサ72は、真性半導体部12cの温度Tiを検出するために、単位流路64aおよび64bに1つずつ設置されている。すなわち、温度センサ72は、本発明における「真性部温度センサ」に相当する。図17に示す例では、温度センサ72は、9組の熱電変換素子12のうちで各単位流路64a、64bの最も下流に位置する組(一例として、方向D5の中央に位置する組)の熱電変換素子12のそれぞれに取り付けられている。
温度センサ74は、図16に示すように、熱電変換素子12の温度Tn、Tpを検出するために、3つのシールド68に1つずつ取り付けられている。すなわち、温度センサ74は、本発明における「端部温度センサ」に相当する。より詳細には、一例として、3つの温度センサ74は、排気ガスの流れ方向D3の上流側の3組の熱電変換素子12のうちの1組の熱電変換素子12に接続される電極20にそれぞれ取り付けられている。また、本実施形態では、電圧センサ76は、図17に示すように、熱電変換モジュール62の実起電圧Vmaの検出のために、素子積層体66の両端電圧を検出するように構成されている。なお、熱電変換素子12毎に実起電圧Vtaを検出する場合には、熱電変換素子12毎に電圧センサを備えればよい。
[実施の形態6に係る熱電変換素子の3点の温度Ti、Tn、Tpの推定手法]
まず、真性半導体部12cの温度Tiは、温度センサ72を用いて単位流路64a、64b毎に検出または推定される。より具体的には、温度センサ72が取り付けられた2つの熱電変換素子12の温度Tiについては、温度センサ72の検出値が用いられる。これらの2つの熱電変換素子12以外の熱電変換素子12の温度Tiについては、次のように推定される。すなわち、単位流路64aに曝されるように位置する各真性半導体部12cの温度Tiは、同一の単位流路64aに設置された温度センサ72の検出値と同じであると推定される。また、単位流路64bに関しても同様の推定が行われる。
図16、17に示す熱電変換モジュール62の構成では、各熱電変換素子12の端面12aes、12besは、シールド68によって覆われている。ECU26には、同一のシールド68内に位置する温度センサ74および各端面12aes、12besに関して、温度センサ74の位置での温度と各端面12aes、12besの位置での温度との温度差を示す情報がマップ(図示省略)として記憶されている。この温度差は、シールド68への入熱量に応じて変化する。この入熱量の変化は、温度センサ74により検出される温度に表れる。このため、上記マップでは、温度センサ74の検出温度をパラメータとして、当該検出温度と温度差との関係が事前に定められている。本実施形態では、一例として、このようなマップを参照して、温度センサ74の検出値に基づいて、各端面12aes、12besの温度Tn、Tpが推定される。
以上説明した本実施形態に係る熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpの推定手法は、例えば、実施の形態1〜4で説明した図9、10、12または13に示すルーチンにおけるステップ100または300の処理に利用することができる。
[熱電変換モジュールが流路内に設置される場合の課題と、実施の形態6の構成の効果]
図18は、図17に示す方向D5の位置が同じかつ排気ガスの流れ方向D3に平行に並んだ3組の熱電変換素子12のうちで、単位流路64bに位置する3つの熱電変換素子12の温度Tiについて説明するための図である。図18は、排気ガスの流れ方向(単位流路64a、64bの延伸方向)の中央の熱電変換素子12と下流側の熱電変換素子12との間の部位で異物による詰まりが単位流路64bに生じた例を示している。
上記の詰まりが単位流路64bに生じると、排気ガスが下流側の熱電変換素子12の周りを通過して流れることができなくなる。このため、単位流路64bでは、排気ガスは上流側から中央の熱電変換素子12に向かい、その後に流れの方向が逆転して上流側に逆流するようになる。その結果、図18に示すように、下流側の熱電変換素子12の温度Tiが上がらない状況が生じ得る。その結果、この熱電変換素子12の実起電圧Vtaが上がらない状況が生じ得る。
図19は、図17に示す方向D5の位置が同じかつ排気ガスの流れ方向D3に平行に並んだ3組の熱電変換素子12のうちで、単位流路64a、64bのそれぞれの内部における上流側に位置する2つの熱電変換素子12の温度Tiについて説明するための図である。図19は、異物による詰まりが単位流路64bの入口付近に生じた例を示している。この例では、図19に示すように、詰まりが生じた単位流路64bの熱電変換素子12の温度Tiがもう一方の単位流路64aの温度Tiと比べて上がらない状況が生じ得る。その結果、この熱電変換素子12の実起電圧Vtaが上がらない状況が生じ得る。このことは、上流側の熱電変換素子12だけでなく、単位流路64bにおける中央および下流側の熱電変換素子12の温度Tiについても同様である。
熱電変換モジュール62の各熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpは、できる限り多くの温度センサを用いて検出するようにし、推定される温度の数を減らしてもよい。これにより、図18および図19に示すような詰まりが生じた場合であっても、各熱電変換素子12の上記3点の温度取得の精度を高めることが可能となる。その一方で、搭載する温度センサの数が増えると、異常検出装置の部品点数の増加によりコストが増加してしまう。このため、上記3点の温度取得の精度を確保しつつ、温度センサの数を減らしたいという要求がある。
上記の要求に対し、上述した本実施形態の構成では、温度Tiを検出するための温度センサ72が、単位流路64a、64bに1つずつ設置されている。このため、単位流路64a、64b間で温度センサ72の検出値を比較することにより、図19に示すように単位流路64a、64bの一方に詰まりが生じたことを把握できるようになる。これにより、詰まりの発生の有無を把握しながら、詰まりが生じていない場合には、温度センサ72の数を減らしつつ個々の単位流路64a、64bに設置された熱電変換素子12の温度Tiを検出および推定できるようになる。
さらに、本実施形態の構成では、上記の要求に対し、温度センサ72は、各単位流路64a、64bの最も下流に位置する熱電変換素子12に取り付けられている。このような構成とは異なり、これらの温度センサ72が上流側の熱電変換素子12に取り付けられると、図18に示すような詰まりが生じた場合に、当該詰まりに起因する下流側の熱電変換素子12の温度Tiの変化を捉えられない。これに対し、これらの温度センサ72を各単位流路64a、64bの最も下流に位置する熱電変換素子12に取り付けたことで、単位流路64a、64b間で温度センサ72の検出値を比較することにより、図18に示すような態様での詰まりが生じたことを把握できるようになる。これにより、このような態様での詰まりの有無をも把握しながら、詰まりが生じていない場合には、温度センサ72の数を減らしつつ個々の単位流路64a、64bに設置された熱電変換素子12の温度Tiを検出および推定できるようになる。
ところで、上述した実施の形態6においては、9組の熱電変換素子12のうちで各単位流路64a、64bの最も下流に位置する組の熱電変換素子12のそれぞれに温度センサ72が取り付けられた例を挙げた。しかしながら、当該温度センサ72、すなわち、「真性部温度センサ」は、各単位流路64a、64bの最も下流に位置する組ではなく、他の組(図17に示す例では、上流側もしくは中央に位置する組)の熱電変換素子12のそれぞれに取り付けられてもよい。また、真性部温度センサは、個々の単位流路64a、64bにある熱電変換素子12の全部ではなく一部に設置されるようになっていれば、個々の単位流路64a、64bにある熱電変換素子12の複数に対して設置されてもよい。このような例であっても、個々の単位流路64a、64bにある熱電変換素子12の全部に対して真性部温度センサが設けられる例と比べて、真性部温度センサの数を減らすことができる。
また、上述した実施の形態6においては、排気流路64を区画するための「流路形成部材」に相当するシールド68が3つに分割されている例を挙げた。しかしながら、本発明に係る流路形成部材は、一体的に形成されていてもよい。そして、「端部温度センサ」に相当する温度センサ74の数は、熱電変換モジュール62の各熱電変換素子12の端部12ae、12beを覆う流路形成部材が一体的に(1つの部材として)形成されている場合には、最小で1つであってもよい。
実施の形態7.
次に、図20〜図22を参照して、本発明の実施の形態7について説明する。実施の形態7に係る異常検出処理は、実施の形態6と同様に発電装置60を対象としている。ただし、本実施形態では、後述のステップ610の処理のために熱電変換素子12毎に電圧センサを備えているものとする。
[実施の形態7に係る異常検出装置]
図20は、本発明の実施の形態7に係る異常検出装置80の構成を説明するための図である。本実施形態に係る異常検出装置80は、ヒータ82を追加的に備えている点を除き、実施の形態6に係る異常検出装置70と同様である。図20に示すように、ヒータ82は、一例として排気ガスの流れ方向D3の上流側の端部付近においてシールド68のそれぞれの内部に設置されている。ヒータ82への通電は、ECU26により制御される。
[実施の形態7の具体的な異常検出処理]
図20に示す構成のように熱電変換モジュールが排熱回収流体の流れる流路内に設置された構成では、図4に示す構成のように固体の熱源(排気管16)に熱電変換モジュールが設置されている構成と比べて、発電装置の異常検出に対して外乱として作用する要素が多くなる。具体的には、熱電変換モジュールが流路内に設置されていると、流路の詰まり、または、各熱電変換素子の周りを通過する流体の温度もしくは速度のばらつきなどの外乱の影響を受ける。
本実施形態では、以下に説明する手法を採用することで、異常の要因を切り分けつつ、発電装置60の異常検出が行われる。具体的には、熱電変換モジュール14の異常(個々の熱電変換素子12の異常)と、単位流路64a、64bの異常とが切り分けられる。また、発電装置60の異常検出のための温度検出に関する異常の有無も判定される。
図21は、本発明の実施の形態7に係る異常検出処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。本実施形態では、図21に示すルーチンの実行に先立ち、熱電変換モジュール62が備える個々の熱電変換素子12の異常の有無を検出するために、図9に示すルーチンと同様のルーチン(以下、便宜上、「ルーチンR」と称する)が実行されるものとする。
上記のルーチンRでは、排気ガスからの流れがあり、かつ、排気ガスからの熱の供給を受けて熱電変換モジュール62が発電を行える温度状況下において、発電装置60の異常判定が実行される。なお、ルーチンRのステップ102において推定起電圧Vteを算出するために利用される3点の温度Ti、Tn、Tpの取得手法としては、一例として、実施の形態6で説明した手法を用いることができる。ルーチンRのステップ110において熱電変換素子12の異常検出がなされた場合に、図21に示すルーチンが起動される。
図21に示すルーチンでは、ECU26は、まず、排気ガス(排熱回収流体)の流れがなく、かつ、排気流路64内に滞留する排気ガスの温度が安定している状況であるか否かを判定する(ステップ600)。このような状況は、例えば、内燃機関の運転停止後に所定時間が経過した後に到来する。このため、本ステップ600では、内燃機関の運転停止後にそのような所定時間が経過したか否かが判定される。この判定は、本ルーチンの起動後に当該判定が成立するまで繰り返し実行される。なお、このような所定時間が経過することなく内燃機関が再始動した場合には、今回のルーチンの処理が終了される。
ECU26は、ステップ600の判定が成立した場合には、各ヒータ82への通電を実行する(ステップ602)。ヒータ82が通電されると、シールド68内を熱が伝導する。この熱は、シールド68から各熱電変換素子12にも伝えられる。各ヒータ82の消費電力は、起電圧Vtを生成可能な温度範囲(図3参照)内に各熱電変換素子12の温度を制御できるように決定されている。一例として、図3中に示す温度T1相当に熱電変換素子12が加熱されるように消費電力を決定してもよい。これにより、熱電変換素子12が正常であれば、生成される実起電圧Vtaをピーク値相当にすることができる。これにより、判定対象の値を大きくすることで精度の良い判定が可能となる。
次に、ECU26は、各ヒータ82への通電開始から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ604)。この所定時間は、各ヒータ82への通電開始後に各シールド68および各熱電変換素子12の温度が安定するまでに要する時間として事前に決定されたものである。
ECU26は、ステップ604の所定時間が経過した後に、判定対象の熱電変換素子12の3点の温度Ti、Tn、Tpの検出または推定に用いられる温度センサ72および74のそれぞれの検出値が、ヒータ82による加熱による入熱量に応じた許容範囲にあるか否かを判定する(ステップ606)。
図22は、温度センサの検出値とヒータ82による入熱量との関係を表した図である。図22に示すように、入熱量が大きくなると、温度センサの検出値も大きくなる。3つのヒータ82による熱電変換モジュール62(熱電変換素子12およびシールド68)への入熱量は、ヒータ82の消費電力に基づいて算出することができる。ヒータ82による入熱がなされたときの各温度センサ72、74の検出値の変化は、センサ位置に応じて異なる。このため、ECU26には、図22に示す関係を定めたマップが温度センサ72、74毎に記憶されている。本ステップ606では、対象となる温度センサ72、74毎に上記のようなマップを参照し、温度検出値が許容範囲内にあるか否かが判定される。なお、このような判定は、判定精度向上のために、入熱量を変化させつつ複数の温度検出値を対象として実行されてもよい。
ECU26は、ステップ606の判定が不成立となる場合、つまり、温度センサ72および74の検出値の少なくとも1つが許容範囲から外れた場合には、温度Ti、TnまたはTpの検出に関する異常が生じていると判定する(ステップ608)。付け加えると、温度センサ72、74のうちのどの温度センサの検出値が許容範囲から外れたかを判別することで、温度Tiの検出に関する異常と、温度TnまたはTpの検出に関する異常とを切り分けることができる。
一方、ECU26は、ステップ606の判定が成立する場合には、判定対象の熱電変換素子12の実起電圧Vtaを検出する(ステップ610)。実起電圧Vtaは、例えば、スイッチ32が開放された状態で電圧センサを用いて検出することができる。
次に、ECU26は、ヒータ82による加熱が行われている加熱状態(本発明における「温度調節状態」の一例に相当)における熱電変換素子12の起電圧推定範囲に実起電圧Vtaが収まっているか否かを判定する(ステップ612)。ECU26には、ステップ602の処理に利用されるヒータ82の消費電力を考慮して決定された起電圧推定範囲が記憶されている。
ECU26は、ステップ612の判定が成立する場合、つまり、実起電圧Vtaが上記起電圧推定範囲内に収まっている場合には、判定対象の熱電変換素子12には異常が生じておらず、したがって、発電装置60の異常(ステップ110参照)は、単位流路64a、64bの異常に起因するものであると判定する(ステップ614)。
一方、ECU26は、ステップ612の判定が不成立となる場合、つまり、実起電圧Vtaが上記起電圧推定範囲から外れる場合には、発電装置60の異常(ステップ110参照)は、今回の判定対象の熱電変換素子12の異常に起因するものであると判定する(ステップ616)。
以上説明した図21に示すルーチンによれば、排気ガスの流れがない状態、かつ、ヒータ82による加熱が行われている加熱状態で実起電圧Vtaが評価される。これにより、発電装置60の異常検出に対する外乱を十分に排除しつつ当該異常検出を行えるようになる。
そして、図21に示すルーチンによれば、温度検出に関する異常がない場合(ステップ606の判定が成立する場合)において、実起電圧Vtaが起電圧推定範囲内に収まっている場合には、発電装置60の異常の要因が単位流路64a、64bの異常であると判定される。つまり、排気ガスの流れがある状態でルーチンRにおいて実起電圧Vtaが正常ではないと判定された場合(ステップ110)であっても、図21に示すルーチンにおいて排気ガスの流れの影響が取り除かされた状態で実起電圧Vtaが正常であると判定された場合(ステップ614)には、熱電変換素子12自体には異常はないと考えられる。そこで、この場合には、単位流路64a、64bが異常の要因であると判断することができる。一方、図21に示すルーチンにおいて排気ガスの流れの影響が取り除かされた状態においても実起電圧Vtaが正常ではない場合(ステップ616)には、熱電変換素子12が異常の要因であると考えられる。そこで、この場合には、熱電変換モジュール14(判定対象の熱電変換素子12)が異常の要因であると判断することができる。
以上のように、本実施形態の異常検出処理によれば、異常の要因を切り分けつつ、発電装置60の異常検出を行うことができる。また、ステップ606の判定によれば、発電装置60の異常検出のための温度検出に関する異常の有無についても判定することができる。より詳細には、本実施形態では、温度検出に関する異常があると判定された場合には、ルーチンRにおけるステップ110による発電装置60の異常の要因の判別は行われずに、発電装置60に異常があること、および、温度検出に関する異常があることがそれぞれ検出される。
ところで、上述した実施の形態7においては、推定起電圧Vteと実起電圧Vtaとを比較するルーチンR(図9に示すルーチンと同様のルーチン)の処理と、異常要因の判別のための図21に示すルーチンの処理とを組み合わせた例(熱電変換素子単位の判定例)を挙げた。しかしながら、熱電変換素子単位で判定を行う場合において、図21に示すルーチンの処理は、推定発電電力Pteと実発電電力Ptaとを比較する図10に示すルーチンの処理と組み合わせて異常要因を判別するために、適宜修正されてもよい。さらに、図21に示すルーチンの処理は、熱電変換モジュール単位で推定起電圧Vmeと実起電圧Vmaとを比較する図12に示すルーチンの処理(または推定発電電力Pmeと実発電電力Pmaとを比較する図13に示すルーチンの処理)と組み合わせて異常要因を判別するために、適宜修正されてもよい。なお、発電電力PtまたはPmを利用する場合には、加熱状態における熱電変換素子12または熱電変換モジュール62の「発電電力推定範囲」に実発電電力PtaまたはPmaが収まっているか否かを判定すればよい。
また、上述した実施の形態7においては、本発明に係る「温度調節器」としてヒータ82を利用する例を挙げた。しかしながら、本発明に係る温度調節器は、判定対象の熱電変換素子12が起電圧Vtを生成可能な温度範囲内のある温度で安定的に当該熱電変換素子12を冷却させられるのであれば、ヒータに代えてクーラであってもよい。なお、クーラが用いられる場合には、温度調節状態(安定的な冷却が行われている冷却状態)において、温度センサ72の検出値の少なくとも1つが、クーラによる冷却による出熱量に応じた許容範囲から外れた場合に、温度Tiの検出に関する異常が生じていると判定すればよい。同様に、温度センサ74の検出値の少なくとも1つが上記許容範囲から外れた場合に、温度Tn、Tpの検出に関する異常が生じていると判定すればよい。
なお、上述した実施の形態7においては、ECU26が図21に示すルーチンの一連の処理を実行することにより本発明における「異常検出手段」が実現されている。
ところで、以上説明した各実施の形態の例および他の各変形例は、明示した組み合わせ以外にも可能な範囲内で適宜組み合わせてもよいし、また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形してもよい。
10、60 発電装置
12 熱電変換素子
12a n型半導体部
12ae n型半導体部における真性半導体部と反対側の端部
12aes n型半導体部における真性半導体部と反対側の端面
12b p型半導体部
12be p型半導体部における真性半導体部と反対側の端部
12bes p型半導体部における真性半導体部と反対側の端面
12c 真性半導体部
14、62 熱電変換モジュール
16 排気管
18、66 素子積層体
18a、66a 単位積層体
20 電極
22 ケーシング
24 電気回路
26 電子制御ユニット(ECU)
28 導線
30 負荷機器
32 スイッチ
34、72、74 温度センサ
36、76 電圧センサ
38 電流センサ
40、50、70、80 異常検出装置
42 直流電源
44 外部抵抗(負荷抵抗)
46 熱電変換モジュールの内部抵抗
64 排気流路
64a、64b 単位流路
68 シールド
82 ヒータ

Claims (7)

  1. 発熱機器の排熱が伝わる部位に配置された熱電変換モジュールであって、n型半導体部とp型半導体部とこれらの間にある真性半導体部とを有し、前記真性半導体部のバンドギャップエネルギが前記n型半導体部および前記p型半導体部のそれぞれのバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成された半導体単結晶を熱電変換素子として少なくとも1つ備える熱電変換モジュールと、
    前記熱電変換モジュールとの間で電気回路を構成する負荷機器と、
    を備える発電装置の異常検出を行う異常検出装置であって、
    前記異常検出装置は、前記少なくとも1つの熱電変換素子のうちの少なくとも1つを判定対象として素子単位で前記異常検出を行い、または、前記熱電変換モジュールの全体を判定対象としてモジュール単位で前記異常検出を行うものであって、
    前記異常検出装置は、
    前記異常検出の対象となる1または複数の熱電変換素子に関して、前記n型半導体部における前記真性半導体部と反対側の端部の温度であるn型端部温度、前記p型半導体部における前記真性半導体部と反対側の端部の温度であるp型端部温度、および、前記真性半導体部の温度である真性部温度を検出または推定する温度取得手段と、
    前記温度取得手段により検出または推定された前記n型端部温度、前記p型端部温度および前記真性部温度に基づいて、前記素子単位または前記モジュール単位で推定起電圧および当該推定起電圧に基づく推定発電電力のうちの少なくとも一方を算出する推定出力算出手段と、
    前記素子単位または前記モジュール単位で実起電圧および実発電電力のうちの少なくとも一方を検出する実出力検出手段と、
    前記素子単位または前記モジュール単位で、前記推定起電圧に対する前記実起電圧の乖離の度合いが第1所定値以上であるか否かの第1判定、および、前記推定発電電力に対する前記実発電電力の乖離の度合いが第2所定値以上であるか否かの第2判定のうちの少なくとも一方を実施し、前記第1判定および前記第2判定のうちの少なくとも一方が成立する場合に、前記発電装置の異常を検出する異常検出手段と、
    を備えることを特徴とする発電装置の異常検出装置。
  2. 前記熱電変換モジュールは、前記発熱機器の排熱を伝える熱供給体の表面に設置され、
    前記少なくとも1つの熱電変換素子は、前記熱供給体の前記表面において1列に並んで設置された1組の熱電変換素子を含み、
    前記温度取得手段は、前記1組の熱電変換素子の前記n型端部温度、前記p型端部温度および前記真性部温度の合計の数よりも少ない数の温度センサであって、前記1列と平行な方向に並ぶように間隔をあけて前記熱供給体に取り付けられた複数の温度センサを含み、
    前記温度取得手段は、前記複数の温度センサの検出値に基づく前記1組の熱電変換素子の温度分布に基づいて、前記1組の熱電変換素子のそれぞれの前記n型端部温度、前記p型端部温度および前記真性部温度を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の発電装置の異常検出装置。
  3. 前記発熱機器の排熱が伝わる前記部位は、前記発熱機器の排熱を回収した排熱回収流体が流れる流路であって、
    前記熱電変換モジュールは、前記排熱回収流体が並列に流れる複数の単位流路となるように前記流路を区画する流路形成部材を含み、
    前記流路形成部材は、前記熱電変換モジュールが備える前記少なくとも1つの熱電変換素子の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有し、
    前記熱電変換モジュールが備える前記少なくとも1つの熱電変換素子は、前記複数の単位流路の延伸方向に垂直な方向に並び、かつ、前記複数の単位流路に跨るように設置された複数の熱電変換素子を1組として、複数組の熱電変換素子を含み、
    前記複数組の熱電変換素子のそれぞれは、前記真性半導体部の表面が前記排熱回収流体に曝されるようにしつつ前記流路形成部材によって覆われており、
    前記温度取得手段は、
    前記複数の単位流路のそれぞれにおいて、個々の前記単位流路内にある複数の熱電変換素子の一部の熱電変換素子の前記真性半導体部の温度を検出する複数の真性部温度センサと、
    前記流路形成部材に設置された1または複数の端部温度センサと、
    を含み、
    前記温度取得手段は、前記複数の真性部温度センサの検出値に基づいて、前記複数組の熱電変換素子のそれぞれの前記真性部温度を前記単位流路毎に検出または推定し、
    前記温度取得手段は、前記1または複数の端部温度センサの検出値に基づいて、前記複数組の熱電変換素子のそれぞれの前記n型端部温度および前記p型端部温度を検出または推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の発電装置の異常検出装置。
  4. 前記複数の真性部温度センサは、前記複数の単位流路に1つずつ配分されており、かつ、前記複数組の熱電変換素子のうちで前記複数の単位流路の最も下流に位置する組の熱電変換素子のそれぞれに取り付けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載の発電装置の異常検出装置。
  5. 前記異常検出装置は、前記流路形成部材を加熱または冷却することによって、前記異常検出の対象となる1または複数の熱電変換素子が起電圧を生成可能な温度範囲内で前記1または複数の熱電変換素子の温度を調節する温度調節器をさらに備え、
    前記異常検出手段は、
    前記第1判定および前記第2判定のうちの少なくとも一方の成立を受けて前記発電装置の異常を検出した場合に、前記排熱回収流体の流れがなく、かつ、前記排熱回収流体の温度が安定している状況下において、前記温度調節器による前記加熱または前記冷却を実行し、
    前記温度調節器による前記加熱または前記冷却が行われている温度調節状態における前記1または複数の熱電変換素子の起電圧推定範囲から前記実起電圧が外れた場合、または、前記温度調節状態における前記1または複数の熱電変換素子の発電電力推定範囲から前記実発電電力が外れた場合には、前記発電装置の異常は、前記熱電変換モジュールの異常に起因するものであると判定し、
    前記実起電圧が前記起電圧推定範囲内にある場合、または、前記実発電電力が前記発電電力推定範囲内にある場合には、前記発電装置の異常は、前記流路の異常に起因するものであると判定する
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の発電装置の異常検出装置。
  6. 前記異常検出手段は、前記温度調節状態において、前記複数の真性部温度センサの検出値の少なくとも1つが、前記温度調節器による前記加熱による入熱量または前記冷却による出熱量に応じた許容範囲から外れた場合には、前記真性部温度の検出に関する異常が生じていると判定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の発電装置の異常検出装置。
  7. 前記異常検出手段は、前記温度調節状態において、前記1または複数の端部温度センサの検出値の少なくとも1つが、前記温度調節器による前記加熱による入熱量または前記冷却による出熱量に応じた許容範囲から外れた場合には、前記n型端部温度または前記p型端部温度の検出に関する異常が生じていると判定する
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の発電装置の異常検出装置。
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