JP6217765B2 - 車両の発電装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の発電装置に係り、特に、熱電変換素子を利用する車両の発電装置に関する。
ゼーベック効果を利用した様々な熱電変換素子が知られている。この熱電変換素子を用いて起電圧を得るためには、当該熱電変換素子を構成する2種類の金属もしくは半導体の間に温度差を必要とする。このため、この熱電変換素子を利用して発電を行うためには、温度差を維持するための冷却装置等が必要となる。これに対し、特許文献1には、温度差を必要とせずに発電を行える熱電変換素子として利用可能な半導体単結晶が開示されている。
特許文献1に記載の半導体単結晶は、具体的には、n型半導体部と、p型半導体部と、n型半導体部とp型半導体部との間に位置する真性半導体部とを有し、真性半導体部のバンドギャップエネルギがn型半導体部およびp型半導体部のバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成されている。このような構成を有する半導体単結晶を所定の温度範囲に収まるように加熱すると、n型半導体部とp型半導体部との間に温度差が生じていなくても、pn接合部にある真性半導体部においてのみ、価電子帯から伝導帯に電子が励起する。伝導帯に励起された電子は、エネルギの低いn型半導体部に移動し、価電子帯に生じた正孔は、エネルギの高いp型半導体部に移動する。これらの移動によって生じたキャリア(電子および正孔)の偏りによって、上記半導体単結晶は、p型半導体部を正極とし、n型半導体部を負極とした発電材料となる。このため、上記構成を有する半導体単結晶を熱電変換素子として利用することで、n型半導体部とp型半導体部との間に温度差が生じていなくても、熱電変換素子の温度が所定の温度範囲内にあるときに発電が可能となる。
国際公開第2015/125823号 特開2004−011512号公報
自動車等の車両で生じる熱を有効利用するために、車両を構成する種々の流路内を流れる流体中に、上記特許文献1に記載の半導体単結晶を熱電変換素子として設置することが考えられる。ここで、当該流体の流速もしくは温度は、運転者からの要求もしくはその他種々の要求によって過渡的に変化し得る。運転者からの要求等によって流体の流速もしくは温度が過渡的に変化する状況下においては、n型半導体部、p型半導体部および真性半導体部の各部位への熱の伝わり方が一様ではなく、その結果として、これらの部位の間で温度差が生じることが考えられる。このような場合に生じる温度差が、バンドギャップエネルギが相対的に高いn型半導体部もしくはp型半導体部の温度が真性半導体部の温度よりも高くなるという態様のものであると、上記特許文献1に記載の構成を有する熱電変換素子の起電圧を効率良く確保することが難しくなる。その結果、この熱電変換素子を利用して効率良く発電することが難しくなる可能性がある。
この発明は、上述のような課題に鑑みてなされたもので、n型半導体部とp型半導体部との間に位置する真性半導体部のバンドギャップエネルギがn型半導体部およびp型半導体部のバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成された熱電変換素子を備える車両の発電装置であって、効率良く発電させられる態様で熱電変換素子が車両の流路内に搭載された発電装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両の発電装置は、n型半導体部と、p型半導体部と、前記n型半導体部と前記p型半導体部との間に位置する真性半導体部とを有し、前記真性半導体部のバンドギャップエネルギが前記n型半導体部および前記p型半導体部のバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成された熱電変換素子を備えている。前記発電装置は、前記熱電変換素子に熱を供給する流体が流れる流路を有する車両に適用される。前記熱電変換素子は、前記n型半導体部もしくは前記p型半導体部における前記真性半導体部と反対側の端面が前記流体の流れに対向するという態様で、前記流路内に設置されている。前記発電装置は、前記端面を覆うように設置されたシールドをさらに備える。
前記シールドは、前記端面に接触する態様で前記端面を覆い、かつ、前記熱電変換素子の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するように構成されていてもよい。
前記熱電変換素子は、前記流体の流れに対して並行に設置された第1の熱電変換素子および第2の熱電変換素子を含んでいてもよい。前記シールドは、前記第1の熱電変換素子の前記端面および前記第2の熱電変換素子の前記端面のそれぞれを覆うように設置されていてもよい。そして、前記第1の熱電変換素子と前記第2の熱電変換素子との間には、前記流路の一部として機能するスペースが設けられていてもよい。
前記発電装置は、前記熱電変換素子を熱電変換モジュールとして備えていてもよい。前記熱電変換モジュールは、複数の前記熱電変換素子を電気的に接続して得られる素子積層体をハウジングに収容して得られるものであってもよい。前記素子積層体を構成する複数の前記熱電変換素子のうちの少なくとも前記流体の流れ方向の最上流側に位置する前記熱電変換素子が、前記端面が前記流体の流れに対向するという前記態様で前記流路内に設置されていてもよい。前記シールドは、前記流体の流れ方向において前記素子積層体よりも上流側に位置する前記ハウジングの部位として構成されていてもよい。そして、前記シールドは、前記ハウジングの前記部位以外の部位の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するように構成されていてもよい。
前記発電装置は、前記熱電変換モジュールを複数有してもよい。複数の前記熱電変換モジュールは、前記流体の流れに対して並行に設置されていてもよい。前記シールドは、複数の前記熱電変換モジュールのそれぞれの前記ハウジングにおいて、前記流体の流れ方向において前記素子積層体よりも上流側に位置する前記部位として構成されていてもよい。そして、複数の前記熱電変換モジュールのそれぞれの前記ハウジングの間には、前記流路の一部として機能するスペースが設けられていてもよい。
前記流路は前記車両に搭載される内燃機関の排気管であり、前記流体は前記排気管を流れる排気ガスであってもよい。
本発明によれば、n型半導体部とp型半導体部との間に位置する真性半導体部のバンドギャップエネルギがn型半導体部およびp型半導体部のバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成された熱電変換素子が、n型半導体部もしくはp型半導体部における真性半導体部と反対側の端面が流体の流れに対向するという態様で流路内に設置される。そして、このような態様で設置される熱電変換素子の上記端面を覆うようにシールドが設置される。このようなシールドを備えていることで、熱電変換素子の上記端面への流体の直接的な衝突を抑制することができる。これにより、流体から上記端面への熱伝達を促進されにくくすることができる。その結果、バンドギャップエネルギが相対的に高いn型半導体部もしくはp型半導体部の温度が真性半導体部の温度よりも高くなるという態様での温度差の発生を抑制することができるので、熱電変換素子の起電圧を効率良く確保できるようになる。このため、効率の良い発電を行えるようになる。
本発明の実施の形態1に係る車両の発電装置の適用例を表した図である。 図1に示す発電装置が備える熱電変換素子の構成を模式的に示す斜視図である。 図1に示す熱電変換素子のバンドギャップエネルギの状態を示す概念図である。 熱電変換素子の起電圧と温度との関係を表した図である。 排気ガスの流れ方向Fに対する個々の熱電変換素子の設置方向として実施の形態1において前提として用いられる構成を表した図である。 図5に示す構成を採用しつつ、熱電変換モジュールという形態で複数の熱電変換素子を排気ガスの流れの中に設置する場合の課題を説明するための図である。 図1に示す熱電変換モジュールが有する特徴的な構成を説明するための図である。 図7(A)中に示すA−A線で切断された熱電変換モジュールの断面を示す図である。 高い起電圧の確保のために、積層される熱電変換素子の数を増やそうとした場合に生じる課題を説明するための図である。 本発明の実施の形態2に係る車両の発電装置の構成を説明するための模式図である。 熱電変換モジュールという形態をとらずに排気ガスの流れの中に熱電変換素子を設置する場合の好ましい構成例を説明するための図である。 排気ガスと熱電変換素子との間での熱伝達係数と、熱電変換素子の基準位置(n型半導体部の端面)からの距離Lとの関係を表した図である。 図2に示す熱電変換素子の他の積層手法を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の各実施の形態を説明する。なお、各図面において、同一または類似の構成要素には同一の符号を付している。
実施の形態1.
まず、図1〜図8を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る車両の発電装置10の適用例を表した図である。図2は、図1に示す発電装置10が備える熱電変換素子12の構成を模式的に示す斜視図である。
[車両における発電装置の適用部位]
本実施形態の発電装置10が備える熱電変換素子12の設置部位は、車両を構成する種々の流路内であれば特に限定されるものではない。実施の形態1では、一例として、熱電変換素子12は、図1に示すように、車両が搭載する内燃機関1が備える排気管2内を流れる排気ガス中に配置されている。すなわち、図1に示す例では、内燃機関1の燃焼室内で燃焼に付された後の高温の排気ガスの熱が熱電変換素子12に供給される。車両を構成する流路内を流れる流体であって熱電変換素子12に熱を供給する流体としては、排気ガス以外にも、例えば、内燃機関1の冷却のための冷却水流路内を流れるエンジン冷却水、および、内燃機関1の潤滑のためのオイル流路内を流れるエンジンオイルを挙げることができる。
本実施形態の発電装置10では、複数の熱電変換素子12を電気的に接続して得られる素子積層体14を用いて熱電変換モジュール16という形態で、熱電変換素子12が排気ガス中に設置されている。熱電変換モジュール16の具体的な構成例については、図7(A)、図7(B)および図8を参照して後述する。発電装置10は、素子積層体14の両端を導線によって接続して構成された電気回路18と、当該電気回路18を開閉するスイッチ20とを備えている。電気回路18には、車両に搭載された電装部品(例えば、灯火類)22が接続されている。スイッチ20の開閉は、車両に搭載される電子制御ユニット(ECU)24によって制御される。
上記のように構成された発電装置10によれば、車両システムの起動中に、排気ガスからの熱供給によって熱電変換素子12の温度が発電に適した温度になっている状態でスイッチ20を閉じることにより、素子積層体14が発電を行えるようになる。本実施形態では、熱を供給する流体が排気ガスであるため、この発電により、内燃機関1の排熱回収を行えるようになる。そして、素子積層体14の発電により得られた電力を電装部品22に供給することができる。なお、スイッチ20に代えて可変抵抗を備えるようにしてもよい。これにより、可変抵抗の抵抗値の調整によって、素子積層体14から電装部品22に供給される電力をより詳細に制御することができる。また、電力の供給を受ける車両部品は、電装部品22に限られず、例えば、電装部品22に代え、あるいはそれとともに、車両が使用する電力を蓄えるバッテリが電気回路18に接続されていてもよい。
[熱電変換素子の構成]
図2に示す一例では、熱電変換素子12は、角柱形状に形成されている。熱電変換素子12は、一端側にn型半導体部12aを備え、他端側にp型半導体部12bを備えている。また、熱電変換素子12は、n型半導体部12aとp型半導体部12bとの間に、真性半導体部12cを備えている。
図3(A)および図3(B)は、図1に示す熱電変換素子12のバンドギャップエネルギの状態を示す概念図である。図3(A)および図3(B)の縦軸は電子のエネルギであり、横軸は熱電変換素子12におけるn型半導体部12a側の端面12aesからの距離L(図2参照)である。
図3(A)および図3(B)に示すように、n型半導体部12aは、フェルミレベルfが伝導帯側にある部位であり、p型半導体部12bは、フェルミレベルfが価電子帯側にある部位である。真性半導体部12cは、フェルミレベルfが伝導帯と価電子帯との間の禁制帯の中央にある部位である。バンドギャップエネルギは、価電子帯の最上部と伝導帯の最下部とのエネルギ差に相当するものである。これらの図から分かるように、熱電変換素子12では、真性半導体部12cにおけるバンドギャップエネルギは、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bにおけるバンドギャップエネルギよりも低くなっている。なお、図3(A)および図3(B)中に示すn型半導体部12a、p型半導体部12bおよび真性半導体部12cの長さの割合は、一例であり、この割合は、熱電変換素子(半導体単結晶)12の形成の仕方に応じて変化する。また、n型半導体部12a、p型半導体部12bおよび真性半導体部12cにおけるバンドギャップエネルギは、例えば逆光電子分光法によって測定することができる。
上述の特性(すなわち、真性半導体部12cにおけるバンドギャップエネルギが、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bにおけるバンドギャップエネルギよりも低いこと)を有する熱電変換素子(半導体単結晶)12は、例えば、クラスレート化合物(包接化合物)によって構成することができる。このようなクラスレート化合物の一例としては、シリコンクラスレートBaAuSi38を用いることができる。
本実施形態の熱電変換素子12の製造方法は、熱電変換素子12が上述の特性を有するようにできるものであれば特に限定されない。熱電変換素子12が一例としてシリコンクラスレートBaAuSi38である場合には、例えば、国際特許出願の国際公開第2015/125823号において詳述されている製造方法を用いることができる。その概要は次の通りである。すなわち、BaとAuとSiとの比(モル比)が8:8:38となるようにBa粉末、Au粉末およびSi粉末を秤量する。秤量した粉末を、アーク溶融法を利用して溶融する。得られた融液を冷却することで、シリコンクラスレートBaAuSi38のインゴットを得る。このように調製されたシリコンクラスレートBaAuSi38のインゴットを粒状に粉砕する。粉砕されたシリコンクラスレートBaAuSi38を、チョクラルスキー法を利用して坩堝内で溶融することで、シリコンクラスレートBaAuSi38の単結晶を得る。図2に示す熱電変換素子12は、このような手法で得られたシリコンクラスレートBaAuSi38の単結晶を角柱形状(より具体的には、直方体形状)に切断して得られたものである。熱電変換素子の形状は、上記単結晶を直方体形状に限らず、立方体形状、円柱形状、あるいは他の所望の形状に切断することによって任意に選択することができる。
[発電原理]
図3(A)は、熱電変換素子12を所定の温度に加熱したときの熱励起の状態を示す概念図である。熱電変換素子12を温度T0(後述の図4参照)以上に加熱すると、図3(A)に示すように、価電子帯の電子(黒丸)が伝導帯に熱励起する。より具体的には、熱の供給によってバンドギャップエネルギを超えるエネルギが価電子帯の最上部に位置する電子に対して与えられると、電子が伝導帯に励起する。このような熱による電子の励起は、熱電変換素子12の温度が上昇していく過程では、バンドギャップエネルギが相対的に低い真性半導体部12cにおいてのみ生じる状態が得られる。図3(A)はそのような状態が得られる所定の温度(例えば、温度T0)に熱電変換素子12が加熱された状態を示している。この状態では、バンドギャップエネルギが相対的に高いn型半導体部12aおよびp型半導体部12bでは電子が熱励起されない。
図3(B)は、熱電変換素子12を上記所定の温度に加熱したときの電子(黒丸)および正孔(白丸)の移動を示す概念図である。図3(B)に示すように、伝導帯に励起した電子は、エネルギの低い方、すなわち、n型半導体部12a側に移動する。一方、電子の励起により価電子帯に生じた正孔は、エネルギの高い方、すなわち、p型半導体部12bに移動する。このようなキャリアの偏りによって、n型半導体部12aが負に帯電し、p型半導体部12bが正に帯電するため、n型半導体部12aとp型半導体部12bとの間で起電力が生じる。このため、熱電変換素子12によれば、n型半導体部12aとp型半導体部12bとの間に温度差がなくても発電が可能となる。このような発電原理は、温度差に基づいて起電力が生じるゼーベック効果とは異なる。熱電変換素子12を利用した発電装置10は、温度差を設けることを必須としていないため、温度差を設けるための冷却部が不要となるため、装置構成を簡素化することができる。
図4は、熱電変換素子12の起電圧と温度との関係を表した図である。ここでいう熱電変換素子12の起電圧は、正極として機能するp型半導体部12b側の端部と、負極として機能するn型半導体部12a側の端部との電位差を指している。より具体的には、図4に示す関係は、n型半導体部12aとp型半導体部12bとの間で温度差が生じない態様で熱電変換素子12を加熱していった際に生じる起電圧の温度特性を表している。なお、起電圧が生じる温度範囲は、熱電変換素子の組成によって異なるものとなる。
図4に示すように、熱電変換素子12を温度T0以上に加熱することによって、起電圧が生じる。より具体的には、熱電変換素子12の温度が高くなるにつれ、起電圧が上昇していく。図4に示すように昇温によって起電圧が高くなる理由は、供給熱量の増加によって、バンドギャップエネルギが相対的に低い真性半導体部12cにおいて励起できる電子および正孔の数が増えるためであると考えられる。また、図4に示すように、起電圧は、ある温度においてピーク値T1を示し、ピーク値T1よりも熱電変換素子12をさらに昇温させると、起電圧が低下していく。その理由は、熱電変換素子12の温度が高くなると、真性半導体部12cのみならずn型半導体部12aおよびp型半導体部12bにおいても電子および正孔の熱励起が生じることが影響していると考えられる。
[排気ガスの流れ方向に対する熱電変換素子の設置手法]
上述の図4からも、熱電変換素子12の温度を所定の温度範囲内とすることができれば、熱電変換素子12を利用した発電が可能となることが分かる。より好ましくは、熱電変換素子12の温度を図4中の起電圧のピーク値T1付近の温度とすることができれば、効率の良い発電が可能となる。したがって、車両上において熱電変換素子12を利用して効率良く発電を行うためには、まずは、熱電変換素子12が発電に適した温度となるように熱電変換素子12に熱を供給可能な流体を車両の種々の流路の中から選択し、選択した流体中に熱電変換素子12を設置すればよいといえる。具体的には、排気管2内の排気ガスの温度は、下流に向かうにつれて低くなる。したがって、本実施形態のように、熱源として機能する流体が排気ガスである場合には、効率の良い発電が可能な熱源が得られるようにするために、排気管2内における熱電変換素子12の設置部位を、排気ガスの流れ方向において特定すればよいといえる。
(効率良く発電を行おうとする場合の課題)
既述したように、熱電変換素子12は、流体から熱の供給を受けた際に、真性半導体部12cにおける電子の熱励起に伴う電子および正孔の移動を利用して起電圧を得るという構成である。熱電変換素子12を利用して効率の良い発電を可能とするためには、以下の点に配慮する必要がある。
熱源として機能する流体(本実施形態では、排気ガス)の流速および温度が定常的に一定である定常的な熱流の下であれば、当該流体から熱の供給を受ける熱電変換素子12の各部位の温度は、時間経過とともに均一に近づいていくといえる。しかしながら、車両の流体の流速もしくは温度は、運転者からの要求もしくはその他種々の要求によって過渡的に変化し得る。このように流体の流速もしくは温度が過渡的に変化する状況下においては、n型半導体部12a、p型半導体部12bおよび真性半導体部12cの各部位への熱の伝わり方が一様ではなく、その結果として、これらの部位の間で温度差が生じることが考えられる。仮に真性半導体部12cの温度がn型半導体部12aおよびp型半導体部12bの温度よりも高くなる態様での温度差が生じる場合であれば、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bにおける電子の熱励起よりも真性半導体部12cにおける電子の熱励起が促進されることになるので問題はないといえ、むしろ好ましいといえる。一方、流体に対する熱電変換素子12の設置の態様によっては、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bの一方もしくは双方の温度が真性半導体部12cの温度よりも高くなる態様での温度差が生じ易くなる場合もあり得る。この態様での温度差が大きくなっていくと、n型半導体部12aおよびp型半導体部12bの一方もしくは双方において電子の熱励起が生じ易くなる。その結果として、熱電変換素子12の起電圧を確保しにくくなる可能性がある。そうすると、効率の良い発電が難しくなる。
(実施の形態1で前提とする方向で熱電変換素子を設置した場合の課題)
図5は、排気ガスの流れ方向Fに対する個々の熱電変換素子12の設置方向として実施の形態1において前提として用いられる構成を表した図である。なお、図5等においては、熱電変換素子12の配置を分かり易く図示するために、熱電変換素子12をn型半導体部12a側とp型半導体部12b側とに分けて表している。両者の間に位置する真性半導体部12cは、n型半導体部12aとp型半導体部12bとを区別する境界線の付近に存在する。
図5に示すように、本実施形態では、n型半導体部12aの端面12aesが排気ガスの流れと対向するという態様で、個々の熱電変換素子12が排気管2の内部に設置される。この構成を採用した場合、端面12aesは、熱電変換素子12が自身よりも温度の高い排気ガスに晒される場合において温まり易い部位となる。その理由は、排気ガスに対向している端面12aesの周りでは、端面12aesへの排気ガスの衝突によって排気ガスの乱れ(流動)が増大し、この乱れ(流動)の増大に伴って排気ガスから熱電変換素子12への熱伝達が促進されるためである。ここで、端面12aesは、バンドギャップエネルギが最も高い部位である。したがって、図5に示すように熱電変換素子12を設置した場合には、上述した好ましくない態様(すなわち、n型半導体部12aの温度が真性半導体部12cの温度よりも高くなる態様)での温度差が生じ易くなる。その結果、熱電変換素子の起電圧を効率良く確保することが難しくなる可能性がある。このような課題は、n型半導体部12aの端面12aesに代え、p型半導体部12bの端面12besが排気ガスの流れに対向するように構成した場合も同様である。
次に、図6(A)および図6(B)は、図5に示す構成を採用しつつ、熱電変換モジュールという形態で複数の熱電変換素子12を排気ガスの流れの中に設置する場合の課題を説明するための図である。図6(A)に示す熱電変換モジュールは、本実施形態の熱電変換モジュール16との対比のために説明するものであり、素子積層体の構造自体は、熱電変換モジュール16の素子積層体14と同様である。
図6(A)に示す熱電変換モジュールは、素子積層体14を収容するハウジングを備えている。図6(A)に示すように、素子積層体14を構成する複数の熱電変換素子12は、電極26を介して直列に接続されている。このように、素子積層体14は、熱電変換素子12と電極26とを構成要素として構成されている。より具体的には、素子積層体14では、電極26の両端の電位差をできるだけ確保しつつ電流を円滑に流せるようにするために、電極26は、一方の熱電変換素子12のn型半導体部12aにおける真性半導体部12cと反対側の端部12ae(一例として、端面12aes)と、他方の熱電変換素子12のp型半導体部12bにおける真性半導体部12cと反対側の端部12be(一例として、端面12bes)とを(すなわち、バンドギャップエネルギが最も高い部位同士を)接続するように構成されている。ここでは、n型半導体部12aの端面12aesと、その付近におけるn型半導体部12aの側面とからなる部位を端部12aeと称し、同様に、p型半導体部12bの端面12besと、その付近におけるp型半導体部12bの側面とからなる部位を端部12beと称している。
素子積層体14を構成する熱電変換素子12の一部は、図5に示す構成と同様に、n型半導体部12aの端面12aesが排気ガスの流れ方向Fの上流側に向いて設置されている。残りの熱電変換素子12は、図5に示す構成と逆向きで、p型半導体部12bの端面12besが排気ガスの流れ方向Fの上流側に向いて設置されている。
図6(B)は、図6(A)に示すハウジングの外形を模式的に表している。この図に示すように、排気ガスは、ハウジングにおける排気ガスの流れの上流側の表面Sに衝突する。このため、ハウジングは、図5を参照して端面12aesに対して説明したのと同様の理由で、この表面Sにおいて熱伝達率が促進され、温まり易くなる。したがって、素子積層体14を構成する各熱電変換素子12が図6(A)に示す向きでハウジング内に設置されていると、次のような課題がある。
すなわち、まず、排気ガスの流れの最上流側に設置される熱電変換素子12では、バンドギャップエネルギが最も高い部位である端面12aesおよび端面12besが温まり易くなる。より具体的には、図6(A)における紙面の最も手前側の列においては、排気ガスの流れの最上流側に配置されている部材は熱電変換素子12となっている。この熱電変換素子12においてハウジングと接触する端面12besは、ハウジングからの熱伝導によって温まり易くなる。一方、図6(A)における紙面の奥側の2つの列においては、排気ガスの流れの最上流側に配置されている部材は電極26となっている。ここで、金属である電極26の熱伝導率は基本的に熱電変換素子12の熱伝導率よりも高い。すなわち、電極26は熱を伝導させ易いため、電極26が最上流側に配置されている場合であっても、電極26を介したハウジングからの熱伝導により、当該電極26に接続される端面12aesおよび端面12besが温まり易くなる。その結果、素子積層体14において排気ガスの流れの最上流側に位置している各熱電変換素子12では、上述した好ましくない態様での温度差が生じ易くなる。
また、排気ガスからの熱の供給を受けてハウジングの温度が上昇していく過程では、ハウジングの各部位の温度は、熱伝達係数の高い表面S付近において最も高く、排気ガスの下流側に向かうにつれて低くなる。したがって、図6(A)に示すような構成で素子積層体14がハウジング内に設置されている場合、最上流側に位置する熱電変換素子12以外の熱電変換素子12についても、上述した好ましくない態様での温度差が生じ易くなる。
[実施の形態1の熱電変換素子の設置手法を採用する場合の対策]
図7(A)および図7(B)は、図1に示す熱電変換モジュール16が有する特徴的な構成を説明するための図である。図8は、図7(A)中に示すA−A線で切断された熱電変換モジュール16の断面を示す図である。
本実施形態の熱電変換モジュール16は、素子積層体14と、素子積層体14を収容するハウジング28とを備えている。発電装置10では、このような構成を有する熱電変換モジュール16が排気ガスの流れの中に設置されている。より具体的には、図7(A)に示すように、素子積層体14を構成する各熱電変換素子12は、ハウジング28内において、本実施形態で前提とする向き(すなわち、端面12aesもしくは端面12besが排気ガスの流れに対向する向き)で設置されている。
なお、熱電変換素子12の積層の態様は特に限定されないが、素子積層体14では、図7(A)に示すように、一例として複数の熱電変換素子12が電極26を介してサーペンタイン状に折り返されるという態様で、熱電変換素子12が直列に積層されている。素子積層体14によれば、積層される熱電変換素子12の数を適切に決定することにより、排気管2からの熱供給により想定される熱電変換素子12の温度条件の下で所望の大きさの起電圧が得られるようにすることができる。
ハウジング28は、素子積層体14を取り囲むように形成されている。図7(B)および図8に示すように、ハウジング28は、主ハウジング28aとシールド28bとにより構成されている。主ハウジング28aは、素子積層体14を収容し、かつ、その一端が開口している。この主ハウジング28aの開口端には、シールド28bが組み合わされており、シールド28bによって上記開口端が閉塞されている。シールド28bは、排気ガスの流れの中に熱電変換モジュール16を設置した状態において、排気ガスの流れ方向Fにおいて素子積層体14よりも上流側に位置するハウジング28の部位に相当する。さらに付け加えると、ハウジング28は、直方体状に形成されており、排気ガスの流れ方向Fに長く延びる向きで排気管2内に設置されている。
シールド28bは、熱電変換素子12および主ハウジング28aのそれぞれの熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するように構成されている。具体的には、シールド28bの材質としては、例えば、セラミックスを用いることができる。すなわち、本実施形態のシールド28bは、断熱材として構成されている。主ハウジング28aの材質としては、熱伝導率の高い部材が好ましく、例えば、アルミニウム等の金属を用いることができる。なお、シールド28bの熱伝導率が主ハウジング28aの熱伝導率よりも低いという条件を満たしていれば、シールド28bは、セラミックス以外にも、例えば、各種金属によって構成されていてもよいし、あるいは、内部に静止空気層を有するように形成されたものであってもよい。なお、ハウジング28は、図示省略する取り付け具を用いて排気管2に取り付けられている。
さらに付け加えると、ハウジング28の内部では、ある一列(図7(A)における紙面の最も手前側の列)において排気ガスの流れの最上流側に位置する熱電変換素子12は、p型半導体部12bの端面12besがシールド28bと接触する態様で設置されている。すなわち、上記熱電変換素子12については、このような態様によって、p型半導体部12bの端面12besを覆うようにシールド28bが設置されている。また、残りの2列(図7(A)における紙面の奥側の2つの列)においては、排気ガスの流れの最上流側に位置する2つの熱電変換素子12の端面12aesもしくは端面12besは、シールド28bに直接接触しておらず、電極26を介してシールド28bと接触している。これらの2つの熱電変換素子12については、このような態様によって、n型半導体部12aの端面12aesもしくはp型半導体部12bの端面12besを覆うようにシールド28bが設置されている。また、最上流側に位置する熱電変換素子12以外の各熱電変換素子12については、他の熱電変換素子12を介するという態様で、排気ガスの流れに対向する端面12aesもしくは端面12besがシールド28bによって覆われている。
以上説明した構成を有する熱電変換モジュール16によれば、各熱電変換素子12の端面12aesもしくは端面12besが排気ガスの流れに対向するという態様の設置手法を採用する素子積層体14において、ハウジング28における排気ガスの流れに対向する部位(すなわち、上流側の部位)がシールド28bとして構成されている。これにより、本構成のハウジング28では、排気ガスが衝突することで熱伝達が促進される部位は、このシールド28bとなる。そして、シールド28bは、熱伝導率の低い部材によって構成されている。このため、ハウジング28の上流側の部位での集中的な(偏った)温度上昇を抑制することができる。これにより、ハウジング28内の各熱電変換素子12において、既述した好ましくない態様での温度差を生じにくくすることができる。その結果、各熱電変換素子12の起電圧を効率良く確保できるようになる。このため、熱源である排気ガスの流速もしくは温度が運転者の要求等によって過渡的に変化するような場合であっても、熱電変換素子12を利用した発電を効率良く行えるようになる。
また、シールド28bよりも下流側に位置する主ハウジング28aは、シールド28bよりも熱伝導性に優れた部材によって構成されている。このため、シールド28bによってハウジング28の一部への集中的な入熱を抑制しつつ、主ハウジング28aの外表面を介して排気ガスから主ハウジング28aに伝達された熱が各熱電変換素子12に対して供給されることを促進できるようになる。さらに付け加えると、主ハウジング28aの熱伝導率を高くしているため、熱供給を受けた際に主ハウジング28aの各部位の温度のばらつきを軽減できるようになる。その結果、各熱電変換素子12への入熱のばらつきを効果的に抑制できるようになる。
(主ハウジングから各熱電変換素子への熱伝導に関する好ましい構成)
また、以下に説明するように、本実施形態の熱電変換モジュール16は、主ハウジング28aから各熱電変換素子12への熱伝導に関して好ましい構成を有している。すなわち、図8に示すように、主ハウジング28aは、ハウジング28を構成する各面の中で面積が相対的に大きな2面を構成する一対の壁部28a1、28a2を備えている。一対の壁部28a1、28a2は、熱電変換モジュール16が排気管2内に設置された状態において、図7(B)に示すように、排気ガスの流れ方向Fおよびその直交方向D1に板状に延びている。素子積層体14の一側面は、壁部28a1の内表面上に絶縁部材30を介して配置されている。もう一方の壁部28a2は、壁部28a1の内表面に対向する内表面を有している。素子積層体14における壁部28a1側の上記一側面と反対側の側面は、壁部28a2上に絶縁部材30を介して配置されている。
上記構造によれば、排気ガスの熱は、主ハウジング28aおよび絶縁部材30を介して素子積層体14に伝えられる。より具体的には、素子積層体14の各熱電変換素子12は、一方の壁部28a1側の内表面から絶縁部材30を介して熱の供給を受けるとともに、他方の壁部28a2側の内表面からも絶縁部材30を介して熱の供給を受ける。より具体的には、各熱電変換素子12では、真性半導体部12cが、主ハウジング28aの壁部28a1、28a2からの熱を伝導させる絶縁部材30の表面に接触するように設置されている。このため、本構造によれば、真性半導体部12cへの入熱が効果的に確保される態様でハウジング28内に素子積層体14を収容することができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、図7(A)における紙面の最も手前側の列において排気ガスの流れの最上流側に位置する熱電変換素子12については、p型半導体部12bの端面12besがシールド28bと接触する態様で設置されている例について説明を行った。しかしながら、ハウジング28内に収容される熱電変換素子12の端面12aesまたは端面12besは、シールド28bと接触しない態様で設置されていてもよい。そして、その場合には、シールド28bの熱伝導率は、熱電変換素子12の熱伝導率よりも低いことは必ずしも必要とされず、主ハウジング28aの熱伝導率より低くなっていればよい。
また、上述した実施の形態1においては、素子積層体14を構成するすべての熱電変換素子12が、端面12aesもしくは端面12besが排気ガスの流れに対向するという態様で排気管2内に設置された構成を例に挙げて説明を行った。しかしながら、本発明における熱電変換モジュールのハウジングに収容される素子積層体では、素子積層体を構成する複数の熱電変換素子のうちの少なくとも流体の流れ方向の最上流側に位置する熱電変換素子が上記態様で設置されていれば、シールドの設置による効果を得ることができる(すなわち、ハウジングの上流側の部位への集中的な(偏った)温度上昇を抑制し、既述した好ましくない態様での温度差が熱電変換素子に生じにくくすることができる)。したがって、流体の流れ方向の最上流側に位置する熱電変換素子以外の熱電変換素子の1つもしくは複数は、上記態様以外の任意の向きで設置されていてもよい。
実施の形態2.
次に、図9および図10を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態も、実施の形態1と同様に、熱電変換モジュールという形態で流体(一例として排気ガス)の中に熱電変換素子を設置する構成を扱っている。図9(A)および図9(B)は、高い起電圧の確保のために、積層される熱電変換素子12の数を増やそうとした場合に生じる課題を説明するための図である。図9(A)に示す構成は、上述した素子積層体14を、電極Aを用いて3段に積層したものに相当する。より具体的には、本構成は、排気ガスの流れ方向Fおよびその直交方向D1のそれぞれの方向に広がるように積層されている素子積層体14を複数用いて、流れ方向Fおよび直交方向D1のそれぞれに直交する直交方向D2に広がるように熱電変換素子12を積層したものに相当するといえる。
図9(A)に示す熱電変換モジュールは、上記構成の素子積層体14の複合体をハウジング内に収容して得られたものに相当する。この熱電変換モジュールにおいても、ハウジングにおける排気ガスの流れ方向Fの上流側の部位を、実施の形態1のシールド28bと同様のシールドとして構成することで、この上流側の部位での集中的な入熱を抑制できるようになる。しかしながら、ハウジング内の各熱電変換素子12への入熱は、主ハウジングを介したものとなる。その結果、上記複合体の中央部に位置する熱電変換素子12に対して熱を供給することが難しくなる。
図10(A)および図10(B)は、本発明の実施の形態2に係る車両の発電装置40の構成を説明するための模式図である。図10(A)に示すように、本実施形態の発電装置40では、複数(一例として3つ)の熱電変換モジュール16が排気ガスの流れに対して並行に設置されている。すなわち、本構成の場合、個々の熱電変換モジュール16のハウジング28内では、各熱電変換素子12は3次元的に広がるようには積層されておらず、平面上で広がるように積層されている。そして、3つの熱電変換モジュール16が電気回路42によって直列に接続されている。各熱電変換モジュール16のハウジング28において、排気ガスの流れ方向Fにおいて素子積層体14よりも上流側に位置する部位は、シールド28bによって構成されている。さらに付け加えると、直方体状の各熱電変換モジュール16は、排気ガスの流れ方向Fに長く延びる向きで設置されている。
そのうえで、図10(A)および図10(B)に示すように、3つの熱電変換モジュール16のそれぞれのハウジング28の間には、排気管2(流路)の一部として機能するスペース44が設けられている。
以上説明した構成によれば、上記スペース44を備えていることにより、図9(A)に示す構成と比べ、より多くの方向から各熱電変換モジュール16内の各熱電変換素子12に対して熱を供給できるようになる。これにより、各熱電変換モジュール16の各熱電変換素子12に対してより確実に入熱させられるようになる。このように、本実施形態によれば、高い起電圧の確保のために3次元的に広がるように複数の熱電変換素子12を設置する場合において、各熱電変換素子12への入熱をより確実なものとする構成を実現することができる。また、本構成によれば、図9(B)と図10(B)とを比較すると分かるように、同等の数の熱電変換素子12を積層する場合において、図9(A)に示す構成と比べ、熱電変換モジュールによって塞がれる流路断面積を減らすこともできる。このため、排気管2の圧力損失の低減を図ることもできる。
なお、上述した実施の形態2においては、スペース44を介して排気ガスの流れに並行かつ隣り合って設置された2つの熱電変換モジュール16に着目した場合、一方の熱電変換モジュール16内の任意の熱電変換素子12が本発明における「第1の熱電変換素子」に相当し、他方の熱電変換モジュール16内の任意の熱電変換素子12が本発明における「第2の熱電変換素子」に相当する。
その他実施の形態.
ところで、上述した実施の形態1〜2においては、複数の熱電変換素子12等の素子積層体14等を備える発電装置10等について説明を行った。しかしながら、本発明に係る発電装置は、複数の熱電変換素子をハウジング内に収容することによって構成された熱電変換モジュールという形態で備えるものに必ずしも限られない。すなわち、本発明に係る発電装置は、熱電変換モジュールという形態をとらずに、n型半導体部もしくはp型半導体部における真性半導体部と反対側の端面が流体の流れに対向するという態様で流路内に設置される1つもしくは複数の熱電変換素子を備えるものであってもよい。
図11は、熱電変換モジュールという形態をとらずに排気ガスの流れの中に熱電変換素子12を設置する場合の好ましい構成例を説明するための図である。図11に示す構成では、1つの熱電変換素子12が、n型半導体部12aの端面12aesが排気ガスの流れに対向するという態様で排気ガスの流れの中に設置されている。そして、本構成では、この端面12aesだけでなく、n型半導体部12aの端部12aeの全体を覆うようにシールド50が設置されている。より具体的には、シールド50は、端部12aeと接触する態様で端部12aeを覆うように設置されている。また、シールド50は、熱電変換素子12の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材(例えば、セラミックス)を用いて断熱材として機能するように構成されている。
図12は、排気ガスと熱電変換素子12との間での熱伝達係数と、熱電変換素子12の基準位置(n型半導体部12aの端面12aes)からの距離Lとの関係を表した図である。図12に示すように、熱伝達係数は、排気ガスが衝突する端面12aesを含むn型半導体部12aの端部12aeにおいて相対的に高くなる。この端部12aeの中で見ると、熱伝達係数は、端面12aesにおいて最も高くなり、端面12aesから離れるにつれて小さくなる。このため、端部12aeの全体を覆うように構成されたシールド50を備える本構成によれば、排気ガスが端部12ae(すなわち、バンドギャップエネルギが最も高い部位)に直接衝突しないようにすることができる。このため、端部12aeに対して集中的な入熱がなされることを好適に抑制できる。また、シールド50は断熱材として機能するように構成されているので、シールド50から端部12aeへの熱伝導をも抑制することができる。したがって、本構成によっても、既述した好ましくない態様での温度差の発生を好適に抑制することができる。
なお、シールド50は、端部12aeのうちの少なくとも端面12aesを覆う態様で構成されていれば、端面12aesと接触しない態様で設置されていてもよい。この態様でシールド50が備えられている場合であっても、排気ガスが端面12aesに直接衝突するのを抑制することができるので、端面12aesへの集中的な入熱を抑制することができる。端面12aesと接触しない態様でシールド50を備える場合には、シールド50の熱伝導率が熱電変換素子12の熱伝導率よりも低いことまでは必ずしも必要とされない。
また、図11に示す構成の対象となる熱電変換素子12の数は、1つに限られず、図11中に示す熱電変換素子12よりも下流側において、当該熱電変換素子12と同じ向きで設置される他の複数の熱電変換素子12が、図11中に示す熱電変換素子12とともに電極26を介して直列かつ棒状に積層されていてもよい。また、図11に示す構成は、p型半導体部12bの端面12besが排気ガスの流れと対向するという態様で排気ガスの流れの中に設置される場合にも同様に適用することができる。
次に、図13は、図2に示す熱電変換素子12の他の積層手法を説明するための図である。図13に示す熱電変換モジュール60は、ハウジング62の主ハウジング62a内に収容される素子積層体64を備えている。素子積層体64を構成する各熱電変換素子12は、ハウジング62の内部において、n型半導体部12aの端面12aesが排気ガスの流れに対向するという態様で設置されている。そして、本構成においても、実施の形態1の熱電変換モジュール16と同様に、排気ガスの流れ方向Fにおいて素子積層体64よりも上流側に位置するハウジング62の部位がシールド62bとして構成されている。また、実施の形態1と同様に、シールド62bは、熱電変換素子12および主ハウジング62aのそれぞれの熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するように構成されている。
図13に示す構成では、正極として機能するp型半導体部12bの端面12bes同士が電極66によって電気的に接続されており、負極として機能するn型半導体部12aの端面12aes同士が電極68によって電気的に接続されている。複数の熱電変換素子12を積層して素子積層体を形成する場合には、上述の他の例のように熱電変換素子12を直列に接続するものに限られず、図13に示す構成のように熱電変換素子12を並列に接続してもよい。また、複数の熱電変換素子12を積層する場合には、直列接続と並列接続とを適宜組み合わせてもよい。
また、以上説明した各実施の形態の例および他の各変形例は、明示した組み合わせ以外にも可能な範囲内で適宜組み合わせてもよいし、また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形してもよい。
1 内燃機関
2 排気管
10、40 発電装置
12 熱電変換素子
12a n型半導体部
12ae n型半導体部における真性半導体部と反対側の端部
12aes n型半導体部における真性半導体部と反対側の端面
12b p型半導体部
12be p型半導体部における真性半導体部と反対側の端部
12bes p型半導体部における真性半導体部と反対側の端面
12c 真性半導体部
14、64 素子積層体
16、60 熱電変換モジュール
18、42 電気回路
20 スイッチ
22 電装部品
24 電子制御ユニット(ECU)
26、66、68 電極
28、62 熱電変換モジュールのハウジング
28a、62a 主ハウジング
28a1、28a2 主ハウジングの壁部
28b、50、62b シールド
30 絶縁部材
44 スペース

Claims (6)

  1. n型半導体部と、p型半導体部と、前記n型半導体部と前記p型半導体部との間に位置する真性半導体部とを有し、前記真性半導体部のバンドギャップエネルギが前記n型半導体部および前記p型半導体部のバンドギャップエネルギよりも低くなるように構成された熱電変換素子を備え、
    前記熱電変換素子に熱を供給する流体が流れる流路を有する車両に適用される発電装置であって、
    前記熱電変換素子は、前記n型半導体部もしくは前記p型半導体部における前記真性半導体部と反対側の端面が前記流体の流れに対向するという態様で、前記流路内に設置され、
    前記発電装置は、前記端面を覆うように設置されたシールドをさらに備えることを特徴とする車両の発電装置。
  2. 前記シールドは、前記端面に接触する態様で前記端面を覆い、かつ、前記熱電変換素子の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の発電装置。
  3. 前記熱電変換素子は、前記流体の流れに対して並行に設置された第1の熱電変換素子および第2の熱電変換素子を含み、
    前記シールドは、前記第1の熱電変換素子の前記端面および前記第2の熱電変換素子の前記端面のそれぞれを覆うように設置され、
    前記第1の熱電変換素子と前記第2の熱電変換素子との間には、前記流路の一部として機能するスペースが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両の発電装置。
  4. 前記発電装置は、前記熱電変換素子を熱電変換モジュールとして備えており、
    前記熱電変換モジュールは、複数の前記熱電変換素子を電気的に接続して得られる素子積層体をハウジングに収容して得られるものであり、
    前記素子積層体を構成する複数の前記熱電変換素子のうちの少なくとも前記流体の流れ方向の最上流側に位置する前記熱電変換素子が、前記端面が前記流体の流れに対向するという前記態様で前記流路内に設置されており、
    前記シールドは、前記流体の流れ方向において前記素子積層体よりも上流側に位置する前記ハウジングの部位として構成されており、
    前記シールドは、前記ハウジングの前記部位以外の部位の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の発電装置。
  5. 前記発電装置は、前記熱電変換モジュールを複数有し、
    複数の前記熱電変換モジュールは、前記流体の流れに対して並行に設置されており、
    前記シールドは、複数の前記熱電変換モジュールのそれぞれの前記ハウジングにおいて、前記流体の流れ方向において前記素子積層体よりも上流側に位置する前記部位として構成されており、
    複数の前記熱電変換モジュールのそれぞれの前記ハウジングの間には、前記流路の一部として機能するスペースが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両の発電装置。
  6. 前記流路は前記車両に搭載される内燃機関の排気管であり、前記流体は前記排気管を流れる排気ガスであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の車両の発電装置。
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