JPH08250755A - 太陽電池 - Google Patents

太陽電池

Info

Publication number
JPH08250755A
JPH08250755A JP7055764A JP5576495A JPH08250755A JP H08250755 A JPH08250755 A JP H08250755A JP 7055764 A JP7055764 A JP 7055764A JP 5576495 A JP5576495 A JP 5576495A JP H08250755 A JPH08250755 A JP H08250755A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
energy
electron trap
solar cell
band
semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7055764A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Matsumura
英樹 松村
Hiroto Kasai
弘人 河西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Research Development Corp of Japan filed Critical Research Development Corp of Japan
Priority to JP7055764A priority Critical patent/JPH08250755A/ja
Publication of JPH08250755A publication Critical patent/JPH08250755A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 太陽電池に関し,電子トラップにより高効率
にエネルギー変換することを目的とする。 【構成】 半導体太陽電池において,空乏層中にエネル
ギーバンドギャップ内のエネルギー準位で電子トラップ
を導入し,その電子トラップを介した2段階光励起によ
り半導体のエネルギーバンドギャップのエネルギーより
小さいエネルギーの波長光により起電力を発生し,エネ
ルギーバンドギャップのエネルギーより小さいエネルギ
ーの波長光およびエネルギーバンドギャップより大きい
エネルギーの波長光により起電力を発生する構成を持
つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,高効率の太陽電池に関
する。太陽電池のエネルギー変換効率を向上させるため
に様々な改良がなされてきた。半導体太陽電池のエネル
ギー変換効率を向上させるためには太陽光を広範囲に利
用する必要がある。そのため,バンドギャップの異なる
半導体を重ね合わせ,広範囲の太陽光スペクトルを利用
できるようにする等の様々な検討がなされてきた。
【0002】本発明は電子トラップの導入により長波長
光をも有効に起電力に作用できるようにした高効率の太
陽電池に関するものである。
【0003】
【従来の技術】1992年には中国の半導体研究所のJi
anming Li 等により, 結晶シリコンに水素イオンを注入
して結晶欠陥を導入し,欠陥が作る電子トラップを介し
た2 段階光励起により, 太陽電池の効率を向上させるこ
とができると報告された(Jianming Li et al., "35 %
efficient nonconcentrating novel sillicon solar ce
ll" , Applied Physics Letters,60,(May,1992), 224
0)。
【0004】この報告に関しては,1993年に,C.
Summonte et al., "Spectral behavior of solar cells
based on the "junction near local defect layer" d
esign " ,Applied Physics Letters,63,(August,1993),
785) 等で疑問が提出されたが,真偽はともかくとし
て,電子トラップをバンドギャップ中に導入して太陽電
池の効率を向上させる試みがなされている。
【0005】しかし,1992年の前述の論文に対して
異例の反論が提出されたことからもわかるように,電子
トラップを導入することにより太陽電池の効率を向上さ
せること自体に疑問も持たれていた。
【0006】このように電子トラップの導入により太陽
電池の効率を向上させることに対する効果の有無が議論
される根本的原因は,電子トラップの導入に関し,ある
種の条件が必要であるとの認識がいままでの報告では示
されてなく,そのために有効に電子トラップを導入する
ための条件が欠如していたことにあると考えられる。
【0007】例えば,上記のJianming Li 等の報告では
その図1に示されるように,欠陥による電子トラップの
位置を,pn接合の近傍でその外側に設定している。ま
た,1993年には,オーストラリア国,ニューサウス
ウエールズ大学のM.J Keevers等は結晶シリ
コン太陽電池に深いトラップ準位を持つインジウムを導
入し,その準位を介する電子の2段階励起により,太陽
電池の効率を向上させる可能性を理論的に検討している
(M.J.Keevers and M.A. Green, "Efficiencyimproveme
nts of silicon solar cells by the impurity photovo
ltaic effect", Proceeding of 23rd IEEE Photovoltai
c Specialist Conference, 1993, p140 ) 。しかし,こ
の報告は,その図3にも明確に示されるように,電子ト
ラップを結晶全体に導入することを想定したものであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は,電子ト
ラップの導入によりエネルギー変換効率を向上させるた
めには,本明細書に開示するように電子トラップを空乏
層中にのみ空間的に限定する必要があり,そのように限
定的に導入することによってのみ効果を生じることを今
回見出した。しかし,従来の報告は,電子トラップの導
入位置と効率の関係については提案されてなく,電子ト
ラップの導入により十分な効果が得られてなかった。
【0009】本発明は,電子トラップの導入により高効
率にエネルギー変換できる太陽電池を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は, 電子トラ
ップの導入されるべき空間的位置, 電子トラップの
エネルギーレベルについて有効な条件を求め,太陽電池
の効率を向上させるようにした。
【0011】即ち,本発明は,半導体太陽電池において
空乏層中にエネルギーバンドギャップ内のエネルギー準
位で電子トラップを導入し,その電子トラップを介した
2段階光励起により半導体のエネルギーバンドギャップ
のエネルギーより小さいエネルギーの波長光により起電
力を発生し,エネルギーバンドギャップのエネルギーよ
り小さいエネルギーの該波長光およびエネルギーバンド
ギャップのエネルギーより大きいエネルギーの波長光に
より起電力を発生するようにした。
【0012】図1は本発明の原理図である。図1 (a)は
太陽電池のpn接合のエネルギーバンド構造であり,本
発明の電子トラップの空間的配置を示す図である。
【0013】図1 (a)において,1はp型領域である。
2はn型領域である。
【0014】3はpn接合の空乏層である。11はp型
領域の伝導帯である。12はp型領域の価電子帯であ
る。
【0015】13はエネルギーバンドギャップである。
21はn型領域の伝導帯である。22はn型領域の価電
子帯である。
【0016】23はエネルギーバンドギャップである。
25は電子トラップである。本発明は,図1 (a),図1
(b)に示すように空乏層3の中にのみ空間的に限定して
エネルギーバンドギャップ13内のエネルギー準位で電
子トラップ25を導入し,その電子トラップを介した2
段階光励起により半導体のエネルギーバンドギャップの
エネルギーより小さいエネルギーの長波長光を発電に寄
与させるようにしたものである。
【0017】図1 (b)はp−i−n型太陽電池のエネル
ギーバンドモデルである。図1 (b)は説明を簡単にする
ために電子トラップが一つのエネルギー準位を持つ場合
を例として示す。
【0018】図1 (b)において,Ec は伝導帯の底のエ
ネルギー準位である。Ev は価電子帯の上面のエネルギ
ー準位である。
【0019】Et は電子トラップのエネルギー準位であ
る。Eg はバンドギャップのエネルギーである。1は電
子が電子トラップから伝導帯に熱励起される過程を表
す。
【0020】2は伝導帯にある電子が電子トラップに捕
獲されて落ち込む過程を表す。3は価電子帯にある電子
が電子トラップまで熱励起される過程を表す。4は電子
トラップにある電子が価電子帯に落ち込む過程を表す。
【0021】5は価電子帯にある電子が光により直接伝
導帯まで励起される過程を表す。6は価電子帯にある電
子が光により電子トラップまで励起される過程を表す。
7は電子トラップにある電子が光により伝導帯まで励起
される過程を表す。
【0022】従来の太陽電池では電子トラップがなかっ
たので,伝導帯から価電子帯への過程5による光励起で
しか起電力を生じなかったので,太陽光線のうち(Ec
−E v )以上のエネルギーを持つ光のみしか利用されて
いなかった。しかし,本発明では,伝導帯から価電子帯
への過程6により一度電子トラップまで光励起された
後,過程7により伝導帯に光励起される2段階光励起に
よる電子も発電に寄与するので,従来利用されていなか
った(Ec −Ev )以下のエネルギーの太陽光も新たに
利用できるようになる。そのため,本発明によれば太陽
エネルギーの電気への変化効率を向上させることができ
る。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕本発明のように新たに電子トラップを導入
することにより,光励起の過程も追加されるが,例え
ば,伝導帯の電子と価電子帯の正孔が電子トラップにお
いて再結合することにも関与する。そのため,電子トラ
ップの導入により太陽電池の効率を向上させるために
は,再結合の過程より過程6,7による2段階励起の確
率の方を大きくする必要がある。
【0024】この再結合の確率は, 伝導帯の電子密度n,価電子帯の正孔密度pが大き
くなると増大する。 電子トラップのエネルギーEtがバンドギャップ中
央,つまり(Ec +Ev )/2付近で最大となる。
【0025】つまり,nを一定にするとEtがバンドギ
ャップ中央からある値だけ離れていれば,再結合によっ
て失われる確率より過程6,7による2段階励起の確率
の方を大きくすることも可能となり,結果として,電子
トラップの導入により太陽電池の効率の向上を計ること
ができる。
【0026】そこで,電子トラップレベルと電子の遷移
確率について考察する(図2を参照する)。図2は本発
明の電子トラップを導入する位置の実施例を示す図であ
る。
【0027】図2 (a)は電子の遷移確率の説明図であ
る。図2 (b)はシミュレーションにより求めた再結合帯
を示す。図2 (a)において,ra は電子が伝導帯から電
子トラップに再結合する確率である。
【0028】rb は電子トラップから伝導帯への電子が
熱的に励起される遷移確率である。rc は電子が電子ト
ラップから価電子帯へ再結合する確率である。rd は電
子が価電子帯から電子トラップに熱的に励起される遷移
確率である。
【0029】以下における記号の意味は次の通りであ
る。Nt は電子トラップの密度である。Etは電子トラ
ップのエネルギー準位である。
【0030】fは電子が電子トラップを専有する確率で
ある。σは電子トラップが電子を捕獲する時の断面積で
ある。vは電子の運動速度である。
【0031】en は電子トラップから伝導帯に電子が熱
放出される率(=単位時間に単位体積当たり熱放出され
る電子の数)である。ep は価電子帯から電子トラップ
に電子が熱励起される率(=電子トラップのホールが価
電子帯に熱励起される率=単位時間に単位体積当たり価
電子帯からトラップに熱励起される電子の数)である。
【0032】以上に対して次の式が成立する。 ra =vσnNt (1−f) (1) rb =en t f (2) rc =vσpNt f (3) rd =ep t (1−f) (4) さらに,GL1を太陽光線により電子が価電子帯から電子
トラップに光励起される率(=単位時間に単位体積当た
り光励起される電子数)とする。
【0033】GL2を電子が電子トラップから伝導帯に光
励起される率とする。gL1を価電子帯の電子が電子トラ
ップに光励起される確率とする。gL2を電子トラップに
ある電子が伝導帯に光励起される確率とする。
【0034】この時, GL1=gL1t (1−f) (5) GL2=gL2t f (6) である。GL2は,太陽光線の照射下ではアモルファスシ
リコンの場合,約10(1/秒)から50(1/秒)の
値である。
【0035】そこで,NC を伝導帯での実行状態密度と
する。Nv を価電子帯での実行状態密度とする。
【0036】Ec を伝導帯の底のエネルギーとする(前
述)。Ev を価電子帯の上面のエネルギーとする(前
述)。電子の専有確率fは近似的に次の式で表される。
【0037】
【数1】
【0038】ここで,Gnet を太陽光線により電子が電
子トラップを介して価電子帯に光励起される正味の率と
する。
【0039】GL を太陽光線により電子が価電子帯から
伝導帯に光励起される率とする。この時,図2 (a)から
わかるように, Gnet =GL +GL2−(ra −rb ) (8) の関係がある。
【0040】即ち,(8) 式の右辺のカッコ内の式は,熱
的に伝導帯の電子が電子トラップに捕獲されて再結合に
より失われる率を表している。そして,この(8) 式は価
電子帯から直に伝導帯に光励起される電子と電子トラッ
プを介して2段階光励起される電子の合計と再結合で失
われる電子の差を表している。
【0041】ここで,Gnetの値が負になるエネルギー
の領域を「再結合帯」と定義する。上記の(1) ,(3) 式
が伝導帯での電子密度n,価電子帯でのホール密度pの
関数であることから類推されるように,この再結合帯の
幅はnの関数である。。
【0042】上記のGnet をEt の関数とし,伝導帯の
電子密度をパラメータとして表すと,図2 (b)のように
なる。ここで,Nt =3×1018cm-3とし,gL2=2
2(1/sec)(実験値),GL =7×1020cm-3
sec-1(実験値),Nc =5×1019cm-3,Nv
5×1019cm-3,Eg=1.7evである。
【0043】ΔErec は再結合帯の幅である。伝導帯で
の電子密度が大きくなれば,それだけ伝導帯から熱的に
電子トラップに落ち込む電子の数が増えるから,図2
(b)に示すように再結合帯の幅も広がる。
【0044】図3 (a),図3 (b)は,本発明の再結合帯
を示す。図3 (a),図3 (b)において,31は伝導帯で
ある。
【0045】32は価電子帯である。33はエネルギー
ギャップである。35は電子トラップである。
【0046】36は再結合帯である。本実施例は,電子
トラップを空乏層中に導入するとともに,そのエネルギ
ー準位が,再結合帯の外側であって,バンドギャップの
内部にあるようにしたものである。図3 (a),図3 (b)
は,電子トラップを導入するそのエネルギーバンドギャ
ップ中のエネルギー準位をモデル的に示したものであ
る。
【0047】図4は,再結合帯の幅をgL2の関数として
表したものである。価電子帯から電子トラップに電子が
光励起される確率gL1がgL2に等しい場合と,極端にg
L1が小さいgL1=gL2/100の場合について再結合帯
の幅を示す。
【0048】前述したように,伝導帯での電子密度が大
きくなれば,それだけ伝導帯から熱的にトラップに落ち
込む電子数が増えるから,再結合帯の幅も広がる。すな
わち,nがある値以上では「再結合帯」の幅はエネルギ
ーバンドギャップの幅に等しくなり,もはや価電子帯か
ら2段階光励起により伝導帯に電子を励起する電子トラ
ップは存在しなくなる。図4の場合,例えば,nが10
14cm-3以上では再結合帯の幅はバンドギャップの値を
越えてしまい,電子トラップのエネルギー準位がいかな
る値であったとしても電子トラップの導入により太陽電
池の効率を向上できないことを表している。このような
比較的に電子密度が低い領域は,p−n型,p−i−n
型またはショットキーバリア型太陽電池の場合には,空
乏層領域に限られる。すなわち,本発明のように,電子
トラップを導入する位置を空乏層領域に空間的に限定す
ることはこの意味において重要なことである。また,た
とえ電子トラップの導入箇所が空乏層領域に限定された
としても,その電子トラップの持つエネルギー準位が本
発明で定義した再結合帯の外になければならない。従来
の電子トラップによる太陽電池の効率の提案は,これ等
の点についてはまったく示されてなかった。
【0049】また,図4はgL2の変化により再結合帯の
幅が大きくは変化しないことを示している。このことは
夕方頃や曇りの日などのように太陽光線が弱くなる結果
としてgL2が小さくなったとしても再結合帯の幅が大き
くは変化しないことを意味している。
【0050】図5は,バンドギャップEg=1.7e
V,i層の厚さが0.5μmのp−i−n型アモルファ
ス太陽電池において,Et −Ev =0.25eVのドナ
ー型電子トラップをi層の空乏層内に0.4μmの幅に
導入した場合の太陽電池の電流−電圧特性を電子トラッ
プを導入しない場合と比較して示したものである(エア
マス−1,光強度100mW/cm2 )。電子トラップ
の密度Nt=2×1018cm-3において,電子トラップ
を導入しない時には9.8%であったエネルギー変換効
率が17.6%に向上することが示されている。なお,
図5では示していないが,電子トラップの密度を増加さ
せると光電流はさらに増大し,太陽電池の効率は一層向
上する。
【0051】本発明の電子トラップのエネルギー準位の
条件を満たす不純物としては,結晶シリコンおよび多結
晶シリコンを用いて作る太陽電池の場合,伝導帯のエネ
ルギーEc の下の0.21eVに準位を作るチタン,
0.25eVに準位を作る炭素等が挙げられる。
【0052】図6は本発明の電子トラップにする不純物
の例であって,本発明の条件を満足することのできる不
純物とエネルギー準位の関係を示したものである。本発
明の不純物のエネルギー準位は一つだけでなく,図6の
炭素のように複数の準位を作るものでも良い。
【0053】〔実施例2〕これらの不純物(電子トラッ
プ)の作る準位は電子を捕獲したり放出したりすること
により,一般的にはその電荷を変えるものである(例え
ば,ドナー不純物は電子を伝導帯に放出して,自身は正
に帯電する)。このように,本発明により電子トラップ
を導入した時,不純物(電子トラップ)がつくる電荷が
新たに加わることにより,その空乏層自体が変化してし
まうこともある。例えば,インジウムを導入したとする
と,それはアクセプターとして働くので,そのままでは
その部分のp型濃度を上げてしまうことになる。その結
果,もし空乏層のつもりでインジウムを導入した場所が
空乏層の外の領域に入ってしまうと,結果的には太陽電
池の効率を低下させることになる。
【0054】そのために,本実施例では,2段階光励起
を起こさせる電子トラップと空乏層における同じ位置
に,電子トラップの作る空間電荷を打ち消す空間電荷を
生じ,かつ再結合帯の外であって空乏層中にエネルギー
準位のある電子トラップを空乏層中に導入する。そのよ
うにして,電子トラップの作る空間電荷を補償すること
により電子トラップが生起する空間電荷の作る空乏層中
での電界分布が太陽電池の効率を低下させることがない
ようにし,かつ空乏層を消滅させることのないようにし
た。
【0055】そのための具体的な電子トラップの導入
は,アモルファスシリコンを基本材料とする場合,電子
トラップを生じさせる不純物を含むガスを堆積時に原料
ガスと一緒に導入することで実現することができる。結
晶シリコン,多結晶シリコンの場合も同様に材料形成時
に導入できるが,材料を作った後に,イオン注入法,ま
たは拡散法により導入しても良い。
【0056】例えば,結晶シリコンに200keVでイ
ンジウムを1013cm- 2 イオン注入し,リンを70k
eVで1011cm-2イオン注入して900°Cで20分
熱処理する。
【0057】上記において,半導体は,Si,Ge等の
単体の結晶半導体,多結晶半導体,非晶質半導体,もし
くは,SiCのような周期表4族の複数の元素により構
成される半導体,あるいはGaAsのような周期表3族
と5族の化合物半導体,CdTeのような2族と4族の
化合物半導体Cu2 Oのような金属酸化物半導体あるい
はCuInSeのような3元の化合物半導体等のどのよ
うな材料の太陽電池に対しても適用できるものである。
【0058】また,本発明は,PN接合型太陽電池,P
IN型太陽電池,ショットキーバリヤー型太陽電池等の
どのような太陽電池に対しても適用できるものである。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば,電子トラップを導入す
る位置を空乏層中に限定したので太陽電池の効率を向上
させることができる。また,電子トラップのエネルギー
準位をエネルギーバンドギャップ内において,再結合帯
の外にあるようにしたので電子トラップを導入したこと
により太陽電池の効率を確実に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】本発明の電子トラップの導入する位置の実施例
を示す図である。
【図3】本発明の電子トラップの導入方法の実施例を示
す図である。
【図4】本発明の太陽電池の光励起確率gL2に対する再
結合帯の幅の関係を示す図である。
【図5】本発明の太陽電池と従来の太陽電池の電流−電
圧特性の比較を示す図である。
【図6】本発明の電子トラップにする不純物の例を示す
図である。
【符号の説明】
1:p型領域 2:n型領域 3:空乏層 11:p型領域の伝導帯 12:p型領域の価電子帯 13:p型領域のエネルギーバンドギャップ 21:p型領域の伝導帯 22:p型領域の価電子帯 23:p型領域のエネルギーバンドギャップ 25:電子トラップ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体太陽電池において,空乏層中に対
    してエネルギーバンドギャップ内にエネルギー準位を持
    つ電子トラップを導入し,該電子トラップを介した2段
    階光励起により半導体のエネルギーバンドギャップのエ
    ネルギーより小さいエネルギーの波長光により起電力を
    発生し,エネルギーバンドギャップのエネルギーより小
    さい該波長光およびエネルギーバンドギャップより大き
    いエネルギーの波長光により光励起することを特徴とす
    る太陽電池。
  2. 【請求項2】 エネルギーバンドギャップ内の帯幅であ
    って,電子トラップのエネルギー準位がその帯幅の中に
    ある場合には電子と正孔の電子トラップをを介する再結
    合の確率の方が電子の2段階光励起の確率より大きくな
    る帯幅である再結合帯に対して,電子トラップのエネル
    ギー準位が該再結合帯の外側であって,バンドギャップ
    の内部にあることを特徴とする請求項1に記載の太陽電
    池。
  3. 【請求項3】 2段階光励起を起こさせる電子トラップ
    と空乏層における同じ位置に,電子トラップの作る空間
    電荷を補償する他の電子トラップを導入することを特徴
    とする請求項1もしくは2に記載の太陽電池。
  4. 【請求項4】 電子トラップの準位が1もしくは2以上
    であることを特徴とする請求項1,2もしくは3に記載
    の太陽電池。
  5. 【請求項5】 半導体が結晶シリコンまたは多結晶シリ
    コンまたは非晶質シリコン等の周期表4族の単体の半導
    体,および周期表4族同士の複数元素よりなる半導体,
    および3族と5族による化合物半導体および2族と6族
    による半導体もしくは金属酸化物半導体を含む化合物半
    導体であることを特徴とする請求項1,2,3もしくは
    4に記載の太陽電池。
  6. 【請求項6】 PN接合型太陽電池,もしくはPIN接
    合型太陽電池,もしくはショットキーバリヤー型太陽電
    池であることを特徴とする請求項1,2,3,4もしく
    は5に記載の太陽電池。
JP7055764A 1995-03-15 1995-03-15 太陽電池 Pending JPH08250755A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7055764A JPH08250755A (ja) 1995-03-15 1995-03-15 太陽電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7055764A JPH08250755A (ja) 1995-03-15 1995-03-15 太陽電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08250755A true JPH08250755A (ja) 1996-09-27

Family

ID=13007929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7055764A Pending JPH08250755A (ja) 1995-03-15 1995-03-15 太陽電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08250755A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006210567A (ja) * 2005-01-27 2006-08-10 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 光起電力素子及び太陽電池
JP2007503130A (ja) * 2003-05-29 2007-02-15 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 不純物に基づく導波路検出器
JP2008518449A (ja) * 2004-10-26 2008-05-29 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 光起電力活性半導体材料を有する光起電力セル
JP2017135157A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 トヨタ自動車株式会社 車両の発電装置
JP2017135152A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 トヨタ自動車株式会社 車両の発電装置
JP2017135160A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 トヨタ自動車株式会社 車両の発電装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007503130A (ja) * 2003-05-29 2007-02-15 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 不純物に基づく導波路検出器
JP2008518449A (ja) * 2004-10-26 2008-05-29 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 光起電力活性半導体材料を有する光起電力セル
JP2006210567A (ja) * 2005-01-27 2006-08-10 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 光起電力素子及び太陽電池
JP2017135157A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 トヨタ自動車株式会社 車両の発電装置
JP2017135152A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 トヨタ自動車株式会社 車両の発電装置
JP2017135160A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 トヨタ自動車株式会社 車両の発電装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11257973B2 (en) Method for passing photovoltaic current between a subcell formed from a group II-VI semiconductor material and a subcell formed from a group IV semiconductor material
JP3223102B2 (ja) 太陽電池セルおよびその製造方法
US5496415A (en) Concentrator solar cell having a multi-quantum well system in the depletion region of the cell
CN109860325B (zh) 一种砷化物多结太阳能电池及其制作方法
JP4324214B2 (ja) 光起電力素子
TW201029197A (en) Surrogate substrates for inverted metamorphic multijunction solar cells
WO1995013626A1 (en) High efficiency solar cell
TW201251083A (en) Patterned doping for polysilicon emitter solar cells
JP2002208719A (ja) シリコン太陽電池
Shvarts et al. Radiation resistant AlGaAs/GaAs concentrator solar cells with internal Bragg reflector
US20130048070A1 (en) Tunnel photovoltaic
RU2539102C1 (ru) Многопереходный солнечный элемент
CA1053353A (en) High voltage high current schottky barrier solar cell
RU2377695C1 (ru) Полупроводниковый фотопреобразователь и способ его изготовления
JPH08250755A (ja) 太陽電池
JP6385720B2 (ja) 高変換効率太陽電池およびその調製方法
JPS59175170A (ja) タンデム型太陽電池
US9842957B1 (en) AlGaAs/GaAs solar cell with back-surface alternating contacts (GaAs BAC solar cell)
US10566491B2 (en) Solar cell using quantum dots and method of fabricating same
KR20120002220A (ko) 태양전지용 하향변환 산화물 형광체 조성물 및 이를 이용한 고효율 태양전지의 제조방법
JPH11103080A (ja) 太陽電池
JP2005136333A (ja) 集光型太陽電池およびこれを含む化合物半導体太陽電池の製造方法
Kuznicki Multi-interface novel devices: model with a continuous substructure
Hossain et al. Solar Photovoltaics
WO2012173619A1 (en) Tunnel heterojunctions in group iv / goup ii-vi multijunction solar cells

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060515

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060822