JPH06151978A - 熱電発電体 - Google Patents
熱電発電体Info
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Abstract
電体を構成する半導体層内に熱貫流が発生する事なく、
これにより熱効率を大幅に改善可能な熱電発電体を提供
する事にある。 【構成】 本発明は、前記従来技術の様に半導体単独で
熱電発電体を形成する事なく、半導体層を仕事関数値を
異にする金属体A及びBとの間に接触挟持させ、更に前
記金属体との接触により半導体層に形成されるオーミッ
ク接触乃至ショットキー障壁により前記半導体内にエネ
ルギーバンドの傾斜を生成する事を特徴とする。
Description
に太陽熱を受熱して起電力を生成可能な熱電発電体に関
する。
熱電発電素子が実用化され僻地用電源その他の種々の分
野で汎用的に用いられている。しかしながら既存のゼー
ベック効果を利用した熱電発電素子は熱効率が最大18
%以下と低く、この熱効率の向上の為に多くの改良努力
がなされているが、依然として根本的な解決には遠いの
が現状である。又、この熱効率が低いために、前記熱電
発電素子を太陽熱発電用電池に適用した場合に、所望の
電力を得るための設置コストが大になり、この面での実
用化への試みは従来、ほとんどなされていないのが実情
である。しかしながら太陽電池はその形態が光利用であ
れ、また熱利用であれ、他の火力発電や原子力発電等に
比較して安全上からも極めて有効な発電体であり、又自
動車等のエネルギー源として搭載した場合においても化
石燃料を使用せず又その排気ガスも存在しないために、
現在の様に地球規模で環境エコロジーが叫ばれている現
在、種々の面でその大規模な普及が強く要請されてい
る。このような社会的要請から若し前記熱電発電素子の
熱効率が例えば30%を越える程に高くなれば、太陽熱
利用を含めて熱電発電方式の用途及びその普及は飛躍的
に広がるであろう。
果に基礎を置く熱電発電素子の熱効率が低い最大の理由
を以下に詳説する。ゼーベック効果に基礎を置く熱電発
電素子(以下ゼーベック素子という)では、熱起電力を
発生させるためには、その両極に温度差が必要である。
即ち、温度差によりキャリア濃度の差を生じさせ、その
結果としてキャリアの拡散移動、そしてフェルミレベル
の傾斜を生じ起電力を発生させるものである。一方、前
記素子両端に温度差が存在することの必然の結果とし
て、素子内に高温側から低い低温側に向う熱貫流が発生
する。一般にこの貫流熱量は、ペルチェ効果に基づく発
熱量やや吸熱量、或いは抵抗発熱量より大きく、この為
かかる貫流熱量の存在が前記熱電発電素子の熱効率を悪
くする最大要因となっている。
子について図示すると図1のようになる。尚、図中Eは
正孔h+のエネルギー、EFはフェルミエネルギーレベ
ル、fhHは高温側の正孔h+の分布関数、fhLは低温側
の正孔h+の分布関数、CBは伝導帯、VBは価電子
帯、Hは高温側の正孔h+(キャリア)濃度、Lは低温
側の正孔h+濃度である。同図より明らかなように、従
来のゼーベック素子においては、前記素子両極における
キャリヤの濃度差を生ぜしめる為に、温度差を与える必
要があり、これが熱効率を悪くする為の最大の要因とな
っている。
に、両極が等温の状態で起電力が発生可能な熱電発電体
を提供する事を目的とする。本発明の他の目的は、前記
結果として前記発電体を構成する半導体層内に熱貫流が
発生する事なく、これにより熱効率を大幅に改善可能な
熱電発電体を提供する事を目的としている。
の様に半導体単独で熱電発電体を形成する事なく、半導
体層を仕事関数値を異にする金属体A及びBとの間に接
触挟持させた点を第1の特徴とする。本発明の第2の特
徴は、金属体A,Bとの接触により半導体層Cに形成さ
れるオーミック接触乃至ショットキー障壁により前記半
導体装C内にエネルギーバンドの傾斜を生成する事を特
徴とする。この場合前記エネルギーバンドの傾斜の形状
は変曲点を有さず、単調な形状である必要がある。そし
てこのような単調形状のエネルギーバンドは、金属体
A、B、及び半導体層C夫々の仕事関数値を下記式1)
を満足するように設定することにより容易に達成され
る。 φA>φSC>φB …1) φA:金属体Aの仕事関数 φB:金属体Bの仕事関数 φSC:半導体層Cの仕事関数
に対して充分な状態であることを確実にするためには、
電子については伝導帯の高いエネルギー部が、電子の分
布関数のほじ零点に対応するエネルギーレベルより上位
に位置していること、また正孔については価電子帯の高
エネルギー部が、正孔の分布関数のほじ零点対応するエ
ネルギーレベルより上位に位置していることが必要であ
る。感覚的には、予件における励起電子及び正孔の存在
可能領域をキャリヤプールに見立てて、伝導帯及び価電
子帯の高エネルギー部が、夫々のキャリヤプールから露
出する条件を作ることが必要である。このような露出
は、 φA−φSC≧0.1eVかつ φSC−φB≧0.1eV の2条件を満たすことにより実現される。更に、熱励起
を確実にするために、真性半導体を使用する場合は、バ
ンドギャップEgが、 0.6eV>Eg≧0.2eV …2) n形半導体を使用する場合は、フェルミレベルをEFと
して、 Eg−EF≦0.2eV …3) p形半導体を使用する場合、 EF≦0.2eV …4) の範囲にあることが必要である。Egについて、全体に
共通する条件は、 1.2>Eg≧0.2eV …5)である。
ルの傾斜を生じさせ、両端面間に電位差を発生させるに
は、 I .伝導帯に電子e-が励起されて一方向に移動す
る。 II .価電子帯に正孔h+が励起されて一方向に移動す
る。 III .その結果として、両端面即ち両極において、熱平
衡状態からのキャリヤ過剰若しくは不足状態を作り出す
ことが必要である。 ここで上記I、IIが単独に起きても良いが、I、IIが一
緒に且つ逆向きに起きるのが望ましい。Seeback
素子の場合には一般にキャリヤの移動を起こさせる原動
力は、各エネルギーバンドの両端面におけるキャリヤの
濃度差である。この濃度差が充分に大きければ、エネル
ギーバンドの傾斜に抗して、キャリヤ移動が起こり得
る。この事は図1からも明らかである。
ギーバンドの傾斜であり、より具体的には、光発電素子
における電荷分離の基本を成す原動力である。図2にそ
の具体的な作用を示し、pn接合した半導体に、そのバ
ンドギャップより大きいエネルギーを持つ光をp形半導
体側より入射させた場合の、電子e-・正孔h+対の発生
及びその分離の状況を示し,Wはn形半導体側に発生す
る起電力、FBはフェルミエネルギーレベルである。
尚、本図に示すような価電子帯から伝導帯への電子e-
励起は熱によっても起きる。そして、エネルギーバンド
に傾斜がある場合には、伝導帯に登った電子e-及び価
電子帯に生成した正孔h+hは夫々、エネルギーバンド
の傾斜の作用を受けて対極に向けて移動し、フェルミレ
ベルの傾斜即ち起電力を発生することになる。 ここで
大きな問題は、如何にして、より具体的には両極が等温
の状態でエネルギーバンドに傾斜を生じさせるかであ
る。
させるには用うべき半導体のバンドギャップが小さくな
れなければならない。何故なら図3に示されるように、
温度Tの与件において、バンドギャップの大きい半導体
においては、伝導帯及び価電子帯のキャリヤ濃度が小さ
くなり、電導度が不充分になってしまうからである。
ップが小さい半導体ではpn接合によって、エネルギー
バンドの傾斜を作り出すことができない。そこで本発明
では、半導体面と金属面とを接触させる場合に半導体層
Cに形成されるオーミック接触及び至ショットキー障壁
によって、半導体層C内にエネルギーバンドの傾斜を作
り出す事により前記課題の解決を計っている。而もエネ
ルギーバンド1の傾斜の形状は図4に示すように、単調
な形でなければならない。この単調な傾斜を持つエネル
ギーバンド1を作り上げるための条件として本発明はは
下記式を満足する必要がある事を知見した。 φA>φSC>φB …1) φA:金属Aの仕事関数 φB:金属Bの仕事関数 φSC:半導体層の仕事関数 このエネルギーバンド1を持つ素子を加熱すると熱励起
により伝導帯に電子e-が登る。
が電子プールepに埋っていない領域(Z領域)の伝導
帯に励起された電子e-は、エネルギーバンド1の傾斜
の作用により右方の電子プールep中に移動し、他方同
様にして正孔h+のプールhpも大きくなり、斯くし
て、半導体層C内部においてフェルミレベルの傾斜、そ
して起電力を発生する。仕事関数の間の関係について、
もう一つ条件が必要である。それは、エネルギーバンド
1における高エネルギー部1hが電子プールepに埋ら
ないで、露出しており、また同様にしてエネルギーバン
ド2における高エネルギー部2hが正孔プールhpに埋
らないで露出しているべきことである。尚、図4(B)
に示すように、伝導帯のエネルギーバンド1の最高値を
E0 とする。
ィラック統計に従っており、その分布関数fe(E)
は、 の式で表す事が出来る。
(E)≒0を与えるEの値をE* とする。T0 =400
Kとして、E* −EF≒0.25eVである。即ち、4
00Kで作動する本発明に係わる熱電発電体において
は、伝導帯のエネルギーバンドの高エネルギー部1hが
電子プールepから露出しているためには、エネルギー
バンド1の最高値をE0として、 E0−EF>0.25eV でなければならない。更に、 真性半導体の場合、E0−EF=φA−φSC+(1/2)
Eg n形半導体の場合、E0−EF=φA−φSC+Eg−EF であるから、前出のEg≧0.2eV及至 Eg−EF<0.2eVの条件を加えて共通化すると、 φA−φSC>0.05eV 好ましくは、φA−φSC≧0.1eVの範囲に設定され
るのが良い。同様にして、φSC−φB≧0.1eVの範
囲に設定されることが必要である。
する。但しこの実施例に記載されている構成部品の材
質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない
限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨では
なく単なる説明例に過ぎない。図5は本発明の実施例に
係る熱電発電素子の概略斜視図を示し、仕事関数値を異
にする金属薄層A及びBとの間に、半導体層Cを接触挟
持させるとともに、金属薄層A及びBにリード線2を導
き出している。
Aを銅Cu薄層(仕事関数φCu:4.65eV)で、又
金属薄層BをアルミニウムAl薄層(仕事関数φAl:
4.28eV)で、更に半導体層Cを、真性シリコンウ
エーハ(仕事関数φI・Si=4.55eV)で形成し、半
導体層C内にエネルギーバンド1の傾斜が果たして発生
するか否かを確認するために、矢印の方向に太陽光を照
射し、起電力を測定した所、前記リード線の端子間に電
圧:25〜28mV、電流1.7〜2.1μAの起電力
が発生した。この結果から、前記素子の半導体層内にエ
ネルギーバンドの傾斜が存在していること、そして、太
陽光照射により発生した電荷対が分離して、起電力を発
生することが確認された。尚、本実施例の素子の大きさ
は30mm×25mmである。
電することを確認する為に、130℃のオイルバス中に
浸漬して、発生する起電力を測定した所、電圧:150
mV、電流:33μA、抵抗:4.5×103Ωの値を
得、これにより等温状態で発電することが確認された。
(実施例1) 尚、実施例1において発生する電流値が小さい理由は使
用した半導体層CがシリコンSiの為に、ハンドギャッ
プがEg=1.1eVと比較的大きく、この為150℃
という加熱状態では伝導帯に登っている電子e-の濃
度、及び価電子帯の正孔h+濃度が未だ低いためであ
る。
ネルギーバンド1の形が望ましいものになるべき条件で
ある。 φCu>φSC>φAl を満たす半導体層CとしてテルルTeを選定して、前記
実施例1と同様の構造に太陽電池素子を作製した。尚、
Teの電子物性はEg*0.32eV(300K)、φ
SC=4.3eVである。更に、本実施例においては電気
抵抗を大きくするもう一つの要因である各層接触面の抵
抗を低減させるべく、今回はTeの融液中にCuとAl
の薄板を浸漬する方法で、前記素子を作製した。(実施
例2) 尚、前記実施例2の素子の大きさは10mm×20mm
である。そして本実施例3に係る該素子を130℃のオ
イルバスに浸漬して、発生する起電力を測定した所、電
圧:100mV、電流:18mA、抵抗:5.5Ωの値
を得、これにより等温状態でこの構造の素子が充分に実
用的な発電能力を持つことを確認した。
熱効率を以て熱エネルギーを電力に変換することが可能
である。例えば、本発明の熱電発電素子を、太陽光を受
光して昇温状態にある熱箱に収納して発電させる場合、
通常の太陽電池を上回る発電能力を発揮させることが出
来る。更に、当該熱電発電素子を熱箱に入れるという面
倒さを回避すべく、室温で作動する太陽熱発電素子を、
Egの小さい半導体層Cを使用して構成することも可能
であり、これにより場所、搭載装置に限定する事なく、
而も低設置コストで新型の太陽電池を提供することがで
きる。等の種々の著効を有す。
びその問題点を示す説明図。
ギバンドの傾斜に基づく電荷分離の状況を示す説明図。
ャリア濃度、温度一定の場合の分布関数、状態密度等の
分布図を示す。
図を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】仕事関数値を異にする金属体A及びBとの
間に、半導体層を接触挟持させるとともに、該金属体と
の接触により半導体層に形成されるオーミック接触乃至
ショットキー障壁により前記半導体内にエネルギーバン
ドの傾斜を生成する事を特徴とする熱電発電体 - 【請求項2】前記エネルギーバンドにおいて、電子につ
いては伝導帯の高エネルギー部が、電子の分布関数のほ
じ零点に対応するエネルギーレベルより上位に位置して
いること、また正孔については、価電子帯の高エネルギ
ー部が、正孔の分布関数ほじ零点対応するエネルギーレ
ベルより上位に位置していることを特徴とする求項1記
載の熱電発電体 - 【請求項3】仕事関数値を異にする金属体A及びBとの
間に、半導体層を接触挟持させるとともに、該夫々の仕
事関数値を下記式を満足するように設定した事を特徴と
する熱電発電体 φA−φSC≧0.1eVかつ φSC−φB≧0.1eV φA:金属Aの仕事関数 φB:金属Bの仕事関数 φSC:半導体の仕事関数 - 【請求項4】 前記半導体のバンドギャップEgを、 1.2eV>Eg≧0.2eV の範囲に設定した事を特徴とする請求項3記載の熱電発
電体 - 【請求項5】前記半導体において、フェルミレベルをE
Fとして、 n形の場合 Eg−EF≦0.2eV p形の場合 EF≦0.2eV の範囲に設定した事を特徴とする請求項3記載の熱電発
電体
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- 1992-11-13 JP JP32874892A patent/JP3444501B2/ja not_active Expired - Lifetime
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