JP4896336B2 - エネルギー変換のための熱ダイオード - Google Patents

エネルギー変換のための熱ダイオード Download PDF

Info

Publication number
JP4896336B2
JP4896336B2 JP2001567024A JP2001567024A JP4896336B2 JP 4896336 B2 JP4896336 B2 JP 4896336B2 JP 2001567024 A JP2001567024 A JP 2001567024A JP 2001567024 A JP2001567024 A JP 2001567024A JP 4896336 B2 JP4896336 B2 JP 4896336B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emitter
collector
converter
region
gap region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001567024A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004523094A (ja
Inventor
エル.ヘイゲルスタイン ピーター
アール.クケロフ ヤン
Original Assignee
マイクロパワー グローバル リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US09/519,640 external-priority patent/US6489704B1/en
Priority claimed from US09/721,051 external-priority patent/US6396191B1/en
Application filed by マイクロパワー グローバル リミテッド filed Critical マイクロパワー グローバル リミテッド
Publication of JP2004523094A publication Critical patent/JP2004523094A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4896336B2 publication Critical patent/JP4896336B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J45/00Discharge tubes functioning as thermionic generators
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L29/00Semiconductor devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching and having potential barriers; Capacitors or resistors having potential barriers, e.g. a PN-junction depletion layer or carrier concentration layer; Details of semiconductor bodies or of electrodes thereof ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/66Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/86Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor controllable only by variation of the electric current supplied, or only the electric potential applied, to one or more of the electrodes carrying the current to be rectified, amplified, oscillated or switched
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N3/00Generators in which thermal or kinetic energy is converted into electrical energy by ionisation of a fluid and removal of the charge therefrom
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/10Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects operating with only the Peltier or Seebeck effects
    • H10N10/13Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects operating with only the Peltier or Seebeck effects characterised by the heat-exchanging means at the junction

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Bipolar Transistors (AREA)

Description

【0001】
(背景資料)
1.発明の分野
本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに、および電気エネルギーを冷却に変換することに関し、より詳細には、半導体ダイオード実装を用いる固体熱イオン変換器に関する。
【0002】
2.関連技術
熱イオンエネルギー変換は、熱イオン放出によって、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する方法である。このプロセスにおいて、金属を加熱し、そして、脱出するために金属の表面で妨害する力に打ち勝つように電子の一部に十分なエネルギーを加えることによって、電子が、金属の表面から熱イオン的に放出される。電気エネルギーを生成する他の多くの従来の方法とは異なり、熱イオン変換は、熱を電気に変換するために、電荷以外に、エネルギーの中間形態または作動流体を必要としない。
【0003】
その多くの基本的な形態において、従来の熱イオンエネルギー変換器は、熱源に接続された1つの電極と、熱シンクに接続され、かつ、介在する空間によって第1の電極から分離された第2の電極と、電極を電気的な負荷に接続するリードと、エンクロージャとからなる。エンクロージャ内の空間は、高度に排気されるか、または、セシウムなどの適切に希薄な気体で充填される。
【0004】
従来の熱イオン変換器における本質的なプロセスは、以下の通りである。熱源は、1つの電極すなわちエミッタに十分に高い温度で熱を供給し、エミッタから電子が、排気されたまたは希薄な気体で充填された電極間空間に、熱イオン的に蒸発される。電子は、この空間を通って他の電極すなわちコレクタに向かって移動し、コレクタは、熱シンクの空間の近くで低温に維持される。そこで、電子は濃縮され、外部電気的負荷およびエミッタとコレクタとの間に接続された電気的負荷を介して、高温電極へ戻る。
【0005】
従来の熱イオン変換器100の一実施形態は、図1に概略が示されている。一般に、これらの従来の装置は、エミッタ110すなわち低電子仕事関数カソードと、コレクタ112すなわち比較的より低温の高電子仕事関数アノードと、エンクロージャ114と、適切な導電体116と、外部負荷118とを備える。エミッタ110は、熱流120に露出され、熱流120は、このカソードに電子122を放出させ、このように電気回路を閉じて負荷118に電気的強度を与える。上述のように、従来の熱イオン変換器における電極間空間130は、排気された媒体または希薄な気体で充填された媒体である。
【0006】
電気的負荷を通る電子の流れは、電極間の温度差によって維持される。したがって、電気的な作用が負荷に与えられる。
【0007】
熱イオンエネルギー変換は、熱源と接触する低電子仕事関数カソードが、電子を放出する概念に基づく。これら電子は、低温の高仕事関数アノードによって吸収され、これら電子は、有用な作用を実行する外部負荷を通ってカソードに流れて戻ることができる。実際の熱イオン生成器は、カソードに使用される利用可能な金属または他の材料の仕事関数によって制限される。他の重要な制限は、空間電荷効果である。カソードとアノードとの間の空間における帯電された電子の存在は、熱イオン電流を低減する余分な電位障壁を作る。これらの制限は、最大電流密度に悪影響を与え、大規模な熱イオン変換器の発展における主要な問題を呈する。
【0008】
従来の熱イオン変換器は、一般に、真空変換器またはガス充填変換器として分類される。真空変換器は、電極間に排気された媒体を有する。これらの変換器は、制限された実際的な適用を有する。
【0009】
ガスで充填された変換器の第1の分類の実施形態は、正イオンを生成する電極間空間の気化された物質を与えられる。この気化された物質は、一般に、セシウム、カリウム、およびルビジウムなどの気化されたアルカリ金属である。これらの正イオンの存在のために、遊離された電子は、エミッタからコレクタへより容易に移動できる。これらのタイプの従来の装置におけるエミッタ温度は、正イオンを生成する物質の気化温度によって一部が決定される。これら従来の装置において有効なイオンの生成が達成されるなら、一般に、エミッタ温度は、正イオン生成物質の容器温度の少なくとも3.5倍であるべきである。
【0010】
ガスで充填された変換器の第2の分類の実施形態は、イオンを生成するために第3の電極を備える。これら従来の装置における電極間空間のガスは、ネオン、アルゴン、およびキセノンなどの不活性ガスである。これら変換器は、約1500Kなどのより低い温度で動作することができるが、これら変換器はより複雑である。
【0011】
一般の従来の熱イオンエミッタは、1400から2200Kの範囲の温度で動作し、コレクタは、500から1200Kの範囲の温度で動作する。動作の最適な条件の下で、エネルギー変換の全体効率は、5から40%の範囲であり、電力密度は1から100W/cm2の程度であり、電流密度は5から100A/cm2の程度である。一般に、エミッタ温度が高くなると、放射損失を考慮する構成で、効率と電力および電流密度が高くなる。電力が一般的な変換器の1つのユニットから得られる電圧は、0.3から1.2ボルトであり、すなわち、通常の電解質セルの電圧とほぼ同じである。高い電力定格を有する熱イオンシステムは、しばしば電気的に直列に接続された多数の熱イオン変換器ユニットからなる。各熱イオン変換器ユニットは、一般に10から500ワットの定格である。
【0012】
熱イオン変換器の高温特性は、特定の適用には有利であるが、他の適用には制限的である。これは、必要なエミッタ温度が、一般に多くの従来の熱源の実際の能力を超えているからである。対照的に、一般の熱イオン変換器は、500から1500Kの範囲の熱源温度で動作する。しかしながら、最適な条件の下でも、熱電子エネルギーの全体効率は、3から10%の範囲だけを変換し、電気的パワー密度は、通常数W/cm2より低く、および電流密度は、1から100A/cm2の程度である。
【0013】
物理的な観点から、熱電子装置は、熱イオン装置に類似している。両方の場合において、温度勾配が金属または半導体上に起こり、両方の場合とも電子運動が電流であるという概念に基づく。しかしながら、電子運動はまたエネルギーを運ぶ。強制された電流は、熱イオンおよび熱電子装置の両方に関してエネルギーを搬送する。熱電子と熱イオン装置との間の主な違いは、輸送機構にある。すなわち、熱イオンに関しては、衝撃的(ballistic)および拡散的(diffusive)な輸送であり、熱電子に関してはオーミックな輸送である。オーミックな流れは、微視的には拡散的であるが、巨視的にはそうではない。示差的な特徴は、過剰なキャリアが存在するかどうかである。熱電子において、通常キャリアは電流を請け負う。熱イオンにおいて、電流は、ギャップ内に過剰なキャリアが存在するためである。熱イオン装置は、電子がギャップを越えておよび横切って衝撃的に移動するなら、比較的高い効率を有する。熱イオン装置に関して、全ての運動エネルギーは、一方の電極から他方の電極へ搬送される。熱電子装置における電子の運動は、擬似平衡的でありかつオーミックであり、平衡パラメータであるSeebeck係数によって記述されることができる。
【0014】
狭い障壁を有する構造において、電子は、電子が障壁を横切るときに、衝突を被るのに十分なほど遠方へは移動しない。これらの状況の下、熱イオン放出理論の衝撃的バージョンは、電流輸送のより正確な表現である。電流密度は、以下の式によって与えられる。
【0015】
【数1】
Figure 0004896336
【0016】
ここで、A0はRichardsonの定数であり、ψは障壁高さ(電子仕事関数)であり、eは電子電荷であり、kBはボルツマン定数であり、Tは温度である。Richardsonの定数A0は、
【0017】
【数2】
Figure 0004896336
【0018】
によって与えられ、ここでmは有効電子質量であり、
【0019】
【数3】
Figure 0004896336
【0020】
は縮退されたプランク定数である。
【0021】
前述の電子電流密度等式は、上述される観察のいくつかを説明する量的な表現を与える。例えば、この放出電流に関する等式は、放出レートが温度とともに迅速に増加し、仕事関数とともに指数関数的に減少することを示す。
【0022】
前述の問題に対する解決方法は、真空変換器またはガスが充填された変換器によって、従来技術によって求められる。真空変換器で空間電荷効果を低減する試みは、マイクロメータの程度に電極間分離の低減を伴う。ガスで充填された変換器で空間電荷効果を低減する試みは、エミッタ前方の電子雲に正イオンの導入をもたらす。それにもかかわらず、これらの従来の装置は、最大電流密度および温度範囲を制限することに関連するなどの欠点を依然として有する。したがって、熱エネルギーを高い効率および高い電力密度でより低い温度範囲で電気エネルギーに変換する、より満足できる解決方法を提供する必要性が依然として存在している。
【0023】
(発明の概要)
本発明は、比較的に低い動作温度で、および市販の適用に関して十分に高い電力密度と効率で、熱エネルギーを電気エネルギーに効率的に変換する装置に関する必要性を満足するために展開した。本発明は、効率的な冷却を提供するために反転モードでも動作する。
【0024】
本発明は、上記に特定されるような背景技術において経験されるいくつかの問題を解決することを求める。より詳細には、本発明の装置および方法は、本発明の実施形態の特徴によって明らかにされるように、熱イオン電力変換器の技術における重要な進歩を構成する。
【0025】
簡単に要約すると、本発明の目的は、濃度Nd *の第1のドナーを含む少なくとも1つの領域を有するエミッタと、コレクタと、エミッタおよびコレクタと電気的におよび熱的に連絡する、エミッタとコレクタとの間のギャップ領域とを含む、固体変換器によって達成される。ギャップ領域は、濃度Ndの第2のドナーを有する半導体を含み、第2のドナーの濃度は、比Nd */Ndの自然対数が、0と約7との間であるように選択される。
【0026】
本発明の他の実施形態は、半導体ダイオード実装を用いる固体熱イオン変換器を備え、この半導体ダイオード実装は、n*タイプ領域を備えるエミッタと、前記n*タイプ領域に隣接するエミッタとコレクタとの間のギャップ領域と、前記ギャップ領域に接続された低温オーミックコンタクトとを含み、前記低温オーミックコンタクトは、前記低温オーミックコンタクトと前記ギャップ領域との間に形成された再結合コレクタ領域を有する。本発明のいくつかの実施形態において、コレクタは再結合素子を備え、そのようなコレクタは、低温オーミックコンタクトと電気的に連絡する。高温オーミックコンタクトは、エミッタと電気的に連絡する。ギャップ領域は、n型、p型、または真性であることができる。本発明の変換器の実施形態によって生成される電流を利用するために、電気回路は、一般に、高温オーミックコンタクトおよび低温オーミックコンタクトに接続される電気的な負荷を用いて外部で閉じられる。「電気的な連絡」、「電気的な接続」、および「電気的なコンタクト」などの用語は、素子間の関係を言及し、それによって、そのような素子が直接コンタクトされるか、または電流がそのような素子を結合する少なくとも1つの導体によって容易にされても、そのような素子間を電流が流れることができる。
【0027】
本発明のさらに他の実施形態は、複数のプレートを備え、各プレートは、エミッタおよびコレクタを備え、それらの間にギャップ領域を有する。
【0028】
冷却の実施形態において、キャリア輸送は、外部電界によって支援される。一実施形態においてn*タイプ領域を備えるエミッタ上の第1のオーミックコンタクトは、エミッタから離れる電子からの熱流によって冷却される熱的な負荷に接続される。本発明による熱から電気への変換器の実施形態に関連して記載されるように、冷却の実施形態における電子は、エミッタから、好ましくはn*タイプ領域上の高温オーミックコンタクトから、ギャップ領域へ循環する。ギャップ領域は、一実施形態においてエミッタに隣接し、再結合コレクタ領域を有する第2のオーミックコンタクトが、第2のオーミックコンタクトとギャップ領域との間に形成される。本発明の実施形態におけるギャップ領域は、n型、p型、または真性であることができる。熱交換器は、ギャップ領域に接続された第2のオーミックコンタクト上の高温電子から熱を散逸する。
【0029】
本発明の上述の利点および目的が得られる様子をより完全に理解するために、本発明のより詳細な記載が、添付の図面で例示される特定の実施形態を参照して与えられる。これらの図面が、本発明の典型的な実施形態だけを示し、したがって本発明の範囲の限定を意図しないことを理解して、現在の好ましい実施形態および現在理解される本発明の最良のモードは、添付の図面を用いることによってさらに詳細に記載される。
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に図2に示される固体熱イオンエネルギー変換器10を具体化し、エネルギー変換のための方法および装置に向けられる。進歩的な固体熱イオンエネルギー変換器10の一実施形態は、エミッタとしてn*型領域14と、n*型領域14に隣接するギャップ領域16と、前記n*型領域14に接続された高温オーミックコンタクト12と、コレクタでありかつ前記ギャップ領域16に接続された低温オーミックコンタクト20とを有する半導体ダイオードを備える。一実施形態において、低温オーミックコンタクト20は、前記低温オーミックコンタクト20と前記ギャップ領域16との間に形成された再結合コレクタ領域18を有する。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態における再結合領域は、異なる層を備える。本発明の他の実施形態において、再結合領域は、オーミックコンタクトまたはコレクタの表面を処理するかつ/または損傷させることによって得られる。したがって、本発明に関連する再結合領域を形成することは、再結合層を組み込む処置と、オーミックコンタクトまたはコレクタの表面を処理するおよび/または損傷させる処置とを含む。
【0032】
*領域の用語は、本明細書では、n領域より高い電子濃度を有するn*領域を言及するために使用される。n*領域を構成する材料の例示的な実施形態は、以下に与えられる。それらの相対的ドナー数密度Nd *およびNdに関するn*領域およびn領域の一般的な特徴は、以下に与えられる。n型領域の例は、約1016cm-3から約1019cm-3の濃度のTeでドープされたInSbを含む領域によって与えられる。1020cm-3程度の濃度は、本発明の実施形態におけるn型領域の材料のドーパント濃度を特徴として同様に検討される。n*領域の例は、約1019cm-3から約3×1019cm-3の濃度のTeでドープされたInSbを含む領域によって与えられる。約3×1020cm-3程度の濃度は、本発明の実施形態におけるn*領域の材料のドーパント濃度を特徴として同様に検討される。Teに加えて、本発明のいくつかの他の実施形態におけるドーパントは、S、SeおよびSnの少なくとも1つを含む。さらに、記号n**は、本明細書において、n*領域より高い電子濃度を有するn領域を言及するために使用される。n**領域の例は、In、Te、GaおよびFeなどの材料を含む領域によって与えられる。
【0033】
高温オーミックコンタクト12および低温オーミックコンタクト20に接続された電気的負荷RLは、本発明による変換器の実施形態によって生成された電気強度を備える。エミッタは金属であることができる。ギャップ領域16は、適度にドープされたn型、p型または真性であることができる。電子は、再結合コレクタ領域18内で収集される。コレクタに対して加熱されたエミッタは、一連の負荷を通して電流を駆動するEMFを生成する。
【0034】
本発明の原理は、ホール導電率、ならびに電子に関して作用することに留意されたい。同様に、本明細書で金属との参照は合金を含む。
【0035】
従来の熱イオン装置とは対照的に、本発明による変換器の実施形態は、固体装置である。しかしながら、従来技術は、排気された電極間空間またはガスで充填された電極間空間による装置を教示する。これらの従来装置の一般的な特徴は、上記に要約される。
【0036】
排気されたまたはガスを充填された空間の代わりに、本発明の実施形態は、半導体材料を組み込む。半導体は、それらの導電率に関してではなく、2つの独特の特性に関して有益である。第1に、自由キャリアの濃度である。したがって導電率は、温度とともに指数関数的に増加する(通常の温度で摂氏温度に当りほぼ5%)。第2に、半導体の導電率であり、これは、ドーピングと呼ばれるプロセスにおいて、わずかな量の不純物を添加することによって正確に制御された範囲まで非常に増加されることができる。反対符号の2つの型の移動電荷キャリア(電子およびホール)が存在するため、電荷キャリアの異常な分布が作り出されることができる。半導体ダイオードはこの特性を利用する。純粋またはp型あるいはn型でドープされた半導体は、双方向的である。すなわち電流は、同じ容易さでどちらの方向へも流れる。しかしながら、p型領域がn型領域に近接して存在するなら、一方向的なキャリア密度勾配が存在する。すなわち、電流が一方向だけに容易に流れる。結果としての装置、すなわち半導体ダイオードは、エネルギー変換に関して利用されることができる、キャリア輸送の特性の非常に有用な制御を示す。
【0037】
以下の記載された説明およびグラフ資料は、本発明の動作する実施形態に関連する現象のモデルおよび/またはシミュレーションを参照する。これらのモデルおよび/またはシミュレーションへの参照は、本発明の説明が限定されることを意味するものではない。本発明は、その基礎にある物理的プロセスの任意の単一の説明に制限または限定されないことを理解されたい。モデルおよび/またはシミュレーションは、そのような実施形態が、記載された説明に関連して明示して参照されなくとも、本発明の範囲内で検討される追加の実施形態を構成するために使用されることができる関連する変数を強調することが意図される。これらの設計ツール、記載された説明の教示、および当該技術における通常の技術で、本発明および請求の範囲内にある追加の実施形態が、構成されることができる。したがって、以下に記載される説明およびグラフ資料は、本発明の実施形態を説明し、本発明の範囲内で検討される追加の実施形態を構成するために使用されることができるモデルを提供する。
【0038】
以下の資料における表題は、構成する目的に関する案内として提供され、記載される説明および図面に関する記述を制限または限定するものではなく、記述は、全体としてその全部を解釈されるべきであると理解されたい。
【0039】
InSb熱ダイオードに関する結果が以下に示される。なぜなら、InSbは、本発明の実施形態に関する半導体材料の1つであるからである。InSb実施形態の挙動は、ギャップを横切りコレクタへの輸送を可能にして、エミッタからギャップ領域内へのキャリアの注入と両立して示される。これらの結果は、ギャップドーピングが、障壁高さおよび電流を決定するとき、ギャップドーピングに依存する効率と両立する。これらの結果は、InSbを使用する本発明による熱ダイオードの効率最適化が、600Kエミッタ、および1020cm-3のエミッタ電子濃度で、5.5.%に達することができることを同様に示す。
【0040】
以下の記載された説明および図は、本発明の実施形態における効率を増加させるための技術としての補償を同様に開示する。補償は、戻り電流の抑制を含む。本発明の実施形態におけるオーミックコンタクト形成に関するモデルを、次に記載する。
【0041】
補償層を有するInSbを備える本発明の実施形態例は、Teなどのn型ドーパントを有するInSbウェハと、マグネトロンスパッタリングなどの技術によって実現されたTeのエミッタ層とを含む。これらの実施形態における補償層は、p型不純物注入によって形成される。このp型不純物は、n型ドーパントを補償するArおよびHeイオンなどの少なくとも1つのタイプのイオンを備える。
【0042】
本発明によるn*/nエミッタを構築する他の材料は、Hg1-xCdxTeを含む。例えばHg0.86Cd0.14Teウェハは、Hg0.86Cd0.14TeとAlおよびIn−Gaなどのn型不純物基板とを反応させ、かつ電子注入n*領域を作ることによって、n*/nエミッタを構築するために本発明の実施形態において使用される。この目的のためのIn−Ga材料の1つの形態は、In0.75Ga0.25である。このエミッタを有する実施形態は、高温側温度の関数として増加する出力電流密度を示す。これらの実施形態が、理想的なカルノーサイクル効率の30%を超える効率を達成することが、以下に示される。
【0043】
Hg1-xCdxTeは、本発明の他の実施形態における多数プレートまたはサンドイッチ構成の一部である。例えば、これらのサンドイッチの実施形態は、Teなどのn型材料でドープされたInSbプレートと、Teでスパッタリングされ、In−Gaなど、より詳細にはIn0.75Ga0.25などの材料で被覆されたInSbのエミッタ層とを備える。このサンドイッチ材料における第2のプレートは、Hg1-xCdxTeを含み、ここでxは、一実施形態において0.14である。
【0044】
本発明による実施形態の例は、設計パラメータ、補償されていない熱ダイオード、補償された熱ダイオード、およびショットキーダイオードを含む。さらに、本発明による変換器は、熱エネルギーを電気および冷却実施形態に変換する変換器を含む。以下に検討されるように、2つのタイプの実施形態は、冷却のための熱イオン変換器として、または熱エネルギーを電力に変換する熱ダイオードとして動作しても、同じ主構成部品を含む。
【0045】
xが約0.08から約0.15であるHg1-xCdxTeが、高い温度性能指数を示し、一方、半導体のままであり、他の材料に関して本明細書に記載されるようなn*エミッタ層/補償層構成および挙動を可能にすることが、本発明に関連して見出された。さらに、Hg0.92Cd0.18Teが、優れた熱電子材料として挙動することが、本発明に関連して同様に発見された。
【0046】
1.固体熱イオン変換器
本発明の実施形態における多量のドープされたn*領域14は、エミッタ領域として作用し、エミッタ領域から、キャリアがギャップ領域16内に出される。n*領域は、高い濃度のドナー(電子を提供する)不純物でドープされた半導体を含む。例えば、InSbはTeまたはSでドープされることができる。エネルギー変換が、半導体の標準化された導電率χの関数であり、次にχは、材料パラメータおよびピークエミッタドーピングの関数であることが、本発明に関連して見出された。
【0047】
関連する材料パラメータが、多数の半導体に関する有用な動作範囲を決定するために、本発明に関連して試された。いかに関連する材料パラメータが多数の材料に関して選択されるか、および、いかにこの選択および評価が以下に言及される材料を補足するために本発明の範囲内に拡張されることができるかを示すために、この評価が以下に示される。
【0048】
表1に、電子移動度および熱伝導率と、関連するχの推定値とを含む材料パラメータをまとめる。標準化された導電率χの値は、ND *=1020cm-3を用いて推定される。標準化された導電率χの可能性がある値の幅広い範囲(ほとんど4桁の大きさ)が観測される。この表の構成データは、CRC Handbook of Chemistry and Physics, 67th editionから集められた。小さなχを有する材料がより好ましい。この基準によれば、表1にまとめられた半導体の中の好ましい材料は、関連するχ=0.014の値を有するセレン化水銀に見られる。この標準化された伝導率および5の縮退された電位で、最適化された障壁効率は、それぞれ0.3および0.5のエミッタ温度(Δτ)に対するエミッタコレクタ温度における差異に関して、約13.3%および23.8%に達する。これらの効率は、熱力学的な最大値の半分に近い。
【0049】
【表1】
Figure 0004896336
【0050】
移動度および熱伝導率の両方は、一般に温度の関数である。InSbにおいて、移動度および熱伝導率の両方は、温度の上昇とともに低減する。結果としてのχの温度依存性は、図3に示されている。図3は、ND *=1020cm-3と仮定して、InSbに関する温度の関数としての標準化された伝導率パラメータχ(「性能指数」とも参照される)を示す。結果は、cm-3を単位としてドーピング濃度ND=1015、1016、1017、1018を有するn型ギャップ領域を示す。標準化された伝導率は、より高い温度で低減すると思われる。加えて、標準化された伝導率は、バックグラウンドキャリアの存在の下で低減する。なぜなら、InSbにおける電子の移動度は、ドーピング濃度の増加とともに低減する。より一般的に、図5Bは、多数の半導体に関する標準化された伝導率χを示す。
【0051】
表1にまとめられた半導体は、本発明の実施形態において使用されることができる材料を含む例である。InSbは、これらの半導体中の1つの材料である。以下に示されるように、Hg1-xCdxTeは、他の半導体であり、HgSeに関する同じパラメータ値の約半分の標準化された伝導率パラメータを示す。
【0052】
エミッタおよびギャップ領域における濃度が、エミッタギャップ電位障壁に関係できることが、本発明に関連して見出された。より詳細には、ドーピング濃度に関するエミッタとp型ギャップとの間の電位障壁が、以下の式であると見出された。
【0053】
【数4】
Figure 0004896336
【0054】
ここで、Δuはエミッタギャップ電位障壁であり、Nd +およびNa -はイオン化されたドナーおよびアクセプタ濃度であり、niは真性キャリア濃度であり、Tmaxは最大エミッタ温度である。
【0055】
本発明の実施形態における障壁は、約7までであり、好ましくは約1.5から約7までの範囲内であり、より好ましくは約3から約7の範囲内である。残念にも、室温の近傍において、p型ギャップ領域に関する独立するギャップバイアスが存在しない状態において、InSbに関してこれを達成することはできない。
【0056】
n型ギャップ領域へのn*エミッタの場合には、障壁高さは以下の式で決定された。
【0057】
【数5】
Figure 0004896336
【0058】
5から7の標準化された障壁高さは、150−1100の数値で評価されるドーピング比e5−e7に対応する。n*領域が1020cm-3のレベルでドープされるなら、ギャップ領域ドーピングは、9×1016cm-3から7×1017cm-3までの範囲内となる。
【0059】
2.InSb熱ダイオードに関する結果
a.キャリア注入
図2を参照すると、エミッタは左の高温n*領域14である。ギャップ領域16は、(ギャップがn型であれば、効率がより高いことが見出されたが)n型またはp型のどちらかであることができる中心における薄い領域である。コレクタは、本明細書において、低温である再結合コレクタ領域18および金属コンタクト20として示される。本発明の設計の前提は、キャリアが、高温エミッタ領域14からギャップ領域16へ出され、そこで、コレクタ領域18およびコンタクト20へ輸送する。
【0060】
このセクションは、3つの異なるギャップ領域のタイプを選択して(p型、真性、および、n型)、エミッタからギャップ領域へのキャリア注入させることをする。p型ギャップ領域内への電子注入は、解析するためのより簡単な問題の結果となるであろうが、しかし、空孔領域に発生する著しい障壁が存在する。障壁が4kBTの程度であるとき、最適な効率が起こる。n*エミッタとp型ギャップとの間の障壁が、8−9kBTに近い。したがって、多数のキャリアを注入するために、より低い障壁が必要である。より低い障壁は、適度のn型ギャップ領域で発生し、しかし多数キャリアのキャリア注入を理解しなければならない。
【0061】
p型ギャップ領域内への熱電子注入の場合には、npnバイポーラ接合トランジスタの解析は、キャリア注入のこれらの特徴が基本的に訂正されることを示すために、本発明に関連して示された。図4は、高温n*型エミッタからp型ギャップ領域への電荷放出に関する数値解決方法を示す。電子が、ギャップ領域に放出され、多数キャリアホールによって遮蔽され、少数キャリア輸送が、主に拡散を通じて起こることが分かる。ホールは、ギャップ領域における電界を遮蔽する作用を行う。
【0062】
障壁高さにおける著しい低減は、ギャップ領域が真性であるときに起こる。注入されたキャリア密度が著しいことができるときに、わずかにドープされたn型ギャップ領域が、真性ギャップ領域をシミュレートする1014cm-3のドナーとともに使用される。このシミュレートされた真性ギャップ領域は、純粋な真性ギャップ領域より低い電位障壁を有する。この場合におけるキャリア注入の結果が、図4に示される。図4は、InSbにおけるn*pn*熱イオン構造に関する、電子およびホールの濃度を示す。エミッタおよびコレクタ領域におけるドナー濃度は、1020cm-3であり、ギャップ領域におけるアクセプタ濃度は、1017cm-3である。エミッタは600Kであり、コレクタは300Kである。3つの場合が示される。すなわち、キャリア注入が無い開放回路i=0(平衡)と、最大電流を有する短絡回路ν=0と、νが開放回路電圧の半分に等しい中間の場合とである。電子およびホール密度が、非常に近く等しくなり、電荷中立性が、このタイプのグラフ上で認められることができるギャップ領域で保持することを意味する。真性領域内の電荷注入が可能であり、ギャップ領域内に注入された電子は、コレクタ領域へ輸送することが可能であるが明らかになることが、数値的に確かめられる。
【0063】
この場合におけるキャリア注入の結果は、さらに図5に示される。図5は、InSbにおけるn*nn*熱イオン構造に関する電子濃度を示す。エミッタおよびコレクタ領域におけるドナー濃度は、1020cm-3であり、ギャップ領域におけるドナー濃度は、1014cm-3である。エミッタは600Kであり、コレクタは300Kである。3つの場合が示される。すなわち、キャリア注入が無い開放回路i=0(平衡)と、最大電流を有する短絡回路ν=0と、νが開放回路電圧の半分に等しい中間の場合とである。電子およびホール密度が、非常に近く等しくなり、電荷中立性が、このタイプのグラフ上で認められることができるギャップ領域で保持することを意味する。真性領域内の電荷注入が可能であり、ギャップ領域内に注入された電子は、困難なくコレクタ領域へ輸送することが可能であることが明らかになることが、数値的に確かめられる。
【0064】
さて、キャリアが、n*型エミッタ領域から適度にドープされたn型ギャップ領域へ注入される場合が試される。数値結果が図6に示される。InSbにおけるn*nn*熱イオン構造に関する電子およびホール濃度を示す。エミッタおよびコレクタ領域におけるドナー濃度は、1020cm-3であり、ギャップ領域におけるドナー濃度は、8×1017cm-3である。エミッタは600Kであり、コレクタは300Kである。3つの場合が示される。すなわち、キャリア注入が無い開放回路i=0(平衡)と、最大電流を有する短絡回路ν=0と、νが開放回路電圧の半分に等しい中間の場合とである。電子注入が起こり、輸送がまだ多少とも拡散的であると思われることが観測される。
【0065】
上述の結果は、n*型エミッタ領域からギャップ領域への電子注入は、p型ギャップの場合に、および真性とn型ギャップ領域の両方の場合において予想されるように起こることを示す。p型ギャップ領域への注入は、ダイオード法則に従うことが予想される。コレクタに対してエミッタ領域を加熱することは、熱的に生成されたEMFを引き起こす。この構成におけるコレクタは、ダイオードにおけるメタライズされたコンタクトと同じ役割を果たす。したがって、電流は、ダイオード法則から直接計算されることができる。しかし、満足されるべきダイオード法則が先験的に予想される理由が存在しない、真性およびn型ギャップ領域への電子注入を、これから考慮する。したがって、ダイオードタイプの挙動が、新しい範囲に拡張するかどうか、およびどの種類の修正が予想されることができるかが、検討の対象である。
【0066】
そのような研究を行うためには、熱エネルギー変換において、調整できるとは思えない電圧を除いて、電圧対電流特性が必要である。障壁高さは、ギャップ領域のドーピング特性の選択を介して調整されることができる。図7は、ギャップドーピングの関数として、上述の例に関して標準化された障壁高さを示す。図7は、ドーピング濃度の関数として、標準化された障壁高さΔuを示す。エミッタは、1020電子/cm3を有するようにドープされていると仮定される。ギャップにおけるドナーおよびアクセプタは、完全にイオン化されていると仮定される。ドーピングと障壁高さとの間のマッピングとしてのこの結果を用いて、ギャップドーピングの関数として短絡回路がシミュレートされ、障壁高さの関数として電流の大きさのプロットとして結果が示される。これが図8に示される。図8は、Tmax=600Kで、0.5のエミッタ温度に対するエミッタコレクタ温度との差を有する、上記で考慮された構造に関して標準化された障壁高さの関数としての短絡電流を示す。ダイオード法則が、真性から離れたp型領域において従うことが観察される。質的な総括的なダイオードタイプの法則挙動が、n型範囲において十分に続くことが同様に見られる。そのような挙動は、エミッタからギャップ領域へのキャリアの仮定される注入を含み、ギャップを通りコレクタへの輸送を可能にする。これは、ダイオード法則挙動に基づくこのシステムに関する発展されたモデリングが関連されるべきである数値的な確認を提供する。
【0067】
b.電流電圧関係、電力、効率
基本的な熱イオン効果が確立され、効率の最適化の基本的な問題を次に注目する。
【0068】
上述された例の625μの厚みのInSbで、1020電子/cm3のエミッタ電子濃度、エミッタ温度Tmax=600K、およびコレクタ温度Tmin=300Kでの、計算された電流および電圧特性を示す代表的な曲線を、図9に示す。結果は、cm-3の単位で1017(プロットでの最も低い曲線)、3×1017、5×1017、および、8×1017(プロットでの最も高い曲線)のギャップドナー密度を示す。優れた近似内で、電流および電圧の関係は線形であることが示される。上で規定されるように、エミッタの出された電子は、負の電流ならびに負の開放された回路電圧を増加させる。図9は、電流と電圧との両方の強度をプロットする。
【0069】
図10は、上述された例の625μの厚みのInSbで、1020電子/cm3のエミッタ電子濃度、エミッタ温度Tmax=600K、およびコレクタ温度Tmin=300Kでの、単位面積当りの計算された負荷電力を示す。結果は、cm-3の単位で1017(プロットでの最も低い曲線)、3×1017、5×1017、および7×1017(プロットでの最も高い曲線)のギャップドナー密度を示す。
【0070】
前述の例で使用された条件に関する装置によって散逸される単位面積当りの熱パワーを、図11に示す。図11は、上述された例の625μの厚みのInSbで、1020電子/cm3のエミッタ電子濃度、エミッタ温度Tmax=600K、および、コレクタ温度Tmin=300Kでの、単位面積当りに散逸される計算された熱パワーを示す。結果は、cm-3の単位で1017(プロットでの最も低い曲線)、3×1017、5×1017、および、7×1017(プロットでの最も高い曲線)のギャップドナー密度を示す。パワーは、ゼロ電流(開放回路電圧で)での一定のFick法則寄与、および、電流における線形項(したがって電圧において線形)からなる。
【0071】
図12は、上述されたInSbの例に関する電圧の関数としての効率を示す。計算は、cm-3の単位で1017(プロットでの最も低い曲線)、3×1017、5×1017、および、7×1017(プロットでの最も高い曲線)のギャップドナー密度を示す。ドットは、最適点での効率である。
【0072】
上述の結果は、ギャップドーピングが、電流に対応する障壁高さを決定するとき、効率が、ギャップドーピングに応じることを示す。7×1017cm-3近くのギャップドナードーピングは、最適の近くに現れる。さらにこの最適化を検査するために、図13は、固定された1020cm-3のエミッタイオン化されたドーパント濃度で、幅広い範囲のドーピング密度にわたるギャップドーピングの関数として、効率の数値的な最適化の結果を示す。ギャップドーピングが真性に近いなら、効率は低下する。関連するエミッタギャップ障壁が高いために、これは最終的である。したがって、高いエミッタギャップ障壁を有する真性に近いギャップドーピングを有する実施形態は、低い効率を有する。ギャップドーピングがあまりにも高くなるなら、低いエミッタギャップ障壁の有利な効果は、オーミック戻り電流の有害な効果によって平衡される。この結果は、さらに以下に試される。
【0073】
c.スケーリングの試験
熱ダイオード構成の効率は、エミッタドーピングの関数である。厚みが、625μであると仮定され、ギャップドーピングが7×1017cm-3に維持され、エミッタおよびコレクタ温度は、それぞれ600Kおよび300Kであると仮定される。結果は、固定されたギャップドーピングND=7×1017cm-3のエミッタドーピングの関数として最適効率が図14に示される。効率は、エミッタ電子濃度とともに単調に増加するが、スケーリングは線形より少ないことが分かる。これは、次の2つの効果のためである。すなわち、ギャップドーピングが固定されて維持されるため、エミッタギャップ障壁は、より濃いエミッタドーピングで増加する。また電子移動度は、より高いキャリア濃度で低減する。これらの両方の効果は、より大きなエミッタドーピングの有利な衝撃を低減するために組み合わせされる。
【0074】
1020cm-3の程度の濃度でエミッタへTe(最低イオン化エネルギードナーである)を注入することは可能である。TRIM−91コードを用いることによるシミュレーションは、そのような高いドーパント密度が、アモルファスエミッタ層の展開を導くことを示す。そのような層は、異なるバンドギャップ、有効質量、およびモデル化したもの以外の移動度を有する。加えて、再結合レートは非常に高いことが予想される。このいくつかの結果が予想されることができる。ギャップ内への電子注入は、ギャップ側から測定されるとき、エミッタ内への1つの再結合長さの程度で利用できるエミッタ密度に制限される。これは、電子の平均自由行程である空間スケールにケースダウンされる。
【0075】
この結果、ミクロンの程度である中間のスケール長さを有する大きなアモルファスエミッタ領域が、半導体縁部で達成されるピーク密度より非常に小さいギャップへの有効ドーピング密度を有する可能性がある。一方、鋭いn*プロファイルは、高ドープアモルファス領域から結晶中間領域への電子の自由流れを可能にすることができる。この後者の状況は、本明細書で検討されるモデルに構築される仮定により近く対応する。
【0076】
他の重要な問題は、エミッタ内のドナーレベルのイオン化が不完全になり易いことである。エミッタ領域が、高いドーピングレベルでの結晶であるなら、関連する伝導帯密度状態は、特に大きくはなく、ドナーのイオン化平衡は、ドナーの著しい専有に有利である可能性がある。ドナーイオン化エネルギーに関するデータが利用でき(Teが、InSbにおける50meVのドナーイオン化エネルギーを有するように見える)、イオン化の一部が推定されることができる。エミッタで低い仕事関数を有する金属コンタクトの使用は、金属からの熱イオン注入がかなり大きいことができるとき、関連する問題を防ぐことができる。
【0077】
本発明の実施形態の効率をシミュレーションするために使用されるモデルに応じて、最適効率は、ギャップ長さとは独立であるべきであること、またはこの独立性は、200μから2mmの範囲のギャップ厚みに関してほぼ維持されることの結論になる。熱エネルギーは、熱ダイオードに関して図15に示されるように、本発明に関連して考慮される任意のモデルでギャップ厚みに逆比例することが見出された。
【0078】
前に検討は、625μの厚みの全InSbウェハに向いていた。再結合効果が存在しないと、関連する熱フラックスが対応してより少ないために、厚い層は、大きなTmax適用には好ましい。考慮されるギャップ密度に関するバルクn型結晶InSbにおける電子の再結合長さは、試されたウェハ厚みの少なくとも10倍である。加えて、全再結合レートは、本明細書で考慮されるような大きな結晶にトラップされた強い放射である可能がある放射再結合によって支配される。したがって、1−2mm程度の構造は、エネルギー変換適用に関して興味がある。
【0079】
再結合が重要になる状況の下の装置効率に対する再結合の作用は扱われていない。再結合作用は、一般に、熱イオンエネルギー変換に関して全般的に有害であると仮定されることができ、これは、モデリング結果がないために2番目に推測される可能性がない。この理由は、再結合は、本明細書で考慮された拡散制限を超えて注入電流が増加することである。熱損失がギャップ長さに逆比例するとき、電流は、再結合長さに逆比例するであろう。この制限において、全体結果は、効率において全体に増加すると考えることができる。これは、再結合を維持するために必要なホール電流が、関連する電位低下をともなって発生する事実によって弱められる。ホール移動度がInSbにおいて低いので、関連する電位低下は、大きい可能性がある。
【0080】
図16は、1020電子/cm3のエミッタ電子濃度、および7×1017cm-3のギャップドナー密度を有する構成の効率を示す。結果は、コレクタ温度が300Kであると仮定するエミッタ温度の関数としてプロットされる。2つの場合における結果は、非常に近い結果である。熱力学的な制限の一部としての最適化された効率は、図17に示されている。構成は、示される全ての温度で熱力学的な制限と比較に加えて多少とも等しく作用する。
【0081】
温度差がより小さいとき、熱パワーフローは、所定の構成に関して小さい。図18は、異なる温度で626μおよび1250μの設計に関する最適エネルギー変換の条件の下、熱パワーフローを示す。熱パワーフローは、対象の最適動作条件の下で数百W/cm2の範囲にある。
【0082】
d.概要
前述の考察では、例示的なInSb実装に基づくサーマル「ダイオード」に関するモデルを検討した。このデバイスは、高ドープエミッタ領域と、p型またはn型にすることができるギャップ領域と、コレクタコンタクトでのキャリア平衡によるオーム寄与を超える無視できる熱イオン注入電流を有するように構成された十分に大きな仕事関数を有するオーミック金属コレクタとを使用する。
【0083】
上で報告した結果から、最大熱イオン注入電流を得るためには好ましくは4−5kBmax程度のエミッタギャップ障壁が必要であることが示され、これは、ギャップが好ましくはn型半導体である必要があることを暗に示す。したがって、本発明は、エミッタギャップ障壁が好ましくは約4kBmaxから約5kBmaxの範囲内にある実施形態、およびこの障壁がこの範囲の外にあり、しかし本発明で提供される教示によって設計することができる他の実施形態を想定している。
【0084】
上で示したように、n*領域は電子をn型ギャップ領域内に注入することができ、この伝達は、ギャップ領域内でいくぶん拡散性のものである。さらに、サーマルダイオードを、エミッタからギャップ内への熱イオン放出、およびその後のコレクタへの伝達に基づくエネルギー変換器として操作することができることも上で示してある。また、ギャップドナー濃度に応じて本発明の実施形態を最適化する方法も上で示してある。エミッタ内で1020cm-3の電子密度を発生することができると仮定して、サーマルダイオードの最適な効率を600Kエミッタで5.5%程にすることができる。これらのパラメータは、本発明の実施形態の特徴であり、しかしこの特定の最適化から逸脱する他の特性を有し、本明細書で提供される教示に従って設計される実施形態も本発明の範囲内で想定される。
【0085】
3.InSb補償熱イオンダイオードに関する結果
図2に概略的に例示したような実施形態における熱イオンエネルギー変換効率は、半導体の熱イオン応答によるオーミックリターン電流の存在によって最終的には制限される。このリターン電流を抑制することができれば、効率が大幅に高まる。このセクションでは、リターン電流を低減させると、効率を約2倍に高めることができることを示す。
【0086】
リターン電流を低減させるための1つのスキームは、本発明の実施形態でコレクタコンタクトの前にほぼ真性の層を生成するためにp型ドーピングを用いてn型基板を補償し、それにより、オーミックリターン電流を引き起こすことになる利用可能な電子の供給を大幅に低減することを含む。p型補償が多すぎると、コレクタへの熱イオン電流の流れを制限する可能性があるので、この手法では妥協が明白である。
【0087】
本発明の文脈で行われる研究は、ほぼ自由な熱イオン電流とほぼゼロのオーミックリターン電流を同時に可能にするように補償層をギャップドーピングと合致させることができる小さな窓がパラメータ空間内に存在することを示す。結果として得られる設計は、非常に高い予想エネルギー変換効率を有し、熱電気の最良のものに匹敵する。熱伝導率に対するより良い移動度を有する他の半導体(HgSeやHgTeなど)が存在するので、補償ダイオードスキームは、最良の熱電気を上回る良い変換効率を生む可能性がある。本明細書で以下に示すように(例えば図38に関する考察を参照)、本発明の文脈で生み出される補償層は、InSbなどの材料に関して大幅な性能改善を示した。この改善は、量的には約2倍の効率増大であった。Hg1-xCdxTeでは、この改善は、理想的なカルノーサイクル効率の50%の絶対限界に近づく効率に相当する。
【0088】
熱伝導率に対する高移動度を示す半導体を用いた補償ダイオードのこれらおよびその他の実施形態は、本明細書で提供する教示および例に鑑みて当業者が設計できるので、本発明の範囲内で想定される。
【0089】
InSbでの基本的なサーマルダイオード構造実装をエネルギー変換器として考察した。デバイスの効率は、熱力学的限界の10%をいくらか超える程度に制限されることが判明した。補償は以下のように実施される。上述したように、熱イオン電流と反対符号のオーミックリターン電流を抑制することによって効率を高めることができる可能性がある。これを行うための一方法は、コレクタコンタクトの内部に補償層を生成するためにp型ドーピングを使用するものであり、これがデバイスのコレクタ側からの電子の注入を防止する(図19参照)。図19は、本発明による補償サーマルダイオードの一実施形態を概略的に示す。エミッタが、左の高温n*領域14である。ギャップ領域16は、中央にある厚い領域であり、n型である。コレクタは、ここでは低温の金属コンタクト20として示されている。高温オーミックコンタクト12が高温n*領域14に隣接している。p型ドーピングを追加することによって金属コンタクトの内側に補償領域19が作製され、電子リターン電流を抑制する。p型ドーピングの追加は、基板ドーピングに精密に合致していない場合にp型半導体層を生成することがあり、これは、熱イオン電子流がコレクタに到達するのを妨げる場合がある。熱イオン電流の集電およびオーミックリターン電流の拒絶を同時に可能にする設計数を選択することができる完全な補償の周囲にパラメータ空間内で小さな領域が存在することが判明している。そのようなデバイスに関して計算される効率は、基本的なダイオード構造よりも大幅に高まることが判明した。このセクションでは、このデバイスおよび関連する問題を考察する。
【0090】
a.リターン電流
はじめに、リターン電流の存在が基本的なサーマルダイオードで確立される必要がある。これを行うための一方法は、ギャップドナー濃度の関数として、符号を含めた電流をプロットするものである。その結果を図20に示す。図20は、最後のセクションで考察する例示的なInSbサーマルダイオード設計に関するギャップドーピングの関数として電流を示す。負の電流(左から右に動く電子)に対応する熱イオン領域では、最適効率条件下で電流が計算される。正の電流(コレクタからエミッタに動く電子)に対応する熱電気領域では、最適条件がほぼ熱イオン領域にある熱誘導EMFの半分の電圧となる条件の下で電流が取られる。熱誘導電流が、符号変化について観察される。低ギャップドーピングでは、熱イオン注入に匹敵する十分大きなオーミック成分をギャップが維持するのに十分な伝導率が存在しない。ギャップドーピングが増加すると、ある点で、オーミック電流が熱イオン電流の大きさを超えて、熱イオンエネルギー変換がもはや可能でなくなる。このオーミックリターン電流は、デバイスのコレクタ側から発し、主にドリフトによってエミッタに伝達する電子からなる。
【0091】
b.ブロック層を用いた効率の最適化
以下、真性ブロック層を含む補償サーマルダイオードの予測動作を考察する。このシミュレーションでは、5μの特徴的な長さを有するガウスp型ドーピングを使用する補償層をモデルする。様々なアクセプタ密度に関する結果が図21に示されている。図21は、7×1017、1018、2×1018、および、3×1018cm-3のNa -濃度を使用するp型補償を用いたギャップドーピングの関数として効率の最適化を示す。点線は、ブロック層が存在しない場合に得られる効率を示す。最大効率は、補償層のアクセプタ濃度が基板ドナー濃度に合致するように調節されるときに得られる。補償されていない場合よりも、最適効率が大幅に高められる。
【0092】
図21に示される効率曲線の形状は、簡単な考察から定量的に理解することができる。効率は、ブロック層が真性の状態で最大になり、これは、エミッタからの熱イオン電流の伝送を可能にし、同時にリターン電流を最小にする。より低いギャップドナー濃度では、補償層がp型領域を生成し、この適用例では、熱イオン電流を拒絶する逆バイアスダイオードとしていくぶん振舞う。より高いギャップドナー濃度では、余剰電子をなくするには補償が不十分である。ブロック層内の電子濃度にほぼ比例する大きさでリターン電流が発する。したがって、最適条件よりも高い側では効率に線形減少が見られる。
【0093】
実用的な観点からは、電流リード線の能力が電流密度を102−103A/cm2に制限する。そうでない場合は、ワイヤでの電圧降下が許容できないものになる。さらに、200−300℃のダイオードで温度降下が存在する。InSbの所与の熱伝導率では、これは約1cmのギャップ厚さに相当する。この厚さは、ギャップ厚さと比較可能な再結合長さなどの課題、および厚いウェハの研磨に関わる技術的な問題を提示する。例えば、ほとんどのウェハ処理機器が1mm未満の厚さに関して設計されている。
【0094】
厚いギャップを達成するための典型的な手法は、ダイオードを積層することである。直列に積層されたダイオードを介する電流は同じなので、これは、積層されたダイオードを電流マッチングすることを意味する。より大きな電流を発生する1つのダイオードが、他のダイオードでの電圧降下、および追加のポテンシャル障壁による性能低下をもたらす。
【0095】
以下の考察は、本発明の文脈で実施することができる電流マッチングを達成するアプローチである。
【0096】
(1)ギャップドーピング濃度電流マッチング
以下の例は、全てのダイオードが同じ幾何形状を有し、熱源温度が530Kであり、熱シンク温度が460KであるInSbダイオード材料を仮定する。単一ダイオード構成が図22に示されている。図22の矢印は、高温オーミックコンタクト12の温度Tがコレクタ20の温度よりも高いことを示す。図23Aに例示されるプロットから、効率レベルを6%に設定して、図24に示されるように4つのダイオードを積層することができ、第1のダイオード(D1)は5・1017cm-3のギャップドーパント濃度を有し、D2は約7×1017cm-3であり、D3は約1018cm-3であり、D4は約2×1018cm-3である。この実施形態では、4つのダイオードが全て同じ電流を発生し、全体の効率は6%に留まる。本発明による積層ダイオードのいくつかの実施形態は、各ダイオードについて同じ材料を用いて当該の要素が製造されるダイオードを備えるが、本発明の文脈での積層ダイオードの実施形態がそのようなスタックに限定されないことを理解されたい。本発明による積層ダイオードのいくつかの実施形態は、当該の要素が異なる材料で製造されたダイオードを備える。例えば、積層ダイオードのいくつかの実施形態では、異なるダイオードのエミッタが異なる材料を備え、かつ/または異なる積層ダイオードのギャップ領域が異なる材料を備え、かつ/または異なる積層ダイオードのコレクタが異なる材料を備える。
【0097】
(2)幾何形状による電流マッチング
以下の例は、2×1018cm-3のギャップドナー濃度に対応する図23Aでの最高効率線を仮定する。500Kでの直列スタック内の薄いダイオードは、非積層ダイオード内で発生する電流よりも約2倍大きい電流を発生する。電流マッチングは、ダイオードが400Kの温度であり、非積層ダイオードの面積の2倍の面積を有する場合に達成される。この実施形態の結果は図25に示され、面積変化はダイオードの楔形集合体の形である。スタックの境界は、実際には直線ではなく、図23Aでの効率曲線の非線形の挙動を考慮する曲線である。図26に示されるスタックは別の実施形態を示し、スタック境界が、図25に示される理想的な曲線に近似している。図25−26の矢印は、TCOLDからTHOTへ上昇する温度Tを示す。
【0098】
補償サーマルダイオード設計は、600Kでの高温エミッタを用いて最大効率で動作するように最適化されている。他のエミッタ温度でのデバイスの効率を求めることも興味深い。効率に関する数値結果が、完全な補償を仮定する様々な基板ドーピングに関して図23Aに例示されている。図23Aは、完全な補償を伴う様々なギャップドーピングに関するエミッタ温度の関数として、最適化された条件の下での効率を示す。InSb補償サーマルダイオード構造の625μの厚さが仮定され、エミッタ電子密度は1020cm-3であり、コレクタ温度は300Kである。ギャップドナー濃度および合致するアクセプタ濃度は、(プロットした効率を高めるには)7×1017、1018、2×1018、および3×1018cm-3である。点線は、ブロック層が存在しない場合に得られる効率を示す。熱力学的限界に正規化した効率に関する結果を図23Bに示す。図23Bは、図23Aに示される様々な場合に関するエミッタ温度の関数として、最適化条件の下で熱力学的限界に対して正規化した効率を示す。補償層が高いエミッタ温度で効果的になることが観察される。さらに、高温での最適化は、様々な温度領域に関して最適化される個別設計が必要ないように、他の温度での相対最適値を生成するものと考えられる。設計温度前後で最良に仕事し、他の温度では同様には仕事をしないより発展した設計を以下に論じる。
【0099】
c.例
図27A−27Bは、本発明による補償サーマルダイオードの最適化した実施形態に関する温度の関数としての効率を示す。図27A−27Bは、ギャップ材料に従ってラベルを付けられており、括弧内の数字はキャリア濃度を表す。図27Bに示される効率は、カルノーサイクルの効率を基準にして与えられている。
【0100】
n型半導体の補償層は、アクセプタの導入を含めた、しかしそれに限定されない方法によって行うことができる。Te(ドナー不純物)でドープされたInSbに関して、ドナーイオン化エネルギーは50meVである。同じイオン化エネルギーが、空孔によって作製されるアクセプタを特徴付ける。空孔の数が初期ドナー濃度(n)に合致する場合、補償層が存在する。
【0101】
空孔の数は、不活性ガスのイオン打込みによって空孔が誘発される場合には、単位面積当たりのイオン線量D(イオン/cm2)と、単一イオンによって作製される空孔の数Vとによって定義される。Vは、イオンエネルギーEの関数であり、V=V(E)である。空孔の数はNV(E)=D・V(E)である。この場合、空孔濃度cは材料のイオン範囲Rに依存し、このRもイオンエネルギーの関数R=R(E)である。したがって、所与のイオンタイプに関して、イオンエネルギーの関数としての空孔濃度は、補償層C(E)=nの場合に、
【0102】
【数6】
Figure 0004896336
【0103】
であり、すなわち、
【0104】
【数7】
Figure 0004896336
【0105】
となる。
【0106】
R(E)およびV(E)は、InSbと、Ne、Ar、およびXeイオンとに関するTRIM−91コンピュータコードを使用してモデル化された。モデル結果を図28および29に示す。濃度nにドープされたn型InSbダイオードで広い範囲のイオンエネルギーにわたって補償層を作製するのに必要な線量は、図28および29と、上で与えられたDに関する式とを利用して求めることができる。それぞれ図34および35で、線32および38はアルゴンに関する曲線を表し、線34および36はネオンに関するものであり、線30および40はキセノンに関するものである。
【0107】
イオン打込みは、イオン範囲の最後の20−30%でより顕著な空孔濃度プロフィルを作製する。イオン範囲のこの20−30%は、通常100−150ÅのInSbでのトンネル距離未満に低減することができ、追加の障壁の形成を回避する。
【0108】
利用するイオンには、生じる浅いレベルの数と固体構造への損傷など、可否のバランスが必要である。例えば、Xeはより浅い層を作製する。しかし、これはより損傷を受け、結晶は半アモルファスである。
【0109】
d.概要
デバイスの最大効率を制限するオーミックリターン電流を低減することを追求する、最後のセクションで導入する基本的なサーマルダイオード設計の修正を記載した。オーミックリターン電流が計算中に存在し、高ギャップドーピングでの熱イオン電流よりも優位であることが実証された。リターン電流を低減し、より高い最適効率をもたらすために、コレクタの内部に補償層を含むことが示されている。モデリングの結果は、完全な補償が、所与のギャップドナー濃度に関する最大効率を生むことを示す。この結論は、簡単な物理学の論証からアプリオリに結論付けることができることと一致する。したがって、本発明による補償サーマルダイオードの好ましい実施形態は高効率によって特徴付けられ、それにより、より大きな補償の度合がより高い効率をもたらす。補償サーマルダイオードに関して計算されたピーク効率は、最良の熱電気に匹敵するものである。
【0110】
4.オーミックコンタクト
オーミックコンタクトは、半導体の大きさまたは広がり抵抗に関する無視できるコンタクト抵抗を有する金属半導体コンタクトと定義される(Sze, S.M., Physics of Semiconductor Devices. N.Y., John Wiley & Sons, 1981, pp.304-311参照。その内容を本明細書に明確に組み込む)。このセクションは、本発明によるオーミックコンタクト、およびそのようなコンタクトを作製する方法を述べる。
【0111】
金属と半導体の界面は局所ポテンシャル障壁を導入し、これはショットキー障壁という汎用名で知られている。簡略化した形では、フェルミ準位を基準にして測定されたショットキー障壁φbを、φb=φm−χsと書くことができ、ここでφmは金属電子仕事関数であり、χsは半導体電子親和力である。ショットキー障壁値の例は、GaAsに関して0.70eVであり、InSbに関して0.18eVである。
【0112】
固体状態金属半導体熱イオン変換器では、動作温度範囲が、ショットキー障壁高さよりも低い。これは、効果をなくし、または少なくとも動作電流を低下させる。
【0113】
本発明の典型的な動作電圧は10−100mVであり、電力は1−10Wである。これはI0=100−1000Aの動作電流をもたらす。ショットキー障壁での電力損失は、Wloss=I0φbである。Wlossを全電力の1%未満にするには、φbを1meV未満にしなければならない。障壁はしばしば、コンタクト抵抗で表される。したがって、上述した電流では、コンタクト抵抗を10-5−10-6Ω未満にしなければならない。
【0114】
参照により本明細書に組み込む文献Chang等, Specific Contact Resistance of Metal-Semiconductor Barriers. Solid-State Electronics, Vol.14(1971), pp.541-550、およびShannon, J.M., Control of Schottky Barrier Height Using Highly Doped Surface Layers. Solid-State Electronics. Vol.19(1976), pp.537-543が、オーミックコンタクトを形成する方法を記載する。金属と半導体の界面での電場が、半導体内のキャリア減少領域を生み出す。イオン化不純物の濃度が増大すると、減少幅がより狭くなる。これは、トンネリングに関する伝送効率を増大させる。したがって、トンネリングがキャリア伝達プロセスを支配するように障壁が十分に薄い場合、高い障壁コンタクトさえもオーミックになる場合がある。10-6Ω/cm2に対応するドーパントレベルは、300℃で1020−1021(InSb中のTe)である。トンネリングに関する電子有効質量は温度と共に増大し、必要な濃度は500℃で1020ではなく1021である。高ドーパント濃度層は十分薄くしなければならず、それにより、接触する半導体界面にそれ自体の障壁を導入しないようになる。上で引用したShannonの文献は、この厚さを150Å未満と推定している。この手法は、n型領域からp型領域に進むときに電流符号が逆になることに留意して、n型ドーピングとp型ドーピングの両方に適用される。
【0115】
1021cm-3の浅いドーピングを達成するのに必要な打込み線量は、TRIM−91コンピュータコードを使用することによって計算された(G. Ziegler, G. Biersack. IBM(1991))。イオン範囲および必要な線量は、InおよびSbに関して個別に計算された。計算結果は、InSbに近似するように平均化された。このエネルギー範囲でのInとSbの差は20%以下だった。Teは、既知の最低のイオン化エネルギー(50meV)を有するので、n型ドーパントとして利用された。図30はこの線量に関する計算結果を示し、図31はイオン範囲を示す。
【0116】
p型ドーピングに関して、InSbに関する既知の材料には、Ge(9meVイオン化エネルギー)およびAg(Ei=30meV)が含まれる。Agは、Geよりも重いので明らかに1つの好ましいイオンであり、同じイオンエネルギーに関してより狭い範囲を有し、これは、より小さな減少領域幅を可能にする。Agドーピングに関する計算は図32および33に示されている。イオン打込みプロセスが、後でアニールしなければならない空孔を形成する。
【0117】
オーミックコンタクトを形成するための別の方法は、拡散アニーリングによるものである。例えば、InSbを備えるダイオードに関するオーミックコンタクトを、InSbウェハ上でインジウム層をアニールすることによって形成することができる。以下の手順が、酸洗浄水晶アンプル内で行われた。アンプルは、800℃での高真空内で1時間超にわたってベークされた。インジウムコーティングを有するInSb試料が、ポンプされ10−100トールのヘリウムで充填された水晶アンプル内に装填された。高い熱伝導率を有するヘリウムは迅速な冷却を提供する。様々な温度でのアニーリング後に、I対V曲線が試料について測定され、オーミックコンタクトが存在することが確認された。10−60分のアニーリング時間で250−400℃の温度範囲内で良好な結果が得られた。500℃を超える温度では、試料がオーミックな挙動を示したとしても、インジウムが完全に溶解し、試料を使用不可能にした。
【0118】
5.例
a.設計パラメータ
図2を参照すると、本発明の他の実施形態では、オーミックコンタクト(12、20)と熱シンクの間に中間の熱伝導層を配置して、熱コンタクトを補償することができる。例えば、Inなどの堆積層を高温側で使用することができ、In−Ga共晶などの堆積層を低温側で使用することができる。これらの材料は、低圧縮(0.1−1.0MPa)で適切な熱コンタクトを保証するように十分な可鍛性を有する。
【0119】
したがって、本発明に従ってこれらの層に関して使用することができる材料は、可鍛性の熱伝導体であり、しかし他の実施形態では他の材料を使用することができる。熱コンタクトを提供する別の方法は、ペースト、接着剤、低温はんだ合金、またはそれらの等価物の塗布である。次いで、電気および熱伝導層が、熱伝導層と半導体の間で拡散障壁として働くように追加される。この実施形態では、熱および電気伝導層が、追加の半導体放出層を伴わずにエミッタとして使用される。この層の特徴および機能には以下のことが含まれるが、それらに限定されない。(1)熱を伝導する、(2)電気を伝導する、(3)電子を放出する、(4)金属と半導体の界面にショットキー障壁を作製する、(5)拡散障壁を作製する、(6)半導体と、連続する層との化学反応を防止する、(7)層剥離を防止するように半導体の熱膨張に合致する、(8)サーマルダイオードの動作範囲内で熱的に安定である、(9)不活性環境内で真空カプセル化または封止がされない場合には、酸化に対する高い耐性を有する。
【0120】
例えば、InSbは、300−500Kの温度範囲内で5.2−5.4×10-6-1の熱膨張率を有する。他の取り得る材料には、Mo、Cr、W、Ta、Re、Os、Ir、ランタノイドおよびニッケル合金、Pt、および、In、Au、Cuなどの軟らかい金属が含まれ、しかしそれらに限定されない。この列挙のうち、Taとランタノイドは酸化されやすく、Inは低い溶融温度を有する。
【0121】
高ドープ半導体および半金属も使用することができる。例えば、Siの薄層は、十分に高い熱および電気伝導率を有する。しかし、いくつかの予防措置が行われ、特に、InSbに比べて大きな禁制ギャップが、電流伝達を妨げる内部障壁の形成を保証することに留意されたい。
【0122】
熱および電気伝導層の実施形態の厚さは以下のように設計される。熱伝導率は、好ましくは半導体ギャップよりも高い。100−1000ミクロンのギャップ厚さでは、層の厚さは、熱損失を増大するので好ましくは約数ミクロン未満である。薄い側では、層厚さを定義するいくつかの考慮事項がある。例えば、金属層は、バルク特性を維持するために好ましくは電子平均自由経路よりも厚くなる。層が別の金属(中間層)に近接するので、フェルミ準位位置に影響を及ぼし、半導体内への電子放出を変える場合がある。この効果は、1000Å未満の金属層厚さで重要であることが知られている。この数値は、少なくとも数電子平均自由経路長であり、不必要な複雑さを避けるためには低い実用制限とみなすことができる。同様の厚さ考察が、半導体エミッタ領域n*にも当てはまる。
【0123】
エミッタギャップ界面に関する好ましい状況は、その領域が合致する結晶学性質をもっているとき、すなわちエミッタ領域がギャップ領域の上にエピタキシャル成長しているときである。InSbに関して、これは150℃を超える堆積温度を維持することによって達成することができる(PVD)。Hg1-xCdxTeなど他のギャップ材料では、エピタキシャル成長はより複雑になる。エミッタギャップ界面が不一致のとき、変換器性能の散乱および低減が生じる。
【0124】
適切な電気および熱コンタクトを提供するいくつかの方法が存在し、本発明の範囲は、上で引用した例に限定されず、異なる基準に従って設計された他の実施形態も想定していることを電気および熱コンタクトの当業者は理解されたい。
【0125】
b.非圧縮サーマルダイオード
以下の例は、本発明の選択実施形態を例示するものであり、限定を与えるものではない。本発明は、精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実施することもできる。以下の例(1)−(9)のドーパント濃度は、cm-3の単位で与えられている。
【0126】
(1)金属1/n/金属2:InGa共晶(バルク)/CrまたはNi(1000-4000Å)/InSb(360ミクロン;1.1×1018Teでドープ、配向100)/Pt(1500Å)/In(バルク)。金属1の厚さは、特定の温度で特定の金属に関する電子の平均自由経路よりも小さくすることができず、例えばAgに関して平均自由経路は約400Åである。
【0127】
(2)金属1/n*/n/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/InSb(400Å;3.0×1019Teでドープ)/InSb(360ミクロン;1.1×1018Teでドープ)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0128】
(3)金属1/n**/n*/n/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/InSb(400Å;3.0×1019Teでドープ)/InSb(360ミクロン;1.1×1018Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0129】
(4)金属1/n**/n*/n/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(400Å;3.0×1020Teでドープ)/InSb(360ミクロン;1.1×1018 Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0130】
(5)金属1/n**/n/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(360ミクロン;1.1×1018Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0131】
(6)金属1/n**/n/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(500ミクロン;1.1×1018Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0132】
(7)金属1/n**/n*/n/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(400Å;3.0×1020Teでドープ)/InSb(500ミクロン;1.1×1018Teでドープ)/In(100Å)/Ni(1500Å)/In(バルク)。
【0133】
(8)金属1/n**/n/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(500ミクロン;1.9×1017Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0134】
(9)金属1/n**/n/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(500ミクロン;1.9×1017Teでドープ)/In(100Å)/Ni(1500Å)/In(バルク)。
【0135】
c.補償サーマルダイオード
以下の例は、本発明の選択実施形態を例示するものであり、限定を与えるものではない。本発明は、精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実施することもできる。低ドーピング(p)を有すると言われる層もn型にすることができる。以下の例(1)−(5)のドーパント濃度はcm-3の単位で与えられる。
【0136】
(1)金属1/n**/n*/n/p/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(400Å;3.0×1019Teでドープ)/InSb(500ミクロン;1×1018Teでドープ;(100)から2°)/p-InSb(400Å;3.1×1014Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0137】
(2)金属1/n**/n*/n/p/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(400Å;3.0×1019Teでドープ)/InSb(500ミクロン;1×1020Teでドープ;(100)から2°)/p-InSb(400Å;3.1×1014Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0138】
(3)金属1/n**/n/p/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(500ミクロン;1×1018Teでドープ;(100)から2°)/p-InSb(400Å;3.1×1014Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0139】
(4)金属1/n**/n*/n/p/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(400Å;3.0×1019Teでドープ)/InSb(500ミクロン;1×1020Teでドープ;(100)から2°)/p-InSb(2000Å;3.1×1014Teでドープ)/In(100Å)/Pt(1500Å)/In(バルク)。
【0140】
(5)金属1/n**/n*/n/p/n**/金属2:InGa共晶(バルク)/Cr(1500Å)/In(100Å)/InSb(400Å;1.0×1020Teでドープ)/InSb(500ミクロン;1×1018Teでドープ)/p-InSb(400Å;ここでp型領域はArまたはNeを用いてイオン打込みをされる)/In(100Å)/Pt(1500Å)。
【0141】
6.分散ショットキーダイオード
金属と半導体の界面でのショットキー障壁の形成は、参照により本明細書に組み込むRhoderick, E.H.およびWilliams, R.H., Metal-Semiconductor Contacts. Oxford, Clarendon Press(1988)に良く記述されている。ショットキー障壁の2つの主要なモデルが存在する。ショットキーモット(Shottky-Mott)モデルでは、障壁φbが、金属仕事関数φmと半導体電子親和力χsの差とみなされる。すなわち、φb=φm−χsである。実際には、φbは金属仕事関数φmとはほぼ無関係である。J. Bardeenによる説明は、障壁が表面状態によって影響を受けるというものである。この電荷の補償は、表面状態Qssの変化によって影響を受ける。電気的中性状態はQm+Qd+Qss=0であり、ここでQmは金属の表面での負の電荷であり、Qdは非補償ドナーの正の電荷である。補償φ0障壁(中性レベル)性質は、φ0とフェルミ準位EFの相対位置に依存している。φ0が価電子帯の上部を基準にして測定される場合、ショットキー障壁は、φb≒Eg−φ0である。
【0142】
ギャップエネルギーEgは、温度に応じたものであり、いくらかはドーパント濃度に応じたものである。オーミックコンタクトに関してセクション4に記述したように、表面での不純物の蓄積がφbに影響を及ぼす。界面での部分的な不純物蓄積も障壁高さに影響を与える。
【0143】
図34は、InSbギャップの温度挙動を示す(Landolt-Bornstein, Numerical Data and Functional Relationships in Science and Technology, Group III: Crystal and Solid State Physics, (1983) Vol.22b参照。その内容を本明細書に明確に組み込む)。
【0144】
ショットキー障壁値を、例示的なI対V曲線測定から得られた曲線の傾き変化によって求めることができる。室温では、(コンタクトで)最大1020cm-3のInSb中のドーパント濃度(Te)とは無関係に障壁高さが175−180meVとなった。図35は、Inエミッタに関して1×1018cm-3(500μ)までTeでドープされたInSbに堆積された、3×1019cm-3までTeでドープされた2000Å界面層に関する温度の関数としての障壁高さを示す。障壁高さは、Egよりも高速で温度と共に低減するので、これは、中性レベルφ0がEFよりも高く、状態の表面密度が温度と共に増大することを意味する。図34および35は、φ0を300℃前後で15−20meVと推定することができるようにする。このタイプの障壁は、図36Aに例示されている。図36Aに示される絶縁被膜(酸化物)は、存在したとしても実際の障壁の様相をもたずにキャリアが通り抜けるほど薄い。本発明の文脈では、このタイプのダイオードの実装が、本発明の実施形態の動作温度を高めることが判明している。
【0145】
a.実験結果
試料は、1×1018cm-3までTeでドープしたInSbウェハをベースにして製造された。ウェハ厚さは約500ミクロンであり、両側で研磨された。標準洗浄後、3×1019cm-3の濃度までTeでドープされたInSbの2000Åのエミッタ層が、マグネトロンスパッタリングによってウェハ上に堆積された。試料サイズは、両側をInGa共晶(Tm=35℃)で塗装された1×1から3×3mm2の範囲であった。塗装プロセスは、任意の表面酸化物層を壊すためにいくらかの圧力を加えることを含んでいた。
【0146】
図36Bは、高温オーミックコンタクト12と、エミッタ14と、ギャップ領域16と、補償領域19と、コレクタ20とを備える本発明の一実施形態を概略的に例示する。いくつかの実施形態では、領域15が、金属と半導体の界面の障壁を低減するために高温オーミックコンタクト12に面するエミッタ側に形成される。この金属半導体界面障壁低減層は、いくつかの実施形態ではマグネトロンスパッタリングによって形成される。領域17は、いくつかの実施形態ではコレクタ低温金属コンタクト20に面するギャップ領域側に形成され、その効果は、金属半導体界面障壁を低減するものである。この領域は、領域15を形成するために採用されるのと類似の技法によって形成される。本発明の他の実施形態は、領域15のみを備え、本発明の他の実施形態は領域17のみを備える。上述したように、補償および非補償実施形態を含めた本発明の実施形態での領域15と17の少なくとも一方の存在が、動作電圧を増大させる。
【0147】
試験装置は、大量銀めっき銅ブロックで400Wで定格されたカートリッジヒータを含み、水冷低温プレート(銀メッキ銅)が、マイクロメトリック直線ステージに取り付けられた。電気リードは、大量可撓性銅ストランドだった(<10-4Ω)。温度は、Keithly2001ディスプレイを有するOmegaRTDで制御された。カスタムメードレジスタバンクは、10-4Ω以上の負荷を提供された。電圧は0.01%の精度で測定され、電流は1%の精度で測定された。直線位置決めステージで、試料が高温プレート上に設置され、低温プレートで圧縮された。アルゴンガスがプレート間に導入されて、高温での材料の酸化を防止した。高温側は、取付けプレートおよび周囲空気から熱的に絶縁された。
【0148】
図37は、線42によって示される単一試料に関する例示的な出力I対V曲線と、200℃のエミッタ温度に関する線44によって示される3つの試料のスタックとを例示する。最大抽出電力の点で、熱フローの低減が3分の1以上であるとき出力差は20%未満である。これは、スタック構成の効率が大幅に増大することを意味する。さらに、各界面が、理想的でないコンタクトおよびフォノン不一致効果による熱抵抗をもたらす。フォノン不一致に関する最小数は約4%である(Swartz, E.T., Thermal Boundary Resistance, Vol.61, No.3(1989年7月)参照。それを参照により本明細書に組み込む)。各試料が、2つの追加の境界を導入する。
【0149】
低温側でのエミッタ層など、スタックでの試料向きの交換は、正確に構成されたスタックに比べて、5つの試料のスタックで出力を200℃で約5分の1に低減し、300℃で約2分の1に低減する。300℃でInSb熱伝導率および電気出力に基づいて再計算したとき、いくつかの例では、効率が、出力電力密度3−8W/cm2で理想的なカルノーサイクルの25%よりも良くなる。
【0150】
7.追加の例
このセクションでは、試験デバイス特性、試料調製技法、およびInSbおよび/またはHg−Cd−Teベースの材料を含む実施形態に関するより具体的な結果を説明する。
【0151】
a.試験装置および試料調製
試験デバイスは、Coherent(登録商標)ステンレス鋼ブレッドボードを含めた、レーザ適用例に関する標準的な機械部品に基づいて設計された。マイクロメトリック直線ステージおよびレーザ光学スタンドが、100mmの垂直直線進行を可能にした。
【0152】
高温側は、直線ステージにMacorセラミックリングを用いて取り付けられ、400W Ogden Scientificカートリッジヒータを有する大量銅ブロックからなっていた。銅ブロックは、有孔ZrO2セラミックおよびファイバーガラス繊維で熱的に絶縁された。銀の2ミクロンコーティングを有する酸素フリー銅からなる交換可能な銅ロッドが、試料に熱を送達するために使用された。各ロッドが、温度センサを受け取るように構成された少なくとも2つの穴を有していた。ロッドに沿って2点で温度を測定し、ロッドの熱伝導率および断面を知ることによって、試料への熱フローが求められた。
【0153】
銀被覆水冷低温プレートは、Newport 3軸「ボールアンドソケット」ステージを用いて光学スタンドの上部に取り付けられ、低温プレートと高温プレートの並列位置合わせを可能にした。
【0154】
電流リードは、約10-4Ωの抵抗を有する銀被覆撚合せ銅ワイヤを備えていた。約10-5Ωから約10-1Ωの範囲内の負荷抵抗は、銅およびステンレス鋼からなっており、大量のボルトによって電流リードに接続された。
【0155】
ヒータへの電力は、Xantrex 300-3.5 DC電源によって供給された。負荷および試料抵抗にわたる電圧は、4ワイヤ構成でのHP34420A NISTトレース可能ナノボルト/マイクロオームメータを用いて測定された。Keithley2001マルチメータが、Omega熱電対およびRTD温度センサに関する読出機構として使用された。電流は、Amprobe(登録商標)A-1000トランスデューサによって測定された。負荷およびリード抵抗が、個別電流割出しを可能にした。1A未満の電流を除いて全ての測定パラメータで、精度が1%よりも良かった。
【0156】
高温での試料およびコンタクトの酸化を防止するために、アルゴンガスが、Capton箔スカートを使用して高温プレートと低温プレートの間に導入された。
【0157】
試料調製用の材料は、直径約2インチおよび厚さ500μのInSbウェハ(WaferTech、英国)を備えていた。ウェハは、両側で約20ÅRMS(根二乗平均)まで研磨された。標準ドーパント(Te)濃度は約1018cm-3だった。エミッタ層は、マグネトロンスパッタリングによって堆積された。3×1019cm-3でドープされたInSbターゲットも使用された。エミッタ層厚さは、約400Å−約15000Åの範囲内だった。本発明の実施形態でのエミッタ厚さは少なくとも約400Åだった。さらに、本発明の文脈での原理はエミッタ厚さに制限を課さず、それにより本発明の実施形態は、そのような厚さに関する上側境界での制約によって制限されない。
【0158】
補償層を作製するために、1018cm-3p型不純物が半導体内に配置されて、約1018cm-3の濃度ですでに存在するn型ドーパント(Te)を補償する。InSb中の空孔が、約60meVのイオン化エネルギーを有するp型キャリアを形成し(例えば、Landolt-Bornstein参照)、このエネルギーはTeのイオン化エネルギーとほぼ同じである。打込み線量が、補償層を形成するためにTRIM−91のソフトウェアを使用することによって再計算された。
【0159】
次いで、試料が洗浄されて、インプランタに嵌合するように劈開された。試料は、様々な線量で40keVArイオン(Core Systems, Inc., Santa Clara, California)を打ち込まれた。各試料が、約200℃で変換モードで試験された。試験結果が、補償ダイオードに必要な計算された線量と共に図38に示されている。ウェハ中のドーパント濃度が約10%の精度で知られていたので線量が変化した。図38のゼロの打込み線量が非補償試料に対応し、図38でのゼロよりも大きい打込み線量が補償試料を指す。図38に示されるように、非補償試料の効率と本明細書で示された補償試料の最大効率との比較は、補償層が約80%の性能改善をもたらすことを表している。補償に関して、図38はまた、所与の打込み線量で予測される計算された効率を示す。
【0160】
InSbで40keVでのAr+に関する範囲は約400Åであり、これは補償層を作製するのに十分である。400Å層は、高温で空孔の高速拡散損失をもたらす傾向がある。そのような拡散損失を回避するために、Heイオン打込みが他の実施形態で行われる。これらの実施形態でのHeイオン層厚さは数ミクロン程度であり、これは打込み層の効果的な寿命を高める。例えば、1ミクロンの厚さでのInSbの空孔の推定される拡散半減期は、200℃で約1年である。補償層が本発明の実施形態の低温側に位置するので、補償層が数ミクロンの厚さであるとき、通常は拡散の問題が回避される。InSb中の4Heイオンに関する計算されたイオン範囲および空孔形成が図39−40に示されている。
【0161】
b.Hg1-xCdxTeを用いた実施形態
Hg1-xCdxTe半導体(本明細書では以後「MCT」と呼ぶ)は、0.08≦x≦0.15のとき非常に良い熱イオン性能指数値を有し、上側境界と下側境界が近似して与えられる。xの好ましい値は約0.14である。本発明の実施形態は、500ミクロンの厚さのHg0.86Cd0.14Teウェハ(Lookheed Martin IRイメージングシステム)を備えていた。MCTは様々な基板と反応し、高ドープドナー層(In、Fe、GaおよびAlなどの金属と反応)またはアクセプタ層(Ag、Au、およびBiなどの金属と反応)を生成し、反応速度は材料および温度に応じて決まる。P. Caper, Properties of Narrow Gap Cadmium-Based Compounds, INSPEC, 1994を参照のこと。これを参照により本明細書に組み込む。
【0162】
InSbは反応性が低く、n*領域を作製するためにより複雑な技法の実施を必要とするので、MCTの反応性は、InSbよりも簡単にn*/nエミッタ層を構築することができるようにする。さらに、InSbは、約2−3×1019cm-3のドーパント濃度に制限される。
【0163】
本発明の実施形態の性能は、ドナー不純物を形成する基板が、より高い電流密度を発生するので好ましいことを示している。図41に示されるように、キャリア注入層を有さない熱電気応答は、温度に関する変化をほとんどまたは全く示さない電流密度を発生する。例えば、銅はアクセプタ不純物を形成し、n*領域は形成しない。対照的に、Al、In、およびGaなどの基板は、MCT中にn型不純物を形成し、それらが電子注入n*領域を作製する。図41は、Hg0.86Cd0.14Te試料に関する温度の関数として電流密度を示し、その1つがCuエミッタ層を有し、別の1つが、基板組成In0.75Ga0.25でのIn−Gaエミッタ層を有する。コンタクト抵抗がどちらの場合も監視されて、観察される結果に対して酸化物層が重要な役割をもたないことを保証した。特に、In−Gaが、銅よりもわずかに良いコンタクトを作製することが判明した(銅に関する約103mΩに比べてIn−Gaに関しては約92mΩ)。図41に示されるように、銅を有する試料に関する温度の関数としての電流密度は平らである。MCT試料は、冷却することが可能であり、約20−50ミクロン厚のIn−Ga層が銅基板の上部に配置された。図41に示されるように、電流密度は、最大約70℃の温度でのみ、銅を有する試料によって示されるのと同様の温度での変化を示した。同図が、この点よりも上では電流密度が温度と共に明らかに上昇したことを示す。これは、n型不純物が注入されたアクセプタ型不純物によるものであり、それにより試料は、何倍も高い電流出力を有するキャリア注入モードを示す。両方の場合の出力電圧が、約290−約350μV/Kでほぼ同じであり、MCTに関する既知の熱電気ゼーベック係数に一致する。
【0164】
異なるドナー材料が異なる電流密度をもたらす。図42は、2つのHg0.86Cd0.14Te試料に関する温度の関数としての電流密度を示し、一方がAl基板を有し、他方の試料がIn−Ga基板を有する。この基板の好ましい組成は、In0.75Ga0.25によって実施される。温度の関数としての電流密度が、温度範囲全体にわたってIn−Gaを有する試料のほうが常に高いので、In−Ga基板はAlよりも良いエミッタを形成する。電流密度対温度のグラフの形で示してはいないが、InはGaよりも良いエミッタを形成し、特に純粋なIn基板を備える。Al、In、およびGaなどの基板が、電子注入n*領域を作製するMCT中のn型不純物を形成する基板の例である。
【0165】
図43は、In0.75Ga0.25共晶とMCTを反応させることによってn*エミッタ層が形成された本発明によるMCT変換器の一実施形態によって示される絶対効率を示す。絶対効率は、試料を介する熱フローに対する電力出力の比と定義される。図43に示されるのと同じデータが、図44に示される理想的なカルノーサイクル効率のパーセンテージに関して再計算された。理想的なカルノーサイクル効率ηcは、ηc=(Thot−Tcold)/Thotと定義される。理想的なカルノーサイクル効率の30%よりも高い比率は、従来の熱電気デバイスの能力を上回り、従来の熱電気デバイスは理想的なカルノーサイクル効率の20%に到達することもほとんどできないことが受け入れられる。対照的に、図44は、本発明の実施形態が、Tcold=20.5℃で約100℃から約175℃の温度範囲内で理想的なカルノーサイクル効率の20%を超える効率を常に生み出すこと、およびこの効率が約150℃から約160℃の温度で理想的なカルノーサイクル効率の30%を超える効率であることを示す。
【0166】
150−160℃を超えたときの変換器性能の低下は、エミッタ層溶解および/または注入キャリア再結合による場合がある。この変換器性能低下を回避するために、本発明の実施形態は拡散障壁を備える。最大約10Åのイッテルビウム層がそのような拡散障壁の一例である。そのような金属層は電子伝達性能に大きな影響を及ぼさないので、最大約10Åの厚さが好ましい。拡散障壁を作製する追加の方法については、例えば、参照により本明細書に組み込むA. Raisanen等、Properties of II-VI Semiconductors, MRS Society Symposium Proceedings, vol.161, pp.297-302, 1990を参照されたい。
【0167】
c.InSb/Hg1-xCdxTeサンドイッチを有する実施形態
上述したように、高温側構成上にエミッタを有する積層InSbプレートを備える本発明の実施形態が、大幅に向上した効率を示す。これらのタイプの実施形態に関する効率は以下のように求められた。
【0168】
InSbとMCTは、異なる温度で最高性能を示す。すなわち、InSbに関しては約300℃から約350℃であり、MCTに関しては約150℃である。これらの異なる温度を考慮することによって、本発明による変換器の実施形態は両方の材料に関して最適化される。
【0169】
MCTの小さな熱伝導率は、特に、小さな試料を用いて測定を行わなければならないとき熱フローの直接の測定を困難にする。さらに、本発明の実施形態で使用されるいくつかの試料の寸法は最大で数平方ミリメートルであり、この小さな寸法により、利用可能な温度センサを用いたコンタクト温度測定に適さなかった。さらに、これらの試料の小さなサイズは、IRイメージングカメラの制限された空間分解能により標準IRイメージングカメラの使用をできなくした。カスタム光学IRカメラに依拠する方法が、この問題を回避する。
【0170】
これらの実験で採用された別の方法は、以下の仮定を含意している。同じ厚さを有するプレートが、実質的に熱損失をもたずに同じ熱フローを示す。スタックにわたる全温度降下は、ΔT=ΔT1+ΔT2と書かれ、ここでΔT1は第1のプレートにわたる温度降下であり、ΔT2は第2のプレートにわたる温度降下である。InSbおよびMCTの温度依存熱伝導率は、それぞれλ1(T)およびλ2(T)である。これらの変数を用いて以下の式を記述する。
【0171】
−λ1(T)ΔT1=−λ2(T)ΔT2
ΔT=ΔT1+ΔT2
【0172】
ΔTは、低温プレートと高温プレートの間の温度差として測定することができ、第1の式は、ΔT1、λ1(T)、およびλ2(T)の値を使用して繰り返すことができる。各プレートにわたる熱フローおよび温度降下は、この反復処理に従って推定される。上述したように、変換器効率は、デバイスを介する熱フローに対する電力出力の比をとることによって計算される。InSbプレートの厚さは、30%を超える実質的に同じカルノーサイクル効率比率をもって、150℃未満から300℃を超える温度までの変換器動作温度範囲を変わるように調節された。赤外イメージング機器を用いた直接測定は、おそらく理想的でないコンタクトによる変換器を介するわずかに低い熱フローを示し、3%−4%のより高い効率をもたらした。本発明の実施形態での最大観察効率は、理想的なカルノーサイクルの40%を超える。対照的に、現在利用可能な従来のエネルギー変換器は通常、狭い温度範囲で約16%のカルノーサイクル効率比率を示す。
【0173】
図45は、本発明によるサンドイッチ変換器の一実施形態の効率を示す。約1mm厚のInSbプレートがこの実施形態で使用され、ドーパント(Te)濃度は約1018cm-3であった。エミッタ層は約2000Åであり、約3×1019cm-3Teを有するスパッタInSb層を備えていた。プレートはIn−Gaを含有する層で被覆された。このIn−Ga材料の好ましい組成はIn0.75Ga0.25によって実施された。この層の厚さは、約30ミクロンから約50ミクロンであった。第2のプレートは、好ましくは0.08≦x≦0.15を満足するxでのHg1-xCdxTeからなっており、上側および下側境界が近似的に与えられた。この化合物のより好ましい形態は、Hg0.86Cd0.14Teによって与えられる近似化学量論を有し、厚さは約0.51mmである。平均スタック断面は約1.70×1.52mm2であった。この実施形態に関する高温プレート温度の関数としての理想的なカルノーサイクル効率比率が図46に示されている。図45−46に関するTcoldは20℃であった。図46に示されるように、最大性能でのこの実施形態に関する理想的なカルノーサイクル効率のパーセンテージは、図44で示されるのとほぼ同じであり、しかしこの実施形態は、これを大幅に高い温度で示す。
【0174】
d.Hg1-xCdxTe性能指数
表1に示されるように、HgTeに関する性能指数は、InSbよりも約2.5倍良い。HgTeへのCdの追加は、キャリア移動度を改善し、熱伝導率を低減する。図47は、xの関数としてInSbを基準にしたHg1-xCdxTeに関する正規化熱イオン性能指数を示す。X=0.08では、Hg0.92Cd0.08Teに関する性能指数は約0.0065であり、これは、HgTeに関する性能指数に比べ2倍良い値である。本発明の他の実施形態では、性能指数が約0.001程度の低さと想定されている。
【0175】
また、本発明の文脈では、Hg1-xCdxTeの好ましい実施形態が約0.08から約0.15の範囲内のx値を有し、この範囲内でこの材料が熱イオン性能指数に関する最大値を示し、材料が依然として半導体性質を示すことが判明した。これは、n*エミッタ層とギャップとの関係、および補償層と本明細書で上述したギャップとの関係をサポートする。
【0176】
8.冷凍実施形態
上に記載したように(図1および19参照)、冷凍を提供するための熱イオン変換器50の主要構成要素(図48および49参照)は、熱を電気に変換するためのサーマルダイオード10の構成要素と本質的に同じである。したがって、本明細書では、用語「熱エネルギーの固体状態熱イオン変換器」は概して、本発明による熱エネルギーから電気への変換器の実施形態、および本発明による冷凍実施形態を指す。
【0177】
図48は非補償サーマルダイオードを例示し、図49は補償サーマルダイオードを例示する。熱電気実施形態と冷凍実施形態の本質的な差は、キャリア伝達が外部電場EExtによって補助されること、およびn*型領域14が、n*型領域14上の第1のオーミックコンタクト52への熱フローによって冷却される熱負荷に接続されることである。n*型領域14は、絶縁材料54によって熱的に絶縁される。加熱されたn*型領域14ではなく、熱電気実施形態の場合と同様に、熱負荷が、図48に例示されるサーマルダイオード50内のn*型領域14への熱フローQLoadによって冷却される。ギャップ16領域はn*型領域14に隣接し、再結合コレクタ領域56を有する第2のオーミックコンタクト53が、第2のオーミックコンタクト53とギャップ領域16の間に形成される。ギャップ領域16は、n型でも、p型でも、真性であってもよい。図49に示される補償サーマルダイオードの場合、補償領域19は金属コンタクトの内部にあり、これは、p型ドーピングの追加によって生み出され、電子リターン電流を抑制する。第2のオーミックコンタクト53の後面は熱交換器として作用し、熱フローQExchangeが高温電子から熱を放散する。
【0178】
図50は、本発明の冷凍実施形態として補償ダイオードに関する温度の関数としての性能係数(CoP、逆カルノーサイクルを基準にする)を示す。図50の性能係数曲線には、各実施形態での異なるギャップ材料のラベルが付けられている。従来のデバイスに関する大幅に改善された性能係数に加えて、図50はまた、約200K未満の温度では一般に動作することができない従来のデバイスに比べて本発明の実施形態が200Kよりも十分低い温度で動作することを示す。
【0179】
空気および液体冷却を含む、しかしそれらに限定されない熱交換器、またはそれらの等価物を達成するための多くの手段が存在することを熱交換器の当業者は理解されよう。
【0180】
9.適用例
エネルギー変換は現在の文明の基礎であるので、効率の良いエネルギー変換器は、既存のユーティリティ発電所、太陽発電所、住宅電気供給源、住宅/太陽電気供給源、自動車、海上、太陽/海上、可般性電子部品、環境熱ポンプ、冷凍(冷却、空気調和など)、航空など多くの適用例を有する。
【0181】
発電所は、300℃以下のポテンシャルで大量の廃熱を有する。本発明の実施形態を使用することによってカルノー効率の20−40%で廃熱を変換することは、等価な燃料節約を有する追加の10−20%の全体プラント効率が与えられると予想される。
【0182】
本発明による低コストエネルギー変換器が増えると、現行蒸気/電気サイクルよりも効率の良い集光器発電所の資本費用を低減することが予想される。より低い動作温度も、保守コストを低減する。
【0183】
直接熱電気エネルギー変換に基づく住宅電気供給源は、電力線を設置するのが困難または不便な地方地域に理想的なものである。熱源は、化石燃料または集光器の形にすることができる。集光器はまた、昼夜の温度差を利用する太陽熱ウォータープールの形にすることもできる。本発明の実施形態に関連する数百平方メートルの表面を有する数百立方メートルの水が、約10℃の温度差で地域の家庭に電気供給を提供することができる。
【0184】
発電機および電気モータを駆動する従来の内燃機関に関連する本発明によるサーマルダイオードが、走行距離を大幅に増加する。
【0185】
直接エネルギー変換は、電気自動車で多数の適用例を有する。一適用例は、全体効率ブースタとして最大約150から200℃の動作温度で本発明による熱イオンデバイスを使用することを含む。別の適用例は、中間放熱器として本発明による変換器アレイを有する発電機と組み合わされた電気ドライブおよび従来の内燃機関を有する自動車である。
【0186】
自動車および推進適用例は、海上適用例にも適用可能である。さらに、集光器を帆形で使用することができる。本発明によるサーマルダイオード変換器と光および安価プラスチックフレネルレンズとの組合せを、現在の剛性翼型の帆に組み込むことができ、約100−200W/m2の帆の太陽成分でボートを推進するように風および太陽エネルギーを使用できるようにする。
【0187】
本発明による変換器の実施形態は、自制モードでの非常に小さな温度勾配を利用することができるので、熱シンク間の温度勾配は、表面上での非対称な熱交換により生み出される(例えば1つの熱シンクを熱的に絶縁することができる)。また、何らかの誤動作が生じるまでシステムが稼動し、環境を冷却し、電気を発生する。要約すると、本明細書で開示される方法および装置は、エネルギー変換の現行技術からの大幅な改善となる。
【0188】
本発明を、精神または本質的な特徴を逸脱することなく他の特定の形態で実施することができる。説明した実施形態は、全ての点で、単に例示的なものであり、限定するものではないとみなされる。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく頭書の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の意味および等価範囲内にある全ての変更がその範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の熱イオン変換器の一実施形態を概略的に示す。
【図2】 本発明の熱ダイオードの断面図である。
【図3】 ND *=1020cm-3と仮定して、InSbに関する温度の関数として標準化された導電率パラメータχのプロットである。
【図4】 InSbにおけるn*pn*熱イオン構造に関する電子およびホール濃度を示し、ここで、エミッタおよびコレクタ領域におけるドナー濃度は1020cm-3であり、ギャップ領域におけるアクセプタ濃度は1017cm-3である。
【図5A】 InSbにおけるn*nn*熱イオン構造に関する電子濃度を示し、ここで、エミッタおよびコレクタ領域におけるドナー濃度は1020cm-3であり、ギャップ領域におけるドナー濃度は1014cm-3である。
【図5B】 いくつかの半導体に関する温度の関数として標準化された導電率パラメータχを示す。
【図6】 InSbにおけるn*nn*熱イオン構造に関する電子およびホール濃度を示し、ここで、エミッタおよびコレクタ領域におけるドナー濃度は1020cm-3であり、ギャップ領域におけるドナー濃度は8×1017cm-3である。
【図7】 ドーピング濃度の関数として標準化された障壁高さΔuを示す。
【図8】 Tmax=600KおよびΔτ=0.5で上述で考慮される構造に関する標準化された障壁高さの関数としての短絡電流を示す。
【図9】 625μの厚みのInSb設計に関する電流および電圧特性を示し、1020電子/cm3のエミッタ電子濃度、エミッタ温度Tmax=600K、およびコレクタ温度Tmin=300Kである。
【図10】 625μの厚みのInSb設計に関する単位面積当りの負荷パワーを示し、1020電子/cm3のエミッタ電子濃度、エミッタ温度Tmax=600K、およびコレクタ温度Tmin=300Kである。
【図11】 625μの厚みのInSb設計に関する電圧の関数として単位面積当りに散逸される熱パワーを示し、1020電子/cm3のエミッタ電子濃度、エミッタ温度Tmax=600K、およびコレクタ温度Tmin=300Kである。
【図12】 InSb設計に関する電圧の関数としての効率を示す。cm-3単位での1017(プロットの最も低い曲線)、3×1017、5×1017、および7×1017(プロットの最も高い曲線)のギャップドナー密度に関する計算結果を示す。
【図13】 1020cm-3の固定されたエミッタイオン化ドーパント濃度で、幅広いドーピング濃度にわたるギャップドーピングの関数として、標準化された最適化効率の結果を示す。
【図14】 固定されたギャップドーピングND=7×1017cm-3を有するエミッタドーピングの関数として、最適効率の結果を示す。
【図15】 熱ダイオード設計に関する単位面積当りの熱および負荷パワーを示す。
【図16】 1020電子/cm3のエミッタ電子濃度、および7×1017cm-3のギャップドナー濃度を有する設計の効率を示す。
【図17】 熱力学的な制限の一部として最適化された効率を示す。
【図18】 異なる温度で最適エネルギー変換の状況下での熱パワーフローを示す。
【図19】 補償された熱ダイオードの断面図である。
【図20】 InSb熱ダイオード設計に関するギャップドーピングの関数としての電流を示す。
【図21】 7×1017、1018、2×1018、および3×1018cm-3のNa -濃度を用いてp型補償するギャップドーピングの関数としての効率の最適化を示す。
【図22】 Tが付けられた矢印によって示される温度上昇を有する単一の補償された熱ダイオードの断面図である。
【図23A】 完全に補償され異なるギャップドーピングに関するエミッタ温度の関数として、最適化された条件の下の効率を示す。1020cm-3のエミッタ電子濃度および300Kのコレクタ温度で、625μの厚みのInSbの補償された熱ダイオード構造が仮定される。
【図23B】 図23Aで示され異なる場合に関するエミッタ温度の関数として、最適にされた条件の下で熱力学的な制限に標準化された効率を示す。
【図24】 4つの積層されたダイオードを有する実施形態を示す。
【図25】 湾曲された境界を有し、かつくさび形状の幾何構成を形成する多数の積層されたダイオードを有する実施形態を示す。
【図26】 積層境界が図25に示される理想的な曲線に近い、積層されたダイオードの実施形態を示す。
【図27A】 コレクタ温度が本発明によって約300Kである、補償された熱ダイオードの最適化された実施形態に関する温度の関数としての効率を示す。
【図27B】 コレクタ温度が本発明によって約300Kである、補償された熱ダイオードの最適化された実施形態に関する温度の関数としての効率を示す。
【図28】 濃度nにドープされたn型InSbダイオードにおける、幅広いイオンエネルギー範囲にわたる補償された層を作るために必要なドーズを示す。
【図29】 濃度nにドープされたn型InSbダイオードにおける、幅広いイオンエネルギー範囲にわたる補償された層を作るために必要なドーズを示す。
【図30】 InSb設計に関してTeの1021cm-3の少ないドーピングを達成するために必要なオーミックコンタクト実装ドーズの必要性を示す。
【図31】 図30のイオン範囲を示す。
【図32】 オーミックコンタクトを達成するためのAgドーピングの結果を示す。
【図33】 オーミックコンタクトを達成するためのAgドーピングの結果を示す。
【図34】 InSbギャップの温度挙動を示す。
【図35】 Inエミッタを有する、1×1018cm-3までてでドープされたInSb上に堆積された、3×1019cm-3までTeでドープされた境界層に関する障壁高さに依存する温度を示す。
【図36A】 金属半導体コンタクトの表面状態を示す。
【図36B】 金属半導体境界障壁縮退層を有する、本発明の実施形態を概略的に示す。
【図37】 単一のダイオードおよび3つのInSbダイオードの積層に関するI−V曲線を示す。
【図38】 サイズが、0.50×1.0×1.5mm3のサンプルに関するArイオン実装ドーズの関数としての、InSbに関する1枚のプレート効率にグラフを示す。
【図39】 InSbターゲットに関するイオンエネルギーの関数として、4Heイオン実装範囲のグラフを示す。
【図40】 図39で参照されるイオン実装に関する4Heイオンエネルギーの関数としての、イオン当りの空孔数のシミュレーション結果を示す。
【図41】 Cuエミッタ層を有するサンプル、およびIn−Gaエミッタ層を有するサンプルに関する高温側温度の関数として、Hg0.86Cd0.14Teサンプルを備える実施形態の出力電流密度のグラフを示す。
【図42】 Al基板を有するサンプル、およびIn−Ga基板を有するサンプルに関する高温側温度の関数として、Hg0.86Cd0.14Teサンプルを備える実施形態の出力電流密度のグラフを示す。
【図43】 Hg0.86Cd0.14Teサンプルを備える、補償なしの熱ダイオードの実施形態に関する温度の関数として絶対効率のグラフを示す。
【図44】 図43で参照される同じ実施形態に関する温度の関数として、理想的なカルノーサイクル効率の百分率で表現される効率のグラフを示す。
【図45】 高温プレート温度の関数として、サンドイッチ変換器の実施形態の絶対効率のグラフを示す。
【図46】 図45で参照される同じ実施形態に関する高温プレート温度の関数として、理想的なカルノーサイクル効率の百分率で表現される効率のグラフを示す。
【図47】 xの関数としてのInSbの性能指数に対するHg1-xCdxTeの標準化された性能指数のグラフを示す。
【図48】 冷却を与える熱ダイオードを示す。
【図49】 冷却を与える補償された熱ダイオードを示す。
【図50】 冷却実施形態に関する温度の関数としての性能係数を示す。

Claims (66)

  1. 固体熱イオン変換器であって、
    濃度N を有する第1のドナーを含む少なくとも1つの領域を有するエミッタと、
    コレクタと、
    前記エミッタおよび前記コレクタと電気的および熱的に連絡する前記エミッタと前記コレクタとの間のギャップ領域とを含み、当該ギャップ領域は半導体を含み、当該半導体は濃度Nを有する第2のドナーを含み、当該第2のドナーの前記濃度は、比N /Nの自然対数が、0より大きい数値と約7との間であるように選択されていることを特徴とする変換器。
  2. 前記ギャップ領域と前記コレクタとの間に配置された補償領域をさらに含み、当該補償領域が、前記コレクタから前記ギャップ領域への電流を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  3. 前記比N /Nの自然対数が、約3と約7との間の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  4. 電流が前記エミッタから前記コレクタに流れるとき、前記エミッタの温度が、前記コレクタの温度より高いことを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  5. 前記エミッタが金属を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  6. 前記ギャップ領域が、n型半導体を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  7. 前記ギャップ領域と前記コレクタとの間に電気的に連絡して配置されるか或いは前記ギャップ領域と電気的に連絡する前記コレクタの一部を含む、再結合領域をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  8. 前記エミッタが、InSbを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  9. 前記エミッタが、TeがドープされたInSbを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  10. 前記ギャップ領域が、約1016cm−3から約3×1019cm−3までの範囲の濃度のTeがドープされたInSbを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  11. 前記エミッタが、約1018cm−3から約3×1019cm−3までの範囲の濃度のTeがドープされたInSbを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  12. 前記ギャップ領域が、約1018cm−3の濃度のTeがドープされたInSbを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  13. 前記エミッタの厚みが、少なくとも約400Åであることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  14. 前記ギャップ領域が半導体を含み、当該半導体の無次元の規格化された導電率χが、約1から約0.001の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  15. 前記ギャップ領域が、HgSeを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  16. 前記ギャップ領域が、HgTeを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  17. 前記ギャップ領域が、Bi1−ySbを含み、ここでyは約0.05から約0.2の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  18. 前記ギャップ領域が、SeTe1−zを含み、ここでzは0≦z≦1を満足していることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  19. 前記ギャップ領域が、Hg1−xCdTeを含み、ここでxは約0.08から約0.2の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  20. 前記ギャップ領域が、Hg1−xCdTeを含み、ここでxは約0.08であることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  21. 前記ギャップ領域が、約1015cm−3から約1020cm−3までの範囲の濃度のドーパントがドープされた半導体を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  22. 前記ギャップ領域が、p型半導体を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  23. 前記ギャップ領域が、真性半導体を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  24. 前記エミッタから前記ギャップ領域への電子注入に対するエネルギー障壁が約4kTから約5kTの範囲であり、ここでkはボルツマン定数であり、Tは電子注入が起こる絶対温度であることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  25. 前記エミッタが、熱的に絶縁されていることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  26. 前記エミッタと電気的および熱的に連絡する第1のオーミックコンタクトと、
    当該第1のオーミックコンタクトと前記エミッタとの間の金属半導体境界障壁縮退(metal−semiconductor−interface−barrier−reduction)層と、
    前記コレクタと電気的に連絡する第2のオーミックコンタクトと
    をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  27. 前記コレクタが、前記第2のオーミックコンタクト上に形成されていることを特徴とする請求項26に記載の変換器。
  28. 前記第1および第2のオーミックコンタクトの少なくとも1つの上に堆積された熱的な伝導層をさらに含んでいることを特徴とする請求項26に記載の変換器。
  29. 前記ギャップ領域と電気的におよび熱的に連絡する低温オーミックコンタクトと、前記ギャップ領域と前記コレクタとの間に配置された補償領域とをさらに含み、
    前記低温オーミックコンタクトが、前記ギャップ領域に隣接する前記コレクタを含み、前記コレクタが、再結合コレクタ領域を含み、
    前記補償領域が、前記コレクタから前記ギャップ領域への電流を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  30. 前記再結合コレクタ領域が、前記低温オーミックコンタクト上に形成されることを特徴とする請求項29に記載の変換器。
  31. さらに補償領域を含み、前記ギャップ領域が、前記エミッタと前記補償領域との間に配置され、前記コレクタが、前記補償領域と電気的および熱的に連絡し、前記補償領域がp型ドーピングを有し、前記コレクタから前記ギャップ領域への電流が、実質的に抑制されることができ、一方前記ギャップ領域から前記コレクタへの熱イオン電流を許容することを特徴とする請求項1に記載の変換器。
  32. 電流が、前記エミッタと前記コレクタとの間を流れるとき、前記エミッタの温度が、前記コレクタの温度より高いことを特徴とする請求項31に記載の変換器。
  33. 直列に構成された複数の個別変換器を含む固体熱イオン変換器であって、各前記個別変換器が、請求項31に記載されるように構成されていることを特徴とする変換器。
  34. 前記補償領域が、前記ギャップ領域へのイオン注入によって形成されていることを特徴とする請求項31に記載の変換器。
  35. 前記補償領域が、イオン注入によって形成された空孔を含むことを特徴とする請求項31に記載の変換器。
  36. 前記エミッタが、熱的に絶縁されていることを特徴とする請求項31に記載の変換器。
  37. 熱エネルギーの固体熱イオン変換器であって、
    少なくともInを含む基板とのHg1−xCdTeの反応生成物を有するエミッタと、
    コレクタと、
    前記エミッタおよび前記コレクタと電気的および熱的に連絡する、前記エミッタと前記コレクタとの間のギャップ領域とを含み、前記ギャップ領域が、n型、p型、および真性半導体からなるグループから選択される半導体を含んでいることを特徴とする変換器。
  38. 前記ギャップ領域と前記コレクタとの間に配置された補償領域をさらに含み、前記補償領域が、前記コレクタから前記ギャップ領域への電流を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項37に記載の変換器。
  39. 前記基板が、In−Gaを含んでいることを特徴とする請求項37に記載の変換器。
  40. xが、約0.08から約0.25の範囲内にあることを特徴とする請求項37に記載の変換器。
  41. xが、約0.08から約0.09の範囲内にあることを特徴とする請求項37に記載の変換器。
  42. 前記基板が、In1−wGaを含み、wが約0.1から約0.3の範囲内にあることを特徴とする請求項37に記載の変換器。
  43. 前記エミッタが、拡散障壁を有していることを特徴とする請求項37に記載の変換器。
  44. 前記エミッタが、イッテルビウムを含む拡散障壁を有していることを特徴とする請求項37に記載の変換器。
  45. 前記エミッタが、熱的に絶縁されていることを特徴とする請求項37に記載の変換器。
  46. 熱エネルギーの固体熱イオン変換器であって、
    複数のプレートPを備え、ここで、1≦i≦mであり、mは、前記プレートの総数であり、前記各1つのプレートPが、
    濃度N を有する第1のドナーを含む少なくとも1つの領域を有するエミッタEと、
    コレクタCと、
    前記エミッタEおよび前記コレクタCと電気的におよび熱的に連絡する、前記エミッタEと前記コレクタCとの間のギャップ領域Gとを有し、当該ギャップ領域Gは半導体を含み、当該半導体は濃度Nを有する第2のドナーを含み、当該第2のドナーの前記濃度は、比N /Nの自然対数が、0より大きい数値と約7との間でありかつ1≦i≦mであるように選択され、各プレートPが、エミッタEj+1、ギャップ領域Gj+1、およびコレクタCj+1を有し、エミッタE、ギャップ領域G、およびコレクタC(ここで1≦j≦(m−1)であり、指数iおよびjが整数であり)のグループと直列に接続されるように構成され、コレクタCが、1≦j≦(m−1)を満足する各jに関してエミッタEj+1と電気的に連絡していることを特徴とする変換器。
  47. 前記比N /Nの自然対数が、約3から約7の範囲内にあることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  48. 前記ギャップ領域Gと前記コレクタCとの間に配置された補償領域をさらに含み、前記補償領域Rが、前記コレクタから前記ギャップ領域への電流を抑制するように構成され、各プレートPが、エミッタEj+1、ギャップ領域Gj+1、補償領域Rj+1、およびコレクタCj+1を有し、エミッタE、ギャップ領域G、補償領域Rj+1、およびコレクタC(ここで1≦j≦(m−1)であり)のグループと直列に接続されるように構成されていることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  49. エミッタEとEとが実質的に同じ材料を含み、コレクタCとCとが実質的に同じ材料を含み、および補償領域Rと補償領域Rとが実質的に同じ材料を含み、ここで、i≠j、および1≦i≦m、1≦j≦mであることを特徴とする請求項48に記載の変換器。
  50. 電流が、前記エミッタEと前記コレクタCとの間に流れるとき、前記各エミッタEの温度が、前記各コレクタCの温度より高いことを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  51. 前記第1のプレートPが、InSbを含んでいることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  52. 前記第1のプレートPが、TeをドープされたInSbを含んでいることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  53. 前記第1のプレートPが、濃度約1018cm−3のTeをドープされたInSbを含んでいることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  54. 少なくとも前記第1のプレートPのエミッタEが、TeをドープされたInSbを含んでいることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  55. 少なくとも前記第1のプレートPのエミッタEが、濃度約3×1019cm−3のTeをドープされたInSbを含んでいることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  56. 前記第1のプレートPが、In−Gaを含む材料で被覆されていることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  57. 少なくとも前記第1のプレートPが、In1−uGaを含む材料で被覆されており、ここで、uが約0から約0.3の範囲内にあることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  58. 少なくとも前記第1のプレートPが、In1−uGaを含む材料で被覆されており、ここで、uが約0.25であることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  59. 少なくとも1つの前記プレートが、Hg1−xCdTeを含み、ここで、xが約0.08から約0.2の範囲内にあることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  60. 少なくとも1つの前記プレートが、Hg1−xCdTeを含み、ここで、xが約0.08から約0.14の範囲内にあることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  61. 前記第1のエミッタEが、熱的に絶縁されていることを特徴とする請求項46に記載の変換器。
  62. 固体熱イオン変換器を使用することによって、熱エネルギーを電気に変換する方法であって、
    熱イオン変換器を外部負荷に電気的に結合することであって、前記熱イオン変換器が、
    濃度N を有する第1のドナーを含む少なくとも1つの領域を有するエミッタと、
    コレクタと、
    前記エミッタおよび前記コレクタと電気的におよび熱的に連絡する、前記エミッタと前記コレクタとの間のギャップ領域であって、当該ギャップ領域は半導体を含み、当該半導体は濃度N を有する第2のドナーを含み、当該第2のドナーの前記濃度は、比N /N の自然対数が、0より大きい数値と約7との間であるように選択されている、前記ギャップ領域とを含む、前記電気的に結合すること
    熱エネルギーを前記熱イオン変換器の前記エミッタへ送ることを含み、前記熱エネルギーが前記エミッタへ送られたとき、温度勾配が、前記エミッタと前記コレクタとの間に確立され、電位差が、前記エミッタと前記コレクタとの間に確立され、前記熱イオン変換器は、前記熱エネルギーを電気エネルギーに変換することを特徴とする方法。
  63. 前記エミッタの温度が、約20℃から約400℃の範囲内にあることを特徴とする請求項62に記載の方法。
  64. 固体熱イオン変換器を使用することによって冷却する方法であって、
    熱イオン変換器を横切る電位差を外部に確立することを含み、前記熱イオン変換器が、
    濃度N の第1のドナーを有する少なくとも1つの領域を有する熱的に絶縁されたエミッタと、
    コレクタと、
    前記エミッタおよび前記コレクタと電気的におよび熱的に連絡する、前記エミッタと前記コレクタとの間のギャップ領域とを含み、前記ギャップ領域は半導体を含み、当該半導体は濃度Nを有する第2のドナー含み、当該第2のドナーの前記濃度は、比N /Nの自然対数が、0より大きい数値と約7との間にあるように選択され、
    熱負荷を前記エミッタに送ることを含み、外部的に確立した電位差が、前記エミッタと前記コレクタとの間に電流フローを引き起こすように、前記熱負荷が熱流によって冷却されることを特徴とする方法。
  65. 前記比N /Nの自然対数が、約3と約7との間の範囲にあることを特徴とする請求項64に記載の方法。
  66. 前記熱イオン変換器が、前記ギャップ領域と前記コレクタとの間に配置された補償領域をさらに含み、当該補償領域が、前記コレクタから前記ギャップ領域への電流を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項64に記載の方法。
JP2001567024A 2000-03-06 2001-03-06 エネルギー変換のための熱ダイオード Expired - Lifetime JP4896336B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/519,640 US6489704B1 (en) 1999-03-11 2000-03-06 Hybrid thermionic energy converter and method
US09/519,640 2000-03-06
US21356400P 2000-06-22 2000-06-22
US60/213,564 2000-06-22
US09/721,051 US6396191B1 (en) 1999-03-11 2000-11-22 Thermal diode for energy conversion
US09/721,051 2000-11-22
PCT/US2001/007046 WO2001069657A2 (en) 2000-03-06 2001-03-06 Thermal diode for energy conversion

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004523094A JP2004523094A (ja) 2004-07-29
JP4896336B2 true JP4896336B2 (ja) 2012-03-14

Family

ID=36655775

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001567024A Expired - Lifetime JP4896336B2 (ja) 2000-03-06 2001-03-06 エネルギー変換のための熱ダイオード

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4896336B2 (ja)
IL (1) IL151600A (ja)
RU (1) RU2275713C2 (ja)

Families Citing this family (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2004220800B2 (en) * 2003-03-13 2009-06-11 Micropower Global Limited Solid state energy converter
JP4687305B2 (ja) * 2005-07-28 2011-05-25 ダイキン工業株式会社 熱電子発電素子
US7663053B2 (en) * 2007-01-05 2010-02-16 Neokismet, Llc System and method for using pre-equilibrium ballistic charge carrier refraction
RU2444814C1 (ru) * 2011-03-29 2012-03-10 Юрий Феликсович Верниковский Термоэлектрический кластер, способ его работы, устройство соединения в нем активного элемента с теплоэлектропроводом, генератор (варианты) и тепловой насос (варианты) на его основе
RU2456699C1 (ru) * 2011-04-04 2012-07-20 Федеральное государственное бюджетное учреждение "Национальный исследовательский центр "Курчатовский институт" Блок термоэлектрических преобразователей со щелочным металлом
RU2456698C1 (ru) * 2011-04-04 2012-07-20 Федеральное государственное бюджетное учреждение "Национальный исследовательский центр "Курчатовский институт" Термоэлектрический преобразователь со щелочным металлом
RU2477828C1 (ru) * 2011-10-25 2013-03-20 Святослав Михайлович Сергеев Тепловой диод
RU2525170C1 (ru) * 2013-01-10 2014-08-10 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2525168C1 (ru) * 2013-01-10 2014-08-10 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2525171C1 (ru) * 2013-01-10 2014-08-10 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2534440C2 (ru) * 2013-01-10 2014-11-27 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2525608C1 (ru) * 2013-01-10 2014-08-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2534441C2 (ru) * 2013-01-10 2014-11-27 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2534436C2 (ru) * 2013-01-10 2014-11-27 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2525169C1 (ru) * 2013-01-10 2014-08-10 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2525607C1 (ru) * 2013-01-10 2014-08-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2525611C1 (ru) * 2013-01-10 2014-08-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2525603C1 (ru) * 2013-01-10 2014-08-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2548381C2 (ru) * 2013-08-13 2015-04-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2542606C1 (ru) * 2013-08-13 2015-02-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2542608C1 (ru) * 2013-08-15 2015-02-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2542609C1 (ru) * 2013-08-15 2015-02-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2542616C1 (ru) * 2013-08-15 2015-02-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2542592C1 (ru) * 2013-08-15 2015-02-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2557363C1 (ru) * 2014-01-09 2015-07-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения
RU2557365C1 (ru) * 2014-01-09 2015-07-20 Федеральное Государственное Бюджетное Образовательное Учреждение Высшего Профессионального Образования "Дагестанский Государственный Технический Университет" (Дгту) Выпрямитель переменного напряжения

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07297454A (ja) * 1994-04-28 1995-11-10 Oki Electric Ind Co Ltd 赤外線イメージセンサ及びその製造方法
JPH07318419A (ja) * 1994-05-28 1995-12-08 Horiba Ltd 電磁波センサ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07297454A (ja) * 1994-04-28 1995-11-10 Oki Electric Ind Co Ltd 赤外線イメージセンサ及びその製造方法
JPH07318419A (ja) * 1994-05-28 1995-12-08 Horiba Ltd 電磁波センサ

Also Published As

Publication number Publication date
IL151600A (en) 2007-03-08
RU2275713C2 (ru) 2006-04-27
JP2004523094A (ja) 2004-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4896336B2 (ja) エネルギー変換のための熱ダイオード
CA2401810C (en) Thermal diode for energy conversion
AU2001268030A1 (en) Thermal diode for energy conversion
Shakouri et al. Enhanced thermionic emission cooling in high barrier superlattice heterostructures
Fan et al. SiGeC/Si superlattice microcoolers
US7109408B2 (en) Solid state energy converter
US20070261730A1 (en) Low dimensional thermoelectrics fabricated by semiconductor wafer etching
US8334450B2 (en) Seebeck solar cell
RU2336598C2 (ru) Твердотельный преобразователь энергии (варианты) и способ преобразования тепловой энергии в электрическую или электрической в холод (варианты)
EP1131842A2 (en) High-efficiency heterostructure thermionic coolers
CN105633264A (zh) 一种串联电腿结构的温差电池
KR102031961B1 (ko) 금속-절연체 전이 금속을 이용하는 열전소자
Goldsmid Timeliness in the development of thermoelectric cooling
Katsube et al. Thermodynamic considerations on interfacial reactivity concerning carrier transport characteristics in metal/p-Zn 3 P 2 junctions
US10141468B2 (en) Method and apparatus for a thermophotovoltaic cell
JP3203383B2 (ja) 熱電材料および熱電変換素子
US20220029081A1 (en) Semiconductor thermoelectric generator
Korzhuev et al. Modification of the parameters of thermal converter branches based on bismuth and antimony chalcogenides by means of copper intercalation

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080222

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080222

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20110311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110422

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110713

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110721

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110722

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110729

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110713

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110811

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110822

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110829

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110922

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110930

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111129

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4896336

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term