JP3814435B2 - トナー及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法,静電記録法,静電印刷法及びトナージェット記録法の如き画像形成方法に用いられるトナー、及び該静電潜像を現像する工程を有する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報に記載されている如く多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気により定着し、トナー画像を得るものである。
【0003】
上述の最終工程であるトナー像を紙の如きシートに定着する工程に関して種々の方法や装置が開発されているが、現在最も一般的な方法は熱ローラー又は耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方式である。
【0004】
加熱ローラーによる圧着加熱方式は、トナーに対し離型性を有する熱ローラーの表面と被定着シートのトナー像面を加圧下で接触しながら被定着シートを通過せしめることによりトナー像の定着を行なうものである。この方法は熱ローラーの表面と被定着シート上のトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができる。
【0005】
加熱ローラー表面とトナー像とが溶融状態,加圧下で接触する為に、トナー像の一部が定着ローラー表面に付着し転移し、次の被定着シートにこれが再転移し、被定着シートを汚す、オフセット現象が定着速度,定着温度の影響を大きく受ける。一般に定着速度が遅い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的低く設定され、定着速度が速い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的高く設定される。これは、トナーを定着させる為に加熱ローラーからトナーに与える熱量を、定着速度によらずほぼ一定にするためである。
【0006】
被定着シート上のトナーは、何層かのトナー層を形成している為、特に定着速度が速く、加熱ローラーの表面温度が高い系においては、加熱ローラーに接触するトナー層と、被定着シートに接触している最下層のトナー層との温度差が、大となる為に、加熱ローラーの表面温度が高い場合には、最上層のトナーがオフセット現象を起こしやすく、加熱ローラーの表面温度が低い場合は、最下層のトナーは十分に溶けない為に、被定着シートにトナーが定着せず低温オフセットという現象が起きやすい。
【0007】
この問題を解決する方法として、定着速度が速い場合には、定着時の圧力を上げ、被定着シートへトナーをアンカーリングさせる方法が、通常行われている。この方法だと、加熱ローラー温度をある程度下げることができ、最上トナー層の高温オフセット現象を防ぐことは可能となる。しかし、トナーにかかるせん断力が非常に大となる為に、被定着シートが定着ローラーに巻きつき、巻きつきオフセットが発生したり、定着ローラーから被定着シートを分離するための分離爪の分離あとが定着画像に出現しやすい。さらには、圧力が高いがゆえに、定着時にライン画像が押しつぶされたり、トナーが飛びちったりして定着画像の画質劣化を生じ易い。
【0008】
従来、トナー用樹脂としてはポリエステル樹脂及びスチレン系樹脂などのビニル系共重合体が主に使用されている。ポリエステル樹脂は低温定着性に優れた性能を有しているが、その反面高温でのオフセット現象を発生しやすいという欠点を有すると言われ、この欠点を補うためにポリエステル樹脂の分子量を上げて粘弾性特性を改良する試みが行なわれてきたが、この場合には低温定着性を損なうという問題点があり、また、トナー製造時の粉砕性についても悪化させてしまいトナーの微粒子化にも適さない結着樹脂となってしまう。
【0009】
またスチレン系樹脂などのビニル系共重合体は、トナー製造時の粉砕性に優れ、高分子量化が容易なため耐高温オフセット性には優れているが、低温定着性を向上させるために低分子量化したり、ガラス転移温度を下げたりと耐ブロッキング性や現像性が悪化してしまうという問題点があった。
【0010】
これら2種類の樹脂の長所を有効に生かし、欠点を補うためにこれらの樹脂を混合して使用する方法もいくつか検討されている。
【0011】
例えば、特開昭54−114245号公報では、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体を混合した樹脂を含有するトナーが開示されている。しかしながら、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体とは化学的な構造が大きく異なるために相溶性が悪く、低温定着性、耐高温オフセット性、耐ブロッキング性をすべて満足するものとするのは難しい。
【0012】
また、トナー製造時に添加される種々の添加剤、特にワックスの均一分散が困難でありトナーの定着性能ばかりでなく、現像性にも問題が生じやすく、特に近年、微粒子化が進んでいるトナーにおいてはこの問題が顕著となる。
【0013】
また、特開昭56−116043号公報、特開昭58−159546号公報では、ポリエステル樹脂の存在下で単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0014】
特開昭58−102246号公報、特開平1−156759号公報では、不飽和ポリエステル存在下でビニル系共重合体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0015】
特開平2−881号公報では、酸基を有する単量体を共重合したスチレン系樹脂とポリエステル樹脂とがスチレン系樹脂の酸基を介してエステル結合した重合体を含むことを特徴とするトナーが開示されている。
【0016】
特公平8−16796号公報では、特定の酸価を有するポリエステル樹脂と特定の酸価と分子量を有するスチレン系樹脂をエステル化したブロック共重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0017】
特開平8−54753号公報では、結着樹脂が縮重合系樹脂及びビニル系樹脂からなり、特定のクロロホルム不溶分及び特定の分子量範囲にピークを有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0018】
上述の結着樹脂では縮重合系樹脂と付加重合系樹脂とは安定した相分離状態を維持することができる。しかし、これらの結着樹脂を用いたトナーでは耐高温オフセット性はある程度改善されるが、トナーの低温定着性は未だ不十分であり、トナーにワックスが含有される場合にはワックスの分散状態を制御することが困難である。トナーとした場合には低温定着性ばかりでなく、現像性においても未だ改良すべき課題を残している。
【0019】
特開平9−146292号公報では特定の動摩擦係数を有するポリアルキレン微粒子を含むトナーにおいて、OHPシート上に定着されたベタ画像表面の接触角が特定の範囲にあるトナーが開示されている。
【0020】
特開平9−244294号公報では特定の動摩擦係数を有するポリアルキレン微粒子を含むトナーにおいて、トナーの接触角とトナーの誘電正接が特定の関係を満足するトナーが開示されている。
【0021】
これらのトナーでは定着性はある程度改善されるものの、トナーが定着器の加熱部材である加熱ローラーまたは耐熱フィルムにオフセットする現象を防止するには不十分である。
【0022】
一方、トナーは現像される静電潜像の帯電極性に応じて、正又は負の電荷を有する必要があり、このために、染料、顔料或いは荷電制御剤を添加することが一般に知られている。この中で、正荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩やこれらのレーキ顔料、三級アミノ基或いは四級アンモニウム塩を側鎖に有するポリマー、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物などが知られている。
【0023】
しかし、これら従来の正荷電制御剤では、トナーに十分な帯電量を与えられなかったり、あるいは十分な帯電量が与えられても、他のトナー構成材料の影響を受け、過剰なトナー摩擦帯電あるいは不均一帯電を起こすことによるブロッチの発生やトナー凝集性の増加を招いたり、また、画像濃度低下やカブリなどの現像特性の劣化を発生しやすかった。この傾向は、酸基を有する正帯電性トナーにおいて特に顕著になる。また、トナー中から荷電制御剤が欠落しそれが現像剤担持体であるスリーブ表面に固着することにより発生するスリーブ汚染の問題があった。
【0024】
他方、トナーを現像剤担持体であるスリーブと接触させて、摩擦帯電させる場合において、如何に長期安定的に効率よく適正な帯電付与を維持できるかという問題がある。
【0025】
電子写真法を用いた画像形成装置におけるスリーブとしては、例えば金属、あるいはその合金またはその化合物を円筒状に成型し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗さになるように処理したものが用いられる。一般的なスリーブ基体材料としては、特開昭57−66455号公報に提案されたステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルが広く用いられている。
【0026】
しかし、これらのスリーブを用いて正帯電性トナーの帯電付与を行なう場合においては、トナー帯電量の調整が難しく、例えば、スリーブ基体材料としてステンレス鋼を用いた場合には、帯電付与力が強いため、スリーブ表面近傍に存在するトナーは非常に高い電荷を有することになり、スリーブ表面に鏡映力により強烈に引きつけられてしまい不動層を形成する。これによりトナーのスリーブとの摩擦機会が減少し、好適な帯電付与が阻害される。この結果、トナーの不均一帯電や過剰帯電によるブロッチが発生しやすくなり、当然現像特性も劣化する。
【0027】
また、スリーブ基体材料としてアルミニウムを用いた場合は、正帯電性トナーに対する帯電付与能力が高いが、材質の持つ柔らかさのために、耐久性に乏しく、表面摩耗による画像劣化を発生しやすい。そこで耐摩耗性を持たせるために、アルミ基体表面に金属をコートしたりメッキする技術もあるが、スリーブ表面の硬度向上により耐久性は良好になる反面、ステンレス鋼等と比べ、正帯電性トナーに対する帯電付与能力が小さいものが多く、トナーの帯電不良を招きやすかった。
【0028】
同様に、スリーブ基体材料表面に樹脂層を設けたものについては、耐久性は良好であるが、トナーに対する帯電付与特性の制御に制約があり、負帯電付与に対しては応用範囲が広いが、正帯電付与に応用しようとした場合、適当な帯電付与能力を持たせることができず、特に、結着樹脂が酸価を有する場合には、帯電付与することが困難であるのが現状である。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に述べた問題点を解決するトナー及び該トナーを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0030】
本発明の目的は、熱ロール定着器を用いる中〜高速機や、耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱定着方式を使用する中〜低速機においても良好な低温定着性を示し、且つ低温から高温までのオフセットによる加熱部材の汚染を生じることのないトナー及び該トナーを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0031】
さらに、本発明の目的は、現像剤担持体上でブロッチのない均一なコート層が得られ、耐久性が高く安定した高画像濃度及び低カブリが得られるなど、長期安定的に良好な画像特性が得られるトナー及び該トナーを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス及びイミダゾール化合物を含有するトナーにおいて、
(a)該トナーの水に対する接触角が105乃至130度であり、
(b)該結着樹脂は、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂成分を含み、
(c)該トナーの結着樹脂成分の酸価は0.5乃至40mgKOH/gであり、
(d)該イミダゾール化合物は、下記一般式(1)で示されるイミダゾールユニットを有する化合物であり、
【0033】
【化4】
(式中、R1,R3及びR4は、水素、置換基を有しないアルキル基、置換基を有するアルキル基、置換基を有しないアリール基、置換基を有するアリール基、置換基を有しないアラルキル基、置換基を有するアラルキル基、置換基を有しないアミノ基、置換基を有するアミノ基、ハロゲン、置換基を有しない複素環及び置換基を有する複素環からなる群から選択される基を示し、同一であってもそれぞれ異なっていても良く、R2は、水素、置換基を有しないアルキル基、置換基を有するアルキル基、置換基を有しないアリール基、置換基を有するアリール基、置換基を有しないアラルキル基、置換基を有するアラルキル基、置換基を有しない複素環及び置換基を有する複素環からなる群から選択される基を示し、R1,R2,R3及びR4は、フェニレン基、プロペニレン基、アルケニレン基、ビニレン基及びアルキレン基からなる群から選択される連結基を介して、イミダゾールユニットを連結してもよく、R3及びR4は相互に連結されて芳香環又は複素環を形成していても良い。)
(e)該トナーの結着樹脂成分中に、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を5乃至60重量%含有し、
(f)該ワックスが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量300乃至5000にメインピークを有することを特徴とするトナーに関する。
【0034】
さらに本発明は、静電潜像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程;及び現像剤担持体上表面に担持され且つ搬送されるトナーを有する一成分系現像剤で該静電潜像を現像する工程;を有する画像形成方法において、
該現像剤担持体は、少なくとも表面が樹脂を含む材料によって形成されており、
該トナーとして、上記構成のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明者の検討によれば、定着器の加熱方法によらずオフセットによる定着部材の汚染を発生させないためには、トナーの低温定着性や耐高温オフセット性を改良するだけでは不十分であり、定着部材に対するトナーの離型性を向上させることが重要であることが判った。
【0036】
従来は、トナーのオフセット現象を改良することとトナーの定着性を改良することは同一視されてきたが、結着樹脂、トナーに含有されるワックス等の改良による定着性向上に付随する形でのオフセット改良では限界があり、不十分である。
【0037】
また、定着部材やクリーニング部材の離型性の向上もトナーの離型性が不十分である場合には、使用初期の段階では充分なオフセット防止効果が期待できても長期間使用した場合には各部材の経年劣化を生じ、最終的にはオフセットが発生する場合がある。
【0038】
従来、トナーの結着樹脂成分中にTHF等の有機溶媒に対する不溶分を有することは、トナーの耐高温オフセット性改良の観点で提案されるが、この様なトナーであっても経年劣化した定着部材やクリーニング部材に対しては充分なオフセット防止効果を発揮しない場合がある。また、トナーは離型性を付与する目的でワックスを含有させる場合があるが、経年劣化した定着部材やクリーニング部材に対しては充分なオフセット防止効果を維持するためには多量のワックスを含有させる必要がある。この場合にはトナーの現像性すなわち、画像濃度の低下、カブリ濃度の上昇等の問題が生じ、更にはトナー粒子に含有されるワックスの分散状態を制御するのが困難であり、トナーが遊離したワックスを多量に含有することになる。結果的に、感光体上のトナーのクリーニングが充分にできずにトナーが残存し、画像欠陥となる場合がある。結着樹脂にポリエステルユニットを含有する場合はワックスの分散が困難であり、より顕著となる。
【0039】
結着樹脂として、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂組成物を含むトナーにおいて、経年劣化した定着部材及びクリーニング部材に対しても充分なオフセット防止効果を維持するには、トナーの水に対する接触角で規定されるトナーの離型性を向上させる必要がある。
【0040】
本発明者の検討によれば、上述した接触角を有するトナーは、結着樹脂が特定の酸価を有し、特定のイミダゾールユニットを有する化合物を含有し、特定のピーク分子量及び構造を有するワックスを含有して達成される。
【0041】
また、イミダゾールユニットを有する化合物を正荷電制御剤として用いることにより、正帯電性トナーとしての帯電特性や粉体特性を損なうことなく、さらに良好な耐オフセット性が達成される。特に、該正帯電性トナーを摩擦帯電させる現像スリーブとして、少なくとも樹脂を含む材料によって形成されたものを用いる場合には、より優れた帯電付与特性が得られ、さらに適正な帯電付与を長期安定的に保持することが可能であり、その結果優れた現像安定性を維持できることが明らかになった。
【0042】
本発明のトナーにおいて、トナーの水に対する接触角は105乃至130度であれば良いが、好ましくは107乃至127度となる場合であり、更に好ましくは、110乃至125度となる場合である。もし、トナーの接触角が105度未満となる場合には、耐久劣化した定着部材及びクリーニング部材に対する充分なオフセット防止効果を維持することが困難であり、トナーの接触角が130度超となる場合には、トナーの現像性、感光体上に残存したトナーのクリーニング性に問題が生じる場合があり好ましくない。
【0043】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂に含有されるビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂組成物は、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーを付加重合したビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットとが化学的に結合したものである。ポリエステルユニットには、ワックスの分散を制御する効果を有するアルコール成分及びまたはカルボン酸を含有するものである。
【0044】
また、ハイブリッド樹脂組成物は、ポリエステルのモノマーであるアルコールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応により生成する。上記ハイブリッド樹脂組成物は、ビニル系重合体ユニットを構成する(メタ)アクリル酸エステルの10乃至60モル%がポリエステルユニットとエステル化反応していれば良いが、好ましくは15乃至50モル%エステル化反応する場合であり、更に好ましくは20乃至45モル%エステル化反応している場合である。もし、ビニル系重合体ユニットを構成する(メタ)アクリル酸エステルの10モル%未満しかポリエステルユニットとエステル化反応していない場合には、ワックスの分散状態を制御することが困難であり、60モル%超となる場合には相対的に分子量の大きな成分が増大する結果、トナーの低温定着性が悪化する場合があり好ましくない。
【0045】
本発明のトナーは、トナー製造工程中の混練工程などで溶融混練され、結着樹脂が架橋反応することによりあらゆる効果が発現される。該結着樹脂とイミダゾール化合物が共存することにより、結着樹脂中でイミダゾール化合物が触媒或いは架橋剤として機能し、結着樹脂中のエステル化反応或いはイミダゾールを介した反応を促進させ、耐オフセットなどの効果を発現させるTHF不溶分を生成する。
【0046】
本発明で述べている「トナーの結着樹脂成分の酸価」とは、結着樹脂以外の添加物(着色剤や磁性体等)の酸価及び含有量を別途測定し、計算により求めた酸価を示している。
【0047】
本発明のトナーの結着樹脂成分の酸価は、0.5乃至40mgKOH/g、好ましくは1.0乃至35mgKOH/g、更に好ましくは2.0乃至30mgKOH/gが好ましい。本発明のトナーは結着樹脂成分中に所望の酸価を有することにより、良好な現像性、また、スリーブ汚染防止効果及び定着ローラなどの加熱部材の汚染防止を達成できる。
【0048】
酸価が0.5mgKOH/g未満の場合には、定着性、イミダゾール化合物との相互反応による現像安定性、スリーブ汚染防止効果及び定着ローラなどの加熱部材の汚染防止効果が発現されず、40mgKOH/g超となる場合には、正帯電性トナーの場合、トナー粒子中の結着樹脂の負帯電性が強くなり、画像濃度が低下し、カブリが増加する傾向がある。また、いずれの場合もワックスの分散状態の制御が困難になる。
【0049】
本発明のトナー中のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布において、3000乃至10000、好ましくは4000乃至9000、更に好ましくは4500乃至8000に少なくともメインピークを持つことが好ましい。これにより、定着性、耐オフセット性及び耐ブロッキング性をいずれも向上させることができる。
【0050】
メインピークが分子量3000未満の場合には、耐ブロッキング性が悪化し、分子量10000を超える場合には、十分な定着性を得ることができない。
【0051】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂中に含有されるTHF不溶分はトナーに耐高温オフセット性を付与するだけではなく、トナー製造時の混練工程で結着樹脂の溶融粘度をワックスの分散状態を制御するためにも重要であり、5乃至60重量%含有していれば良いが、好ましくは10乃至50重量%含有する場合であり、更に好ましくは15乃至45重量%含有する場合である。もし、THF不溶分の含有量が5重量%未満となる場合には、トナーの耐高温オフセット性が悪化するばかりでなく、混練工程での溶融粘度が低くなりすぎてワックスの再凝集が生じ分散状態を制御できず、含有量が60重量%超となる場合には、低温オフセットが生じ易くなるばかりでなく、混練工程での溶融粘度が高い成分と低い成分が混在することになりワックスの分散粒度が広くなり分散状態を制御できず、好ましくない。
【0052】
本発明のトナーに含有されるワックスは、GPCで測定されるメインピーク(Mp)が300乃至5000であり、好ましくは350乃至4500である。Mpが300未満の場合、トナー粒子におけるワックスの分散粒径が小さくなりすぎ、耐ブロッキング性も悪化する。5000を超える場合は分散粒径が大きくなりすぎ、トナー中に遊離したワックスを大量に含有することになり、感光体上のトナーのクリーニングが十分にできずに残存し、画像欠陥になる場合がある。
【0053】
本発明のトナー中に含有されるワックスのメインピーク(Mp)は、GPCより得られるクロマトグラムにおいて、そのワックスのピーク強度の一番大きなピーク分子量のことである。
【0054】
また、ワックスの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.1乃至15であるのが好ましく、更に好ましくはMw/Mnが1.2乃至10となる場合であり、Mw/Mnが15超となる場合には、ワックスの分散粒径を制御することが困難であり好ましくない。
【0055】
本発明のトナーにおいて、種類の異なる2種以上のワックスを含有していても良い。好ましくは、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点がそれぞれ異なるワックスである。
【0056】
異なる2種以上のワックスを含有する場合、GPCで測定される分子量分布において、少なくとも一種のMpが300乃至5000、Mw/Mnが1.1乃至15であれば良いが、好ましくはそれぞれのワックスのMpが350乃至5000、Mw/Mnが1.1乃至15となる場合であり、更に好ましくはそれぞれのワックスのMpが350乃至4500、Mw/Mnが1.2乃至10となる場合である。もし、いずれのワックスのMpが300乃至5000、Mw/Mnが1.1乃至15の範囲を超える場合はトナー粒子内のワックスの粒度分布が広くなり、制御することが困難であり好ましくない。
【0057】
本発明のトナーに含有されるワックスは、炭化水素系ワックスが好ましく用いられ、例えばパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックスなどが好ましく用いられる。
【0058】
また、本発明のトナーに含有されるワックスは、一般式(2)で表される構造を有するものも好ましい。
【0059】
【化5】
式中、Aは水酸基またはカルボキシル基を表し、aは20乃至60の整数を表し、好ましくはAは水酸基であり、aは30乃至50の場合である。
【0060】
また、本発明のトナーに含有されるワックスは、酸変性ポリエチレンも好ましい。この酸変性ポリエチレンは、1乃至20mgKOH/gの酸価を有し、ポリエチレンをマレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸のうち少なくとも1種類以上から選択される酸モノマーにより変性されているものであり、好ましくは3乃至15mgKOH/gの酸価を有するものである。
【0061】
本発明のトナーに含有されるワックスは、酸変性ポリプロピレンも好ましい。この酸変性ポリプロピレンは、1乃至20mgKOH/gの酸価を有し、ポリプロピレンをマレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸のうち少なくとも1種類以上から選択される酸モノマーにより変性されているものであり、好ましくは3乃至15mgKOH/gを有するものである。
【0062】
本発明のトナーに2種類以上のワックスが含有される場合には、好ましくは、少なくとも1種のワックスが上述したワックスを使用することである。
【0063】
本発明のトナーに2種類以上のワックスが含有される場合の好ましいワックスの組み合わせは、Mpの異なる炭化水素系ワックス、パラフィンワックスとフィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスとポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスとポリオレフィンワックス、炭化水素ワックスと一般式(2)で表わされるワックス、炭化水素系ワックスと酸変性ポリオレフィンワックス、一般式(2)で表わされるワックスと酸変性ポリオレフィンワックスである。
【0064】
より好ましい組み合わせとしては、低ピーク分子量ワックスとして、炭化水素系ワックス、一般式(2)で表されるワックス等が挙げられ、高ピーク分子量ワックスとして、ポリプロピレンワックス、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。これらのワックスの組み合わせの具体例を表1に挙げる。
【0065】
【表1】
【0066】
本発明のトナーに含有されるワックスは、ワックスを含有するトナーの示差走査熱量計(DSC)で測定されるDSC曲線において、温度70乃至140℃の領域に吸熱メインピークを有するものであり、好ましくは温度70乃至135℃の領域に吸熱メインピークを有する場合であり、更に好ましくは温度70乃至130℃の領域に吸熱メインピークを有し、同時に吸熱サブピークまたは吸熱ショルダーを有するものである。もし、上記温度領域以外に吸熱メインピークを有する場合には、低温定着性、耐オフセット性及び耐ブロッキング性を同時に満足することが困難となる。
【0067】
本発明のトナーにおいて、ポリエステルユニットを構成するカルボン酸及びアルコールは好ましくは、一般式(3)乃至(6)で表せる2価のカルボン酸、一般式(7)で表せる1価のカルボン酸または一般式(8)で表せる1価のアルコールをの少なくとも1種以上を含有するものである。
【0068】
【化6】
[式中、R6は炭素数14以上の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基を表わす。中でも直鎖のものが好ましい。R7,R8は水素原子、炭素数3以上の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基を表わし、同一の置換基であってもよいが、同時に水素原子になることはない。R9,R10は水素原子、炭素数3以上の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基を表わし、同一の置換基であってもよいが、同時に水素原子になることはない。R11,R12は炭素数12以上の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基を表わす。nは12乃至40の整数を表わす。]
【0069】
一般式(3)で表わせる化合物としては、例えば、
【0070】
【化7】
等を挙げることができる。
【0071】
一般式(4)で表わせる化合物としては、例えば、
【0072】
【化8】
等を挙げることができる。
【0073】
一般式(5)で表わせる化合物としては、例えば、
【0074】
【化9】
【0075】
一般式(6)で表わせる化合物としては、例えば、
【0076】
【化10】
【0077】
一般式(7)で表わせる化合物としては、例えば、
【0078】
【化11】
等を挙げることができる。
【0079】
一般式(8)で表わせる化合物としては、例えば、
【0080】
【化12】
等を挙げることができる。
【0081】
本発明に用いられるポリエステルユニットのモノマーとしては以下のものが挙げられる。
【0082】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(9−1)式で表わされるビスフェノール誘導体;
【0083】
【化13】
【0084】
また(9−2)式で示されるジオール類;
【0085】
【化14】
等が挙げられる。
【0086】
酸性分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜12のアルキル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、またはその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのジカルボン酸類が挙げられる。
【0087】
ポリエステルユニットは、3価以上の多価カルボン酸もしくは多価アルコールによって架橋されていることが好ましく、架橋成分としては無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ペンタエリスリトール、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルが好ましいものとして挙げられる。
【0088】
ビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
【0089】
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0090】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0091】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0092】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
【0093】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0094】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100重量部に対して、0.01〜10重量部(さらに好ましくは0.03〜5重量部)用いることができる。
【0095】
これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0096】
本発明ではビニル系共重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0097】
本発明のビニル系共重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート等があげられる。
【0098】
本発明のトナーにおいてイミダゾールユニットを有する化合物を用いる場合、下記一般式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)及び(17)で示される化合物が用いられる。
【0099】
【化15】
(一般式(10)中のR13,R14,R15及びR16は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、ハロゲン及び複素環を示し、同一であってもそれぞれ異なっていても良く、それぞれ置換基を有していても良く、Xはフェニレン基、アルケニレン基、ビニレン基及びアルキレン基から選択される連結基を示す。)
【0100】
【化16】
(一般式(11)中のR17,R19及びR20は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、ハロゲン及び複素環を示し、同一であってもそれぞれ異なっていても良く、それぞれ置換基を有していても良く、R19及びR20は互いに結合して芳香環構造または複素環を形成しても良く、R18は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環であり、置換基を有していても良い。)
【0101】
【化17】
(一般式(12)中のR21,R22及びR23は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、ハロゲン及び複素環を示し、同一であってもそれぞれ異なっていても良く、それぞれ置換基を有していても良く、R22及びR23は、互いに結合して芳香環構造又は複素環を形成しても良い。)
【0102】
【化18】
(一般式(13)及び(14)中のR24,R25,R26,R27,R28及びR29は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、ハロゲン及び複素環を示し、同一であってもそれぞれ異なっていても良く、それぞれ置換基を有していても良く、R25とR26又はR28とR29はそれぞれ相互に結合して芳香環構造又は複素環を形成しても良く、Mは金属元素を表し、Bは対陰イオンを示す。)
【0103】
【化19】
(一般式(15)中のR30,R31,R32,R33及びR34は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、ハロゲン及び複素環を示し、同一であってもそれぞれ異なっていても良く、それぞれ置換基を有していても良く、R33は、イミダゾールユニット毎に同一であっても異なっても良い。nは1以上の整数である。)
【0104】
【化20】
(一般式(16)中のR35は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、ハロゲン及び複素環を示し、イミダゾールユニット毎に同一であっても異なっても良く、置換基を有しても良く、nは2以上の整数である。)
【0105】
【化21】
(一般式(17)中のR36,R37及びR38は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、ハロゲン及び複素環であり、R37とR38は互いに結合して芳香環構造又は複素環を形成しても良く、R39は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環であり、置換基を有していても良く、Aは有機酸又は無機酸を示す。)
【0106】
一般式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)及び(17)において、式中R13,R14,R15,R16,R17,R19,R20,R21,R22,R23,R24,R25,R26,R27,R28,R29,R30,R31,R32,R33,R34,R35,R36,R37及びR38は水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環、アミノ基及びハロゲンからなるグループから選択される置換基を示し、これらは同一であっても異なっていても良く、それぞれ置換基で置換されていても良い。式中R18及びR39は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環からなるグループから選択される置換基を示し、それぞれ置換基で置換されていても良い。この置換される場合の置換基としては、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン及び複素環が挙げられる。
【0107】
一般式(13)及び(14)中のMは金属元素であり、金属元素としてはAl、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Pb、Hg等が好ましい。より好ましくは、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Hgである。これらはトナーに対して良好な耐オフセット性を発現する。
【0108】
また、一般式(13)で示されるイミダゾール化合物は必要に応じて対陰イオンを有する。その場合において、対陰イオンとして無機系陰イオンと有機系陰イオンが挙げられる。
【0109】
例えば、無機系陰イオンとして、F-、Cl-、Br-、I-等のハロゲンイオン、OH-、SO4 2-、NO3 -、CH3COO-、CH3OSO3 -、CH3C6H4SO3 -、BF4 -、SF6 -、ClO4 -、SiF6 -また、[Mo7O24]6-、[H2W12O42]10-、[PMo12O40]3-、[PW12O4]3-等のヘテロポリ酸イオンなどが挙げられる。有機系陰イオンとしては、炭素数1〜24のスルホン酸イオン、炭素数1〜24のカルボン酸イオン、炭素数1〜24の硫酸モノアルキルエステル陰イオン、テトラフェニルホウ素イオンなどが挙げられる。これらの中で、ハロゲンイオン、SO4 2-、炭素数1〜6の硫酸モノアルキルエステル陰イオンが製造上の容易さ、化合物の保存安定性の上から好ましい。更に好ましくはハロゲンイオンである。
【0110】
また、一般式(17)において、用いられる酸として、例えば、無機酸として、ハロゲン化水素酸:フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等、また、有機酸として、飽和脂肪族モノカルボン酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等;脂肪族オキシ酸:グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等;飽和脂肪族ジカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等;不飽和脂肪酸:アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸等;芳香環カルボン酸:安息香酸、パラニトロ安息香酸、トルイル酸、ケイ皮酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等であり、これらの中で、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、パラニトロ安息香酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸が好ましい。
【0111】
R13,R14,R15,R16,R17,R19,R20,R21,R22,R23,R24,R25,R26,R27,R28,R29,R30,R31,R32,R33,R34,R35,R36,R37,R38及びR39として、具体的には、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、クミル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
【0112】
更に、アルキル基は、炭素数が1〜25であることが良く、アラルキル基は炭素数が7〜25であることが良く、アリール基は炭素数が6〜25であることが好ましい。式中Bは、フェニレン、プロペニレン、ビニレン、アルキレンからなるグループから選択される連結基を示し、それぞれ置換基で置換されていても良い。置換基としては、水素、アルキル基、アラルキル基及びアリール基が好ましい。
【0113】
アルキル基、アラルキル基及びアリール基において、炭素数が25を超える場合には、該イミダゾールユニットを有する化合物自体の融点が低下するため、トナー製造時の溶融混練工程において、該イミダゾール化合物自体の溶融粘度が低下し、結着樹脂への均一な分散が困難となることから分散不良による画像特性の劣化が発生しやすくなるため、結着樹脂が制限されることがある。
【0114】
本発明において、該イミダゾール化合物は、結着樹脂100重量部に対して、0.01〜20.0重量部、好ましくは0.1〜10.0重量部、より好ましくは0.5〜5.0重量部添加するのが好ましい。添加量が0.01重量部より少ない場合には、トナーが十分に帯電量を持つことができず、該イミダゾール化合物を添加した効果が現れない。一方、20.0重量部より多い場合には、過剰添加となり、トナー粒子中で分散不良を引き起こし、凝集体で存在したり、個々のトナー粒子あたりのイミダゾール化合物の存在量が不均一になりがちで好ましくない。
【0115】
本発明におけるトナーは、該イミダゾール化合物を含有することにより、イミダゾール化合物が正荷電制御剤として働き、正帯電性トナーとして使用することができる。また、更に従来公知の正荷電制御剤を添加することも可能である。また、あるいは従来公知の負荷電制御剤を添加することにより、負帯電性トナーとして使用することも可能である。
【0116】
正荷電制御剤としては、例えばニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物が挙げられる。
【0117】
負荷電制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0118】
また次に示した一般式(18)で表わされるアゾ系金属錯体も挙げられる。
【0119】
【化22】
【0120】
特に中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0121】
次の一般式(19)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発明に使用できる。
【0122】
【化23】
【0123】
特に中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn又はAlが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0124】
また、本発明で用いられるイミダゾールユニットを有する化合物は従来公知の合成方法で合成できる。
【0125】
以下に本発明に用いるイミダゾールユニットを有する化合物例を示すが、これらは取り扱いの容易さをも考慮した代表例であり、同様に本発明のトナーを何ら限定するものではない。
【0126】
一般式(10)で示される化合物例としては、例えば以下のものがある。
【0127】
【化24】
【0128】
【化25】
【0129】
【化26】
【0130】
以下に示す化合物は、左右のイミダゾールの置換基が異なるものと同じものとがあり、これらの混合物であっても良い。
【0131】
【化27】
【0132】
一般式(11)で示される化合物例としては、例えば以下のものがある。
【0133】
【化28】
【0134】
【化29】
【0135】
【化30】
【0136】
【化31】
【0137】
【化32】
【0138】
一般式(12)で示される化合物例としては、例えば以下のものがある。
【0139】
【化33】
【0140】
【化34】
【0141】
【化35】
【0142】
【化36】
【0143】
一般式(13)で示される化合物例として、例えば以下のものがある。
【0144】
【化37】
【0145】
【化38】
【0146】
【化39】
【0147】
【化40】
【0148】
【化41】
【0149】
【化42】
【0150】
一般式(15)で示される化合物例として例えば以下のものがある。
【0151】
【化43】
【0152】
【化44】
【0153】
【化45】
【0154】
【化46】
【0155】
【化47】
【0156】
【化48】
【0157】
【化49】
【0158】
【化50】
【0159】
以上のように、本発明に用いられる一般式(15)で表わされるイミダゾール化合物は、イミダゾールユニットを3以上有するオリゴマーまたはポリマーで、これらの混合物でもよく、それぞれのイミダゾールの置換基は同一であっても良く異なっていても良い。それぞれのユニットはランダムに配列していて良く、例示のl、m、kはそれぞれのユニットの数である。
【0160】
一般式(16)で示される化合物例として、例えば以下のものがある。以下の化合物は、員数の異なるものの混合物を含み、ここにはその中の代表成分を示す。
【0161】
【化51】
【0162】
【化52】
【0163】
【化53】
【0164】
一般式(17)で示される化合物のイミダゾール誘導体(a)としては、次のものが挙げられる。
【0165】
【化54】
【0166】
【化55】
【0167】
【化56】
【0168】
【化57】
【0169】
上記のイミダゾール誘導体(a)と各種酸との組み合わせで、一般式(17)で示される化合物となり、次の表2にこれらの組み合わせによる一般式(17)の化合物例を示す。
【0170】
【表2】
【0171】
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0172】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5−O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12−O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0173】
これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm(より好ましくは0.1〜0.5μm)で、7.96×102kA/m印加での磁気特性が抗磁力1.5〜12kA/m、飽和磁化50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが好ましい。
【0174】
結着樹脂100重量部に対して、磁性体10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部使用するのが良い。
【0175】
磁性体の他に、着色剤としては、カーボンブラック,チタンホワイトやその他の顔料及び/又は染料を用いることができる。例えば本発明のトナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等がある。顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
【0176】
本発明のトナーを二成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色剤として、次の様なものが挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
【0177】
上記顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
【0178】
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又は次式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料である。
【0179】
【化58】
【0180】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0181】
非磁性の着色剤の使用量は結着樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部好ましくは0.5〜50重量部である。
【0182】
本発明のトナーに流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナーに添加することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ,処理酸化チタン,処理アルミナがある。
【0183】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0184】
SiCl2+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0185】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0186】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0187】
【0188】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0189】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0190】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0191】
また、以下の正帯電性のものも、帯電量の調整等のため用いても良い。アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、アミノ変性のシリコーンオイル等を用いることができる。
【0192】
また、現像性や耐久性を向上させるために次の無機粉体を添加することも好ましい。マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモンなどの金属酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムなどの複合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム等の金属塩;カオリンなどの粘土鉱物;アパタイトなどリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素などのケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトなどの炭素粉末が挙げられる。なかでも、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムなどが好ましい。
【0193】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100重量部に対して流動性向上剤0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜4重量部使用するのが良い。
【0194】
本発明の静電荷像現像用トナーを作製するには結着樹脂、着色剤及び/又は磁性体、荷電制御剤またはその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級して本発明のトナーを得ることができる。
【0195】
本発明のトナーは、重量平均粒径が3乃至9μm(より好ましくは、3〜8μm)を有することが解像性,画像濃度の点で好ましく、小粒径トナーであっても良好に加熱加圧定着され得る。
【0196】
さらに、本発明において、トナーの体積平均粒径(DV)が2.5μm以上の場合には、画像濃度の低下が生じ難く、充分な画像濃度が得られ、また6.0μm以下の場合には、特にハーフトーン画像の階調性が向上することから、トナーの体積平均粒径(DV)は2.5乃至6.0μmであることが好ましい。
【0197】
さらに、流動性向上剤とトナーをヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
【0198】
本発明のトナーの溶媒溶解成分の定量及びその他の物性の測定方法を以下に示す。
【0199】
(1)トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶成分の定量
トナー2gを精秤(TW1)して円筒濾紙(例えば、東洋濾紙社製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、THF、酢酸エチル、クロロホルムの抽出溶媒は各々200ml用いる。約120℃に温度調整されたオイルバスを用いて10時間還流する。THFに可溶な成分(W1)はTHFを濃縮、乾固した後に60℃で24時間真空乾燥することにより定量できる。トナーのTHF不溶成分(W2)を定量する場合は、着色剤(磁性体)等の結着樹脂以外のTHF不溶成分(TW2)から下記式により算出される。
【0200】
【数1】
【0201】
(2)トナーに含有されるハイブリッド樹脂成分の確認及び定量
ハイブリッド樹脂成分がトナー中に含有されていることは、13C−NMRを測定することにより確認することができる。
【0202】
一般的にスチレンと共重合したアクリル酸エステルのエステル結合部位の炭素の13C−NMRにより測定されるシグナルは、アクリル酸エステルの単独重合体のシグナルよりスチレンのベンゼン環の影響により数ppm高磁場側にシフトする現象が知られている。これは、アクリル酸エステルのアルコール成分がポリエステルのアルコール成分とエステル交換反応して得られるハイブリッド樹脂成分の場合も同様であり、エステル交換によって導入されるポリエステルユニットに含有されるベンゼン環の影響も受け、シグナルは上記ビニル系重合体ユニットのアクリル酸エステルより更に高磁場側にシフトする。
【0203】
例えば酸成分として、アルキル置換コハク酸、テレフタル酸、トリメリット酸を用い、アルコール成分としてベンゼン環を有するアルコールを用いて製造された、ポリエステルの13C−NMRの測定結果を図6に、またビニル系重合体であるスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体の13C−NMRの測定結果を図7に示す。また上記のポリエステルとスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体とを用いて製造したハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂の13C−NMRの測定結果を図8に示す。
【0204】
各々の13C−NMR測定結果を表3に示す。
【0205】
【表3】
【0206】
表3よりわかるように、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂の13C−NMRの測定結果(図8)には、約168ppmに他の測定結果には見られない新たなシグナルが観測されており、このシグナルがハイブリッド樹脂成分が形成されることにより高磁場側にシフトしたスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体のエステル結合部位の炭素に由来するシグナルである。これよりハイブリッド樹脂成分が生成していることが確認できる。
【0207】
またハイブリッド樹脂成分の存在比率は、176ppm付近のスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体のエステル結合部位の炭素(各1C相当)のシグナルと168ppm付近の新たに検出されたピークのシグナルの強度比から求めることができる。ここでいう「ハイブリッド樹脂成分の存在比率」とは、スチレン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体中に存在するエステル結合部位のうち、ポリエステルのアルコール成分とのエステル交換反応が生じた部位の割合である。
【0208】
13 C−NMR測定
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:100.40MHz
パルス条件:5.0μs(45°)DEPT法による
データポイント:32768
遅延時間 :25sec.
積算回数 :50000回
測定温度 :26℃
試料 :室温でトナー10gを100mlの濃塩酸(約12M)に添加して約70時間撹拌して、トナーに含有される磁性体を溶解する。次に、濾液が弱酸性(約pH5)になるまで濾過・洗浄する。得られた樹脂組成物を60℃で約20時間真空乾燥して測定試料とする。この測定試料約1gをφ10mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)3mlを添加し、これを55℃の恒温槽内で溶解させて調整する。
【0209】
(3)酸価の測定
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
【0210】
1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0(g)を精秤し、重合体成分の重さをW(g)とする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
【0211】
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
【0212】
3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。)
【0213】
4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
【0214】
5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
【0215】
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0216】
(4)ワックスの融点測定
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0217】
測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。
【0218】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0219】
この昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0220】
この吸熱メインピークの温度をもってワックスの融点とする。
【0221】
(5)トナーのDSC曲線の測定
上記ワックスの融点の測定と同様にして、トナーの昇温過程におけるDSC曲線を測定する。
【0222】
(6)結着樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0223】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
【0224】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0225】
この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0226】
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0227】
(7)ワックスの分子量分布の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置:GPC−150C
(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
【0228】
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0229】
(8)結着樹脂原料又はトナーの結着樹脂の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0230】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料が結着樹脂原料の場合は、結着樹脂原料をロールミルに素通し(130℃,15分)したものを用いる。試料がトナーの場合は、トナーをTHFに溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102 ,2.1×103 ,4×103 ,1.75×104 ,5.1×104 ,1.1×105 ,3.9×105 ,8.6×105 ,2×106 ,4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0231】
カラムとしては、103 〜2×106 の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103 ,104 ,105 の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
【0232】
(9)トナーの接触角の測定
測定装置:FACE接触角測定装置(協和界面化学社製)
測定温度:23〜25℃
測定湿度:相対湿度40〜60%
試料調製:約10gのトナーを200kgf/cm2の圧力で2分間圧縮成型して、直径25mm,厚さ約10mmの円盤状の試料を作製する。これを内径約27mmのガラス製サンプルビン(例えば、スナップカップNo.30)に入れ、100〜120℃に加熱されたホットプレート上でテフロン製のシートを介して5〜10分程度5〜10kgf/cm2の圧力をかける。トナーが軟化・溶融したならば、室温まで冷却してガラス製サンプルビンを破壊してトナーの溶融・成型物を取り出す。これを#280→#800→#1500の研磨剤を用いて順次研磨することにより直径25mm,厚さ5mmの円盤状試料とする。接触角の測定面は目視で傷がない様に仕上げる。尚、測定にはイオン交換水または市販の精製水を使用し、各試料について5回接触角を測定してその平均値をもってトナーの接触角とする。
【0233】
(10)トナーの粒度分布の測定
本発明のトナーの粒度分布の測定は、コールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。
【0234】
それから、本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)を求めた。
【0235】
次に本発明の画像形成方法に用いられる現像剤担持体である現像スリーブの構成を図1に例示して説明する。
【0236】
本発明に用いられる現像剤担持体であるスリーブは、少なくとも表面が樹脂を含む材料によって形成されている。具体的には、樹脂を含む材料で形成される円筒状スリーブであるか、或いは円筒状基体と、該基体表面を被覆する被膜層(樹脂層)を有する。該樹脂層1は、結着樹脂4、場合によっては導電性物質2と充填剤3、固体潤滑剤5等を含有し、円筒状基体6上に被覆されている。導電性物質2が含有されている場合、樹脂層1は導電性をもつのでトナーの過剰帯電が防止できる。また充填剤3が含有されている場合には、トナーによる該樹脂層1の摩耗を防ぎ、更に充填剤3の帯電付与性により、トナーの帯電も好適にコントロールできる。また、固体潤滑剤5が含有される場合には、トナーとスリーブとの離型性が向上され、その結果トナーのスリーブ上への融着が防止できる。樹脂を含有する被覆層を形成する場合の円筒状基体としては、金属、合金、金属化合物、セラミック及び樹脂によって形成される。
【0237】
本発明のスリーブにおいて、樹脂層に導電性物質を含有させる場合、該樹脂層の体積抵抗が好ましくは106Ω・cm以下、より好ましくは103Ω・cm以下であることが好ましい。樹脂層の体積抵抗が106Ω・cmを超える場合には、トナーのチャージアップが発生しやすくなり、ブロッチの発生や現像特性の劣化を引き起こしやすくなる場合がある。
【0238】
また、該樹脂層の表面粗さは、JIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。Raが0.2μm未満ではスリーブ近傍のトナーの帯電量が高くなりすぎ、鏡映力によりトナーがスリーブ上に引きつけられ、新たなトナーがスリーブから帯電付与を受けられず、現像性が不充分となる。Raが3.5μmを超えると、スリーブ上のトナーコート量が増加しすぎてトナーが十分な帯電量を得られず、かつ不均一な帯電となり、画像濃度の低下や濃度ムラの原因となる。
【0239】
次に該樹脂層1を構成する各材料について説明する。
【0240】
図1において導電性物質2としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属粉体;酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ等の金属酸化物;カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト等の炭素同素体が挙げられる。このうちカーボンブラックは特に電気伝導性に優れ、高分子材料に充填して導電性を付与したり、添加量のコントロールで、ある程度任意の導電度を得ることができるために好適に用いられる。なお、本発明に使用するカーボンブラックの個数平均粒径は1μm以下、好ましくは0.01μm〜0.8μmのものが良い。カーボンブラックの個数平均粒径が1μmを超える場合には、樹脂層の体積抵抗を制御しづらくなり好ましくない。
【0241】
導電性物質の使用量としては、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜300重量部であり、好ましくは1〜100重量部である。
【0242】
充填剤3としては、従来より公知のトナー用ネガ帯電性荷電制御剤、あるいはポジ帯電性荷電制御剤を添加しても良い。この他の物質としては、例えばアルミナ、アスベスト、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、シリカ、ケイ酸カルシウム等の無機化合物;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、PMMA、メタクリレートのターポリマー(例えばポリスチレン/n−ブチルメタクリレート/シランターポリマー)、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリカプロラクトン;ポリカプロラクタム、ポリビニルピリジン、ポリアミドのような含窒素化合物;ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、トリフルオロクロロエチレン−塩化ビニル共重合体といった高度にハロゲン化された重合体;その他にポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。このうちシリカ及びアルミナが、それ自身の硬さ及びトナーに対する帯電制御性を有するので好ましく用いられる。
【0243】
充填剤の使用量としては、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜500重量部、より好ましくは1〜200重量部である。
【0244】
固体潤滑剤5としては、例えば二硫化モリブデン、窒化硼素、グラファイト、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石が挙げられる。このうちグラファイトは潤滑性と共に導電性を有し、高すぎる電荷を有するトナーを減少させ、現像に好適な帯電量を持たせる働きがあることから好適に用いられる。
【0245】
固体潤滑剤の使用量としては、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜300重量部であり、より好ましくは1〜150重量部である。
【0246】
場合によっては導電性物質2,充填剤3や固体潤滑剤5が分散される結着樹脂4としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂など公知の樹脂が用いられる。特に熱硬化性もしくは光硬化性の樹脂が好ましい。
【0247】
また本発明におけるスリーブ表面の樹脂層中の導電性物質、或いは充填剤や固体潤滑剤を表面に好適に露出させるために、または、表面を平滑化処理して均一な凹凸表面を作るために、後述の磨き加工等の手段により表面を平滑化処理することにより、さらに好ましい性能を付与することが可能である。特に、ベタ黒やハーフトーン画像に発生する縦スジ現象や初期の画像濃度の立上がりに効果があり、特に高温高湿下での効果が大きい。
【0248】
本発明において、スリーブの平滑化処理の一例を図2に示しながら作用を説明する。図2(A)において該被膜層(樹脂層)501は、固体潤滑剤502、導電性物質503、充填剤504、結着樹脂505とを含有し、円筒状基体506上に被覆されている。これをフェルトや砥粒の付着した帯状研磨材での磨き加工を施すことで、図2(B)に示すようにスリーブの表面凹凸を均一に仕上げることができるので、スリーブ上のトナーコート量が均一化し、その結果スリーブとの摩擦帯電を受けたトナーのみが現像領域に搬送されるようになる。従って、上記効果が得られるものと考えられる。
【0249】
上記のように平滑化処理を施した後も、コート層表面はJIS B 0601におけるRaで0.2〜3.5μmの範囲の凹凸を保持していることが好ましく、より好ましくは0.3〜2.5μm程度である。理由は前記と同様である。
【0250】
次に本発明の現像剤担持体である現像スリーブが組み込まれる現像方法について説明する。
【0251】
図3において、現像装置X1は、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する像保持体、例えば電子写真感光ドラム7は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ14は、ホッパー9から供給された一成分磁性現像剤としての磁性トナー10を担持して、矢印A方法に回転することにより、現像スリーブ14と感光ドラム7とが対向した現像部Dに磁性トナー10を搬送する。現像スリーブ14内には、磁性トナー10を現像スリーブ14上に磁気的に吸引・保持するために、磁石11が配置されている。磁性トナー10は現像スリーブ14との摩擦により、感光ドラム7上の静電潜像を現像可能な摩擦帯電電荷を得る。
【0252】
現像部Dに搬送される磁性トナー10の層厚を規制するために、強磁性金属からなる規制ブレード8が、現像スリーブ14の表面から約200〜300μmのギャップ幅を持って現像スリーブ14に臨むように、ホッパー9から垂下されている。磁石11の磁極N1からの磁力線がブレード8に集中することにより、現像スリーブ14上に磁性トナー10の薄層(現像剤層)が形成される。ブレード8としては非磁性ブレードを使用することもできる。
【0253】
現像スリーブ14上に形成される磁性トナー10の薄層の厚みは、現像部Dにおける現像スリーブ14と感光ドラム7との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。このようなトナー薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち非接触型現像装置に、本発明は特に有効である。しかし、現像部においてトナー層の厚みが現像スリーブ14と感光ドラム7との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち接触型現像装置にも、本発明は適用することができる。
【0254】
説明の煩雑を避けるため、以下の説明では、非接触型現像装置を例に採って行う。
【0255】
上記現像スリーブ14には、これに担持された一成分磁性現像剤である磁性トナー10を飛翔させるために、電源15により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(磁性トナー10が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧が、現像スリーブ14に印加されることが好ましい。一方、現像画像の濃度を高め或は階調性を向上するために、現像スリーブ14に交番バイアス電圧を印加して、現像部Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合、上記画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像スリーブ14に印加することが好ましい。
【0256】
また、高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、いわゆる正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用し、一方、静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、いわゆる反転現像では、トナーは静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。尚、高電位と低電位というのは、絶対値による電位差の表現である。いずれにしても、磁性トナー10は現像スリーブ14との摩擦により静電潜像を現像するための極性に帯電する。
【0257】
図4は本発明の他の実施形態を示す構成図である。
【0258】
図4の現像装置X2では、現像スリーブ14上の磁性トナー10の層厚を規制する部材として、ウレタンゴム,シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料、或はリン青銅,ステンレス鋼等の金属弾性を有する材料などの弾性板17を使用し、この弾性板17を現像スリーブ14に圧接させていることが特徴である。このような現像装置では、現像スリーブ8上に更に薄いトナー層を形成することができる。図4の現像装置X2のその他の構成は、図3に示した現像装置X1と基本的に同じで、図4において図3に付した符号と同一の符号は同一の部材を示す。
【0259】
上記のようにして現像スリーブ14上にトナー層を形成する図4に示すような現像装置は、弾性板17によりトナーを現像スリーブ14上に擦りつけるため、トナーの摩擦帯電量も多くなり、画像濃度の向上が図られる。また、非磁性一成分トナーにおいては、このような弾性板を用いた現像装置が用いられる。
【0260】
次に本発明で用いた接触帯電・転写方式を有する画像形成方法の一例について、図5の概略構成図を基に説明する。
【0261】
801は回転ドラム型の感光体であり、図面上時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転される。802は帯電ローラーで、感光体801面に押圧力をもって圧接され、感光体801の回転に伴い従動回転する。803は帯電ローラー802に電圧を印加するための帯電バイアス電流V2であり、帯電ローラー802にバイアスが印加されることで感光体801の表面が所定の極性・電位に帯電される。次いで画像露光804によって静電荷像が形成され、現像手段805によりトナー画像として順次可視化されていく。
【0262】
現像手段805を構成する現像スリーブには、バイアス印加手段813よりバイアスV1が印加される。現像により潜像保持体上に形成されたトナー像は、転写バイアスV3が印加された当接転写手段806により転写材808に静電転写され、転写材上のトナー像は、加熱加圧手段811により加熱加圧定着される。トナー画像転写後の感光体801面では転写残りトナー等の付着汚染物質を、感光体801にカウンター方向に圧接した弾性クリーニングブレードを具備したクリーニング装置809で清浄面化され、更に除電露光装置810により除電されて、繰り返して作像される。
【0263】
一次帯電手段としては、以上のごとく接触帯電手段として帯電ローラー802を用いて説明したが、帯電ブレード、帯電ブラシの如き接触帯電手段でもよく、更に、非接触のコロナ帯電手段でもよい。帯電によるオゾンの発生を少なくする場合は接触帯電手段の方が好ましい。転写手段としては、以上のごとく転写ローラー806を用いて説明したが転写ブレードの如き接触帯電手段でもよく、更に非接触のコロナ転写手段でもよい。こちらも転写によるオゾンの発生を少なくする場合は接触帯電手段の方が好ましい。
【0264】
【実施例】
以下、具体的実施例にもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0265】
(本発明の重合体の製造)
<製造例1>
・テレフタル酸 4.8重量部
・式(3−3)で表されるコハク酸誘導体 1.2重量部
・無水トリメリット酸 2.3重量部
・マレイン酸 0.5重量部
・PO−BPA 7.2重量部
・EO−BPA 3.3重量部
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒と共にオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を付し、窒素ガス雰囲気下、常法に従って、215℃まで加熱しながら縮重合反応でポリエステルユニットを得た。
【0266】
ここで得られたポリエステルユニット80重量部をキシレン200重量部に溶解・膨潤させ、スチレン16重量部、2−エチルヘキシルアクリレート4重量部及び重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド1重量部をキシレン30重量部に溶解したものを窒素雰囲気下120℃で約1時間かけて滴下した。その温度で更に6時間保持してラジカル重合反応を終了し、エステル化触媒を添加して減圧下230℃まで加熱して脱溶剤して9時間その温度を保持することによりポリエステルユニット、ビニル系重合体ユニット、及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有しているハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(1)を得た。
【0267】
<製造例2>
製造例1において、表4に示すワックス(3)を製造時に添加した以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(2)を得た。
【0268】
<製造例3>
製造例2において、ワックスを表4に示すワックス(4)に変更する以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(3)を得た。
【0269】
<製造例4>
製造例2において、ワックスを表4に示すワックス(5)に変更する以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(4)を得た。
【0270】
<製造例5>
製造例2において、ワックスを表4に示すワックス(1)を2重量部、ワックス(3)を4重量部に変更する以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(5)を得た。
【0271】
<製造例6>
製造例2において、ワックスを表4に示すワックス(1)を2重量部、ワックス(4)を4重量部に変更する以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(6)を得た。
【0272】
<製造例7>
製造例2において、ワックスを表4に示すワックス(1)を2重量部、ワックス(5)を4重量部に変更する以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(7)を得た。
【0273】
<製造例8>
製造例2において、ワックスを表4に示すワックス(2)を2重量部、ワックス(3)を4重量部に変更する以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(8)を得た。
【0274】
<製造例9>
製造例1で使用したポリエステルユニットを構成するモノマーを下記に示すものを使用し、ワックスを表4に示すワックス(2)を2重量部、ワックス(4)を4重量部に変更する以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(9)を得た。
・テレフタル酸 6.8重量部
・式(4−3)で表されるジカルボン酸 1.2重量部
・無水トリメリット酸 4.2重量部
・PO−BPA 7.0重量部
・EO−BPA 3.0重量部
【0275】
<製造例10>
製造例9において、ワックスを表4に示すワックス(2)を2重量部、ワックス(5)を4重量部に変更する以外は同様にして、ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂組成物(10)を得た。
【0276】
<比較製造例1>
製造例1において、ハイブリッド樹脂成分を製造する工程で、230℃での加熱時間を2時間とした以外は同様にして比較用樹脂(1)を得た。
【0277】
<比較製造例2>
製造例1において、ハイブリッド樹脂成分を製造する工程で、230℃での加熱工程を12時間とした以外は同様にして比較用樹脂(2)を得た。
【0278】
(樹脂層を表面に形成した現像剤担持体の製造例)
<現像スリーブ製造例1>
フェノール樹脂中間体 125重量部
カーボンブラック 5重量部
結晶性グラファイト 45重量部
メタノール 41重量部
イソプロピルアルコール 284重量部
フェノール樹脂中間体のメタノール溶液をイソプロピルアルコール(IPA)で希釈し、カーボンブラックと結晶性グラファイトを添加し、ガラスビーズを用いたサンドミルにより分散を行った。次にこの塗料を用いてスリーブ上に樹脂層の塗工を行った。
【0279】
スリーブ基体としては、外径20mm,肉厚0.8mmのステンレス鋼円筒管の表面を研磨加工して、円筒管の振れが10μm以下、表面粗さがRz表記で4μm以下にして用いた。このスリーブ基体を垂直に立てて、一定速度で回転させるとともに上下端部にマスキングを施し、スプレーガンを一定速度で下降させながら上記塗料を塗布した。スリーブ両端のマスキング幅は3mmに設定した。これを乾燥炉にて160℃で20分間乾燥硬化させた後、樹脂コートスリーブ表面に、帯状のフェルトを39.2N(4kgf)の押しあて荷重をもって摺擦させ表面磨き加工を行い、膜厚の均一な樹脂層コートスリーブを得た。
【0280】
この樹脂層の膜厚は10μm、表面粗さRaは6点平均で0.86μm、体積抵抗は4Ω・cmであり、更に鉛筆硬度を測定したところ、2Hであった。このスリーブにマグネットを挿入し、両端にフランジを取り付けて現像スリーブ1とした。
【0281】
<現像スリーブ製造例2>
スリーブ基体としては、外径20mm,肉厚0.8mmのステンレス鋼円筒管の表面を研磨加工して、円筒管の振れが10μm以下、表面粗さがRz表記で4μm以下にしたものを、上下端部にマスキングを施し、不定形アルミナ砥粒(#300)を用いブラストマシンにより、3.92×10-2MPa(4.0kgf/cm2)のブラスト圧でブラスト処理を行った。スリーブ両端のマスキング幅は3mmに設定した。このブラスト処理スリーブの表面粗さRaは6点平均で1.12μmであった。このスリーブにマグネットを挿入し、両端にフランジを取り付けて現像スリーブ2とした。
【0282】
[実施例1]
・本発明のハイブリッド樹脂組成物(1) 100重量部
・磁性酸化鉄 90重量部
・式(10−1)で表される化合物 2重量部
・ワックス(3) 4重量部
上記混合物を、130℃に加熱したエクストルーダーで溶融混練し、冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した。粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、重量平均径8.5μmの磁性トナーを得た。なお、溶融混練時において混合物の粘度を観察することにより、架橋が起こっていることが確認された。
【0283】
トナーの結着樹脂100重量部に対するTHF不溶分は、混在するワックス量を除いた樹脂組成物に換算して35.2wt%であった。トナーに含有される磁性酸化鉄及びワックスを除いて換算した結着樹脂の樹脂成分の酸価は、12.1mgKOH/gであった。
【0284】
トナーの結着樹脂に含有されるハイブリッド樹脂組成物の存在は、上述した様な13C−NMRの測定により確認され、ビニル系重合体ユニットに含有される2−エチルヘキシルアクリレート及びフマル酸の35mol%がポリエステルユニットとエステル交換反応又はエステル化反応してハイブリッド樹脂組成物を形成していることを確認した。また、トナーの接触角は111度であった。
【0285】
この磁性トナー100重量部に対して、疎水性シリカ(BET=200m2/g)0.8重量部をヘンシェルミキサーにて外添添加してトナー1を得た。
【0286】
得られたトナー1について、次に示す各評価試験を行った。
【0287】
耐オフセット性評価試験:
市販の複写機NP8580(キヤノン(株)社製)の定着器を外部へ取り外し、複写機外でも動作し、定着ローラー温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを150mm/secとなるように改造した外部定着器を用い、未定着画像を通紙することにより耐オフセット性を評価した。評価に際して、定着ローラーの温度を180〜240℃の温度範囲で5℃おきに温調して、定着ローラーにトナーがオフセットした温度をオフセット温度とした。(評価環境:常温/常湿(23℃/60%RH))
【0288】
定着性評価試験:
外部定着器のニップを5.0mm、プロセススピードを400mm/secに設定し、120〜250℃の温度範囲で5℃おきに温調して、各々の温度で未定着画像の定着を行い、得られた画像を4.9kPaの加重をかけたシルボン紙で往復5回摺擦し、摺擦前後の画像濃度低下率が10%以下になる点を定着開始温度とした。
【0289】
画像評価試験及び定着加熱部材耐久試験:
市販の複写機NP6030(キヤノン(株)社製)を用い、現像スリーブを本発明の現像スリーブ製造例2に示した現像スリーブ2に交換し、また、定着器から定着ウェブを取り除き、常温/常湿環境下において50,000枚複写し、引き続き、常温/低湿環境および高温/高湿環境の各環境下においてそれぞれ50,000枚複写を行い、画像濃度とカブリを評価した。(評価環境:常温/常湿(23℃/60%RH)、常温/低湿(23℃/5%RH)、高温/高湿(32.5℃/80%RH))
【0290】
また、常温/常湿環境下にて50,000枚複写した後の現像スリーブ表面の一部をエタノールで清浄に拭き取り、ベタ黒画像を複写し、エタノール拭き清掃前後の画像濃度を測定し、その差を算出することによりスリーブ汚染の評価を行い、下に示すランクに分類した。
【0291】
また、定着器の加熱部材(加熱ローラー、加圧ローラー)を目視し、加熱部材へのトナー汚染レベルを下に示すランクに分類した。
【0292】
スリーブコート性評価試験:
スリーブ上のトナーコートを目視し、ブロッチの発生レベルを下に示すランクに分類した。(評価環境:常温/常湿(23℃/60%RH)、常温/低湿(23℃/5%RH)、高温/高湿(32.5℃/80%RH))
【0293】
ブロッチランク
A 全く発生していない。
B スリーブ端部にわずかに発生している。
C 極わずか発生しているが画像には影響しない。
D はっきりと発生しており画像に影響する。
【0294】
スリーブ汚染ランク
A Δ0.03未満
B Δ0.03〜Δ0.10
C Δ0.10〜Δ0.20
D Δ0.20を超えるもの
【0295】
加熱部材へのトナー汚染ランク
A 全くトナー汚染見られず。
B 若干汚染しているが、問題ないレベル。
C トナー汚染が容易に判別できる。
D 紙の表面、裏面等に汚染トナーが付着する。
【0296】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは、「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度と、ベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度とを測定し、その差分をカブリ値とした。
【0297】
トナーの物性の解析結果と、耐オフセット性試験、定着性評価試験、スリーブコート性試験、画像評価試験及び定着加熱部材耐久試験の評価結果を表5にまとめた。
【0298】
[実施例2]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(2)に変更し、化合物を(10−5)に変更する以外は同様にして、トナー2を得た。このトナー2について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0299】
[実施例3]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(3)に変更し、化合物を(10−10)に変更する以外は同様にして、トナー3を得た。このトナー3について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0300】
[実施例4]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(4)に変更し、化合物を(11−1)に変更する以外は同様にして、トナー4を得た。このトナー4について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0301】
[実施例5]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(5)に変更し、化合物を(12−1)に変更する以外は同様にして、トナー5を得た。このトナー5について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0302】
[実施例6]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(6)に変更し、化合物を(13−1)に変更する以外は同様にして、トナー6を得た。このトナー6について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0303】
[実施例7]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(7)に変更し、化合物を(13−23)に変更する以外は同様にして、トナー7を得た。このトナー7について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0304】
[実施例8]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(8)に変更し、化合物を(15−1)に変更する以外は同様にして、トナー8を得た。このトナー8について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0305】
[実施例9]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(9)に変更し、化合物を(16−1)に変更する以外は同様にして、トナー9を得た。このトナー9について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0306】
[実施例10]
実施例1において、結着樹脂をハイブリッド樹脂組成物(10)に変更し、化合物を(17−1)に変更する以外は同様にして、トナー10を得た。このトナー10について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0307】
[比較例1]
実施例1において、結着樹脂を比較用樹脂(1)に変更し、化合物を(13−1)に変更する以外は同様にして、トナー11を得た。このトナー11について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0308】
[比較例2]
実施例1において、結着樹脂を比較用樹脂(2)に変更し、化合物を(13−1)に変更する以外は同様にして、トナー12を得た。このトナー12について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0309】
[比較例3]
実施例1において、化合物をニグロシンに変更する以外は同様にして、トナー13を得た。このトナー13について同様の評価を行った。評価結果を表5にまとめた。
【0310】
[実施例11〜20]
実施例1〜10において、現像スリーブを1に変更する以外は同様にして、評価を行った。評価結果を表6にまとめた。(評価環境:常温/常湿(23℃/60%RH))
【0311】
【表4】
【0312】
【表5】
【0313】
【表6】
【0314】
【発明の効果】
本発明によれば、熱ロール定着器を用いる中〜高速機や、耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱定着方式を使用する中〜低速機であっても良好な低温定着性を示し、且つ低温から高温までのオフセットによる加熱部材の汚染を生じることのないトナーを提供することができる。
【0315】
さらに、現像剤担持体として、金属基体上に樹脂を含有する被覆層を形成したものを用いることにより、帯電付与能力が大幅に改善され、現像特性を向上させることができ、長期にわたって画像濃度低下やカブリ等のない高精細画像を安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤担持体の一部分の断面の概略図である。
【図2】本発明の現像剤担持体の一部分の断面((A)は磨き加工前、(B)は磨き加工後)の概略図である。
【図3】本発明の現像剤担持体が組み込まれる磁性現像剤補給系現像装置の一例(規制部材に磁性ブレードを使用)を示す概略図である。
【図4】本発明の現像剤担持体が組み込まれる磁性現像剤補給系現像装置の他の例(規制部材に弾性ブレードを使用)を示す概略図である。
【図5】本発明の画像形成方法を説明するための概略図である。
【図6】ポリエステルの13C−NMRスペクトルを示す。
【図7】スチレン・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体の13C−NMRスペクトルを示す。
【図8】ハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂の13C−NMRスペクトルを示す。
【符号の説明】
1 被膜層(樹脂層)
2 導電性物質
3 充填剤
4 結着樹脂
5 固体潤滑剤
6 円筒状基体
7 感光ドラム(潜像保持体)
8 規制ブレード
9 ホッパー
10 磁性トナー(磁性現像剤)
11 磁石
12 円筒状基体
13 被膜層(樹脂層)
14 現像スリーブ(現像剤担持体)
15 電源
17 弾性ブレード
A 現像スリーブの回転方向
B 感光ドラムの回転方向
D 現像部
501 被膜層(樹脂層)
502 固体潤滑剤
503 導電性物質
504 充填剤
505 結着樹脂
506 円筒状基体
801 潜像保持体
801a 光導電層
801b 導電性基層
802 帯電ローラー
802a 導電性弾性層
802b 芯金
803 帯電バイアス電源
804 画像露光
805 現像ローラー
806 転写ローラー
806a 導電性弾性層
806b 芯金
807 転写バイアス電源
808 転写材
809 クリーニング装置
810 除電露光装置
811 加熱加圧手段
813 現像バイアス電源
Claims (29)
- 少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス及びイミダゾール化合物を含有するトナーにおいて、
(a)該トナーの水に対する接触角が105乃至130度であり、
(b)該結着樹脂は、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂成分を含み、
(c)該トナーの結着樹脂成分の酸価は0.5乃至40mgKOH/gであり、
(d)該イミダゾール化合物は、下記一般式(1)で示されるイミダゾールユニットを有する化合物であり、
(e)該トナーの結着樹脂成分中に、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を5乃至60重量%含有し、
(f)該ワックスが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量300乃至5000にメインピークを有することを特徴とするトナー。 - 該トナーの水に対する接触角が、107乃至127度であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該トナーの水に対する接触角が、110乃至125度であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該トナーの結着樹脂成分の酸価が、1.0乃至35mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーの結着樹脂成分の酸価が、2.0乃至30mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーの結着樹脂成分中に、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を10乃至50重量%含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーの結着樹脂成分中に、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を15乃至45重量%含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが、1.1乃至15であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量350乃至4500にメインピークを有し、また該ワックスの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが、1.2乃至10であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスが炭化水素系ワックスであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスが、1乃至20mgKOH/gの酸価を有する酸変性ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスが、1乃至20mgKOH/gの酸価を有する酸変性ポリエチレンであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスが、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が70乃至140℃であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスが、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が70乃至135℃であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスが、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が70乃至130℃であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー。
- 該ワックスに加えて、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点の異なるワックスを含有していることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のトナー。
- それぞれのワックスが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量300乃至5000にメインピークを有し、また該ワックスの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが、1.1乃至15であることを特徴とする請求項17に記載のトナー。
- それぞれのワックスが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量350乃至4500にメインピークを有し、また該ワックスの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが、1.2乃至10であることを特徴とする請求項17に記載のトナー。
- 少なくとも1種のワックスが結着樹脂製造時に添加されていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーのTHF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量3000乃至10000にメインピークを有することを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーのTHF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量4000乃至9000にメインピークを有することを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーのTHF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量4500乃至8000にメインピークを有することを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーは、正帯電性トナーであることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のトナー。
- 静電潜像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程;及び現像剤担持体上表面に担持され且つ搬送されるトナーを有する一成分系現像剤で該静電潜像を現像する工程;を有する画像形成方法において、
該現像剤担持体は、少なくとも表面が樹脂を含む材料によって形成されており、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス及びイミダゾール化合物を含有しており、
(a)該トナーの水に対する接触角が105乃至130度であり、
(b)該結着樹脂は、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂成分を含み、
(c)該トナーの結着樹脂成分の酸価は0.5乃至40mgKOH/gであり、
(d)該イミダゾール化合物は、下記一般式(1)で示されるイミダゾールユニットを有する化合物であり、
(e)該トナーの結着樹脂成分中に、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を5乃至60重量%含有し、
(f)該ワックスが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムにおいて、分子量300乃至5000にメインピークを有することを特徴とする画像形成方法。 - 該現像剤担持体は、樹脂を含む材料によって形成された円筒状スリーブであることを特徴とする請求項25に記載の画像形成方法。
- 該現像剤担持体は、基体及び基体表面に形成された樹脂を含有する被覆層を有していることを特徴とする請求項25又は26に記載の画像形成方法。
- 該現像剤担持体表面は、導電性物質、充填剤及び固体潤滑剤からなる群から選択される一種以上のメンバーをさらに含有していることを特徴とする請求項25乃至27のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーは、正帯電性トナーであることを特徴とする請求項25乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
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