JP3814415B2 - 広く植物やその種子中に含まれるフェルラ酸、フィチン酸、イノシトール、オリザノールの淡、海水魚類、甲殻類に対する疾病防止効果 - Google Patents

広く植物やその種子中に含まれるフェルラ酸、フィチン酸、イノシトール、オリザノールの淡、海水魚類、甲殻類に対する疾病防止効果 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌剤に関する。
より詳細には、本発明は、米糠のような植物やその種子を由来とする化合物、具体的には、フェルラ酸、フィチン酸、イノシトール及びオリザノールのうち少なくとも1種を有効成分として含有する抗菌剤に関する。
本発明の抗菌剤は、特に、淡水及び海水魚類並びに甲殻類等の尾腐れ病及び綿吹き病等の予防及び治療に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
我が国は四面海に囲まれていることもあり、また、近年各国が200海里を設定して漁業海域を主張するなどして遠洋漁業が不振に陥り、我々の日常食する海産物は海外からの輸入に頼ると同時に、沿岸養殖業が富に盛んとなる原因となってきている。しかし、海外からの輸入海産物もその養殖漁場の荒廃や乱獲によって年々減少、あるいは、高価なものとなりつつある。
【0003】
この現状を見る時、我が国沿岸の養殖業は日増しに重要となってきている。しかし、我が国の養殖業も広範囲に及ぶことによって養殖餌料の残飼や養殖魚の排泄物などによって海洋汚染が広がり、そのため赤潮の大発生や酸素欠乏海域の広がり、あるいは、魚病の発生などといった大きな問題を抱えているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、われわれは従来より、淡水及び海水魚類並びに甲殻類等の疾病、特に、尾腐れ病及び綿吹き病の原因となる微生物に対する抗菌剤を見出すことを目的として研究に取り組み、種々検討を行ってきた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
その結果、玄米、白米、及び現在は廃棄物とされている米糠に含有される特定の化合物が、上記の疾病を引き起こす原因となる微生物に対する強い抗菌作用有することを見出し、本発明を成すに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、フェルラ酸、フィチン酸、イノシトール及びオリザノールの少なくとも1種を有効成分として含有する抗菌剤を提供する。
本発明の抗菌剤の対象となる菌には、ビブリオナセア科(Vibrionaceas)に属するアエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida) 及びミズカビ科(Saprolegniaceae) に属するサプロレグニア・パラシティカ(Saprolegnia parasitica)が含まれる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の抗菌剤について詳細に説明する。
本発明において、「抗菌剤」とは、特定の微生物を死滅させ、あるいはその活性を弱めることのできる薬剤をいう。
【0008】
本発明の抗菌剤は、フェルラ酸、オリザノール、フィチン酸及びイノシトールのうち、少なくとも1種を有効成分として含有するものである。
これらの有効成分のうち、フェルラ酸は、4−ヒドロキシ−3−メトキシケイ皮酸ともよばれる化合物であり、それ自体は既知のものである。
【0009】
オリザノールは、2種以上のフェルラ酸エステルの混合物であり、それ自体は既知のものである。本発明の抗菌剤の有効成分であるオリザノールには、フェルラ酸エステルとして、シクロアルテニルフェルラ酸、24−メチレンシクロアルタニルフェルラ酸、カンペステリルフェルラ酸、スティグマステリルフェルラ酸、シトステリルフェルラ酸等が含まれる。
【0010】
フィチン酸は、イノシトールヘキサリン酸ともよばれる化合物であり、それ自体は既知のものである。
イノシトールは、シクロヘキシトールともよばれる化合物であり、それ自体は既知のものである。
【0011】
本発明の抗菌剤の有効成分であるフェルラ酸、オリザノール、フィチン酸及びイノシトールは、いずれも築野食品工業(株)より市販されている。また、これらの有効成分はいずれも、米糠から米サラダ油を製造する過程で生じる副生成物から入手することもできる。
【0012】
本発明の抗菌剤が特に高い抗菌作用を奏することのできる微生物には、ビブリオナセア科(Vibrionaceas)に属するアエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida) 及びミズカビ科(Saprolegniaceae) に属するサプロレグニア・パラシティカ(Saprolegnia parasitica)が含まれる。また、本発明の抗菌剤は、サルモニシダ以外のアエロモナス及びパラシティカ以外のサプロレグニアに対しても抗菌作用を有するものである。
【0013】
アエロモナスは、通性嫌気性グラム陰性桿菌類に属する細菌である。アエロモナスに起因する疾病としては、淡水及び海水魚並びに甲殻類等の尾腐れ病が知られている。サプロレグニアは、ミズカビ科(Saprolegniaceae) に属する真菌である。サプロレグニアに起因する疾病としては淡水及び海水魚並びに甲殻類等の綿吹き病が知られている。しかしながら、本発明の抗菌剤が効果を奏することのできる疾病は、これらの疾病に限られるものではない。
【0014】
本発明の抗菌剤を薬剤として投与する場合の剤形は、各有効成分が、対象とする微生物に作用を及ぼし得るものならばいずれのものでもよい。
例えば、本発明の抗菌剤は、各々の有効成分をそのまま適用することも、溶液の形態で適用することもできる。溶液の形態で適用する場合、溶媒としては水、並びに各種低級アルコール、アセトン及びヘキサンその他の有機溶媒等を好ましく用いることができる。また、本発明の抗菌剤は、適当な担体と組み合わせて使用することもできる。担体としては、例えば魚類等の餌料、魚網、養殖イケスの柱、枠、壁を用いることができる。魚類等の餌料としては、市販のものを用いることができる。さらに、本発明の抗菌剤は、各種包接化合物(水溶性繊維、水不溶性繊維、デンプン、セルロース、シリカゲル等をホストとすることができる)又は包埋化合物(寒天、アルギン酸、ジェランガム等をホストとすることができる)としても用いることができる。
【0015】
本発明の抗菌剤の投与の方法としては、魚類等の体表への直接塗布、飼育水への添加、経口投与、腹腔内投与等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0016】
本発明の抗菌剤の有効成分の濃度は、投与形態、投与方法等に応じて適宜設定することができ、各々の有効成分が効果を奏するために十分な濃度であれば特に制限はない。例えば、水溶液の形態で飼育水に添加する場合、飼育水中の各有効成分の濃度が0.001〜30%((重量%)以下の記載において同じ)になるように設定することができる。水溶液の形態で魚類等の体表に直接塗布する場合、腹腔内投与する場合も同様に、各有効成分の濃度を0.001〜30%に調整したものを適用することができる。また。各有効成分を餌料に混入させる場合にも、餌料中の濃度が上記範囲内になるように餌料に添加して投与することができる。
本発明の抗菌剤は、上記各有効成分を単独で含有することも、2種以上を含有することもできる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明の抗菌剤をより詳細に説明する。
(実施例1)
海水魚の尾腐れ病菌として著名なAeromonas salmonicida subsp. Masoucida (IFO13784) をペプトン(終濃度1%)、酵母エキス(終濃度0.2%)、MgSO4 ・7H2 O(終濃度0.1%)、寒天(終濃度1%)(pH7.0)からなる寒天培地上で成育せしめた。この菌(IFO13784)の1白金耳を、寒天を除いた以外は上記組成と同じ組成の前培地100ミリリットル(以下「mL」と表記する)に殖菌し、24℃、24時間培養後、その菌体の懸濁液5mLを、前培地と同組成の本培地100mL中に殖菌して24℃で回転振とう(100rpm)培養し、本培地中の本菌体の成育と、培地pHの挙動に及ぼす各種濃度のフェルラ酸、フィチン酸、イノシトール及びオリザノールの添加効果を追求した。各化合物は、終濃度が0.05、0.07、0.10、0.20、0.30、0.50及び1.0%の各濃度になるように、本培地での培養開始時(培養0日目)に添加した。各化合物を用いないこと以外は同じ試料を対照として用いた。菌体の成育は、定法に従い、660nmにおける吸光度により培地の濁度を測定することにより評価した。
【0018】
得られた結果(5連の測定値の平均値)を図1の各グラフに示す。
図1の各グラフにおいて、縦軸(左)は、660nmにおける吸光度を表す。培養日数0日目の吸光度を0として、各培養日における吸光度と0日目のそれとの差を取った。縦軸(右)はpH値を表す。横軸は、各化合物添加後の培養日数を表す。グラフ(a)はフェルラ酸、グラフ(b)はフィチン酸、グラフ(c)はオリザノール、グラフ(d)はイノシトールの結果を表す。
【0019】
図1の各グラフから、フェルラ酸、フィチン酸、イノシトール及びオリザノールのいずれを添加した場合にも、尾腐れ病菌(IFO13784)の成長を抑制することが分かる。特に、フェルラ酸、次いでフィチン酸は、試験した各濃度において顕著な抑制効果を奏することが分かる。
【0020】
この実施例の条件下では、各有効成分の至適濃度は、フェルラ酸が培養日数1〜4日目にわたり1.0%、フィチン酸が培養日数1日目までは0.05%、2日目以降では1.0%、オリザノールが培養日数1日目では0.3%、2日目以降では0.50%、イノシトールが培養日数1日目までは0.05〜0.07%、2日目以降では0.10〜0.20%であることがわかる。
【0021】
なお、培養日数2日目から対照の吸光度の増加が認められない。これは、菌体の自己消化によるものと考えられる。
(実施例2)
添加化合物としてフェルラ酸を用いて実施例1と同じ手順で試験を繰り返した。別途、フェルラ酸を、培養開始0、1、2及び3日後の4回に分けて添加したこと以外は実施例1と同じ試験を行った。各添加濃度は、4回の添加を合計した終濃度が実施例1の各濃度と同じになるように設定した。
【0022】
得られた結果(5連の測定値の平均値)を図2のグラフに示す。
図2のグラフにおいて、縦軸(左及び右)並びに横軸は、図1のそれらと同じである。グラフ(a)は培養日数0日目にのみフェルラ酸を添加したもの(フェルラ酸初期添加)、グラフ(b)は4回に分けてフェルラ酸を添加したもの(フェルラ酸経時添加)である。
【0023】
図2のグラフ(a)及び(b)より、フェルラ酸の終濃度0.20%〜1.0%の範囲で尾腐れ病菌(IFO13784)の成長を強く抑制していることが分かる。また、グラフ(a)及び(b)を比較すると、同じ終濃度であればフェルラ酸を一度に添加するよりも、経時的に複数回添加した方が尾腐れ病菌(IFO13784)の成長をより抑制できることが分かる。
【0024】
(実施例3)
実際に尾腐れ病に罹病した金魚から採取した尾腐れ病菌(以下、「単離尾腐れ病菌」ともいう)を用い、培養日数を10日にまで延長したこと以外は実施例1と同じ条件で試験した。
【0025】
単離尾腐れ病菌の採取は、定法により行った。すなわち、尾腐れ病罹病金魚を水から取り出し、無菌室内で無菌の白金耳を用いて尾の罹病部分から菌を採取し、実施例1において用いたものと同じ寒天シャーレ培地に無菌的に殖菌し、実施例1で用いた尾腐れ病菌(IFO13784)と繁殖の仕方(外観)が同じ所を取り、新しい同様の寒天シャーレ培地に殖菌するという操作を、菌体が外観上尾腐れ病菌(IFO13784)に近似し、且つ一様となるまで数回行い、単離尾腐れ病菌を得た。
【0026】
得られた結果(5連の測定値の平均値)を図3のグラフに示す。
図3のグラフにおいて、縦軸(左及び右)並びに横軸、さらにグラフ(a)から(d)は図1のものとそれぞれ同じである。
【0027】
図3の各グラフから、フェルラ酸は単離尾腐れ病菌の成長を抑制することがわける。フィチン酸、イノシトール及びオリザノールについては、この実施例の条件下では対照との有意な差は認められなかった。
【0028】
(実施例4)
添加化合物としてフェルラ酸を用いて実施例3と同じ手順で試験を繰り返した。別途、フェルラ酸を、培養開始0、1、2及び3日後の4回に分けて添加したこと以外は実施例3と同じ試験を行った。各添加濃度は、4回の添加を合計した終濃度が実施例3の各濃度と同じになるように設定した。
【0029】
得られた結果(5連の測定値の平均値)を図4のグラフに示す。
図4のグラフにおいて、縦軸(左及び右)並びに横軸、さらにグラフ(a)及びグラフ(b)は、図2のものとそれぞれ同じである。
【0030】
図4のグラフ(a)及び(b)より、フェルラ酸濃度1.0%において、単離尾腐れ病菌の成長を特に強く抑制することが分かる。グラフ(b)(経時添加)において、培養2日目には、対照に対して83.3%の抑制が認められる。また、グラフ(a)及び(b)を比較すると、同じ終濃度の添加であれば、フェルラ酸を一度に添加するよりも、経時的に複数回添加した方が単離尾腐れ病菌の成長をより抑制できることが分かる。
【0031】
(実施例5)
淡水魚に付着して死に至らしめることがよく知られている綿吹き病菌(Saprolegnia parasitica IFO8978)を、約1cm角に切ったポテト(メイクイーン)を100℃で30分間煮沸後、三重のガーゼで濾過して得た抽出液(終濃度20%)とシュークロース(終濃度2.0%)、寒天(終濃度2.0%)(pH5.6)からなる寒天斜面培地に殖菌して、綿吹き病菌を継代培養した。この継代培養した綿吹き病菌1白金耳を、さらに同組成からなる寒天培地のシャーレ(9φcm)1枚に塗り広げて、24℃で1週間培養し、この培養菌体全部をかき取って、生理的食塩水(90mL)に懸濁し、その1mLを上記と同組成の寒天培地のシャーレの表面に添加して広げ、この本培地中に実施例1で用いた各種濃度の化合物を同時に添加し、シャーレの培地上に広がって成長する綿吹き病菌の面積を測定し、各種化合物の効果を検討した。
【0032】
その結果(3連の測定値の平均値)を図5に示す。
図5の各グラフにおいて、縦軸は、増殖率(%)を表し、横軸は、各化合物添加後の培養日数を表す。ここで、増殖率とは、シャーレ寒天表面の全面積に対する菌の表面繁殖域(面積)の比とした。グラフ(a)はフェルラ酸、グラフ(b)はフィチン酸、グラフ(c)はオリザノール、グラフ(d)はイノシトールの結果を表す。
【0033】
図5の各グラフから、各化合物を添加することにより、綿吹き病菌の成長を抑制することが分かる。この実施例の条件下では、フェルラ酸を添加した場合の抑制が特に強く、0.07%以上の濃度(終濃度)で培養後11日目まで完全に綿吹き病菌の成長を抑制することが分かる。
【0034】
(実施例6)
市販の金魚(平均体重1.5g)の尾の先端部を切り落とし、その部分に実施例1で用いた尾腐れ病菌(IFO13784)を植え付け、尾腐れ病菌に罹病した金魚を調製した。各試験群共5匹の罹病金魚を用い、フェルラ酸を、0、0.05、0.1、0.3、0.5及び0.8%の各濃度で、粉末にした市販の鯉用餌料(錦鯉のえさ 「ひかり スモーラー」 キョーリン(株)製)を練り上げ(粉末1g/試験液0.7mL)、半固形にして1日1回飽食になるまで給餌し、各群の成長、死亡率、罹病状態、摂餌量などを測定、観察した。
【0035】
得られた結果(5連の測定値の平均値)を図6〜図8の各グラフに示す。
図6は、飼育日数(横軸)と摂餌量(g)(縦軸)との関係を表すグラフである。図7は、飼育日数(横軸)と体重増加率(%)(縦軸)との関係を表すグラフである。図8は、飼育日数(横軸)と治癒率(%)(縦軸)との関係を表すグラフである。ここで、治癒率とは、各群の全尾数に対する完全回復魚数の割合(%)をいう。
【0036】
これら図6〜図8のグラフに示すように、波線で結ばれた菱形(――◇――)により表される0.05%のフェルラ酸溶液による練り餌の摂餌量が最も良く(図6)、金魚は最も元気で(図7)、疾病の状態も飼育9日目にはほとんど回復する(図8)ことが見出された。
【0037】
(実施例7)
市販の金魚の代わりに海水魚であるハマチ及びタイ並びに甲殻類である車エビ、伊勢エビ及びスジエビを用いる以外は実施例6と同様の方法で試験を行った。
【0038】
その結果、実施例6と同様に、フェルラ酸を飼育水あるいは餌料中へ添加することにより、これらの養殖魚類及び養殖甲殻類を元気づけると共に、それらの成長を促進し、ひいては各魚類、甲殻類に特有の疾病を予防もしくは治療し、又はこれらの疾病原因菌が殺菌されることを確認した。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、淡水及び海水魚類並びに甲殻類等の疾病、特に、尾腐れ病及び綿吹き病の原因となる微生物に対する抗菌剤が提供される。
特に、フェルラ酸は、尾腐れ病及び綿吹き病の原因菌に対する強い成長抑制効果を有する。したがって、フェルラ酸を有効成分として含有する本発明の抗菌剤の養殖業への使用は、現在の日本近海の養殖業に大きな福音をもとらすことが期待される。
【0040】
フィチン酸、イノシトール及びオリザノールについては、上記実施例において用いた条件下では、フェルラ酸ほどの効果ではなかったが、対照との有意な差が認められた。したがって、フィチン酸、イノシトール及びオリザノールについては、時と場合、すなわち使用コスト、使用魚類や甲殻類の種類等によって使い分けることができると考えられる。
【0041】
本発明の抗菌剤を用いることにより、罹病魚類を治療し、当該魚類の健康状態を改善し、成長を促進させ、再度罹病しにくくすることができる。すなわち、本発明の抗菌剤は、魚類の罹病を治療すると共に予防することもできるものである。
【0042】
更に、本発明の抗菌剤の有効成分であるフェルラ酸、フィチン酸、イノシトール及びオリザノールは、現在その用途に乏しい米糠からも容易に入手することができる。したがって、本発明の抗菌剤は、資源を有効に利用しつつ魚類等の疾病を予防、治療することができるという、いわば一石二鳥の効果を奏することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、フェルラ酸、フィチン酸、オリザノール及びイノシトールの尾腐れ病菌に対する成長抑制効果を表すグラフである。
【図2】図2は、尾腐れ病菌に対するフェルラ酸の成長抑制効果を表すグラフである。
【図3】図3は、金魚から単離した尾腐れ病菌に対するフェルラ酸、フィチン酸、オリザノール及びイノシトールの成長抑制効果を表すグラフである。
【図4】図4は、金魚から単離した尾腐れ病菌に対するフェルラ酸の成長抑制効果を表すグラフである。
【図5】図5は、綿吹き病菌に対するフェルラ酸、フィチン酸、オリザノール及びイノシトールの成長抑制効果を表すグラフである。
【図6】図6は、尾腐れ菌に罹病した金魚にフェルラ酸を投与したときの金魚の摂餌量を表すグラフである。
【図7】図7は、尾腐れ菌に罹病した金魚にフェルラ酸を投与したときの金魚の体重増加率を表すグラフである。
【図8】図8は、尾腐れ菌に罹病した金魚にフェルラ酸を投与したときの金魚の治癒率を表すグラフである。

Claims (6)

  1. フェルラ酸を有効成分として含有することを特徴とする、淡水魚類、海水魚類または甲殻類の尾腐れ病または綿咲き病の予防または治療剤。
  2. フェルラ酸を有効成分として含有することを特徴とする、ビブリオナセア科(Vibrionaceas)に属するアエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)に起因する淡水魚類、海水魚類または甲殻類の尾腐れ病またはミズカビ科(Saprolegniaceae)に属するサプロレグニア・パラシティカ(Saprolegnia parasitica)に起因する淡水魚類、海水魚類または甲殻類の綿咲き病の予防または治療剤。
  3. 淡水魚類、海水魚類または甲殻類の尾腐れ病または綿咲き病の予防または治療のための方法であって、尾腐れ病または綿咲き病に罹る可能性があるかまたは罹っている淡水魚類、海水魚類または甲殻類に、予防または治療に効果的な量のフェルラ酸を有効成分として投与する工程を含む方法。
  4. ビブリオナセア科(Vibrionaceas)に属するアエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)に起因する淡水魚類、海水魚類または甲殻類の尾腐れ病またはミズカビ科(Saprolegniaceae)に属するサプロレグニア・パラシティカ(Saprolegnia parasitica)に起因する淡水魚類、海水魚類または甲殻類の綿咲き病の予防または治療のための方法であって、尾腐れ病または綿咲き病に罹る可能性があるかまたは罹っている淡水魚類、海水魚類または甲殻類に、予防または治療に効果的な量のフェルラ酸を有効成分として投与する工程を含む方法。
  5. 請求項1または2に記載の予防または治療剤であって、該予防または治療剤が、前記有効成分と餌料の混合物の形態であり、前記有効成分が、0.05〜0.8%の濃度で餌料に混合されていることを特徴とする予防または治療剤。
  6. 請求項3または4に記載の予防または治療のための方法であって、前記有効成分が、0.05〜0.8%の濃度で餌料に混合されていることを特徴とする方法。
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