JP3814226B2 - 材料データの同定方法、強度予測評価システム、記録媒体、及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一部または全体に鉄鋼材料を用いて製造される部品または最終製品に使用される鋼板が例えば所定の工業規格に従って指定されている場合に、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の材料データの同定方法、強度予測評価システム、記録媒体、及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用鋼板などの加工用金属板の多くは、工業規格に基づいた商取引がなされている。工業規格は材料種類ごとに降伏強さ、引張強さ、伸び、更に場合によってはr値、穴広げ率、板厚の許容範囲を規定している。これら金属板から自動車等の所定強度を満足する製品を製造しようとする場合、これらの特性値を参考に強度設計を行い適切な材料種類を選択するが、目的とする製品の強度は降伏強さ、引張強さ、伸び、r値、穴広げ率、板厚から、直接且つ定量的に推定できるものではない。製品形状や構造などにも影響されるため、これらを総合的に検討し最適条件を見極める必要がある。
【0003】
そのため、有限要素法(FEM)を用いた実用強度の予測評価を行い、実際の製品使用時に所定の強度要件を満足するように材料が選定され、製品形状や構造などが最適化される。
【0004】
降伏強さ、引張強さ、伸びは比較的簡単な機械試験により得られるため、各材料種類の許容範囲はこれらで規定されることが多い。しかしながら、これらの特性値は強度シミュレーション用の材料条件として直接入力されるものではない。材料の変形挙動は降伏強さ、引張強さ、伸びとは異なる別のパラメータを用いて表している。
【0005】
具体的には、材料の塑性異方性は異方性降伏関数で、加工硬化特性は加工硬化曲線でそれぞれ表現される。これらにはフィッティングパラメータが含まれており、材料による変形挙動の違いはこのパラメータの値として表される。例えば、加工硬化特性は引張試験により得られた応力−歪み曲線で知ることができるが、強度シミュレーションにおいては、これをいわゆるSwiftの式、
σ=c(ε0+εp)n
を用いて近似し、表現することが多い。この場合、材料による加工効果挙動の違いはパラメータc,ε0,nの値として表現される。
【0006】
従来では、このパラメータをその材料種類のなかの代表的な特性値をもつ材料から得ており、当該材料種類の強度はこの代表的な特性値に対応するパラメータを用いたシミュレーションで予測評価していた。「代表的な特性値」とは確率的には平均値に近いものになりがちである。即ち、ある材料種類の成形可否はその許容範囲内の(平均値近傍の)ある代表値に基づき判定されているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
大量生産による低価格化を成り立たせるため、現状の工業規格に基づく商取引では特性値が許容範囲内にあればそれを出荷しても問題ないことが前提とされている。従って、強度を予測評価しておく段階で材料パラメータとして平均値近傍の材料に基づく値を利用すると、実際に加工に供される材料が予測評価時の材料と同等以上の強度を示すとは限らないため、事前評価段階で予測していなかった不具合が実際の結構製品使用時に発生する危険性を伴う。
【0008】
これを防ぐためには、その規格許容範囲内で最も強度特性に劣る特性を有する材料で事前評価しておけばよい。ところが、最も強度特性に劣る特性の材料を狙って製造するのは容易ではない。最も強度特性に劣る材料とは降伏強さ、引張強さ及び伸びが下限となる材料であると考えられるが、これらの特性値の1つ以上が狙った限界値の通りになるように製造条件を制御するのは現実的には不可能に近いという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されている場合に、規格許容範囲内での材料のばらつきに対して安定して強度確保が可能であるか否かを正確に予測評価でき、事前に必要な対策を講じることで、製品としての強度不足を回避し、信頼性の高い鉄鋼製品を容易且つ確実に得ることを可能とする材料データの同定方法、強度予測評価システム、記録媒体、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0011】
本発明の材料データの同定方法は、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち、少なくとも1つが前記工業規格の許容範囲内の限界値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換し、当該第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する。
【0012】
本発明の材料データの同定方法は、鉄鋼製品に使用される鋼板の材料データを同定するに際して、前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち、少なくとも1つが前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した限界値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換し、当該第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する。
【0013】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記限界値をμ±kσとする。
【0014】
本発明の材料データの同定方法は、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち少なくとも1つが、前記工業規格の許容範囲内の第1の限界値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した第2の限界値のいずれか厳格な値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換し、当該第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する。
【0015】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記第2の限界値をμ±kσとする。
【0016】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記降伏強さ及び引張り強さが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換する。
【0017】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記降伏強さ及び引張り強さが前記限界値として下限値に一致するとともに、前記伸びが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換する。
【0018】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記指標が、前記降伏強さ、引張り強さ及び伸びに加えて、前記鋼板の板厚及びr値であり、前記降伏強さ、引張り強さ及び伸びが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換するとともに、前記板厚及びr値を前記限界値として下限値に一致させる。
【0019】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記第1のステップの前に、前記複数の指標を有する代表材を選定するステップを更に含み、前記代表材を選定するステップは、複数の前記指標をそれぞれ所定の基準値を用いて規格化し、規格化された前記指標の値が異なる複数の材料の平均ベクトルを算出し、複数の規格化された前記指標が張るベクトル空間において前記平均ベクトルとの距離が最も近いベクトルで表される材料を前記代表材とする。
【0020】
本発明の材料データの同定方法は、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップとを含む。
【0021】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記第1のステップの後、前記第2のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含む。
【0022】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記第2のステップの後、前記第3のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含む。
【0023】
本発明の材料データの同定方法は、鉄鋼製品に使用される鋼板の材料データを同定するに際して、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップとを含む。
【0024】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記第1のステップの後、前記第2のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含む。
【0025】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記第2のステップの後、前記第3のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含む。
【0026】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記限界値をμ±kσとする。
【0027】
本発明の材料データの同定方法は、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップとを含む。
【0028】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記第1のステップの後、前記第2のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの第2の下限値とのうち、大きい値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含む。
【0029】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記第2のステップの後、前記第3のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの第2の下限値とのうち、大きい値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含む。
【0030】
本発明の材料データの同定方法の一態様では、前記第1のステップの前に、前記複数の指標を有する代表材を選定するステップを更に含み、前記代表材を選定するステップは、複数の前記指標をそれぞれ所定の基準値を用いて規格化し、規格化された前記指標の値が異なる複数の材料の平均ベクトルを算出し、複数の規格化された前記指標が張るベクトル空間において前記平均ベクトルとの距離が最も近いベクトルで表される材料を前記代表材とする。
【0031】
本発明の強度予測評価システムは、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち、少なくとも1つが前記工業規格の許容範囲内の限界値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換する手段と、前記第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する手段とを含む。
【0032】
本発明の強度予測評価システムは、鉄鋼製品に使用される鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち、少なくとも1つが前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した限界値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換する手段と、前記第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する手段とを含む。
【0033】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記限界値をμ±kσとする。
【0034】
本発明の強度予測評価システムは、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち少なくとも1つが、前記工業規格の許容範囲内の第1の限界値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した第2の限界値のうち、厳格な値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換する手段と、前記第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する手段とを含む。
【0035】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記第2の限界値をμ±kσとする。
【0036】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記降伏強さ及び引張り強さが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換する。
【0037】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記降伏強さ及び引張り強さが前記限界値として下限値に一致するとともに、前記伸びが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換する。
【0038】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記指標が、前記降伏強さ、引張り強さ及び伸びに加えて、前記鋼板の板厚及びr値であり、前記降伏強さ、引張り強さ及び伸びが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換するとともに、前記板厚及びr値を前記限界値として下限値に一致させる。
【0039】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記実用強度の予測評価を行い、その結果を製品設計に反映させる。
【0040】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記複数の指標を有する代表材を選定する手段を更に含み、前記代表材を選定する手段は、複数の前記指標をそれぞれ所定の基準値を用いて規格化し、規格化された前記指標の値が異なる複数の材料の平均ベクトルを算出し、複数の規格化された前記指標が張るベクトル空間において前記平均ベクトルとの距離が最も近いベクトルで表される材料を前記代表材とする。
【0041】
本発明の強度予測評価システムは、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する手段と、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する手段と、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する手段とを含む。
【0042】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する手段を更に含む。
【0043】
本発明の強度予測評価システムは、鉄鋼製品に使用される鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する手段と、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する手段と、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する手段とを含む。
【0044】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する手段を更に含む。
【0045】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記下限値をμ−kσとする。
【0046】
本発明の強度予測評価システムは、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する手段と、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの第2の下限値のうち、大きい値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する手段と、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する手段とを含む。
【0047】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの第2の下限値のうち、大きい値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する手段を更に含む。
【0048】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記第2の下限値をμ−kσとする。
【0049】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記実用強度の予測評価を行い、その結果を製品設計に反映させる。
【0050】
本発明の強度予測評価システムの一態様では、前記複数の指標を有する代表材を選定する手段を更に含み、前記代表材を選定する手段は、複数の前記指標をそれぞれ所定の基準値を用いて規格化し、規格化された前記指標の値が異なる複数の材料の平均ベクトルを算出し、複数の規格化された前記指標が張るベクトル空間において前記平均ベクトルとの距離が最も近いベクトルで表される材料を前記代表材とする。
【0051】
本発明のプログラムは、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのものである。
【0052】
本発明のプログラムは、鉄鋼製品に使用される鋼板の材料データを同定するに際して、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのものである。
【0053】
本発明のプログラムは、鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのものである。
【0054】
本発明の記録媒体は、前記プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なものである。
【0084】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を鋼板の成形に適用した具体的な実施形態について説明する。
【0085】
−本発明の原理的説明−
初めに、本発明の主要原理について説明する。
【0086】
鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されている場合に、前記鋼板の降伏強さや引張り強さは材料の変形抵抗を示すが、これが小さいほど構造体として利用されるときの実用強度も当然小さくなる。ここで、鋼板の実用強度とは、鉄鋼材料を素材として製造される部品または最終製品の耐衝突性能などの実用上の強度をいう。
【0087】
伸びは一般的には鋼材の加工性を示す指標と考えられるが、構造体となったときの崩壊し難さにも影響を及ぼす。一般的に、加工硬化の大きいものほど、伸びが大きい。これは加工硬化が大きいほど、変形の局所化による崩壊に至り難いためである。従って、伸びが限界値として下限値となるような材料特性にてシミュレーションを行うほうが安全側の評価となる。
【0088】
即ち、降伏強さ、引張り強さ、伸び、板厚は許容範囲の下限値となるような特性を有した材料のパラメータが最も安全側の評価を与える。
【0089】
現在、一般に用いられている強度シミュレーション用ソフトでは板厚は、直接、その値を入力する。他方、伸び、降伏強さ、引張り強さは一般的にはパラメータとして直接入力するわけではない。これらの替わりに材料の真応力−真塑性ひずみの関係を表すパラメータを入力する。
【0090】
具体的には、前述のSwiftの式のパラメータc,ε0,nを用いられることが多い。
σ=c(ε0+εp)n
ここで、σとεpはそれぞれ真応力と真塑性歪みを示す。あるいは、有限要素法ソフトウェアによっては真応力−真塑性歪み曲線を近似する折れ線を入力するものもある。この場合、加工硬化率が高い領域ほど短い折れ線を用いたほうが近似の精度が高い。いずれにせよ、真応力−真塑性歪み曲線にフィッティングして求めるので、実用強度が下限となる材料の真応力−真塑性歪み曲線を知る必要がある。
【0091】
上述の場合、工業規格を利用する替わりに、鋼板の品質ばらつきの分布から降伏強さ、引張り強さ、伸び、板厚として限界値、ここでは下限値を算出するようにしても良い。具体的には、前記分布として正規分布を用い、品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、下限値をμ−kσとする。このようにして、実際に起こり得る状況に限定した安全予測を行うようにする。なお、品質ばらつきを可及的に低減する観点から、下限値に加え各種上限値を設定し、各々の上限値をμ+kσとしても好適である。
【0092】
また、工業規格と材料の品質ばらつきの分布とを併用しても良い。この場合、先ず工業規格の許容範囲内における降伏強さ、引張り強さ、伸び、板厚を第1の下限値とする一方、鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さ、引張り強さ、伸び、板厚を第2の下限値とする。そして、限界値として厳格な値、即ち下限値としては第1の下限値と第2の下限値とのうち大きい方の値を採用する。これにより、より正確で安全な成形の可否の基準を得ることが可能となる。なおこの場合でも、品質ばらつきを可及的に低減する観点から、下限値に加え各種上限値を設定しても好適である。この場合、工業規格の許容範囲内における第1の上限値と鋼板の品質ばらつきの分布から算出した第2の上限値(μ+kσ)とのうち小さい方の値を採用する。
【0093】
−具体的な諸実施例−
以下、本発明の具体的な諸実施例として、強度予測評価システムを用いた評価方法を示す。
【0094】
(実施例1)
上述のような真応力−真塑性歪み曲線を有する材料を確保し、実験を行うのは困難であるため、シミュレーションで推定することが必要である。この推定方法の具体的なアルゴリズムを図1に示す。この場合、▲1▼公称応力−公称塑性歪みの状態で変換するため、降伏強さ、引張り強さ、伸びが所定の条件を満足しているか否かの確認が容易であり、▲2▼塑性歪みと応力を独立に取り扱えるため変換則の決定が簡単である、という利点がある。
【0095】
図2は、表1に示す工業規格の各種鋼板のうち、JSC270Eという種類の材料として取引された鋼板を引張り試験に供して得られた公称応力−公称歪み曲線を示す特性図である。この材料の特性は表2に示す通りである。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
ここで、本例のように指標が多変数である場合には、前記引張り試験に供された鋼板のうちから最適な代表材を選定するため、以下のような手法を用いることが好適である。
【0099】
図3に示すように、例えば本例のように指標が、降伏強さ、引張り強さ、伸び、板厚、r値(r0,r45,r90)などである場合、先ず当該システムの手段1により、鋼材ごとにこれら指標の生データを取得する(ステップ11)。続いて、図4に示すように、手段12により、各指標をそれぞれ所定の基準値、例えば各指標のそれぞれの平均値を用いて規格化した後、鋼材(の材質)ごとに規格化したこれら指標をベクトル化し(図4では図示の都合上、指標として降伏強さと引張り強さのみを示す。ここでは便宜上、規格化していない指標値を示している。)、鋼材ごとの平均値μ、標準偏差σを算出する(ステップ12)。そして、手段13により、規格化したこれら指標が張るベクトル空間において、平均値との距離が最も近いベクトルで表される鋼材を代表材として選定する(ステップ13)。この選定法により、簡易且つ正確に所望の代表材の指標を得ることができる。
【0100】
鋼材の前記工業規格によると、JSC270Eのr値の下限は1.4であり、板厚の下限値は0.75mmである。これらは直接、強度シミュレーションに入力するパラメータである。一方、伸びの下限値は43%であり、降伏強さの下限値は120MPa、引張り強さの下限値は270MPaであるが、これらは、加工硬化曲線を示すパラメータとして入力される。
【0101】
そこで、本発明に従って以下のようにして実用強度下限材のパラメータを推定する。
先ず、図1のステップ1において、当該システムの手段1により、公称応力−公称歪み曲線(第1の応力−歪み曲線)を公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する。具体的には、図5に示すように、公称歪みから弾性歪みを除去した残りが公称塑性歪みである。
【0102】
次に、ステップ2において、手段2により、鋼材の伸びが下限値に一致するように、公称応力−公称塑性歪み曲線を水平方向に圧縮(a倍(但し、前記鋼板の伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。))する。具体的には、図5に示すように、43/52.5倍する。
【0103】
次に、ステップ3において、手段3により、鋼材の降伏強さ及び引張り強さが下限に一致するように、上述のように水平方向に圧縮した公称応力−公称塑性歪み曲線を垂直方向に圧縮(k倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。))する。具体的には、図5に示すように、降伏強さを与える公称塑性歪み値のときには120/135倍、引張り強さを与える公称塑性歪み値のときには270/295倍となるような公称塑性歪みの関数kを用いるが、ここではそのような関数として、
k=0.101e+0.889
を利用した。
【0104】
そして、図6に示すように、ステップ4において、手段4により、このようにして得られた公称応力−公称塑性歪み曲線を真応力−真塑性歪み曲線(第2の応力−歪み曲線)に変換する。
【0105】
更に、ステップ5において、手段5により、強度シミュレーションで用いる関数にフィッティングして材料パラメータを決定する。その結果として得られた材料パラメータの値を、もととなるデータから求めた材料パラメータの値とを表2で比較する。
【0106】
ここで、もとの材料試験データから求めた材料パラメータ(代表材)と、推定された下限値を満たす材料パラメータ(下限材)とを用いて行った強度シミュレーションの実験について述べる。
ここでは、図7に示すように、押し治具1を鉄鋼製品2の表面に対して8m/sの速度で押圧し、鉄鋼製品2にかかる荷重(kN)の経時変化と、鉄鋼製品2の吸収エネルギー(J)の経時変化とを調べた。前者を図8に、後者を図9にそれぞれ示す。図8及び図9の結果から、下限材では代表材に比して製品の曲げ強度が低下することがわかる。
【0107】
以上のように、本実施形態によれば、規格許容範囲内での材料のばらつきに対して安定して強度確保が可能であるか否かを予測評価でき、事前に必要な対策を講じることで、製品としての強度不足を回避することが容易となる。
【0108】
(実施例2)
実施例2では、工業規格を用いる替わりに、品質ばらつきの分布から各指標の下限値や上限値を算出する。
具体的には、先ず実施例1と同様に、図3のステップ11〜13により、前記引張り試験に供された鋼板のうちから最適な代表材を選定する。そして、鋼材の品質ばらつきについて図10のような正規分布を仮定し、降伏強さ、引張り強さ、伸び、板厚については下限値としてμ−3σを、諸々の上限値としてμ+3σをそれぞれ採用する。例えば、図10の例(JSC270F)のように指標が降伏強さであれば下限値をμ−3σ=126.7MPaとする。
【0109】
しかる後、図1のステップ1〜5により、鉄鋼製品を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価する。
【0110】
以上のように、実施例2によれば、品質ばらつきに正規分布を仮定することにより、安定して強度確保が可能であるか否かを予測評価でき、事前に必要な対策を講じることで、製品としての強度不足を回避することが容易となる。
【0111】
(実施例3)
実施例3では、工業規格に加えて、品質ばらつきの分布を併せて考慮し、各指標の下限値や上限値を算出する。
具体的には、先ず実施例1と同様に、図3のステップ11〜13により、前記引張り試験に供された鋼板のうちから最適な代表材を選定する。続いて、表1に示すような工業規格を利用して降伏強さ、引張り強さ、伸び、板厚について第1の下限値を用いる。これに加えて、鋼材の品質ばらつきについて図11のような正規分布を仮定し、降伏強さ、引張り強さ、伸び、板厚について第2の下限値としてμ−3σを用いる。
【0112】
そして、限界値として厳格な方の値、即ち第1の下限値と第2の下限値とで大きい値を採用する。図11の例(JSC270F)のように指標が降伏強さであれば、第1の下限値が110MPa、第2の下限値が126.7MPaであることから、より大きい第2の下限値を採用する。
【0113】
なお、品質ばらつきを可及的に低減する観点から、下限値に加え各種上限値を設定しても良い。この場合、工業規格を利用した第1の上限値と、鋼材の品質ばらつきの正規分布を利用した第2の上限値(μ+3σ)とのうち、厳格な値、即ち小さい方の値を採用する。
【0114】
しかる後、図1のステップ1〜5により、鉄鋼製品を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価する。
【0115】
以上のように、実施例3によれば、工業規格と品質ばらつきの正規分布とを併用し、より安定して強度確保が可能であるか否かを予測評価でき、事前に必要な対策を講じることで、製品としての強度不足を回避することが容易となる。
【0116】
なお、本発明による評価システムを構成する各機構、及び図1,図3に示した本発明による評価方法を構成する各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明の実施形態に含まれる。
【0117】
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、上記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の有線回線や無線回線等)を用いることができる。
【0118】
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全てあるいは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明の実施形態に含まれる。
【0119】
例えば、図12は、一般的なパーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。この図12において、1200はコンピュータPCである。PC1200は、CPU1201を備え、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶された、あるいはフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行し、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。
【0120】
上記PC1200のCPU1201、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶されたプログラムにより、本実施形態の手段1〜5等の各手段の機能や、ステップ1〜5等の手順が実現される。
【0121】
1203はRAMで、CPU1201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。1205はキーボードコントローラ(KBC)で、キーボード(KB)1209や不図示のデバイス等からの指示入力を制御する。
【0122】
1206はCRTコントローラ(CRTC)で、CRTディスプレイ(CRT)1210の表示を制御する。1207はディスクコントローラ(DKC)で、ブートプログラム(起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラム)、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)1211、及びフレキシブルディスク(FD)1212とのアクセスを制御する。
【0123】
1208はネットワークインタフエースカード(NIC)で、LAN1220を介して、ネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、あるいは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
【0124】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されている場合に、最も強度特性に劣る限界値となる材料パラメータを推定し、これを用いて実用強度の予測評価を行うことにより、規格許容範囲内での材料のばらつきに対して安定して強度確保が可能であるか否かを正確に予測評価でき、事前に必要な対策を講じることで、製品としての強度不足を回避し、信頼性の高い鉄鋼製品を容易且つ確実に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】強度予測評価方法の具体的なアルゴリズムを示すフロー図である。
【図2】鋼板を引張り試験に供して得られた公称応力−公称歪み曲線を示す特性図である。
【図3】引張り試験に供された鋼板のうちから最適な代表材を選定する方法を示すフロー図である。
【図4】降伏強さと引張り強さを例として、各指標をベクトル化した様子を示すベクトル空間図である。
【図5】公称応力−公称塑性歪み曲線を示す特性図である。
【図6】強度シミュレーションに供される鋼板の真応力−真塑性歪み曲線を示す特性図である。
【図7】強度シミュレーションの実験の様子を示す模式図である。
【図8】強度シミュレーションの実験において、鉄鋼製品にかかる荷重の経時変化を示す特性図である。
【図9】強度シミュレーションの実験において、鉄鋼製品の吸収エネルギーの経時変化を示す特性図である。
【図10】実施例2において、品質ばらつきの正規分布を示す特性図である。
【図11】実施例3において、品質ばらつきの正規分布を示す特性図である。
【図12】一般的なパーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 押し治具
2 鉄鋼製品
Claims (44)
- 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、
前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、
前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち、少なくとも1つが前記工業規格の許容範囲内の限界値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換し、当該第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定することを特徴とする材料データの同定方法。 - 鉄鋼製品に使用される鋼板の材料データを同定するに際して、
前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、
前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち、少なくとも1つが前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した限界値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換し、当該第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定することを特徴とする材料データの同定方法。 - 前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記限界値をμ±kσとすることを特徴とする請求項2に記載の材料データの同定方法。
- 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、
前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、
前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち少なくとも1つが、前記工業規格の許容範囲内の第1の限界値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した第2の限界値のいずれか厳格な値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換し、当該第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定することを特徴とする材料データの同定方法。 - 前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記第2の限界値をμ±kσとすることを特徴とする請求項4に記載の材料データの同定方法。
- 前記降伏強さ及び引張り強さが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の材料データの同定方法。
- 前記降伏強さ及び引張り強さが前記限界値として下限値に一致するとともに、前記伸びが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換することを特徴とする請求項6に記載の材料データの同定方法。
- 前記指標が、前記降伏強さ、引張り強さ及び伸びに加えて、前記鋼板の板厚及びr値であり、
前記降伏強さ、引張り強さ及び伸びが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換するとともに、前記板厚及びr値を前記限界値として下限値に一致させることを特徴とする請求項7に記載の材料データの同定方法。 - 前記第1のステップの前に、前記複数の指標を有する代表材を選定するステップを更に含み、
前記代表材を選定するステップは、複数の前記指標をそれぞれ所定の基準値を用いて規格化し、規格化された前記指標の値が異なる複数の材料の平均ベクトルを算出し、複数の規格化された前記指標が張るベクトル空間において前記平均ベクトルとの距離が最も近いベクトルで表される材料を前記代表材とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の材料データの同定方法。 - 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップと
を含むことを特徴とする材料データの同定方法。 - 前記第1のステップの後、前記第2のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の材料データの同定方法。
- 前記第2のステップの後、前記第3のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の材料データの同定方法。
- 鉄鋼製品に使用される鋼板の材料データを同定するに際して、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップと
を含むことを特徴とする材料データの同定方法。 - 前記第1のステップの後、前記第2のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含むことを特徴とする請求項13に記載の材料データの同定方法。
- 前記第2のステップの後、前記第3のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含むことを特徴とする請求項13に記載の材料データの同定方法。
- 前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記限界値をμ±kσとすることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の材料データの同定方法。
- 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップと
を含むことを特徴とする材料データの同定方法。 - 前記第1のステップの後、前記第2のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの第2の下限値とのうち、大きい値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の材料データの同定方法。
- 前記第2のステップの後、前記第3のステップの前に、前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの第2の下限値とのうち、大きい値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する第4のステップを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の材料データの同定方法。
- 前記第1のステップの前に、前記複数の指標を有する代表材を選定するステップを更に含み、
前記代表材を選定するステップは、複数の前記指標をそれぞれ所定の基準値を用いて規格化し、規格化された前記指標の値が異なる複数の材料の平均ベクトルを算出し、複数の規格化された前記指標が張るベクトル空間において前記平均ベクトルとの距離が最も近いベクトルで表される材料を前記代表材とすることを特徴とする請求項10〜19のいずれか1項に記載の材料データの同定方法。 - 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、
前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、
前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち、少なくとも1つが前記工業規格の許容範囲内の限界値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換する手段と、
前記第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する手段と
を含むことを特徴とする強度予測評価システム。 - 鉄鋼製品に使用される鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、
前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、
前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち、少なくとも1つが前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した限界値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換する手段と、
前記第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する手段と
を含むことを特徴とする強度予測評価システム。 - 前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記限界値をμ±kσとすることを特徴とする請求項22に記載の強度予測評価システム。
- 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、
前記鋼板の引張試験により得られた第1の応力−歪み曲線を用いて、
前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の規格上で材料の分類に用いられる特性要素である複数の指標である、降伏強さ、引張り強さ及び伸びのうち少なくとも1つが、前記工業規格の許容範囲内の第1の限界値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した第2の限界値のうち、厳格な値と一致するように、前記複数の指標を用いて、前記第1の応力−歪み曲線を第2の応力−歪み曲線に変換する手段と、
前記第2の応力−歪み曲線に基づいて材料パラメータを同定する手段と
を含むことを特徴とする強度予測評価システム。 - 前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記第2の限界値をμ±kσとすることを特徴とする請求項24に記載の強度予測評価システム。
- 前記降伏強さ及び引張り強さが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換することを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項に記載の強度予測評価システム。
- 前記降伏強さ及び引張り強さが前記限界値として下限値に一致するとともに、前記伸びが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換することを特徴とする請求項26に記載の強度予測評価システム。
- 前記指標が、前記降伏強さ、引張り強さ及び伸びに加えて、前記鋼板の板厚及びr値であり、
前記降伏強さ、引張り強さ及び伸びが前記限界値として下限値に一致するように、前記第1の応力−歪み曲線を前記第2の応力−歪み曲線に変換するとともに、前記板厚及びr値を前記限界値として下限値に一致させることを特徴とする請求項27に記載の強度予測評価システム。 - 前記実用強度の予測評価を行い、その結果を製品設計に反映させることを特徴とする請求項21〜28のいずれか1項に記載の強度予測評価システム。
- 前記複数の指標を有する代表材を選定する手段を更に含み、
前記代表材を選定する手段は、複数の前記指標をそれぞれ所定の基準値を用いて規格化し、規格化された前記指標の値が異なる複数の材料の平均ベクトルを算出し、複数の規格化された前記指標が張るベクトル空間において前記平均ベクトルとの距離が最も近いベクトルで表される材料を前記代表材とすることを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の強度予測評価システム。 - 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する手段と、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する手段と、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する手段と
を含むことを特徴とする強度予測評価システム。 - 前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する手段を更に含むことを特徴とする請求項31に記載の強度予測評価システム。
- 鉄鋼製品に使用される鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する手段と、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する手段と、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する手段と
を含むことを特徴とする強度予測評価システム。 - 前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの下限値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する手段を更に含むことを特徴とする請求項33に記載の強度予測評価システム。
- 前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記下限値をμ−kσとすることを特徴とする請求項33又は34に記載の強度予測評価システム。
- 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、前記鋼板を素材として用いた部品又は製品の実用強度を予測評価するシステムであって、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する手段と、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの第2の下限値のうち、大きい値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する手段と、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する手段と
を含むことを特徴とする強度予測評価システム。 - 前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称塑性歪み方向にa倍(但し、前記鋼板の破断伸びをebとし、前記工業規格の許容範囲内の伸びの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した破断伸びの第2の下限値のうち、大きい値をeb 1とすると、a=eb 1/ebである。)する手段を更に含むことを特徴とする請求項36に記載の強度予測評価システム。
- 前記分布が正規分布であり、前記品質ばらつきの平均値をμ、標準偏差をσ、kを0以上の実数として、前記第2の下限値をμ−kσとすることを特徴とする請求項36又は37に記載の強度予測評価システム。
- 前記実用強度の予測評価を行い、その結果を製品設計に反映させることを特徴とする請求項31〜38のいずれか1項に記載の強度予測評価システム。
- 前記複数の指標を有する代表材を選定する手段を更に含み、
前記代表材を選定する手段は、複数の前記指標をそれぞれ所定の基準値を用いて規格化 し、規格化された前記指標の値が異なる複数の材料の平均ベクトルを算出し、複数の規格化された前記指標が張るベクトル空間において前記平均ベクトルとの距離が最も近いベクトルで表される材料を前記代表材とすることを特徴とする請求項31〜39のいずれか1項に記載の強度予測評価システム。 - 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 鉄鋼製品に使用される鋼板の材料データを同定するに際して、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの下限値をsy 1、引張り強さをsu、前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの下限値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 鉄鋼製品に使用される鋼板が所定の工業規格に従って指定されており、
前記鋼板の引張試験により得られた公称応力−公称歪み曲線を、公称歪み値から弾性歪み値を減算することにより、公称応力−公称塑性歪み曲線に変換する第1のステップと、
前記公称応力−公称塑性歪み曲線を公称応力方向にk倍(但し、kは公称塑性歪みeの関数であり、前記鋼板の降伏強さをsy、前記工業規格の許容範囲内の降伏強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した降伏強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsy 1、引張り強さをsu、前記工業規格の許容範囲内の引張り強さの第1の下限値と前記鋼板の品質ばらつきの分布から算出した引張り強さの第2の下限値とのうち、大きい値をsu 1、引張り強さを与える公称塑性歪みをeuとすると、e=0のときk=sy 1/sy、e=euのときk=su 1/suである。)する第2のステップと、
得られた曲線の一様伸び以下の範囲のデータを真応力−真塑性歪み曲線に変換し、必要な材料パラメータを所定のフィッティングにより算出する第3のステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 請求項41〜43のいずれか1項に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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