JP3814142B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保型性、分散性、歯磨後のジュースの味を変えず、特に経時安定性に優れた口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、口腔用組成物の保型性や口腔内での分散性はカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等の通常良く用いられる粘結剤を配合することによって得られている。さらに、特開平5−58861号により、微粒化セルロースを配合させることによって、従来よりも良好な保型性を維持し、口腔内での分散性に優れた性質を有する口腔用組成物が提案された。しかしながら、この口腔用組成物では長期の保管により固液分離を生じることなど、実用上問題があり、また、界面活性剤としてアルキル硫酸ナトリウムが用いられており、これは、歯磨後のジュースの味を変えることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、結晶セルロースと特定の界面活性剤とを組合せて配合することにより、良好な保型性を維持し、口腔内での分散性に優れ、歯磨後のジュースの味を変えず、しかも長期保管中に固液分離を生じない口腔用組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は結晶セルロースと、アルキルグリコシドおよびベタインからなる群より選ばれる1種以上の界面活性剤とを含む口腔用組成物に関する。
本発明によれば、保型性、口腔内での分散性、歯磨後のジュースの味を変えず、特に経時安定性に優れた口腔用組成物を提供することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる結晶セルロースは、通常、商業的に入手できるものであれば特に制限しないが、結晶セルロースの平均粒径は10μm以下が好ましく、中でも2−6μmが最も好ましい。結晶セルロースの平均粒径が10μmを超えると口腔用組成物の口腔内での分散性が悪くなる。さらに結晶セルロースの配合量は口腔用組成物全量に対して0.2−10重量%が好ましい。結晶セルロースの配合量が0.2重量%より少ないと十分な保型性が得られず、一方10重量%より多いと口腔用組成物の粘性が大きくなりすぎるので好ましくない。
【0006】
本発明で用いる界面活性剤は、アルキルグリコシドまたはベタインであり、これらは1種だけでも2種以上を併用してもよい。界面活性剤の配合量は口腔用組成物全量に対して0.5−5重量%が好ましい。界面活性剤の配合量が0.5重量%より少ないと口腔用組成物の発泡性が小さくなり使用感が低下し、一方5重量%より多いと界面活性剤原料由来の味や臭いが無視できなくなるので好ましくない。
【0007】
これら界面活性剤のうち、本発明で用いるアルキルグリコシドは特に制限しないが、アルキル鎖長はC8−C16が好ましい。アルキル鎖長がC8より短いと苦味が生じ、一方C16より長いと発泡性が低下するので口腔用組成物としての使用が耐えがたくなることがある。この鎖長範囲に入る具体例としては、デシルグリコシド、ラウリルグリコシド、ミリスチルグリコシド等があり、PLANTACARE 1200、PLANTACARE 2000(コグニス)、Oramix NS10、Oramix NS26(SEPPIC)等が商業的に入手できる
さらに、本発明で用いるベタイン界面活性剤は特に制限しないが、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルベタインイミダゾリニウムベタイン等が挙げられ、苦みが小さいという観点から脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましい。また、脂肪酸アミドプロピルべタインの脂肪酸部分のアルキル鎖長はC8−C16が好ましい。C8より短いと苦味が生じ、一方C16より長いと発泡性が低下し、油味が生じることがある。この鎖長範囲に入る具体例としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン等があり、SWANOL(日光ケミカルズ)、オバゾリン(東邦化学)、リカビオン(新日本理化)、Tego−Betaine(Goldschmidt)、Empigen(Albright & Wilson)等の商品が挙げられる。
【0008】
本発明の口腔用組成物は練歯磨、潤性歯磨、液状歯磨、口腔用パスタ、ジェル、スプレー、泡などの剤型に調製することができる。本発明の口腔用組成物にはそれら剤型の相違により、それらの種類に応じた適宜な成分、例えば有効成分、発泡剤または洗浄剤、研磨剤、粘結剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、甘味料、pH調整剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0009】
有効成分としては、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム等の第四級アンモニウム塩や塩酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アレキシジン、酢酸アレキシジン、グルコン酸アレキシジン等のビグアニド系のカチオン性殺菌剤、トリクロサンやイソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化スズ、モノフルオルリン酸ナトリウム等のフッ化物、アミラーゼ、プロテアーゼ、リゾチーム、デキストラナーゼ等の酵素、ビタミンB、C、E等のビタミン類、カリウム塩等が挙げられる。
【0010】
また、発泡剤または洗浄剤としては、上記の界面活性剤以外に、N−アシルサルコシンナトリウム、N−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;N−アルキルジアミノエチルグリシン等の両イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0011】
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和物および無水物、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、不溶性メタリン酸ナトリウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、シリカゲル、沈降性シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
【0012】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム等のアニオン性粘結剤、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン等の非イオン性粘結剤や、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン性粘結剤が挙げられる。
【0013】
湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、キシリトール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0014】
保存剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、ベンゾエート、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0015】
香味剤としては、メントール、カルボン、オイゲノール、サリチル酸メチル、メチルオイゲノール、チモール、アネトール、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネール、α−テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、タイム、ナツメグ、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、ティーツリー油、バナ油等が挙げられる。
【0016】
甘味料としては、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、キシリット等が挙げられる。
【0017】
pH調整剤としては、クエン酸およびその塩、リン酸およびその塩、リンゴ酸およびその塩、グルコン酸およびその塩、マレイン酸およびその塩、アスパラギン酸およびその塩、グルコン酸およびその塩、コハク酸およびその塩、グルクロン酸およびその塩、フマル酸およびその塩、グルタミン酸およびその塩、アジピン酸およびその塩、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの成分は単独または2種以上を組合せて本発明の口腔用組成物に含ませることができる。
【0018】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに詳細するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中、%は特に断らない限り重量%である。
【0019】
表1に示した処方により、常法に従って各口腔用組成物を調製した。得られた各口腔用組成物の室温1ヶ月の経時安定性についてテストを行なった。結果を表1に示す。
評価基準
室温1ヶ月の経時安定性: ○ : 固液分離しなかった
× : 固液分離した
【0020】
【表1】
Figure 0003814142
【0021】
表1の結果より、界面活性剤にプルロニックF88を用いた比較例1−3において、ヒドロキシエチルセルロース配合量を増加させても、他の粘結剤であるキサンタンガムを併用しても、固液分離が生じた。また界面活性剤をHCO−60にしても固液分離を生じた。
【0022】
一方、実施例1−において、界面活性剤にラウリルグリコシド、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを用いた口腔用組成物は室温で1ヶ月保管しても固液分離は見られず、経時安定性が優れていた。
【0023】
実施例
以下の処方の口腔用組成物(練歯磨)を、常法に従い製造した。
成分名 配合量(%)
結晶セルロース(平均粒径3.7μm) 3.0
デシルグリコシド 2.0
無水ケイ酸 30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0
酢酸トコフェロール 0.05
フッ化ナトリウム 0.2
香料 1.0
サッカリンナトリウム 0.1
酸化チタン 0.3
ソルビット液 30.0
精製水 残部
得られた口腔用組成物は、保型性、口腔内での分散性、ジュースの味を変えない点、経時安定性に優れていた。
【0024】
実施例
以下の処方の口腔用組成物(練歯磨)を、常法に従い製造した。
成分名 配合量(%)
結晶セルロース(平均粒径3.7μm) 3.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 0.8
リン酸水素カルシウム 35.0
塩化セチルピリジニウム 0.1
ヒドロキシエチルセルロース 2.0
酢酸トコフェロール 0.05
モノフルオルリン酸ナトリウム 0.72
香料 1.0
サッカリンナトリウム 0.1
酸化チタン 0.3
濃グリセリン 15.0
精製水 残部
得られた口腔用組成物は、保型性、口腔内での分散性、ジュースの味を変えない点、経時安定性に優れていた
【0025】
施例
以下の処方の口腔用組成物(ジェル)を、常法に従い製造した。
成分名 配合量(%)
結晶セルロース(平均粒径3.7μm) 4.0
デシルグリコシド 1.0
フッ化ナトリウム 0.2
濃グリセリン 40.0
ポリエチレングリコール 5.0
プロピレングリコール 8.0
香料 1.0
サッカリンナトリウム 0.1
リン酸水素二ナトリウム 0.12
リン酸二水素ナトリウム 0.01
精製水 残部
得られた口腔用組成物は、保型性、口腔内での分散性、ジュースの味を変えない点、経時安定性に優れていた。
【0026】
実施例
以下の処方の口腔用組成物(ジェル)を、常法に従い製造した。
成分名 配合量(%)
結晶セルロース(平均粒径3.7μm) 5.0
ミリスチン酸アミドプロピルベタイン 0.5
テトラグリセリンラウリン酸エステル 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
濃グリセリン 30.0
ポリエチレングリコール 4.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
香料 1.0
サッカリンナトリウム 0.1
クエン酸水素二ナトリウム 0.12
クエン酸二水素ナトリウム 0.01
精製水 残部
得られた口腔用組成物は、保型性、口腔内での分散性、ジュースの味を変えない点、経時安定性に優れていた。
【0027】
【発明の効果】
本発明により、保型性、口腔内での分散性、歯磨後のジュースの味を変えずに、特に経時安定性に優れた口腔用組成物を提供することができる。

Claims (7)

  1. 平均粒径10μm以下の結晶セルロースと、アルキルグリコシドおよびベタインからなる群より選ばれる1種以上の界面活性剤とを含む口腔用組成物。
  2. 結晶セルロースを0.2−10重量%配合する請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. 界面活性剤がアルキルグリコシドである請求項1または2に記載の口腔用組成物。
  4. アルキルグリコシドのアルキル鎖長がC8−C16である請求項3に記載の口腔用組成物。
  5. 界面活性剤がベタインである請求項1または2に記載の口腔用組成物。
  6. ベタインが脂肪酸アミドプロピルベタインである請求項5に記載の口腔用組成物。
  7. 脂肪酸アミドプロピルベタインの脂肪酸部分のアルキル鎖長がC8−C16である請求項6に記載の口腔用組成物。
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