JP3813985B2 - 自動車車輪ホイールディスク及びその製造方法 - Google Patents
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Description
リムとこれに接続されているスポーク部とから成る自動車車輪ホイールディスクを自動車に取付ける場合、スポーク部は皿小ねじにより力結合でハブ又はブレーキドラムに接続される。定められており充分に大きいねじ長手方向力を発生するために、皿小ねじはスパナにより締付けられる。所要ねじ長手方向力の大きさはとりわけ、ねじの数、当接面の摩擦直径、接続部材と接続部材との間の摩擦係数、及び伝達する駆動トルク又は制動トルクとにより定められる。所要のねじ長手方向力には、車輪の回転の際にねじに作用する力を考慮して安全性付加値が付加される。
ねじ長手方向力により車輪の接続アイ又は陥没部がハブ又はブレーキドラムに締付けられる。陥没部の役割は、例えば塗油されたねじ又は大きすぎるねじ締めトルク等による誤使用によりねじ長手方向力が高すぎる値になっても、それに弾性抵抗で抗することにある。強すぎるねじ長手方向力により塑性的変形はねじ長手方向力の降下と、ひいては皿小ねじのゆるみにつながる。
接続アイの公知の実施の形態はねじ長手方向軸線でのそのばね剛性を、陥没部の周りに設けられているリング状の材料のたわみから得る。通常の金属板厚に対してばね剛性を高めるために構造的剛性化が公知である。1つの方法は、接続アイの半径方向で内側に位置する領域を内方へ折返すことにある。更にこの形状は、外方への簡単な折返しに対して皿ボルトへの接続面を拡げる利点を有する。例えばこれに関してMannesmann Kronprinz AGの車輪カタログ1990/1991の28頁、下半部を参照されたい。接続アイの従来の実施の形態の欠点は接続アイの剛性が、金属板厚と素材の材料強度とに大きく依存することにある。
米国特許第US−A−3664708号明細書から、異形材リムとこれに深底(ドロップセンタ)領域内で溶接を介して接続されているスポーク部とから成る車輪が公知である。皿小ねじを強く締付け過ぎて接続アイに亀裂を発生することを防止するために、接続アイの中に帽子のつば状のブッシュを設けることが提案された。ブッシュの帽子つば状に形成されている領域は、ハブ又はブレーキドラムに面する側に位置し、車輪の取付けの前に接続アイを貫通して差込まれなければならない。車輪の装着の後にホイールナットの締付けによりブッシュの前部領域の円錐形が形成される。この円錐形は接続アイの端縁領域に当接するが、この当接は、ブッシュのつば状領域の端面がハブ又はブレーキドラムに当接すると初めて行われる。この構造の欠点は、ブッシュを固定する円錐形が形成されていない場合、ブッシュを別個に製造しなければならず、これは車輪の取付けの際に簡単に接続アイから外れることがあることである。更にこの構成は、ハブ又はブレーキドラムに植込みボルトが配置されている車輪のみにしか適さない、何故ならばそうでない場合に通常行われる皿小ねじ固定ではブッシュは取付けの際に簡単に外れることがあるからである。更に別の欠点は、ブッシュがつねにただ1つの車輪タイプのみに適し、従って100の異なるタイプについて100の異なるブッシュを製造し貯蔵庫に前もって保管しておかなければならないことである。更に混同することがあり、従って誤りのブッシュが取付けられることがある。更に別の欠点として、2つの部分から成る構成により少なくとも2つの設置間隙が残る。これは、ねじ長手方向力の安定性にとって非常に好ましくない。更に取付けの際にたわみばねが強く負荷される、何故ならばホイールナットによりブッシュの円錐形が形成されるからである。
フランス特許出願公開第FR−A−2539079号公報に特別の車輪ハブ構造が開示されている。ただ1つの図にスポーク部の領域を含む自動車車輪ホイールディスクの一部が示されている。スポーク部は、ねじ穴円の周縁に分散配置されており皿小ねじのねじ穴のために用いられる複数の接続アイが用いられる。接続アイは、円錐形に形成されている陥没部を有し、陥没部を包囲する領域は外方へ折返されている。接続アイの陥没部を包囲する領域はすべての横断面平面において、スポーク部の更に遠く離れて位置する領域に比してより厚い厚さを有する。直接的に陥没部に隣接する領域は最大の厚さを有し、この厚さは次いで丸みを帯びて隣接領域に移行する。この隣接領域は、スポーク部を形成するための丸形ブランクの最初の厚さにほぼ等しいほぼ同一のままの厚さを有する。
本発明の課題は、簡単な取付けにより自動車作動中の皿小ねじのゆるみが防止される、リムとこれに接続されている例えば軽金属から製造されたスポーク部から成る自動車車輪ホイールディスクを提供することにある。
この課題は請求項1の特徴部分に記載の特徴により解決される。有利な実施の形態及びこのような車輪の製造方法は従属項に記載されている。
本発明では、陥没部を包囲する領域は、工程に起因して通常、形成される先細りテーパに比して大幅により厚い厚さを有する。直接的に陥没部周縁に接続さる領域が最大の厚さを有し、この厚さは次いで半径方向で外方へ向かって連続的に減少し、次いで丸みを帯びて又は傾きが連続に隣接領域に移行する。この隣接領域は、スポーク部の製造のための丸形素材板の最初の厚さにほぼ等しいほぼ同一のままの厚さを有することを特徴とする。陥没部領域内の的確な褶曲により、たわみばねとして作用する接続アイの剛性が高められる。更に皿小ねじの締付けの際の陥没部の広がりに対する抵抗が増大される。これにより残りの金属板厚さを最小に低減できる、何故ならば弱い個所すなわち接続アイがこの提案に相応して、皿小ねじの誤った使用を考慮しても充分な剛性を有するからである。皿小ねじと陥没部との間に可及的最大の接触面を形成するために有利には厚さ増加は軸線方向で外方へ向かって行われる。しかしこの場合、定められている接続寸法による制限を考慮しなければならない。いずれにせよ接触面の拡大により皿小ねじと陥没部との間の面押圧は低減される。接続アイの提案される形成は、金属製のすべての車輪に適用できるが、しかしとりわけ軽金属製の車輪に適する、何故ならばこの材料はそれ自体より低い強度を有するからである。軽金属製車輪において弱い個所すなわち接続アイをより安全にするために1つの有利な実施の形態では、付加的に材料を軸線方向で内方へ向かって押圧し、これによりトーラス状リングを形成することが提案される。これにより接続アイのばね剛性は大幅に高められる、何故ならば周囲領域のたわみ成分の外に、圧縮ばねとして作用するトーラス状リングの剛性も加わるからである。この場合、皿小ねじの締付けの際にリングはハブ又はブレーキドラムにより支持される。螺合されていない状態ではトーラス状リングの端面は、ハブ又はブレーキドラムへの当接面に対して定められている間隙高さを有する。この間隙は、たわみばねと圧縮ばねとの間の遊びを調整するために、ひいては締付けトルクのねじ長手方向力を調整するために使用される。
このトーラス状リングの利点は、たわみ負荷される領域の塑性変形が低減され、リングの幾何学的形状を介してばね剛性が、使用材料の強度及び厚さとはほとんど無関係に調整できることにある。この場合、トーラス状リングがリング状溝又は丸みを帯びた凹部により包囲されていると有利であることが分かった。丸みを帯びた凹部は、とりわけスチール車輪に適する、何故ならばこれにより溝とリングとの移行領域内での亀裂の危険が低減されるからである。
提案される構造はとりわけ、金属板から製造された軽金属車輪において有利であるが、しかしスチール車輪又は鋳造軽金属車輪にも適する。本発明の陥没部の実施の形態は、できるだけ一体的な皿小ねじを得たいという自動車工業の希望にかなっているという重要な利点を有する。陥没部剛性が広い領域内で陥没部の高さと素材の最初の厚さとは無関係に調整できるからである。
本発明の自動車車輪ホイールディスクを製造する場合、従来の技術とは異なり、接続アイを形成する際に、打抜かれる材料の量が低減され、このようにして節約された材料は最適なプレス及び折返しにより、後に陥没部となる部分から隣接領域内へ褶曲を形成して押退けられる。とりわけ軽金属車輪の製造においてトーラス状リングを形成する場合、付加的に軸線方向プレスにより材料は軸線方向で内方へ向かって押圧される。
次に本発明をいくつかの実施の形態に基づいて図を用いて詳細に説明する。
図1は自動車車輪ホイールディスクの参考例を示す接続アイの領域内の部分横断面図、図2は本発明の第1の実施の形態を示す図1と同様の横断面図、図3は第1の実施の形態の図2と同様の横断面図、図4は皿小ねじ及びハブ又はブレーキドラムとの組合せたときの図2と同様の横断面図、図5aはスポーク部の外側の上面図、図5bは図5aのA−A切断線に沿って切断して示す断面図、図5cは図5bのB−B切断線に沿って切断して示す断面図である。
図1は横断面で自動車車輪ホイールディスクの参考例の接続アイ1の領域内の一部の参考断面図を示す。接続アイは、例えば60°の円錐の開き角度を有する円錐形に形成されている陥没部2を有する。接続アイ1は公知のように隣接領域3,4を越えて外方へ折返されている。スポーク部5のつながっている部分の一部が図示されている。本発明では、陥没部を包囲する領域6は、スポーク部5を形成する領域に比して大幅により厚い厚さを有する。直接的に陥没部2に接続する領域が最大の厚さを有し、次いで厚さは陥没部2の軸線7から見て半径方向で外方へ向かって連続的に減少し、次いで丸みを帯びて場合に応じて傾きが連続に隣接領域3,4に移行する。
接続アイ1の僅か下方に示されている破線又は実線は例として周方向で見て2つの接続アイ1の間に位置するスポーク部8の領域を示す。陥没部2の直接的に続く領域内の厚さ9は他の領域に比べて少なくとも15%有利には25%より大きい割合で、スポーク部5を形成する領域の厚さ10に比してより厚い。陥没部領域内の本発明の材料の褶曲は、接続アイ1の剛性を高めることとならんで皿小ねじとの接触面11を拡げり作用も有する(これに関連して図4も参照)。この理由から厚さの増加は有利には軸線方向で外方へ向けられ、しかし矢印12により示されている所定の接続アイの寸法は守らなければならない。
図2は図1と同一の横断面で、第1の実施の形態を示し、同一部分は同一参照番号により示されている。図1と異なり接続アイ1は付加的に、内方へ向けられているトーラス状リング13を有し、リング13は半径方向で内方ねじ孔15の円筒形部分14により制限され、ねじ穴15の延在長は本発明では、隣接領域3,4の軸線方向に位置する材料厚16,17に比して長いこともある。トーラス状リング13の端面18は、半径方向で外側に位置する当接面19に対して、ねじ締めされていない状態では所定の間隙高さ20を有し、間隙高さ20により、圧縮ばねとして作用するリング13の設置点は、たわみばねとして作用する周囲領域3,4に対して適合調整されることが可能である。トーラスリング13のばね剛性は実質的に、ばねとして用いられる材料体積により定められ、材料体積は例えばリング溝21の幅及び深さにより定めることができる。取付け及び後続の皿小ねじ24のねじ締めにおいてまず初めに、半径方向で外側に配置されている当接面19がハブ25の接触面26に当接する(図4)。この場合、皿小ねじ24のねじ締めトルクを、通常は自動車メーカにより定められている値まで増大する際、半径方向で内側に位置する当接面22は、ハブ25の接触面26に当接したままである(図4参照)。この時点から接続アイ1の周囲領域3,4はたわみばねとして作用し、この作用は、端面18がハブ25の接触面に接触し、トーラス状リング13が付加的に圧縮ばねと作用するまで続く。図2に示されている実施の形態は有利には軽金属車輪に向けて、弱い個所で材料に起因する小さい強度を接続アイ1が補償するために、使用される。
図3は図2と同一の横断面で本発明の領域の第2の実施の形態を示す。この場合も同一部分は同一参照番号により示されている。図2と異なり陥没部23は球状に形成されている。接続アイ1の本発明の実施の形態の基本的配置及び動作は、前述と同様である。しかしリング13から隣接領域3,4への移行部は少し異なる。明瞭なリング溝21(図2)の代りにこの実施の形態ではある程度丸みを帯びた凹部27が設けられている。有利にはこの実施の形態は鋼製車輪において使用される。
図4は実施の形態の面では図2と同一であるが、しかしスポーク部5の本発明の接続アイと皿小ねじ24及びハブ又はブレーキドラム25との共働を示す。図示の状態は、半径方向で外側に位置する当接面19がハブ25の接触面26に接触しているが、しかしまだねじ長手方向力が作用していない時点を示す。ドライバ又はスパナにより皿小ねじを実際に締付けると初めて、個々の面領域がハブ25の接触面26と段階的に接触する。
図5a〜5cには本発明の自動車車輪ホイールディスクの平面図及び2つの断面図が示されている。部分図5aはスポーク部5の外側を示す。接続アイ1′の実施の形態は実質的に図3と同様である。部分部5aで明瞭に分かるのは、明瞭な当接面30,31である。本発明では、半径方向で外側に位置する当接面31はそれぞれの接続アイ1′にできるだけ接近されている。この構成形態により皿小ねじ24は負荷を軽減される。皿小ねじ24と作用する当接面31との間の間隔は短く、これによりたわみレバーアームは短縮されるので、皿小ねじ24の所望の負荷軽減が得られる。
Claims (6)
- リムとこれに接続されているスポーク部(5)とから成る自動車車輪ホイールディスクであって、
前記スポーク部は、ねじ穴円の周縁にわたり分散配置されており皿小ねじ(24)のねじ穴のために形成されている複数の接続アイ(1,1′,1″)によりハブ(25)又はブレーキドラムに固定され、前記接続アイ(1,1′,1″)は球状又は円錐状に形成されている陥没部(2,23)を有し、前記陥没部(2,23)を包囲する領域は、ハブ(25)からみて外方へ折返され、前記スポーク部(5)にはハブ(25)又はブレーキドラムの接触面(26)に当接するように形成されている当接面(19)が周縁にわたり分散配置されており、前記接続アイ(1,1′,1″)の前記陥没部(2,23)を包囲する領域(6)が、前記陥没部(2,23)の軸線(7)の周りのすべての横断面平面の中で、前記接続アイ(1,1′,1″)から更に遠く離れて位置し、前記スポーク部(5)を形成する領域(3,4)に比して厚い厚さを有し、直接前記陥没部(2,23)に隣接する領域が最大の厚さ(9)を有し、最大の前記厚さ(9)から前記陥没部(2,23)の軸線(7)から見て半径方向で外方へ向かって連続的に減少して、前記スポーク部(5)を形成するための丸形素材板の最初の厚さにほぼ相応するほぼ同一のままの厚さ(10)を有する領域(3,4)に移行する自動車車輪ホイールディスクにおいて、
前記スポーク部(5)に、前記ハブ(25)又はブレーキドラムの方向へ向かって厚さが増加する厚さ増加部を設け、該厚さ増加部は前記ハブ(25)又はブレーキドラムの方向へ延びるトーラス状リング(13)を形成し、
前記トーラス状リング(13)が前記ハブ(25)又はブレーキドラムの接触面(26)に接触して、調整可能なばね剛性を有する圧縮ばねを形成し、前記ばね剛性が周囲領域(3,4)のたわみに起因するばね剛性に加わって付加的に作用し、前記トーラス状リング(13)は、ねじ締めされていない状態では前記ハブ(25)又はブレーキドラムに対して間隙(20)を有し、前記間隙(20)の大きさにより、たわみばねに対する圧縮ばねの設置点を定めることができることを特徴とする自動車車輪ホイールディスク。 - 圧縮ばねとして作用するトーラス状リング(13)のばね剛性が、ばね作用のために用いられる材料体積の量及び形成により円板材料の初期厚さ及び剛性とは無関係に調整できることを特徴とする請求項1に記載の自動車車輪ホイールディスク。
- トーラス状リング(13)の周りにリング状溝(21)が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車車輪ホイールディスク。
- トーラス状リング(13)の周りに、丸みを帯びて外方へ向かって平に延在する陥没部(27)が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車車輪ホイールディスク。
- ねじ穴(15)の円筒形部分区間(14)の延在長が、隣接領域(3,4)の軸線方向に位置する材料厚(16,17)に比してより長いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車車輪ホイールディスク。
- スポーク部が、半径方向で外側に位置する側にも半径方向で内側に位置する側にも、周縁に分散配置されている当接面(30,31)を有し、半径方向で外側に位置する前記当接面(31)の端部は内側に位置する前記当接面(30)の端部に比べて接続アイ(1′)の近くに配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車車輪ホイールディスク。
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