JP3813647B2 - タッチパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標入力手段として及び押圧位置検出手段として用いられるタッチパネルに関し、特に抵抗膜式のタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
抵抗膜式タッチパネルは、2つの対向する基板の対向内面に抵抗膜を形成し、両抵抗膜両端に設けた電極を通じて、両抵抗膜に交互に外部から給電すると共に、押圧による2つの抵抗膜の接触位置に相当する電気信号を、非給電側の電極を通じて外部に出力するという原理を利用している。
【0003】
図8は、従来のタッチパネル100の構成を示す組立図である。
本図に示すように、操作者の手指等が直接接触するタッチ側基板101は、透明なある程度の柔軟性を有する絶縁性部材、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなり、その裏面にはITO(酸化インジウム・スズ)等がスパッタリングや真空蒸着等の方法により付着されて矩形の抵抗膜101aが形成される。
【0004】
一方、上記タッチ側基板101に対向配置される非タッチ側基板102は、無機ガラス等からなり、その上面にはタッチ側基板101の抵抗膜101aと同様な矩形の抵抗膜102aが形成される。抵抗膜101aのY方向の対辺および、抵抗膜102aのX方向の対辺には、銀ペーストからなる帯状の電極101b,101c、および電極102b,102cがそれぞれ設けられる。各電極101b,101c,102b,102cは、タッチパネル100の接続部103に対応する位置まで延設されて各端部が1箇所にまとめられ、リード線104の接続に便利なようになっている。
【0005】
リード線104はFPC(フレキシブルプリント基板)からなり、その4本の導線104a,104b,104c,104dが、それぞれ電極102b,101b,101c,102cに接続される。
図9は、タッチパネル100組立後の、例えば電極101bとリード線104の導線104bとの接続の様子を示す部分縦断面図である。導線104bは導電ペースト105により電極101bに接続された後、タッチ側基板101と非タッチ側基板102との間に挟持して固定するようになっている。
【0006】
タッチ側基板101と非タッチ側基板102の間には、絶縁性の部材で形成された絶縁スペーサ106が介在され、これをタッチ側基板101と非タッチ側基板102で挟持して、抵抗膜101aと抵抗膜102aが直接接触しないようになっている。
このように形成されたタッチパネル100において、図10に示すようにタッチ側基板101の所定位置を上部からペン107の先端などで押圧(タッチ)すると、その部分の隙間106aを介して抵抗膜101aと抵抗膜102aが一点Pで接触し、リード線104(図8)から所定の電気信号を得て押圧場所の位置情報を公知の技術によって得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来のタッチパネル100の構成ではリード線104がタッチパネル100の側面から直接引き出されているため、タッチパネル100の取扱い中にリード線104と各電極101b,101c,102b,102cとの連結部分が断線することが多かった。特にタッチ側基板101は樹脂シートで形成され、各電極が銀ペーストからなっているので、電極自体が強固とはいい難く、しかもリード線104の導線104b,104cは、固定力の弱い導電ペーストで当該電極に接続されてタッチ側基板101と非タッチ側基板102で挟持されることとなるので、リード線104に少し強い力が加わるとこの接続部で断線することがあり、そのため取扱いに十分の注意を要していた。また、装置への取付時のみならず、尖ったペン先による頻繁なタッチ入力がなされたりすることによりタッチ側基板101の表面が損傷して、タッチパネル100の交換が必要となる場合があり、この際にも十分な注意が要求され、ユーザ側でのメンテナンスも煩雑なものであった。
【0008】
本発明は、上述のような問題点を解消するためになされたものであって、取扱いが容易であって、しかも量産性の高いタッチパネルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に係るタッチパネルは、非押圧時に離隔し、押圧時に対向内面を接触させる状態で配された2つの基板の対向内面に、それぞれ抵抗膜が形成され、両抵抗膜の両端に設けられた電極を通じて両抵抗膜に交互に給電すると共に、押圧時における両抵抗膜の接触位置に相当する電気信号を非給電性電極から取り出すようにしたタッチパネルにおいて、前記2つの基板は、それぞれ同じ位置に2つずつ貫通孔が形成されると共に、当該2つの基板間の前記貫通孔が設けられている位置には絶縁性のスペーサが介設され、前記各電極と電気的に接続された導電膜が、当該電極の設けられている基板と同一基板に設けられた各貫通孔の抵抗膜側の開口部を覆う位置まで延設されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、前記貫通孔が、抵抗膜形成位置より外方の基板部分に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2のタッチパネルにおいて、2つの基板のうち少なくとも一方の基板は、貫通孔を形成するためのピンをあらかじめ内部に立設した金型内に樹脂を注入して形成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を具体的に説明する。
(参考例)
図1は、本発明の参考例に係るタッチパネル1の要部を示す部分縦断面図であり、図2は当該タッチパネル1の組立ての様子を示す図である。
【0014】
図1において、タッチ側基板である絶縁性シート2の裏面にはITOがスパッタリングされて矩形の抵抗膜2aが形成される。当該絶縁性シート2は、透明性、耐傷性、耐薬品性、耐熱性に優れた樹脂で形成されるのが望ましく、従来例で示したPETのほか、ポリメチルメタアクリレートなどでもよい。
一方の非タッチ側基板であるガラス板3の上面にも同様な方法によって矩形の抵抗膜3aが形成される。そしてガラス板3の周縁部には接続部5を形成するため貫通孔4a,4b,4c,4dが設けられている。
【0015】
電極の構成は、従来例とほぼ同じである。即ち、図2に示すように抵抗膜2aのY方向の対辺および、抵抗膜3aのX方向の対辺には、帯状の電極2b、2cおよび電極3b,3cがそれぞれ銀ペーストによって形成されている。それぞれの電極2b,2c,3b,3cは、タッチパネル1端部の接続部5に対応する位置まで延設される。
【0016】
上記絶縁性シート2とガラス板3との間には絶縁スペーサ6が配設され、当該絶縁スペーサ6を介して上記絶縁性シート2およびガラス板3をその抵抗膜2a,3aが対抗するようにして重ね合わせて、その周縁部を図示しない固定具、例えばアルミシャーシなどで固定したり、接着剤を塗布して密着固定させる。
各貫通孔4a,4b,4c,4dには 接続剤として銀ペーストなどの導電ペースト8を流し込んだ後、凹型(雌型)の接続金具7が埋設され、それぞれ電極2b,2c,3b,3cと電気的に接続される。これにより抵抗膜2a,3aからの電気信号が、タッチパネル1の側面から直接リード線を引き出すのではなく、他の凸型接続金具を上記凹型接続金具7に接続するなどして裏面から容易に取り出されるので、タッチパネル内部での断線のおそれがなくなり、装置への取付時やメンテナンス時などにおける取扱が極めて容易になった。
【0017】
なお、貫通孔4a,4b,4c,4dは、タッチパネル1の抵抗膜2a,3aから電極2b,2c,3b,3cを介して外部に電気信号を導出するための接続部を形成するものであって、一般に多層プリント配線板における配線板間を導通せしめるスルーホールとは異なる。
以下に上記タッチパネル1の製造方法の参考例を詳細に説明する。
【0018】
まず、非タッチ側基板として、例えば厚さ1.0mm、横100mm、縦150mmのガラス板と、タッチ側基板として、例えば厚さ0.188mm、横100mm、縦150mmのPETフィルムをそれぞれの原板から切り出して、ガラス板3および絶縁性シート2を形成する。そしてガラス板3の周縁部に直径1.5mmの貫通孔を3mmピッチで4個NCドリルで穿設する。
【0019】
次にガラス板3の周縁から5mm内の貫通孔4a,4b,4c,4dを含む周縁部をマスクして当該周縁部内側全面にITOをスパッタリングして抵抗膜3aを形成する。同様に絶縁シート2の裏面にも周囲5mmをマスクしてITOをスパッタリングし抵抗膜2aを形成する。
そして、ガラス板3の抵抗膜3aの表面に図3に模式的に示すように紫外線硬化型のアクリル系樹脂の直径30μm、高さ10μmのドット6aを3mmピッチに格子状に配置し、その後紫外線を所定時間照射して絶縁スぺーサ6を形成する。
【0020】
次に絶縁性シート2およびガラス板3のそれぞれ周囲部分に、抵抗膜2aのY方向の対辺、および抵抗膜3aのX方向の対辺にそれぞれ接すると共に各貫通孔4a,4b,4c,4dに対応する位置まで延びる延設部を有する電極を銀ペーストによって幅3mmの帯状に形成し、電極2b,2c,3b,3cとする(図2参照)。
【0021】
その後、絶縁スぺーサ6に対向させて絶縁性シート2をセットし、その周縁部をアルミシャーシで固定し、貫通孔4a,4b,4c,4dの開口部が上になるようにタッチパネル1を裏返して、当該貫通孔4a,4b,4c,4dに銀ペーストなどの導電ペースト8を注入した後、凹型の接続金具7を埋設し前記電極2b,2c,3b,3cとそれぞれ電気的に接続させて外部との接続部5を形成する。
【0022】
このようなタッチパネル1においては、従来のようにリード線をタッチパネルの側面から直接引き出すことなしに、しかも電気的に良好な接続を維持しながら抵抗膜2b,2c,3b,3cからの信号を外部に取り出すことができる。
当該タッチパネル1を、所定装置のインターフェースボードや液晶表示板などの前面に取り付ける場合には、取付ける装置の上記凹型接続金具7に対応する位置にインターフェースに接続された接続ピンを立設して、タッチパネル1取付時に当該接続金具7の凹部に嵌合するようにしておけば、タッチパネル1の取付とインターフェースへの接続がワンタッチで行えて非常に便利である。これにより、取扱時における接続部の断線のおそれが一切なくなって取扱が容易となり、しかも、タッチパネル1の側方部にはリード線もなくすっきりとしているので、装置全体も非常にコンパクトにまとめることができる。
【0023】
なお、本参考例において絶縁性シート2としてPETフィルムを使用したが、透明性、耐傷性、耐薬品性、耐熱性、強靭性に優れた絶縁性のシートであれば、他の部材で形成してもよい。但し、絶縁性シート2は、ペン又は指先で軽くタッチするだけで、絶縁性シート2の抵抗膜2aとガラス板3の抵抗膜3aが接触し、タッチ動作を解除すると直ちに復元する性質(以下、タッチ性と称する。)を有する必要がある。このようなタッチ性を有するためには、絶縁性シート3の厚さは、絶縁スペーサの間隔等にもよるが、約0.1mm〜0.25mmの間にある方が望ましい。
【0024】
また、非タッチ側の基板としては上述の無機のガラス板の他、後述の実施例で示すように有機ガラス板、すなわち樹脂板を使用してもよい。但し、タッチ動作の際に大きく変形してしまうと抵抗膜2a,3a同士の接触が不良となるので一定の剛性が要求される。そのため、樹脂板ならば厚さは一般に約0.3mmから5.0mmの間に設定される。
【0025】
また、貫通孔4a,4b,4c,4dは、上述の変形例の場合、NCドリルで断面形状が円形になるようになるように形成しているが、埋設する凹型接続金具7の形状にあわせ、必要に応じて、矩形や多角形の断面に形成される。
また、抵抗膜2a,3aは本実施例においては絶縁性シート2、ガラス板3の所定の面の全面に形成させた、いわゆるアナログ方式のタッチパネルの例を示したが、抵抗膜2a,3aをストライプ状に複数本形成してマトリックス方式のタッチパネルを形成してもよい。この場合には、もちろん当該ストライプ状の抵抗膜の数に応じて電極や貫通孔の数が増えることになる。
(実施例)
図4は、本発明に係るタッチパネルの実施例の要部を示す部分縦断面図である。
【0026】
本実施例においては、タッチ側の基板にも接続用の貫通孔を設けたことに特徴がある。
すなわち、タッチパネル10のタッチ側基板である絶縁性シート11の裏面には上記変形例と同様、矩形の抵抗膜11aと、この矩形の抵抗膜11aの一対の対辺に形成され、その一部がタッチパネル10の接続部15まで延びる帯状の電極11b、11cが形成されると共に、当該絶縁性シート11の周縁部の電極11b、11cの接続部15に対応する位置には2つの貫通孔12が設けられる。
【0027】
一方、非タッチ側基板は樹脂で形成され、この樹脂板13の上面にも矩形の抵抗膜13aとこの矩形の抵抗膜13aの一対の対辺(抵抗膜11aの電極11b,11cの形成された対辺とは直交する方向の対辺)に形成され、その一部がタッチパネル10の接続部15まで延びる帯状の電極13b、13cが形成されると共に、当該樹脂板13周縁部の、電極13b、13cの接続部15に対応する位置には2つの貫通孔14が設けられる。なお、上記貫通孔12と貫通孔14は絶縁スペーサ16を挟んでほぼ対称的に配置される。
【0028】
他の構成は、上記変形例とほぼ同様なので説明は省略する。
ところで、このように構成されたタッチパネル10の絶縁性シート11、樹脂板13は、金型を用いて射出成形法によって一挙に成形することが可能である。 この場合に使用される樹脂としては特に限定はないが、透明なタッチパネルにおいては、非タッチ側パネルの透明性は重要な要素であり、一般にこの透明性は、曇価が小さく(例えば、5%以下)、全光線透過率が大きい(例えば、80%)のものが要求され、このような透明性を有し、かつ射出成形が可能であればどのような樹脂でもよい。また、熱硬化性、熱可塑性の別を問わないが、熱硬化性樹脂の場合には、プレポリマの段階で射出した後、金型を加熱して硬化せしめるというステップが余分に必要となるので、熱可塑性樹脂の方が望ましい。
【0029】
また、当該樹脂は、前述の通りタッチ性やタッチ寿命等の点から硬度が高い方が望ましい。この硬度は、一般にロックウェル硬度で60以上、好ましくは70以上である。もちろん、耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的強度性においても優れていることが望まれる。
このような条件を満たす透明樹脂として、例えば、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリカーボネートとスチレンとのブロック共重合体、ポスチレン、ポリアリレート、アクリルニトリルとスチレンとの共重合ポリマ、スチレンとメチルメタアクリレートとの共重合ポリマ、ポリ塩化ビニル、ポリサルホン、ポリメチルペンテン、アクリル−イミド系ポリマ(例えば、住化ハーキュレス社製のケイマックス、三菱レーヨン社製のPMIレジン)、シンジオタクテックポリプロピンを主体とするグレンドポリマ、非晶性ポリエステル(例えば、イーストマンケミカル社のイースタ)等を挙げることができる。
【0030】
これらの樹脂は粘性が高いため、高透明度を維持して高精度に、かつ迅速に成形するのには、射出成形法が適している。
射出成形における諸条件は、注入される樹脂の種類に応じて一般に決定されるものであり、例えば、ポリメチルメタアクリレートを成形部材としてしようする場合には、予備乾燥を80〜95℃で4〜6時間行い。押出機のバレル温度220〜270℃、金型温度50〜90℃で射出成形する。その後金型を冷却手段により冷却する。
【0031】
なお、透明性樹脂は、一般に非晶質であるが、前述のポリマ中でシンジオタクテックポリプロピンを主体とするブレンドポリマは結晶質である。このような結晶質ポリマの場合は、金型への射出後、急冷するとか核剤を若干混合し成形することにより透明性を向上させることができる。
このような射出成形法により樹脂板13、絶縁性シート11を成形する場合の実施例を以下に具体的に説明する。
【0032】
図5は、射出成形用の金型20を示す縦断面図である。この金型20は、下金型21と上金型22により形成され、下金型21の凹部(キャビティ)に上金型22が嵌合して内部に空隙部23が形成される。樹脂板13を成形する場合、この空隙部23の大きさは、一般に必要な樹脂板13の寸法に注入樹脂の冷却時の収縮率を勘案して適宜設定されるが、本実施例の場合、当該空隙部23の大きさが、深さ3.0mm、縦100mm、横150mmになるように設定している。
【0033】
また、空隙部23の各内面には鏡面仕上げがなされている。
空隙部23内の、当該基板の貫通孔の位置には、ステンレス製のコアピン24(直径1.5mm、高さ4mm)が2本下金型21に立設され、コアピン24の上端部は上金型22の内側に設けられた嵌合穴25(直径1.53mm、深さ1.1mm)に嵌合支持される。
【0034】
上金型22には、金型20内に樹脂を注入するための注入孔26と空気抜用孔27が設けられ、また成形された樹脂板を下金型21から取り出しやすいように突出ピンを形成するための凹部(図示せず)が設けられている。
このような金型20は、図示しない射出成形機に接続され、当該金型20の温度を65℃、射出成形機の押出機のバレル温度を220〜260℃になるように温度制御した後、80〜95℃で4〜6時間十分予備乾燥したポリメチルメタアクリレートチップを押出機のバレル内に供給して溶融し、上金型22の注入孔26から圧入する。必要量を圧入した後、図示しない冷却手段により金型20を冷却する。当該樹脂が十分冷却した後、上下金型21、22を分離して内部成形物を取り出すことにより、厚さ2.95mm、縦99.8mm、横149.9mmの大きさで、直径1.48mmの2個の貫通孔を周縁に持った極めて平滑かつ透明性に富むポリメチルメタアクリレート製の樹脂板13が得られた。
【0035】
また、絶縁性シート11を成形する場合には、金型20として空隙部23の大きさが、深さ0.12mm、縦100mm、横150mmのものを使用し、これを射出成形機に接続する。そして、当該金型の温度を135℃、射出成形機のバレル温度320〜350℃に温度制御して、十分に予備乾燥したポリメチルメタアクリレートチップを射出成形機内に供給して溶融後、金型20内に圧入する。十分冷却後金型を分離して成形物を取り出すと、厚さ0.11mm、縦99.3mm、横149.5mmの、極めて平滑で透明な樹脂シートが得られた。
【0036】
このように射出成形により外形のみならず貫通孔も同時に製作する方法によれば、原板から必要寸法の樹脂を切り出して、その後貫通孔を穿設するというステップが一切不要となるので、全体的に製造時間の短縮が図れる。また、貫通孔穿設時に生じる削り屑やカットロスの発生もなくなる。
なお、このようにして形成された樹脂板は、最終的には透明タッチパネルとして組み立てられアルミシャーシ等で枠組みされるが、この枠組みステップを迅速かつ正確に行うため、樹脂板の周縁部に縁を設け、この縁に挿着用の突起を形成するように金型20の空隙部23の形状を形成しておけば、組立容易なスナップフィット式のタッチパネルを形成できる。
【0037】
このように、樹脂板13や絶縁性シート11を射出成形法により製造することにより、量産性を極めて向上させることができる。
さらに、金型20を複数個設けて適当な駆動手段(ランナー)により同時に開閉動作をするようにしておけば大量生産が可能である。また、金型の空隙部を形成するキャビテイとコアピンは金型20の可動側又は固定側のいずれに設けてもよいが、成形された基板の脱落等のおそれを除去するため固定側に設ける方が望ましい。
【0038】
ところで、このようにして形成されたタッチパネル10にインターフェースなどを接続する場合には、例えば以下に示すような挟持型接続具30を使用すれば便利である。
図6は当該挟持型接続具30の側面図を示し、図7は図6の矢印A方向から見た正面図である。この挟持型接続具30は、丁度クリップのような形状をしており、2本の揺動部材31、32が支軸33を中心に相互に揺動可能に軸支され、揺動部材31、32の各一方端部内側には、それぞれ一対の接点34、35が設けられる。これらの接点34、35は、後述の押圧バネ40の作用により、上記タッチパネル10の絶縁性シート11、樹脂板13のそれぞれに設けられた貫通孔12、14(図4)内に嵌挿され、電極11b,13bに当接する。
【0039】
各接点34、35は、それぞれ揺動部材31、32内に埋設された導線36、37を介して、同揺動部材31、32の他端部に埋設された雌型接続金具38、39に接続される。また、この揺動部材31、32は、押圧バネ40によって、対向配置された各一対の接点34、35が近接する方向に付勢されるようになっている。
【0040】
当該挟持型接続具30は、その雌型接続金具38、39に図示しない雄型接続具を嵌挿させることにより当該タッチパネル20が設置されるべき装置のインターフェース等に接続される。
従って、タッチパネル10を装置に組み込む際には、挟持型接続具30の接点34、35でタッチパネル10の貫通孔12、14部分を挟み込むことによって極めて容易に装置に接続することができ、交換作業も極めて容易になる。
【0041】
また、タッチパネル10に設けられた貫通孔12、14に変形例のように銀ペーストなどを注入して特に導電加工する必要がないので、製造ステップも簡略化される。
以上、本発明を実施例に基づいて説明してきたが、本発明のタッチパネルの構成は、上述の実施例に限定されるものではない。
【0042】
例えば、上記実施例において貫通孔に導電ペーストを介して凹型接続金具を埋設して導電部を形成するようにしてもよい。
なお、貫通孔の導電化に際しては、上述のように凹型接続金具を埋設する方法のみに限定されず、凸型(雄型)接続金具を埋設してもよいし、当該貫通孔内に導電ペーストのみ注入して、その頭が貫通孔表面に露出するようにして接点を形成するようにしてもよく、さらには、ニッケル等による無電解メッキやスパッタリング、ハンダの注入などの方法によることも可能である。
【0043】
また、上述の実施例においては、透明タッチパネルを前提として、タッチ側基板および非タッチ側基板として透明部材を使用しているが、CRTの画面等の前に設置して使用する必要のないタッチパネル、例えば表面に操作案内が描かれているものにおいては、特に透明部材を用いる必然性はない。
また、絶縁スぺーサは、非タッチ側基板の抵抗膜上に紫外線硬化性樹脂のドットをマトリクス状に分布させて形成させたが(図3)、絶縁スぺーサの構成はこのようなものに限られず、例えば予め複数の開口部がマトリクス状に形成された透明な樹脂シートをタッチ側基板と、非タッチ側基板の間に挟持するようにしてもよく、さらにはタッチパネル全体を軽く湾曲させ、その際タッチ側基板の曲率半径を非タッチ側基板の曲率半径より小さくしておけば、両抵抗膜間に自然に間隙が生じることとなり、これにより上記絶縁スペーサを省略することも可能である。要するに外部からの押圧がない状態で、タッチ側基板の抵抗膜と非タッチ側の抵抗膜が非接触の状態に保たれ、タッチ側基板に外部から押圧があったときに、上記抵抗膜が相互に接触するようにタッチ側基板と非タッチ側基板が対向配置されておればよく、絶縁スペーサは本発明の必須要件ではない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、タッチパネルを構成する2つの基板の同位置に、接続部を形成すべき貫通孔が形成されており、挟持型接続具でタッチパネルの当該貫通孔を挟み込むことによって容易に接続することができるので、この部分から外部の接続具を介して電気信号を取り出すことが可能になり、従来のように接続リード線がタッチパネル側面から直接引き出され、これにより取付や補修などの取扱い時に断線するようなおそれがなくなり、取扱いやメンテナンスが極めて容易になる。
【0047】
さらに、請求項2の発明によれば、接続部を形成する貫通孔が基板の抵抗膜形成位置より外方部に設けられているので、当該抵抗膜の形成に支障なく電極との接続部を形成できる。
また、請求項3の発明によれば、2つの基板のうち少なくとも一方の基板は、あらかじめ所定数のピンを内部に立設した金型に樹脂を注入して形成されるので、貫通孔を有する必要サイズの基板を一挙に得ることができ、軽量で、かつ大量生産に適したタッチパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るタッチパネルの参考例の要部の部分縦断面図である。
【図2】図1のタッチパネルの組立の様子を示す図である。
【図3】紫外線硬化型のアクリル系樹脂によって形成される絶縁スペーサの配列の様子を示す図である。
【図4】 本発明に係るタッチパネルの実施例の要部の部分縦断面図である。
【図5】樹脂板を射出成形する場合の金型の構成を示す縦断面図である。
【図6】図4のタッチパネルに接続するための挟持型接続具の構成を示す側面図である。
【図7】図6の挟持型接続具をA方向から見た正面図である。
【図8】従来のタッチパネルの構成を示す組立図である。
【図9】図8のタッチパネルのリード線との接続部を示す部分縦断面図である。
【図10】図8のタッチパネルの動作を説明するための縦断面図である。
【符号の説明】
1,10 タッチパネル
2,11 絶縁性シート
2a,3a,11a,13a 抵抗膜
2b,2c,3b,3c,11b,11c,13b,13c 電極
3 ガラス板
4a,4b,4c,4d,12,14 貫通孔
6 絶縁スペーサ
7 凹型接続金具
13 樹脂板
20 金型
30 挟持型接続具
31,32 揺動部材
34 接点
36 導線
38 雌型接続金具
Claims (3)
- 非押圧時に離隔し、押圧時に対向内面を接触させる状態で配された2つの基板の対向内面に、それぞれ抵抗膜が形成され、両抵抗膜の両端に設けられた電極を通じて両抵抗膜に交互に給電すると共に、押圧時における両抵抗膜の接触位置に相当する電気信号を非給電性電極から取り出すようにしたタッチパネルにおいて、
前記2つの基板は、それぞれ同じ位置に2つずつ貫通孔が形成されると共に、当該2つの基板間の前記貫通孔が設けられている位置には絶縁性のスペーサが介設され、前記各電極と電気的に接続された導電膜が、当該電極の設けられている基板と同一基板に設けられた各貫通孔の抵抗膜側の開口部を覆う位置まで延設されてなることを特徴とするタッチパネル。 - 前記貫通孔は、抵抗膜形成位置より外方の基板部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
- 前記2つの基板のうち少なくとも一方の基板は、前記貫通孔を形成するためのピンをあらかじめ内部に立設した金型内に樹脂を注入して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル。
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