JP3813361B2 - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関し、例えばテレビジョン受像機、ビデオテープレコーダー、テレビジョンカメラ、プリンタ等の画像処理装置に適用することができる。本発明は、各画素近傍所定範囲の特徴を示す特徴量を検出し、この特徴量による画像データの属する領域の判定結果に基づいて、補正係数を生成して画素値を補正することにより、例えば単板式固体撮像素子等の出力信号を処理対象として、部分的なコントラストの劣化を有効に回避して階調を補正することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレビジョンカメラ等の画像処理装置においては、撮像手段等の画像入力手段を介して得られる画像データの階調を補正して出力するようになされている。
【0003】
図18は、この階調補正の処理に適用される信号処理回路の入出力特性を示す特性曲線図である。この種の信号処理回路は、入力レベルlが所定の基準レベルlkより増大すると利得を低減する。これによりこの種の信号処理回路は、入力レベルが基準レベルlkより増大すると信号レベルを抑圧して出力し、この場合、信号レベルの高い部分のコントラストを犠牲にして階調を補正するようになされている。
【0004】
なおこの図18に示す特性曲線図において、横軸は画像データの入力レベルである画素値lを、縦軸は画像データの出力レベルである画素値T(l)を表わし、Lmaxは入出力画像の各画素が取り得る最大レベルを表わす。また以下において、この特性曲線図に示されるように入出力関係を示す関数をレベル変換関数と呼ぶ。
【0005】
また図19は、同種の信号処理回路の入出力特性を示す特性曲線図である。このレベル変換関数による信号処理回路は、入力レベルlが第1の基準レベルls以下のときと、第2の基準レベルlb以上のときとで利得を低減する。これによりこの信号処理回路は、信号レベルの低い部分と高い部分とのコントラストを犠牲にして階調を補正するようになされている。
【0006】
これに対してコンピュータを用いた画像処理等においては、例えばヒストグラムイコライゼーションにより階調を補正するようになされている。
【0007】
このヒストグラムイコライゼーションは、入力画像の画素値の頻度分布に応じてレベル変換関数を適応的に変化させる方法であり、画素値の頻度分布の低い部分の階調を低減することにより階調を補正する方法である。
【0008】
すなわち図20に示すように、このヒストグラムイコライゼーションの処理においては、入力画像の画素値lを基準にした画素数の集計である頻度分布H(l)に基づいて、次式の演算処理による累積頻度分布C(l)が検出される。
【0009】
【数1】
【0010】
ヒストグラムイコライゼーションの処理においては、このようにして検出された累積頻度分布C(l)を次式の処理により正規化することにより、レベル変換関数T(l)を定義し、このレベル変換関数T(l)に従って入力画像の信号レベルを補正するようになされている。なおここでFmaxは、累積頻度分布C(l)の最終値であり、Lmaxは、入出力レベルの最大値である。
【0011】
【数2】
【0012】
なおこのような階調を補正する処理は、画像データを伝送路で伝送する場合、表示装置に表示する場合、あるいは記憶装置に保存する場合等にあっても、例えばダイナミックレンジの抑圧等を目的として、必要に応じて適宜実行されるようになされている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述した従来手法による階調の補正処理においては、何れかの部分のコントラストを犠牲にして全体の階調を補正する処理である。これは何れの手法においても、不自然な画像が生成されるのを回避するため、単調増加性を有する入出力関数によってレベル変換するためである。
【0014】
従って従来手法による場合には、結局、処理された画像において部分的にコントラストが低下する問題があった。
【0015】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、例えば単板式固体撮像素子等の出力信号を処理対象として、部分的なコントラストの低下を有効に回避して階調を補正することができる画像処理装置及び画像処理方法を提案しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、画像処理装置又は画像処理方法において、各画素の近傍所定範囲の特徴を示す特徴量を順次検出し、この特徴量に基づいて画像データの属する領域を判定し、この判定結果に基づいて補正係数を生成して画像データの画素値を補正する。
【0017】
画像データの属する領域を判定し、この判定結果に基づいて補正係数を生成して画像データの画素値を補正すれば、同一領域内では同じ係数により画素値を補正して、領域内では画素値の大小関係を保持し、異なる領域に属する画素間では画素値の大小関係を逆転させることもでき、これにより部分的なコントラストの劣化を回避して全体の階調を補正することが可能となる。このとき各画素の近傍所定範囲の特徴を示す特徴量を順次検出し、この特徴量に基づいて画像データの属する領域を判定すれば、例えば単板式固体撮像素子の出力信号を直接処理対象として処理する場合に、輝度信号に重畳された色情報を失うことなく、階調を補正することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0019】
(1)第1の実施の形態
(1−1)第1の実施の形態の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るテレビジョンカメラを示すブロック図である。このテレビジョンカメラ1において、CCD固体撮像素子(CCD)2は、タイミングジェネレータ(TG)3の駆動により撮像結果を出力する。
【0020】
ここで図2に撮像面の正面図を拡大して示すように、このCCD固体撮像素子2は、いわゆる単板式の固体撮像素子であり、撮像面に補色一松様式の色フィルタが配置される。すなわちCCD固体撮像素子2は、イエロー(Ye)及びシアン(Cy)の色フィルタが画素単位で繰り返されて奇数ラインが形成されるのに対し、マゼンタ(Mg)及び緑(G)の色フィルタが画素単位で繰り返されて偶数ラインが形成される。
【0021】
これによりCCD固体撮像素子2においては、この種の撮像素子に付随する相関二重サンプリング回路より、図3に示すように、振幅変調されてなる色信号が順次時分割により輝度信号に重畳されてなるように撮像結果を出力する。
【0022】
このような撮像結果を出力するにつき、CCD固体撮像素子2は、ユーザーの設定による電荷蓄積時間により1/60〔秒〕周期で撮像結果を得、この撮像結果を通常露光による撮像結果VNとして出力する。さらにCCD固体撮像素子2は、これら通常露光による撮像結果VNの垂直ブランキング期間において、この通常露光による電荷蓄積時間に比して短い電荷蓄積時間による撮像結果を得、この撮像結果を短時間露光の撮像結果VSとして出力する。
【0023】
これにより図4に示すように、CCD固体撮像素子2においては、所定の入射光量以上においては、出力レベルが飽和してなる通常露光による撮像結果VN(図4(A))と、これより短い電荷蓄積時間により出力レベルが飽和していない短時間露光の撮像結果VS(図4(B))とを組にして出力する。
【0024】
メモリ4Nは、図示しない相関二重サンプリング回路、欠陥補正回路、アナログディジタル変換回路等を介して、この通常露光による撮像結果VNを入力し、この通常露光による撮像結果VNを一時保持して出力する。
【0025】
同様に、メモリ4Sは、図示しない相関二重サンプリング回路、欠陥補正回路、アナログディジタル変換回路等を介して、この短時間露光による撮像結果VSを入力し、この短時間露光による撮像結果VSを一時保持して出力する。
【0026】
加算回路5は、メモリ4Nに保持された通常露光による撮像結果VNと、メモリ4Sに保持された短時間露光による撮像結果VSとを加算することにより、広いダイナミックレンジで、かつ充分な画素値による撮像結果VTを出力し、レベル補正回路6は、この加算回路5による撮像結果VTにおいて実用上充分な直線性を確保できるように、メモリ4Sより出力される短時間露光による撮像結果VSの画素値を補正して出力する。
【0027】
これらによりテレビジョンカメラ1においては、従来に比して格段的に大きなダイナミックレンジによる撮像結果VT(図4(C))を生成するようになされている。
【0028】
階調補正回路8は、この撮像結果VTの画素値を補正することにより、この撮像結果VTの階調を補正して出力する。テレビジョンカメラ1においては、続く信号処理回路により(図示せず)、テレビジョンカメラに必要な各種信号処理を実行してこの撮像結果を外部機器等に出力し、このとき外部機器に対応するように撮像結果の画素値を一様に抑圧することにより撮像結果のダイナミックレンジを抑圧して出力する。
【0029】
特徴量フィルタ9は、このようにして得られる撮像結果VTより各画素値x(i,j)について特徴量を検出して出力する。ここで特徴量は、順次入力される撮像結果VTの各画素値x(i,j)について、この画素値x(i,j)による画素を中心にした所定の範囲の特徴を示すものである。この実施の形態において特徴量フィルタ9は、2次元の最大値フィルタが適用され、順次入力される撮像結果VTの各画素値x(i,j)について、この画素値x(i,j)による画素近傍所定範囲で画素値の最大値を検出し、この最大値xmax(i,j)を画素値x(i,j)における特徴量として出力する。
【0030】
すなわち特徴量フィルタ9は、次式の演算処理により順次入力される画素値x(i,j)を処理し、これにより特徴量xmax(i,j)を順次出力する。なお図5に示すように、この実施の形態では、ラスタ走査順に入力される撮像結果VTについて、水平方向を符号iによる添え字により、垂直方向を符号jによる添え字により示す。また次式において、maxは、所定の条件を満たすxの最大値を算出する関数であり、ここではこの条件が、画素値x(i,j)による画素を中心にしたM×N画素の範囲である。
【0031】
【数3】
【0032】
領域判定フィルタ10は、このようにして検出した特徴量xmax(i,j)を基準にして入力画像データの属する領域を判定し、その判定結果を出力する。このとき領域判定フィルタ10は、特徴量xmax(i,j)の平均値を検出し、これにより入力画像データが何れの平均輝度レベルの領域に属するか判定し、この平均値を識別信号として出力する。
【0033】
すなわち領域判定フィルタ10は、2次元のローパスフィルタであり、ラスタ走査の順序で順次入力される特徴量xmax(i,j)について、次式の演算式により表される低周波数成分r(i,j)を検出し、この低周波数成分r(i,j)を各領域の識別信号として出力する。
【0034】
【数4】
【0035】
なお(4)式のN、Mは平均値を計算するための近傍領域の大きさを表わす定数であり、(3)式に示したN、Mとは何ら無関係の値である。これにより領域判定フィルタ10は、特徴量xmax(i,j)を基準にして撮像結果VTより細かい構造を除去して比較的画素値が平坦な領域を抽出する。なお領域判定フィルタ10は、このような処理を目的とすることからその帯域は比較的狭いものが望ましい。
【0036】
係数算出回路11は、低周波数成分r(i,j)の信号レベルに応じて、例えば図6に示すような係数算出関数Gによりコントラスト補正係数g(i,j)を生成する。ここでこの係数算出関数Gは、例えば図18について上述したレベル変換関数T(l)を次式により演算処理して得られる関数である。
【0037】
【数5】
【0038】
これにより係数算出回路11は、次式の演算処理によりコントラスト補正係数g(i,j)を生成して出力し、低周波数成分r(i,j)の信号レベルが所定の基準レベルlk以下の領域については、値1以上の一定値gmaxによるコントラスト補正係数g(i,j)を出力し、この基準レベルlk以上の領域については、低周波数成分r(i,j)の信号レベルに応じて徐々に値が値gminに近づくようにコントラスト補正係数g(i,j)を出力する。
【0039】
【数6】
【0040】
乗算回路12は、このようにして生成されるコントラスト補正係数g(i,j)と、画素値x(i,j)とを乗算することにより、コントラスト補正係数g(i,j)により撮像結果VTの信号レベルを補正して出力する。
【0041】
(1−2)第1の実施の形態の動作
以上の構成において、テレビジョンカメラ1においては(図1)、撮像面に配置された色フィルタにより(図2)、振幅変調された色信号が時分割により順次輝度信号に重畳された撮像結果がCDD固体撮像素子2より出力される(図3)。
【0042】
またテレビジョンカメラ1においては、ユーザーの設定した電荷蓄積時間による通常露光による撮像結果VN(図4(A))と、短い電荷蓄積時間による短時間露光の撮像結果VS(図4(B))とが交互に出力され、この撮像結果VN及びVSがそれぞれメモリ4N及び4Sに保持される。テレビジョンカメラ1では、この2つの撮像結果VN及びVSがレベル補正回路6、加算回路5により合成され、これにより従来に比して格段的に大きなダイナミックレンジによる撮像結果VT(図4(C))が生成される。
【0043】
この撮像結果VTにおいては、階調補正回路8の特徴量フィルタ9において、各画素値x(i,j)における特徴量が検出される。すなわち撮像結果VTは、各画素の近傍所定範囲における画素値の最大値xmax(i,j)が対応する画素x(i,j)における特徴量として検出される。
【0044】
撮像結果VTは、続く領域判定フィルタ10において、このようにして検出した特徴量xmax(i,j)に基づいて入力画像データの属する領域が判定され、その判定結果が出力される。より具体的には、領域判定フィルタ10により特徴量xmax(i,j)の平均値である低周波数成分r(i,j)が検出され、これにより画像中の細かい構造が除去され、比較的画素値が平坦な領域が抽出される。またこの低周波数成分r(i,j)が各領域の識別信号として出力される。
【0045】
このときこのように補色一松形式の色フィルタによる撮像結果VTにおいては、隣接画素値の平均が輝度情報を表し(図3)、低周波数成分r(i,j)においては、特徴量フィルタ9により最大値が検出されて特徴量xmax(i,j)が検出されていることにより、輝度信号に重畳された色信号の振幅に応じて変化していることになる。
【0046】
撮像結果VTにおいては、続く係数算出回路11により、この低周波数成分r(i,j)の信号レベルに応じてコントラスト補正係数g(i,j)が生成され、このコントラスト補正係数g(i,j)により乗算回路12において、撮像結果VTの画素値x(i,j)が補正される。
【0047】
これにより撮像結果VTにおいては、低周波数成分r(i,j)の信号レベルが等しい領域においては、等しい利得により画素値が補正されるのに対し、低周波数成分r(i,j)の信号レベルが異なる領域においては、レベル変換関数T(l)の設定に応じて、画素値を近接させることができ、また場合によっては画素値の大小関係を逆転させることも可能となる。これにより全体の階調に対して、各領域内のコントラストを自然に増加させることができ、部分的なコントラストの低下を有効に回避して全体の階調を補正することが可能となる。
【0048】
すなわち図7に示すように、撮像結果の輝度レベルである特徴量xmax(i,j)がローパスフィルタである領域判定フィルタ10のカットオフ周波数以上の周波数により脈動し、さらに特徴量xmax(i,j)の直流レベルが急激に立ち上がっている場合であって(図7(B))、この直流レベルの急激な変化に伴う低周波数成分r(i,j)の変化が係数算出関数G(l)の変極点を跨ぐような場合(図7(A))、図15について上述した従来のレベル変換関数によっては、輝度レベルの大きな部分でコントラストが抑圧されるようになる(図7(C))。
【0049】
ところがこの実施の形態によれば、低周波数成分r(i,j)の信号レベルが急激に立ち上がる前後において、それぞれこの低周波数成分r(i,j)の信号レベルに応じた利得により撮像結果VTの画素値x(i,j)が補正されることにより、輝度レベルの小さな部分においては、ピーク値l3及びボトム値l1の平均値レベルl2による利得gmaxにより撮像結果VTの画素値x(i,j)が補正され、これにより低レベル領域に対しては従来法と同程度のコントラストを得ることができる(図7(D))。
【0050】
これに対して高レベル側においては、同様に、ピーク値l6及びボトム値l4の平均値レベルl5による利得g5により撮像結果VTの画素値x(i,j)が補正され、このときこれらピーク値l6及びボトム値l4が一様な利得により補正されることにより、このピーク値l6及びボトム値l4間のコントラストにおいては、この利得g5で増幅されることになる。
【0051】
これによりこの実施の形態に係る階調補正回路8おいては、全体的に見たときの階調は大きく変化しないものの、微視的に見た脈動については、入力画像である撮像結果VTによる脈動を拡大することが可能となる。
【0052】
また図8に示すように、同様に、撮像結果の輝度レベルである特徴量xmax(i,j)が脈動して直流レベルが急激に立ち上がっている場合であって、この特徴量xmax(i,j)の大きな変化が係数算出関数G(l)の変極点より高レベル側に偏っている場合(図8(B))、図15について上述した従来のレベル変換関数によっては、全ての画素値x(i,j)でコントラストが抑圧されるようになる(図8(C))。
【0053】
ところがこの場合も、低レベル側及び高レベル側においては、それぞれ平均値レベルl2及びl5に対応する利得g2及びg5により画素値が補正され、全体的に見たときの階調は大きく変化しないものの、微視的に見た脈動については、入力画像である撮像結果VTによる脈動を拡大することが可能となる(図8(D))。
【0054】
このようにして撮像結果VTの階調を補正するにつき、この実施の形態においては、特徴量フィルタ9で検出した特徴量xmax(i,j)の低周波数成分r(i,j)により利得を設定していることにより、色情報を失うことことなく階調を補正して適切な色再現が可能となる。
【0055】
すなわちこのような撮像結果VTにおいては、隣接画素値の平均が輝度情報を表し(図3)、隣接画素値の差分が色情報を表わしていることにより、単に画素値x(i,j)の平均値レベルにより階調を補正したのでは(すなわち特徴量フィルタ9を省略した場合)、色情報による画素値x(i,j)の大小に係わらず、一定の利得により階調を補正することになる。従ってこの場合、色の飽和度が高いために撮像結果VTの画素値x(i,j)が大きく立ち上がっている部分で、階調を補正した画素値y(i,j)が飽和する恐れもあり、このように画素値x(i,j)が飽和すると、その分正しく色再現することが困難になる。
【0056】
ところがこの実施の形態においては、画素値x(i,j)の最大値を特徴量xmax(i,j)として検出していることにより、このように飽和する恐れのある部分では、識別結果である平均輝度レベルr(i,j)を増大させて階調補正時の利得を低減させることができ、その分画素値x(i,j)の飽和を有効に回避して正しく色再現することができる。
【0057】
(1−3)第1の実施の形態の効果
以上の構成によれば、入力画像データの属する領域を判定し、その判定結果に基づいて補正係数を生成すると共に、この補正係数に従って撮像結果を補正することにより、同一領域内では同じ係数により画素値の大小関係を保持したまま、異なる領域に属する画素間では必要に応じて画素値を近接させることができ、また極端な場合には逆転させることもできる。これにより部分的なコントラストの劣化を有効に回避して階調を補正することができる。
【0058】
このとき特徴量フィルタにより、各画素の近傍所定範囲における画素値の最大値xmax(i,j)を特徴量として検出し、この特徴量を基準にして判定結果を得ることににより、画素値y(i,j)の飽和を有効に回避して階調を補正することができ、これにより正しく色再現することができる。
【0059】
またローパスフィルタによる撮像結果を領域に分割することにより、簡単な構成により、部分的なコントラストの低下を回避して全体の階調を補正することができる。
【0060】
(2)第2の実施の形態
図9は、本発明の第2の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。この階調補正回路18は、図1について上述した階調補正回路8に代えて適用される。なおこの階調補正回路18において、上述した階調補正回路8と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0061】
この階調補正回路18において、特徴量フィルタ19は、撮像結果VTの各画素値x(i,j)について特徴量を検出して出力する。特徴量フィルタ19は、2次元の最小値フィルタであり、特徴量の検出において、順次入力される撮像結果VTの各画素値x(i,j)について、この画素値x(i,j)による画素を中心にした所定範囲で画素値の最小値xmin(i,j)を検出し、この最小値xmin(i,j)をこの画素値x(i,j)における特徴量として出力する。
【0062】
すなわち特徴量フィルタ19は、次式の演算処理により順次入力される画素値x(i,j)を処理し、これにより特徴量xmin(i,j)を順次出力する。なおここでminは、所定の条件を満たすxの最小値を算出する関数である。
【0063】
【数7】
【0064】
係数算出回路21は、低周波数成分r(i,j)の信号レベルに応じて、図10に示すレベル変換関数T(l)を(5)式により演算処理して得られる係数算出関数Gによりコントラスト補正係数g(i,j)を生成する。ここでこのレベル変換関数T(l)は、所定の基準レベルlkより輝度レベルの低い部分では信号レベルを抑圧するように設定した特性である。
【0065】
かくするにつき、このように補正係数g(i,j)を設定する場合にあって、単に画素値x(i,j)の低周波数成分によって利得を制御すると、第1の実施の形態とは逆に、低周波数成分r(i,j)の信号レベルが小さな部分において、階調を補正した画素値y(i,j)が飽和して色情報が失われる恐れがあり、このような部分では正しく色再現することが困難になる。
【0066】
ところがこの実施の形態においては、画素値x(i,j)の最小値を特徴量xmin(i,j)として検出していることにより、このように飽和する恐れのある部分では、識別結果である平均輝度レベルr(i,j)を減少させて階調補正時の利得を増大させることができ、その分画素値y(i,j)の飽和を有効に回避して正しく色再現することができる。
【0067】
図9に示す構成によれば、特徴量として所定領域の最小値を検出して階調を補正することにより、所定の基準レベルlkより輝度レベルの低い部分では信号レベルを抑圧するように階調を補正する場合でも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
(3)第3の実施の形態
図11は、本発明の第3の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。この階調補正回路28は、図1について上述した階調補正回路8に代えて適用される。なおこの階調補正回路28において、上述した階調補正回路8及び18と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0069】
この階調補正回路28において、特徴量フィルタ29は、撮像結果VTの各画素値x(i,j)について特徴量を検出して出力する。すなわち特徴量フィルタ29において、最大値フィルタ29Aは、第1の実施の形態について上述した特徴量フィルタ9と同一に構成され、順次入力される撮像結果VTの各画素値x(i,j)について、この画素値x(i,j)による画素近傍所定範囲で画素値の最大値xmax(i,j)を検出して出力する。
【0070】
また最小値フィルタ29Bは、第2の実施の形態について上述した特徴量フィルタ19と同一に構成され、順次入力される撮像結果VTの各画素値x(i,j)について、この画素値x(i,j)による画素近傍所定範囲で画素値の最小値xmin(i,j)を検出して出力する。
【0071】
ローパスフィルタ29Cは、二次元のローパスフィルタであり、順次入力される撮像結果VTの各画素値x(i,j)について、その平均値xave(i,j)を検出して出力する。なおローパスフィルタ29は、(4)式で表される近傍領域の大きさを定義する定数M及びNが領域判定フィルタ10に比して小さな値に設定され、これにより領域判定フィルタ10に比して通過帯域幅が広くなるように設定される。
【0072】
セレクタ29Dは、このローパスフィルタ29Cより出力される平均値xave(i,j)と所定の基準値との比較結果に基づいて、平均値xave(i,j)がこの基準レベルより大きい場合には最大値フィルタ29Aより出力される最大値xmax(i,j)を選択出力するのに対し、平均値xave(i,j)がこの基準レベルより小さい場合には最小値フィルタ29Bより出力される最小値xmin(i,j)を選択出力する。これによりセレクタ29Dは、最大値xmax(i,j)及び最小値xmin(i,j)を合成して特徴量xmm(i,j)を出力する。
【0073】
係数算出回路31は、低周波数成分r(i,j)の信号レベルに応じて、図19に示すレベル変換関数T(l)を(5)式で演算処理して得られる係数算出関数Gによりコントラスト補正係数g(i,j)を生成する。
【0074】
かくするにつき、このようにコントラスト補正係数g(i,j)を設定した場合にあって、単に画素値x(i,j)の低周波数成分によって利得を制御したのでは、第1及び第2の実施の形態について上述した低周波数成分r(i,j)の信号レベルが大きな部分及び小さな部分で色情報が失われる恐れがあり、このような部分では正しく色再現することが困難になる。
【0075】
ところがこの実施の形態においては、画素値x(i,j)の最大値xmax(i,j)と最小値xmin(i,j)とを画素値x(i,j)の平均値xave(i,j)で切り換えて合成した特徴量xmm(i,j)により低周波数成分r(i,j)を生成し、この低周波数成分r(i,j)により利得を制御していることにより、このように飽和する恐れのある部分では階調補正時の利得を増大させ、又は低減させることができ、その分画素値y(i,j)の飽和を有効に回避して正しく色再現することができる。
【0076】
図11に示す構成によれば、画素値x(i,j)の最大値xmax(i,j)と最小値xmin(i,j)とを画素値x(i,j)の平均値xave(i,j)で切り換えて特徴量xmm(i,j)を生成することにより、所定の基準レベルlsより輝度レベルの低い部分と基準レベルlbより輝度レベルの高い部分とで信号レベルを抑圧するように階調を補正する場合でも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
(4)第4の実施の形態
この実施の形態においては、図11に示す構成において、セレクタ29Dに代えて重み付け加算回路が適用される。
【0078】
すなわちこの重み付け加算回路は、ローパスフィルタ29Cより出力される画素値x(i,j)の平均値xave(i,j)より次式の演算処理を実行し、これにより重み付け係数aを生成する。なおここでTHL及びTHHは、正規化のための定数である。
【0079】
【数8】
【0080】
さらに重み付け加算回路は、このようにして生成した重み付け係数aにより、次式の演算処理を実行し、これにより最大値xmax(i,j)と最小値xmin(i,j)とを合成して特徴量xmm(i,j)を生成する。これにより重み付け加算回路は、画素値x(i,j)の平均値xave(i,j)を基準にした最大値xmax(i,j)と最小値xmin(i,j)との荷重平均により特徴量xmm(i,j)を生成する。
【0081】
【数9】
【0082】
第4の実施の形態によれば、画素値x(i,j)の平均値xave(i,j)を基準にして、最大値xmax(i,j)と最小値xmin(i,j)とを滑らかに合成して特徴量xmm(i,j)を生成することができ、これにより自然な階調補正により第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(5)第5の実施の形態
図12は、本発明の第5の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。この階調補正回路38は、図1について上述した階調補正回路8に代えて適用される。なおこの階調補正回路38において、上述した階調補正回路8と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0084】
ここで量子化回路43は、特徴量xmax(i,j)を再量子化し、ビット数を低減して出力する。なおこの実施の形態において、量子化回路43は、画素値x(i,j)に対して、予め設定された量子化ステップQにより次式の演算処理を実行し、これにより特徴量xmax(i,j)を線形量子化処理して特徴量xmaxq(i,j)を出力する。なおここでint(a)は、aの小数点以下を切り捨てる関数である。
【0085】
【数10】
【0086】
領域判定フィルタ40は、ビット数が異なる点を除いて、第1の実施の形態に係る領域判定フィルタ10と同一に形成される。
【0087】
ルックアップテーブル(LUT)44は、係数算出回路を構成し、領域判定フィルタ40より出力される低周波数成分r(i,j)をアドレスにして補正係数g(i,j)を出力する。かくするにつきルックアップテーブル44は、次式により示す補正係数LUT(i)をi番目のアドレスに格納していることになる。
【0088】
【数11】
【0089】
図12に示す構成によれば、事前に特徴量を量子化して処理することにより、一段と簡易な構成により第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。またルックアップテーブルにより補正係数を生成することにより、その分全体の処理を簡略化することができ、またこのとき事前に量子化することにより領域判定フィルタの構成を簡略化することができ、さらにはルックアップテーブルを小型化することができる。
【0090】
(6)第6の実施の形態
図13は、本発明の第6の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。この階調補正回路48は、図12について上述した階調補正回路38に代えて適用され、この階調補正回路38のルックアップテーブル44に代えてルックアップテーブル54及び補間回路55が配置される。
【0091】
ここでルックアップテーブル54は、領域判定フィルタ40の出力値r(i,j)が取り得るレベル数よりも少ないアドレスを有し、出力値r(i,j)の所定下位ビットを省略したアクセスにより、次式により表される2つのアドレスaddr0(i,j)、addr1(i,j)と補正係数g0(i,j)、g1(i,j)とを出力する。なおここでルックアップテーブル54は、2つのアドレスaddr0(i,j)については、領域判定フィルタ40の出力値r(i,j)の下位ビットを省略して出力することにより、またアドレスaddr1(i,j)については、このアドレスaddr0(i,j)の最下位に論理1のビットを付加することにより、これらのアドレスaddr0(i,j)、addr1(i,j)を生成して出力する。なおここでRmaxは、領域判定フィルタ40の出力値x(i,j)が取り得る最大値、R′maxはルックアップテーブル54のアドレスが取り得る最大値である。
【0092】
【数12】
【0093】
補間回路55は、ルックアップテーブル54から入力されるアドレスaddr0(i,j)、addr1(i,j)、補正係数g0(i,j)、g1(i,j)を用いて次式による補間演算処理を実行し、その補間結果を補正係数g(i,j)として出力する。
【0094】
【数13】
【0095】
図13に示す構成によれば、補間演算処理して補正係数を生成することにより、小規模のルックアップテーブルを用いて滑らかに値の変化する補正係数を生成することができ、その分精度良く階調を補正することができる。
【0096】
(7)第7の実施の形態
図14は、本発明の第6の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。この階調補正回路58は、図1について上述した階調補正回路8に代えて適用される。なおこの階調補正回路58において、上述した階調補正回路8と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0097】
階調補正回路58において、領域判定フィルタ60は、異なる解像度で入力画像データの属する領域を判定してなる識別信号r0(i,j)、r1(i,j)、r2(i,j)、……、rN−1(i,j)を出力するローパスフィルタ部60Aと、これら異なる解像度による識別信号r0(i,j)、r1(i,j)、r2(i,j)、……、rN−1(i,j)に基づいて、1の合成信号である識別信号r(i,j)を生成する信号合成部60Bとにより構成される。
【0098】
ローパスフィルタ部60Aは、それぞれ通過帯域幅の異なるローパスフィルタ(LPF)F0、F1、F2、……、FN−1により構成され、各ローパスフィルタ(LPF)F0、F1、F2、……、FN−1に特徴量xmax(i,j)を入力し、対応する低周波数成分を識別信号r0(i,j)、r1(i,j)、r2(i,j)、……、rN−1(i,j)として出力する。
【0099】
信号合成部60Bは、それぞれ乗算回路M0、M1、M2、……、MN−1において、識別信号r0(i,j)、r1(i,j)、r2(i,j)、……、rN−1(i,j)を重み付けした後、加算回路66で加算し、これにより1の合成信号である識別信号r(i,j)を生成して出力する。なおこのとき、乗算回路M0、M1、M2、……、MN−1における各重み付け係数w0、w1、w2、……、wN−1は、次式の関係式を満足するように事前に設定される。
【0100】
【数14】
【0101】
これによりこの実施の形態においては、重み付け係数w0、w1、w2、……、wN−1の設定により撮像結果VTにおける輪郭が異常に強調されないようになされている。
【0102】
すなわち図15に示すように、画素値x(i,j)が急激に変化している場合(図15(A))、低周波数成分r(i,j)においては、この急激な画素値の変化を緩和したように信号レベルが変化する。この画素値x(i,j)による低周波数成分r(i,j)の変化が図6について上述した特性の変極点より高レベル側に偏っている場合にあって、第1の実施の形態のように単にローパスフィルタの出力信号により補正係数g(i,j)を生成したのでは、画素値x(i,j)が急激に変化する直前においては余分な利得により画素値が増幅され、画素値x(i,j)が急激に変化した直後においては少ない利得により画素値が増幅され、これにより異常に輪郭が強調された出力値y(i,j)(図15(B))が得られる。
【0103】
この場合、このような輪郭については、ほぼ一様な利得により画素値を補正して異常な輪郭の強調を低減することができる。
【0104】
これによりこの実施の形態においては、複数系統の低周波数成分より補正係数を生成することにより、異常な輪郭の強調を有効に回避して第1の実施の形態と同様の効果を得ることができるようになされている。
【0105】
図14に示す構成によれば、複数系統の低周波数成分より補正係数を生成することにより、異常な輪郭の強調を有効に回避して第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
(8)第8の実施の形態
図16は、本発明の第8の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。この階調補正回路68は、図1について上述した階調補正回路8に代えて適用される。なおこの階調補正回路68において、上述した階調補正回路8等と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0107】
この階調補正回路68において、領域判定フィルタ70は、特徴量xmax(i,j)を基準にして解像度により入力画像データの属する領域の判定結果r0(i,j)、r1(i,j)、r2(i,j)、……、rN−1(i,j)を出力する。すなわち領域判定フィルタ70は、それぞれ通過帯域幅の異なるローパスフィルタ(LPF)F0、F1、F2、……、FN−1により構成され、各ローパスフィルタ(LPF)F0、F1、F2、……、FN−1に特徴量xmax(i,j)を入力し、対応する低周波数成分を識別信号r0(i,j)、r1(i,j)、r2(i,j)、……、rN−1(i,j)として出力する。
【0108】
係数算出回路71は、識別信号r0(i,j)、r1(i,j)、r2(i,j)、……、rN−1(i,j)より対応する補正係数g0(i,j)、g1(i,j)、g2(i,j)、……、gN−1(i,j)を生成する係数生成部71Aと、これらの補正係数g0(i,j)、g1(i,j)、g2(i,j)、……、gN−1(i,j)を合成して1の補正係数g(i,j)を生成する係数合成部71Bとにより構成される。
【0109】
このうち係数生成部71Aは、それぞれ所定の係数算出関数Gk(k=0、1、2、……、N−1)に基づいて、識別信号r0(i,j)、r1(i,j)、r2(i,j)、……、rN−1(i,j)より対応する補正係数g0(i,j)、g1(i,j)、g2(i,j)、……、gN−1(i,j)を生成する係数算出部L0、L1、L2、……LN−1により構成される。
【0110】
これに対して係数合成部71Bは、それぞれ乗算回路M0、M1、M2、……、MN−1により補正係数g0(i,j)、g1(i,j)、g2(i,j)、……、gN−1(i,j)を重み付けした後、加算回路76で加算し、これにより1の補正係数g(i,j)を生成して出力する。なおこのとき、乗算回路M0、M1、M2、……、MN−1における各重み付け係数w0、w1、w2、……、wN−1は、上述した(13)式の関係式を満足するように事前に設定される。
【0111】
図16に示す構成によれば、複数系統の低周波数成分よりそれぞれ補正係数を生成した後、1の補正係数を生成するようにしても、第7の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0112】
(9)他の実施の形態
なお上述の第5〜第8の実施の形態においては、各画素の近傍所定範囲より画素値の最大値を検出して特徴量とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第2〜第4の実施の形態について上述したように、必要に応じて最小値を特徴量としても良く、又は最大値と最小値とを合成して特徴量としてもよい。
【0113】
また上述の実施の形態においては、それぞれ図6、図18、図19について上述した特性により補正係数を生成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、各実施の形態に係る構成においては、必要に応じて上述の実施の形態について上述した特性と異なる特性補正係数を生成しても良く、例えば図17に示すような、入力レベルの増大に伴い、途中で出力レベルが低減するような入出力特性によるレベル変換関数を用いるようにしても良い。
【0114】
すなわち従来の手法においては、このような関数を用いた場合、この関数が単調増加の関数では無いことにより、処理結果である画像において疑似輪郭が発生する場合がある。ところが上述した実施の形態のようにローパスフィルタにより領域判定して処理する場合には、ローパスフィルタの通過帯域に応じた大きさの近傍領域内では画素値の大小関係が逆転するような画素値の大きな変化を防止することができる。これにより疑似輪郭の発生を有効に回避することができる。
【0115】
また上述の実施の形態においては、レベル変換関数Tを用いて(5)式の演算処理により係数算出関数Gを生成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、レベル変換関数Tを用いないで任意に係数算出関数Gを設定するようにしてもよい。
【0116】
また上述の実施の形態においては、階調補正回路により階調を補正した後、続く信号処理回路によりダイナミックレンジを抑圧する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、レベル変換関数T、これに対応する係数算出関数Gの設定によりこれらの処理を纏めて実行することもできる。
【0117】
すなわちダイナミックレンジの抑圧の処理においては、入力される画素値のビット数より出力される画素値のビット数が小さいことが求められることにより、レベル変換関数Tにおいて、出力レベルの最大値を出力画像に許容される最大値に設定し、これを用いて係数算出関数Gを生成することにより、これらの処理を纏めて実行することができる。
【0118】
またレベル変換関数Tを用いず、任意に係数算出関数Gを設定する場合には、次式を満足するように、係数算出関数Gを設定すればよい。なおここで、jは入力画素レベルを、Lmaxは入力画素レベルの最大値を、L0maxは出力画素レベルの最大値を表わす。
【0119】
【数15】
【0120】
また上述の実施の形態においては、第5及び第6の実施の形態において量子化回路、ルックアップテーブル、さらには補間回路を使用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じてこれら量子化回路、ルックアップテーブル、補間回路の全て、又は何れかを第5及び第6の実施の形態以外に適用することもできる。
【0121】
またこれとは逆に第5及び第6の実施の形態において、必要に応じて量子化回路を省略してもよい。
【0122】
また上述の実施の形態においては、偶数ラインと奇数ラインとで配列が異なる色フィルタによる撮像結果を処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の配列による色フィルタを使用する場合、さらには振幅変調された色信号が時分割により輝度信号に重畳されてなる画像データを処理する場合に広く適用することができる。
【0123】
また上述の実施の形態においては、特徴量を基準にしたローパスフィルタの処理により入力画像データの属する領域を判定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば処理対象画像において、任意に選択した画素と、この画素を取り巻く近傍画素との類似性を特徴量を設定し、この画素より順次領域を拡大して処理対象画像を領域判定する場合等、種々の処理により処理対象画像を領域判定して上述の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0124】
また上述の実施の形態においては、本発明をテレビジョンカメラに適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、テレビジョン受像機、ビデオテープレコーダー、プリンタ等の種々の画像処理装置に広く適用することができる。
【0125】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、各画素の近傍所定範囲の特徴を示す特徴量を検出し、この特徴量に基づいて入力画像データの属する領域を判定し、その判定結果に基づいて補正係数を生成して画素値を補正することにより、例えば単板式固体撮像素子等の出力信号を処理対象にして部分的なコントラストの劣化を有効に回避して階調を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るテレビジョンカメラを示すブロック図である。
【図2】図1のテレビジョンカメラのCCD固体撮像素子の色フィルタを示す平面図である。
【図3】図2の色フィルタによる撮像結果を示す信号波形図である。
【図4】図1のテレビジョンカメラにおける撮像結果の処理の説明に供する特性曲線図である。
【図5】図1のテレビジョンカメラにおける画素の配列を示す略線図である。
【図6】コントラスト補正係数g(i,j)の説明に供する特性曲線図である。
【図7】図1のテレビジョンカメラにおける階調補正回路の処理の説明に供する信号波形図である。
【図8】図7の場合とは異なる入力レベルにおける階調補正回路の処理の説明に供する信号波形図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。
【図10】図9の階調補正回路の動作の説明に供する信号波形図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。
【図15】図14の階調補正回路の動作の説明に供する信号波形図である。
【図16】本発明の第8の実施の形態に係るテレビジョンカメラに適用される階調補正回路を示すブロック図である。
【図17】他の実施の形態に係る階調補正回路に適用されるレベル変換関数の説明に供する特性曲線図である。
【図18】従来の階調補正の抑圧処理に適用されるレベル変換関数の説明に供する特性曲線図である。
【図19】図18とは異なる他の例による階調補正の処理に適用されるレベル変換関数の説明に供する特性曲線図である。
【図20】ヒストグラムイコライゼーションの処理の説明に供する特性曲線図である。
【符号の説明】
1……テレビジョンカメラ、8、18、28、38、48、58、68……階調補正回路、9、19、29……特徴量フィルタ、10、40、60、70……領域判定フィルタ、11、21、31……係数算出回路、12、M0〜MN−1……乗算回路、43……量子化回路、44、54……ルックアップテーブル、55……補間回路、29C、F0〜FN−1……ローパスフィルタ、L0〜LN−1……係数算出部
Claims (4)
- 画像データの階調を補正する画像処理装置において、
前記画像データの各画素毎に、前記各画素の近傍所定範囲における画素値の最大値を特徴量として順次検出する特徴量検出手段と、
前記特徴量の低周波成分による判定結果を出力する領域判定手段と、
前記判定結果に基づいて、前記画像データの画素値を補正する利得であるコントラスト補正係数を出力する係数算出手段と、
前記コントラスト補正係数に従って、前記画像データの画素値を補正する補正手段とを備え、
前記係数算出手段は、
前記判定結果の信号レベルが所定の基準レベル以下の場合には、前記コントラスト補正係数の値を一定値に設定し、
前記判定結果の信号レベルが所定の基準レベル以上の場合には、前記コントラスト補正係数の値を前記一定値より低減させる
ことを特徴とする画像処理装置。 - 画像データの階調を補正する画像処理方法において、
前記画像データの各画素毎に、前記各画素の近傍所定範囲における画素値の最大値を特徴量として順次検出する特徴量検出処理と、
前記特徴量の低周波成分による判定結果を出力する領域判定処理と、
前記判定結果に基づいて、前記画像データの画素値を補正する利得であるコントラスト補正係数を出力する係数算出処理と、
前記コントラスト補正係数に従って、前記画像データの画素値を補正する補正処理とを備え、
前記係数算出処理は、
前記判定結果の信号レベルが所定の基準レベル以下の場合には、前記コントラスト補正係数の値を一定値に設定し、
前記判定結果の信号レベルが所定の基準レベル以上の場合には、前記コントラスト補正係数の値を前記一定値より低減させる
ことを特徴とする画像処理方法。 - 前記特徴量検出処理は、
前記近傍所定範囲の画素値の最大値と共に最小値を順次検出し、
前記画像データの平均値が所定の基準レベルより大きい場合、前記最大値を選択して前記特徴量として出力し、
前記画像データの平均値が所定の基準レベルより小さい場合、前記最小値を選択して前記特徴量として出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。 - 前記領域判定処理は、
前記特徴量の低周波成分を異なる帯域により複数抽出する信号抽出処理と、
前記複数の低周波成分に基づいて、1の合成信号を生成する信号合成処理とであり、
前記係数算出処理は、
前記合成信号に基づいて前記コントラスト補正係数を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
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