JP3813337B2 - 消失誤り訂正方法とその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体やデジタル伝送の誤り訂正符号として用いられる、リードソロモン符号などの復号処理で用いられる消失誤り訂正方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
リードソロモン符号(以下、RS符号とも記す)は、その符号化効率の良さとバーストエラーに対する適性から、主に記録媒体やデジタル伝送の外符号に用いられている。
例えば、コンパクトディスクで採用されているエラー訂正符号は、CIRC(Cross Interleave Reed-Solomon Code)と称され、インターリーブの技法と組み合わせた積符号である。その外符号としてRS(28、24)符号が、内符号としてRS(32、28)符号が採用されており、それぞれC2符号およびC1符号と呼ばれている。いずれの符号とも、一つのRS符号化シンボルは1バイトで構成され、一つのRS符号化ブロックは4バイトのパリティ検査列を含んでいる。
【0003】
また、IC化技術の進歩とともに、8バイト以上の高い訂正能力を持つRS符号に対応した符号化/復号ICチップが実現され、その応用範囲が急速に広まっている。
ところで、前述したコンパクトディスクの場合のように、記録媒体用の誤り訂正符号は、RS符号を2重に符号化した積符号の構成をとることが多い。
積符号を用いた誤り訂正符号では、図6に示すように、データを行列のマトリックス状にシンボルを配置した誤り訂正用のデータフレーム10を用いる。この誤り訂正用のデータフレーム10は、170バイト(行方向)×184バイト(列方向)のデータ部に加えて、行方向に10バイトおよび列方向に16バイトの冗長シンボルが付加され、全体として180×200バイトになっている。積符号を用いた誤り訂正符号では、誤り訂正用のデータフレーム10に対して列方向および行方向に誤り訂正が行われる。
【0004】
具体的には、図7に示す誤り訂正コア(Error Correcting Core) 部3において、図6に示すデータフレーム10に対して、先ず、200個の行のそれぞれに対して行方向にC1訂正が合計200回行われ、次に、180個の列のそれぞれに対して列方向にC2訂正が合計180回行われる。さらに、C1訂正とC2訂正とを繰り返し行い、訂正能力を高めることも可能である。誤り訂正コア部3における訂正結果は、データ・消失フラグフレームメモリ1に記憶されて、次の訂正ステップで、再度、所定の方向(順序)で誤り訂正コア部3に読み出される。
【0005】
ところで、通常の訂正手法では、最大訂正数は冗長シンボルの数の半分である。これに対して、図6に示すように積符号化した場合には、2回目以降の訂正において、消失誤り訂正を採用することで、その訂正能力を2倍にできる。具体的には、図7に示すように、各シンボルを8ビットのデータと1ビットの消失フラグとの合計9ビットで構成し、データ・消失フラグフレームメモリ1からデータDおよび消失フラグデータEを読み出して、1回目の誤り訂正を行い、その訂正結果のデータD’および消失フラグデータE’をデータ・消失フラグフレームメモリ1に記憶する。そして、この記憶した消失フラグデータおよびデータを、次に、消失フラグデータEおよびデータDとして誤り訂正コア部3に読み出して、2回目の消失誤り訂正を行う。
【0006】
図8に示すように、C1訂正で、訂正が適切に行われた行および誤りが存在しない行に存在するデータに対応する消失フラグを0に(リセット)する。また、訂正が不可能な行および誤訂正の可能性がある行に存在するデータに対応する消失フラグを1に(セット)する。図8に示す例では、データフレーム10のデータに対して行方向にC1訂正が行われ、その1行目および199行目に存在するデータに対しての誤り訂正が正確に行われないことから、これらに対応する消失フラグが1にセットされている。
次に、図8に示すデータフレーム10のデータに対して列方向に、図8に示す消失フラグを利用しながらC2訂正が行われ、その2列目に存在するデータに対して誤り訂正が正確に行われないことから、図9に示すように、2列目に対応する消失フラグが1にセットされている。
【0007】
ところで、入力の消失シンボルの数などにより、C2訂正の結果に誤訂正の確率が高いと予想される場合に、C2訂正を実行しないで、かつ、以前のC1訂正の消失フラグの結果を残す、いわゆるコピーを行い、このコピーした結果を、次のC1訂正で利用することで、訂正能力を高める方法がある。図9の例では、1列目の結果がコピーに相当する。すなわち、図9に示す消失フラグとデータに、図8に示す以前の訂正結果をそのまま残す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、強力な訂正能力と高い符号化効率を同時に実現するためには、データフレームを大きくする必要があり、それに伴って必要なメモリのサイズが増大する。図6に示す誤り訂正用のデータフレーム10について訂正処理を行うには、従来の方法では、データ・消失フラグフレームメモリ1には、消失フラグを記憶するために36000ビット(180×200)の記憶容量が必要である。また、各シンボルごとに消失フラグを持っていると、その更新を行う際に、それぞれをデータ・消失フラグフレームメモリ1に書き込むことになるので、メモリアクセスが頻繁に発生し、処理時間が長くなるという問題がある。具体的には、図6に示す誤り訂正用のデータフレーム10については、各ステップごとに、最大180×200=36000回もの書き込み動作が必要となる。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みてなされ、比較的小さなメモリ容量で、高い訂正能力と高い符号化効率とを同時に実現できる消失誤り訂正方法およびその装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、高い訂正能力と高い符号化効率とを同時に高速に実現できる消失誤り訂正方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明の消失誤り訂正方法は、マトリクス状に配置された複数のシンボルからなる積符号化されたデータ系列を、行方向および列方向から順に誤り訂正を行い、前記複数のシンボルについての誤り訂正の可否を行方向および列方向の単位で判断し、その判断結果を前記複数のシンボルのそれぞれに対応するビットで表した消失フラグデータを生成し、次の誤り訂正で、前記生成した消失フラグデータを利用する消失誤り訂正方法であって、前記データ系列について行方向の誤り訂正を行ったときに、誤り訂正の可否を行毎に示す訂正フラグデータを生成し、前記データ系列について列方向の誤り訂正を行ったときに、誤り訂正の可否を列毎に示す訂正フラグデータを生成し、前記訂正フラグデータと、過去に生成した消失フラグデータから、消失フラグデータを新たに生成し、前記新たに生成した消失フラグデータを利用して、前記データ系列の消失誤り訂正を行う。
【0011】
また、本発明の消失誤り訂正方法は、好ましくは、前記行方向の誤り訂正と、列方向の誤り訂正とを交互に行う。
【0012】
また、本発明の消失誤り訂正方法は、好ましくは、前記データ系列について、最初に誤り訂正を行うときに、消失フラグデータを利用せずに誤り訂正を行い、誤り訂正の可否のみを示す訂正フラグデータを生成し、2回目以降に誤り訂正を行うときに、消失フラグデータを利用して誤り訂正を行い、誤り訂正の可否に加えて、必要に応じて、過去の消失フラグデータの対応する列あるいは行を利用するコピーを示すビットを含む訂正フラグデータを生成する。
【0013】
また、本発明の消失誤り訂正方法は、好ましくは、前記最初に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行毎に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の行数のビット数を有する。
【0014】
また、本発明の消失誤り訂正方法は、好ましくは、前記2回目以降に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行毎に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の行数の2倍のビット数を有する。
【0015】
また、本発明の消失誤り訂正方法は、好ましくは、前記2回目以降に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行列に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の列数の2倍のビット数を有する。
【0016】
また、本発明の消失誤り訂正方法は、好ましくは、前記データ系列は、リードソロモン符号で2重に符号化されている。
【0017】
また、本発明の消失誤り訂正装置は、マトリクス状に配置された複数のシンボルからなる積符号化されたデータ系列を、行方向および列方向から順に誤り訂正を行い、前記複数のシンボルについての誤り訂正の可否を行方向および列方向の単位で判断し、その判断結果を前記複数のシンボルのそれぞれに対応するビットで表した消失フラグデータを生成し、次の誤り訂正で、前記生成した消失フラグデータを利用する消失誤り訂正装置であって、前記データ系列を記憶するデータ系列記憶手段と、消失フラグデータに基づいて、前記データ系列の行方向および列方向に誤り訂正を行い、当該誤り訂正の結果に応じて、誤り訂正の可否を行および列毎に示す訂正フラグデータを生成する誤り訂正手段と、前記訂正フラグデータを記憶する訂正フラグデータ記憶手段と、前記訂正フラグデータに記憶された訂正フラグデータと、過去に生成した消失フラグデータとから、消失フラグデータを新たに生成する消失フラグデータ生成手段とを有する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係わる消失誤り訂正装置およびその方法について説明する。
本実施形態の消失誤り訂正装置は、例えば、リードソロモン符号で符号化されたデータ系列であるデータフレームを復号するリードソロモン復号装置に組み込まれている。
第1実施形態
図1は本実施形態の消失誤り訂正装置21の構成図、図2は図1に示す消失誤り訂正装置21の動作を説明するための図である。
図1に示すように、消失誤り訂正装置21は、訂正フラグメモリブロック22、データフレームメモリ24および誤り訂正コア部25を有する。
データフレームメモリ24は、図6に示す180バイト(行方向)×200バイト(列方向)の誤り訂正用のデータフレーム10を記憶可能な記憶容量を備えている。ここで、1バイトは、8ビットである。
【0019】
訂正フラグメモリブロック22は、訂正フラグメモリ231 〜23m を備えている。
訂正フラグメモリ231 は、図6に示す誤り訂正用のデータフレーム10の列方向のバイト数である200に対応した200ビットの記憶容量を有し、誤り訂正コア部25による1回目の行方向のC1訂正の結果に応じた、各行毎にセットあるいはリセットを示す訂正フラグデータeを入力して記憶する。ここで、セットは対応する行についてのC1訂正が不可能あるいは誤訂正の可能性があることを示し、リセットは対応する行についてのC1訂正が正確に行われたことあるいは誤りが存在しないことを示す。
【0020】
また、訂正フラグメモリ232 は、誤り訂正用のデータフレーム10の行方向のバイト数である180の2倍に対応した360ビットの記憶容量を有し、2回目の列方向のC2訂正の結果に応じた、各列毎にセット、リセットあるいはコピーを示す訂正フラグデータeを入力して記憶する。ここで、コピーは、対応する行に、前回のC1訂正の消失フラグデータの結果を残すことを示している。
【0021】
また、訂正フラグメモリ233 は、誤り訂正用のデータフレーム10の列方向のバイト数である200の2倍に対応した400ビットの記憶容量を有し、3回目の行方向のC2訂正の結果に応じた、各行毎に、セット、リセットあるいはコピーを示す訂正フラグデータeを入力して記憶する。
ここで、2≦n≦mとしたとき、訂正フラグメモリ23n は、nが偶数の場合には360ビットの記憶容量有し、nが奇数の場合には400ビットの記憶容量を有し、n回目の誤り訂正の結果である訂正フラグデータeを入力して記憶する。
【0022】
また、訂正フラグメモリブロック22には、図2に示す論理回路271 〜27m-2 が設けられている。
論理回路271 は、消失フラグデータ321 と、訂正フラグメモリ232 に記憶された訂正フラグデータに基づいて、180ビット(行方向)×200ビット(列方向)の消失フラグデータ322 を生成する。
また、2≦n≦m−2としたときに、論理回路27n は、論理回路27n-1 からの消失フラグデータと、訂正フラグメモリ23n+1 に記憶された訂正フラグデータとに基づいて、論理演算を行い、180ビット(行方向)×200ビット(列方向)の消失フラグデータを生成する。
ここで、論理回路27n において生成される消失フラグデータは、n+1回目の誤り訂正により生成されたデータフレーム31n+1 の各データについてのセット、リセットおよびコピーを示している。
【0023】
誤り訂正コア部25は、1回目の誤り訂正を、データフレーム300 に行方向からC1訂正を行い、その誤り結果であるデータフレーム311 をデータD’としてデータフレームメモリ24に記憶すると共に、その訂正フラグデータeを訂正フラグメモリ231 に記憶する。
また、誤り訂正コア部25は、n回目の誤り訂正を行う際に、データフレームメモリ24から読み出したデータDと、訂正フラグメモリブロック22からの消失フラグデータEとを入力し、nが奇数の場合には行方向のC1誤り訂正を行い、nが偶数の場合には列方向のC2誤り訂正を行う。そして、誤り訂正コア部25は、誤り訂正の結果であるデータフレーム31n を データD’としてデータフレームメモリ24に書き込むと共に、訂正フラグデータeを訂正フラグメモリ23n に書き込む。
【0024】
以下、図1に示す消失誤り訂正装置21の動作について説明する。
ここでは、m=4とし、最大で5ステップの訂正が可能な消失誤り訂正装置21を図2を参照しながら説明する。
ステップS1:データフレームメモリ24に記憶された180バイト(行方向)×200バイト(列方向)のデータフレーム310 が行方向から読み出され、データDとして誤り訂正コア部25に出力される。そして、誤り訂正コア部25において、データフレーム310 に行毎にC1訂正が行われ、訂正後のデータフレーム311 がデータD’として再度、データフレームメモリ24に対して行方向に書き込まれる。この訂正では、各行について、それぞれセットとリセットの結果のみが判定され、これらの結果が200ビットの訂正フラグデータeとして訂正フラグメモリ231 に記憶される。そして、訂正フラグメモリ231 に記憶された訂正フラグデータに応じて、180(行方向)×200(列方向)の消失フラグデータ321 が生成され。
ここで、セットとリセットとは1ビットで区別でき、判定は各行ごとに行われるので、訂正フラグメモリ231 は200(=1×200)ビットの記憶容量を備えていればよい。
【0025】
ステップS2:訂正フラグメモリブロック22から消失フラグデータ321 が消失フラグデータEとして誤り訂正コア部25に出力される。すなわち、ステップS2以降の誤り訂正では、消失誤り訂正が行われる。
また、データフレームメモリ24に記憶されたデータフレーム311 が列方向から読み出されて、データDとして誤り訂正コア部25に出力される。そして、誤り訂正コア部25において、消失フラグデータ321 を利用して、データフレーム311 の各列毎にC2訂正が行われ、訂正後のデータフレーム312 がデータD’として再度、データフレームメモリ24に対して列方向に書き込まれる。
また、誤り訂正コア部25において、訂正の結果について、セット、リセットおよびコピーの判定が行われ、この判定結果が訂正フラグデータeとして訂正フラグメモリ232 に記憶される。ここで、セット、リセットおよびコピーは2ビットで区別でき、判定は各列ごとに行われるので、訂正フラグメモリ232 は360(=2×180)ビットの記憶容量を備えていればよい。
そして、論理回路271 において、訂正フラグメモリ231 および232 に記憶された訂正フラグデータに基づいて論理演算が行われ、180(行方向)×200(列方向)の消失フラグデータ322 が生成される。
ここで、図2に示すように、訂正フラグメモリ232 に記憶された訂正フラグデータの1列目がコピー(C)を示しているため、消失フラグデータ322 の1列目には、消失フラグデータ321 の1列目がコピーされる。
【0026】
ステップS3:データフレームメモリ24に記憶されたデータフレーム312 が行方向から読み出され、データDとして誤り訂正コア部25に出力される。
また、論理回路271 から消失フラグデータ322 が誤り訂正コア部25に出力される。
そして、誤り訂正コア部25において、消失フラグデータ322 に基づいて、データフレーム312 の各行毎にC1訂正が行われ、訂正後のデータフレーム313 がデータD’として再度、データフレームメモリ24に対して行方向に書き込まれる。
この訂正では、各行について、それぞれセット、リセットおよびコピーが判定され、これらの結果が訂正フラグデータeとして訂正フラグメモリ233 に記憶される。
ここで、セット、リセットおよびコピーは2ビットで区別でき、判定は各行毎に行われるので、訂正フラグメモリ233 は400(=200×2)ビットの記憶容量を備えていればよい。
そして、論理回路272 において、訂正フラグメモリ233 に記憶された訂正フラグデータと、論理回路271 からの消失フラグデータ322 とに基づいて、論理演算が行われ、消失フラグデータ323 が生成され。
ここで、訂正フラグメモリ232 に記憶された訂正フラグデータの2行目がコピー(C)を示しているため、消失フラグデータ323 の2行目には、消失フラグデータ322 の2行目がコピーされる。
【0027】
ステップS4:論理回路272 から消失フラグデータ323 が消失フラグデータEとして誤り訂正コア部25に出力される。
また、データフレームメモリ24に記憶されたデータフレーム313 が列方向から読み出されて、データDとして誤り訂正コア部25に出力される。そして、誤り訂正コア部25において、消失フラグデータ323 を利用して、データフレーム313 の各列毎にC2訂正が行われ、訂正後のデータフレーム314 がデータD’として再度、データフレームメモリ24に対して列方向に書き込まれる。
また、誤り訂正コア部25において、訂正の結果について、セット、リセットおよびコピーの判定が行われ、この判定結果が訂正フラグデータeとして訂正フラグメモリ234 に記憶される。ここで、セット、リセットおよびコピーは2ビットで区別でき、判定は各列ごとに行われるので、訂正フラグメモリ232 は360(=2×180)ビットの記憶容量を備えていればよい。
そして、論理回路273 において、訂正フラグメモリ234 に記憶された訂正フラグデータと、論理回路272 からの消失フラグデータ323 とに基づいて、論理演算が行われ、消失フラグデータ324 が生成される。
ここで、訂正フラグメモリ234 に記憶された訂正フラグデータの1列目がコピー(C)を示しているため、消失フラグデータ324 の1列目には、消失フラグデータ323 の1列目がコピーされる。
【0028】
ステップS5:データフレームメモリ24に記憶されたデータフレーム314 が行方向から読み出され、データDとして誤り訂正コア部25に出力される。そして、誤り訂正コア部25において、消失フラグデータ324 を利用して、データフレーム314 の各行毎にC1訂正が行われ、訂正後のデータフレーム315 がデータD’として再度、データフレームメモリ24に対して行方向に書き込まれる。
【0029】
以上説明したように、消失誤り訂正装置21によれば、消失フラグ用に、200ビットの訂正フラグメモリ231 と、360ビットの訂正フラグメモリ232 と、400ビットの訂正フラグメモリ233 と、360ビットの訂正フラグメモリ234 との合計1320ビットのメモリを用意すればよい。その結果、前述した従来の方法のように、消失フラグ用に36000ビットもの記憶容量を持つメモリを設ける場合に比べて、メモリの記憶容量を大幅に削減できる。
なお、消失誤り訂正装置21において、論理回路271 ,272 ,273 は、合計数百ゲート程度で実現でき、装置規模には殆ど影響を与えない。
【0030】
さらに、従来の消失誤り訂正装置では、消失フラグデータの更新は、消失フラグデータをデータ・消失フラグフレームメモリ1にそれぞれ書き込む必要があったのに対し、消失誤り訂正装置21によれば、消失フラグデータ全体をメモリに書き込むのではなく、各行あるいは各列ごとに、訂正フラグデータを訂正フラグメモリ231 〜234 に記憶するため、メモリアクセス数を大幅に削減でき、処理時間を短縮できる。
具体的には、消失誤り訂正装置21によれば、訂正フラグデータを、C1訂正のステップで200回、C2訂正のステップで180回のそれぞれ書き込む。つまり、従来の消失誤り訂正装置のように、各ステップで最大36000回もの書き込みを行う場合に比べて、それぞれ処理時間を200分の1および180分の1に短縮できる。
【0031】
第2実施形態
上述した第1実施形態の消失誤り訂正装置21では、最大のステップ数(繰り返し数)はm+1回となり、mの値で制限されていた。
本実施形態では、最大ステップ数に制限のない消失誤り訂正装置について説明する。
【0032】
本実施形態の消失誤り訂正装置は、消失フラグメモリブロックを除いて、図1に示す消失誤り訂正装置と同じ構成をしている。
図3は本実施形態の消失誤り訂正装置51の構成図、図4は図3に示す訂正フラグメモリブロック52の構成図である。
図3および図4に示すように、訂正フラグメモリブロック52は、訂正フラグメモリ531 ,532 ,533 ,534 および論理回路571 ,572 ,573 を有する。
【0033】
以下、「%」はモジュロ演算を示し、「n%m」はnをmで割ったときの余りを示している。また、a,b,c,dは、a%4=1、b%4=2、c%4=3、d%4=0の条件を満たしている。
訂正フラグメモリ531 は、a(=1,5,9,..)番目のステップにおいて、誤り訂正コア部25にて行われたC1訂正の訂正結果である200ビットの訂正フラグデータeを記憶する。
訂正フラグメモリ532 は、b(2,6,10,..)番目のステップにおいて、誤り訂正コア部25にて行われたC2訂正の訂正結果である180ビットの訂正フラグデータeを記憶する。
【0034】
訂正フラグメモリ533 は、c(3,7,11,..)番目のステップにおいて、誤り訂正コア部25にて行われたC1訂正の訂正結果である200ビットの訂正フラグデータeを記憶する。
訂正フラグメモリ534 は、d(4,8,12,..)番目のステップにおいて、誤り訂正コア部25にて行われたC2訂正の訂正結果である180ビットの訂正フラグデータeを記憶する。
【0035】
論理回路571 は、b番目のステップにおいて、訂正フラグメモリ532 から読み出した訂正フラグデータおよび消失フラグデータ621 を用いて論理演算を行い、180ビット(行方向)×200ビット(列方向)の消失フラグデータ622 を生成し、次のc番目のステップで、消失フラグデータ622 を誤り訂正コア部25および論理回路572 に出力する。
論理回路572 は、c番目のステップにおいて、訂正フラグメモリ533 から読み出した訂正フラグデータと、論理回路571 からの消失フラグデータ622 とを用いて論理演算を行い、消失フラグデータ623 を生成し、次のd番目のステップで、消失フラグデータ623 を誤り訂正コア部25および論理回路573 に出力する。
論理回路573 は、d番目のステップにおいて、訂正フラグメモリ534 から読み出した訂正フラグデータと、論理回路572 からの消失フラグデータ623 とを用いて論理演算を行い、消失フラグデータ624 を生成し、次のa番目のステップで、消失フラグデータ624 を誤り訂正コア部25に出力する。
【0036】
以下、本実施形態の消失誤り訂正装置の動作について説明する。
a番目のステップ:誤り訂正コア部25において、データフレームメモリ24から読み出されたデータDについて行方向にC1訂正が行われ、その訂正結果であるデータD’がデータフレームメモリ24に書き込まれる。また、各行について、それぞれセットとリセットの結果のみが判定され、200ビットの訂正フラグデータeが訂正フラグメモリ531 に書き込まれる。そして、訂正フラグメモリ531 に記憶された訂正フラグデータに応じた180ビット(行方向)×200ビット(列方向)の消失フラグデータ621 が生成される。
すなわち、a番目のステップでは、セットとリセットのみが判定され、コピーの判定は省略される。そのため、それ以前の訂正結果は利用されず、d番目のステップの次に行うa番目のステップで、前回のa番目のステップで利用した訂正フラグメモリ531 を再び使用できる。
【0037】
b番目のステップ:誤り訂正コア部25において、データフレームメモリ24から読み出されたデータDと、訂正フラグメモリブロック52からの消失フラグデータ621 とを用いて、列方向にC2訂正が行われ、その訂正結果であるデータD’がデータフレームメモリ24に書き込まれる。また、各列について、それぞれセット、リセットおよびコピーの結果が判定され、360(=180×2)ビットの訂正フラグデータeが、訂正フラグメモリ532 に書き込まれる。そして、論理回路571 において、訂正フラグメモリ532 に記憶された訂正フラグデータと、消失フラグデータ621 とを用いて論理演算が行われ、消失フラグデータ622 が生成される。
【0038】
c番目のステップ:誤り訂正コア部25において、データフレームメモリ24から読み出されたデータDと、訂正フラグメモリブロック52からの消失フラグデータ622 とを用いて、行方向にC1訂正が行われ、その訂正結果であるデータD’がデータフレームメモリ24に書き込まれる。また、各列について、それぞれセット、リセットおよびコピーの結果が判定され、400(=200×2)ビットの訂正フラグデータeが、訂正フラグメモリ533 に書き込まれる。そして、論理回路572 において、訂正フラグメモリ533 に記憶された訂正フラグデータと、消失フラグデータ622 とを用いて論理演算が行われ、消失フラグデータ623 が生成される。
【0039】
d番目のステップ:誤り訂正コア部25において、データフレームメモリ24から読み出されたデータDと、訂正フラグメモリブロック52からの消失フラグデータ623 とを用いて、列方向にC2訂正が行われ、その訂正結果であるデータD’がデータフレームメモリ24に書き込まれる。また、各列について、それぞれセット、リセットおよびコピーの結果が判定され、360(180×2)ビットの訂正フラグデータeが、訂正フラグメモリ534 に書き込まれる。そして、論理回路573 において、訂正フラグメモリ534 に記憶された訂正フラグデータと、消失フラグデータ623 とを用いて論理演算が行われ、消失フラグデータ624 が生成される。
【0040】
以上説明したように、消失誤り訂正装置51によれば、a番目のステップで、消失フラグデータを利用せずに誤り訂正を行うと共に、誤り訂正において、セットとリセットのみを判定し、コピーの判定を省略することで、それ以前の訂正結果は利用されない。そのため、d番目のステップの次に行うa番目のステップで、前回のa番目のステップで利用した、訂正フラグメモリ531 を再び使用できる。
その結果、消失誤り訂正装置51によれば、図4に示す訂正フラグメモリブロック52の構成を拡張することなく、すなわち、1320ビット(=200+360+400+360)の訂正フラグメモリを用いれば、C1訂正およびC2訂正を回数に制限なく繰り返し実行できる。
【0041】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
例えば、上述した図3および図4に示す消失誤り訂正装置51では、m=4の場合について例示したが、m=2の場合にも、本発明は適用できる。
この場合には、訂正フラグメモリブロックは、図5に示す構成になる。
図5に示す訂正フラグメモリブロック82は、訂正フラグメモリ831 ,832 および論理回路87を有する。消失誤り訂正装置は、奇数番目のステップでC1訂正を行い、セットとリセットのみを判定し、コピーの判定を省略することで、それ以前の訂正結果は利用しない。そして、判定結果に応じた200ビットの訂正フラグデータを訂正フラグメモリ831 に書き込む。また、偶数番目のステップで、訂正フラグメモリ831 に記憶された訂正フラグデータに応じた消失フラグデータ861 を用いてC2訂正を行い、セット、リセットおよびコピーを判定し、その判定結果に応じた360(=180×2)ビットの訂正フラグデータを訂正フラグメモリ832 に記憶する。但し、図5に示す訂正フラグメモリブロック82を用いると、訂正フラグメモリに必要とされる記憶容は560ビット(=200+360)となり、図4に示す消失フラグメモリブロック52を用いた場合に比べて小さくなるが、コピーの判断を行わない頻度が高くなり、訂正能力は低下する。従って、本実施形態の消失誤り訂正装置は、訂正能力よりも装置規模が重要視される場合には効果的である。
【0042】
また、本発明では、例えば訂正フラグデータの全てのビットがリセットを示す場合など、所定の条件を満たしたステップで、訂正処理を終了する構成にしてもよい。
また、上述した実施形態では、誤り訂正符号としてRS符号を用いたが、消失誤り訂正は、その他、例えばGoppa符号などでもよい。すなわち、本発明は、RS符号のみならず、消失誤り訂正が可能な全ての誤り訂正符号に対して適用できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、比較的小さなメモリ容量で、高い訂正能力と高い符号化効率とを同時に実現できる。
また、本発明によれば、高い訂正能力と高い符号化効率とを同時に高速に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態の消失誤り訂正装置の構成図である。
【図2】図2は、図1に示す消失誤り訂正装置の動作を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態の消失誤り訂正装置の構成図である。
【図4】図4は、図3に示す訂正フラグメモリブロックの構成図である。
【図5】図5は、本発明の消失誤り訂正装置のその他の実施形態の構成図である。
【図6】図6は、リードソロモン復号処理の対象となる誤り訂正用のデータフレームのフォーマットを説明するための図である。
【図7】図7は、従来の消失誤り訂正装置における処理を説明するための図である。
【図8】図8は、従来の消失誤り訂正装置における処理を説明するための図である。
【図9】図9は、従来の消失誤り訂正装置における処理を説明するための図である。
【符号の説明】
21… 消失誤り訂正装置
22,52… 訂正フラグメモリブロック
231 〜23m ,531 〜53m ,831 ,832 … 訂正フラグメモリ
24… データフレームメモリ
25… 誤り訂正コア部
271 〜27m ,571 〜57m ,87… 論理回路
Claims (16)
- マトリクス状に配置された複数のシンボルからなる積符号化されたデータ系列を、行方向および列方向から順に誤り訂正を行い、前記複数のシンボルについての誤り訂正の可否を行方向および列方向の単位で判断し、その判断結果を前記複数のシンボルのそれぞれに対応するビットで表した消失フラグデータを生成し、次の誤り訂正で、前記生成した消失フラグデータを利用する消失誤り訂正方法において、
前記データ系列について行方向の誤り訂正を行ったときに、誤り訂正の可否を行毎に示す訂正フラグデータを生成し、
前記データ系列について列方向の誤り訂正を行ったときに、誤り訂正の可否を列毎に示す訂正フラグデータを生成し、
前記訂正フラグデータと、過去に生成した消失フラグデータから、消失フラグデータを新たに生成し、
前記新たに生成した消失フラグデータを利用して、前記データ系列の消失誤り訂正を行う
消失誤り訂正方法。 - 前記行方向の誤り訂正と、列方向の誤り訂正とを交互に行う
請求項1に記載の消失誤り訂正方法。 - 前記データ系列について、最初に誤り訂正を行うときに、消失フラグデータを利用せずに誤り訂正を行い、誤り訂正の可否のみを示す訂正フラグデータを生成し、
2回目以降に誤り訂正を行うときに、消失フラグデータを利用して誤り訂正を行い、誤り訂正の可否に加えて、必要に応じて、過去の消失フラグデータの対応する列あるいは行を利用するコピーを示すビットを含む訂正フラグデータを生成する
請求項1に記載の消失誤り訂正方法。 - 前記最初に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行毎に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の行数のビット数を有する
請求項3に記載の消失誤り訂正方法。 - 前記2回目以降に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行毎に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の行数の2倍のビット数を有する
請求項3に記載の消失誤り訂正方法。 - 前記2回目以降に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行列に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の列数の2倍のビット数を有する
請求項3に記載の消失誤り訂正方法。 - 前記データ系列は、リードソロモン符号で2重に符号化されている
請求項1に記載の消失誤り訂正方法。 - マトリクス状に配置された複数のシンボルからなる積符号化されたデータ系列を、行方向および列方向から順に誤り訂正を行い、前記複数のシンボルについての誤り訂正の可否を行方向および列方向の単位で判断し、その判断結果を前記複数のシンボルのそれぞれに対応するビットで表した消失フラグデータを生成し、次の誤り訂正で、前記生成した消失フラグデータを利用する消失誤り訂正装置において、
前記データ系列を記憶するデータ系列記憶手段と、
消失フラグデータに基づいて、前記データ系列の行方向および列方向に誤り訂正を行い、当該誤り訂正の結果に応じて、誤り訂正の可否を行および列毎に示す訂正フラグデータを生成する誤り訂正手段と、
前記訂正フラグデータを記憶する訂正フラグデータ記憶手段と、
前記訂正フラグデータに記憶された訂正フラグデータと、過去に生成した消失フラグデータとから、消失フラグデータを新たに生成する消失フラグデータ生成手段と
を有する消失誤り訂正装置。 - 前記誤り訂正手段は、前記行方向の誤り訂正と、列方向の誤り訂正とを交互に行う
請求項8に記載の消失誤り訂正装置。 - 前記誤り訂正手段は、
前記データ系列について、最初に誤り訂正を行うときに、消失フラグデータを利用せずに誤り訂正を行い、誤り訂正の可否のみを示す訂正フラグデータを生成し、
2回目以降に誤り訂正を行うときに、消失フラグデータを利用して誤り訂正を行い、誤り訂正の可否に加えて、必要に応じて、過去の消失フラグデータの対応する列あるいは行を利用するコピーを示すビットを含む訂正フラグデータを生成する
請求項8に記載の消失誤り訂正装置。 - 前記最初に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行毎に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の行数のビット数を有する
請求項10に記載の消失誤り訂正装置。 - 前記2回目以降に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行毎に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の行数の2倍のビット数を有する
請求項10に記載の消失誤り訂正装置。 - 前記2回目以降に誤り訂正を行うときに誤り訂正の可否を行列に示す訂正フラグデータは、前記データ系列の列数の2倍のビット数を有する
請求項10に記載の消失誤り訂正装置。 - 前記誤り訂正手段は、
前記データ系列について、誤り訂正を行うときに、所定の回数毎に、消失フラグデータを利用せずに誤り訂正を行い、誤り訂正の可否のみを示す訂正フラグデータを生成し、
それ以外の回数では、消失フラグデータを利用して誤り訂正を行い、誤り訂正の可否に加えて、必要に応じて、過去の消失フラグデータの対応する列あるいは行を利用するコピーを示すビットを含む訂正フラグデータを生成する
請求項8に記載の消失誤り訂正装置。 - 前記訂正フラグデータ記憶手段は、
消失フラグデータを利用せずに誤り訂正を行って生成された訂正フラグデータを、前回、消失フラグデータを利用せずに誤り訂正を行って生成された訂正フラグデータが記憶されている記憶領域に記憶し、
消失フラグデータを利用して誤り訂正を行って生成された訂正フラグデータを、直前に消失フラグデータを利用せずに誤り訂正を行った以前に生成された訂正フラグデータが記憶されている記憶領域に記憶する
請求項14に記載の消失誤り訂正方法。 - 前記データ系列は、リードソロモン符号で2重に符号化されている
請求項8に記載の消失誤り訂正装置。
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