JP3813232B2 - 3次元cadシステムにおけるコスト見積もり支援システム - Google Patents

3次元cadシステムにおけるコスト見積もり支援システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元CADシステムにおいて、各種の作業コストの見積もり処理を支援するコスト見積もり支援システムに関するものである。
3次元CADシステム普及に伴って、様々な分野の製品開発において、実際に試作品を作成する前に、3次元CADシステムにより、部品組立時の干渉チェックや熱解析など様々な検証作業が、3次元CADシステムで作成された3次元モデル上で行われ、製品開発作業の効率化が図られている。
その一方、設計された製品自体についてのコストの低減もますます重要視されており、組立にかかるコストや時間を3次元CAD上のモデルと連係させて見積もる技術が要望されている。
【0002】
【従来の技術】
図10に、従来の作業コスト見積もりシステムの構成例を示す。
図10において、作業/コスト対応テーブル401は、各種の加工作業や組立作業に対応して、それぞれを実行した際に費やされる作業時間およびコストを格納する構成となっている。
【0003】
また、見積もり情報作成部402において、検索処理部411は、入力受付部403を介して作業情報を受け取り、上述した作業/コスト対応テーブル401から作業情報で示される各作業に対応する作業時間およびコストを順次に検索し、集計処理部412が、これらに作業時間およびコストをそれぞれ集計する構成となっている。
【0004】
このように、従来の作業コスト見積もりシステムは、作業内容をあからさまに記述した作業情報の入力に応じて、作業内容に含まれる各作業に要する作業時間およびコストを集計することができ、見積もり情報を作成して設計者に提供することができる。
一方、3次元CADシステムにおいて、3次元モデルを作成する際には、穴あけや曲げ、切断といった加工作業を指示する情報および面と面との接合や凸部と凹部との嵌合などの組立作業を指示する情報に基づいて、個々の部品の形状や複数の部品を組み立てた状態での形状を表す図形データが作成されており、これにより、3次元モデルに加工作業結果や組立作業結果が反映されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した作業コスト見積もりシステムは、3次元CADシステムとは全く別個のシステムになっている。
このため、作業コスト見積もりシステムを利用する際には、3次元CADシステムで設計して得られた3次元モデルに基づいて、設計者が改めて必要な情報を作業情報として抽出し、この作業情報を作業コスト見積もりシステムに入力する必要があった。
【0006】
このように、従来の技術においては、3次元CADシステムによって、各種の加工や組立作業に関する情報を反映した3次元モデルを作成しておきながら、作業コスト見積もり処理には活用されていなかった。
また、従来方式では、設計者が、それぞれの知識と経験を頼りに手作業で作業情報を抽出し、作業コスト見積もりシステムに入力する必要があり、設計者の作業負担が大きく、また、作業情報の見落としや入力ミスが発生しやすいため、見積もり結果の正確さも疑わしかった。
【0007】
更に、近年では、製造技術におけるコストの削減はほぼ限界に来ており、設計段階において、コストを意識しながら設計を進める必要性が増大しており、設計者が、材料に対する加工や部品の組立を指定する際に、それを実現するために必要とされる作業およびコストを意識することが必要とされている。
本発明は、3次元モデルを作成する際に指定する情報や3次元モデルに含まれている情報を作業コストや作業時間の見積もり処理に利用可能とするコスト見積もり支援システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
図1は、請求項1ないし請求項5の作業コスト見積もり支援システムの原理ブロック図である。
請求項1の発明は、描画指示の入力に応じて、描画手段101により単体部品の3次元形状を表す3次元モデルを作成し、モデルファイル102を介して表示手段103による表示処理に供する3次元CADシステムにおいて、入力される描画指示から所定の特徴を有する作図機能および対応する図形情報を抽出する機能情報抽出手段111と、抽出された作図機能および図形情報に基づいて、3次元モデルに加えられる変形処理に対応する加工作業を示す作業情報をそれぞれ作成する加工情報作成手段112と、各作業情報で示された作業を実現するために必要な作業コストを推定し、見積もり結果として出力するコスト推定手段113とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明は、描画手段101に入力される描画指示に基づいて、機能情報抽出手段111と加工情報作成手段112とが動作することにより、描画手段101による3次元モデル作成処理と並行して、3次元モデルに対する変形処理に対応する加工作業を示す作業情報を作成し、コスト推定手段113の処理に供することができる。
【0010】
ここで、描画指示によって指示される3次元モデルに対する変形処理は、単体部品を製作する際に、素材に加えられる加工作業に相当しているから、適切な作図機能を抽出することにより、上述した作業情報として、実際の部品製作に必要な加工作業を漏れなく抽出することが可能である。
図2は、本発明に関連する作業コスト見積もり支援システムの構成を示す図である。
【0011】
図2に示すように、描画指示の入力に応じて、描画手段101により単体部品の3次元形状を表す3次元モデルを作成し、モデルファイル102を介して表示手段103による表示処理に供する3次元CADシステムにおいて、モデルファイル102に格納された3次元モデルから、所定の特徴を有する3次元形状に関する形状情報を抽出する形状情報抽出手段121と、形状情報のそれぞれを受け取り、対応する3次元形状の描画に用いられる作図機能および図形情報に変換する変換手段122と、抽出された作図機能および図形情報に基づいて、3次元モデルに加えられる変形処理に対応する加工作業を示す作業情報をそれぞれ作成する加工情報作成手段112と、各作業情報で示された作業を実現するために必要な作業コストを推定し、見積もり結果として表示手段103による表示処理に供するコスト推定手段113とを備えることもできる。
【0012】
このような3次元CADシステムでは、モデルファイル102に格納された3次元モデルに基づいて、形状情報抽出手段121および変換手段122が動作し、得られた作図機能指示および図形情報を加工情報作成手段112の処理に供することにより、既存の3次元モデルに残された変形処理結果に基づいて、それぞれの変形処理に対応する加工作業を示す作業情報を作成し、コスト推定手段113の処理に供することができる。
【0013】
図2に示すように、描画指示の入力に応じて、描画手段101により複数の部品を組み合わせた物体の3次元形状を表す3次元モデルを作成し、モデルファイル102を介して表示手段103による表示処理に供する3次元CADシステムにおいて、モデルファイル102に格納された3次元モデルから、接触して配置された複数の部品の組それぞれを組立要素として抽出する組立要素抽出手段123と、3次元モデルに基づいて、組立要素として抽出された部品の組それぞれの配置に関する組立条件を抽出する組立条件抽出手段124と、各組立て情報に基づいて、3次元モデルにおける部品の接触部分に相当する組立作業を示す作業情報を作成する組立情報作成手段125と、各作業情報で示された作業を実現するために必要な作業コストを推定し、見積もり結果として表示手段103による表示処理に供するコスト推定手段113とを備えることもできる。
【0014】
このような3次元CADシステムでは、モデルファイル102に格納された3次元モデルに基づいて、組立要素抽出手段123および組立条件抽出手段124が動作して、3次元モデルにおける部品間の接触状態に応じた組立情報を作成することにより、組立情報作成手段125により、既存の3次元モデルに残された部品相互の配置処理結果に基づいて、それぞれの配置処理に対応する組立作業を示す作業情報を作成し、コスト推定手段113の処理に供することができる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコスト見積もり支援システムにおいて、作業情報の入力に応じて、該当する作業内容を表す表示データを作成し、表示手段103による表示処理に供する作業情報表示手段114を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、作業情報の入力に応じて作業情報表示手段114が動作することにより、3次元モデルの作成処理に並行して、設計者が入力した描画指示に対応する作業内容を表示手段103を介して利用者に提供することができる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1に記載のコスト見積もり支援システムにおいて、コスト推定手段113は、入力される可能性のある作業情報のそれぞれについて、対応する作業時間を格納する作業時間テーブル115と、作業情報の入力に応じて、作業時間テーブル115から対応する作業時間を検索する時間検索手段116とを備えた構成であることを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、作業情報の入力に応じて、時間検索手段116が作業時間テーブル115を検索することにより、描画指示の入力ごとに対応する作業情報で表された作業内容を実現するために要する作業時間を求めることができる。
請求項4の発明は、請求項1に記載のコスト見積もり支援システムにおいて、コスト推定手段113は、入力される可能性のある作業情報のそれぞれについて、対応する作業費用を格納する作業費用テーブル117と、作業情報の入力に応じて、作業費用テーブル117から対応する作業費用を検索する費用検索手段118とを備えた構成であることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、作業情報の入力に応じて、費用検索手段118が作業費用テーブル117を検索することにより、描画指示の入力ごとに対応する作業情報で表された作業内容を実現するために要する作業費用を求めることができる。
請求項5の発明は、請求項1に記載のコスト見積もり支援システムにおいて、加工情報作成手段112で得られた全ての作業情報にコスト推定手段113で得られた見積もり結果を付加して、作業指示リストを作成するリスト作成手段119を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、作業情報およびコスト見積もり結果の入力に応じて、リスト作成手段119が動作することにより、単体部品あるいは複数の部品を組み合わせた製品の製作に必要な作業指示リストを作成し、利用者に提供することができる。
また、図2に示すように、描画指示の入力に応じて、描画手段101により単体部品の3次元形状を表す3次元モデルを作成し、モデルファイル102を介して表示手段103による表示処理に供する3次元CADシステムにおいて、モデルファイル102に格納された3次元モデルに基づいて、単体部品の製作に必要な素材の量を推定する素材量推定手段131と、推定結果に基づいて、単体部品に必要とされる材料費を算出し、コスト見積もり結果として出力する材料費見積もり手段132とを備えることもできる。
【0020】
このような3次元CADシステムでは、モデルファイル102に格納された3次元モデルに基づいて素材量推定手段131が動作し、推定結果を材料費見積もり手段132の処理に供することにより、3次元モデルで表された単体部品の製作に必要な材料費を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図3は、請求項1のコスト見積もり支援システムを適用した3次元CADシステムの構成図である。
図3において、描画処理部201は、描画手段101に相当するものであり、描画指示受付部202を介して入力された描画指示に応じて、各部品および部品を組み立てて得られる製品の3次元形状を表す3次元モデルを作成し、モデルファイル203を介して表示処理部204の処理に供する構成となっている。
【0023】
この表示処理部204は、モデルファイル203に格納された3次元モデルを表す表示データを作成し、ディスプレイ205を介して利用者に提供する構成となっており、表示手段103の機能を果たしている。
また、図3において、機能指示抽出部211は、描画指示受付部202を介して入力される描画指示から後述する作図機能指示を抽出して、作業情報作成部212に送出し、これに応じて、作業情報作成部212は、機能/作業対応テーブル213を参照し、受け取った作図機能指示に基づいて作業情報を作成する構成となっている。
【0024】
ここで、描画指示は、3次元空間における作図処理を指示する作図機能指示を含んでおり、これらの作図処理のうち3次元モデルの変形操作に関するものは、材料に対する加工作業や部品相互の組立に対応している。
例えば、板状の3次元モデルを貫通する穴を表す図形を作成する作図機能指示「hole」や3次元モデルを折り曲げた状態を表す作図機能指示「bent」などは、3次元モデルに対する変形操作を指示しており、それぞれ穴あけ作業や曲げ作業などの加工作業に対応している。また、これらの作図機能指示とともに指定される詳細情報によって、穴の形状や大きさおよび曲げ角度などが表されている。
【0025】
この場合に、機能指示抽出部211が、各部品の3次元モデルの形成に用いられる描画指示から、上述したような機能指示および詳細情報を抽出することにより、図1に示した機能情報抽出手段111の機能を果たすことができる。
また、機能/作業対応テーブル213は、図4(a) に示すように、各機能指示に対応する加工作業を示す作業名を登録する構成とすればよい。
【0026】
この場合は、作図機能指示の入力に応じて、作業情報作成部212がこの機能/作業対応テーブル213を検索し、得られた作業名と上述した詳細情報とを組み合わせて作業情報を作成すればよい。
このように、機能指示の入力に応じて、作業情報作成部212および機能/作業対応テーブル213が動作することにより、図1に示した加工情報作成手段112の機能を実現し、描画指示で指定された変形操作機能に対応する作業を示す作業情報をそれぞれ作成し、作業コスト見積もり処理に供することができる。
【0027】
これにより、個々の部品についての3次元モデルの作成処理と並行して、部品を実際に製作するために必要な加工や組立を示す作業情報を作成することが可能となる。
このようにして、3次元モデルに対して行われた変形操作のそれぞれに対応する作業情報を作成し、この作業情報を順次に従来の作業コスト見積もりシステムに入力することにより、該当する部品の製作に必要な作業時間およびコストを正確に見積もることができる。
【0028】
例えば、図3に示すように、検索処理部411に上述した作業情報作成部212で得られた作業情報を順次に入力し、それぞれの作業情報に基づいて、この検索処理部411が作業/コスト対応テーブル401から検索した作業時間および作業コストを集計処理部412によって集計し、その集計結果を作業時間および作業コストの見積もり結果として出力すればよい。
【0029】
ここで、作業/コスト対応テーブルは、図5(a) に示すように、様々な作業内容ごとに、作業に要する時間および費用を格納する構成となっており、これにより、図1に示した作業時間テーブル115および作業費用テーブル117の機能が実現されている。
この場合は、検索処理部411が、図1に示した時間検索手段116および費用検索手段118として動作し、作業/コスト対応テーブル401から作業情報に対応する作業時間およびコストを検索し、この検索結果を集計処理部412によって集計することにより、コスト推定手段113の機能が実現されている。
【0030】
また、図3において、表示データ作成部214は、作業情報作成部212から各機能指示に対応する作業情報を受け取るとともに、上述した検索処理部411から対応する検索結果を受け取り、これらの情報を表す表示データを作成し、表示処理部204を介してディスプレイ205に表示する構成となっている。
このように、作業情報作成部212および検索処理部411の出力を表示データ作成部216を介して表示処理部204の処理に供する構成とすることにより、図1に示した作業情報表示手段114の機能を実現するとともに、図1に示したように、各作業情報に対応する作業時間、作業コストを表示手段103の処理に供する構成を実現することができる。
【0031】
このとき、表示データ作成部214は、受け取った作業情報と作業時間および作業コストの値とを対応付けて表す表示データを作成し、また、これに応じて、表示処理部204は、例えば、ディスプレイ205の特定の表示領域に、上述した表示データで表される文字列を表示すればよい。
このようにして、3次元モデルの作成処理を進めるとともに、3次元モデルに対して適用した変形操作機能をそれぞれ実現するための加工作業とこの加工作業に必要とされる作業時間および作業コストに関する単位コスト情報を表示して、利用者に提供することができる。
【0032】
この場合は、3次元CADシステムの利用者は、個々の部品の設計段階において、その部品を製作するために素材に加えられる加工作業それぞれについて、作業に要する時間および費用を知ることができる。
これにより、作業コストを意識しながら設計作業を進めることができるので、設計段階において、製造コストの低減を図ることが可能となり、全体としての製造コスト削減に寄与することができる。
【0033】
また、図3において、作業情報蓄積部215は、作業情報作成部212で得られた作業情報を順次に蓄積し、上述した検索処理部411による検索結果および集計処理部412による集計結果とともに、リスト作成部216の処理に供する構成となっている。
このリスト作成部216は、例えば、受け取った各作業情報と対応する単位コスト情報とを列記したリストに、単位コスト情報の集計結果を付加して作業指示リストを作成し、プリンタ(図示せず)を介して出力する構成となっている。
【0034】
このように、作業情報蓄積部215と集計処理部412とから受け取った情報に基づいて、リスト作成部216が動作することにより、図1に示したリスト作成手段119の機能を実現することができる。
これにより、各部品の設計終了と同時に作業指示リストを出力して、製造現場に提供することが可能となり、設計作業と製造作業との連係の緊密化を図ることが可能となる。
【0035】
また、図3に示した機能指示抽出部211が、組立作業に対応する変形操作を示す機能指示を抽出すれば、複数の部品を組み合わせた3次元モデルの作成処理と並行して、組立作業に関する作業情報を得ることができる。
例えば、機能指示抽出部211により、面と面との接合作業に対応する機能指示「mate」や凸部と凹部との嵌合作業に対応する機能指示「insert」などを抽出し、また、機能/作業対応テーブル213に、これらの機能指示と対応する組立作業名との対応関係を示す情報を追加すればよい。
【0036】
この場合は、3次元モデルにおいて、部品相互の組合せ作業が指示されるごとに、それぞれの変形操作機能に対応する作業情報を作成し、作業コストの見積もり処理および作業情報の表示処理、更に、組立指示リストの作成処理に供することができる。
また、既に作成作業が終了した3次元モデルに基づいて、作業情報を作成することも可能である。
【0037】
図6に、本発明に関連するコスト見積もり支援システムを適用した3次元CADシステムの構成を示す。
図6において、機能図形検出部221は、モデルファイル203に格納された3次元モデルを表す描画データの集合から、上述した機能指示に対応する描画データを検索し、変換処理部222を介して、作業情報作成部212の処理に供する構成となっている。
【0038】
このとき、機能図形検出部221は、3次元モデルにおいて、基本となる素材を表す図形(以下、基本図形と称する)に付加された図形や基本図形の変形を表す描画データを検出すればよい。例えば、素材を貫通する穴や切り欠き、また、板状の素材の屈曲などを表す描画データを検出し、機能指示に対応する描画データとして変換処理部222に送出すればよい。
【0039】
これに応じて、変換処理部222は、受け取った描画データに基づいて、基本図形に加えられた変形操作機能をそれぞれ判別し、該当する機能指示を変換結果として作業情報作成部212に送出する構成となっている。
このとき、変換処理部222は、描画データで表される図形それぞれに基づいて、該当する変形操作機能の詳細情報を作成し、上述した変換結果とともに出力すればよい。例えば、描画データにより、素材図形を貫通する穴が表されている場合は、この穴の2次元形状およびその大きさが、変換処理部222によって描画データから抽出され、機能指示「hole」に対応する詳細情報として作業情報作成部212の処理に供される。
【0040】
このように、機能図形検出部221と変換処理部222とが動作することにより、図2に示した形状情報抽出手段121および変換手段122の機能を実現し、既に作成が終了した3次元モデルを表す描画データの集まりから、作図機能指示および詳細情報を抽出することができる。
これにより、従来の3次元CADシステムにおいて作成された3次元モデルに含まれる情報を有効に利用することが可能となり、作業コスト見積もりシステムの適用範囲を大幅に拡大することができる。
【0041】
このようにして得られた作図機能指示および詳細情報に基づいて、作業情報作成部212が作業情報を作成することにより、モデルファイル203に格納された3次元モデルを形成する作業において、素材図形に加えられた各変形操作に対応する作業情報をそれぞれ作成し、作業時間および作業コストの見積もり処理に供することができる。
【0042】
この場合は、各変形操作に対応する作業情報の入力に応じて、検索処理部411と集計処理部412とが動作することにより、既存の3次元モデルで表される形状の作成に必要な総作業時間および総作業コストの見積もりを正確に算出することができる。
【0043】
また、集計処理部412による積算結果の入力に応じて、表示データ作成部214と表示処理部204とが動作することにより、ディスプレイ205に総作業時間および総作業コストの見積もり結果をそれぞれ表示して、利用者に提供することができる。
更に、作業情報蓄積部215に順次に蓄積された作業情報で表される作業内容と、総作業時間および総作業コストそれぞれの見積もり結果からなるコスト情報との入力に応じて、リスト作成部216が加工指示リストを作成し、プリンタによって印刷出力することにより、既存の3次元モデルで表される部品を実現するために必要とされる作業内容およびコスト情報についての記録を利用者に提供することができる。
【0044】
また、複数の部品から構成される3次元モデルに基づいて、組立作業に要する作業時間および作業コストの見積もり処理を行うことも可能である。
図7に、本発明に関連するコスト見積もり支援システムを適用した3次元CADシステムの構成を示す。
図7において、要素部品抽出部223は、図2に示した組立要素抽出手段123に相当するものであり、モデルファイル203を参照し、3次元モデルにおいて面同士が接触している要素部品の組合せを抽出する構成となっている。
【0045】
また、条件判別部224は、図2に示した組立条件抽出手段124に相当するものであり、抽出された要素部品の組それぞれについて、要素部品相互の位置関係に基づいて組立条件を判別する構成となっている。
また、図7において、変換処理部225は、条件判別部224で得られた組立条件を対応する作図機能指示に変換する構成となっており、この作図機能指示と要素部品を示す詳細情報とに基づいて、作業情報作成部212が、機能/作業対応テーブル213から該当する作業名を検索し、各組立要素に対応する組立作業を表す作業情報を作成することにより、図2に示した組立情報作成手段125の機能を実現する構成となっている。
【0046】
この場合に、機能/作業対応テーブル213は、図4(b) に示すように、組立条件を示す作図機能指示(例えば、作図機能指示「insert」)と組立要素との組合せごとに、該当する作業名として、「ねじ止め」、「スナップ」などを格納すればよい。
また、作業/コスト対応テーブル401に、様々な組立作業に対応して作業時間および作業費用を格納しておけば(図5(b) 参照)、検索処理部411が、作業情報の入力に応じてこの作業/コスト対応テーブル401を検索することにより、組立作業に必要作業時間および作業費用を推定することができる。
【0047】
この場合は、組立モデルに含まれる図形的な特徴に基づいて、組立要素を漏れなく抽出することができるので、作業時間や作業コストを見積もる際や作業指示リストを作成する際の人為的なミスの発生を防ぐことができる。
これにより、正確な作業コスト見積もりを得ることが可能となり、また、設計者の作業負担を大幅に軽減することができる。
【0048】
また、例えば、筐体などのように、板金を加工して製作する部品の3次元形状を表す3次元モデルに基づいて、必要となる材料コストを見積もることも可能である。
図8に、本発明に関連するコスト見積もり支援システムを適用した3次元CADシステムの構成を示す。
【0049】
図8において、輪郭抽出部231および寸法推定部232は、図2に示した素材量推定手段131に相当するものであり、この輪郭抽出部231により、モデルファイル203に格納された3次元モデルから部品の輪郭を表す描画データを抽出し、この輪郭を表す描画データに基づいて、寸法推定部232が、3次元モデルで表される部品の製作に必要な基本素材の寸法を推定する構成となっている。
【0050】
また、図8において、素材コストテーブル233は、様々な材質や寸法を持つ素材のそれぞれについて、価格を格納する構成となっており(図9参照)、検索処理部234が、上述した推定結果に応じて、素材コストテーブル233を検索することにより、材料費見積もり手段132の機能を実現している。
このとき、検索処理部234は、描画指示受付部202を介して指定された材質と上述した推定結果とを条件として上述した素材コストテーブル233を検索して、条件を満たす素材に対応する価格を選択し、材料コストの算出結果として表示データ作成部214に送出する構成となっている。
【0051】
これに応じて、表示データ作成部214は、材料コストの算出結果を表す表示データを作成し、表示処理部204を介してディスプレイ205の表示処理に供すればよい。
これにより、モデルファイル203に格納された3次元モデルに基づいて、その3次元モデルで表された部品を製作するために必要な材料コストを正確に見積もることができ、ディスプレイ205を介して利用者に提供することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1の発明によれば、個々の部品を表す3次元モデルの作成作業と並行して、その部品の製作に必要とされる加工作業に関する作業情報を逐次に抽出し、加工作業コストの見積もり処理に供することにより、加工作業コストを正確に推定可能とするとともに、設計者の作業負担を大幅に軽減することができる。
【0053】
また、3次元モデルで表された単体部品や組立部品の形状や配置の特徴から加工作業、組立作業および必要な素材量に関する情報を抽出して、これらの情報をコスト推定処理に供することにより、既存の3次元モデルに含まれる情報を有効に利用して、コストを正確に見積もることが可能となり、設計者の作業負担を大幅に軽減することができる。
【0054】
更に、請求項2から請求項4の発明を適用すれば、抽出した作業情報および各作業情報に対応する単位コスト情報を逐一表示して、利用者に提供することができ、利用者のコスト意識を向上することができ、また、請求項5の発明を適用すれば、これらの情報をまとめたリストを作成して、現場への指示などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1ないし請求項5の作業コスト見積もり支援システムの原理ブロック図である。
【図2】 本発明に関連する作業コスト見積もり支援システムの構成を示す図である。
【図3】 請求項1の作業コスト見積もり支援システムを適用した3次元CADシステムの構成図である。
【図4】 機能/作業テーブルの例を示す図である。
【図5】 作業/コスト対応テーブルの例を示す図である。
【図6】 本発明に関連する作業コスト見積もり支援システムを適用した3次元CADシステムの構成図である。
【図7】 本発明に関連する作業コスト見積もり支援システムを適用した3次元CADシステムの構成図である。
【図8】 本発明に関連する作業コスト見積もり支援システムを適用した3次元CADシステムの構成図である。
【図9】 素材コストテーブルの例を示す図である。
【図10】 従来のコスト見積もりシステムの構成例を示す図である。

Claims (5)

  1. 描画指示の入力に応じて、描画手段により単体部品の3次元形状を表す3次元モデルを作成し、モデルファイルを介して表示手段による表示処理に供する3次元CADシステムにおいて、
    入力される前記描画指示から所定の特徴を有する作図機能および対応する図形情報を抽出する機能情報抽出手段と、
    抽出された前記作図機能および前記図形情報に基づいて、前記3次元モデルに加えられる変形処理に対応する加工作業を示す作業情報をそれぞれ作成する加工情報作成手段と、
    前記各作業情報で示された作業を実現するために必要な作業コストを推定し、見積もり結果として出力するコスト推定手段と
    を備えたことを特徴とするコスト見積もり支援システム。
  2. 請求項1に記載のコスト見積もり支援システムにおいて、
    作業情報の入力に応じて、該当する作業内容を表す表示データを作成し、表示手段による表示処理に供する作業情報表示手段を備えた
    ことを特徴とするコスト見積もり支援システム。
  3. 請求項1に記載のコスト見積もり支援システムにおいて、
    コスト推定手段は、
    入力される可能性のある作業情報のそれぞれについて、対応する作業時間を格納する作業時間テーブルと、
    作業情報の入力に応じて、前記作業時間テーブルから対応する作業時間を検索する時間検索手段とを備えた構成である
    ことを特徴とするコスト見積もり支援システム。
  4. 請求項1に記載のコスト見積もり支援システムにおいて、
    コスト推定手段は、
    入力される可能性のある作業情報のそれぞれについて、対応する作業費用を格納する作業費用テーブルと、
    作業情報の入力に応じて、前記作業費用テーブルから対応する作業費用を検索する費用検索手段とを備えた構成である
    ことを特徴とするコスト見積もり支援システム。
  5. 請求項1に記載のコスト見積もり支援システムにおいて、
    加工情報作成手段で得られた全ての作業情報にコスト推定手段で得られた見積もり結果を付加して、作業指示リストを作成するリスト作成手段を備えた
    ことを特徴とするコスト見積もり支援システム。
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