JP3812762B2 - 伸張可能なパネル材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造建築物の床面パネル、天井面パネルおよび壁面パネルとして用いられる伸張可能なパネル材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のパネル材としては、特公平7−54015号公報に示すものがある。すなわち、合板の室内面に密閉用フィルムを介してパネル下地枠を添着し、合板の室外面に断熱板を添着してパネル材が構成され、このパネル材のパネル下地枠を壁面用フレームの開口部に嵌合して木造建築物を施工するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、壁面用フレームの開口部の大きさがまちまちの場合、それぞれの大きさに合わせたパネル材を複数種類、準備しなければならず、パネル材の部品管理、在庫管理および現場のセッティングが煩瑣でそれに伴うコストが嵩むという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、施工箇所に合わせて大きさを変えることができ、部品管理、在庫管理および現場のセッティングを容易にすることができる伸張可能なパネル材を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の本発明に係るパネル材は、気密性を有し、開口部周縁にフランジを有する底面が矩形状の函体を有し、前記函体は幅方向および長さ方向に横断して長さ方向および幅方向に伸張可能な伸張部を有することを特徴とする。
【0006】
函体は、アルミ箔と合成樹脂とを張り合わせたもの、合成樹脂単体、ゴム、その他、気密性を有する材質であれば、いかなる材質から成ってもよい。函体の内部には、補強材を設けてもよい。フランジの枠組み固定面および函体側面には、両面粘着テープを張り付けてあってもよい。函体の底面は、長方形状であっても、正方形状であってもよい。伸張部は、函体の一部のみに設けられていても、全体に設けられていてもよい。
【0007】
請求項1の本発明に係るパネル材を用いて木造建築物を施工する場合、木造建築物の格子状に組まれた梁の枠組みまたは2本の柱と根太と梁とで構成される枠組みに函体を嵌め込む。函体は、伸張部を伸ばすことにより長さ方向または幅方向に伸び、枠組みの大きさに合う。函体を、周縁のフランジで枠組みに固定する。フランジを枠組みに気密性の粘着テープ等で張り付けることにより気密性は確実に保たれる。函体の内部には、断熱材等を収容することができる。
【0008】
請求項2の本発明に係るパネル材は、気密性を有し、開口部周縁にフランジを有する底面が矩形状で4つの側面を有する函体を有し、前記函体は幅方向および長さ方向に横断して長さ方向および幅方向に伸張可能な伸張部を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の本発明に係るパネル材は、長さ方向および幅方向の両方に伸張可能なので、枠組みの大きさに合わせやすい。
【0010】
請求項3の本発明に係るパネル材は、請求項1または2のパネル材において、前記函体は周囲側面に深さ方向に伸張可能な伸張部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3の本発明に係るパネル材は、周囲側面の伸張部を伸ばすことにより枠組みの厚さや断熱材の厚さに応じて函体の深さを変えることができる。
【0012】
請求項4の本発明に係るパネル材は、請求項2または3のパネル材において、蓋材を有し、前記蓋材は長さ方向および幅方向に伸張可能な伸張部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4の本発明に係るパネル材は、函体の大きさに応じて蓋材を伸ばし、蓋材を函体の大きさに合わせて、函体を密閉することができる。函体を密閉することにより断熱効果を高めることができる。
【0014】
請求項5の本発明に係るパネル材は、請求項1,2,3または4のパネル材において、前記伸張部は、可塑性樹脂シートまたは伸縮可能な折り重ね部から成ることを特徴とする。
【0015】
函体は、全体を可塑性樹脂シートから構成してもよいが、函体の形状を歪みにくくするため、一部のみに可塑性樹脂シートを設けることが好ましい。函体は、全体に折り重ね部が設けられていても、一部のみに折り重ね部が設けられていてもよい。
【0016】
請求項6の本発明に係るパネル材は、請求項1,2,3,4または5のパネル材において、前記函体の内部に圧縮可能な断熱材を有することを特徴とする。
【0017】
請求項6の本発明に係るパネル材は、函体の大きさに合わせて断熱材を圧縮させ、枠組みの大きさに合わせることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の第1形態および第2形態について説明する。
図1〜図5は、本発明の実施の第1形態を示している。
図1に示すように、パネル材10は、函体11と、蓋材12と、断熱材13とから成っている。図2に示すように、函体11は、底面21および開口部22が矩形状であって開口部周縁にフランジ14を有している。函体11は、厚さ3ミリ程度の薄くて引張強度の強い材質から成る。函体11は、片面がアルミ箔で覆われ、反対面が防湿性合成樹脂で覆われており、気密性および防湿性を有している。函体11は、寒い地域では、アルミ箔側の面が室内側を向くように用いることで、室内を暖かく保つことができ、暑い地域では、アルミ箔側の面が室外側を向くように用いることで、室内を涼しく保つことができる。
【0019】
函体11は、4つの側面23,23,…に沿って幅方向および長さ方向に横断する4本の伸張部15,15,…を有している。各伸張部15は、底面21、側面23およびフランジ14に形成されている。図3および図4に示すように、伸張部15は、伸縮可能な折り重ね部から成っている。折り重ね部は、山線24と2本の谷線25,26とを一定の幅で交互に繰り返して、山線24と谷線26との間の面27を2つの谷線25,26の間の面と折り重ねて成っている。幅方向および長さ方向の伸張部15は、折り重ね部の折り重ねられた面27を伸ばすことにより長さ方向および幅方向に伸張可能である。函体11は、図1に示すように、周囲の側面23,23,…にも伸張部15を有している。側面23の伸張部15は、幅方向および長さ方向の伸張部15と同様に折り重ね部から成り、深さ方向に伸張可能である。
【0020】
図1および図5に示すように、蓋材12は、フランジ14の外周と同じ大きさの矩形状の薄板から成る。蓋材12は、4つの辺12a,12a,…に沿って幅方向および長さ方向に横断する4本の伸張部15を有している。伸張部15は、幅方向および長さ方向の伸張部15と同様に折り重ね部から成り、長さ方向および幅方向に伸張可能である。断熱材13は、繊維状であって、圧縮可能である。断熱材13は、函体11の内部に収容される。
【0021】
次に作用を説明する。
パネル材10を用いて施工される木造建築物は、土台と根太と柱と梁とで構成される軸組を有する木造建築物である。なお、本明細書中で、「梁」の概念には、桁を含む。また、「柱」の概念には、支柱、間柱、束を含む。パネル材10の施工の際には、図1(B)に示すように、まず、格子状に組まれた梁の枠組みAに上方からパネル材10の函体11を嵌め込む。函体11は、側面23を手で引っ張って、幅方向および長さ方向に横断する伸張部15の折り重ねられた面27を伸ばすことにより、長さ方向および幅方向に伸び、枠組みAの大きさに合う。函体11の側面23,23,…は、枠組みAの内面に密着させる。パネル材10は、長さ方向および幅方向の両方に伸張可能なので、枠組みAの大きさに合わせやすい。パネル材10は、縮めた状態で搬送できるため、搬送の際に嵩張らず、搬送量を増やすことができる。
【0022】
周縁のフランジ14を気密性の両面粘着テープ(図示せず)で枠組みAに張り付ける。両面粘着テープは、フランジ14および枠組みAに接着し、気密性が確実に保たれる。次に、フランジ14を枠組みAの上面に釘で固定する。さらに、釘の上に、気密性粘着テープ(図示せず)を張り付ける。気密性粘着テープは、フランジ14の外周を覆って枠組みAに張り付けられていてもよい。
【0023】
函体11の内部に断熱材13を収容する際には、底面21を手で押して、周囲側面23,23,…の伸張部15の折り重ねられた面27を伸ばすことにより、枠組みAの厚さや断熱材13の厚さに応じて函体11の深さを変える。そして、函体11の内部に断熱材13を収容する。断熱材13は、必要に応じて函体11の大きさに合わせて圧縮させ、枠組みAの大きさに合わせることができる。
【0024】
次に、函体11の大きさに応じて蓋材12を伸ばす。蓋材12は、幅方向および長さ方向に横断する伸張部15を伸ばすことにより、長さ方向および幅方向に伸張可能である。こうして、蓋材12を函体11の大きさに合わせる。蓋材12を、気密性の両面粘着テープでフランジ14に接着し、函体11を密閉する。函体11を密閉することにより断熱効果を高めることができる。2本の柱と根太と梁とで構成される壁側の枠組みにも、梁の枠組みAと同様に、パネル材10を取り付けることができる。このように、パネル材10を枠組みAに嵌め込んで固定することにより、簡単かつ短時間で、気密性を高めた床および壁を作ることができる。こうしてできた床および壁に内装および外装を行う。
【0025】
また、函体11の内部には、函の構造を強化するため、内枠や筋交いなどの補強材を設けてもよい。断熱材13は、函体11の内部に単に詰め込んだだけでもよいが、両面粘着テープや接着剤などで函体11に接着してもよい。なお、伸張部15は、伸縮可能なので、伸張後、必要に応じて縮めてもよい。
【0026】
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。
図6は、本発明の実施の第2形態を示している。
図6に分解して示すように、パネル材30は、函体31から成っている。函体31は、底面32および開口部33が矩形状であって開口部周縁にフランジ34を有している。函体31は、気密性および防湿性を有する薄いシートから成る。函体31は、2つのコーナー部35,35と、1つの中間部36に分かれている。各コーナー部35は、2つの隣合うコーナー37,37を有している。2つのコーナー部35,35は、中間部36を挟んで函体を構成するよう中間部36に接着されている。
【0027】
中間部36は、函体31の幅方向に横断する伸張部38を中央に有している。伸張部15は、可塑性樹脂シートから成り、両側のシート39,39に接着されている。パネル材10は、伸張部38により、長さ方向に伸張可能である。パネル材30は、2つのコーナー部35,35と、1つの中間部36に分けて製造され、伸張部15が可塑性樹脂シートで構成されるため、実施の第1形態のパネル材10に比べて製造が容易である。
【0028】
【発明の効果】
本発明に係るパネル材によれば、気密性を有し、長さ方向または幅方向に伸張可能な伸張部を有するので、施工箇所に合わせて大きさを変えて気密性を保つことができ、部品管理、在庫管理および現場のセッティングを容易にすることができる。また、本発明に係るパネル材によれば、縮めた状態で搬送できるため、搬送の際に嵩張らず、搬送量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態のパネル材の(A)函体と蓋材とを分離した状態を示す説明断面図、(B)函体に蓋材を被せた状態を示す説明断面図である。
【図2】図1のパネル材の函体を示す平面図である。
【図3】図1のパネル材の函体の伸張部を示す断面斜視図である。
【図4】図1のパネル材の函体の伸張部を示す断面図である。
【図5】図1のパネル材の蓋材を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の第2形態のパネル材の函体を示す分解平面図である。
【符号の説明】
10 パネル材
11 函体
12 蓋材
13 断熱材
14 フランジ
15 伸張部
Claims (6)
- 気密性を有し、開口部周縁にフランジを有する底面が矩形状の函体を有し、前記函体は幅方向および長さ方向に横断して長さ方向および幅方向に伸張可能な伸張部を有することを特徴とする伸張可能なパネル材。
- 気密性を有し、開口部周縁にフランジを有する底面が矩形状で4つの側面を有する函体を有し、前記函体は幅方向および長さ方向に横断して長さ方向および幅方向に伸張可能な伸張部を有することを特徴とする伸張可能なパネル材。
- 前記函体は周囲側面に深さ方向に伸張可能な伸張部を有することを特徴とする請求項1または2記載の伸張可能なパネル材。
- 蓋材を有し、前記蓋材は長さ方向および幅方向に伸張可能な伸張部を有することを特徴とする請求項1,2または3記載の伸張可能なパネル材。
- 前記伸張部は、可塑性樹脂シートまたは伸縮可能な折り重ね部から成ることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の伸張可能なパネル材。
- 前記函体の内部に圧縮可能な断熱材を有することを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の伸張可能なパネル材。
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