JP3812491B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機などに代表される弾球遊技機に関し、特に、「ぶら下げ基板」等による不正行為を防止することができる弾球遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のパチンコ遊技機は、複数種類の図柄を変動表示可能な表示装置を備えており、遊技領域に打ち込まれた打球が図柄作動ゲートを通過することにより、変動表示を開始するように構成されている。この変動表示が予め定められた図柄の組み合わせと一致して停止すると、大当たりとなって、遊技者に所定の遊技価値が付与され、大量の遊技球が払出可能な状態となる。
【0003】
かかる大当たりの発生の有無は、打球が図柄作動ゲートを通過するタイミングで決定される。即ち、1カウントずつ定期的に一定の範囲で(例えば、1カウントずつ、2ms毎に、0から346の範囲で)更新されるカウンタを備え、打球が図柄作動ゲートを通過したときに、そのカウンタの値を読み出し、読み出されたカウンタの値が、例えば「7」などの所定値と一致する場合に、大当たりを発生させている。大当たりが発生すると、制御基板のコネクタに接続されたケーブルを介して、大当たりコマンドが表示装置の表示用基板へ送信される。表示装置では、受信された大当たりコマンドに基づいて、変動表示を制御し、所定の図柄の組み合わせで停止する大当たり表示を現出させるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近、「ぶら下げ基板」と呼ばれる不正な基板を使用した不正行為が報告されている。この不正行為は、制御基板と表示装置の表示用基板との間に、不正な基板をぶら下げて(不正な「ぶら下げ基板」を取り付けて)、不当に大当たりを発生させるというものである。具体的には、前記したパチンコ遊技機に設けられる大当たりを決定するためのカウンタと同様の働きをするカウンタ(1カウントずつ定期的に一定の範囲で更新されるカウンタ)を「ぶら下げ基板」内に設け、そのカウンタの値をパチンコ遊技機の電源投入に合わせてリセット(0クリア)することにより、「ぶら下げ基板」内で大当たりの発生タイミングを把握する。そして、その把握した大当たりの発生タイミングに合わせて、「ぶら下げ基板」内で打球の図柄作動ゲート通過信号を不正に生成し、これをパチンコ遊技機の制御基板へ出力して、不当に大当たりを発生させるというものである。遊技場などでは、この「ぶら下げ基板」を用いた不正行為により、多大な被害を被っているという問題点があった。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、「ぶら下げ基板」等による大当たりの発生タイミングの把握を不可能にして、かかる「ぶら下げ基板」等を用いた不正行為を防止することができる弾球遊技機を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の弾球遊技機は、乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段と、その読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が予め定められた値と一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与する制御手段とを備え、前記更新手段および読出手段を実行するCPUと、そのCPUを動作させるクロックパルスを発振する動作クロックと、その動作クロックの発振周波数と非同期の発振周波数のクロックパルスを発振するカウントクロックと、そのカウントクロックにより発振されるパルスに基づいて更新されるカウント回路とを備え、前記制御手段は、前記更新手段により更新されている乱数カウンタの値を変更すること無く、前記読出手段により読み出された乱数カウンタの値と前記カウント回路の値とに基づいて、その読出手段により読み出された乱数カウンタの値を変更し、その変更された値が予め定められた値と一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与するものである。
【0007】
請求項2記載の弾球遊技機は、請求項1記載の弾球遊技機において、前記カウント回路は、前記CPUに外付けされている。
請求項3記載の弾球遊技機は、請求項1又は2に記載の弾球遊技機において、前記カウント回路のカウント値は、電源の投入時において初期化されずに、電源投入時における不定値から更新を開始するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0009】
図1は、パチンコ遊技機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、打球が入賞することにより5個から15個の遊技球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ図柄の変動表示が行われる。
【0010】
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動ゲート(第1種始動口)4が設けられている。打球がこの図柄作動ゲート4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動ゲート4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、打球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、打球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、打球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に打球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0011】
図2は、かかるパチンコ遊技機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ遊技機Pの制御部Cは、8.192MHzの動作クロック11aに基づいて動作するCPU11と、そのCPU11によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM12と、制御プログラムの実行時に各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM13と、7.15909MHzのクロック14aから出力されるクロックパルスの立ち下がり毎にカウントアップを行うカウンタIC14とを備えている。なお、図3から図6のフローチャートに示すプログラムは、制御プログラムの一部としてROM12内に記憶されている。
【0012】
RAM13は、乱数カウンタ13aと、保留球カウンタ13bと、4バイトの保留球バッファ13cとを備えている。乱数カウンタ13aは、大当たりの発生を決定するためのカウンタである。乱数カウンタ13aの値は、図4の乱数カウンタ更新処理により、「0〜200」の範囲で、2ms毎に1カウントずつ更新される。この乱数カウンタ13aの値は、打球が図柄作動ゲート4を通過するタイミングで、カウンタIC14の値とともに読み出され、加算される。加算の結果、その和(その和が乱数カウンタ13aの更新範囲を超えた「201」以上である場合には、その和から「201」を減算した値)が、大当たり判定値となり、当たり値(例えば「7」)の一つと一致する場合に、大当たりが発生する。
【0013】
保留球カウンタ13bは、保留球バッファ13cに記憶される大当たり判定値の数(大当たり判定の保留数)をカウントするためのカウンタである。この保留球カウンタ13bの値は、打球が図柄作動ゲート4を通過することにより「1」ずつ加算され、大当たりの判定が行われるたびに「1」ずつ減算される。なお、本パチンコ遊技機Pでは、大当たりの判定の保留数は「4」までとされているので、保留球カウンタ13bの値は「0〜4」の範囲で更新される。
【0014】
保留球バッファ13cは、大当たりの判定値、即ち、乱数カウンタ13aの値とカウンタIC14のカウント値との和(その和が乱数カウンタ13aの更新範囲を超えた「201」以上である場合には、その和から「201」を減算した値)を記憶するバッファであり、大当たり判定の保留数に合わせて4バイトで構成されている。前記したように、打球が図柄作動ゲート4を通過するタイミングで、かかる和が、保留球カウンタ13bの値番目の保留球バッファ13cへ記憶される。この保留球バッファ13の値は、大当たり判定処理において、0番目の値が読み出され、その読み出された値に基づいて、大当たりの判定が行われる。保留球バッファ13cの値の読み出し後は、その値を1バイトずつ小さいアドレス側へシフトして、次の値の読み出しに備える。
【0015】
カウンタIC14は、7.15909MHzのクロック14aから出力されるクロックパルスの立ち下がり毎に、カウントアップを行う8ビットカウンタである。よって、「0〜255」の範囲で更新されるが、カウント値の読み出しの際には、最上位の1ビットをマスクして読み出すので、読み出される値は「0〜127」の範囲の値となる。CPU11からカウンタIC14のアドレスとリード信号とが出力されると、カウンタIC14のカウント値が、一旦、カウンタIC14内部の出力レジスタにラッチされ、そのラッチされた値がデータバスに出力されて、CPU11に読み込まれる。カウンタIC14では、このカウント値の読み出しの最中にも、クロック14aのクロックパルスに基づいてカウント値の更新が行われている。カウンタIC14の値は、打球が図柄作動ゲート4を通過するタイミングで読み出され、乱数カウンタ13aの値と加算されて、大当たりの判定に用いられる。
【0016】
また、カウンタIC14のカウント値は、電源の投入時において初期化されず、電源投入時における不定値からカウントアップを開始する。よって、「ぶら下げ基板」は、カウンタIC14の不定な初期値を把握することができないので、カウンタIC14のカウント値を把握することができないのである。更に、カウンタIC14は、CPU11に外付けされたICであるので、2ms毎にCPU11へリセット割込がかけられても、カウンタIC14のカウント値は、その都度「0」クリアされてしまうことはなく、カウントを継続することができる。よって、CPU11のリセット割込の度に、カウンタIC14のカウント値を保存し、その保存された値をカウンタIC14へ書き戻すという、煩雑な処理が不要となる。
【0017】
図2に示すように、これらのCPU11、ROM12、RAM13、カウンタIC14は、バスライン17を介して互いに接続されている。バスライン17は、また、入出力ポート15にも接続されており、この入出力ポート15は表示装置Dや他の入出力装置16と接続されている。制御部Cは、入出力ポート15を介して、表示装置Dや他の入出力装置16へ動作コマンドを送り、それら各装置を制御する。LCDディスプレイ3の変動表示や特定入賞口5の開閉動作も、この動作コマンドに基づいて制御される。
【0018】
表示装置Dは、CPU21と、プログラムROM22と、ワークRAM23と、ビデオRAM24と、キャラクタROM25と、画像コントローラ26と、入出力ポート27と、LCDディスプレイ3とを備えている。表示装置DのCPU21は、制御部Cから出力される動作コマンドに応じて、LCDディスプレイ3の表示制御(変動表示)を行うものであり、プログラムROM22には、このCPU21により実行されるプログラムが記憶されている。ワークRAM23は、CPU21によるプログラムの実行時に使用されるワークデータが記憶されるメモリである。
【0019】
ビデオRAM24は、LCDディスプレイ3に表示されるデータが記憶されるメモリであり、このビデオRAM24の内容を書き換えることにより、LCDディスプレイ3の表示内容が変更される。即ち、各表示領域における図柄の変動表示は、ビデオRAM24の内容が書き換えられることにより行われる。キャラクタROM25は、LCDディスプレイ3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ26は、CPU21、ビデオRAM24、入出力ポート27のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM24に記憶される表示データをキャラクタROM25を参照して所定のタイミングでLCDディスプレイ3に表示させるものである。
【0020】
次に、上記のように構成されたパチンコ遊技機Pで実行される各処理を、図3から図6のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
図3は、パチンコ遊技機Pの制御部Cにおいて、2ms毎に実行されるリセット割込処理のフローチャートである。リセット割込処理では、まず、その処理が電源投入後、最初に実行された処理であるか否かを調べ(S1)、最初に実行された処理であれば(S1:Yes)、RAM13の初期化を行う(S2)。なお、前記した通り、電源投入後の最初に実行されたリセット割込処理であっても、カウンタIC14の値の初期化は行わない。このためカウンタIC14のカウントは、電源投入毎に変化する不定値から開始されることになるので、この点においても「ぶら下げ基板」による乱数値の把握を不可能にすることができる。
【0022】
S2の処理の実行後、又は、S1の処理において電源投入後2回目以降に実行されたリセット割込処理であると判断された場合には(S1:No)、図4の乱数カウンタ更新処理(S10)を実行する。
【0023】
図4は、乱数カウンタ更新処理のフローチャートである。この処理により乱数カウンタ13aの値は、「0〜200」の範囲で1カウントずつ更新される。乱数カウンタ更新処理では、まず、乱数カウンタ13aの値が「200」以上であるか否かを調べる(S11)。乱数カウンタ13aの値が「200」未満であれば(S11:No)、乱数カウンタ13aの値を「1」加算して更新する(S12)。一方、乱数カウンタ13aの値が「200」以上であれば(S11:Yes)、その値を「0」クリアして(S13)、この処理を終了する。
【0024】
乱数カウンタ更新処理(S10)が終了すると、図3のリセット割込処理に戻り、その後、スイッチ入賞処理(S20)を実行する。図5は、スイッチ入賞処理のフローチャートである。スイッチ入賞処理では、そのときの乱数カウンタ13aの値とカウンタIC14の値とを加算して大当たり判定値を算出し、これを保留球バッファ13cへ記憶するとともに、保留球カウンタ13bの更新が行われる。
【0025】
スイッチ入賞処理では、まず、打球が図柄作動ゲート4を通過したか否かを調べ(S21)、通過していれば(S21:Yes)、更に、保留球カウンタ13bの値を調べる(S22)。保留球カウンタ13bの値が「3」以下であれば(S22:No)、カウンタIC14の値を最上位の1ビットをマスクして、下位7ビットのみを読み出し、これをBレジスタへ書き込む(S23)。Bレジスタへの書き込み後、乱数カウンタ13aの値を読み出して、その値をBレジスタへ加算する(S24)。
【0026】
加算後のBレジスタの値が、乱数カウンタ13aの更新範囲の上限値である「200」を越えているか否か、即ち、「201」以上であるか否かを調べ(S25)、Bレジスタの値が「200」以下であれば(S25:No)、そのまま、一方、Bレジスタの値が「201」以上であれば(S25:Yes)、そのBレジスタの値から「201」を減算して(S26)、Bレジスタの値を乱数カウンタ13aの更新範囲内の値である「0〜200」にする。
【0027】
S23〜S26の各処理により、乱数カウンタ13aの更新範囲の値である「0〜200」のいずれかとなったBレジスタの値を、保留球カウンタ13bの値番目の保留球バッファ13cへ書き込み(S27)、その後、保留球カウンタ13bの値を「1」加算して、このスイッチ入賞処理を終了する。これにより、大当たり判定値(S27におけるBレジスタの値)が、保留球バッファ13cに記憶される。
【0028】
一方、S21の処理において、打球の図柄作動ゲート4の通過が検出されない場合には(S21:No)、大当たり判定値の記憶は行われないので、また、打球が図柄作動ゲート4を通過しても、S22の処理において、保留球カウンタ13bの値が「4」以上である場合には(S22:Yes)、既に4個の大当たり判定値を保留球バッファ13cに記憶しており、これ以上記憶させることができないので、これらの場合には、S23〜S28の各処理をスキップして、このスイッチ入賞処理を終了する。
【0029】
スイッチ入賞処理が終了すると、図3のリセット割込処理に戻り、その後、大当たり判定処理(S30)を実行する。図6は、大当たり判定処理のフローチャートである。大当たり判定処理では(S30)、大当たりの発生の有無を判定し、大当たりが発生すると、大当たり処理を実行する。
【0030】
まず、表示装置Dにおいて図柄の変動表示が行われているか否かを判断し、図柄の変動表示中であれば(S31:Yes)、大当たりの判定を行うことなく、この処理を終了する。次に、特別遊技状態中であるか否かを判断し、特別遊技状態中であれば(S32:Yes)、この場合にも、大当たりの判定を行うことなく、この処理を終了する。更に、保留球カウンタ13bの値を判断し、保留球カウンタ13bの値が「0」であれば(S33:No)、保留球バッファ13cに大当たりの判定値が1個も記憶されていないので、この場合にも、大当たりの判定を行うことなく、この処理を終了する。
【0031】
一方、図柄の変動表示中でなく(S31:No)、特別遊技状態中でもなく(S32:No)、かつ、保留球カウンタ13bの値が「1」以上であれば(S33:Yes)、S34以降の処理に移行して、大当たりの判定が行われる。
【0032】
まず、保留球カウンタ13bの値を「1」減算し(S34)、その後、0番目の保留球バッファ13cの値をBレジスタへ書き込む(S35)。このBレジスタへ書き込まれた保留球バッファ13cの値が大当たりの判定値である。保留球バッファ13cから大当たりの判定値を読み出した後は、保留球バッファ13cの内容を1バイトずつ、小さいアドレス側へシフトし(S36)、保留球バッファ13cの内容を更新する。
【0033】
大当たりの判定値を記憶するBレジスタの値が当たり値と一致するか否かを調べ(S37)、いずれかの当たり値と一致する場合には(S37:Yes)、大当たりと判定して大当たり処理を実行する(S38)。一方、大当たりの判定値を記憶するBレジスタの値が、いずれの当たり値とも一致しない場合には(S37:No)、判定結果はハズレであるので、この場合には、大当たり処理(S38)を実行することなく、この処理を終了する。
【0034】
大当たり判定処理(S30)の終了後は、図3のリセット割込処理に戻って、各処理(S3)を実行し、今回のリセット割込処理を終了する。
【0035】
ここで、CPU11の動作クロック11aと、カウンタIC14のクロック14aとの関係について説明する。CPU11の動作クロック11aは、周波数8.192MHzであるので、16,384クロックで、制御部Cで実行されるリセット割込処理の2msの間隔を得ることができる。一方、カウンタIC14のクロック14aは、周波数7.15909MHzであるので、リセット割込処理の2msの間隔を得ることができない。詳細には、14,318クロックでは、1.99997485714msとなって2msに満たず、それよりも1クロック多い14,319クロックでは、2.000114539697msとなって2msを超えてしまう。
【0036】
大当たりの判定は、2ms毎に更新される乱数カウンタ13aの値と、この7.15909MHzのクロック14aでカウントアップされるカウンタIC14の値とに基づいて決定される。上記した通り、7.15909MHzのクロック14aでは2msの間隔を得ることができないので、カウンタIC14のカウント値の更新と、2ms毎の乱数カウンタ13aの値の更新とは、非同期に行われることになる。即ち、本実施例のパチンコ遊技機Pでは、大当たりの判定値は、これら非同期に更新されるカウンタ13a,14のカウント値に基づいて算出されるのである。
【0037】
よって、不正行為を働く「ぶら下げ基板」が、乱数カウンタ13aの更新周期に同期して動作する場合には、カウンタIC14のカウント値を把握することができず、逆に、カウンタIC14の更新周期に同期して動作する場合には、乱数カウンタ13aのカウント値を把握することができない。即ち、「ぶら下げ基板」は、非同期に更新されるカウンタ13a,14のカウント値のうち一方しか把握することができず、その両方のカウント値を把握することができないので、両方のカウント値に基づいて算出される大当たりの判定値を把握することができないのである。従って、「ぶら下げ基板」から大当たりの発生タイミングに合わせて図柄作動ゲート4の通過信号をパチンコ遊技機Pの制御部Cへ出力することはできないので、「ぶら下げ基板」を用いた不正行為を防止することができるのである。
【0038】
また、「ぶら下げ基板」のCPUが、パチンコ遊技機PのCPU11の動作クロック11aと同じ8.192MHzの動作クロックでソフト的に命令を実行しており、そのソフト制御により、大当たり判定値を把握しようとするものである場合には、そのソフト制御によっては到底追従することができないほど高速なパルスで、カウンタIC14のカウント値の更新を行うことにより、かかる高速なパルスがCPU11の動作クロック11aと同期するものであっても、「ぶら下げ基板」によるカウント値の把握を不可能にすることができる。
【0039】
例えば、8.00MHzのクロックは、CPU11の動作クロック11aである8.192MHzのクロックと同様に、乱数カウンタ13aの更新周期である2msの間隔を得ることができ、その2msの間隔で同期する。しかし、「ぶら下げ基板」が大当たりを決定するためのカウント値の把握を、前記したようにソフト的に(ソフト制御により)行うものであれば、この8.00MHzのクロックでカウンタIC14のカウント値の更新を行っても、「ぶら下げ基板」によるカウント値の把握を不可能して、「ぶら下げ基板」を用いた不正行為を防止することができるのである。即ち、大当たりの発生タイミングをソフト的に検出する「ぶら下げ基板」に対しては、本実施例におけるカウンタIC14のクロック14aを、7.15909MHzから8.00MHzに変更しても、「ぶら下げ基板」対策を有効ならしめることができるのである。
【0040】
なお、更新手段としては、図4に示す乱数カウンタ更新処理(S10)が該当し、図5に示すS24の処理の一部が該当し、変更手段としては、図5に示すS24からS26の処理が該当する。
【0041】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0042】
例えば、本実施例では、カウンタIC14のカウント値と乱数カウンタ13aの値とを加算して、大当たりの発生を決定するための乱数値(S27におけるBレジスタの値)を生成していた。しかし、乱数カウンタ13aの更新の範囲である「0〜200」の範囲で更新されるカウンタICを用いて、そのカウンタICの値を直接、乱数値として使用するようにしても良い。この場合、かかるカウンタICの更新は、ソフト制御では到底追従できないほど高速のクロックで行うことが必要である。
【0043】
また、カウンタIC14のカウント値に基づいて、乱数カウンタ13aの値の読み出し時期を変更して、大当たりの発生を決定するための乱数値を変更するようにしても良い(乱数値を生成しても良い)。具体的には、カウンタIC14から読み出したカウント値を、乱数カウンタ13aの読み出し時期を決定する(遅らせる)ための遅延カウント値として用いるのである。即ち、かかる遅延カウント値をリセット割込処理の度に「1」減算し、「0」となるタイミングで乱数カウンタ13aの値を読み出し、その値を大当たり判定値とするのである。
【0044】
更に、打球が図柄作動ゲート4を通過するタイミングで行われていたカウンタIC14のカウント値の読み出しをリセット割込処理の開始時に毎回行うように変更しても良い。この場合には、読み出したカウンタIC14のカウント値を一旦、RAM13内のメモリに保存しておき、スイッチ入賞処理(図5)のS23の処理の部分で、そのRAM13内のメモリから読み出して使用するのである。
【0045】
また、この場合、カウンタIC14のカウント値を「0〜127」とするために、S23の処理で最上位ビットをマスクしていたが、かかるマスク操作を行わず、リセット割込処理の開始時に読み出されたカウンタIC14のカウント値が「0〜127(又は「0〜201」)」である場合に限って、その値をRAM13内のメモリに保存するようにしても良い。なお、読み出されたカウンタIC14のカウント値が「128〜255(又は「202〜255」)」である場合には、RAM13内のメモリへの書き込みは行われないので、この回のリセット割込処理で、打球が図柄作動ゲート4を通過した場合には、前回書き込まれたカウンタIC14のカウント値を大当たり判定値の算出に使用するのである。
【0046】
以下に本発明の変形例を示す。乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段とを備え、その読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が予め定められた値の1つと一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与する弾球遊技機において、高速に発振するパルスに基づいて更新されるカウント回路と、そのカウント回路の値に基づいて前記読出手段による前記乱数カウンタの読み出し時期を変更する変更手段とを備えていることを特徴とする弾球遊技機1。乱数カウンタの読み出し時期は、変更手段によって、例えば、所定の契機で読み出されたカウント回路のカウント値に相当する時間の経過時に変更される。即ち、所定の契機で読み出されたカウント回路のカウント値に相当する時間の経過時に、乱数カウンタの値が読出手段によって読み出される。
【0047】
乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段とを備え、その読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が予め定められた値の1つと一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与する弾球遊技機において、高速に発振するパルスに基づいて更新されるカウント回路と、そのカウント回路の値に基づいて前記乱数カウンタの値を変更する変更手段とを備えていることを特徴とする弾球遊技機2。変更手段による乱数カウンタの値の変更は、例えば、カウント回路の値を乱数カウンタの値に対して加算または減算することにより行われる。
【0048】
請求項1記載の遊技機の制御装置、弾球遊技機1、2において、前記カウント回路は、遊技機の制御を行うCPUに外付けされていることを特徴とする遊技機の制御装置1。よって、例えば、遊技機がCPUのリセット割込処理などによって制御される場合にも、そのリセット割込処理の実行毎にカウント回路のカウント値がクリアされることはなく、カウント値を維持して、そのカウント値の更新を継続することができる。
【0049】
請求項1記載の遊技機の制御装置、遊技機の制御装置1、または、弾球遊技機1、2において、前記カウント回路のカウント値の更新は不定値から開始されることを特徴とする遊技機の制御装置2。例えば、電源投入時において、カウント回路のカウント値の初期化を行わず、電源投入時における不定値からカウント値の更新を行うのである。これにより「ぶら下げ基板」等によるカウント値の把握を困難なものとすることができる。
【0050】
請求項1記載の遊技機の制御装置、遊技機の制御装置1、2または、弾球遊技機1、2において、前記カウント回路によるカウント値の更新は、ソフト制御ではカウント値の更新が追従できない高速パルスに基づいて行われることを特徴とする遊技機の制御装置3。よって、「ぶら下げ基板」等によるソフト制御では、カウント回路の更新に追従させてカウント値の更新を行うことができないので、乱数値を把握することが不可能となる。
【0051】
請求項1記載の遊技機の制御装置、遊技機の制御装置1から3のいずれか、または、弾球遊技機1、2において、前記カウント回路によるカウント値の更新は、遊技機の制御を行うCPUの動作クロックと非同期のクロックに基づいて行われることを特徴とする遊技機の制御装置4。よって、「ぶら下げ基板」等によるソフト制御では、カウント回路の更新に同期させてカウント値の更新を行うことができないので、乱数値を把握することが不可能となる。加えて、かかるカウント回路のカウント値を更新するクロックが、ソフト制御ではそのカウント値の更新を追従できないほどの高速なクロックであれば、「ぶら下げ基板」等のソフト制御による乱数値の把握を一層困難なものとすることができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の弾球遊技機によれば、カウントクロックでは、乱数カウンタの値を更新する更新手段の実行間隔を得ることができないので、カウント回路のカウント値の更新と、乱数カウンタの値の更新とは、非同期に行われる。よって、不正行為を働く「ぶら下げ基板」等が、乱数カウンタの更新周期に同期して動作する場合には、カウント回路のカウント値を把握することができず、逆に、カウント回路の更新周期に同期して動作する場合には、乱数カウンタのカウント値を把握することができない。即ち、「ぶら下げ基板」は、非同期に更新されるカウンタのカウント値のうち一方しか把握することができず、その両方のカウント値を把握することができないので、両方のカウント値に基づいて算出される大当たりの発生タイミングを把握することができない。従って、「ぶら下げ基板」等を用いた不正行為を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるパチンコ遊技機の遊技盤の正面図である。
【図2】 パチンコ遊技機の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】 リセット割込処理を示したフローチャートである。
【図4】 乱数カウンタ更新処理を示したフローチャートである。
【図5】 スイッチ入賞処理を示したフローチャートである。
【図6】 大当たり判定処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
3 液晶(LCD)ディスプレイ
4 図柄作動ゲート
5 特定入賞口
11 制御部のCPU(CPU)
11a CPUの動作クロック
13 制御部のRAM
13a 乱数カウンタ
13b 保留球カウンタ
13c 保留球バッファ
14 カウンタIC(カウント回路)
14a カウンタICのカウントクロック
C 制御部
D 表示装置
P パチンコ遊技機(弾球遊技機)
Claims (3)
- 乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段と、その読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が予め定められた値と一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与する制御手段とを備えた弾球遊技機において、
前記更新手段および読出手段を実行するCPUと、
そのCPUを動作させるクロックパルスを発振する動作クロックと、
その動作クロックの発振周波数と非同期の発振周波数のクロックパルスを発振するカウントクロックと、
そのカウントクロックにより発振されるパルスに基づいて更新されるカウント回路とを備え、
前記制御手段は、前記更新手段により更新されている乱数カウンタの値を変更すること無く、前記読出手段により読み出された乱数カウンタの値と前記カウント回路の値とに基づいて、その読出手段により読み出された乱数カウンタの値を変更し、その変更された値が予め定められた値と一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与するものであることを特徴とする弾球遊技機。 - 前記カウント回路は、前記CPUに外付けされていることを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
- 前記カウント回路のカウント値は、電源の投入時において初期化されずに、電源投入時における不定値から更新を開始するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
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