JP3812490B2 - 弾球遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機などに代表される弾球遊技機に関し、特に、「ぶら下げ基板」等による不正行為を防止することができる弾球遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のパチンコ遊技機は、複数種類の図柄を変動表示可能な表示装置を備えており、遊技領域に打ち込まれた打球が図柄作動ゲートを通過することにより、変動表示を開始するように構成されている。この変動表示が予め定められた図柄の組み合わせと一致して停止すると、大当たりとなって、遊技者に所定の遊技価値が付与され、大量の遊技球が払出可能な状態となる。
【0003】
かかる大当たりの発生の有無は、打球が図柄作動ゲートを通過するタイミングで決定される。即ち、1カウントずつ定期的に一定の範囲で(例えば、1カウントずつ、2ms毎に、0から346の範囲で)更新されるカウンタを備え、打球が図柄作動ゲートを通過したときに、そのカウンタの値を読み出し、読み出されたカウンタの値が、例えば「7」などの所定値と一致する場合に、大当たりを発生させている。大当たりが発生すると、制御基板のコネクタに接続されたケーブルを介して、大当たりコマンドが表示装置の表示用基板へ送信される。表示装置では、受信された大当たりコマンドに基づいて、変動表示を制御し、所定の図柄の組み合わせで停止する大当たり表示を現出させるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近、「ぶら下げ基板」と呼ばれる不正な基板を使用した不正行為が報告されている。この不正行為は、制御基板と表示装置の表示用基板との間に、不正な基板をぶら下げて(不正な「ぶら下げ基板」を取り付けて)、不当に大当たりを発生させるというものである。具体的には、前記したパチンコ遊技機に設けられる大当たりを決定するためのカウンタと同様の働きをするカウンタ(1カウントずつ定期的に一定の範囲で更新されるカウンタ)を「ぶら下げ基板」内に設け、そのカウンタの値をパチンコ遊技機の電源投入に合わせてリセット(0クリア)することにより、「ぶら下げ基板」内で大当たりの発生タイミングを把握する。そして、その把握した大当たりの発生タイミングに合わせて、「ぶら下げ基板」内で打球の図柄作動ゲート通過信号を不正に生成し、これをパチンコ遊技機の制御基板へ出力して、不当に大当たりを発生させるというものである。遊技場などでは、この「ぶら下げ基板」を用いた不正行為により、多大な被害を被っているという問題点があった。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、「ぶら下げ基板」等による大当たりの発生タイミングの把握を不可能にして、かかる「ぶら下げ基板」等を用いた不正行為を防止することができる弾球遊技機を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の弾球遊技機は、乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段とその読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が予め定められた値と一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与する制御手段とを備え、前記更新手段および読出手段を実行するCPUと、そのCPUの作動状態に応じてそのCPUから非等間隔に出力される信号に基づいてカウント値の更新を行うカウント回路とを備え、前記制御手段は、前記更新手段により更新されている乱数カウンタの値を変更すること無く、前記読出手段により読み出された乱数カウンタの値と前記カウント回路の値とに基づいて、その読出手段により読み出された乱数カウンタの値を変更し、その変更された値が予め定められた値と一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与するものである。
【0007】
請求項2記載の弾球遊技機は、請求項1記載の弾球遊技機において、前記カウント回路は、前記CPUに外付けされている。
請求項3記載の弾球遊技機は、請求項1又は2に記載の弾球遊技機において、前記カウント回路のカウント値は、電源の投入時において初期化されずに、電源投入時における不定値から更新を開始するものである。
請求項4記載の弾球遊技機は、請求項1から3のいずれかに記載の弾球遊技機において、前記カウント回路は、前記制御手段から出力されるM1信号、メモリ・リクエスト信号、IOリクエスト信号、リード信号、ライト信号、リフレッシュ信号、ウエイト信号、バス・リクエスト信号、バス・アクノリッジ信号、少なくとも1本のアドレスバスの信号、または、少なくとも1本のデータバスの信号のうち、いずれかの信号に基づいて、或いはいずれかの信号と1乃至2以上の他の信号との組み合わせに基づいて、カウント値を更新するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0009】
図1は、パチンコ遊技機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、打球が入賞することにより5個から15個の遊技球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ図柄の変動表示が行われる。
【0010】
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動ゲート(第1種始動口)4が設けられている。打球がこの図柄作動ゲート4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動ゲート4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、打球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、打球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、打球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に打球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0011】
図2は、かかるパチンコ遊技機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ遊技機Pの制御部Cは、演算装置であるCPU11と、そのCPU11によって実行される各種の制御プログラムなどを記憶したROM12と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM13と、CPU11から出力されるM1信号31(図3参照)の立ち下がり毎にカウントを行うカウンタIC14とを備えている。図4から図7に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM12内に記憶されている。
【0012】
RAM13は、乱数カウンタ13aと、タイマカウンタ13bとを備えている。乱数カウンタ13aは、大当たりの発生を決定するためのカウンタである。この乱数カウンタ13aの値は、図5の乱数カウンタ更新処理(S10)により、「0〜346」の範囲で、2ms毎に1カウントずつ更新される。タイマカウンタ13bは、乱数カウンタ13aの値の読み出し時期を変更するためのカウンタである。遊技盤1の遊技領域に打ち込まれた打球が図柄作動ゲート4を通過すると、このタイマカウンタ13bへ、カウンタIC14のカウント値に「+1」した値が書き込まれる。書き込まれたタイマカウンタ13bの値は、図7の大当たり判定処理(S30)により、1カウントずつ減算され、そのカウント値が「0」となると、乱数カウンタ13aの値が読み出される。読み出された乱数カウンタ13aの値が当たり値(例えば「7」)と一致すると、大当たりが発生する。大当たりが発生すると、大当たりコマンドが制御部Cから後述する表示装置Dへ送られる。表示装置Dは、この大当たりコマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示を大当たりの状態に制御するのである。
【0013】
カウンタIC14は、CPU11から出力されるM1信号31の立ち下がり毎に1カウントずつアップするカウンタであり、「0〜255」の範囲で更新される。このカウンタIC14のカウント値は、電源の投入時において初期化されず、電源投入時における不定値からカウントアップを開始する。また、カウンタIC14のカウント値は、2ms毎のリセット割込の発生時にもクリアされることなく、カウントを継続する。
【0014】
ここで、図3を参照して、CPU11から出力されるM1信号31について説明する。M1信号31は、オペコードをフェッチするための信号であり、T1クロックの立ち上がりとほぼ同時に立ち下がり、T3クロックの立ち上がり後、ほぼ同時に立ち上がる信号である。M1信号31は、CPU11による各命令の実行時に必ず1回以上出力される。例えば、CPU11が第1オペコードのみの命令を実行する場合には、その命令の実行時にM1信号31は1回出力されるだけであるが、第2オペコードまで有する命令を実行する場合には、その命令の実行時に、M1信号31は2回出力される。加えて、1つの命令を構成するマシンサイクル数は、命令によって異なっている。このためM1信号31は、CPU11による命令の実行時に必ず出力されるが、そのM1信号31の出力間隔は一定ではない。即ち、CPU11により実行される命令に応じて(弾球遊技機1の遊技状態に応じて)、M1信号31の出力間隔は変化するのである。
【0015】
本実施例では、かかるM1信号31によりカウンタIC14の値を「0〜255」の範囲でカウントアップし、そのカウントアップされたカウント値に基づいて乱数カウンタ13aの読み出し時期を変更しているので、「ぶら下げ基板」による乱数カウンタ13aの読み出し時期の把握を不可能にすることができる。しかも、前記した通り、カウンタIC14のカウント値は、電源の投入時において初期化されず、電源投入時における不定値からカウントアップを開始するので、この点においても、「ぶら下げ基板」による乱数カウンタ13aの読み出し時期の把握を一層困難なものにすることができる。従って、「ぶら下げ基板」による大当たりの発生タイミングの把握を不可能にして、「ぶら下げ基板」を用いた不正行為を防止することができるのである。
【0016】
なお、請求項1記載の「そのカウント回路の値に基づいて前記乱数を生成する乱数生成手段」には、本実施例のように「カウント回路の値に基づいて乱数の読み出し時期を変更する乱数生成手段」を含んでいる。
【0017】
図2に示すように、これらのCPU11、ROM12、RAM13、カウンタIC14は、バスライン17を介して互いに接続されている。バスライン17は、また、入出力ポート15にも接続されており、この入出力ポート15は表示装置Dや他の入出力装置16と接続されている。制御部Cは、入出力ポート15を介して、表示装置Dや他の入出力装置16へ動作コマンドを送り、それら各装置を制御する。LCDディスプレイ3の変動表示や特定入賞口5の開閉動作も、この動作コマンドに基づいて制御される。
【0018】
表示装置Dは、CPU21と、プログラムROM22と、ワークRAM23と、ビデオRAM24と、キャラクタROM25と、画像コントローラ26と、入出力ポート27と、LCDディスプレイ3とを備えている。表示装置DのCPU21は、制御部Cから出力される動作コマンドに応じて、LCDディスプレイ3の表示制御(変動表示)を行うものであり、プログラムROM22には、このCPU21により実行されるプログラムが記憶されている。ワークRAM23は、CPU21によるプログラムの実行時に使用されるワークデータが記憶されるメモリである。
【0019】
ビデオRAM24は、LCDディスプレイ3に表示されるデータが記憶されるメモリであり、このビデオRAM24の内容を書き換えることにより、LCDディスプレイ3の表示内容が変更される。即ち、各表示領域における図柄の変動表示は、ビデオRAM24の内容が書き換えられることにより行われる。キャラクタROM25は、LCDディスプレイ3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ26は、CPU21、ビデオRAM24、入出力ポート27のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM24に記憶される表示データをキャラクタROM25を参照して所定のタイミングでLCDディスプレイ3に表示させるものである。
【0020】
次に、上記のように構成されたパチンコ遊技機Pで実行される各処理を、図4から図7のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
図4は、パチンコ遊技機Pの制御部Cにおいて、2ms毎に実行されるリセット割込処理のフローチャートである。リセット割込処理では、まず、その処理が電源投入後、最初に実行された処理であるか否かが調べられ(S1)、最初に実行された処理であれば(S1:Yes)、RAM13の初期化が行われる(S2)。なお、前記した通り、電源投入後の最初に実行されたリセット割込処理であっても、カウンタIC14の値の初期化は行われない。このためカウンタIC14のカウントは、電源投入毎に変化する不定値から開始されることになるので、この点においても、「ぶら下げ基板」による乱数値の把握を不可能にすることができる。
【0022】
S2の処理の実行後、又は、S1の処理において、電源投入後2回目以降に実行されたリセット割込処理であると判断された場合には(S1:No)、図5の乱数カウンタ更新処理(S10)が実行される。
【0023】
図5は、乱数カウンタ更新処理のフローチャートである。この処理により乱数カウンタ13aの値は、「0〜346」の範囲で1カウントずつ更新される。乱数カウンタ更新処理では、まず、乱数カウンタ13aの値が「346」以上であるか否かが調べられる(S11)。乱数カウンタ13aの値が「346」未満であれば(S11:No)、乱数カウンタ13aの値を「1」加算して更新する(S12)。一方、乱数カウンタ13aの値が「346」以上であれば(S11:Yes)、その値を「0」クリアして(S13)、この処理を終了する。
【0024】
乱数カウンタ更新処理(S10)が終了すると、図4のリセット割込処理に戻り、その後、図6のスイッチ入賞処理(S20)が実行される。図6は、スイッチ入賞処理のフローチャートである。スイッチ入賞処理では、まず、打球が図柄作動ゲート4を通過したか否かを調べ(S21)、通過していれば(S21:Yes)、カウンタIC14の値を読み出して(S22)、その読み出した値に「+1」した値をタイマカウンタ13bへ書き込むのである(S23)。
【0025】
一方、S21の処理において、打球が図柄作動ゲート4を通過していなければ(S21:No)、タイマカウンタ13bへの書き込みを行うことなく、そのまま、この処理を終了する。なお、上記のように、タイマカウンタ13bには、カウンタIC14の値に「+1」された値が書き込まれるので、「1〜256」のいずれかの値が書き込まれ、「0」が書き込まれることはない。よって、打球が図柄作動ゲート4を通過することにより(S21:Yes)、図7の大当たり判定処理のS31:Noの分岐を経由して、必ず、大当たりの判定が行われる(S35)。
【0026】
スイッチ入賞処理(S20)が終了すると、図4のリセット割込処理に戻り、その後、図7の大当たり判定処理(S30)が実行される。図7は、大当たり判定処理のフローチャートである。大当たり判定処理は、タイマカウンタ13bの値が「1」から「0」となるタイミングで乱数カウンタ13aの値を読み出して、大当たりの発生を判定している。大当たりが発生した場合には、大当たり処理が行われる。
【0027】
大当たり判定処理では、まず、タイマカウンタ13bの値が「0」であるかを調べる(S31)。「0」であれば(S31:Yes)、打球が図柄作動ゲート4を通過していないので、大当たりの判定は行わず、そのまま、この処理を終了する。一方、タイマカウンタ13bの値が「0」でなければ(S31:No)、打球が図柄作動ゲート4を通過している。よって、この場合には、タイマカウンタ13bの値を「1」減算し(S32)、減算後のタイマカウンタ13bの値が「0」であるか否かを判断する(S33)。
【0028】
減算後のタイマカウンタ13bの値が「0」であれば(S33:Yes)、大当たり判定のタイミングの到来、即ち、乱数カウンタ13aの読み出し時期の到来であるので、乱数カウンタ13aの値を読み出し(S34)、更に、読み出された乱数カウンタ13aの値が当たり値の1つと一致するか否かを判断する(S35)。読み出された乱数カウンタ13aの値が当たり値の1つと一致すれば(S35:Yes)、大当たりの発生と判断して、大当たり処理を実行する(S36)。
【0029】
一方、S33の処理において、減算後のタイマカウンタ13bの値が「0」でない場合は(S33:No)、大当たり判定のタイミング(乱数カウンタ13aの値の読み出し時期)ではないので、そのまま、この処理を終了する。また、S35の処理において、読み出された乱数カウンタ13aの値がいずれの当たり値とも一致しない場合には(S35:No)、ハズレなので、そのまま、この処理を終了する。
【0030】
なお、S23の処理(図6)によってタイマカウンタ13bに書き込まれる最大値は「256」であるので、S32の処理(図7)によってタイマカウンタ13bの値が「0」になるまでには、最大で512ms(=256×2ms)必要である。しかし、本実施例のパチンコ遊技機Pでは、打球が図柄作動ゲート4を通過し得る最短時間は600msである。よって、S23の処理によって書き込まれたタイマカウンタ13bの値は、次の打球が図柄作動ゲート4を通過するまでに確実に「0」となる。即ち、タイマカウンタ13bの値が「0」になるまでに、次の打球が図柄作動ゲート4を通過して、タイマカウンタ13bの値を書き替えてしまうことはないのである。従って、打球が図柄作動ゲート4を通過する度に(S21:Yes)、図7のS31:Noの分岐を経由して、必ず、大当たりの判定(S35)を行うことができるのである。
【0031】
これに対し、打球が図柄作動ゲート4を通過する最短時間が512ms以下であるパチンコ遊技機Pにおいては、打球が図柄作動ゲート4を通過する最短時間内で、タイマカウンタ13bに書き込まれる最大値が「0」となるように、カウンタIC14の更新の最大値を小さくしても良い(例えば「255」を「100」とする)。また、カウンタIC14の更新の最大値を変更せずに、複数の保存用メモリを設けて、タイマカウンタ13bの値が「0」となる前に、次の打球が図柄作動ゲート4を通過した場合には、そのときのカウンタIC14の値を保存用メモリに記憶し、タイマカウンタ13bの値が「0」となってから、その保存用メモリの値をタイマカウンタ13bに書き込むようにしても良い。
【0032】
大当たり判定処理(S30)の終了後は、図4のリセット割込処理に戻って、各処理(S3)を実行し、今回のリセット割込処理を終了する。
【0033】
以上説明したように、本実施例のパチンコ遊技機Pでは、大当たりの発生を決定する乱数カウンタ13aの読み出し時期(大当たりの判定時期)を、打球の図柄作動ゲート4の通過時に固定せず、カウンタIC14のカウント値に基づいて変更している。具体的には、打球の図柄作動ゲート4の通過時に、カウンタIC14のカウント値を読み出して、そのカウント値に「+1」した値が「1」から「0」となるタイミングで、乱数カウンタ13aの値を読み出すようにしている。前記した通り、カウンタIC14はM1信号31の立ち下がり毎にカウントアップされる。M1信号31は、弾球遊技機Pの遊技の状態に応じて、不等間隔で出力されるので、かかるM1信号31に基づいてカウントアップされるカウンタIC14のカウント値を「ぶら下げ基板」で把握することは不可能である。このため「ぶら下げ基板」は、大当たりの発生タイミングを把握することができないので、大当たりの発生タイミングに合わせて、図柄作動ゲート4の通過信号をパチンコ遊技機Pの制御部Cへ出力することができない。従って、「ぶら下げ基板」を用いて不当に大当たりを発生させる不正行為を防止することができるのである。
【0034】
次に、図8及び図9を参照して、第2実施例について説明する。前記した第1実施例では、カウンタIC14のカウント値に基づいて、乱数カウンタ13aの読み出し時期を変更したが、この第2実施例では、カウンタIC14のカウント値に基づいて、乱数カウンタ13aの値を変更するのである。具体的には、カウンタIC14のカウント値を乱数カウンタ13aに加算して、その加算後の値が当たり値と一致するか否かにより、大当たりの発生を判定している。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
【0035】
図8は、パチンコ遊技機Pの制御部Cにおいて、2ms毎に実行される第2実施例のリセット割込処理のフローチャートである。リセット割込処理では、電源投入後2回目以降に実行されたリセット割込処理である場合(S1:No)、又は、S2の処理の実行後に、図5の乱数カウンタ更新処理(S10)が実行され、その後、図9の大当たり判定処理(S40)が実行される。
【0036】
図9は、第2実施例の大当たり判定処理のフローチャートである。この大当たり判定処理は、打球の図柄作動ゲート4の通過時に、カウンタIC14のカウント値を乱数カウンタ13aの値に加算し、その加算結果に基づいて、大当たりの発生を判定している。大当たりが発生した場合には、大当たり処理が行われる。
【0037】
大当たり判定処理では、まず、打球が図柄作動ゲート4を通過したか否かを調べ(S41)、通過していれば(S41:Yes)、カウンタIC14のカウント値を読み出すとともに(S42)、乱数カウンタ13aの値を読み出して(S43)、読み出した両値を加算する(S44)。加算後の値が乱数カウンタ13aの更新の上限値である「346」を越えているか否か、即ち、「347」以上であるか否かを判断し(S45)、「347」以上であれば(S45:Yes)、加算後の値を、乱数カウンタ13aの更新範囲内の値である「0〜346」にするため、その加算後の値から「347」を減算する(S46)。S46の処理による減算後、又は、S44の処理による加算後の値が「347」未満である場合には(S45:No)、S44又はS46の処理により得られた値が、当たり値の1つと一致するか否かを判断し(S47)、一致すれば(S47:Yes)、大当たりの発生と判断して、大当たり処理を実行する(S36)。なお、S44およびS46の処理における加減算は、CPU11内のレジスタで行われる。よって、かかる加減算により、乱数カウンタ13aの値を壊してしまうことはない。
【0038】
一方、S44又はS46の処理により得られた値が、いずれの当たり値とも一致しない場合には(S47:No)、ハズレなので、そのまま、この処理を終了する。また、S41の処理において、打球の図柄作動ゲート4の通過が確認されなければ(S41:No)、大当たり発生の判定を行うことなく、そのまま、この処理を終了する。
【0039】
大当たり判定処理(S40)の終了後は、図8のリセット割込処理に戻って、各処理(S3)を実行し、今回のリセット割込処理を終了する。なお、請求項1記載の「そのカウント回路の値に基づいて前記乱数を生成する乱数生成手段」には、第2実施例のように「カウント回路の値に基づいて乱数値を変更する乱数生成手段」を含んでいる。
【0040】
以上説明したように、第2実施例のパチンコ遊技機Pでは、乱数カウンタ13aの値を、そのまま大当たりの判定に用いず、その乱数カウンタ13aの値を、カウンタIC14のカウント値に基づいて変更し、その変更された値により大当たりの発生を判定している。具体的には、打球の図柄作動ゲート4の通過時に、乱数カウンタ13aの値とカウンタIC14のカウント値とを読み出して、両値を加算し、その加算後の値が当たり値と一致するか否かにより、大当たりを判定している。
【0041】
前記した通り、カウンタIC14のカウント値を「ぶら下げ基板」で把握することは不可能なので、「ぶら下げ基板」は、かかるカウンタIC14のカウント値に基づいて変更される乱数カウンタ13aの値を把握することはできない。よって、「ぶら下げ基板」は大当たりの発生タイミングを把握することができないので、大当たりの発生タイミングに合わせて、図柄作動ゲート4の通過信号をパチンコ遊技機Pの制御部Cへ出力することができない。従って、「ぶら下げ基板」を用いて不当に大当たりを発生させる不正行為を防止することができるのである。
【0042】
なお、更新手段としては、図5に示す乱数カウンタ更新処理(S10)が該当し、読出手段としては、図9に示すS43の処理が該当し、変更手段としては、図9に示すS44からS46の各処理が該当する。
【0043】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0044】
例えば、上記各実施例では、カウンタIC14のカウント値に基づいて乱数カウンタ13aの読み出し時期を変更したり(第1実施例)、或いは、カウンタIC14のカウント値を乱数カウンタ13aの値に加算して(第2実施例)、大当たりの発生を決定するための乱数値を変更していた(乱数値を生成していた)。しかし、乱数カウンタ13aの更新の範囲である「0〜346」の範囲で更新されるカウンタICを用いて、そのカウンタICの値を直接、乱数値として使用するようにしても良い。
【0045】
また、カウンタIC14のカウントアップを行う信号は、必ずしもM1信号31に限られるものではなく、不等間隔に絶えず出力される信号であれば、M1信号31に代えて使用することができる。例えば、CPU11から出力されるメモリ・リクエスト信号、IOリクエスト信号、リード信号、ライト信号、リフレッシュ信号、ウエイト信号、バス・リクエスト信号、バス・アクノリッジ信号、いずれかのアドレスバスの信号、または、いずれかのデータバスの信号などを、M1信号31に代えて使用することができる。更に、これら複数の信号を組み合わせて使用するようにしても良いのである。
【0046】
以下に本発明の変形例を示す。乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段とを備え、その読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が予め定められた値の1つと一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与する弾球遊技機において、前記更新手段および読出手段を実行する制御手段と、その制御手段による遊技の制御状態に応じて更新されるカウント回路と、そのカウント回路の値に基づいて前記読出手段による前記乱数カウンタの読み出し時期を変更する変更手段とを備えていることを特徴とする弾球遊技機1。
【0047】
乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段とを備え、その読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が予め定められた値の1つと一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与する弾球遊技機において、前記更新手段および読出手段を実行する制御手段と、その制御手段による遊技の制御状態に応じて更新されるカウント回路と、そのカウント回路の値に基づいて前記乱数カウンタの値を変更する変更手段とを備えていることを特徴とする弾球遊技機2。変更手段による乱数カウンタの値の変更は、例えば、カウント回路の値を乱数カウンタの値に加算することにより行われる。
【0048】
請求項1記載の遊技機の制御装置、弾球遊技機1、2において、前記カウント回路は、前記制御手段に外付けされていることを特徴とする遊技機の制御装置1。よって、制御手段が、例えばリセット割込処理などによって制御される場合にも、そのリセット割込処理の実行毎にカウント回路のカウント値がクリアされることはなく、カウント値を維持して、カウントを継続することができる。
【0049】
請求項1記載の遊技機の制御装置、遊技機の制御装置1、または、弾球遊技機1、2において、前記カウント回路は、前記制御手段による遊技の制御状態に応じて、その制御手段から非等間隔に絶えず出力される信号に基づいてカウント値の更新を行うことを特徴とする遊技機の制御装置2。よって、カウント回路の更新は非等間隔に絶えず行われるので、「ぶら下げ基板」等による乱数値の把握を不可能にすることができる。
【0050】
請求項1記載の遊技機の制御装置、遊技機の制御装置1、2、または、弾球遊技機1、2において、前記カウント回路は、前記制御手段から出力されるM1信号、メモリ・リクエスト信号、IOリクエスト信号、リード信号、ライト信号、リフレッシュ信号、ウエイト信号、バス・リクエスト信号、バス・アクノリッジ信号、少なくとも1本のアドレスバスの信号、または、少なくとも1本のデータバスの信号のうち、いずれかの信号に基づいてカウント値を更新することを特徴とする遊技機の制御装置3。これらの信号は、制御手段による遊技の制御状態に応じて、いずれも非等間隔に絶えず出力されるので、該信号の発生回路を別途設ける必要がなく、回路コストを低減することができる。なお、前記した信号のうち、いくつかの信号を組み合わせて使用しても良い。
【0051】
【発明の効果】
本発明の弾球遊技機によれば、乱数カウンタの値は、CPUの作動状態に応じてそのCPUから非等間隔に出力される信号に基づいて更新を行うカウント回路のカウント値により変更されるので、「ぶら下げ基板」等では、乱数カウンタの値を把握することができない。よって、「ぶら下げ基板」等による大当たりの発生タイミングの把握を不可能にして、かかる「ぶら下げ基板」等を用いた不正行為を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるパチンコ遊技機の遊技盤の正面図である。
【図2】 パチンコ遊技機の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】 M1サイクル(オペコード・フェッチ・サイクル)のタイミングチャートである。
【図4】 リセット割込処理を示したフローチャートである。
【図5】 乱数カウンタ更新処理を示したフローチャートである。
【図6】 スイッチ入賞処理を示したフローチャートである。
【図7】 大当たり判定処理を示したフローチャートである。
【図8】 第2実施例のリセット割込処理を示したフローチャートである。
【図9】 第2実施例の大当たり判定処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
3 液晶(LCD)ディスプレイ
4 図柄作動ゲート
5 特定入賞口
11 制御部のCPU(CPU)
13 制御部のRAM
13a 乱数カウンタ
13b タイマカウンタ
14 カウンタIC(カウント回路)
C 制御部
D 表示装置
P パチンコ遊技機(弾球遊技機)

Claims (4)

  1. 乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段とその読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が予め定められた値と一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与する制御手段とを備えた弾球遊技機において、
    前記更新手段および読出手段を実行するCPUと、
    そのCPUの作動状態に応じてそのCPUから非等間隔に出力される信号に基づいてカウント値の更新を行うカウント回路とを備え、
    前記制御手段は、前記更新手段により更新されている乱数カウンタの値を変更すること無く、前記読出手段により読み出された乱数カウンタの値と前記カウント回路の値とに基づいて、その読出手段により読み出された乱数カウンタの値を変更し、その変更された値が予め定められた値と一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与するものであることを特徴とする弾球遊技機。
  2. 前記カウント回路は、前記CPUに外付けされていることを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
  3. 前記カウント回路のカウント値は、電源の投入時において初期化されずに、電源投入時における不定値から更新を開始するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
  4. 前記カウント回路は、前記制御手段から出力されるM1信号、メモリ・リクエスト信号、IOリクエスト信号、リード信号、ライト信号、リフレッシュ信号、ウエイト信号、バス・リクエスト信号、バス・アクノリッジ信号、少なくとも1本のアドレスバスの信号、または、少なくとも1本のデータバスの信号のうち、いずれかの信号に基づいて、或いはいずれかの信号と1乃至2以上の他の信号との組み合わせに基づいて、カウント値を更新することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の弾球遊技機。
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