JP3812442B2 - 多連チップ抵抗器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多連チップ抵抗器の製造方法に関するもので、特に微細な多連チップ抵抗器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の多連チップ抵抗器の製造方法としては、実願平1−90570号(実開平3−30409号)のマイクロフィルムに開示されたものが知られている。
【0003】
上記多連チップ抵抗器の製造方法は、表裏両面にチップ部が横並びで連接する短冊片にブレークするための縦スリット線と、短冊片からチップ部にブレークするための横スリット線を有し、かつ前記縦横スリット線の交差部および/または縦スリット線の中途部に略小判形の孔を設けたセラミック製等の絶縁性を有するシート状の基板を用い、このシート状の基板をまず縦スリット線に沿って短冊状にブレークし、その後、この短冊片の前記縦スリット線に沿う端面および短冊片の側部の上下両面に電極端子を形成し、その後、一対の電極端子に両端部分が重複するようにチップ部の上面に抵抗膜を印刷焼成し、その後、各抵抗膜をレーザートリミングし、さらにその後、抵抗膜を覆うガラスコートを施すようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の多連チップ抵抗器の製造方法においては、セラミック製等の絶縁性を有するシート状の基板として、グリーンシート状態のとき、あらかじめ縦スリット線と横スリット線を形成するとともに、縦横スリット線の交差部および/または縦スリット線の中途部に略小判形の孔を施し、その後、焼成することにより得られるシート状の基板を用いているため、このシート状の基板に形成された縦スリット線や横スリット線および孔は、セラミック製等からなるシート状の基板の微妙な組成ばらつきや、シート状の基板の焼成時の微妙な温度ばらつきにより寸法ばらつきが発生することになり、そのため、微細な多連チップ抵抗器を製造する場合には、セラミック製等からなるシート状の基板における個片状基板の寸法を縦方向と横方向のそれぞれに非常に細かい寸法ランクに分類し、そしてそれぞれの寸法ランクに相当する電極端子、抵抗膜、ガラスコートのスクリーン印刷マスクをそろえる必要があるとともに、個片状基板の寸法ランクに応じてマスクを交換する必要があり、その結果、製造工程が非常に煩雑になるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、従来のような個片状基板の寸法分類が必要となり、製造工程の簡略化が図れる微細な多連チップ抵抗器の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、シート状の基板の上面に複数対の上面電極層を形成する工程と、前記複数対の上面電極層と電気的に接続される複数の抵抗体をシート状の基板の上面に形成する工程と、少なくとも前記複数の抵抗体を覆うように複数の保護層を形成する工程と、前記シート状の基板に前記複数対の上面電極層を分離するための複数の貫通したスリットを形成する工程と、前記スリットが複数形成された状態のシート状の基板の裏面側から薄膜技術によりシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分と前記複数のスリットの内面におけるシート状の基板の端面および前記上面電極層の端面に端面電極を形成する工程と、前記シート状の基板を複数の抵抗体を有する個片状基板に分割する工程とを備え、前記端面電極を形成する前に、複数の抵抗体を有する個片状基板における複数の抵抗体同士が導通しないように前記複数のスリットの内面における複数の抵抗体間に位置する部分およびシート状の基板の裏面にテープを貼り、このテープを貼った状態で前記シート状の基板の裏面側から薄膜技術により前記シート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分と前記複数のスリットの内面におけるシート状の基板の端面および前記上面電極層の端面に端面電極を形成し、その後、前記テープを剥がすことにより端面電極の不要部分を除去するようにしたもので、この製造方法によれば、シート状の基板に複数対の上面電極層を分離するための複数の貫通したスリットを形成する工程と、前記シート状の基板を複数の抵抗体を有する個片状基板に分割する工程とにより個片状基板を得るようにしているため、従来のような個片状基板の寸法分類は不要となり、これにより、従来のような個片状基板の寸法ランクに応じてマスクを交換するという工程をなくすることができるため、製造工程の簡略化を図ることができる。また端面電極を形成する前に、複数の抵抗体を有する個片状基板における複数の抵抗体同士が導通しないように複数のスリットの内面における複数の抵抗体間に位置する部分およびシート状の基板の裏面にテープを貼り、このテープを貼った状態でシート状の基板の裏面側から薄膜技術によりシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分と複数のスリットの内面におけるシート状の基板の端面および上面電極層の端面に端面電極を形成し、その後、前記テープを剥がすことにより端面電極の不要部分を除去するようにしているため、多連チップ抵抗器の端面電極を形成する場合、テープの貼り付け、剥がしという非常にシンプルな構成で端面電極を形成することができ、これにより、コスト的にも安価に提供することができるとともに、テープの使用により、個片状基板における複数の抵抗体同士の導通も確実に防止することができるという作用効果を有するものである。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、シート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分に形成される端面電極を、シート状の基板の裏面全体に薄膜技術により端面電極を形成した後、スリットに近接する部分以外の箇所をレーザーで除去することによって形成するようにしたもので、この製造方法によれば、シート状の基板の裏面全体に薄膜技術により端面電極を形成した後、スリットに近接する部分以外の箇所をレーザーで除去することによってシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分に形成される端面電極を形成するようにしているため、個片状基板の裏面に位置する対をなす端面電極の寸法精度を向上させることができ、これにより、対をなす端面電極間の絶縁距離も確実に保つことができるため、この多連チップ抵抗器を裏面側で実装基板に実装した場合における実装不良も低減させることができるという作用効果を有するものである。
【0009】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、シート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分に形成される端面電極を、あらかじめシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分以外の箇所にテープを貼り、このテープを貼った状態でシート状の基板の裏面全体に薄膜技術により端面電極を形成し、その後、前記テープを剥がすことによって形成するようにしたもので、この製造方法によれば、あらかじめシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分以外の箇所にテープを貼り、このテープを貼った状態でシート状の基板の裏面全体に薄膜技術により端面電極を形成し、その後、前記テープを剥がすことによってシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分に形成される端面電極を形成するようにしているため、個片状基板の裏面に位置する対をなす端面電極の寸法精度を向上させることができるとともに、対をなす端面電極間の絶縁距離も確実に保つことができ、その結果、この多連チップ抵抗器を裏面側で実装基板に実装した場合における実装不良も低減させることができるという作用効果を有するものである。
【0010】
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、シート状の基板に複数対の上面電極層を分離するように形成される複数の貫通したスリットの形成手段として、ダイシング工法を用いたもので、この製造方法によれば、ダイシング工法によりシート状の基板に複数の貫通したスリットを形成して複数の上面電極層を分離するようにしているため、従来のような個片状基板の寸法分類は不要となり、これにより、従来のようなマスク交換による製造工程の煩雑さをなくすることができるとともに、ダイシングも半導体等で一般的なダイシング設備を用いて容易に行うことができるという作用効果を有するものである。
【0011】
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、テープとして、紫外線照射または加熱により粘着性を失うテープを使用したもので、この製造方法によれば、紫外線照射または加熱により粘着性を失うテープを使用しているため、テープを貼った状態でシート状の基板の裏面側から薄膜技術によりシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分と複数のスリットの内面におけるシート状の基板の端面および上面電極層の端面に端面電極を形成し、その後、テープを剥がす場合、あるいはテープをシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分以外の箇所にあらかじめ貼った状態でシート状の基板の裏面全体に薄膜技術により端面電極を形成し、その後、テープを剥がす場合、簡単にテープを剥がすことができるという作用効果を有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の製造方法により得られた多連チップ抵抗器の斜視図、図2は同多連チップ抵抗器の断面図である。
【0014】
図1、図2において、1は焼成済みの96%純度のアルミナからなるシート状の基板をスリット状の第1の分割部とこの第1の分割部と直交関係にある第2の分割部で分割することにより個片化された基板である。2は基板1の上面に形成された銀を主成分とする複数対の上面電極層である。3は複数対の上面電極層2に一部が重なるように、すなわち電気的に接続されるように基板1の上面に形成された酸化ルテニウム系の複数の抵抗体である。4は抵抗体3を完全に覆うように形成されたガラスを主成分とする第1の保護層である。5は複数対の上面電極層2間の抵抗体3の抵抗値を修正するために設けられたトリミング溝で、このトリミング溝5は第1の保護層4と抵抗体3に設けられている。6は複数対の上面電極層2の一部に重なるように設けられた銀系の導電性樹脂からなる複数対の密着層で、この複数対の密着層6と前記複数対の上面電極層2は、基板1の端面において面一となるように構成している。7はガラスを主成分とする第1の保護層4を覆うとともに密着層6の一部に重なるように形成された樹脂を主成分とする第2の保護層である。8は前記基板1の端縁に設けられ、かつ前記複数対の上面電極層2に電気的に接続される複数対の端面電極で、この端面電極8は基板1の端縁側に位置して、基板1の端面、上面電極層2の端面および密着層6の端面に重なるとともに、基板1の裏面の端部を覆うように略L字型に形成されている。9は前記端面電極8を覆うとともに、露出している密着層6の上面を覆うように形成された略コ字型のニッケルめっきからなる第1のめっき膜である。10は第1のめっき膜9を覆うように形成された略コ字型のスズめっきからなる第2のめっき膜である。
【0015】
以上のように構成された本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器について、次にその製造方法を図面を参照しながら説明する。
【0016】
図3は本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の基板の全周囲の端部に不要領域部を形成した状態を示す上面斜視図、図4(a)(b)、図6(a)(b)、図8(a)(b)、図10(a)(b)および図18は本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の製造工程を示す上面図、図5(a)(b)、図7(a)(b)、図9(a)(b)、図11(a)(b)、図14、図17、図19、図20および図21は本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図、図12、図13、図15および図16は本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の基板の裏面斜視図である。
【0017】
まず、図3、図4(a)、図5(a)に示すように、焼成済みの96%純度のアルミナからなる厚み0.2mmの絶縁性を有するシート状の基板11を準備する。この場合、シート状の基板11は、図3に示すように、全周囲の端部に最終的には製品とならない不要領域部11aを有しているものである。そしてこの不要領域部11aは略ロ字状に構成されているものである。
【0018】
次に、図3、図4(b)、図5(b)に示すように、シート状の基板11の上面にスクリーン印刷工法により銀を主成分とする複数対の上面電極層12を形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成することにより、上面電極層12を安定な膜とする。
【0019】
次に、図3、図6(a)、図7(a)に示すように、複数対の上面電極層12を跨ぐように、スクリーン印刷工法により酸化ルテニウム系の複数の抵抗体13を形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成することにより、抵抗体13を安定な膜とする。
【0020】
次に、図6(b)、図7(b)に示すように、複数の抵抗体13を覆うように、スクリーン印刷工法により複数のガラスを主成分とする第1の保護層14を形成し、ピーク温度600℃の焼成プロファイルで焼成することにより、ガラスを主成分とする第1の保護層14を安定な膜とする。
【0021】
次に、図8(a)、図9(a)に示すように、複数対の上面電極層12間の抵抗体13の抵抗値を一定の値に修正するために、レーザートリミング工法によりトリミングを行い、複数のトリミング溝15を形成する。
【0022】
次に、図8(b)、図9(b)に示すように、複数対の上面電極層12の一部に重なるように、スクリーン印刷工法により銀系の導電性樹脂からなる複数対の密着層16を形成し、ピーク温度200℃の硬化プロファイルで硬化することにより、密着層16を安定な膜とする。
【0023】
次に、図10(a)、図11(a)に示すように、図面上の縦方向に並ぶ複数のガラスを主成分とする第1の保護層14を覆うとともに、密着層16の一部に重なるように、スクリーン印刷工法により樹脂を主成分とする複数の第2の保護層17を形成し、ピーク温度200℃の硬化プロファイルで硬化することにより、第2の保護層17を安定な膜とする。
【0024】
次に、図3、図10(b)、図11(b)に示すように、第2の保護層17を形成したシート状の基板11の全周囲の端部に形成された不要領域部11aを除いて、複数対の上面電極層12および密着層16を分離して複数の短冊状基板11bに分割するための第1の分割部を構成する上下方向に貫通したスリット18をダイシング工法により複数形成する。この場合、前記シート状の基板11は、不要領域部11aを除いてダイシング工法により複数のスリット18を形成しているため、スリット18を形成した後も複数の短冊状基板11bは不要領域部11aにつながっているため、シート状態を呈しているものである。
【0025】
次に、図12に示すように、少なくとも複数の抵抗体(図示せず)を有する個片状基板における複数の抵抗体(図示せず)同士が導通しないように前記複数のスリット18の内面における複数の抵抗体(図示せず)間に位置する部分およびシート状の基板11の裏面にテープ19を複数貼る。この場合、前記テープ19としては、紫外線照射または加熱により粘着性を失うテープを使用している。
【0026】
次に、前記テープ19を貼った状態で、図13、図14に示すように、スパッタ工法を用いて、シート状の基板11の裏面側から、シート状の基板11の裏面全体と複数のスリット18の内面におけるシート状の基板11の端面、上面電極層12の端面および密着層16の端面に、シート状の基板11への付着性が良いニッケルクロム薄膜からなる端面電極20を形成する。
【0027】
次に、図15に示すように、前記テープ19に紫外線を照射するか、またはテープ19を加熱することにより、テープ19を剥がす。これにより、テープ19が貼られていた部分に隙間21が形成されるため、シート状の基板11の裏面全体と複数のスリット18の内面におけるシート状の基板11の端面、上面電極層12の端面および密着層16の端面に形成された端面電極20は、前記隙間21が形成されることにより、複数に分離される。
【0028】
次に、図16、図17に示すように、シート状の基板11の裏面全体に形成された複数の端面電極20における不要部分、すなわちシート状の基板11の裏面における略中央部分を約0.3mm径のスポット径を有するレーザーの照射によって、約0.3mm幅で蒸発させて剥離除去することにより、シート状の基板11の裏面におけるスリット18に近接する部分に前記端面電極20の一部を構成する複数対の裏面電極22を形成する。この複数対の裏面電極22が形成されることにより、前記複数の端面電極20は複数対に分離される。この複数対への分離によって、複数の抵抗体13を有する個片状基板における複数の抵抗体13同士は導通しなくなるものである。
【0029】
次に、図3、図16に示すように、シート状の基板11の全周囲の端部に形成された不要領域部11aを除いて、シート状の基板11における複数の短冊状基板11bに、複数の抵抗体13が4つのペア毎に個々に分離されて図18、図19に示すような4つの抵抗体13を有する個片状基板11cに分割されるように前記第1の分割部を構成するスリット18と直交する方向に複数の第2の分割部23を形成する。この場合、この複数の第2の分割部23はレーザースクライブにより形成しているもので、まず、レーザーにより分割溝を形成し、その後、一般的な分割設備により分割溝の部分を分割して個片状基板11cに分割するようにしている。すなわち、この分割方法は、第2の分割部23を形成する毎に個片化されるのではなく、2段階で個片化されるという作用を有するものである。またこの複数の第2の分割部23は不要領域部11aを除いて複数の短冊状基板11bにレーザースクライブにより形成するようにしているため、この複数の第2の分割部23を分割する毎に個片状基板11cに分割され、そしてこの個片状基板11cは不要領域部11aから分離されるものである。
【0030】
最後に、図20に示すように、電気めっき工法を用いて、個片状基板11cにおける端面電極20と露出している密着層16の上面および裏面電極22を覆うように、厚みが約2〜6μmで、かつはんだの拡散防止または耐熱性に優れるニッケルめっきからなる第1のめっき膜24を形成する。その後、図21に示すように、さらに電気めっき工法を用いて、ニッケルめっきからなる第1のめっき膜24を覆うように、厚みが約3〜8μmで、かつはんだ付け性の良いスズめっきからなる第2のめっき膜25を形成する。
【0031】
以上の製造工程により、本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器は製造されるものである。
【0032】
なお、上記製造工程においては、第2のめっき膜25をスズめっきで構成しているが、これに限定されるものではなく、スズ合金系の材料からなるめっきでもよく、これらの材料で構成した場合は、リフローはんだ付け時に安定したはんだ付けができるものである。
【0033】
また上記製造工程においては、抵抗体13等を覆う保護層を、抵抗体13を覆うガラスを主成分とする第1の保護層14と、この第1の保護層14を覆うとともに、トリミング溝15を覆う樹脂を主成分とする第2の保護層17の2層で構成しているため、前記第1の保護層14でレーザートリミング時のクラックの発生を防止して電流雑音を小さくできるとともに、前記樹脂を主成分とする第2の保護層17で抵抗体13全体が覆われるため、耐湿性に優れた抵抗特性を確保できるものである。
【0034】
そしてまた上記製造工程においては、複数対の上面電極層12と複数対の密着層16をシート状の基板11に形成されたスリット18の内面において面一となるように構成しているため、シート状の基板11に形成されたスリット18の内面に端面電極20を薄膜で形成する場合、スリット18の内面におけるシート状の基板11の端面と上面電極層12の端面および密着層16の端面に薄膜からなる端面電極20を連続して安定した状態に形成することができるものである。
【0035】
さらに上記製造工程においては、上面電極層12の一部に重なるように導電性樹脂からなる密着層16を形成しているため、シート状の基板11に形成されたスリット18の内面に端面電極20を薄膜で形成する場合、密着層16の存在により、上面電極層12と薄膜からなる端面電極20の接触面積を大きくすることができ、これにより、上面電極層12と端面電極20の電気的接続信頼性を高めることができるものである。
【0036】
さらにまた上記製造工程においては、複数対の端面電極20をスパッタ工法を用いてニッケルクロム薄膜一層で形成しているが、これに限定されるものではなく、クロム系、銅系、ニッケル系等の薄膜を複数層形成しても良く、これらの材料を複数層形成した場合は、これらの上面に形成するめっき膜が容易に形成できるとともに密着力が強くなるものである。
【0037】
また上記製造工程により製造した多連チップ抵抗器は、ダイシング工法により形成された第1の分割部を構成するスリット18およびレーザースクライブにより形成された第2の分割部23の間隔が正確(±0.005mm以内)であるとともに、端面電極20、第1のめっき膜24、第2のめっき膜25の厚みも正確であるため、製品である4連の多連チップ抵抗器の全長および全幅は、正確に長さ0.6mm×幅1.2mmとなるものである。また、上面電極層12および抵抗体13のパターン精度も個片状基板の寸法ランク分類が不要であるとともに、同一の個片状基板の寸法ランク内での寸法ばらつきを考慮する必要がないため、抵抗体13の有効面積も従来品に比べて大きくとることができるものである。すなわち、従来品における抵抗体は長さ約0.20mm×幅0.19mmであったのに対し、本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の抵抗体13は長さ約0.25mm×幅0.24mmとなって面積では約1.6倍以上となるものである。
【0038】
そしてまた上記製造工程においては、第1の分割部を構成する複数のスリット18をダイシング工法を用いて形成するとともに、個片状基板の寸法分類が不要なシート状の基板11を用いているため、従来のような個片状基板の寸法分類は不要となり、これにより、工程の煩雑さをなくすることができるとともに、ダイシングも半導体等で一般的なダイシング設備を用いて容易に行うことができるものである。
【0039】
さらに上記製造工程においては、シート状の基板11に複数対の上面電極層12を分離するための複数の貫通したスリット18を形成する工程と、前記シート状の基板11を複数の抵抗体13を有する個片状基板11cに分割する工程とにより個片状基板11cを得るようにしているため、従来のような個片状基板の寸法分類は不要となり、これにより、従来のような個片状基板の寸法ランクに応じてマスクを交換するという工程をなくすることができるため、製造工程の簡略化を図ることができるものである。
【0040】
さらにまた上記製造工程においては、端面電極20を形成する前に、複数の抵抗体13を有する個片状基板11cにおける複数の抵抗体13同士が導通しないように複数のスリット18の内面における複数の抵抗体13間に位置する部分およびシート状の基板11の裏面にテープ19を貼り、このテープ19を貼った状態でシート状の基板11の裏面側からスパッタ工法による薄膜技術によりシート状の基板11の裏面におけるスリット18に近接する部分に端面電極20の一部を構成する裏面電極22を形成するとともに、複数のスリット18の内面におけるシート状の基板11の端面と上面電極層12の端面に端面電極20を形成し、その後、前記テープ19を剥がすことにより端面電極20の不要部分を除去するようにしているため、多連チップ抵抗器の端面電極20を形成する場合、テープ19の貼り付け、剥がしという非常にシンプルな構成で端面電極20を形成することができ、これにより、コスト的にも安価に提供することができるとともに、テープ19の使用により、個片状基板11cにおける複数の抵抗体13同士の導通も確実に防止することができるものである。
【0041】
また上記製造工程においては、シート状の基板11の裏面全体にスパッタ工法による薄膜技術により端面電極20を形成した後、スリット18に近接する部分以外の箇所、すなわちシート状の基板11の裏面における略中央部分を約0.3mm径のスポット径を有するレーザーの照射によって、約0.3mm幅で蒸発させて剥離除去することにより、シート状の基板11の裏面におけるスリット18に近接する部分に前記端面電極20の一部を構成する複数対の裏面電極22を形成するようにしているため、個片状基板11cの裏面に位置する対をなす端面電極20の一部である裏面電極22の寸法精度を向上させることができ、これにより、対をなす端面電極20の一部である裏面電極22間の絶縁距離も確実に保つことができるため、この多連チップ抵抗器を裏面側で実装基板に実装した場合における実装不良も低減させることができるものである。
【0042】
そしてまた上記製造工程においては、複数の抵抗体13を有する個片状基板11cにおける複数の抵抗体13同士が導通しないように複数のスリット18の内面における複数の抵抗体13間に位置する部分およびシート状の基板11の裏面に貼られるテープ19として、紫外線照射または加熱により粘着性を失うテープ19を使用しているため、テープ19を貼った状態でシート状の基板11の裏面側からスパッタ工法による薄膜技術によりシート状の基板11の裏面におけるスリット18に近接する部分と複数のスリット18の内面におけるシート状の基板11の端面および上面電極層12の端面に端面電極20を形成し、その後、テープ19を剥がす場合、簡単にテープ19を剥がすことができるものである。
【0043】
なお、上記本発明の一実施の形態においては、シート状の基板11の裏面におけるスリット18に近接する部分に端面電極20の一部を構成する複数対の裏面電極22を形成する場合、シート状の基板11の裏面全体にスパッタ工法による薄膜技術により端面電極20を形成した後、スリット18に近接する部分以外の箇所、すなわちシート状の基板11の裏面における略中央部分を約0.3mm径のスポット径を有するレーザーの照射によって、約0.3mm幅で蒸発させて剥離除去することにより、端面電極20の一部を構成する複数対の裏面電極22を形成するようにしていたが、これとは別の手段、すなわち、あらかじめシート状の基板11の裏面におけるスリット18に近接する部分以外の箇所に、本発明の一実施の形態で採用したテープ19と同じ素材のテープを貼り、そしてこのテープを貼った状態でシート状の基板11の裏面全体にスパッタ工法による薄膜技術により端面電極20を形成し、その後、前記テープを剥がすことによってシート状の基板11の裏面におけるスリット18に近接する部分に端面電極20の一部を構成する複数対の裏面電極22を形成するようにしてもよいもので、この別の手段においても、上記本発明の一実施の形態と同様の作用効果が得られるものである。
【0044】
また上記本発明の一実施の形態においては、4連の多連チップ抵抗器について説明したが、レーザースクライブによる第2の分割部23の設定箇所を変えることにより、2連以上の多連チップ抵抗器を容易に製造することができるものである。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明の多連チップ抵抗器の製造方法によれば、シート状の基板に複数対の上面電極層を分離するための複数の貫通したスリットを形成する工程と、前記シート状の基板を複数の抵抗体を有する個片状基板に分割する工程とにより個片状基板を得るようにしているため、従来のような個片状基板の寸法分類は不要となり、これにより、従来のような個片状基板の寸法ランクに応じてマスクを交換するという工程をなくすることができるため、製造工程の簡略化を図ることができる。また端面電極を形成する前に、複数の抵抗体を有する個片状基板における複数の抵抗体同士が導通しないように複数のスリットの内面における複数の抵抗体間に位置する部分およびシート状の基板の裏面にテープを貼り、このテープを貼った状態でシート状の基板の裏面側から薄膜技術によりシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分と複数のスリットの内面におけるシート状の基板の端面および上面電極層の端面に端面電極を形成し、その後、前記テープを剥がすことにより端面電極の不要部分を除去するようにしているため、多連チップ抵抗器の端面電極を形成する場合、テープの貼り付け、剥がしという非常にシンプルな構成で端面電極を形成することができ、これにより、コスト的にも安価に提供することができるとともに、テープの使用により、個片状基板における複数の抵抗体同士の導通も確実に防止することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の製造方法により得られた多連チップ抵抗器の斜視図
【図2】同多連チップ抵抗器の断面図
【図3】同多連チップ抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の基板の全周囲の端部に不要領域部を形成した状態を示す上面斜視図
【図4】(a)(b)同多連チップ抵抗器の製造工程を示す上面図
【図5】(a)(b)同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【図6】(a)(b)同多連チップ抵抗器の製造工程を示す上面図
【図7】(a)(b)同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【図8】(a)(b)同多連チップ抵抗器の製造工程を示す上面図
【図9】(a)(b)同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【図10】(a)(b)同多連チップ抵抗器の製造工程を示す上面図
【図11】(a)(b)同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【図12】同多連チップ抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の基板の裏面斜視図
【図13】同多連チップ抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の基板の裏面斜視図
【図14】同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【図15】同多連チップ抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の基板の裏面斜視図
【図16】同多連チップ抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の基板の裏面斜視図
【図17】同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【図18】同多連チップ抵抗器の製造工程を示す上面図
【図19】同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【図20】同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【図21】同多連チップ抵抗器の製造工程を示す断面図
【符号の説明】
11 シート状の基板
11b 短冊状基板
11c 個片状基板
12 上面電極層
13 抵抗体
14 第1の保護層
17 第2の保護層
18 スリット
19 テープ
20 端面電極
21 隙間
22 裏面電極
23 第2の分割部
Claims (5)
- シート状の基板の上面に複数対の上面電極層を形成する工程と、前記複数対の上面電極層と電気的に接続される複数の抵抗体をシート状の基板の上面に形成する工程と、少なくとも前記複数の抵抗体を覆うように複数の保護層を形成する工程と、前記シート状の基板に前記複数対の上面電極層を分離するための複数の貫通したスリットを形成する工程と、前記スリットが複数形成された状態のシート状の基板の裏面側から薄膜技術によりシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分と前記複数のスリットの内面におけるシート状の基板の端面および前記上面電極層の端面に端面電極を形成する工程と、前記シート状の基板を複数の抵抗体を有する個片状基板に分割する工程とを備え、前記端面電極を形成する前に、複数の抵抗体を有する個片状基板における複数の抵抗体同士が導通しないように前記複数のスリットの内面における複数の抵抗体間に位置する部分およびシート状の基板の裏面にテープを貼り、このテープを貼った状態で前記シート状の基板の裏面側から薄膜技術により前記シート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分および前記複数のスリットの内面におけるシート状の基板の端面と前記上面電極層の端面に端面電極を形成し、その後、前記テープを剥がすことにより端面電極の不要部分を除去するようにした多連チップ抵抗器の製造方法。
- シート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分に形成される端面電極を、シート状の基板の裏面全体に薄膜技術により端面電極を形成した後、スリットに近接する部分以外の箇所をレーザーで除去することによって形成するようにした請求項1記載の多連チップ抵抗器の製造方法。
- シート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分に形成される端面電極を、あらかじめシート状の基板の裏面におけるスリットに近接する部分以外の箇所にテープを貼り、このテープを貼った状態でシート状の基板の裏面全体に薄膜技術により端面電極を形成し、その後、前記テープを剥がすことによって形成するようにした請求項1記載の多連チップ抵抗器の製造方法。
- シート状の基板に複数対の上面電極層を分離するように形成される複数の貫通したスリットの形成手段として、ダイシング工法を用いた請求項1記載の多連チップ抵抗器の製造方法。
- テープとして、紫外線照射または加熱により粘着性を失うテープを使用した請求項1または3記載の多連チップ抵抗器の製造方法。
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