JP3811397B2 - 孔版印刷の製版方法および製版装置ならびに孔版印刷機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷における感熱製版に関し、特に、和紙や不織布等のインク透過性支持体を有することなく、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなる版材を用いて製版することを実現する製版方法、製版装置および孔版印刷機に関する。尚、ここで「実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなる」と表現しているのは、例えばフィルムの表面に帯電防止コーティングや融着防止コーティングが施されている場合もあるが、そのようなコーティング層を有する場合も、支持体を有していなければ実質的にはフィルムのみからなる構成であることを示している。
【0002】
【従来の技術】
従来、孔版印刷において版に用いられる原紙としては、和紙や不織布等のインク透過性の支持体に、ポリエステル等の熱可塑性プラスチックのフィルムを接着剤で貼り合せたものが一般に使用されている。支持体の厚さが一般に30〜40μm程度であるのに対して、熱可塑性プラスチックのフィルム厚は、約1.5μm程度であり、そのフィルムを感熱穿孔して形成した孔版からインクを出して印刷が行われている。感熱穿孔は、主にサーマルヘッドとプラテンローラとの間に上述の原紙を挿入して、サーマルヘッドの加熱により行われている。
【0003】
このような構成により製版して行われる孔版印刷について、従来から、インク透過性の支持体に熱可塑性プラスチックのフィルムを接着剤で貼り合せた原紙を用いることの不都合が種々挙げられており、支持体を用いずに熱可塑性プラスチックのフィルムだけで原紙(版材)を構成する案が数多く提案されている。しかしながら、実際に現実のものとして実用化に至っているものはなく、いずれの提案も何らかの技術的障壁を乗り越えなければならないのが実情である。
【0004】
一方、従来から製版に用いられているサーマルヘッドとしては、以下に説明する三つの種類が主に知られている。古い順に挙げると、図19に示す厚膜タイプのもの、図20に示す薄膜タイプの全面グレーズ型のもの、図21に示す薄膜タイプの部分グレーズ型のものがある。これらサーマルヘッドの基本的な構成およびそれぞれの特性について簡単に説明する。
【0005】
厚膜タイプのサーマルヘッドは、図19に示すように、放熱基板50上に対向して配置された2本のリード線51の間に、双方のリード線の端部を覆って発熱抵抗体52が厚膜の状態で形成されており、さらに発熱抵抗体52およびリード線51の表面が保護膜53で被覆されている。厚膜タイプは、スクリーン印刷技術により膜形成とパターン形成を同時に行うことができ、製造が簡単で安価であるが、発熱抵抗体が厚膜であるがゆえに熱容量が大きく、熱効率ないしエネルギ効率が低い。また、頻繁に繰り返される加熱・冷却に対して、熱容量の大きさゆえに高速応答ができず、高解像度が得られない。
【0006】
厚膜タイプのサーマルヘッドにおける上述のような不具合を解消するために開発されたのが、発熱抵抗体を薄膜で構成する薄膜タイプのサーマルヘッドである。さらに薄膜タイプには、全面グレーズ型と部分グレーズ型とがある。薄膜タイプの全面グレーズ型サーマルヘッドは、図20に示すように、基板60上の全面に平坦なグレーズ層61を形成し、その上に薄膜抵抗体層62を、さらにその上に重ねて対向電極63を形成して複数の微小な薄膜ヒータが構成されており、さらにそれらを保護膜64で被覆したものである。全面グレーズ型サーマルヘッドでは、薄膜抵抗体層62と、その上に重ねられる対向電極63との間に段差ができ、その段差によって窪んだ箇所がヒータ部分65となる。全体として平坦な表面を有しているが、ヒータ部分65だけがその周囲の他の部分(非ヒータ部分)66よりも低く窪んでおり、その表面に製版原紙を沿わせて送りながら穿孔するときヒータ部分65が原紙に接触できないので、ヒータ部分65の熱は空間を介して原紙に伝わり、伝熱効率が低いうえに、繰り返される加熱・冷却が原紙に作用するまでにタイムラグを生じ、この場合も高速応答ができず高解像度が得られない。
【0007】
薄膜タイプの部分グレーズ型サーマルヘッドは、上述したような全面グレーズ型サーマルヘッドの問題点を解消すべく開発されたものである。部分グレーズ型サーマルヘッドは、図21に示すように、断面略半円状のグレーズ70を、ヒータ部分71が形成される箇所にのみ主走査方向に延在させるように、基板75上に厚膜印刷等で形成し、グレーズ70の外周面上に薄膜抵抗体層72を、さらにその上に重ねて対向電極73を形成して複数の微小な薄膜ヒータが構成されており、さらにそれらを保護膜74で被覆したものである。部分グレーズ型サーマルヘッドにおいても、薄膜抵抗体層72と、その上に重ねられる対向電極73との間に段差はできるが、これらは断面略半円状のグレーズ70の上に形成されるので、その表面に製版原紙を沿わせて送りながら穿孔するときヒータ部分71は、原紙に向かって突出しているので原紙に接触できる。
【0008】
ところで、熱可塑性プラスチックのフィルムのみで構成した厚さ約30〜40μmの原紙を、従来から用いられている上述のような各種サーマルヘッドを用いて製版しようとしても、従来どおりのサーマルヘッドの出力で穿孔することは到底不可能であり、その出力を過剰に大きくしなければならない。そのような過大出力は非現実的であるし、また、そのような大きな出力で加熱を行ったとしても、原紙に鮮明な穿孔は得られず、サーマルヘッド自体の耐久性についても十分な寿命を得ることが出来ないなどの種々の問題を引き起こし、実用化には程遠い結果しかもたらさない。
【0009】
【発明が解決しようとする解決課題】
以上のように、版材を熱可塑性プラスチックのフィルムのみで構成する場合、フィルムの厚さをある程度厚くしなければ取り扱いにくく、また、そのように厚くしたフィルムを感熱穿孔するには、サーマルヘッドの出力を大きくしなければならず、そのことが種々の問題を引き起こして実用化の最大の難関となっていた。すなわち孔版印刷において、版材を熱可塑性プラスチックのフィルムのみで構成するためには、原紙の問題のみならず、サーマルヘッドの問題も解決しなければならないのである。本発明は、それらの問題を同時的に解決すべく創案されたものである。したがって本発明は、熱可塑性プラスチックのフィルムだけで原紙(版材)を構成して孔版印刷を行うことを実現する製版方法、製版装置、ならびに孔版印刷機を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明に係る孔版印刷の製版方法は、上述のごとき従来技術の課題を解決し、その目的を達成するために以下のように構成されている。すなわち、所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからなり感熱性孔版印刷用版材をサーマルヘッドの加熱により溶融してインク透過開口を形成する孔版印刷の製版方法であって、上記版材は、その一方の面に多数の微小凹部が形成されて、微少凹部形成面と反対側の面に突出した微少凹部底部の肉薄部と、該微少凹部以外で上記所定の厚さを有するフィルム肉厚部とを有しており、主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、該非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成された上記サーマルヘッドのヒータ部分を用いて、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を上記ヒータ部分に接触させて加熱し、上記微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通することにより、該溶融部分を上記微小凹部に連通させて上記インク透過可能な開口を形成することを特徴とする。
【0011】
上記サーマルヘッドは、上記ヒータ部分を構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ部分および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に形成される全面グレーズ型とすることができる。
【0012】
上記フィルムは、上記微小凹部底部の肉薄部が、微小凹部形成面と反対側の面で突出しているのが好ましい。
【0013】
上記版材は延伸されたフィルムであって該フィルムには延伸時の引張応力が内部残留しており、上記加熱により微小凹部底部の肉薄部の溶融が始まると、該残留応力により、該溶融部分の底部から微小凹部に連通して上記インク透過可能な開口が形成されるのが好ましい。
【0014】
上記微小凹部は、上記フィルムの加熱される側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の面における開口径よりも小さく且つインク透過を許容しない程度に小さい貫通孔であってもよく、或いは上記フィルムの厚さを部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部であってもよい。
【0015】
次に、本発明に係る孔版印刷の製版装置は、以下のような構成を備えている。
すなわち、所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからなり、該フィルムの一方の面に多数の微少凹部が形成され、上記微少凹部の底部が微少凹部形成面と反対側の面に突出した感熱性孔版印刷用版材を供給する版材供給部と、上記フィルムの微小凹部形成面とは反対側の面を加熱することにより該被加熱部分を溶融し、該溶融部分を上記微小凹部に連通させてインク透過可能な開口を形成する加熱手段とを備え、上記加熱手段は、主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、該非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成され、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を上記ヒータ部分に接触させて加熱し、上記微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通するサーマルヘッドであることを特徴とする。
【0016】
この製版装置においても、上記サーマルヘッドは、上記ヒータ部分を構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ部分および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に形成される全面グレーズ型とすることができる。
【0017】
勿論、上述のような孔版印刷の製版装置を、製版部として備えた孔版印刷機を構成することも可能である。
【0018】
また、製版装置および孔版印刷機のいずれにおいても、上記微小凹部は、上記フィルムの加熱される側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の面における開口径よりも小さく且つインク透過を許容しない程度に小さい貫通孔とすることができ、或いは上記フィルムの厚さを部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部とすることもできる。
【0019】
さらに本発明に係る別の孔版印刷の製版方法は、所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱性孔版印刷用版材をサーマルヘッドの加熱により溶融してインク透過開口を形成する孔版印刷の製版方法であって、上記版材は、その一方の面に多数の微小凹部が形成されて、微少凹部形成面と反対側の面に突出した微少凹部底部の肉薄部と、該微少凹部以外で上記所定の厚さを有するフィルム肉厚部とを有しており、主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分が、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側で上記版材に接して該版材を支承する部分よりも低く形成された上記サーマルヘッドのヒータ部分を用いて、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を接触状態で加熱し、上記微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通することにより、該溶融部分を上記微小凹部に連通させて上記インク透過可能な開口を形成することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る孔版印刷の製版方法、製版装置ならびに孔版印刷機の実施形態について、図1から図11を参照して説明する。図1は、本発明に係る孔版印刷の製版方法を説明する概略図である。図中10は、薄膜タイプの全面グレーズ型サーマルヘッドであり、11はプラテンローラである。その間に挟まれて図の左側から右側へ矢印の方向に送られているのが、例えば延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのようなポリエステルフィルムからなる熱可塑性樹脂フィルムの原紙12である。図1は拡大断面で示しているが、各構成の実際の大きさは、原紙12の厚さが数μmから10数μm程度のオーダーであり、サーマルヘッド10のヒータ部分13の長さは、原紙送り方向(副走査方向)で10数μmから100μm程度のオーダーである。なお図には表れないが、個々のヒータ部分13の主走査方向(紙面に垂直な方向)の長さは20μmから80μm程度であり、多数のヒータ部分13が40μmから85μmのピッチで直線状に配列されている。また、ヒータ部分13の窪みの深さは3〜4μm程度である。なお、図には部分的にしか表されていないが、プラテンローラ11は約20mm前後の直径を有するゴムローラである。
【0021】
このように、薄膜タイプの全面グレーズ型サーマルヘッドは、原紙送り方向(副走査方向)に沿う断面で見るとき、個々のヒータ部分13がその両側の部分(非ヒータ部分15)よりも窪んで低くされているので、ヒータ部分13の表面と原紙12の被加熱面との間に隙間ができる。原紙12の微小凹部14の底部は2〜3μm程度の薄膜になっているので、その部分だけを加熱溶融するには、1〜2μm程度の隙間があった方が結果として良好である。これと同じ原紙を薄膜タイプの部分グレーズ型サーマルヘッドで直接接触させる状態で加熱すると、微小凹部14の薄肉底部が溶融されることは勿論であるが、薄肉底部以外の部分もヒータ部分に接触して部分的に溶融されるので、その薄肉底部以外の溶融した分が原紙の走行に伴って引きずられ、後続する微小凹部14の薄肉底部に被さることによって、その薄肉底部の溶融穿孔を不完全にしてしまったり塞いでしまったりする不都合がある。このように、熱可塑性樹脂フィルムのみからなって微小凹部14を形成した原紙12で製版するには、意外にも部分グレーズ型サーマルヘッドは不適合であり、原紙12の被加熱面に接触しないように、特に溶融させたくない薄肉底部以外の部分に接触しないように、ヒータ部分13がその周辺部分ないし非ヒータ部分15よりも低く窪んだサーマルヘッド、例えば全面グレーズ型サーマルヘッドの方が適合するのである。
【0022】
上述のように、ヒータ部分が原紙の被加熱面に接触しないように、特に溶融させたくない薄肉底部以外の部分に接触しないように、ヒータ部分がその周辺部分ないし非ヒータ部分よりも低く窪んだ構成を有するサーマルヘッドの例としては、典型的には全面グレーズ型サーマルヘッドがある。しかし、別の形態として考えられる例として、例えば部分グレーズ型サーマルヘッドであっても、そのヒータ部分の曲率やヒータ部分の長さによっては、ヒータ部分を覆う保護膜の厚さを通常どおりとしておき且つ対向電極の厚さを十分に厚くすることによって、対向電極の最も高い位置をヒータ部分の最も高い位置よりも高くなるように構成することもできるであろう。そのような構成では、ヒータ部分が原紙の被加熱面に接触しないように、ヒータ部分がその周辺部分ないし対向電極よりも低く窪んだ形態となり得るので、全面グレーズ型サーマルヘッドを用いる場合と同様の作用効果が得られる。
【0023】
なお、フィルムとして使用可能な他の熱可塑性樹脂には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ナイロン6等が挙げられる。特にポリエステルフィルムを用いる場合には、上述の延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの他に、結晶度が20%以下のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)との共重合による低融点フィルム、結晶度が20%以下のポリエチレンテレフタレート(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)との共重合による低融点フィルムが好適である。
【0024】
原紙12には、プラテンローラ11に接する側の面に多数の微小凹部14がランダム配置で形成されている。図1では、ヒータ部分13に面している原紙12の部分に穿孔すべく通電されている状態が示されており、微小凹部14の底部が溶融して原紙12を貫通し、インクが透過できる開口に形成されている。このように、サーマルヘッド10のヒータ部分13に通電するか給電を遮断するかを制御することで所望の箇所にインク透過開口を形成して製版することができる。
【0025】
このように、フィルム12の一方面に微小凹部14が形成されているので、その反対側の面から加熱して穿孔するとき、フィルム12の厚さ全部を貫通する孔を開けずとも、溶融部を微小凹部に連通させるだけでインク透過開口を形成することができる。
【0026】
微小凹部14が形成される密度は、所望の解像度に応じて変更できるが、1ドット中の開口率が5〜30%程度となる密度で配置されているのが、美しい印刷をもたらし、且つ裏写りや裏抜けを防止するのに適切である。すなわち、サーマルヘッド10のうち、一つのヒータ部分13に接しているフィルムの面積がマトリックスの1ドット分に相当し、その面積内には少なくとも一つの微小凹部14が配置されているのが好ましい。
【0027】
また、微小凹部14の配列は、規則的であってもよいが不規則であるほうが、印刷用紙上でインクの濃淡が縞状に現れる現象である「モアレ」が目立つのを防止するうえで好ましい。いずれの場合であっても、微小凹部14の配列される平均ピッチは、サーマルヘッド10のヒータ部分13の配列ピッチよりも細かくされる。
【0028】
図2は、微小凹部14がインク透過を許容しない程度に小さい貫通孔である場合の原紙12を断面斜視図で示している。製版時に加熱される側となる面20の開口21の径はインク透過を許容しないように十分小さいものであるが、反対側の面22における開口23の径はそれよりも大きくてよく、該凹部14内にインクが浸入するのを許容する程度に大きくてよい。なお、図3は微小凹部14が薄肉底部24を形成する陥凹部に形成された状況を示している。
【0029】
また、微小凹部14を陥凹部に形成する場合、フィルムの材質にもよるが、薄肉底部24の厚さは、フィルムの厚さの約80%以下とするのがよいであろう。なお、フィルムの延伸時の残留応力によっては微小な表面凹部に応力が集中して開口を促す場合もあるので、その場合にはフィルム厚さの20%程度の深さの凹部でも効果がある。一方、フィルムの延伸時の残留応力が少ない場合には凹部の深さは深く(薄肉底部の厚さは薄く)する必要があり、その場合には薄肉底部の厚さは2μm程度以下が望ましい。
【0030】
次に、熱可塑性樹脂フィルムからなる原紙12に微小凹部14を形成する方法について述べる。フィルムに微小凹部を形成するには、微小な凸状体をフィルムの一方面に押し付ける型押加工を行う。例えばダイヤモンドの微粒子を多数付着させた鑢状のものを、所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムに押しつけることで形成することもできる。一般に、フィルム状の薄い物体に貫通孔を形成するまで凸状体を押し付けるのは困難であり、通常は凸状体押し付け面と反対側の面に薄皮状態の層が残る(薄肉底部を形成する陥凹部となる)か、あるいは、僅かに亀裂程度の開口(インク透過を許容しない程度の小開口)が形成される程度にしか押し付けられない。この性質を利用して加工を行えば、加工面側に適当な微小凹部が形成され、その微小凹部が反対側の面に達したとしてもインク透過を許容するほどの開口にはならない。
【0031】
図4および5に、原紙12に微小凹部14を形成するための構成例を示している。表面に多数の微粒子30,31を付着させて凹凸にした型押しローラ32,33と、表面が平滑な支承ローラ35,36とが対向して設けられており、共に回転している両ローラ32,35の間に、あるいは両ローラ33,36の間に一定厚さの熱可塑性樹脂フィルム12が挿通される。両ローラの間から出てきた熱可塑性樹脂フィルム12は、型押しローラ32または33に接した側の面に微粒子30または31の形で微小凹部14が型押し成形されている。
【0032】
図5に示すように先端が比較的丸い粒子31を付着させた型押しローラ33で微小凹部14を形成する場合、微小凹部14がフイルム12の反対側の面にまで達することはないが、図4に示すように先端が比較的尖った粒子30を付着させた型押しローラ32で微小凹部14を形成する場合には、粒子の先端がフイルム12の反対側の面にまで達することがある。しかし、そのような場合でも、インクの透過が可能な開口にまで大きくなることはない。
【0033】
さらに、図6および図7に、特にポリエステルフィルムの原紙に微小凹部を形成するための構成例を示す。図6の例では、互いに対向する1対のローラ130および131を設け、一方のローラ131は外周面全周に微小凸部132を形成して型押しローラとする。もう一方のローラ130は、外周面が平滑な支承ローラである。矢印の方向へ共に回転する型押しローラ131と支承ローラ130との間に、一定厚さの熱可塑性樹脂フィルム12を挿通させて型押加工を行う。
【0034】
図7に、別の製造方法ならびに製造装置の概念を示す。外周表面全周に微小凸部133を形成した金属ベルト134を回転駆動するローラ135および136の間に掛け渡し、その一方のローラ135に対向させて外周面が平滑な支承ローラ137を配置する。金属ベルト134と支承ローラ137との間に一定厚さの熱可塑性樹脂フィルム12を挿通させて型押加工を行う。
【0035】
図6に示した型押しローラ131の微小凸部132を形成する一具体例を次に示す。金属ローラの素材表面(外周面)にセラミックをプラズマコーティングした後に表面を研磨し、さらにレーザー彫刻によって多数の微小凸部132を形成することができる。微小凸部132のピッチは100μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下とする。レーザー彫刻を施す深さを3〜40μmとし、フィルム厚さの70%〜200%の高さの微小凸部132を形成して型押しローラ131とする。
【0036】
図7に示した金属ベルト134の微小凸部133を形成する一具体例を次に示す。厚さ0.1mm〜0.5mmの金属板に、フォトエッチング加工によって多数の微小凸部133を形成することができる。この場合も微小凸部133のピッチは100μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下である。フォトエッチングの深さを3〜40μmとし、フィルム厚さの70%〜200%の高さの微小凸部133を形成して型押しベルト134とする。
【0037】
原紙12の給送経路に沿って図4〜7の構成のいずれかを配置し、さらに引き続いて図1の構成を配置すれば、一連の製版装置が形成される。また、この製版装置を孔版印刷機に製版部として組み込むことで、本発明に係る孔版印刷機を構成することもできる。
【0038】
図8〜10は、型押し加工によってフィルムに微小凹部が形成される過程を模式的に示している。各図には、フィルムの部分に歪の変化する状態を示す格子線を便宜的に入れている。図8は型押体の微小凸部による加圧前の状態を示しており、図9は微小凸部による加圧途上の状態を示している。図10は微小凸部による加圧終了時の状態を示している。これらの図から解るように、凹部が形成されて行く過程で、凹部の底部となる部分が横に延伸されていく。すなわち凹部の底部は、他の部分よりも高い率で延伸されている。このことは、製版時の加熱によって溶解し始めた凹部底部は、延伸率に見合う大きな応力で引き合うために溶解部分が周辺へ広がるように亀裂していき、速やかな穿孔を実現することになる。
【0039】
ところで、例えば図6や図7に示すような構成によって図8〜10に示すような型押し加工が行われると、フィルム12が支承ローラ130または137から離れるときに背面(微小凹部形成面とは反対側の面)側からの支えがなくなり、凹部底部に集中的に残留する応力がフィルム背面側へ幾分逃がされるようにして凹部底部がフィルム背面側へ幾分突出する。図11は、そのように凹部底部がフィルムの背面側へ突出した状態を示す断面図である。また図12は、このようにして凹部底部24がフィルム12の背面側へ突出した原紙の一例を示す断面図である。この突出は、フィルム背面側がサーマルヘッドで加熱されるときに、図13に示すように微小凹部14の底部24だけがサーマルヘッドのヒータ部分に接近するのを、または接触するのを許容する。換言すれば、微小凹部底部以外の溶融したくない箇所は窪んだヒータ部分内に入り込むことがなく、突出した微小凹部底部24だけが窪んだヒータ部分13内に入り込むことができるので、その箇所だけが必要な熱量で加熱を受けて溶融し、他の部分はヒータ部分13に近付くことがないので溶融することはないのである。したがって、溶融すへき箇所だけが図14に示すように確実に溶融されて穿孔され、他の箇所が溶融されることによってその穿孔を塞いでしまうことがない。なお、図14に示された状態では、凹部底部24が溶融して穿孔された後に、凹部底部内に残留していた応力が開放され、その結果、変形前の形状に戻るように、凹部底部自体の厚さが若干厚くなっており、凹部自体も浅くなっている。微小凹部底部の突出高さは、例えば薄膜タイプの全面グレーズ型サーマルヘッドにおけるヒータ部分の窪み深さ程度か、それよりも低くされているのが好ましいであろう。
【0040】
上述のようにして行われる孔版印刷の製版方法では、まず、原紙が熱可塑性樹脂フィルムのみで構成されるので、支持体との貼り合わせが不要となり、支持体を備えているが故の不都合が取り除かれる。例えば、貼り合わせ工程が不要になる。接着剤が不要になる。接着剤が製版にもたらす「インク透過開口の変形」等の印刷精度に対する悪影響がなくなる。支持体の繊維が、穿孔されたフィルムの開口内に入って生じる「印字のかすれ」等の悪影響がなくなる。異種材を貼り合わせるとカールを生じる原因となるが、そのようなカールしやすい性質が取り除かれる。フィルム厚の約20〜30倍の厚さを有する支持体がないので、貼り合わせ構造の原紙では支持体に吸収されたまま無駄になっていたインクが、フィルムのみで構成される原紙では、そのようなインクの無駄がなくなる。
【0041】
また、従来の支持体貼り合わせ構成の場合では、フィルム自体の厚さは約1.5μmであったが、本発明では例えば4〜5μm程度(音響用カセットテープの厚さ程度)あるいはそれ以上に、材質の硬さに合わせてある程度の厚さをもたせるので、実際の取り扱いは可能である。別言すれば、貼り合わせ構造の場合のフィルム厚(約1.5μm)だけの厚さの原紙とすると、版材自体が薄過ぎて取り扱いにくい。そして本発明では、フィルム自体の厚さが、支持体貼り合わせ構成の場合のように薄くないので、過剰なインクが印刷用紙に転移して裏写りや裏抜けするのを有効に防止することができる。
【0042】
従来の貼り合わせ原紙では、約1.5μmの熱可塑性樹脂フィルムに穿孔していたので、そのサーマルヘッドの出力で4〜5μmのフィルムに穿孔するのは出力不足で使用できない。また、サーマルヘッドの出力を大きくすると、プラテンローラに高い熱エネルギが伝わってプラテンローラに悪影響を及ぼし、またヘッド自体の寿命にも好ましくない。しかしながら本発明による製版方法では、フィルム材料の種類にもよるが、少なくとも取り扱い(ハンドリング)が容易なように、ある程度の厚さをもたせつつも、その穿孔に要する熱エネルギが従来に比べて大きくならない。それは、フィルムの一方の面に、微小凹部を多数形成しているので、穿孔する箇所では、その反対側の面から微小凹部に連通する程度にフィルムを溶融するだけでインク透過開口を得ることができるからである。従来、原紙を熱可塑性樹脂フィルムのみで構成する場合、フィルムの厚さをある程度厚くしなければ取り扱いにくく、また厚いフィルムに感熱穿孔するにはサーマルヘッドの出力を大きくしなければならず、そのことが実用化の最大の難関となっていた訳であるが、本発明によれば、サーマルヘッドの出力を大きくしなくとも、フィルムにインク透過開口を感熱穿孔することが可能になり、この問題を解決することができる。特に、サーマルヘッドのヒータ部分が周辺の部分よりも低く窪んでいるので、微小凹部に連通する程度にフィルムを溶融するだけの熱量でフィルムを加熱するのにちょうどよい程度の隙間をヒータ部分とフィルム被加熱面との間に確保でき、且つ穿孔したい箇所以外の箇所を溶融することがない。
【0043】
薄い熱可塑性樹脂フィルムを挟んでサーマルヘッドに対向するプラテンローラに伝達される熱エネルギは、極力小さいのが好ましい訳であるが、上述のようにサーマルヘッドにおけるヒータ部分の窪みと微小凹部自体とが断熱空気層を形成することで、サーマルヘッドからプラテンローラに伝達される熱エネルギは十分に小さくすることが可能である。
【0044】
特に、熱可塑性樹脂フィルムは延伸されているので、その延伸時の引張応力が内部残留しており、僅かな部分が熱溶融するだけで亀裂が走り、その近辺の微小凹部に達する開口が形成される。したがって、溶融箇所が微小凹部に達するまで加熱する必要はなく、サーマルヘッドは最小限の出力でフィルムに穿孔を形成することができる。なお、このように延伸時の引張応力を内部残留させておくためには、微小凹部を形成する型押し加工等の機械的加工は、熱可塑性樹脂の融点温度以下で行うべきである。また、フィルムのクラックを防ぎつつ、より少ない加工圧力で凹部を形成するには、熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上で行うのが望ましい。
【0045】
また、本発明に係る孔版印刷の製版装置によって本発明の製版方法を行うことができ、一様な所定厚さを有する熱可塑性樹脂フィルムが供給され、その供給されたフィルムの一方面に微小凹部が形成される。そして、その微小凹部形成面とは反対側の面に、確実且つ適切にインク透過開口を形成して製版される。この一連の作用は、単独の製版装置で行われてもよく、そのような製版装置を製版部として備えた孔版印刷機内で行われてもよい。
【0046】
なお、孔版印刷の製版に際して用いる薄膜タイプのサーマルヘッドが全面グレーズ型と部分グレーズ型とでどちらが好ましいかという選択に関して、一般的には部分グレーズ型の方が全面グレーズ型よりも高い加熱効率が得られるので好適であると認識されているにもかかわらず、本発明では全面グレーズ型を用いる方が好適であるとする結果に到った考察を証明する実験例について、以下に紹介する。
【0047】
実験は3種類のテストにより行った。第1テストでは、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用フィルムを被加熱対象として、全面グレーズ型と部分グレーズ型の各サーマルヘッドを用いて製版を行った場合の穿孔(溶融)面積を比較した。OHP用フィルムには、3M社のTransparency Film pp2200(エンボス加工なし)厚さ0.1mmのを用いた。OHP用フィルムを被加熱対象としたのは、両方のサーマルヘッドに対する加熱効率を比較するうえで、バラツキの少ない安定したテスト環境を得るためである。すなわち、フィルム厚が薄い被加熱物を用いると、サーマルヘッドの熱がフィルム全体に伝達されるために、アニール処理のバラツキによる影響が出てしまうので、安定した測定結果が得られない虞がある。これに対してOHP用フィルムは、十分な厚さがあるので、バラツキの少ない安定した測定結果が得られる。測定方法としては、被加熱物をサーマルヘッドとプラテンローラとの間に搬送し、製版時の単位面積当たりの熱量を20mj/mm2で被加熱物に対して製版作業(プラテン圧0.15kg/cm、搬送速度31.75mm/sec)を行い、全面グレーズ型と部分グレーズ型とを用いた場合でそれぞれの穿孔(溶融)面積を測定した。その他の諸条件は全て同一である。図15は、全面グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す図であり、図16は、部分グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す図である。全面グレーズ型で穿孔した箇所の面積は2424μm2であったのに対して部分グレーズ型では3884μm2であった。すなわち、部分グレーズ型は全面グレーズ型の訳1.6倍の加熱効率を有することが理解された。
【0048】
第2テストとして、感熱紙を被加熱対象として、全面グレーズ型と部分グレーズ型の各サーマルヘッドを用いて感熱印字を行った場合の印刷後の発色濃度を比較した。感熱紙には、コクヨ社のFAX-CT210A-30を用いた。測定方法としては、被加熱物をサーマルヘッドとプラテンローラとの間に搬送し、単位面積当たりの熱量を15mj/mm2で被加熱物に対して加熱穿孔作業(プラテン圧0.15kg/cm、搬送速度31.75mm/sec)を行い、全面グレーズ型と部分グレーズ型とを用いた場合でそれぞれの発色濃度を濃度計(MACBETH, RD914)にて測定した。その他の諸条件は全て同一である。全面グレーズ型では測定濃度値が0.823であったのに対して、部分グレーズ型では測定濃度値 が0.890であった。すなわち、部分グレーズ型は全面グレーズ型よりも高い発色濃度を示し、高い加熱効率を有することが理解された。
【0049】
第3テストとして、エンボス加工によって微小凹部が形成された熱可塑性樹脂フィルムからなる孔版原紙(フィルム厚さ11μm、エンボス深さ9μm)を被加熱対象として、全面グレーズ型と部分グレーズ型の各サーマルヘッドを用いて製版を行った場合の穿孔面積を比較した。測定方法としては、被加熱物をサーマルヘッドとプラテンローラとの間に搬送し、製版時の単位面積当たりの熱量を12mj/mm2で被加熱物に対して製版作業(プラテン圧0.15kg/cm、搬送速度31.75mm/sec)を行い、全面グレーズ型と部分グレーズ型とを用いた場合でそれぞれの穿孔面積を測定した。その他の諸条件は全て同一である。図17は、全面グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す図であり、図18は、部分グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す図である。各図には、9ヶ所の微小凹部に対応する穿孔孔の開口状況が表されている。全面グレーズ型で穿孔した箇所の面積は436μm2であったのに対して部分グレーズ型では255μm2であった。すなわち、テスト1やテスト2の結果から予測される結果とは逆の結果が得られ、全面グレーズ型は部分グレーズ型の訳1.7倍の穿孔面積が得られることが理解された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る製版方法ならびに製版装置の概念を示す図である。
【図2】 本発明に係る製版方法ならびに製版装置に使用される原紙の構造について、その概念を示す図である。
【図3】 本発明に係る製版方法ならびに製版装置に使用される原紙の構造について、その概念を示す図である。
【図4】 原紙に微小凹部を形成するための構成例を示す図である。
【図5】 原紙に微小凹部を形成するための構成例を示す図である。
【図6】 原紙に微小凹部を形成するための構成例を示す図である。
【図7】 原紙に微小凹部を形成するための構成例を示す図である。
【図8】 フィルムに微小凸部が押し込まれて微小凹部が形成される過程を示す図であり、微小凸部による加圧前の状態を示している。
【図9】 フィルムに微小凸部が押し込まれて微小凹部が形成される過程を示す図であり、微小凸部による加圧途上の状態を示している。
【図10】 フィルムに微小凸部が押し込まれて微小凹部が形成される過程を示す図であり、微小凸部による加圧終了時の状態を示している。
【図11】 フィルムに微小凸部が押し込まれて微小凹部が形成される過程を示す図であり、微小凹部の底部がフィルムの背面側へ突出した状態を示している。
【図12】 微小凹部の底部がフィルムの背面側へ突出した状態の原紙の一例を示す断面図である。
【図13】 フィルムの微小凹部底部が全面グレーズ型サーマルヘッドのヒータ部内に入って加熱直前の状態を示す図である。
【図14】 図13の状態から加熱終了後の状態を示す図である。
【図15】 テスト1で全面グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す図である。
【図16】 テスト1で部分グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す図である。
【図17】 テスト3で全面グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す図である。
【図18】 テスト3で部分グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す図である。
【図19】 厚膜タイプのサーマルヘッドの模式断面図である。
【図20】 薄膜タイプの全面グレーズ型サーマルヘッドの模式断面図である。
【図21】 薄膜タイプの部分グレーズ型サーマルヘッドの模式断面図である。
【符号の説明】
10 サーマルヘッド
11 プラテンローラ
12 熱可塑性樹脂フィルムからなる原紙
13 サーマルヘッドのヒータ部分
14 微小凹部
15 非ヒータ部分
20 原紙の製版時被加熱面
21 面20側の貫通孔開口
22 面20の反対側の面
23 面22側の貫通孔開口
24 陥凹部の薄肉底部
30 微粒子
31 微粒子
32 型押しローラ
33 型押しローラ
35 支承ローラ
36 支承ローラ
50 放熱基板
51 リード線
52 発熱抵抗体
53 保護膜
60 基板
61 グレーズ層
62 薄膜抵抗体層
63 対向電極
64 保護膜
65 ヒータ部分
66 非ヒータ部分
70 グレーズ
71 ヒータ部分
72 薄膜抵抗体層
73 対向電極
74 保護膜
75 基板
130 支承ローラ
131 型押しローラ
132 微小凸部
133 微小凸部
134 型押しベルト
135 ローラ
136 ローラ
137 支承ローラ
Claims (16)
- 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱性孔版印刷用版材をサーマルヘッドの加熱により溶融してインク透過開口を形成する孔版印刷の製版方法であって、
上記版材は、その一方の面に多数の微小凹部が形成されて、微少凹部形成面と反対側の面に突出した微少凹部底部の肉薄部と、該微少凹部以外で上記所定の厚さを有するフィルム肉厚部とを有しており、
主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、該非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成された上記サーマルヘッドのヒータ部分を用いて、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を上記ヒータ部分に接触させて加熱し、上記微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通することにより、該溶融部分を上記微小凹部に連通させて上記インク透過可能な開口を形成することを特徴とする孔版印刷の製版方法。 - 上記ヒータ部分を構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ部分および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に形成される全面グレーズ型の上記サーマルヘッドを用いて加熱することを特徴とする請求項1記載の孔版印刷の製版方法。
- 上記版材として延伸されたフィルムを用い、該フィルムには延伸時の引張応力を与えて内部残留させ、上記加熱により微小凹部底部の肉薄部の溶融が始まると、該残留応力により、該溶融部分の底部から微小凹部に連通して上記インク透過可能な開口を形成させる請求項1ないし2のいずれかに記載の孔版印刷の製版方法。
- 上記フィルムの加熱される側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の面における開口径よりも小さく且つインク透過を許容しない程度に小さい貫通孔である上記微少凹部を有する版材を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の孔版印刷の製版方法。
- 上記微小凹部は、上記フィルムの厚さを部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部として形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の孔版印刷の製版方法。
- 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからなり、該フィルムの一方の面に多数の微少凹部が形成され、上記微少凹部の底部が微少凹部形成面と反対側の面に突出した感熱性孔版印刷用版材を供給する版材供給部と、
上記フィルムの微小凹部形成面とは反対側の面を加熱することにより該被加熱部分を溶融し、該溶融部分を上記微小凹部に連通させてインク透過可能な開口を形成する加熱手段とを備え、
上記加熱手段は、主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、
該非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成され、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を上記ヒータ部分に接触させて加熱し、上記微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通するサーマルヘッドであることを特徴とする孔版印刷の製版装置。 - 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱性孔版印刷用版材を供給する版材供給部と、
上記フィルムに、その一方の面に多数の微少凹部を形成するとともに上記微少凹部の底部が、微少凹部形成面と反対側の面に突出させる手段と、
上記フィルムの微小凹部形成面とは反対側の面を加熱することにより該被加熱部分を溶融し、該溶融部分を上記微小凹部に連通させてインク透過可能な開口を形成する加熱手段とを備え、
上記加熱手段は、主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、
該非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部分が、非ヒータ部分の 対向電極部よりも低く形成され、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を上記ヒータ部分に接触させて加熱するサーマルヘッドであることを特徴とする孔版印刷の製版装置。 - 上記サーマルヘッドは、上記ヒータ部分を構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ部分および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に形成される全面グレーズ型である、請求項6又は7に記載の孔版印刷の製版装置。
- 上記微小凹部は、上記フィルムの加熱される側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の面における開口径よりも小さく且つインク透過を許容しない程度に小さい貫通孔である、請求項6ないし8のいずれかに記載の孔版印刷の製版装置。
- 上記微小凹部は、上記フィルムの厚さを部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部である請求項6ないし8のいずれかに記載の孔版印刷の製版装置。
- 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムを有し、該フィルムの一方の面に多数の微少凹部が形成され、上記微少凹部の底部が、微少凹部形成面と反対側の面に突出した感熱性孔版印刷用版材を供給する版材供給部と、
上記フィルムの微小凹部形成面とは反対側の面を加熱することにより該被加熱部分を溶融し、該溶融部分を上記微小凹部に連通させてインク透過可能な開口を形成する加熱手段とを備え、
上記加熱手段は、主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、
該非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成され、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を上記ヒータ部分に接触させて加熱するサーマルヘッドであることを特徴とする孔版印刷機。 - 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムを有する感熱性孔版印刷用版材を供給する版材供給部と、
上記フィルムに、その一方の面に多数の微小凹部を形成し、上記微少凹部の底部を、微少凹部形成面と反対側の面に突出させる手段と、
上記フィルムの微小凹部形成面とは反対側の面を加熱することにより該被加熱部分を溶融し、該溶融部分を上記微小凹部に連通させてインク透過可能な開口を形成する加熱手段とを備え、
上記加熱手段は、主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、該非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成され、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を上記ヒータ部分に接触させて加熱するサーマルヘッドであることを特徴とする孔版印刷機。 - 上記サーマルヘッドは、上記ヒータ部分を構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ部分および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に形成される全面グレーズ型である、請求項11又は12に記載の孔版印刷機。
- 上記微小凹部は、上記フィルムの加熱される側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の面における開口径よりも小さく且つインク透過を許容しない程度に小さい貫通孔である請求項11ないし13のいずれかに記載の孔版印刷機。
- 上記微小凹部は、上記フィルムの厚さを部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部である請求項11ないし13のいずれかに記載の孔版印刷機。
- 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱性孔版印刷用版材をサーマルヘッドの加熱により溶融してインク透過開口を形成する孔版印刷の製版方法であって、
上記版材は、その一方の面に多数の微小凹部を、該微小凹部底部の肉薄部と、該微小凹部以外で上記所定厚さを有するフィルム肉厚部とを有し、上記微少凹部底部の肉薄部が微少凹部形成面と反対側の面で突出するように形成されており、
主走査方向に沿って直線状に配列されたヒータ部分が、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両側で上記版材に接して該版材を支承する部分よりも低く形成された上記サーマルヘッドのヒータ部分を用いて、上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を接触状態で加熱 し、上記微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通することにより、該溶融部分を上記微小凹部に連通させて上記インク透過可能な開口を形成することを特徴とする孔版印刷の製版方法。
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