JP2003182020A - 孔版印刷の製版方法および製版装置ならびに孔版印刷機 - Google Patents

孔版印刷の製版方法および製版装置ならびに孔版印刷機

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性プラスチックのフィルムだけで原紙
を構成して孔版印刷用の製版を行うために、原紙とサー
マルヘッドとの相互関係を最適にする製版方法、製版装
置、ならびに孔版印刷機を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱性孔
版印刷用版材12をサーマルヘッド10で溶融してイン
ク透過開口を形成する孔版印刷の製版方法。版材は、そ
の一方面に多数の微小凹部14が形成され、微小凹部底
部の肉薄部と、微小凹部以外のフィルム肉厚部とを有す
る。サーマルヘッドは、主走査方向に沿う直線状配列の
ヒータ部分と、副走査方向に沿ってその両側に存する非
ヒータ部分とを有す。非ヒータ部分は対向電極部を含
み、ヒータ部分は対向電極部よりも低く形成される。版
材の微小凹部形成面とは反対側の面をサーマルヘッドの
ヒータ部分で加熱し、微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通
し、溶融部分を微小凹部に連通させてインク透過開口を
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、孔版印刷における
感熱製版に関し、特に、和紙や不織布等のインク透過性
支持体を有することなく、実質的に熱可塑性樹脂フィル
ムのみからなる版材を用いて製版することを実現する製
版方法、製版装置および孔版印刷機に関する。尚、ここ
で「実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなる」と表
現しているのは、例えばフィルムの表面に帯電防止コー
ティングや融着防止コーティングが施されている場合も
あるが、そのようなコーティング層を有する場合も、支
持体を有していなければ実質的にはフィルムのみからな
る構成であることを示している。
【0002】
【従来の技術】従来、孔版印刷において版に用いられる
原紙としては、和紙や不織布等のインク透過性の支持体
に、ポリエステル等の熱可塑性プラスチックのフィルム
を接着剤で貼り合せたものが一般に使用されている。支
持体の厚さが一般に30〜40μm程度であるのに対し
て、熱可塑性プラスチックのフィルム厚は、約1.5μ
m程度であり、そのフィルムを感熱穿孔して形成した孔
版からインクを出して印刷が行われている。感熱穿孔
は、主にサーマルヘッドとプラテンローラとの間に上述
の原紙を挿入して、サーマルヘッドの加熱により行われ
ている。
【0003】このような構成により製版して行われる孔
版印刷について、従来から、インク透過性の支持体に熱
可塑性プラスチックのフィルムを接着剤で貼り合せた原
紙を用いることの不都合が種々挙げられており、支持体
を用いずに熱可塑性プラスチックのフィルムだけで原紙
(版材)を構成する案が数多く提案されている。しかし
ながら、実際に現実のものとして実用化に至っているも
のはなく、いずれの提案も何らかの技術的障壁を乗り越
えなければならないのが実情である。
【0004】一方、従来から製版に用いられているサー
マルヘッドとしては、以下に説明する三つの種類が主に
知られている。古い順に挙げると、図19に示す厚膜タ
イプのもの、図20に示す薄膜タイプの全面グレーズ型
のもの、図21に示す薄膜タイプの部分グレーズ型のも
のがある。これらサーマルヘッドの基本的な構成および
それぞれの特性について簡単に説明する。
【0005】厚膜タイプのサーマルヘッドは、図19に
示すように、放熱基板50上に対向して配置された2本
のリード線51の間に、双方のリード線の端部を覆って
発熱抵抗体52が厚膜の状態で形成されており、さらに
発熱抵抗体52およびリード線51の表面が保護膜53
で被覆されている。厚膜タイプは、スクリーン印刷技術
により膜形成とパターン形成を同時に行うことができ、
製造が簡単で安価であるが、発熱抵抗体が厚膜であるが
ゆえに熱容量が大きく、熱効率ないしエネルギ効率が低
い。また、頻繁に繰り返される加熱・冷却に対して、熱
容量の大きさゆえに高速応答ができず、高解像度が得ら
れない。
【0006】厚膜タイプのサーマルヘッドにおける上述
のような不具合を解消するために開発されたのが、発熱
抵抗体を薄膜で構成する薄膜タイプのサーマルヘッドで
ある。さらに薄膜タイプには、全面グレーズ型と部分グ
レーズ型とがある。薄膜タイプの全面グレーズ型サーマ
ルヘッドは、図20に示すように、基板60上の全面に
平坦なグレーズ層61を形成し、その上に薄膜抵抗体層
62を、さらにその上に重ねて対向電極63を形成して
複数の微小な薄膜ヒータが構成されており、さらにそれ
らを保護膜64で被覆したものである。全面グレーズ型
サーマルヘッドでは、薄膜抵抗体層62と、その上に重
ねられる対向電極63との間に段差ができ、その段差に
よって窪んだ箇所がヒータ部分65となる。全体として
平坦な表面を有しているが、ヒータ部分65だけがその
周囲の他の部分(非ヒータ部分)66よりも低く窪んで
おり、その表面に製版原紙を沿わせて送りながら穿孔す
るときヒータ部分65が原紙に接触できないので、ヒー
タ部分65の熱は空間を介して原紙に伝わり、伝熱効率
が低いうえに、繰り返される加熱・冷却が原紙に作用す
るまでにタイムラグを生じ、この場合も高速応答ができ
ず高解像度が得られない。
【0007】薄膜タイプの部分グレーズ型サーマルヘッ
ドは、上述したような全面グレーズ型サーマルヘッドの
問題点を解消すべく開発されたものである。部分グレー
ズ型サーマルヘッドは、図21に示すように、断面略半
円状のグレーズ70を、ヒータ部分71が形成される箇
所にのみ主走査方向に延在させるように、基板75上に
厚膜印刷等で形成し、グレーズ70の外周面上に薄膜抵
抗体層72を、さらにその上に重ねて対向電極73を形
成して複数の微小な薄膜ヒータが構成されており、さら
にそれらを保護膜74で被覆したものである。部分グレ
ーズ型サーマルヘッドにおいても、薄膜抵抗体層72
と、その上に重ねられる対向電極73との間に段差はで
きるが、これらは断面略半円状のグレーズ70の上に形
成されるので、その表面に製版原紙を沿わせて送りなが
ら穿孔するときヒータ部分71は、原紙に向かって突出
しているので原紙に接触できる。
【0008】ところで、熱可塑性プラスチックのフィル
ムのみで構成した厚さ約30〜40μmの原紙を、従来
から用いられている上述のような各種サーマルヘッドを
用いて製版しようとしても、従来どおりのサーマルヘッ
ドの出力で穿孔することは到底不可能であり、その出力
を過剰に大きくしなければならない。そのような過大出
力は非現実的であるし、また、そのような大きな出力で
加熱を行ったとしても、原紙に鮮明な穿孔は得られず、
サーマルヘッド自体の耐久性についても十分な寿命を得
ることが出来ないなどの種々の問題を引き起こし、実用
化には程遠い結果しかもたらさない。
【0009】
【発明が解決しようとする解決課題】以上のように、版
材を熱可塑性プラスチックのフィルムのみで構成する場
合、フィルムの厚さをある程度厚くしなければ取り扱い
にくく、また、そのように厚くしたフィルムを感熱穿孔
するには、サーマルヘッドの出力を大きくしなければな
らず、そのことが種々の問題を引き起こして実用化の最
大の難関となっていた。すなわち孔版印刷において、版
材を熱可塑性プラスチックのフィルムのみで構成するた
めには、原紙の問題のみならず、サーマルヘッドの問題
も解決しなければならないのである。本発明は、それら
の問題を同時的に解決すべく創案されたものである。し
たがって本発明は、熱可塑性プラスチックのフィルムだ
けで原紙(版材)を構成して孔版印刷を行うことを実現
する製版方法、製版装置、ならびに孔版印刷機を提供し
ようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】まず、本発明に係る孔版
印刷の製版方法は、上述のごとき従来技術の課題を解決
し、その目的を達成するために以下のように構成されて
いる。すなわち、所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムから
なる感熱性孔版印刷用版材をサーマルヘッドの加熱によ
り溶融してインク透過開口を形成する孔版印刷の製版方
法であって、上記版材は、その一方の面に多数の微小凹
部が形成されて、該微小凹部底部の肉薄部と、該微小凹
部以外で上記所定厚さを有するフィルム肉厚部とを有し
ており、上記サーマルヘッドは、主走査方向に沿って直
線状に配列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該
ヒータ部分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとと
もに、該非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、
且つ該ヒータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも
低く形成されており、上記版材の微小凹部形成面とは反
対側の面を、上記サーマルヘッドのヒータ部分で加熱
し、上記微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通することによ
り、該溶融部分を上記微小凹部に連通させて上記インク
透過可能な開口を形成することを特徴とする。
【0011】上記サーマルヘッドは、上記ヒータ部分を
構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ部分
および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に形成
される全面グレーズ型とすることができる。
【0012】上記フィルムは、上記微小凹部底部の肉薄
部が、微小凹部形成面と反対側の面で突出しているのが
好ましい。
【0013】上記版材は延伸されたフィルムであって該
フィルムには延伸時の引張応力が内部残留しており、上
記加熱により微小凹部底部の肉薄部の溶融が始まると、
該残留応力により、該溶融部分の底部から微小凹部に連
通して上記インク透過可能な開口が形成されるのが好ま
しい。
【0014】上記微小凹部は、上記フィルムの加熱され
る側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の面
における開口径よりも小さく且つインク透過を許容しな
い程度に小さい貫通孔であってもよく、或いは上記フィ
ルムの厚さを部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部
であってもよい。
【0015】次に、本発明に係る孔版印刷の製版装置
は、以下のような構成を備えている。すなわち、所定厚
さの熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱性孔版印刷用版
材を供給する版材供給部と、上記フィルムに、その一方
の面に多数の微小凹部を形成する手段と、上記フィルム
の微小凹部形成面とは反対側の面を加熱することにより
該被加熱部分を溶融し、該溶融部分を上記微小凹部に連
通させてインク透過可能な開口を形成する加熱手段とを
備え、上記加熱手段は、主走査方向に沿って直線状に配
列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部
分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、該
非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒ
ータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成
されたサーマルヘッドであることを特徴とする。
【0016】この製版装置においても、上記サーマルヘ
ッドは、上記ヒータ部分を構成する発熱抵抗体が薄膜で
形成され、且つヒータ部分および非ヒータ部分が共に平
面状グレーズ層の上に形成される全面グレーズ型とする
ことができる。
【0017】勿論、上述のような孔版印刷の製版装置
を、製版部として備えた孔版印刷機を構成することも可
能である。
【0018】また、製版装置および孔版印刷機のいずれ
においても、上記微小凹部は、上記フィルムの加熱され
る側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の面
における開口径よりも小さく且つインク透過を許容しな
い程度に小さい貫通孔とすることができ、或いは上記フ
ィルムの厚さを部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹
部とすることもできる。
【0019】さらに本発明に係る別の孔版印刷の製版方
法は、所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱性
孔版印刷用版材をサーマルヘッドの加熱により溶融して
インク透過開口を形成する孔版印刷の製版方法であっ
て、上記版材は、その一方の面に多数の微小凹部が形成
されて、該微小凹部底部の肉薄部と、該微小凹部以外で
上記所定厚さを有するフィルム肉厚部とを有しており、
上記サーマルヘッドは、主走査方向に沿って直線状に配
列されたヒータ部分が、副走査方向に沿って該ヒータ部
分の両側で上記版材に接して該版材を支承する部分より
も低く形成されており、上記版材の微小凹部形成面とは
反対側の面を、上記サーマルヘッドのヒータ部分が非接
触状態で加熱し、上記微小凹部底部の肉薄部を溶解貫通
することにより、該溶融部分を上記微小凹部に連通させ
て上記インク透過可能な開口を形成することを特徴とす
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る孔版印刷の製
版方法、製版装置ならびに孔版印刷機の実施形態につい
て、図1から図11を参照して説明する。図1は、本発
明に係る孔版印刷の製版方法を説明する概略図である。
図中10は、薄膜タイプの全面グレーズ型サーマルヘッ
ドであり、11はプラテンローラである。その間に挟ま
れて図の左側から右側へ矢印の方向に送られているの
が、例えば延伸したポリエチレンテレフタレート(PE
T)フィルムのようなポリエステルフィルムからなる熱
可塑性樹脂フィルムの原紙12である。図1は拡大断面
で示しているが、各構成の実際の大きさは、原紙12の
厚さが数μmから10数μm程度のオーダーであり、サ
ーマルヘッド10のヒータ部分13の長さは、原紙送り
方向(副走査方向)で10数μmから100μm程度の
オーダーである。なお図には表れないが、個々のヒータ
部分13の主走査方向(紙面に垂直な方向)の長さは2
0μmから80μm程度であり、多数のヒータ部分13
が40μmから85μmのピッチで直線状に配列されて
いる。また、ヒータ部分13の窪みの深さは3〜4μm
程度である。なお、図には部分的にしか表されていない
が、プラテンローラ11は約20mm前後の直径を有す
るゴムローラである。
【0021】このように、薄膜タイプの全面グレーズ型
サーマルヘッドは、原紙送り方向(副走査方向)に沿う
断面で見るとき、個々のヒータ部分13がその両側の部
分(非ヒータ部分15)よりも窪んで低くされているの
で、ヒータ部分13の表面と原紙12の被加熱面との間
に隙間ができる。原紙12の微小凹部14の底部は2〜
3μm程度の薄膜になっているので、その部分だけを加
熱溶融するには、1〜2μm程度の隙間があった方が結
果として良好である。これと同じ原紙を薄膜タイプの部
分グレーズ型サーマルヘッドで直接接触させる状態で加
熱すると、微小凹部14の薄肉底部が溶融されることは
勿論であるが、薄肉底部以外の部分もヒータ部分に接触
して部分的に溶融されるので、その薄肉底部以外の溶融
した分が原紙の走行に伴って引きずられ、後続する微小
凹部14の薄肉底部に被さることによって、その薄肉底
部の溶融穿孔を不完全にしてしまったり塞いでしまった
りする不都合がある。このように、熱可塑性樹脂フィル
ムのみからなって微小凹部14を形成した原紙12で製
版するには、意外にも部分グレーズ型サーマルヘッドは
不適合であり、原紙12の被加熱面に接触しないよう
に、特に溶融させたくない薄肉底部以外の部分に接触し
ないように、ヒータ部分13がその周辺部分ないし非ヒ
ータ部分15よりも低く窪んだサーマルヘッド、例えば
全面グレーズ型サーマルヘッドの方が適合するのであ
る。
【0022】上述のように、ヒータ部分が原紙の被加熱
面に接触しないように、特に溶融させたくない薄肉底部
以外の部分に接触しないように、ヒータ部分がその周辺
部分ないし非ヒータ部分よりも低く窪んだ構成を有する
サーマルヘッドの例としては、典型的には全面グレーズ
型サーマルヘッドがある。しかし、別の形態として考え
られる例として、例えば部分グレーズ型サーマルヘッド
であっても、そのヒータ部分の曲率やヒータ部分の長さ
によっては、ヒータ部分を覆う保護膜の厚さを通常どお
りとしておき且つ対向電極の厚さを十分に厚くすること
によって、対向電極の最も高い位置をヒータ部分の最も
高い位置よりも高くなるように構成することもできるで
あろう。そのような構成では、ヒータ部分が原紙の被加
熱面に接触しないように、ヒータ部分がその周辺部分な
いし対向電極よりも低く窪んだ形態となり得るので、全
面グレーズ型サーマルヘッドを用いる場合と同様の作用
効果が得られる。
【0023】なお、フィルムとして使用可能な他の熱可
塑性樹脂には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化
ビニリデン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピ
レン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリビニル
アルコール樹脂、ナイロン6等が挙げられる。特にポリ
エステルフィルムを用いる場合には、上述の延伸したポ
リエチレンテレフタレート(PET)フィルムの他に、
結晶度が20%以下のポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルム、延伸したポリエチレンテレフタレート
(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)と
の共重合による低融点フィルム、結晶度が20%以下の
ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリブチレン
テレフタレート(PBT)との共重合による低融点フィ
ルムが好適である。
【0024】原紙12には、プラテンローラ11に接す
る側の面に多数の微小凹部14がランダム配置で形成さ
れている。図1では、ヒータ部分13に面している原紙
12の部分に穿孔すべく通電されている状態が示されて
おり、微小凹部14の底部が溶融して原紙12を貫通
し、インクが透過できる開口に形成されている。このよ
うに、サーマルヘッド10のヒータ部分13に通電する
か給電を遮断するかを制御することで所望の箇所にイン
ク透過開口を形成して製版することができる。
【0025】このように、フィルム12の一方面に微小
凹部14が形成されているので、その反対側の面から加
熱して穿孔するとき、フィルム12の厚さ全部を貫通す
る孔を開けずとも、溶融部を微小凹部に連通させるだけ
でインク透過開口を形成することができる。
【0026】微小凹部14が形成される密度は、所望の
解像度に応じて変更できるが、1ドット中の開口率が5
〜30%程度となる密度で配置されているのが、美しい
印刷をもたらし、且つ裏写りや裏抜けを防止するのに適
切である。すなわち、サーマルヘッド10のうち、一つ
のヒータ部分13に接しているフィルムの面積がマトリ
ックスの1ドット分に相当し、その面積内には少なくと
も一つの微小凹部14が配置されているのが好ましい。
【0027】また、微小凹部14の配列は、規則的であ
ってもよいが不規則であるほうが、印刷用紙上でインク
の濃淡が縞状に現れる現象である「モアレ」が目立つの
を防止するうえで好ましい。いずれの場合であっても、
微小凹部14の配列される平均ピッチは、サーマルヘッ
ド10のヒータ部分13の配列ピッチよりも細かくされ
る。
【0028】図2は、微小凹部14がインク透過を許容
しない程度に小さい貫通孔である場合の原紙12を断面
斜視図で示している。製版時に加熱される側となる面2
0の開口21の径はインク透過を許容しないように十分
小さいものであるが、反対側の面22における開口23
の径はそれよりも大きくてよく、該凹部14内にインク
が浸入するのを許容する程度に大きくてよい。なお、図
3は微小凹部14が薄肉底部24を形成する陥凹部に形
成された状況を示している。
【0029】また、微小凹部14を陥凹部に形成する場
合、フィルムの材質にもよるが、薄肉底部24の厚さ
は、フィルムの厚さの約80%以下とするのがよいであ
ろう。なお、フィルムの延伸時の残留応力によっては微
小な表面凹部に応力が集中して開口を促す場合もあるの
で、その場合にはフィルム厚さの20%程度の深さの凹
部でも効果がある。一方、フィルムの延伸時の残留応力
が少ない場合には凹部の深さは深く(薄肉底部の厚さは
薄く)する必要があり、その場合には薄肉底部の厚さは
2μm程度以下が望ましい。
【0030】次に、熱可塑性樹脂フィルムからなる原紙
12に微小凹部14を形成する方法について述べる。フ
ィルムに微小凹部を形成するには、微小な凸状体をフィ
ルムの一方面に押し付ける型押加工を行う。例えばダイ
ヤモンドの微粒子を多数付着させた鑢状のものを、所定
厚さの熱可塑性樹脂フィルムに押しつけることで形成す
ることもできる。一般に、フィルム状の薄い物体に貫通
孔を形成するまで凸状体を押し付けるのは困難であり、
通常は凸状体押し付け面と反対側の面に薄皮状態の層が
残る(薄肉底部を形成する陥凹部となる)か、あるい
は、僅かに亀裂程度の開口(インク透過を許容しない程
度の小開口)が形成される程度にしか押し付けられな
い。この性質を利用して加工を行えば、加工面側に適当
な微小凹部が形成され、その微小凹部が反対側の面に達
したとしてもインク透過を許容するほどの開口にはなら
ない。
【0031】図4および5に、原紙12に微小凹部14
を形成するための構成例を示している。表面に多数の微
粒子30,31を付着させて凹凸にした型押しローラ3
2,33と、表面が平滑な支承ローラ35,36とが対
向して設けられており、共に回転している両ローラ3
2,35の間に、あるいは両ローラ33,36の間に一
定厚さの熱可塑性樹脂フィルム12が挿通される。両ロ
ーラの間から出てきた熱可塑性樹脂フィルム12は、型
押しローラ32または33に接した側の面に微粒子30
または31の形で微小凹部14が型押し成形されてい
る。
【0032】図5に示すように先端が比較的丸い粒子3
1を付着させた型押しローラ33で微小凹部14を形成
する場合、微小凹部14がフイルム12の反対側の面に
まで達することはないが、図4に示すように先端が比較
的尖った粒子30を付着させた型押しローラ32で微小
凹部14を形成する場合には、粒子の先端がフイルム1
2の反対側の面にまで達することがある。しかし、その
ような場合でも、インクの透過が可能な開口にまで大き
くなることはない。
【0033】さらに、図6および図7に、特にポリエス
テルフィルムの原紙に微小凹部を形成するための構成例
を示す。図6の例では、互いに対向する1対のローラ1
30および131を設け、一方のローラ131は外周面
全周に微小凸部132を形成して型押しローラとする。
もう一方のローラ130は、外周面が平滑な支承ローラ
である。矢印の方向へ共に回転する型押しローラ131
と支承ローラ130との間に、一定厚さの熱可塑性樹脂
フィルム12を挿通させて型押加工を行う。
【0034】図7に、別の製造方法ならびに製造装置の
概念を示す。外周表面全周に微小凸部133を形成した
金属ベルト134を回転駆動するローラ135および1
36の間に掛け渡し、その一方のローラ135に対向さ
せて外周面が平滑な支承ローラ137を配置する。金属
ベルト134と支承ローラ137との間に一定厚さの熱
可塑性樹脂フィルム12を挿通させて型押加工を行う。
【0035】図6に示した型押しローラ131の微小凸
部132を形成する一具体例を次に示す。金属ローラの
素材表面(外周面)にセラミックをプラズマコーティン
グした後に表面を研磨し、さらにレーザー彫刻によって
多数の微小凸部132を形成することができる。微小凸
部132のピッチは100μm以下が好ましく、より好
ましくは30μm以下とする。レーザー彫刻を施す深さ
を3〜40μmとし、フィルム厚さの70%〜200%
の高さの微小凸部132を形成して型押しローラ131
とする。
【0036】図7に示した金属ベルト134の微小凸部
133を形成する一具体例を次に示す。厚さ0.1mm
〜0.5mmの金属板に、フォトエッチング加工によっ
て多数の微小凸部133を形成することができる。この
場合も微小凸部133のピッチは100μm以下が好ま
しく、より好ましくは30μm以下である。フォトエッ
チングの深さを3〜40μmとし、フィルム厚さの70
%〜200%の高さの微小凸部133を形成して型押し
ベルト134とする。
【0037】原紙12の給送経路に沿って図4〜7の構
成のいずれかを配置し、さらに引き続いて図1の構成を
配置すれば、一連の製版装置が形成される。また、この
製版装置を孔版印刷機に製版部として組み込むことで、
本発明に係る孔版印刷機を構成することもできる。
【0038】図8〜10は、型押し加工によってフィル
ムに微小凹部が形成される過程を模式的に示している。
各図には、フィルムの部分に歪の変化する状態を示す格
子線を便宜的に入れている。図8は型押体の微小凸部に
よる加圧前の状態を示しており、図9は微小凸部による
加圧途上の状態を示している。図10は微小凸部による
加圧終了時の状態を示している。これらの図から解るよ
うに、凹部が形成されて行く過程で、凹部の底部となる
部分が横に延伸されていく。すなわち凹部の底部は、他
の部分よりも高い率で延伸されている。このことは、製
版時の加熱によって溶解し始めた凹部底部は、延伸率に
見合う大きな応力で引き合うために溶解部分が周辺へ広
がるように亀裂していき、速やかな穿孔を実現すること
になる。
【0039】ところで、例えば図6や図7に示すような
構成によって図8〜10に示すような型押し加工が行わ
れると、フィルム12が支承ローラ130または137
から離れるときに背面(微小凹部形成面とは反対側の
面)側からの支えがなくなり、凹部底部に集中的に残留
する応力がフィルム背面側へ幾分逃がされるようにして
凹部底部がフィルム背面側へ幾分突出する。図11は、
そのように凹部底部がフィルムの背面側へ突出した状態
を示す断面図である。また図12は、このようにして凹
部底部24がフィルム12の背面側へ突出した原紙の一
例を示す断面図である。この突出は、フィルム背面側が
サーマルヘッドで加熱されるときに、図13に示すよう
に微小凹部14の底部24だけがサーマルヘッドのヒー
タ部分に接近するのを、または接触するのを許容する。
換言すれば、微小凹部底部以外の溶融したくない箇所は
窪んだヒータ部分内に入り込むことがなく、突出した微
小凹部底部24だけが窪んだヒータ部分13内に入り込
むことができるので、その箇所だけが必要な熱量で加熱
を受けて溶融し、他の部分はヒータ部分13に近付くこ
とがないので溶融することはないのである。したがっ
て、溶融すへき箇所だけが図14に示すように確実に溶
融されて穿孔され、他の箇所が溶融されることによって
その穿孔を塞いでしまうことがない。なお、図14に示
された状態では、凹部底部24が溶融して穿孔された後
に、凹部底部内に残留していた応力が開放され、その結
果、変形前の形状に戻るように、凹部底部自体の厚さが
若干厚くなっており、凹部自体も浅くなっている。微小
凹部底部の突出高さは、例えば薄膜タイプの全面グレー
ズ型サーマルヘッドにおけるヒータ部分の窪み深さ程度
か、それよりも低くされているのが好ましいであろう。
【0040】上述のようにして行われる孔版印刷の製版
方法では、まず、原紙が熱可塑性樹脂フィルムのみで構
成されるので、支持体との貼り合わせが不要となり、支
持体を備えているが故の不都合が取り除かれる。例え
ば、貼り合わせ工程が不要になる。接着剤が不要にな
る。接着剤が製版にもたらす「インク透過開口の変形」
等の印刷精度に対する悪影響がなくなる。支持体の繊維
が、穿孔されたフィルムの開口内に入って生じる「印字
のかすれ」等の悪影響がなくなる。異種材を貼り合わせ
るとカールを生じる原因となるが、そのようなカールし
やすい性質が取り除かれる。フィルム厚の約20〜30
倍の厚さを有する支持体がないので、貼り合わせ構造の
原紙では支持体に吸収されたまま無駄になっていたイン
クが、フィルムのみで構成される原紙では、そのような
インクの無駄がなくなる。
【0041】また、従来の支持体貼り合わせ構成の場合
では、フィルム自体の厚さは約1.5μmであったが、
本発明では例えば4〜5μm程度(音響用カセットテー
プの厚さ程度)あるいはそれ以上に、材質の硬さに合わ
せてある程度の厚さをもたせるので、実際の取り扱いは
可能である。別言すれば、貼り合わせ構造の場合のフィ
ルム厚(約1.5μm)だけの厚さの原紙とすると、版
材自体が薄過ぎて取り扱いにくい。そして本発明では、
フィルム自体の厚さが、支持体貼り合わせ構成の場合の
ように薄くないので、過剰なインクが印刷用紙に転移し
て裏写りや裏抜けするのを有効に防止することができ
る。
【0042】従来の貼り合わせ原紙では、約1.5μm
の熱可塑性樹脂フィルムに穿孔していたので、そのサー
マルヘッドの出力で4〜5μmのフィルムに穿孔するの
は出力不足で使用できない。また、サーマルヘッドの出
力を大きくすると、プラテンローラに高い熱エネルギが
伝わってプラテンローラに悪影響を及ぼし、またヘッド
自体の寿命にも好ましくない。しかしながら本発明によ
る製版方法では、フィルム材料の種類にもよるが、少な
くとも取り扱い(ハンドリング)が容易なように、ある
程度の厚さをもたせつつも、その穿孔に要する熱エネル
ギが従来に比べて大きくならない。それは、フィルムの
一方の面に、微小凹部を多数形成しているので、穿孔す
る箇所では、その反対側の面から微小凹部に連通する程
度にフィルムを溶融するだけでインク透過開口を得るこ
とができるからである。従来、原紙を熱可塑性樹脂フィ
ルムのみで構成する場合、フィルムの厚さをある程度厚
くしなければ取り扱いにくく、また厚いフィルムに感熱
穿孔するにはサーマルヘッドの出力を大きくしなければ
ならず、そのことが実用化の最大の難関となっていた訳
であるが、本発明によれば、サーマルヘッドの出力を大
きくしなくとも、フィルムにインク透過開口を感熱穿孔
することが可能になり、この問題を解決することができ
る。特に、サーマルヘッドのヒータ部分が周辺の部分よ
りも低く窪んでいるので、微小凹部に連通する程度にフ
ィルムを溶融するだけの熱量でフィルムを加熱するのに
ちょうどよい程度の隙間をヒータ部分とフィルム被加熱
面との間に確保でき、且つ穿孔したい箇所以外の箇所を
溶融することがない。
【0043】薄い熱可塑性樹脂フィルムを挟んでサーマ
ルヘッドに対向するプラテンローラに伝達される熱エネ
ルギは、極力小さいのが好ましい訳であるが、上述のよ
うにサーマルヘッドにおけるヒータ部分の窪みと微小凹
部自体とが断熱空気層を形成することで、サーマルヘッ
ドからプラテンローラに伝達される熱エネルギは十分に
小さくすることが可能である。
【0044】特に、熱可塑性樹脂フィルムは延伸されて
いるので、その延伸時の引張応力が内部残留しており、
僅かな部分が熱溶融するだけで亀裂が走り、その近辺の
微小凹部に達する開口が形成される。したがって、溶融
箇所が微小凹部に達するまで加熱する必要はなく、サー
マルヘッドは最小限の出力でフィルムに穿孔を形成する
ことができる。なお、このように延伸時の引張応力を内
部残留させておくためには、微小凹部を形成する型押し
加工等の機械的加工は、熱可塑性樹脂の融点温度以下で
行うべきである。また、フィルムのクラックを防ぎつ
つ、より少ない加工圧力で凹部を形成するには、熱可塑
性樹脂のガラス転移点温度以上で行うのが望ましい。
【0045】また、本発明に係る孔版印刷の製版装置に
よって本発明の製版方法を行うことができ、一様な所定
厚さを有する熱可塑性樹脂フィルムが供給され、その供
給されたフィルムの一方面に微小凹部が形成される。そ
して、その微小凹部形成面とは反対側の面に、確実且つ
適切にインク透過開口を形成して製版される。この一連
の作用は、単独の製版装置で行われてもよく、そのよう
な製版装置を製版部として備えた孔版印刷機内で行われ
てもよい。
【0046】なお、孔版印刷の製版に際して用いる薄膜
タイプのサーマルヘッドが全面グレーズ型と部分グレー
ズ型とでどちらが好ましいかという選択に関して、一般
的には部分グレーズ型の方が全面グレーズ型よりも高い
加熱効率が得られるので好適であると認識されているに
もかかわらず、本発明では全面グレーズ型を用いる方が
好適であるとする結果に到った考察を証明する実験例に
ついて、以下に紹介する。
【0047】実験は3種類のテストにより行った。第1
テストでは、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用
フィルムを被加熱対象として、全面グレーズ型と部分グ
レーズ型の各サーマルヘッドを用いて製版を行った場合
の穿孔(溶融)面積を比較した。OHP用フィルムに
は、3M社のTransparency Film pp2200(エンボス加
工なし)厚さ0.1mmのを用いた。OHP用フィルム
を被加熱対象としたのは、両方のサーマルヘッドに対す
る加熱効率を比較するうえで、バラツキの少ない安定し
たテスト環境を得るためである。すなわち、フィルム厚
が薄い被加熱物を用いると、サーマルヘッドの熱がフィ
ルム全体に伝達されるために、アニール処理のバラツキ
による影響が出てしまうので、安定した測定結果が得ら
れない虞がある。これに対してOHP用フィルムは、十
分な厚さがあるので、バラツキの少ない安定した測定結
果が得られる。測定方法としては、被加熱物をサーマル
ヘッドとプラテンローラとの間に搬送し、製版時の単位
面積当たりの熱量を20mj/mmで被加熱物に対し
て製版作業(プラテン圧0.15kg/cm、搬送速度
31.75mm/sec)を行い、全面グレーズ型と部
分グレーズ型とを用いた場合でそれぞれの穿孔(溶融)
面積を測定した。その他の諸条件は全て同一である。図
15は、全面グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇
所を示す図であり、図16は、部分グレーズ型のサーマ
ルヘッドによる穿孔箇所を示す図である。全面グレーズ
型で穿孔した箇所の面積は2424μmであったのに
対して部分グレーズ型では3884μmであった。す
なわち、部分グレーズ型は全面グレーズ型の訳1.6倍
の加熱効率を有することが理解された。
【0048】第2テストとして、感熱紙を被加熱対象と
して、全面グレーズ型と部分グレーズ型の各サーマルヘ
ッドを用いて感熱印字を行った場合の印刷後の発色濃度
を比較した。感熱紙には、コクヨ社のFAX-CT210A-30を
用いた。測定方法としては、被加熱物をサーマルヘッド
とプラテンローラとの間に搬送し、単位面積当たりの熱
量を15mj/mmで被加熱物に対して加熱穿孔作業
(プラテン圧0.15kg/cm、搬送速度31.75
mm/sec)を行い、全面グレーズ型と部分グレーズ
型とを用いた場合でそれぞれの発色濃度を濃度計(MACB
ETH, RD914)にて測定した。その他の諸条件は全て同一
である。全面グレーズ型では測定濃度値が0.823で
あったのに対して、部分グレーズ型では測定濃度値 が
0.890であった。すなわち、部分グレーズ型は全面
グレーズ型よりも高い発色濃度を示し、高い加熱効率を
有することが理解された。
【0049】第3テストとして、エンボス加工によって
微小凹部が形成された熱可塑性樹脂フィルムからなる孔
版原紙(フィルム厚さ11μm、エンボス深さ9μm)
を被加熱対象として、全面グレーズ型と部分グレーズ型
の各サーマルヘッドを用いて製版を行った場合の穿孔面
積を比較した。測定方法としては、被加熱物をサーマル
ヘッドとプラテンローラとの間に搬送し、製版時の単位
面積当たりの熱量を12mj/mmで被加熱物に対し
て製版作業(プラテン圧0.15kg/cm、搬送速度
31.75mm/sec)を行い、全面グレーズ型と部
分グレーズ型とを用いた場合でそれぞれの穿孔面積を測
定した。その他の諸条件は全て同一である。図17は、
全面グレーズ型のサーマルヘッドによる穿孔箇所を示す
図であり、図18は、部分グレーズ型のサーマルヘッド
による穿孔箇所を示す図である。各図には、9ヶ所の微
小凹部に対応する穿孔孔の開口状況が表されている。全
面グレーズ型で穿孔した箇所の面積は436μmであ
ったのに対して部分グレーズ型では255μmであっ
た。すなわち、テスト1やテスト2の結果から予測され
る結果とは逆の結果が得られ、全面グレーズ型は部分グ
レーズ型の訳1.7倍の穿孔面積が得られることが理解
された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る製版方法ならびに製版装置の概
念を示す図である。
【図2】 本発明に係る製版方法ならびに製版装置に使
用される原紙の構造について、その概念を示す図であ
る。
【図3】 本発明に係る製版方法ならびに製版装置に使
用される原紙の構造について、その概念を示す図であ
る。
【図4】 原紙に微小凹部を形成するための構成例を示
す図である。
【図5】 原紙に微小凹部を形成するための構成例を示
す図である。
【図6】 原紙に微小凹部を形成するための構成例を示
す図である。
【図7】 原紙に微小凹部を形成するための構成例を示
す図である。
【図8】 フィルムに微小凸部が押し込まれて微小凹部
が形成される過程を示す図であり、微小凸部による加圧
前の状態を示している。
【図9】 フィルムに微小凸部が押し込まれて微小凹部
が形成される過程を示す図であり、微小凸部による加圧
途上の状態を示している。
【図10】 フィルムに微小凸部が押し込まれて微小凹
部が形成される過程を示す図であり、微小凸部による加
圧終了時の状態を示している。
【図11】 フィルムに微小凸部が押し込まれて微小凹
部が形成される過程を示す図であり、微小凹部の底部が
フィルムの背面側へ突出した状態を示している。
【図12】 微小凹部の底部がフィルムの背面側へ突出
した状態の原紙の一例を示す断面図である。
【図13】 フィルムの微小凹部底部が全面グレーズ型
サーマルヘッドのヒータ部内に入って加熱直前の状態を
示す図である。
【図14】 図13の状態から加熱終了後の状態を示す
図である。
【図15】 テスト1で全面グレーズ型のサーマルヘッ
ドによる穿孔箇所を示す図である。
【図16】 テスト1で部分グレーズ型のサーマルヘッ
ドによる穿孔箇所を示す図である。
【図17】 テスト3で全面グレーズ型のサーマルヘッ
ドによる穿孔箇所を示す図である。
【図18】 テスト3で部分グレーズ型のサーマルヘッ
ドによる穿孔箇所を示す図である。
【図19】 厚膜タイプのサーマルヘッドの模式断面図
である。
【図20】 薄膜タイプの全面グレーズ型サーマルヘッ
ドの模式断面図である。
【図21】 薄膜タイプの部分グレーズ型サーマルヘッ
ドの模式断面図である。
【符号の説明】
10 サーマルヘッド 11 プラテンローラ 12 熱可塑性樹脂フィルムからなる原紙 13 サーマルヘッドのヒータ部分 14 微小凹部 15 非ヒータ部分 20 原紙の製版時被加熱面 21 面20側の貫通孔開口 22 面20の反対側の面 23 面22側の貫通孔開口 24 陥凹部の薄肉底部 30 微粒子 31 微粒子 32 型押しローラ 33 型押しローラ 35 支承ローラ 36 支承ローラ 50 放熱基板 51 リード線 52 発熱抵抗体 53 保護膜 60 基板 61 グレーズ層 62 薄膜抵抗体層 63 対向電極 64 保護膜 65 ヒータ部分 66 非ヒータ部分 70 グレーズ 71 ヒータ部分 72 薄膜抵抗体層 73 対向電極 74 保護膜 75 基板 130 支承ローラ 131 型押しローラ 132 微小凸部 133 微小凸部 134 型押しベルト 135 ローラ 136 ローラ 137 支承ローラ

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからな
    る感熱性孔版印刷用版材をサーマルヘッドの加熱により
    溶融してインク透過開口を形成する孔版印刷の製版方法
    であって、 上記版材は、その一方の面に多数の微小凹部が形成され
    て、該微小凹部底部の肉薄部と、該微小凹部以外で上記
    所定厚さを有するフィルム肉厚部とを有しており、 上記サーマルヘッドは、主走査方向に沿って直線状に配
    列されたヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部
    分の両側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、該
    非ヒータ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒ
    ータ部分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成
    されており、 上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を、上記サー
    マルヘッドのヒータ部分で加熱し、上記微小凹部底部の
    肉薄部を溶解貫通することにより、該溶融部分を上記微
    小凹部に連通させて上記インク透過可能な開口を形成す
    ることを特徴とする孔版印刷の製版方法。
  2. 【請求項2】 上記サーマルヘッドは、上記ヒータ部分
    を構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ部
    分および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に形
    成される全面グレーズ型である請求項1記載の孔版印刷
    の製版方法。
  3. 【請求項3】 上記フィルムは、上記微小凹部底部の肉
    薄部が、微小凹部形成面と反対側の面で突出している請
    求項1または2記載の孔版印刷の製版方法。
  4. 【請求項4】 上記版材は延伸されたフィルムであって
    該フィルムには延伸時の引張応力が内部残留しており、
    上記加熱により微小凹部底部の肉薄部の溶融が始まる
    と、該残留応力により、該溶融部分の底部から微小凹部
    に連通して上記インク透過可能な開口が形成される請求
    項1ないし3のいずれかに記載の孔版印刷の製版方法。
  5. 【請求項5】 上記微小凹部は、上記フィルムの加熱さ
    れる側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の
    面における開口径よりも小さく且つインク透過を許容し
    ない程度に小さい貫通孔である請求項1ないし4のいず
    れかに記載の孔版印刷の製版方法。
  6. 【請求項6】 上記微小凹部は、上記フィルムの厚さを
    部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部である請求項
    1ないし4のいずれかに記載の孔版印刷の製版方法。
  7. 【請求項7】 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムからな
    る感熱性孔版印刷用版材を供給する版材供給部と、 上記フィルムに、その一方の面に多数の微小凹部を形成
    する手段と、 上記フィルムの微小凹部形成面とは反対側の面を加熱す
    ることにより該被加熱部分を溶融し、該溶融部分を上記
    微小凹部に連通させてインク透過可能な開口を形成する
    加熱手段とを備え、 上記加熱手段は、主走査方向に沿って直線状に配列され
    たヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両
    側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、該非ヒー
    タ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部
    分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成された
    サーマルヘッドであることを特徴とする孔版印刷の製版
    装置。
  8. 【請求項8】 上記サーマルヘッドは、上記ヒータ部分
    を構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ部
    分および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に形
    成される全面グレーズ型である、請求項7記載の孔版印
    刷の製版装置。
  9. 【請求項9】 上記微小凹部は、上記フィルムの加熱さ
    れる側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側の
    面における開口径よりも小さく且つインク透過を許容し
    ない程度に小さい貫通孔である請求項7または8記載の
    孔版印刷の製版装置。
  10. 【請求項10】 上記微小凹部は、上記フィルムの厚さ
    を部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部である請求
    項7または8記載の孔版印刷の製版装置。
  11. 【請求項11】 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムから
    なる感熱性孔版印刷用版材を供給する版材供給部と、 上記フィルムに、その一方の面に多数の微小凹部を形成
    する手段と、 上記フィルムの微小凹部形成面とは反対側の面を加熱す
    ることにより該被加熱部分を溶融し、該溶融部分を上記
    微小凹部に連通させてインク透過可能な開口を形成する
    加熱手段とを備え、 上記加熱手段は、主走査方向に沿って直線状に配列され
    たヒータ部分と、副走査方向に沿って該ヒータ部分の両
    側に存する非ヒータ部分とを有するとともに、該非ヒー
    タ部分には対向電極部が含まれており、且つ該ヒータ部
    分が、非ヒータ部分の対向電極部よりも低く形成された
    サーマルヘッドであることを特徴とする孔版印刷機。
  12. 【請求項12】 上記サーマルヘッドは、上記ヒータ部
    分を構成する発熱抵抗体が薄膜で形成され、且つヒータ
    部分および非ヒータ部分が共に平面状グレーズ層の上に
    形成される全面グレーズ型である、請求項11記載の孔
    版印刷機。
  13. 【請求項13】 上記微小凹部は、上記フィルムの加熱
    される側の面における開口径が、該被加熱面とは反対側
    の面における開口径よりも小さく且つインク透過を許容
    しない程度に小さい貫通孔である請求項11または12
    記載の孔版印刷機。
  14. 【請求項14】 上記微小凹部は、上記フィルムの厚さ
    を部分的に減じて薄肉底部を形成する陥凹部である請求
    項11または12記載の孔版印刷機。
  15. 【請求項15】 所定厚さの熱可塑性樹脂フィルムから
    なる感熱性孔版印刷用版材をサーマルヘッドの加熱によ
    り溶融してインク透過開口を形成する孔版印刷の製版方
    法であって、 上記版材は、その一方の面に多数の微小凹部が形成され
    て、該微小凹部底部の肉薄部と、該微小凹部以外で上記
    所定厚さを有するフィルム肉厚部とを有しており、 上記サーマルヘッドは、主走査方向に沿って直線状に配
    列されたヒータ部分が、副走査方向に沿って該ヒータ部
    分の両側で上記版材に接して該版材を支承する部分より
    も低く形成されており、 上記版材の微小凹部形成面とは反対側の面を、上記サー
    マルヘッドのヒータ部分が非接触状態で加熱し、上記微
    小凹部底部の肉薄部を溶解貫通することにより、該溶融
    部分を上記微小凹部に連通させて上記インク透過可能な
    開口を形成することを特徴とする孔版印刷の製版方法。
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