JP3811210B2 - 燃料・ガス混合物を噴射する装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料・ガス混合物を噴射する装置であって、内燃機関の燃料噴射装置のための、特に電磁作動式の燃料噴射弁である噴射弁と、弁長手方向軸線と、可動の弁閉鎖体と、該弁閉鎖体と共働する弁座面を有していて噴射弁の下流側端部に設けられた弁座体と、弁座面の下流側に設けられた少なくとも1つの噴射開口と、燃料・ガス混合物を噴出するための混合物噴射開口とを備えている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
混合気圧縮型外部点火式の内燃機関に燃料・ガス混合物(混合気)を噴射する電磁作動式の弁は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4121372号明細書に基づいて公知であり、この公知の弁では、ガス囲繞スリーブが燃料噴射弁のノズル体を取り囲んでいる。この場合ガス囲繞スリーブは、同心的な流過開口を備えたその底部分が燃料噴射弁の弁端部に向かって斜めに延びるように構成されている。そしてこのように構成されていることによって、噴射孔円板とガス囲繞スリーブの底部分との間にガスリング間隙が形成される。このガスリング間隙から流出するガス流は、この場合噴射孔円板から流出する個々の燃料噴流に対して半径方向に向けられていて、個々の燃料噴流を互いに接近させて1つの燃料噴流にまとめようとする。
【0003】
さらに、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4312756号明細書に基づいて公知の燃料・ガス混合物を噴射する装置では、ガス囲繞体は次のように構成されている。すなわちこの場合ガス囲繞体は、例えば突子であるスペーサを備えた金属薄板挿入部分を噴射孔円板に押し付け、該ガス囲繞体と噴射孔円板との間に締め込むようになっている。特殊に成形された金属薄板部分及び寸法正確に成形された突子並びにこれによって軸方向長さを得たガスリング間隙とによって、燃料の改善された調製(Aufbereitung)を目的としたガスの調量が行われる。金属薄板挿入部分とガス囲繞体との間に形成された円錐差角度(Konusdifferenzwinkel)によって、噴射孔円板に対する金属薄板挿入部分及びガス囲繞体の軸方向における製作誤差補償が保証される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の装置を改良して、取付けもしくは組立てに関する少ない手間で簡単かつ安価に、噴射弁から噴出する燃料をガスによって囲繞することができるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の構成では、噴射弁の下流側端部に、複数部分から構成された調製アタッチメントが配置されており、該調製アタッチメントが、少なくともガス囲繞部材と挿入体とから成っており、該挿入体が、少なくとも1つの噴射開口の下流側に延在していて、混合物噴射開口を有しており、該混合物噴射開口に、挿入体の内部において、下流に向かって少なくとも部分的に拡大する開口が接続しており、ガス囲繞体が挿入体及び噴射弁の下流側端部と堅く結合されている。
【0006】
【発明の効果】
本発明のように構成された燃料・ガス混合物を噴射する装置には次のような利点がある。すなわち本発明による装置では、噴射弁から流出する燃料をガスによって囲繞することは、取付けもしくは組立てに関する少ない手間で簡単かつ安価に実現することができる。このことは次のことによって、すなわち調製アタッチメントが噴射弁の下流側の端部に配置されていて、この調製アタッチメントが少なくともガス囲繞部材と挿入体とから成っており、このガス囲繞部材と挿入体とが互いに堅く結合されていて、簡単な形式で機能分割を可能にしていることによって、達成される。調製アタッチメントを製造するための工具コストは、単純な構造によって極めて低く抑えることができる。
【0007】
請求項2以下には、請求項1に記載された装置の有利な構成が開示されている。
【0008】
調製アタッチメントを金属・プラスチック複合体として構成すると、特に有利である。このように構成されていると、挿入体における噴射室の任意の形状(調製幾何学形状)を射出成形技術によって容易に製造することができる。噴射弁に調製アタッチメントを固定するためにはこの場合、例えばカップ状のガス囲繞部材だけしか働かない。この場合における固定は有利には溶接が用いられる。本発明の別の有利な構成では、ガス囲繞部材の周壁区分は、周方向において交互に配置された大径の範囲と小径の範囲とによって形成されており、この場合小径の範囲は噴射弁に接触しており、この結果そこにおいて噴射弁におけるガス囲繞部材の接合を行うことができ、これに対して大径の範囲によって、燃料へのガスのための流入可能性を得ることができる。本発明の別の有利な構成では、カップ状のガス囲繞部材の底区分は、少なくとも部分的に挿入体の材料によって射出成形により取り囲まれており、このように構成されていることによって、ガス囲繞部材と挿入体との間におけるしっかりとした結合が達成される。
【0009】
ガスによる囲繞にもかかわらず、噴射弁の噴射開口によって与えられた複数噴流形態を維持したい場合には、挿入体の噴射室に噴流分割体を配置すると、特に有利である。特に有利な本発明の別の構成では、円形、半円形又は楕円形の横断面を有する凸面状の分割面を備えた噴流分割体が使用される。このような凸面状の分割面を備えた噴流分割体は、流れ抵抗として働き、これによってせき止め流が生ぜしめられる。そしてこのようにして生ぜしめられたせき止め流によって、ガスによる囲繞にもかかわらず、噴流分割体の下流においても複数噴流形態を維持することができ、しかもガスと燃料との改善された混合によって、ガスによる囲繞の良好な調製作用を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に図面につき本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1には1実施例として、混合気圧縮型外部点火式の内燃機関のための噴射弁の形をした弁が、部分的にかつ簡単化されて示されている。噴射弁は管状の弁座保持体1を有しており、この弁座保持体1には、弁長手方向軸線2に対して同心的に長手方向開口3が構成されている。この長手方向開口3には例えば管状の弁ニードル5が配置されており、この弁ニードル5はその下流側の端部6において例えばボール状の弁閉鎖体7と結合されていて、この弁閉鎖体7の外周には例えば5つの平らな面取り部8が設けられている。
【0012】
噴射弁の操作は公知の形式で、例えば電磁式に行われる。弁ニードル5を軸方向において運動させるためには、ひいては噴射弁を図示されていない戻しばねのばね力に抗して開放するためもしくは閉鎖するためには、マグネットコイル10と可動子11とコア12とを備えた電磁回路が働く。可動子11は、弁閉鎖体7とは反対側の弁ニードル5の端部と、例えばレーザ溶接による溶接継ぎ目によって結合されており、コア12に向かって方向付けられている。マグネットコイル10はコア12を取り囲んでおり、このコア12は例えば、図示されていない流入管片の、マグネットコア10によって取り囲まれた端部であり、この流入管片は、弁を用いて調量される媒体(ここでは燃料)を供給するために働く。
【0013】
軸方向運動中に弁閉鎖体7を案内するためには、弁座体16の案内開口15が働く。弁座保持体1の、コア12とは反対側の下流側に位置する端部には、弁座長手方向軸線2に対して同心的に延びる長手方向開口3に、円筒形の弁座体16が密に取り付けられている。弁座体16の外周は、弁座保持体1の長手方向開口3よりも幾分小さな直径を有している。弁閉鎖体7とは反対側の端面17において、弁座体16は、例えばポット状に構成された噴射孔円板21の底部分20と、同心的にかつ堅く結合されており、この結果底部分20はその上側の端面19で弁座体16の下側の端面17に接触している。弁座体16と噴射孔円板21との結合は、例えばレーザを用いて底部分20に構成された環状で密な第1の溶接継ぎ目22によって行われる。このように構成されていることによって、底部分20の中央の範囲24に位置していて打抜き又は浸食によって成形された少なくとも2つの例えば4つの噴射開口25の範囲における、底部分20の不都合な変形のおそれを回避することができる。
【0014】
ポット状の噴射孔円板21の底部分20には、環状の保持縁部26が接続しており、この保持縁部26は、軸方向において弁座体16から離反する方向に延び、かつその下流側の端部に至るまで円錐形に外方に向かって曲げられている。この場合保持縁部26は、長手方向開口3の壁に対して半径方向のばね作用を加える。これによって、弁座体16と噴射孔円板21とから成る弁座部分を、弁座保持体1の長手方向開口3に押し込む時に、弁座部分及び長手方向開口3におけるチップ形成(Spanbildung)が回避される。噴射孔円板21の保持縁部26はその自由端部において、例えば環状で密な第2の溶接継ぎ目30によって、弁座保持体1と結合されている。
【0015】
弁座体16とポット状の噴射孔円板21とから成る弁座部分の、長手方向開口3内への押込み深さは、弁ニードル5のストロークの大きさを規定する。それというのは、マグネットコイル10が励磁されていない場合における弁ニードル5の一方の終端位置は、弁座体16の弁座面29における弁閉鎖体7の接触によって決定されるからである。弁ニードル5の他方の終端位置は、マグネットコイル10の励磁時において、例えばコア12における可動子11の接触によって決定される。したがって弁ニードル5の両終端位置の間における距離が、ストロークである。
【0016】
ボール状の弁閉鎖体7は、流れ方向において円錐台形状に先細になる弁座体16の弁座面29と共働し、この先細の弁座面29は軸方向において、弁座体16の案内開口15と下側の端面17との間に構成されている。弁閉鎖体7の外周に設けられた例えば5つの円形の平らな面取り部8は、噴射弁の開放状態において弁内室35から噴射孔円板21の噴射開口25に至るまでの媒体の貫流を可能にする。弁閉鎖体7の正確な案内ひいては軸方向運動中における弁ニードル5の正確な案内のために、案内開口15の直径は次のように、すなわちボール状の弁閉鎖体7がその面取り部8の外側で案内開口15を小さな半径方向間隔をもって貫通するように、構成されている。
【0017】
噴射弁ひいては弁座体1はその下流側の端部において、段付けされた同心的なガス囲繞体41によって、少なくとも部分的に半径方向及び軸方向において取り囲まれる。プラスチック製のガス囲繞体41には、例えば弁座保持体1の下流側端部における本来のガス囲繞部と、図示されていないガス流入通路とが属しており、このガス流入通路は、ガス囲繞体41へのガスの供給のために働き、かつ例えばガス囲繞体41と一体に構成されている。例えば、軸方向においてマグネットコイル10と弁閉鎖体7との間において超音波溶接によって噴射弁の周囲におけるプラスチック射出成形部と結合されている、ガス囲繞体41の軸方向に延びた管状の区分43には、下流側に向かって円錐形に先細の区分44が接続している。この範囲におけるガス囲繞体41の構成は、図示されていない弁受容部の空間的な条件に応じて変化され得る。前記先細の区分44にはさらに下流側に、ガス囲繞体41の軸方向に延びる管状の区分45が続いており、この区分45はしかしながら区分43におけるよりも小さな直径によって特徴付けられている。軸方向に延びる区分45は、弁座保持体1の下流側端部を連続的に半径方向間隔をもって取り囲んでおり、これによって、カップ状のガス囲繞部材48を、ガス囲繞体41と弁座保持体1との間に形成されていてガス流入通路と直接接続されている中間室50内に収容することができ、ひいては噴射孔円板21の噴射開口25から噴出する燃料に至るまでのガスの供給を、保証することができる。
【0018】
軸方向に延びる区分45は、その下流側の端部にリング溝55を有しており、このリング溝55はガス囲繞体41における壁厚の減少によって生ぜしめられる。シールリング56はリング溝55に配置されており、このリング溝55の側面は肩部52の下流側と肩部53の上流側とによって形成され、かつリング溝55の溝底部58はガス囲繞体41の区分45の外壁によって形成される。シールリング56は、ガス囲繞体41を備えた噴射弁の外周と、例えば内燃機関の吸込み導管又は燃料分配導管及び/又はガス分配導管のような図示されていない弁受容部との間をシールするために働く。肩部53の上流側がリング溝55を制限しているのに対して、肩部53の下流側はガス囲繞体41の下流側の端部を形成している。
【0019】
プラスチック製の挿入体60と共に、金属薄板部品であるカップ状のガス囲繞部材48は、ガス囲繞体41によって特に軸方向の区分45で軸方向において完全に取り囲まれた調製アタッチメント(Aufbereitungsvorsatz)61を形成する。主として円錐形もしくは円錐台形の形状によって特徴付けられているプラスチック製の本発明による挿入体60は、完全に、噴射孔円板21の底部分20の下流側において延在している。これに対して挿入体60と堅く結合されたガス囲繞部材48は、次のように構成されている。すなわちこの場合底区分63は、射出成形により少なくとも部分的に挿入体60の材料によって取り囲まれており、かつこの挿入体60から半径方向に、例えば挿入体60の軸方向長さで見て真ん中で、突出している。底区分63には、軸方向に延びる円筒形の周壁区分64が接続しており、この周壁区分64は上流に向かって弁座保持体1を、例えば弁閉鎖体7の球赤道もしくは面取り部8の高さまで取り囲んでいる。ガス囲繞部材48の周壁区分64は、ガス囲繞体41と弁座保持体1との間に形成された中間室50内を延びており、その構造的な構成によって規定されたガス供給を保証する。ガス囲繞部材48の形状は、特に図6及び図7において明らかであり、後でも両図を参照しながら詳しく述べる。周壁区分64は完全には円筒形に構成されているわけではなく、例えば、周壁区分64の周方向において互いに交互に配置された5つの大径の範囲66と5つの小径の範囲67とを有している。ガス囲繞部材48の取り付けられた状態においては、リング状の中間室50はその半径方向幅全体が利用される。それというのは、小径の範囲67が弁座保持体1に接触していて、例えば溶接継ぎ目69を用いて該弁座保持体1と堅く結合されているのに対して、大径の範囲66はガス囲繞体41の区分45の内壁に沿って遊びをもって延在しているからである。
【0020】
弁座保持体1と周壁区分64の大径の範囲66との間には、これらの範囲66の数に相応して、等しい数の例えば5つのガス流入通路70が形成されており、これらのガス流入通路70は、周方向において等しい間隔をおいて弁座保持体1の周囲に配置されて軸方向に延びている。図1に示された矢印からガスの流れ方向が分かる。ガス囲繞部材48の底区分63は、弁座保持体1の下流側の端面72に対して軸方向間隔をおいて延びており、この結果底区分63と端面72との間には、半径方向に延びるリング状の流れ通路73が形成され、この流れ通路73はガス流入通路70に接続されていて、ガスによって半径方向に貫流される。その後でガスはさらに軸方向で上流に向かってリング通路74に流入する。このリング通路74は、底区分63の上流に向かって円錐形の、噴射孔円板21に向かって先細の外輪郭を有する挿入体60と、弁座保持体1における長手方向開口3の壁との間に形成されており、このリング通路74を通過したガス流は、噴射孔円板21の底部分20のところで半径方向に変向される。
【0021】
噴射孔円板21の噴射開口25から噴射される燃料の改善された調製を目的としたガスの調量は、挿入体60と底部分20との間の間隔によって生ぜしめられた軸方向長さを有するガスリング間隙76を介して行われる。挿入体60とガス囲繞部材48とは互いに堅く結合されているので、調製アタッチメント61は、溶接継ぎ目69によって周壁区分64を弁座保持体1に固定する前に、軸方向でシフトされ、そしてガスリング間隙76の所望の軸方向寸法を正確に調節することが必要である。その後で初めて弁座保持体1における調製アタッチメント61の固定が行われる。
【0022】
ガスリング間隙76の長さの軸方向寸法は、リング通路74から流入する例えば調製空気であるガスのための調量横断面を形成する。ガスリング間隙76は、噴射孔円板21の噴射開口25を通して噴射される燃料へのガスの供給のため、及びガスの調量のために働く。ガス流入通路70と流れ通路73とリング通路74とを通して供給されるガスは、狭いガスリング通路76を介して、挿入体60の真ん中にかつ弁長手方向軸線2に対して同心的に設けられた混合物噴射開口78に流入し、そこで、例えば2つ又は4つの噴射開口25を通して噴射された燃料と衝突する。ガスリング間隙76の軸方向長さが短いことによって、供給されるガスは強く加速され、燃料を特に細かく霧化する。ガスとしては、例えば、内燃機関の吸気管におけるスロットルバルブの前に設けられたバイパスを通して分岐された吸気や、送風機によって圧送される空気や、内燃機関の再循環される排ガスや、空気と排ガスとから成る混合物を使用することが可能である。
【0023】
挿入体60の、底部分20に向けられた部分における混合物噴射開口78は、次のような大きさの直径、すなわち、噴射孔円板21の噴射開口25から上流側に噴出する燃料であって、良好な調製を目的としてガスリング間隙76から流入したガスと垂直に衝突する燃料が、妨げられることなく混合物噴射開口78を通って噴出することができるような、大きさの直径を有している。挿入体60は次のように構成されている。すなわち挿入体60の内部において混合物噴射開口78に、例えば楕円形又は円形の横断面を有していて軸方向で下流に向かって円錐形に拡大する開口79が接続しており、この開口79は、混合物噴射開口78よりも大きな開口幅を有している。挿入体60におけるこの開口79は、例えば円形横断面を有しているピン状の噴流分割体80によって横切られており、この場合この噴流分割体80は、混合物噴射開口78よりも挿入体60の下流側の端面81の近くに配置されている。噴流分割体80は、弁長手方向軸線2を通って横方向に延びていて、開口79によって形成された噴射室82を混合物噴射開口78の下流側において対称的に分割している。噴射室82は、開口79に相応して楕円形に又は円錐形に構成されている。噴流分割体80は、ウェブとしてプラスチック製の挿入体60の一部であってもよいし、別の材料から成るピンとして付加的に取り付けられていてもよい。いずれにせよ噴流分割体80は、その上側に上流に向いた凸面状の分割面85を有している。
【0024】
噴射孔円板21における2つもしくは4つの噴射開口25を通して、2つもしくは4つの燃料噴流が生ぜしめられ、噴流分割体80の両側に形成された領域に分割されて噴射室82内に噴射される。噴流分割体80の凸面状の構成は、燃料噴流が噴流分割体80のところを通過して方向付けられて延びる場合、又は燃料噴流が噴射開口25から離れるに連れて互いに離反する場合に、特に有利である。燃料噴流は、ガスリング間隙76から流出するガスによって、噴射開口25からのその噴出直後に、垂直に衝突される。この結果、燃料噴流が2つの噴流の形態を有していることがガスの囲繞によって損なわれ、場合によっては2つの燃料噴流が1つにまとまってしまうことがある。それというのはこの場合ガスは、燃料噴流を互いに向かって移動させるからである。くさび状の又は切刃状の噴流分割体とは異なり、凸面状の分割面85を備えた噴流分割体80では、分割面85の上においてガスがせき止められ、この場合ガスのせき止め圧によって燃料噴流は再び外方に向かって互いに離れるように押圧され、これによって明確な2噴流形態が維持される。凸面状の噴流分割体80は流れ抵抗として働き、これによってせき止め流が生ぜしめられる。せき止め流は、噴流分割体80の範囲における極めてコンパクトな噴流分割と、ガス及び燃料の改善された混合によるガス囲繞の良好な調製作用とを可能にする。噴流分割体80の凸面状の分割面によって、軸方向において噴流分割体80の下流で、ガスによる囲繞にもかかわらず、ガスによる囲繞が行われない配置形式におけると同様に良好な2噴流形態を得ることが可能になる。
【0025】
底区分63の下流側において挿入体60は、例えば円筒形の外輪郭を有している。例えばスクエア・リング(Quad-Ring)の形で構成されたシールリング87は、ガス囲繞体41と挿入体60との間をシールするため、正確に言えば、挿入体60の外輪郭とガス囲繞体41の区分45の内壁との間をシールするために働く。シールリング87は例えばシールリング56と同じ軸方向高さにおいて延びており、したがって両シールリングは互いに内外に位置して延びていて、しかしながらもちろんガス囲繞体41によって隔てられている。ガス囲繞体41の下流側端部において半径方向外側に向かって延びている肩部53は、弁長手方向軸線2に向かって突出している段部88をも有しており、この段部88は、ガス囲繞体41と調製アタッチメント61との間においてシールリング87のための環状室90を形成するために働く。
【0026】
図2に示された実施例が図1に示された実施例と異なっている点は、挿入体60とシールリング87との構成に関してだけである。挿入体60の内部における開口79は、図2に示された実施例では2つの区分に分割されている。混合物噴射開口78には、下流側に円形もしくは楕円形の横断面の大きな開口区分79′が直接接続しており、この開口区分79′の壁は弁長手方向軸線2に対して平行に延びている。この第1の開口区分79′は例えば弁座保持体1の下端面72の高さにおいて初めて、下流に向かって拡大する円錐形の開口区分79′′に移行する。そしてこの第2の区分79′′に噴流分割体80が配置されている。図2に示された挿入体60はその外輪郭においても、図1に示された実施例とは異なっている。底区分63の上流における円錐形の外輪郭は、しかしながらまた底区分63の下流側において初め一度円筒形の外輪郭に移行し、この円筒形の外輪郭はつまり弁長手方向軸線2に対して平行に延びる壁を有している。しかしながら挿入体60は、噴射孔円板21とは反対側の端部に、半径方向外側に向かって延びる肩部91を備えており、この肩部91はほぼガス囲繞体41の区分45の内壁にまで達している。例えばOリングとして構成されたシールリング87を受容するために、既にこの肩部91は十分である。それというのは環状室90が底区分63と肩部91との間に形成されているからである。したがってガス囲繞体41における段部88を省くことが可能である。これによりガス囲繞体41の区分45の内壁は連続的に鉛直方向に延びている。両方の実施例において挿入体60の下側の端面81は、ガス囲繞体41の本来の下流側の終端部の前で終わっている。
【0027】
図3には、図2に示された調製アタッチメント61がもう一度独立した部材として示されている。開口79の構成及び噴射分割体80のこの形状において、調製アタッチメント61は特に、ガスによって囲繞される2噴流弁における使用のために適している。図4は図3のIV−IV線に沿った断面図である。この図4から挿入体60における噴流分割体80の固定の可能性が明らかである。挿入体60にピン状の噴流分割体80を挿入することを可能にするためには、挿入体60における互いに正確に向かい合っている2つの箇所に、半径方向に延びる孔93を設けることが必要であり、この2つの孔に、噴流分割体80の各1つの端部が突入する。有利な構成では両方の孔93は、噴流分割体80のために一方では遊びをもった嵌合(差込み側)が行われ、かつ他方では孔93と噴流分割体80との間でプレス嵌め(反対側)が行われるようになっている。そしてこの場合プレス嵌めに基づいて噴流分割体80の十分な固定が保証されている。図4からはさらに噴射室82の楕円形の横断面が明らかである。噴流分割体80の押込みの他にも、例えば係止結合又は、溝内への噴流分割体80の挿入後での溝範囲における挿入体60の熱変形のような別の固定形式も可能である。
【0028】
図5には図3とは異なった調製アタッチメント61の実施例が示されており、この実施例は特に、円錐噴流弁における使用のために適している。この場合には2噴流形態が望まれていないので、噴流分割体80は省かれている。さらに開口79は3つの区分に分割されており、この場合円錐形の開口区分79′′には同様に、弁長手方向軸線2に対して平行な壁をもって構成された開口区分79′′′が接続されている。開口区分79′′′はほぼ肩部91の軸方向長さの範囲に形成されており、かつ開口区分79′よりも著しく大きな開口幅を有している。開口区分79′′から開口区分79′′′への移行部は、段部の形で形成されており、これによって燃料のための切離しエッジ94が生ぜしめられる。
【0029】
図6にはカップ状のガス囲繞部材48が単独で示されている。このガス囲繞部材48の底区分63には中央に開口範囲95が示されており、この開口範囲95は、底区分63の回りを少なくとも部分的に射出成形によって挿入体60のプラスチックによって取り囲むために必要である。挿入体60の内側の開口79は、最終的に取り付けられた状態においてガス囲繞部材48の開口範囲95を貫いて延在する。図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。既に述べた大径の範囲66と小径の範囲67とは、全周にわたって交互に周壁区分64を形成している。この場合周方向においてそれぞれ5つの範囲66,67が構成されていると、特に有利である。範囲66,67の異なった2つの直径の間における差は、弁座保持体1と区分45の範囲におけるガス囲繞体41との半径方向間隔によって生ぜしめられる。この半径方向間隔から周壁区分64の壁厚の値を引いた差によって、中間室50もしくはガス流入通路70の半径方向の寸法、ひいては範囲66,67の直径の差異が生じる。底区分63における中央の開口範囲95は、完全に円形に構成されているのではなく、半径方向に幾分突出した開口突出部96を有しており、これらの開口突出部96は、範囲66,67に相当する数で構成されており、つまり例えば5つある。開口突出部96は開口範囲95の全周にわたって次のように分配されている。すなわちこの場合開口突出部96は、常に周壁区分64の小さな直径の範囲67に向けられている。開口範囲95のこの幾何学形状は、ガス囲繞部材48と該ガス囲繞部材を取り囲む射出成形体(挿入体60)との間における形状結合を達成するために、特に有利である。
【0030】
図8に示された実施例は、調製アタッチメント61の下流側端部における特殊な滴下幾何学形状によって傑出している。下端面81の下流側に接続していて多数のジグザグ体99を備えた滴下クラウン98は、燃料の改善された滴下特性(特にガスなしの運転時における)を得るために役立つ。それというのはこのように構成されていると、燃料はまとまってあまり大きな滴になることができないからである。ジグザグ体99は、例えば三角形の歯の形で構成されており、これらの歯は下流に向かって鋭角的に延び、これに対して個々のジグザグ体99の間に生じる自由な範囲は逆向きの三角形をしていて、つまり下流に向かって広がっている。滴下クラウン98の内径は、開口幅に関して言えば、挿入体60の円錐形の開口79に継ぎ目なしに接続している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による装置の第1実施例を部分的に示す図である。
【図2】本発明による装置の第2実施例を部分的に示す図である。
【図3】調製アタッチメントの第1実施例を示す図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】調製アタッチメントの第2実施例を示す図である。
【図6】調製アタッチメントの一部であるガス囲繞部材を示す図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】調製アタッチメントの第3実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 弁座保持体、 2 弁長手方向軸線、 3 長手方向開口、 5 弁ニードル、 6 端部、 7 弁閉鎖体、 8 面取り部、 10 マグネットコイル、 11 可動子、 12 コア、 15 案内開口、 16 弁座体、 17 端面、 19 端面、 20 底部分、 21 噴射孔円板、 22 溶接継ぎ目、 25 噴射開口、 26 保持縁部、 30 溶接継ぎ目、 41 ガス囲繞体、 43,44,45 区分、 48 ガス囲繞部材、 50 中間室、52,53 肩部、 55 リング溝、 56 シールリング、 58 溝底部、 60 挿入体、 61 調製アタッチメント、 63 底区分、 64周壁区分、 66 大径の範囲、 67 小径の範囲、 69 溶接継ぎ目、70 ガス流入通路、 72 端面、 73 流れ通路、 74 リング通路、 76 ガスリング間隙、 78 混合物噴射開口、 79 開口、 79′,79′′,79′′′ 開口区分、 80 噴流分割体、 81 端面、 82 噴射室、 85 分割面、 87 シールリング、 88 段部、 90 環状室、 91 肩部、 93 孔、 94 切離しエッジ、 95 開口範囲、 96 開口突出部、 98 滴下クラウン、 99 ジグザグ体

Claims (12)

  1. 燃料・ガス混合物を噴射する装置であって、内燃機関の燃料噴射装置のための、特に電磁作動式の燃料噴射弁である噴射弁と、弁長手方向軸線(2)と、可動の弁閉鎖体(7)と、該弁閉鎖体(7)と共働する弁座面(29)を有していて噴射弁の下流側端部に設けられた弁座体(16)と、弁座面(29)の下流側に設けられた少なくとも1つの噴射開口(25)と、噴射弁の下流側端部に、複数部分から構成された調製アタッチメント(61)とが設けられており、該調製アタッチメント(61)が、少なくともガス囲繞部材(48)と挿入体(60)とから成っており、該挿入体(60)が、少なくとも1つの噴射開口(25)の下流側に延在していて、燃料・ガス混合物を流出させる開口(78 , 79)を有しており、ガス囲繞体(48)が噴射弁の下流側端部と堅く結合されている形式のものにおいて、
    挿入体(60)が、プラスチックから製造されており、ガス囲繞部材(48)が少なくとも底区分(63)から成っており、該底区分(63)に開口範囲(95)が設けられていて、該開口範囲(95)を貫いて挿入体(60)が部分的に延びており、ガス囲繞部材(48)の底区分(63)が少なくとも部分的に、挿入体(60)の材料によって射出成形により取り囲まれていて、これによってガス囲繞部材(48)と挿入体(60)との確実な結合が達成されていることを特徴とする、燃料・ガス混合物を噴射する装置。
  2. ガス囲繞部材(48)が、周壁区分(64)と底区分(63)とを備えてカップ状に金属から構成されている、請求項1記載の装置。
  3. ガス囲繞部材(48)の周壁区分(63)が、周方向において交互に配置された大径の範囲(66)と小径の範囲(67)とによって形成されている、請求項記載の装置。
  4. 挿入体(60)に設けられた開口(78 , 79)が、混合物噴射開口(78)と、該混合物噴射開口(78)の下流側に接続していて少なくとも部分的に円錐形に拡大している開口(79)とによって形成されており、該開口(79)の開口幅が混合物噴射開口(78)の開放幅よりも大きい、請求項記載の装置。
  5. 挿入体(60)の内部において開口(79,79′,79′′,79′′′)によって噴射室(82)が形成されていて、該噴射室(82)を貫いて噴流分割体(80)が弁長手方向軸線(2)に対して直角に延びている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
  6. 噴流分割体(80)が噴射開口(25)に向かって突出する凸面状の分割面(85)を有している、請求項記載の装置。
  7. 調製アタッチメント(61)の下流側の端部に、多数のジグザグ体(99)を備えた滴下クラウン(98)が設けられている、請求項1記載の装置。
  8. 挿入体(60)に設けられた開口(79)が、軸方向において連続する複数の開口区分(79′ , 79′′ , 79′′′)を有しており、該開口区分のうちの少なくとも1つの開口区分(79′ , 79′′′)が弁長手方向軸線(2)に対して平行な壁を有していて、少なくとも1つの他の開口区分(79′′)が、下流に向かって円錐形に拡大する壁を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
  9. 噴流分割体(80)が、開口(79)の、下流に向かって円錐形に拡大する少なくとも1つの開口区分(79′′)の内部に配置されている、請求項5又は8記載の装置。
  10. 円錐形の開口区分(79′′)から該開口区分に続く開口区分(79′′′)への移行部が、段部の形で形成されていて、これによって燃料のための切離しエッジ(94)が生ぜしめされている、請求項記載の装置。
  11. ガス囲繞体(41)が、噴射弁の下流側の端部と調製アタッチメント(61)とを軸方向において取り囲んでいる、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
  12. 少なくとも1つの噴射開口(25)が、噴射弁の弁座面(29)の下流側に設けられた噴射孔円板(21)に形成されている、請求項1記載の装置。
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