JP3810923B2 - 化学除染法における系統隔離方法 - Google Patents

化学除染法における系統隔離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は原子力発電所において放射線被ばく低減を目的とする原子炉圧力容器内または原子炉周辺の放射能付着による汚染を生じる系統配管および機器を対象とした化学除染法における系統隔離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所においては炉水中放射能が機器や配管の表面の酸化皮膜中に取り込まれて放射線被ばく線源になるため、保守、点検、補修期間の前にこの放射能を除去する方策が採られており、化学除染もこの酸化皮膜除去の有効な手段の一つである。
【0003】
除染を必要とする主な系統および機器は、原子炉再循環系(以下、PLR系統と記す)、原子炉残留熱除去系(以下、RHR系統と記す)、原子炉冷却材浄化系(以下、CUW系統と記す)の配管とポンプや熱交換器などであり、また、原子炉圧力容器内および炉内機器である。
【0004】
従来、除染対象系統の化学除染を行う場合、除染対象系統以外に除染液を拡散させないようにするために非除染対象系統と隔離するが、その系統隔離方法は、除染対象系統と非除染対象系統との間に一次隔離弁を設けて、その一次隔離弁の閉止によってなされている。
【0005】
図7により原子炉施設を除染対象物とする従来の化学除染法における系統隔離方法を説明する。図7は従来のPLR系統配管内を化学除染する場合の除染対象系統と非除染対象系統とを隔離する方法を説明するための機器,配管系統図である。
【0006】
図7中、符号1は除染対象系統となるPLR系統配管で、このPLR系統配管1にはPLRポンプ2が設けられており、また非除染対象系統となるRHR系統配管3がRHR枝管4を介して接続されている。RHR系統配管3にはRHR一次隔離弁5とRHR二次隔離弁6が取付けられている。RHR一次隔離弁5は除染対象系統と非除染対象系統の境界に設けられている。
【0007】
PLR系統配管1にはPLRポンプ2の吸込側に位置して除染液14を流入する流入側ホース取付部材7と、PLRポンプ2の突出側に位置して除染液14を流出する流出側ホース取付部材8が取付けられている。流入側ホース取付部材7には流入側除染ホース9の一端が接続し、流出側ホース取付部材8には流出側除染ホース10の一端が接続している。
【0008】
流出側除染ホース10の他端は除染液14を一時貯留する水位調整タンク11に接続している。水位調整タンク11には除染装置12が接続し、除染装置12には除染ポンプ13の吸込側が接続し、除染ポンプ13の吐出側には流入側除染ホース9の他端が接続している。
【0009】
除染ポンプ13を駆動することにより、除染装置12からの除染液14がPLR系統配管1内に流入側ホース9を通して流入し、流入側除染ホース10から流れ出して水位調整タンク11および除染装置12に戻る循環系路を構成する。水位調整タンク11を上下動させることによりPLR系統配管1内の除染液14のレベルを調整することができる。なお、図7中Aは除染液14のレベルを示している。
【0010】
しかして、PLRポンプの周辺のPLR系統配管1を化学除染する場合、PLRポンプ2の前後のホース取付部材7,8に仮設の化学除染用流入側および流出側除染ホース9、10を繋ぎ込む。除染液14は仮設の水位調整タンク11に溜められ、化学除染装置12を経て仮設の除染ポンプ13を通り、PLR系統配管1に入り、再び流出側ホース10を通って水位調整タンク11に戻る。
【0011】
このとき除染液のレベルAの位置まで除染液14を流すとすれば、RHR枝配管4にも除染液14が入り込む。従って、除染対象系統と非除染対象系統を隔離するため、RHR枝配管4とRHR系統配管3との間の一次隔離弁5を閉止する必要がある。また、特に二次隔離弁6は閉止していない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
一次隔離弁5のみによって除染系統と非除染系統を隔離する場合、一次隔離弁5の長期使用や異物の噛み込み等状態によっては、シール性が保たれないケースがあり、除染液14が除染対象系統外に拡散してしまう課題がある。また、除染対象系統外に除染液14が拡散すると、広範囲に渡りフラッシングや洗浄、液の浄化などの処理を実施する必要が生じるため、工期延長などの弊害を及ぼす課題がある。
【0013】
隔離弁のシール性に関する課題は化学除染を実施する前に隔離弁の漏洩確認検査および対策を講じることにより解決できる場合もある。しかし、除染スケジュール等の都合により事前検査を実施できない場合や、検査にかかる費用および放射線被ばくの増加等の課題がある。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、簡単かつ確実な方法により非除染系統への除染液の移行を阻止して隔離性能を向上させることができる化学除染法における系統隔離方法を提出することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、原子炉施設の配管および機器を対象とした化学除染を行う化学除染時に、前記原子炉施設の配管および機器を除染対象系統と非除染対象系統に一次隔離弁により隔離し、この一次隔離弁の前記非除染対象側からこの一次隔離弁の前記除染対象側からかかる圧力以上の圧力を加圧手段によって加えることを特徴とする。
【0016】
請求項1の発明によれば、一次隔離弁の非除染側から既設水張り系統などを用いて圧力をかけることで、もし弁の不具合により漏洩が生じたとしても、除染系統側に加圧水が進入するだけで、除染系統外に除染液が拡散することはない。
【0017】
請求項2の発明は、前記非除染系統側の後段に二次隔離弁を設け、この二次隔離弁を前記一次隔離弁を閉じた後に閉じることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、一次隔離弁のみでなく二次隔離弁を閉じておくことにより、一次隔離弁に漏洩が生じても除染液が非除染対象系統に拡散してしまうことを防ぐことができる。
【0018】
請求項3の発明は、前記一次隔離弁と前記二次隔離弁の間にドレンまたはベント系統を設け、前記一次隔離弁および前記二次隔離弁を閉じた後に前記ドレンまたはベント系統を仮設水張り加圧すること特徴とする。
【0019】
請求項3の発明によれば、弁間のドレンまたはベントを用いて、仮設水張り・加圧を実施することにより、請求項2の効果をさらに高め、隔離性能を確保して除染液が非除染対象系統に拡散してしまうことを防ぐことができる。
【0020】
請求項4の発明は、前記ドレンまたはベント系統の下流側に受けタンクと漏洩検知器を設け、前記一次隔離弁および前記二次隔離弁を閉じて、前記各々の弁間の水を抜いた後、前記弁間のドレンを開放して、前記一次隔離弁の漏洩を検知することを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明によれば、請求項2で弁間の水を抜いてしまうことにより、弁の不具合があっても非除染系統側に除染液を拡散させずに済む上に、漏洩を検知できる。
【0022】
請求項5の発明は、前記一次隔離弁または前記二次隔離弁の何れか一方を電磁弁で構成し、前記一次隔離弁および前記二次隔離弁を閉じる際に、前記電磁弁の上部に設けたモータで前記電磁弁の弁体を駆動して定位置まで閉じた後、前記モータによる前記弁体の締込み位置を調節する機能を持つリミッタを解除して、手動で前記弁体をさらに閉め込むこと特徴とする。
【0023】
請求項5の発明によれば、一次または二次隔離弁が電磁弁の場合に、弁体を駆動するモータで弁を定位置まで閉めた後に、手動により追い込みの増し締めを実施することで、弁のシール性能をさらに向上させて隔離を実施できるので、除染液が非除染対象系統に拡散してしまうことを防ぐことができる。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5の少なくとも一つの系統隔離方法を組み合わせた場合、化学除染終了後に原子炉施設の水張り系統またはポンプとタンクを組込んでなる水張り装置により前記非除染対象系統側から前記除染系統側にフラッシングを行い前記非除染対象系統へ進入する除染液を前記除染系統側に押し流して除染液の移行を阻止することを特徴とする。
【0025】
請求項6の発明によれば、何れかの隔離方法を実施した後、除染終了後に非除染対象系統側から水張り,フラッシングを行う。これにより、万が一、除染系統側から非除染系統側へ漏洩が生じ除染液が移行した場合には、除染系統側に除染液を押し戻す。その結果、非除染系統側に除染液を拡散させない処置を講じることができる。
【0026】
請求項7の発明は、化学除染前に請求項1から請求項5の少なくとも一つの系統隔離方法を実施した後に、化学除染を行い、その化学除染後の分解浄化に合わせて前記非除染対象系統側からの逆洗を行い、分解浄化が終了した後に前記除染対象系統と前記非除染対象系統の隔離を解除することを特徴とする。
【0027】
請求項7の発明によれば、化学除染前に本隔離性能向上措置を実施して、除染終了後に隔離解除措置を取るという手順を定めることにより、漏洩の心配なく確実に化学除染を実施できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1を参照しながら請求項1に対応する本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第1の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、原子炉施設の配管および機器を対象とした化学除染を行う場合の系統隔離方法の例としてRHR枝管4に適用した例で、図1中、図7と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0029】
図1中、符号15は原子炉圧力容器で、上蓋を取外した状態を線図的概略断面で示している。16はオペレーションフロア、17は原子炉ウエルで、原子炉ウエル17内の下方に原子炉圧力容器15は設置されている。原子炉圧力容器15の上部側面には主蒸気(MS)ノズル18が取付けられ、原子炉圧力容器15内にシュラウド19とその外側にジェットポンプ20が設置されている。
【0030】
ジェットポンプ20に対抗した位置の原子炉圧力容器15の外側面にPLRポンプ2を備えたPLR系統配管1が取付けられている。原子炉圧力容器15の下鏡を貫通して多数本のCRD,ICMハウジング21が取付けられている。
【0031】
CRD,ICMハウジング21の下端に流出側除染ホース10の一端が接続し、流出側除染ホース10には浄化装置22がバイパス接続して設けられている。除染ポンプ13に接続した流入側除染ホース9はオペレーションフロア16に立ち上げられ、原子炉ウエル17内を下降して原子炉圧力容器15内のシュラウド19の上端近傍まで達している。オペレーションフロア16には除染液分解装置23が設置され、除染液分解装置23は流入側除染ホース9にバイパス接続している。
【0032】
RHR系統配管3に接続したRHR二次隔離弁6にはRHR系統主配管24が接続しており、このRHR系統主配管24に水張り系統25を接続する。この水張り系統25は水張りポンプ26と水張りタンク27が直列接続したものからなっている。
【0033】
原子炉圧力容器15内の除染液14は、CRD,ICMハウジング21に繋がれた流出側除染ホース10から除染装置12を通り、除染ポンプ13を経て、流入側除染ホース9により原子炉圧力容器15の上部から原子炉圧力容器15内に戻るように循環する。
【0034】
また、除染により剥離した汚染物を除去するための浄化装置22と、化学除染が終了した時に除染液を分解,浄化するための除染液分解装置23が前述したように除染系統に並列に接続している。
【0035】
原子炉圧力容器15の内部は保有液量が多いため、原子炉圧力容器15内を循環する流れを作り出すことと、PLR系統配管1を同時に除染する目的でPLRポンプ2を運転する。この時、PLR系統配管1に接続されているRHR枝管4は一次隔離弁5を境として除染対象系統と非除染対象系統に分けられる。
【0036】
一次隔離弁5に漏洩があると除染液14が非除染対象系統側に拡散してプラント運転上問題となる。そこで、水張りタンク27および水張りポンプ26からなる水張り系統25を用いて、加圧水を非除染対象系統側に流入して水張りおよび加圧を行う。
【0037】
これにより、一次隔離弁5に除染液14の漏洩が生じた場合、圧力差によって除染液14は押し戻され、非除染対象系統側から除染対象系統側への漏洩となるので、除染液14が非除染対象系統側へ拡散するという課題を未然に防止できる。
【0038】
供給する圧力は除染対象物や系統によって異なるが、この系の場合は8kgf/cm2 程度が必要となる。自然開放のタンクなどの場合は水位に相当する圧力以上で加圧すれば良い。水張りタンク27および水張りポンプ26からなる水張り系統25は仮設設備により構成することもできる。
【0039】
除染液の水質分析と仮設浄化装置の浄化性能データを採取することにより、除染対象系統の汚染が回収されたことを判定し除染を終了する。除染が終了した後、除染液分解装置23を用いて系統中の除染液を分解し、原子炉圧力容器15内の水を浄化する。
【0040】
本実施の形態は酸やアルカリを用いた化学除染方法であれば、除染液の種類を選ぶことなく適用することができるが、特に分解が容易な有機酸を除染液とした場合にはいっそう除染効果が向上する。
【0041】
つぎに図2により請求項2に対応する本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第2の実施の形態を説明する。
図2中、図1と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明を省略し、炉内化学除染に適用した例で説明する。
【0042】
本実施の形態は第1の実施の形態に準たもので、第1の実施の形態と同様にPLR系統を用いて除染液14が原子炉圧力容器15内を循環し、化学除染する場合にRHR枝管4を一次隔離弁5の閉止だけでなく、二次隔離弁6をも閉止させることにある。
【0043】
本実施の形態によれば、隔離性能をさらに向上させて確実なものとし、非除染対象系統への除染液の拡散を防止することができる。本実施の形態では、二次隔離弁6の後段に弁を設け、この後段の弁などを閉じて隔離強化を図ることもできる。
【0044】
つぎに図3により請求項3に対応する本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第3の実施の形態を説明する。
図3中、図1と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。本実施の形態は第1と第2の実施の形態に準じたもので、RHR一次隔離弁5と二次隔離弁6との間の配管3aにドレンまたはベント28を接続し、このドレンまたはベント28に水張り系統25を接続したことにある。
【0045】
PLR系統を用いて原子炉圧力容器15内部を循環し化学除染する場合に、RHR枝管4の一次隔離弁5と二次隔離弁6を閉止し、この弁間のドレンまたはベント28を開放する。
【0046】
ドレンまたはベント28にドレン弁またはベント弁29を接続し、このドレン弁またはベント弁29に水張りタンク27および水張りポンプ26からなる水張り系統25を接続し、これにより水張りを実施する。この水張りにより一次隔離弁5と二次隔離弁6との間の配管3aは加圧水張り状態になる。
【0047】
したがって、一次隔離弁5に漏洩が生じた場合、非除染系統側から除染系統側に水が流れるのみで、除染液は非除染対象系統側には拡散しない。この場合、仮設の水張り系統25以外に原子力施設に設けられている本設の水張り系統を利用して弁間ドレン28に繋ぎ込んでも同様の効果が得られる。
【0048】
また、本実施の形態では水張りポンプ26の吐出側に圧力計30を設け、水張りポンプ26の吸込側に積算流量計31を設ける。これにより、漏洩の有無の確認や、漏洩が生じている場合にはどの程度生じているかを把握することができる。
【0049】
つぎに図4により請求項4に対応する本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第4の実施の形態を説明する。
図4中、図3と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。本実施の形態は第3の実施の形態に準じており、PLR系統を用いて原子炉圧力容器15内、つまり炉内を循環し化学除染する場合にRHR枝管4の一次隔離弁5と二次隔離弁6を閉止し、これらの隔離弁5,6間のドレンまたはベント28を開放して、弁間の配管3a内の水をドレンすることにある。
【0050】
ドレン弁またはベント弁29の下方にはドレン受けタンク32を設置する。そして、この状態でドレン受けタンク32内に漏洩検知器33を設置して運用すると、仮に、一次隔離弁5に漏洩があり除染液が漏れ出しても二次隔離弁6側には移行することはなく、ドレン28を通ってドレン受けタンク32に回収され、同時に漏洩検知器33によって異常の起こったことを感知できる。
【0051】
つぎに図5により請求項6に対応する本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第5の実施の形態を説明する。
図5中、図1および図7と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。本実施の形態は第1の実施の形態と第3の実施の形態に準じたもので、PLR系のポンプ周辺の化学除染を実施する場合のRHR枝管への適用例である。
【0052】
すなわち、仮設除染系統を用いてPLRポンプ2周辺の化学除染を実施する場合、RHR枝管4を一次隔離弁5と二次隔離弁6を用いて隔離して除染を実施する。除染が終了すると、除染液を除染液分解装置23を通して分解,浄化する。
【0053】
このとき一次隔離弁5に漏洩があると除染液が弁間の配管3a内に残存する。従って、分解浄化に合わせてドレンまたはベント28を開放して、水張りタンク27から水張りポンプ26、水張り系統25を接続した後、一次隔離弁5を開放して非除染対象系統側から除染対象系統側に水張り,フラッシングを行う。
【0054】
本実施の形態によれば、一次隔離弁5に漏洩が生じた場合には除染液が非除染対象系統に残存することを防止することができる。また、水張りタンク27および水張りポンプ26を用いることなく補給水系(MUW)などの本設設備の水張り系統を直接水張り系統25にホースなどで繋ぎ込み水張り,フラッシングを実施することもできる。
【0055】
つぎに図6により請求項7に対応する本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第6の実施の形態を説明する。
図6は化学除染時の系統の隔離、隔離解除、分解浄化、フラッシングの手順を示したフローである。まず、符号34で示すように除染前一次弁隔離工程で除染範囲の除染対象系統と非除染対象系統隔離措置を一次隔離弁を用いて実施する。
【0056】
次に前述した第1から第5の実施の形態による隔離強化手法を用いて符号35で示す隔離強化措置実施工程で弁の隔離性能向上措置を実施する。符号36で示す化学除染実施工程で化学除染を実施し、つぎに符号37で示す除染液の分解浄化工程で終了後除染液の分解浄化を始める。
【0057】
分解中の除染液の水質のモニタリングを実施しながら、符号39で示す隔離した非除染系統側からの逆洗洗浄実施工程で分解終了までの間に非除染系統側からの逆洗による洗浄を実施する。分解が完全に終了したら、除染後隔離解除実施工程38で隔離の解除措置を実施する。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば化学除染時等に、簡単な方法によって除染対象系統と非除染対象系統を隔離できるため、非除染対象系統への除染液の漏洩を防止できる。これにより、炉内や主要系統という枝管を多く有する除染対象系統でも除染終了後の個々の配管に対する水質確認作業ため、確認作業が不要となるとともに、非除染対象系統への除染液拡散による水質悪化などのトラブルを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第1の実施の形態を説明するための機器配管系統図。
【図2】本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第2の実施の形態を説明するための機器配管系統図。
【図3】本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第3の実施の形態を説明するための機器配管系統図。
【図4】本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第4の実施の形態を説明するための機器配管系統図。
【図5】本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第5の実施の形態を説明するための機器配管系統図。
【図6】本発明に係る化学除染法における系統隔離方法の第6の実施の形態を説明するためのフロー図。
【図7】従来の化学除染法における系統隔離方法を説明するための機器配管系統図。
【符号の説明】
1…PLR系統配管、2…PLRポンプ、3…RHR系統配管、4…RHR枝管、5…RHR一次隔離弁、6…RHR二次隔離弁、7…流入側ホース取付部材、8…流出側ホース取付部材、9…流入側除染ホース、10…流出側除染ホース、11…水位調整タンク、12…除染装置、13…除染ポンプ、14…除染液、15…原子炉圧力容器、16…オペレーションフロア、17…原子炉ウエル、18…主蒸気、19…シュラウド、20…ジェットポンプ、21…CRD,ICMハウジング、22…浄化装置、23…除染液分解装置、24…RHR系統主配管、25…水張り系統、26…水張りポンプ、27…水張りタンク、28…ドレンまたはベント、29…ドレン弁またはベント弁、30…圧力計、31…積算流量計、32…ドレン受けタンク、33…漏洩検知器、34…除染前一次弁隔離、35…隔離強化措置実施、36…化学除染実施、37…除染液の分解浄化装置、38…除染後隔離解除実施、39…隔離した非除染系統側からの逆洗洗浄実施。

Claims (7)

  1. 原子炉施設の配管および機器を対象とした化学除染を行う化学除染時に、前記原子炉施設の配管および機器を除染対象系統と非除染対象系統に一次隔離弁により隔離し、この一次隔離弁の前記非除染対象側からこの一次隔離弁の前記除染対象側からかかる圧力以上の圧力を加圧手段によって加えることを特徴とする化学除染法における系統隔離方法。
  2. 前記非除染系統側の後段に二次隔離弁を設け、この二次隔離弁を前記一次隔離弁を閉じた後に閉じることを特徴とする請求項1記載の化学除染法における系統隔離方法。
  3. 前記一次隔離弁と前記二次隔離弁の間にドレンまたはベント系統を設け、前記一次隔離弁および前記二次隔離弁を閉じた後に前記ドレンまたはベント系統を仮設水張り加圧すること特徴とする請求項2記載の化学除染法における系統隔離方法。
  4. 前記ドレンまたはベント系統の下流側に受けタンクと漏洩検知器を設け、前記一次隔離弁および前記二次隔離弁を閉じて、前記各々の弁間の水を抜いた後、前記弁間のドレンを開放して、前記一次隔離弁の漏洩を検知することを特徴とする請求項3記載の化学除染法における系統隔離方法。
  5. 前記一次隔離弁または前記二次隔離弁の何れか一方を電磁弁で構成し、前記一次隔離弁および前記二次隔離弁を閉じる際に、前記電磁弁の上部に設けたモータで前記電磁弁の弁体を駆動して定位置まで閉じた後、前記モータによる前記弁体の締込み位置を調節する機能を持つリミッタを解除して、手動で前記弁体をさらに閉め込むこと特徴とする請求項4記載の化学除染法における系統隔離方法。
  6. 請求項1から請求項5の少なくとも一つの系統隔離方法を組み合わせた場合、化学除染終了後に原子炉施設の水張り系統またはポンプとタンクを組込んでなる水張り装置により前記非除染対象系統側から前記除染系統側にフラッシングを行い前記非除染対象系統へ進入する除染液を前記除染系統側に押し流して除染液の移行を阻止することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の化学除染法における系統隔離方法。
  7. 化学除染前に請求項1から請求項5の少なくとも一つの系統隔離方法を実施した後に、化学除染を行い、その化学除染後の分解浄化に合わせて前記非除染対象系統側からの逆洗を行い、分解浄化が終了した後に前記除染対象系統と前記非除染対象系統の隔離を解除することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の化学除染法における系統隔離方法。
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