JP3810102B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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- F04C18/0269—Details concerning the involute wraps
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、一対のスクロールを相対的に公転円運動させて、空間を中心に向けて移動させるとともに空間の容積を減少させるスクロール型圧縮機に関するもので、特に冷凍サイクルの冷媒圧縮機に用いて好適な技術である。
【0002】
【従来の技術】
スクロール型圧縮機は、上述したように、空間を中心に向けて移動させるとともに空間の容積を減少させるため、ラップの中心側における空間の圧力が大変高くなる。このように、ラップの中心側の空間の圧力が大変高くなると、ラップが高圧力を受け、ラップに応力がかかる。ラップに加えられた応力は、ラップの根元に集中的にかかることになるため、ラップの中心側が根元部分で破損する可能性がある。
【0003】
この不具合を解消するべくなされた技術として、実公平4−30321号公報に開示される技術が知られている。この技術は、図8の要部断面図に示すように、ラップ101の根元に断面が単純円弧の円弧部102を設け、ラップ101の根元の応力集中を緩和するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ラップ101の根元に単純円弧の円弧部102を設けると、相手のラップ103との干渉を防ぐために、図9の要部断面図に示すように、ラップ101の側面と相手のラップ103の側面とに逃がし量Dを確保する必要がある。
ここで、ラップ101の中心部分は、圧縮の最終行程であるため、逃がし量Dを大きくすると、圧縮された圧力が漏れ、性能が悪化する。このため、所定の性能を維持するように、円弧部102の半径Rが小さく設けられている。
【0005】
円弧部102の半径Rが小さいと、図10の応力分布図に示すように、円弧部102に応力が強く集中する。このため、スクロール型圧縮機が高負荷運転されると、安全率の余裕度が減少し、ラップ101が破損する可能性が増大する。
逆に、円弧部102の半径Rが図11に示すように大きいと、円弧部102の応力集中は緩和されるものの、図9に示すように、相手のラップ103との干渉を防ぐための逃がし量D1 が大きくなって性能が悪化し、高効率であるスクロール型圧縮機を採用するメリットがなくなってしまう。
【0006】
つまり、従来のスクロール型圧縮機は、スクロール型圧縮機のメリットである高効率を得ようとすると、高負荷時の安全率が減少し、逆に高負荷時の安全率を確保しようとすると、効率が低下する不具合を有していた。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、高効率で安全率の高いスクロール型圧縮機の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のスクロール型圧縮機は、次の技術的手段を採用した。
〔請求項1の手段〕
スクロール型圧縮機は、平面的に設けられた底壁、この底壁から一体に直立した渦巻状のラップを備える一対のスクロールを噛み合わせ、この一対のスクロールを相対的に公転円運動させることにより、噛み合いによって形成される空間を中心に向けて移動させて空間の容積を減少させる。
そして、前記ラップの中心側端部は、前記底壁の表面と前記ラップの根元側の側面との隅部を塞ぐ略円弧状の円弧部を備えるとともに、
この円弧部は、前記ラップの直立方向の長さが、前記底壁の表面方向の長さよりも長く設けられたものである。
さらに、前記円弧部は、前記底壁と接続する近傍の曲率半径より、前記ラップとの接続側の曲率半径が大きいことを特徴とする。
【0010】
〔請求項2の手段〕
請求項1のスクロール型圧縮機において、
前記円弧部の断面形状は、楕円軌跡を描くことを特徴とする。
【0011】
〔請求項3の手段〕
請求項1または請求項2に記載のスクロール型圧縮機において、
前記円弧部の端部は、前記底壁の表面との間に僅かな段差を備えることを特徴とする。
【0012】
【発明の作用】
一対のスクロールを相対的に公転円運動させると、底壁およびラップで囲まれる空間が中心に向けて移動するとともに、空間の容積が減少する。この結果、中心側の空間の圧力が大変高くなり、中心側のラップに応力がかかる。ラップに加えられた応力は、ラップの根元に集中的にかかることになる。ここで、ラップの中心側の根元には、断面略円弧状の円弧部が設けられ、この円弧部によって底壁の表面とラップの根元側の側面との隅部が塞がれている。
【0013】
このラップの根元に設けられた円弧部は、ラップの直立方向の長さが、底壁の表面方向の長さよりも長く設けられている。つまり、円弧部は、底壁の表面方向の長さが短い。このため、相手のラップとの干渉を防ぐための逃がし量(距離)が短くできる。このように、逃がし量が小さくできるため、圧縮された圧力が漏れる量が小さくなり、圧縮効率を高く維持することができる。
【0014】
また、円弧部は、ラップの直立方向の長さが、底壁の表面方向の長さよりも長く設けられていることにより、円弧部はラップ側ほど円弧が緩やかになるとともに、円弧部の断面積が増大する。このように、応力集中を分散する円弧部の円弧が緩やかになるとともに、断面積が増大することにより、円弧部にかかる応力が大きく分散される。この結果、安全率の余裕度が増大し、ラップが破損する可能性を小さくできる。
【0015】
【発明の効果】
本発明のスクロール型圧縮機は、上記の作動で示したように、圧縮漏れを抑えて圧縮効率を高く維持するスクロール型圧縮機のメリットを保ったまま、円弧部にかかる応力を大きく分散して、安全率の余裕度を大きく確保することができる。
【0016】
なお、請求項3を採用することにより、リーマによって円弧部を形成する場合、円弧部の応力緩和効果を損なうことなく、円弧部の加工が容易になる。
【0017】
【実施例】
次に、本発明のスクロール型圧縮機を、図に示す実施例に基づき説明する。
〔第1実施例の構成〕
図1ないし図6は本発明を採用した第1実施例を示すもので、図2はスクロール型圧縮機の断面図である。
スクロール型圧縮機1は、例えば自動車用冷凍サイクルの冷媒圧縮機に使用されるもので、エンジン(図示しない)の回転動力によって駆動される。そして、スクロール型圧縮機1は駆動されると、ガス冷媒を吸入して圧縮し、その後圧縮したガス冷媒を吐出するものである。
【0018】
このスクロール型圧縮機1は、電磁クラッチ(図示しない)を介してエンジンに回転駆動される回転軸2、ハウジング3を介して車両に固定される固定スクロール4、この固定スクロール4に噛み合わされた状態で固定スクロール4に対して公転円運動を行う可動スクロール5、この可動スクロール5が自転するのを阻止する自転阻止機構6等から構成される。
【0019】
回転軸2は、鉄等の金属材料製で、ベアリング11を介してフロントハウジング15(後述する)に回転自在に支持されている。この回転軸2とフロントハウジング15との間には、シール材12が装着され、内部が気密に保たれている。ベアリング11によって回転支持される径大部13の後面には、回転軸2の回転中心に対して偏心して回転する偏心シャフト14が設けられている。
【0020】
ハウジング3は、アルミニウムなどの金属製で、固定スクロール4の前後に固着されるフロントハウジング15とリヤハウジング16とからなり、図示しないボルト等の締結具を用いて互いに締結される。なお、フロントハウジング15には、冷媒蒸発器(図示しない)から低温、低圧のガス冷媒を内部に吸入するための吸入ポート(図示しない)が設けられ、リヤハウジング16には、内部で圧縮された高温、高圧のガス冷媒を冷媒凝縮器(図示しない)へ吐出するための吐出ポート(図示しない)が設けられている。
【0021】
固定スクロール4は、アルミニウム等の金属材料製によって一体に設けられたもので、外筒部21、固定底壁22、固定ラップ23から構成される。外筒部21は、フロントハウジング15とリヤハウジング16とに挟まれ、内部を気密に保つ円筒状のものである。固定底壁22は、前面が平面に設けられ、後述する可動ラップ33の先端に設けられたシール部24が摺接する。固定ラップ23は、固定底壁22から一体に直立した渦巻体で、この固定ラップ23の中心側端部の根元には、根元の応力集中を緩和するための円弧部25が設けられている(図1、図4参照)。この円弧部25の詳細は、後述する。
【0022】
固定スクロール4とリヤハウジング16との間には、低圧室(図示しない)と高圧室26とが形成されている。低圧室は、固定ラップ23の外周側と外筒部21との間の吸入口(図示しない)と、吸入ポートとが連通した内部空間である。また、高圧室26は、固定底壁22の中心に設けられた吐出口27と、吐出ポートとが連通した内部空間である。なお、高圧室26には、吐出口27から吐出された高圧のガス冷媒の逆流を防ぐ弁体28が設けられ、この弁体28はボルト等の固着具29によって固定底壁22の後面に固定されている。
【0023】
可動スクロール5は、固定スクロール4と対をなし、固定スクロール4に対して公転円運動を行うもので、前方ボス31、可動底壁32、可動ラップ33から構成され、アルミニウム等の金属材料製によって一体に設けられている。
前方ボス31は、可動底壁32から前方へ突出する筒状の膨出部で、内側に装着された軸受34を介して、後述するブッシュ41の偏心回転を受けるように設けられている。
可動底壁32は、後面が平面に設けられ、上述の固定ラップ23の先端に設けられたシール部36が摺接する。
【0024】
可動ラップ33は、可動底壁32から一体に直立した渦巻体で、固定ラップ23に対して略180°ずらした状態で固定ラップ23に噛み合わされる。そして、可動スクロール5が公転円運動を行うことで、固定スクロール4と可動スクロール5とで囲まれる空間が、中心側へ移動するとともに、空間の容積が減少する。なお、この可動ラップ33の中心側端部の根元にも、根元の応力集中を緩和するための円弧部35が設けられている(図1、図4参照)。
【0025】
自転阻止機構6は、可動スクロール5が自転するのを阻止し、偏心シャフト14の偏心回転運動を、公転円運動として可動スクロール5に与えるものである。この自転阻止機構6は、ブッシュ41、リテーナ42、回転規制ピン43等からなる。
【0026】
ブッシュ41は、偏心シャフト14に装着された鉄などの金属製の筒体で、偏心シャフト14の偏心回転を軸受を介して可動スクロール5に伝えるものである。このブッシュ41には、バランスウェート44が設けられており、ブッシュ41の偏心回転による重心が変化しないように設けられている。
【0027】
リテーナ42は、フロントハウジング15と可動スクロール5との間に挟まれた移動可能なリング体で、鉄等の金属体よりなる。このリテーナ42には、前後に延びる複数の貫通穴が設けられており、この貫通穴内に回転規制ピン43が挿通される。なお、フロントハウジング15には、リテーナ42と接する面に鉄等の金属プレート45が固定されており、フロントハウジング15とリテーナ42との磨耗を防止している。
【0028】
回転規制ピン43は、円柱形状を呈した鉄等の金属ピンで、フロントハウジング15の後面に形成された円形底部を有するフロントガイド穴46、および可動スクロール5の前面に形成された円形底部を有するリヤガイド穴47に規制される。この結果、回転規制ピン43の移動がフロントガイド穴46に規制され、さらにフロントガイド穴46に規制された回転規制ピン43の移動軌跡とリヤガイド穴47とによって、可動スクロール5の移動が所定の公転円運動に規制される。
【0029】
次に、図1、図3ないし図6を用いて固定ラップ23および可動ラップ33の中心側端部の根元に形成された円弧部25、35について説明する。
固定ラップ23および可動ラップ33の中心側端部は、圧縮行程の最終箇所であり、強く圧縮されたガス冷媒によって高い圧力を受ける。つまり、固定ラップ23および可動ラップ33の中心側端部は、最も高い応力を受ける。固定ラップ23および可動ラップ33の中心側端部が高い応力を受けると、固定ラップ23の根元、および可動ラップ33の根元に応力が集中する。この固定ラップ23の根元、および可動ラップ33の根元の応力集中を緩和する目的で、固定ラップ23および可動ラップ33の中心側端部の根元には、円弧部25、35が設けられている。
【0030】
円弧部25、35は、ともに同じもので、本実施例では円弧部25について説明する。
円弧部25は、固定底壁22の表面と、固定ラップ23の根元側の側面(直立方向の面)との隅部を塞ぐべく、表面が略円弧状の曲面に設けられており、円弧部25の端部は、固定底壁22の表面、固定ラップ23の根元側の側面と、それぞれ滑らかに接続されている。
【0031】
この円弧部25は、図1に示すように、固定ラップ23の直立方向の長さaが、固定底壁22の表面方向の長さbよりも長く設けられた略楕円軌跡を描く。つまり、円弧部25の描く曲率が、固定底壁22から離れる方向に向けて大きくなる。また円弧部25は、図1の破線に示すように、長さbを半径とする単純円弧による円弧部25zよりも、円弧部25の断面積が大きく、且つ厚みも大きい。
【0032】
円弧部25の製造方法について説明する。
円弧部25は、固定ラップ23の中心側端部を切削することで形成される。この切削を行うリーマ51は、図3に示されるもので、底部52と側面53とが直角に設けられるとともに、リーマの底部52と側面53とのコーナー部54が、円弧部25の形状と一致する略楕円の軌跡の円弧に設けられている。なお、固定ラップ23の中心側端部は、図4および図5に示すように、リーマ51によって切削加工が施された後に、相手のラップ(可動ラップ33)までの距離が逃がし量Dとなるように、切削分だけ厚く設けられている。
【0033】
次に、円弧部25が設けられた固定ラップ23の端部と、可動ラップ33との間の逃がし量Dについて説明する。
固定ラップ23の根元に円弧部25を設けると、可動ラップ33との干渉を防ぐために、図5に示すように、固定ラップ23の側面と可動ラップ33の側面とに逃がし量Dを確保する必要がある。ここで、図1に示したように、円弧部25の固定底壁22の表面方向の長さbが短く設けられている。このため、円弧部25の平均曲率が大きいわりには、固定ラップ23の側面と可動ラップ33の側面とに逃がし量Dが小さく抑えられる。なお、後述するように、逃がし量Dが小さく抑えられることで、高圧に圧縮されたガス冷媒が、逃がし量Dから漏れる量が抑えられる。
【0034】
次に、円弧部25に発生する応力について説明する。
ここで従来技術の図10の応力分布を参照する。この従来技術のラップ101に設けられる円弧部102は、長さbを半径とする曲率の小さな単純円弧で、底壁から離れた側に、応力が比較的強く集中する。
これに対して、本実施例の応力分布を図6に示す。本実施例の円弧部25は、固定ラップ23の直立方向の長さaが、固定底壁22の表面方向の長さbよりも長く設けられているため、応力が集中する部分(底壁から離れた部分)の曲率が大きく、応力は拡散されて応力は強く集中しない。
【0035】
なお、可動ラップ33の中心側端部の根元に設けられる円弧部35は、上述した固定ラップ23の円弧部25と同じものであるため、説明は省略する。
【0036】
〔実施例の作動〕
次に、上記実施例におけるスクロール型圧縮機1の作動を説明する。
エンジンの回転動力が電磁クラッチを介して回転軸2に伝えられると、回転軸2の回転に伴って偏心シャフト14が偏心回転を行う。この偏心シャフト14の偏心回転は、自転阻止機構6によって自転が阻止され、公転円運動として可動スクロール5に伝えられる。この結果、可動スクロール5が固定スクロール4に対して公転円運動を行い、可動スクロール5と固定スクロール4とによって囲まれて形成された空間が、容積を減少しながら中心へ向けて移動する。
【0037】
可動スクロール5と固定スクロール4とによって囲まれる外周の空間には、冷媒蒸発器を通過した低圧のガス冷媒が吸引される。その後、空間が中心へ向けて移動し、空間の容積が減少するに従い、ガス冷媒が圧縮される。そして、空間が中心に移動すると、空間の容積が最小となり、ガス冷媒の圧力が大変高くなる。中心で高圧に圧縮されたガス冷媒は、中央の吐出口27から吐出され、冷媒凝縮器へ向かう。
【0038】
固定ラップ23および可動ラップ33の中心側端部は、高圧に圧縮されたガス冷媒によって大きな圧力を受け、固定ラップ23および可動ラップ33に応力が発生する。固定ラップ23および可動ラップ33に発生した応力は、根元に集中的にかかる傾向があるが、底壁から離れた部分の曲率の大きい円弧部25、35によって、応力が拡散される。つまり、固定ラップ23および可動ラップ33の中心側端部の根元には、応力が強く集中しない。
【0039】
一方、固定ラップ23および可動ラップ33の円弧部25、35は、固定底壁22および可動底壁32の表面方向の長さbが短く設けられているため、相手のラップまでの逃がし量Dが小さく抑えられる(図4参照)。このため、中心で高圧に圧縮されたガス冷媒が、逃がし量Dから漏れる量が抑えられる。
【0040】
〔実施例の効果〕
本実施例のスクロール型圧縮機1は、上記の作用で示したように、逃がし量Dが小さく抑えられるため、中心の高圧ガス冷媒が逃がし量Dから漏れる量が抑えられ、ガス冷媒の圧縮効率が高く維持される。つまり、ガス冷媒の圧縮効率を高く維持するスクロール型圧縮機1のメリットを保つことができる。
また、円弧部25、35によって、固定ラップ23および可動ラップ33の中心側端部の根元には応力が強く集中しないため、安全率の余裕度を大きく確保することができる。つまり、スクロール型圧縮機1が高負荷運転されても固定ラップ23および可動ラップ33が破損する可能性が小さく抑えられる。
【0041】
〔第2実施例〕
図7は第2実施例を示すもので、円弧部25の断面図である。
上記の第1実施例では、円弧部25と固定底壁22、円弧部35と可動底壁32とを滑らかに接続した例を示したが、実際にリーマ51で切削加工を行う場合、円弧部25の端部と固定底壁22、円弧部35の端部と可動底壁32を、それぞれ滑らかに接続するのは困難である。
【0042】
そこで、本実施例では、円弧部25の端部と固定底壁22、円弧部35の端部と可動底壁32に、それぞれ僅かな段差tを設け、加工を容易にしたものである。この段差tは、0.2mm程度以内であれば、応力分布への影響は小さく、効果は変わらない。
【0043】
〔変形例〕
上記の実施例では、スクロール型圧縮機をエンジンの回転動力によって駆動する例を示したが、油圧モータによって駆動させたり、電動モータによって駆動するように設けても良い。
スクロール型圧縮機を、自動車用冷凍サイクルの冷媒圧縮機に用いた例を示したが、建物の室内を空気調和する冷凍サイクルの冷媒圧縮機に用いても良い。
【0044】
また、円弧部の形状を略楕円の軌跡を描くように設けた例を示したが、底壁側に半径の小さい円弧、底壁から離れた側に半径の大きい円弧となる複合円弧を描く円弧部としても良い。
さらに、上記の実施例では、スクロール型圧縮機を冷凍サイクルの冷媒圧縮機に用いた例を示したが、ガスを圧縮して吐出する他の圧縮機としても利用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】円弧部を示すスクロール型圧縮機の要部断面図である(第1実施例)。
【図2】スクロール型圧縮機の断面図である(第1実施例)。
【図3】円弧部を形成するリーマの要部側面図である(第1実施例)。
【図4】逃がし量を示すスクロール型圧縮機の要部断面図である(第1実施例)。
【図5】逃がし量を示す図4のI−I線に沿うスクロール型圧縮機の断面図である(第1実施例)。
【図6】応力分布を示すスクロール型圧縮機の要部断面図である(第1実施例)。
【図7】円弧部を示すスクロール型圧縮機の要部断面図である(第2実施例)。
【図8】単純円弧の曲率が小さい円弧部を示すスクロール型圧縮機の要部断面図である(従来技術)。
【図9】逃がし量を示すスクロール型圧縮機の要部断面図である(従来技術)。
【図10】応力分布を示すスクロール型圧縮機の要部断面図である(従来技術)。
【図11】単純円弧の曲率が大きい円弧部を示すスクロール型圧縮機の要部断面図である(従来技術)。
【符号の説明】
1 スクロール型圧縮機
4 固定スクロール
5 可動スクロール
22 固定底壁
23 固定ラップ
25 円弧部
32 可動底壁
33 可動ラップ
35 円弧部
a ラップの直立方向の長さ
b 底壁の表面方向の長さ
t 段差
Claims (3)
- 平面的に設けられた底壁、この底壁から一体に直立した渦巻状のラップを備える一対のスクロールを噛み合わせ、この一対のスクロールを相対的に公転円運動させることにより、噛み合いによって形成される空間を中心に向けて移動させて空間の容積を減少させるスクロール型圧縮機において、
前記ラップの中心側端部は、前記底壁の表面と前記ラップの根元側の側面との隅部を塞ぐ略円弧状の円弧部を備え、
この円弧部は、前記ラップの直立方向の長さが、前記底壁の表面方向の長さよりも長く設けられたものであり、
前記円弧部は、前記底壁部と接続する近傍の曲率半径より、前記ラップとの接続側の曲率半径が大きいことを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 請求項1のスクロール型圧縮機において、
前記円弧部の断面形状は、楕円軌跡を描く
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 請求項1または請求項2に記載のスクロール型圧縮機において、
前記円弧部の端部は、前記底壁の表面との間に僅かな段差を備えることを特徴とするスクロール型圧縮機。
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