JP3809919B2 - シリンダ内圧検出装置 - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃焼限界制御や失火診断などを行うために、シリンダ内圧（燃焼圧力）を計測するシリンダ内圧検出装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、シリンダ内圧検出装置としては、例えば図５に示すようなものがある（実公平３−18906号公報参照）。
図５に示すシリンダ内圧検出装置は、点火プラグ41の座金として形成されるシリンダ内圧センサ42により機関のシリンダ内圧を検出するものであり、このシリンダ内圧センサ42は圧電素子により構成されている。
【０００３】
また、点火プラグ41とシリンダ内圧センサ42との間には、銅系材料によって形成されるガスケット43が介装されている。シリンダ内圧センサ42とガスケット43とは点火プラグ41の締付けにより点火プラグ41とシリンダヘッド44との間に挟持されて固定される。
燃焼時にシリンダ内で圧力が発生すると、その圧力により点火プラグ41が微小に変位するため、これを前記シリンダ内圧センサ42により検出し、リード線45を介して外部の計測回路に信号を出力する。このようにして機関シリンダ内の燃焼状態の監視を行う。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のシリンダ内圧検出装置では、シリンダ内圧センサ及び出力用リード線を取付るために、シリンダヘッドの点火プラグ取付け用の凹部を拡大加工する必要があるものの、この点火プラグ取付け用の凹部は燃焼室と冷却用ウォータジャケットとに挟まれたところに位置するために、空間的な余裕に乏しく、加工が難しいという問題点があった。
【０００５】
また、シリンダ内圧センサは点火プラグの微小な変位を検出しているが、検出Ｓ／Ｎ比が取り難いうえ、点火プラグの強力な点火エネルギーによるノイズの影響を受けやすく、対策としてシリンダ内圧センサ及び出力用リード線にシールドを施さなければならないという問題点もあった。
さらに、シリンダ内圧センサを機関のメンテナンス上交換を前提とする点火プラグとシリンダヘッドとの間に介装しているため、ユーザーによる点火プラグの交換後には初期設定（締付圧力等）を維持し難く、市場における特性保証が困難であるといった問題点もあった。
【０００６】
本発明は上記のような問題点に鑑み、取付け加工が容易で、耐ノイズ特性及び保守性の優れたシリンダ内圧検出装置を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項１に係る発明では、シリンダ内に臨ませて燃料噴射弁を設けた直噴式内燃機関において、圧電素子によりシリンダ内圧を検出するシリンダ内圧センサを座金状に形成して、前記シリンダ側が小径となるようにシリンダヘッドに形成された段付形状の燃料噴射弁取付孔の座面と前記燃料噴射弁のハウジング先端部との間に介装し、前記燃料噴射弁取付孔の小径部内周面と前記ハウジング先端部に連結されるノズルボディ外周面との間に位置しつつ、前記シリンダ内に連通する円環断面形状の空隙を介して、シリンダ内圧を直接検出するようにした。
【０００８】
このような構成とすることにより、シリンダ内圧センサの取付け部に空間的な余裕を生じる。また、シリンダ内圧センサを強力なノイズ源である点火プラグから離して設置することにより電気的ノイズの影響を受け難くなる。さらに、燃料噴射弁は、点火プラグと違い、ユーザー自身によって交換されることがないため、締付圧力等の初期設定を維持することができる。
【０００９】
このとき、シリンダ内圧センサは、燃料噴射弁取付孔の小径部内周面とハウジング先端部に連結されるノズルボディ外周面との間に位置しつつ、シリンダ内に連通する円環断面形状の空隙を介して、シリンダ内圧を直接検出するため、シリンダ内圧がより高精度に検出されることとなる。
【００１０】
そして、シリンダ内圧センサの具体的な構造としては、請求項２に係る発明のように、燃料噴射弁の座金として形成される金属製の中空環状のケース内に、環状の中心電極板と、該中心電極板を挟む一対の環状圧電素子と、各圧電素子の外側にそれぞれ配される環状の接地電極板とを挿入し、中心電極板の内周部および外周部とケースとの間に絶縁体を設けたものが考えられる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図１は、本発明のシリンダ内圧検出装置を取付けた内燃機関の一例を示す断面図である。
この例に用いた内燃機関は、シリンダ１内に吸気弁２を介して吸入された空気に対し、シリンダヘッド３に取り付けられた燃料噴射弁４から燃料を直接噴射し、そこで生じた混合気にシリンダヘッド３の中心部に設置された点火プラグ５によって着火することにより燃焼・爆発が起きる構成となっている。
【００１３】
シリンダヘッド３の燃料噴射弁取付孔座面と燃料噴射弁４との間には、座金状に形成されたシリンダ内圧センサ６を介装する。
シリンダヘッド３の点火プラグ５が取り付けられた位置は、燃焼室であるシリンダ１とウォータジャケット（図示せず）とに囲まれているため、シリンダ内圧センサ６を取り付けるための空間を確保するのが困難であるが、燃料噴射弁４の取付け部位付近には空間的な余裕があり、シリンダ内圧センサ６を取付けるための加工も比較的容易に行うことが可能である。
【００１４】
図２は燃料噴射弁４とシリンダ内圧センサ６との拡大断面図である。
燃料噴射弁４は、弁体としてのニードルバルブ11を摺動自由に嵌挿保持するノズルボディ12と、該ノズルボディ12を先端部に連結保持する筒状のハウジング13と、該ハウジング13内に保持されてニードルバルブ11を駆動する電磁コイル14等を備えている。また、ハウジング13の後端開口部には鉄心15が接続されている。
【００１５】
そして、燃料ポンプからの配管を、鉄心15の後端部に設けられたコネクタ部16に接続して燃料の供給を受け、電磁コイル14への通電のＯＮ／ＯＦＦに応じて鉄心15に生じる磁気吸引によってニードルバルブ11がノズルボディ12内を移動して開弁／閉弁動作を行い、燃料の噴射を制御するように構成されている。
上記のような燃料噴射弁４では、ニードルバルブ駆動用電磁コイル14の微弱な逆起ノイズ等があるものの、点火エネルギーによる強力なノイズ発生をともなう点火プラグ５とは異なり、シリンダ内圧センサ６及び出力用リード線17に対する電気的ノイズの影響が少ない。このため、シリンダ内圧センサ６を燃料噴射弁４の座金の位置に装着する場合には、電気的なノイズに対する特別な対策を講じる必要がなく、構造を簡素にできる。
【００１６】
シリンダ内圧センサ６は、燃料噴射弁４の座金状に形成されており、燃料噴射弁４の先端に形成された噴口部18をシリンダヘッドに貫挿する際、図３に示すように、シリンダヘッド３の燃料噴射弁取付孔座面と燃料噴射弁４との間に介装される。シリンダヘッド３の燃料噴射弁取付孔内周とハウジング13の外周とに設けたネジにより、燃料噴射弁４を所定のトルクで締付・固定することで、シリンダ内圧センサ６は所定の圧力が加えられた状態で固定される。
【００１７】
このシリンダ内圧センサ６の詳細な構造は例えば図４のようなものである。
燃料噴射弁４の座金として形成される金属製の中空環状のケース21内に、環状の中心電極板（リードプレート）22と、該中心電極板22を挟む一対の環状圧電素子23、23と、各圧電素子23、23の外側にそれぞれ配される環状の接地電極板24、24とを挿入してある。また、ケース21の内面と中心電極板22の内周部との間には環状の絶縁チューブ25を配してある。そして、ケース21内の隙間にはシリコンレジン等のシール剤26を充填してある。このシール剤26は、ケース21と中心電極板22の外周部との間の絶縁体としての機能も果たす。27はケース21の一部に固着されたリード線引出し用パイプであり、出力用リード線17は中心電極板22に接続されてパイプ27を通じて引き出される。
【００１８】
一方、シリンダヘッド３の燃料噴射弁取付孔内周と燃料噴射弁４先端部のノズルボディ12外周との間にシリンダ１内に連通する円環断面形状の空隙30を設け、シリンダ１内の圧力の増加がシリンダ内圧センサ６を圧縮する方向に働くようにする。
シリンダ内圧センサ６は、シリンダ１内における混合気の燃焼・爆発による圧力変化を、直接検出する。すなわち、シリンダ１内の圧力が増加すると、シリンダ内圧センサ６には、シリンダ１内に連通する空隙30を介して、圧力変化量に応じた圧縮力が作用する。シリンダ内圧センサ６は、圧力の変化量に応じた信号をリード線17を介して外部の計測回路（図示せず）に伝達し、この信号に基づいて内燃機関の燃焼限界制御や失火診断が行なわれる。このような構成では、シリンダ内圧センサ６がシリンダ１内の圧力を直接検出するので、より高精度な検出が可能となる。
【００２１】
尚、本実施例では、燃料噴射弁をシリンダ内（主燃焼室）に直接臨ませているが、副室を有して、この副室に燃料噴射弁を臨ませるようにしたものにも本発明を適用可能である。
【００２２】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項１に係る発明では、シリンダ内圧センサの取付け加工を容易に行うことができる。また、シリンダ内圧センサ及びリード線に対する電気的ノイズの影響を避けることができるので正確な検知が可能になるとともに、構造を簡素にできるという効果もある。さらに、製品が市場に出てからも、締付圧力等の初期設定を維持できるというメリットがある。
【００２３】
このとき、シリンダ内の圧力変化をシリンダ内圧センサが直接検出するので、より高精度な検出ができるという効果がある。
【００２４】
また、請求項２に係る発明では、燃料噴射弁の座金の内部に圧電素子を用いた高感度な圧力センサをコンパクトに組み込むことができ、シリンダ内の圧力変化を鋭敏に検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１実施例を示すシリンダ内圧検出装置を取付けた内燃機関の断面図
【図２】 燃料噴射弁とシリンダ内圧センサとの拡大断面図
【図３】 燃料噴射弁およびシリンダ内圧センサのシリンダヘッドへの取付け方を説明する図
【図４】 シリンダ内圧センサの詳細な構造を示す断面図
【図５】 従来のシリンダ内圧検出装置の取付け例を示す断面図
【符号の説明】
１ シリンダ
２ 吸気弁
３ シリンダヘッド
４ 燃料噴射弁
５ 点火プラグ
６ シリンダ内圧センサ
21 ケース
22 中心電極板
23 圧電素子
24 接地電極板
25 絶縁チューブ
26 シール剤
30 空隙

Claims (2)

  1. シリンダ内に臨ませて燃料噴射弁を設けた直噴式内燃機関において、
    圧電素子によりシリンダ内圧を検出するシリンダ内圧センサを座金状に形成して、前記シリンダ側が小径となるようにシリンダヘッドに形成された段付形状の燃料噴射弁取付孔の座面と前記燃料噴射弁のハウジング先端部との間に介装し、前記燃料噴射弁取付孔の小径部内周面と前記ハウジング先端部に連結されるノズルボディ外周面との間に位置しつつ、前記シリンダ内に連通する円環断面形状の空隙を介して、シリンダ内圧を直接検出するようにしたことを特徴とするシリンダ内圧検出装置。
  2. 前記シリンダ内圧センサは、前記燃料噴射弁の座金として形成される金属製の中空環状のケース内に、環状の中心電極板と、該中心電極板を挟む一対の環状圧電素子と、各圧電素子の外側にそれぞれ配される環状の接地電極板とを挿入し、前記中心電極板の内周部および外周部と前記ケースとの間に絶縁体を設けたものであることを特徴とする請求項１記載のシリンダ内圧検出装置。
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