JP3809894B2 - ガスの貯蔵方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタンその他の低級炭化水素等のガスの貯蔵方法に関し、より詳しくはそれらのガスを適切な細孔径を有する細孔材料に対して高圧下大量に吸着させてガスを貯蔵する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスは気体の状態のままでは非常に大きい体積を有し且つ比重が小さい。このため、その貯蔵効率を上げるためには、ガスの体積を小さくし密度を上げる方法が採られる。従来、ガス貯蔵法には、圧縮、液化、吸着など種々の方法があり、対象とするガスの種類、規模等に応じて様々な手法が実用化されている。その中でも、圧力すなわち圧縮によるガス貯蔵法は、プロセスが簡単であり操作が簡便であるため、主として比較的小規模なガス貯蔵において広く使われている。一方、ガスを吸着剤に吸着させて貯蔵する方法は、比較的低圧の領域において圧縮にまさるガス貯蔵量が得られるため精力的に開発が行われている。
【0003】
このうち、圧縮によるガス貯蔵法においては、圧力に応じて貯蔵量が決まり、要求される貯蔵量の増加に応じて、さらに高い圧力を要する点に問題がある。一方、吸着剤によるガス貯蔵法においては、十分な貯蔵量を得るためにはやはり相応の圧力が必要となるうえ、さらに高い圧力では、吸着剤自体の占める体積により、貯蔵できるガス量が圧縮による方法よりも少なくなってしまう点が問題である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における以上のような諸問題点に鑑み、細孔材料を用い且つ高圧圧縮によるガスの貯蔵方法について追求し、各種実験を行ったところ、適切な細孔径を有する細孔材料と適切な圧力を組み合わせることにより、同じ温度、圧力条件において、従来の圧縮によるガス貯蔵量や吸着剤によるガス貯蔵量よりも、また圧縮による充填量と吸着剤による吸着量の和に相当するガス貯蔵量よりも、より大量のガスを貯蔵できることを見い出した。
【0005】
すなわち本発明は、適切な細孔径を有する細孔材料と適切な高圧を組み合わせることにより、従来の圧縮による場合と同じ温度、圧力条件において、従来の圧縮によるガス貯蔵量や吸着剤によるガス貯蔵量よりも、また従来の圧縮によるガス貯蔵量と吸着剤によるガス貯蔵量を合わせたガス貯蔵量よりも、より大量のガスを貯蔵できるガスの貯蔵方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、細孔材料を、その細孔のうち細孔径0.90nm以下の細孔が容器充填時に容器の全容積中少なくとも5%以上となるように、充填した容器内に、2.0265MPa(20気圧)以上の高圧でガスを導入することにより、当該ガスの細孔材料への2.0265MPa(20気圧)未満の測定における吸着特性の単なる高圧への外挿値に相当するガス充填量、および細孔材料を充填しない容器への単なる圧力充填によるガス充填量よりも大量のガスを容器内に充填することを特徴とするガスの貯蔵方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、容器内に、細孔材料を、その細孔のうち細孔径0.90nm以下の細孔が容器充填時に容器の全容積中少なくとも5%以上となるように充填することが重要である。これにより、ガスの細孔材料への2.0265MPa(20気圧)未満の測定における吸着特性の高圧への単なる外挿値に相当するガス充填量と、細孔材料を伴わない(充填しない)容器への単なる圧力充填によるガス充填量とを合わせたガス貯蔵量よりも大量のガスを貯蔵することができる。すなわち、本発明によれば、高圧による充填量と吸着剤による吸着量の和を大きく越えた大量のガスが容器中に貯蔵される。
【0008】
上記細孔材料としては、細孔径が0.90nm以下の細孔を、細孔材料を容器に充填した時に容器の全容積中少なくとも5%以上となるような量以上有する細孔材料であれば特に限定はなく、その材質、製法、形状如何を問わず使用できる。具体的には活性炭やセラミックスなどが用いられ、特に好ましくは活性炭が用いられる。活性炭の場合、粉末状、粒状、繊維状その他の各種形状で、各種の細孔径を有するものが容易に入手可能であるが、本発明においては、それらのうち、その細孔径が0.90nm以下の細孔を、容器に充填した時に容器の全容積中少なくとも5%以上となるような活性炭を用いる。細孔径は液体窒素温度における窒素吸着量及び吸着等温線測定により容易に測定することができる。なお、本明細書中、「細孔径」とは、活性炭の細孔がスリット状であるという仮定に基づいた場合のスリット幅を指し、計算方法としては、すべて「細孔径=2×細孔容量÷細孔内比表面積」により求め、細孔の解析はカーボンブラックを参照物質とするtープロット法により行った。
【0009】
表1は、上記事実を見い出し、本発明を完成させるに至るまでに用いた各種細孔材料のうち幾つかの代表例についての諸物性である。図1は、表1の細孔材料を用い、後述図8の試験装置で実施例1に準じて得られた〔試料容器の内容積=12.3×10 -6 m 3 (12.3cc)、温度=24℃〕、容器容積あたりのメタンの貯蔵効率を示している。図1には容器に細孔材料を充填しない圧縮貯蔵のみの場合の計算値と実測値も併記している。図1のとおり、圧縮のみによる貯蔵の場合、メタン貯蔵量は圧力上昇に伴いほぼ直線的に増加する。
【0010】
【表1】
【0011】
一方、細孔材料を充填し併用した場合のメタン貯蔵量は、圧縮貯蔵のみによる場合に比べて増加しているが、その程度は試料の種類ごとに異なっている。試料Eでは、圧力10.1325MPa(100気圧)程度までは圧縮貯蔵のみの場合に比べて増加しているが、それを越える圧力では圧縮貯蔵のみの場合と同程度となる。さらに圧力を上げ、16.212MPa(160気圧)では、圧縮貯蔵の場合より少なくなってしまう。また、同様に、試料Fでは、圧力16.212MPa(160気圧)程度までは圧縮貯蔵のみの場合に比べて増加しているが、18.2385MPa(180気圧)では圧縮貯蔵のみの場合と同程度となる。これらの結果は、試料Eや試料Fの材料を用いた場合、圧力条件によっては細孔材料の作用がないか、もしくはむしろ圧縮による貯蔵を妨害することを示している。
【0012】
これに対して、試料A〜Dでのメタン貯蔵量は、圧縮貯蔵のみの場合に比べて、2.0265MPa(20気圧)から18.2385MPa(180気圧)までの全ての圧力において非常に増加している。試料Eの平均細孔径は1.01nm、試料Fの平均細孔径は1.96nmであるのに対して、試料A〜Dの平均細孔径はいずれも0.91nm以下であり、その間にメタン貯蔵量に関する効果に影響を及ぼす何らかの重要な要因があることを示している。
【0013】
図2は試料A〜Fの細孔径の分布について、細孔径と細孔容積との関係を示した図であり、図3にそのうち細孔径1.00nmまでの部分を拡大して示している。図2〜3のとおり、細孔径の分布に関して、試料E、Fは試料A〜Dの場合に対して明らかに異なる分布を示している。試料E及びFの細孔径は0.90nm程度より大きい方にシフトしているのに対して、試料A〜Dの細孔径はいずれも0.90nmより小さい方にシフトしており、この点がメタン貯蔵量を増加させる作用として大きく関与しているものと認められる。
【0014】
なお、メタン貯蔵量を増加させる試料A〜Dのうち、試料A、B、Cについては、細孔径の分布が0.7nmもしくはそれ以下にピークを有するほか、1.2nm付近にもなだらかな分布を有しているが、この点を試料E及びFにおける事実と併せ考えると、試料A、B、Cにおける細孔径0.90nm以下の細孔がメタン貯蔵量を増加させる作用をしているものと解される。
【0015】
図4は試料構成比率、すなわち容器内の全容積における、すなわち容器内の全空間に試料A〜Fを密に充填した場合における試料A〜Fの骨格部分、細孔部分及びボイド部分の占有比率を示した図である。ボイド部分は試料によって占有されていない空間部分(各粒子間のすきま及び容器壁と各粒子との間のすきま)であり、この部分にはメタンは圧縮のみにより貯蔵される。炭素骨格、細孔が試料により占有された部分であり、上記試料A〜Dと試料E及びFとの関係(図2〜3)からして、その細孔のうち0.90nm以下の部分がメタンの吸着に大きく寄与しているものと認められる。
【0016】
さらに図5は、図4の試料構成比率中における、各試料における細孔容積あたりのメタン貯蔵効率を示した図である。図5のとおり、試料A〜Dそれ自体によるメタンの吸着貯蔵量は、圧縮貯蔵に比べて格段に優れていることが明らかである。ところが、試料E、Fのメタン貯蔵効率は、試料A〜Dのメタン貯蔵効率に比べて格段に小さく、試料A〜Dのグループに対して、明確な、截然とした差があることが分かる。特に、試料Fは、図4に示されるとおり試料中に細孔の占める比率が50%であるにも拘わらず、図5に示されるように細孔中の吸着量は試料A〜Dに比べて約半分であり、この原因としては、図2に示されるように、細孔中の0.90nm以下の比率が非常に少ないことが関与しているものと推察される。
【0017】
以上の実験結果から得られる試料A〜Dの細孔中のメタン密度は、LNGにおける600倍に近い400〜600倍という値であり、例えば室温、5.06625MPa(50気圧)で得られるメタン密度としては異常な高密度貯蔵である。この現象の原因については今後の研究に待つほかはないが、例えばメタン分子3個分というように、細孔材料が有する適度な細孔径により、両壁面に吸着したメタンの層間が新たな吸着に適した層間隔となり、その層間に更にメタンが吸着されて液体に近い高密度貯蔵が得られるものとも考察される。
【0018】
本発明のガス貯蔵方法によるガス貯蔵量が、空の容器に単に圧縮によってガスを貯蔵する場合〔例えば18.2385MPa(180気圧)で230倍である〕に比べて上回るためには、液体に近い高密度な貯蔵が起きる0.90nm以下の細孔が占める容器内の体積比は、炭素骨格については最少10%程度が必要であるため、これを基にして算出すると、少なくとも5%程度以上が必要である(後述実施例も参照)。したがって、0.90nm以下の細孔が占める容器内の体積比がこれ以上であれば、圧縮による貯蔵量を越えるガス貯蔵ができる。そして、このことから、その容器内において、細孔材料の細孔のうち細孔径0.90nm以下の細孔が占める体積比を、例えば10%、15%、30%、50%と大きくすれば、これらに対応して空の容器に単に圧縮によってガスを貯蔵する場合に比べて更に大量のガスを貯蔵することができる。
【0019】
本発明においては、以上の事実を基に、細孔材料を、その細孔のうち細孔径0.90nm以下の細孔が容器充填時に容器の全容積中少なくとも5%以上となるように、充填した容器内に、2.0265MPa(20気圧)以上の高圧でガスを導入する。これにより、当該ガスの細孔材料への低圧での吸着特性の単なる高圧への外挿値に相当するガス充填量、および細孔材料を充填しない容器への単なる圧力充填による当該ガス充填量よりも大量のガスを容器内に充填することができる。
【0020】
この事実、すなわち本発明によるガス貯蔵が細孔材料自体による貯蔵であることから、容器に、細孔材料を、その細孔のうち細孔径0.90nm以下の細孔が容器充填時に容器の全容積中少なくとも5%以上となるように充填し、且つ、容器のボイド部分(図4参照)を可及的に減らすように工夫をすることにより、同一容積の容器中に更に大量のガスを貯蔵することができる。
【0021】
本発明において、ガスを貯蔵するに際しては、上記細孔材料を充填した容器に例えば昇圧ピストン、バルブ等を介して貯蔵を意図するガスを高圧下に導入することによりガスを貯蔵する。容器としては、例えば少なくとも20.265MPa(200気圧)に対する耐圧性をもち、密閉できる中空の容器が用いられる。貯蔵対象ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン等の低級炭化水素、これらの混合ガス、酸素、窒素、水素等が挙げられる。このうち特にメタン及びメタンを主成分とするガスが挙げられ、メタンを主成分とするガスの例としては天然ガスや都市ガスが挙げられる。
【0022】
図6は、細孔材料を充填した耐圧容器へガスを貯蔵する態様例を示す図である。メタン等の貯蔵するガスをポンプにより昇圧し、バルブを介して耐圧容器内の細孔材料に吸着させて貯蔵する。図7は本発明における細孔材料を充填した耐圧容器の2、3の態様例を断面図として示す図である。図7(a)は細孔材料を耐圧容器中に層状に充填した態様、図7(b)は細孔材料の充填層に上下方向に貫通孔を設けた態様、図7(c)は充填層に枝管を設け、充填層の下部にも空間を設けた態様である。これら図示の態様では上部等に空間部分があるが、本発明におけるガス貯蔵は特定の細孔材料自体を利用する貯蔵であるため、空間部分は可及的に少なくするのが好ましい。
【0023】
細孔材料を充填した耐圧容器中の該細孔材料に吸着、貯蔵したガスを使用する際には、例えばバルブ操作等により細孔材料に吸着された貯蔵ガスを適宜放散して容器からガスを抜き出して使用する。このようにガスの貯蔵及び抜き出し、共に構成が簡単であり、従来のガスの圧縮と同様の簡便な操作で、単なる圧縮による場合に比べて、より大量のガスを貯蔵し、抜き出すことができる。また、容器中のガス残量に関係なく自由に貯蔵、抜き出しを行うことができるだけでなく、細孔材料も繰り返し使用することができる。
【0024】
このため、本発明のガス貯蔵方法は、ガスとしてメタン等の低級炭化水素あるいはその混合ガスを対象とする場合、例えば病院、ビル、家庭などでの常時又は非常時用の燃料ガスの貯蔵、供給、コジェネレーション発電機への常時あるいは非常時用の燃料ガスの貯蔵、供給、自動車等の輸送機器用やその供給基地用の燃料ガスの貯蔵、供給など、従来における燃料ガスの貯蔵、供給における場合と同様の用途に利用できる。しかも、上記のように貯蔵、抜き出しが容易であるのに加え、従来に比べて同一容量で大量のガスを貯蔵できることから容器を小型化できるなど各種利点が得られる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例により限定されないことはもちろんである。本実施例では、まず実施例で使用した実験用装置の概略、操作例を説明し、次いでこの装置を使用し、上記と同じ試料A〜Fを用いた具体的な吸着試験例を記載している。
【0026】
図8は本実施例で使用した実験用装置の構成を原理的に示した図である。図8中、V1〜V4はバルブであり、試料容器の内容積は12.3×10 -6 m 3 (12.3cm3 )である。ボンベに充填されたメタンを昇圧ピストンにより昇圧し、バルブV1を介して試料部における細孔材料を充填した試料容器に導入する。操作にあたっては、まず真空ポンプにより試料容器及び導管内を真空引きした後、バルブを切り換えてメタンを導入する。メタンを所定圧力まで導入した時点で、その状態で所定時間、例えば10分程度待った後、試料容器からのメタンの捕集操作を実施する。
【0027】
《実施例1》
試料容器に、平均細孔径(スリット幅として)が0.81nm、比表面積1249×10 3 m 2 /kg(1249m2/g)、全細孔容量0.51×10 -3 m 3 /kg(0.51cm3/g)、真密度1.9×10 3 kg/m 3 (1.9g/cm3 )の活性炭9.30×10 -3 kg(9.30g)(試料A)を充填した。バルブV1を閉め、バルブV2、V3、V4を開けて、室温にて1時間、真空ポンプによって真空排気を行うことにより、試料容器内、ライン内の空気の排気および活性炭に吸着したガスの脱ガスを行った。次いで、バルブV2、V3、V4を閉め、V1を開け、室温24℃において、試料容器にメタンガスを圧力18.2385MPa(180気圧)になるまで導入し、圧力がほぼ安定するまで10分間保ち、十分なガス充填を行った。
【0028】
その後、バルブV1を閉め、V3を開けて充填されたメタンガスを放出し、湿式ガスメーター(湿式ガス流量計)によりガス量を測定した。圧力が大気圧まで下がったところで、バルブV3を閉め、V2、V4を開けて、真空ポンプを用いてさらに19998.36Pa(150Torr)の低圧まで吸引し、活性炭に吸着されたガスの脱着を行い、出てきたガスの量を引続き湿式ガスメーターにより測定した。ポンプを用いた脱着はガスが出てこなくなるまで行った。その間約10分であった。
【0029】
こうして放出されたガス量は全部で3444×10 -6 m 3 (3444cm3 )であった。測定後、上記と同様の操作により、再度メタンにより18.2385MPa(180気圧)まで加圧し、放出ガスの体積を測定した後、さらにもう一度同様の操作を繰り返した。その結果得られたガス量は、それぞれ、3321×10 -6 m 3 (3321cm3 )、3567×10 -3 m 3 (3567cm3 )であった。これらの結果は、容器の容積12.3×10 -6 m 3 (12.3cm3 )を基準とすると、充填されたガスの体積比で約280倍となり、空の容器に18.2385MPa(180気圧)のメタンを充填した場合のガス量である230倍(計算値と実測値も一致、メタンガスの圧縮係数により理想気体の180倍よりは多くなる)に比べて約22%の増加であった。
【0030】
ところで、試料容器には活性炭をできるだけ密になるように充填したが、容器の容積12.3×10 -6 m 3 (12.3cm3 )のうち、9.30×10 -3 kg(9.30g)(活性炭重量)÷1.9×10 3 kg/m 3 (1.9g/cm3 )(真密度)=4.89×10 - 6 m 3 (4.89cm3 )は炭素骨格により占められた体積であり、9.30×10 -3 kg(9.30g)(活性炭重量)×0.51×10 -3 m 3 /kg(0.51cm3/g)(細孔容量)=4.74×10 -6 m 3 (4.74cm3 )は全細孔容積であるので、残りの12.3×10 -6 −4.89×10 -6 −4.74×10 -6 =2.67×10 -6 m3(2.67cm3)は粒子間及び容器内壁と各粒子間の空間である。したがって、この空間には、ガスが単なる圧縮により充填される。空の容器にメタンガス18.2385MPa(180気圧)をかけて充填されうるガス量である230倍という値を用いると、試料容器内の粒子間及び容器内壁と各粒子間の空間である2.67×10 -6 m 3 (2.67cm3 )の空間に、圧縮ガスとして充填されたガス量は2.67×10 -6 (2.67)×230=614×10 -6 m 3 (614cm3 )と計算される。
【0031】
したがって、放出ガスの総量3444×10 -6 m 3 (3444cm3 )から、圧縮によるガス分614×10 -6 m 3 (614cm3 )を差し引いた2830×10 -6 m 3 (2830cm3 )が、活性炭内部の細孔中に充填されていたガス量であり、試料A中の全細孔容量は上記のとおり4.74×10 -6 m 3 (4.74cm3 )であるので、活性炭の細孔中のガスは(2830×10 -6 )÷(4.74×10 -6 )=597(倍)もの高密度で充填されていたことになる。
【0032】
これは、−163℃の極低温において液化させたメタンがガス体になる際の体積比が600倍であることから考えると、活性炭の細孔中のメタンガスがほとんど液体に近い密度で充填されていることを示すものである。このように、本発明によれば、既存のボンベで対応できる例えば18.2385MPa(180気圧)程度の圧力をかけることにより、極端な低温を用いることなく、例えば24℃という常温において液体並みの高密度でメタンガスの充填ができる。
【0033】
《実施例2》
実施例1と同様の装置に、実施例1とは製法の異なる、平均細孔径(スリット幅として)が0.86nm、比表面積1420×10 3 m 2 /kg(1420m2/g)、全細孔容量0.67×10 -3 m 3 /kg(0.67cm3/g)、真密度1.9×10 3 kg/m 3 (1.9g/cm3 )の活性炭2.99×10 -3 kg(2.99g)(試料B)を充填し、実施例1と全く同様の操作により、メタンガスに18.2385MPa(180気圧)をかけた場合の充填量を3回測定した。その結果、得られたガス量は3137×10 -6 m 3 (3137cm3 )、3198×10 -6 m 3 (3198cm3 )、3013×10 -6 m 3 (3013cm3 )であった。この結果は、上記と同様の計算により、容器の容積基準で255倍、細孔容積基準で565倍もの高密度充填を示すものである。
【0034】
《実施例3》
実施例1と同様の装置に、実施例1、2とは異なる製法で得られた、平均細孔径(スリット幅として)が0.87nm、比表面積1720×10 2 m 3 /kg(1720m2/g)、全細孔容量0.75×10 -3 m 3 /kg(0.75cm3/g)、真密度1.9×10 3 kg/m 3 (1.9g/cm3 )の活性炭2.20×10 -3 kg(2.20g)(試料C)を充填し、実施例1と全く同様の操作により、メタンガスに18.2385MPa(180気圧)をかけた場合の充填量を3回測定した。その結果、得られたガス量は3075×10 -6 m 3 (3075cm3 )、3137×10 -6 m 3 (3137cm3 )、3026×10 -6 m 3 (3026cm3 )であった。この結果は、同様の計算により、容器の容積基準で250倍、細孔容積基準で560倍の高密度充填を示すものである。
【0035】
《実施例4》
実施例1と同様の装置に、実施例1、2、3とは異なる製法で得られた、平均細孔径(スリット幅として)が0.91nm、比表面積1480×10 3 m 2 /kg(1480m2/g)、全細孔容量0.75×10 -3 m 3 /kg(0.75cm3/g)、真密度1.9×10 3 kg/m3(1.9g/cm3)の活性炭5.01×10 -3 kg(5.01g)(試料D)を充填し、実施例1と全く同様の操作により、メタンガスに18.2385MPa(180気圧)をかけた場合の充填量を3回測定した。その結果、得られたガス量は3198×10 -6 m 3 (3198cm3 )、3080×10 -6 m 3 (3080cm3 )、3070×10 -6 m 3 (3070cm3 )であった。この結果は、同様の計算により、容器の容積基準で250倍、細孔容積基準で490倍の高密度充填を示すものである。
【0036】
《比較例1》
実施例1と同様の装置に、実施例1、2、3、4とは製法の異なる、平均細孔径(スリット幅として)が1.01nmとやや大きく、比表面積1950×10 3 m 2 /kg(1950m2/g)、全細孔容量1.02×10 -3 m 3 /kg(1.02cm3/g)、真密度1.9×10 3 kg/m 3 (1.9g/cm3 )の活性炭2.93×10 -3 kg(2.93g)(試料E)を充填し、実施例1と全く同様の操作により、メタンガスに18.2385MPa(180気圧)をかけた場合の充填量を3回測定した。その結果、得られたガス量は2435×10 -6 m 3 (2435cm3 )、2470×10 -6 m 3 (2470cm3 )、2463×10 -6 m 3 (2463cm3 )であった。この結果は、前記と同様の計算により、容器の容積基準で200倍となり、空の容器への圧縮によるガス充填量である230倍を下回るものであった。
【0037】
《比較例2》
実施例1と同様の装置に、実施例1、2、3、4、比較例1とは製法の異なる、平均細孔径(スリット幅として)が1.96nmとさらに大きく、比表面積1568×10 3 m 2 /kg(1568m2/g)、全細孔容量1.52×10 -3 m 3 /kg(1.52cm3/g)、真密度1.9×10 3 kg/m 3 (1.9g/cm3 )の活性炭4.01×10 -3 k g(4.01g)(試料F)を充填し、実施例1と全く同様の操作により、メタンガスに18.2385MPa(180気圧)をかけた場合の充填量を3回測定した。その結果、得られたガス量は2891×10 -6 m 3 (2891cm3 )、2895×10 -6 m 3 (2895cm3 )、2887×10 -6 m 3 (2887cm3 )であった。この結果は、前記と同様の計算により、容器の容積基準で235倍となり、空の容器への圧縮によるガス充填量である230倍と同等のものであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、細孔材料を、その細孔のうち細孔径0.90nm以下の細孔が容器充填時に容器の全容積中少なくとも5%以上となるように充填した容器内に大量のガスを貯蔵することができる。また、本発明によるガス貯蔵が細孔材料自体による貯蔵であることから、容器内において、細孔材料の細孔のうち細孔径0.90nm以下の細孔が占める体積比を大きくし、また容器内におけるボイド部分を可及的に減らすように工夫をすることにより、同一容積の容器中に更に大量のガスを貯蔵することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1の試料A〜Fを用いた場合の、容器容積あたりのメタンの貯蔵効率を示した図。
【図2】試料A〜Fの細孔径と細孔容積との関係を示した図。
【図3】図2のうち細孔径1.00nmまでの部分を拡大して示した図。
【図4】試料A〜Fの試料構成比率を示した図。
【図5】図4の試料構成比率中における、各試料における細孔容積あたりのメタン貯蔵効率を示した図。
【図6】細孔材料を充填した耐圧容器へガスを貯蔵する態様例を示した図。
【図7】細孔材料を充填した耐圧容器の態様例を断面図として示した図。
【図8】実施例で使用した実験用装置の構成を原理的に示した図。
【符号の説明】
V1〜V4 バルブ
Claims (4)
- メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、それらの2種以上の混合ガス、酸素、窒素または水素からなるガスの貯蔵方法であって、細孔材料を、その細孔のうち細孔径0.90nm以下の細孔が容器充填時に容器の全容積中少なくとも5%以上となるように、充填した容器内に、2.0265MPa(20気圧)以上の高圧でガスを導入することにより、同じ温度、圧力条件において、当該ガスの単なる高圧によるガス充填量と単なる細孔材料による吸着量との和に相当するガス充填量よりも大量のガスを容器内に充填することを特徴とするガスの貯蔵方法。
- 上記細孔材料が活性炭であることを特徴とする請求項1に記載のガスの貯蔵方法。
- 上記ガスがメタンを主成分とするガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスの貯蔵方法。
- 上記メタンを主成分とするガスが天然ガスまたは都市ガスであることを特徴とする請求項3に記載のガスの貯蔵方法。
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