JP3809820B2 - 自動販売機の商品表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶、瓶、ペットボトルなどの商品を庫内に保存して販売する自動販売機において、例えば、商品の冷温状態などを表示する自動販売機の商品表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動販売機の商品表示装置として、自動販売機に収納した商品の冷蔵・温蔵状態に合わせて商品に係る情報である冷温表示を行うものが知られている。この種の商品表示装置は、ディスプレイ台の内部に組み込まれた左右一対の巻取ドラムに帯状の冷温パターン表示体が巻きつけてある。冷温パターン表示体は、透光性のフィルムからなり、長手方向に冷温パターンが区分して表示してある。この冷温パターンは、ディスプレイ台の表示窓に臨むように配置してある。一対の巻取ドラムには、モータが連結してある。モータは、自動販売機の庫内の冷温を切り替える冷温販売モード設定スイッチからの販売モード指令(またはリモートコントローラからの販売モード指令)に基づいて駆動する。これにより、冷温パターン表示体による冷温の表示を冷温販売モードに合わせて自動的に切り替える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−103448号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の商品表示装置では、例えば、巻取ドラムをモータで駆動して自動で表示を切り替えるとき、モータの始動時の負荷が懸念される。一般にモータの始動負荷は大きいことは周知である。特に、自動販売機の冷蔵・温蔵状態をあらわす冷温表示を行う商品表示装置では、自動販売機の冷温販売モードの切り替えが一般的に季節の変わり目など約半年ごとに行われており、冷温表示の切り替えも同じく約半年ごとに行われる。このため、約半年の期間巻取ドラムに巻きつけたままの冷温パターン表示体が、その形態を維持するように癖がつくことになり、この癖がモータの始動時に負荷を生じさせる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品の情報をあらわすパターンを有した表示体を駆動手段に架け渡し、当該駆動手段をモータで駆動するとき、モータの始動時の負荷を軽減することができる自動販売機の商品表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機の商品表示装置は、自動販売機の庫内に収納した商品に係る情報をあらわす各パターンを有した帯体をなす表示体と、前記表示体を架け渡した形態としモータの駆動によって前記パターンを移動する態様で当該表示体を送る駆動手段とを有した自動販売機の商品表示装置であって、前記表示体と前記駆動手段とを互いに係合しつつ、当該係合状態において前記表示体の送り方向に沿う当該表示体の移動を許容する送り係合手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機の商品表示装置は、自動販売機の庫内に収納した商品に係る情報をあらわす各パターンを有した帯体をなす表示体と、前記表示体を架け渡した形態としモータの駆動によって前記パターンを移動する態様で当該表示体を送る駆動手段とを有した自動販売機の商品表示装置であって、前記駆動手段は前記モータの駆動で回動する駆動軸と、前記駆動軸に係合して当該駆動軸とともに回動することで前記表示体を送る駆動体とを有し、前記駆動軸と前記駆動体との係合状態において前記駆動体の回動方向に沿う当該駆動体の移動を許容する回動係合手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機の商品表示装置は、上記請求項1または2において、前記モータの正転駆動によって前記パターンを移動する態様で前記表示体を送り、前記パターンを移動した前記駆動手段の停止時に当該モータを逆転駆動することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の商品表示装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は本実施の形態における商品表示装置を備える自動販売機の斜視図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態における商品表示装置を備える自動販売機は、本体キャビネット1と外扉2とから主に構成してある。本体キャビネット1は、前面が開放した断熱筐体として形成してある。本体キャビネット1の開放部分は、断熱性の内扉3によって開閉可能としてある。また、図には明示しないが本体キャビネット1の庫内は、断熱性の仕切壁により左右に複数の商品収納室として区分してある。各商品収納室には、例えば、缶、瓶、ペットボトルなどの商品を収納した商品ラックが設けてある。また、各商品収納室の下部には、当該各商品収納室を冷却もしくは加熱して商品ラックに収納した商品を冷蔵・温蔵状態に保存する冷却/加熱ユニットが備えてある。
【0011】
外扉2は、本体キャビネット1の前面に開閉可能に取り付けてある。外扉2の上部域には、前面が透明板4で覆われたディスプレイ室5が形成してある。また、外扉2の後面には、ディスプレイ室5を開閉可能とする中扉6が形成してある。中扉6の前面であってディスプレイ室5の内側となる部位には、商品表示装置を構成するディスプレイ台7が取り付けてある。ディスプレイ台7は、本体キャビネット1の庫内に収納した商品に対応した複数(本実施の形態では12個)の商品見本8を左右に一列に並べて載置してある。ディスプレイ台7は、外扉2を中扉6と一体にして、本体キャビネット1に対して閉じた際に、自動販売機の前面から商品見本8とともに透明板4を介して透視できる。なお、図1に示すように、本実施の形態でのディスプレイ台7は、上下方向に複数段(本実施の形態では3段)設けてある。また、透明板4には、各ディスプレイ台7の下方となる位置に商品選択ボタンユニット9が設けてある。商品選択ボタンユニット9は、外扉2の前面に表出し、ディスプレイ台7にある各商品見本8に対応して左右に一列に並べて設けた商品選択ボタン9aを有している(図3参照)。なお、商品選択ボタンユニット9の下側のディスプレイ室5には、商品広告部10がある。その他外扉2の前面には、硬貨投入部11aの投入口、紙幣投入部11bの投入口、釣銭返却部11cの返却口、商品取出部11dの取出口などや、図示しないが金銭返却レバーおよびロック付ハンドルなど周知の構成が設けてある。
【0012】
図2(a)はディスプレイ台を示す平面図、図2(b)はディスプレイ台を示す正面図、図3は図2(b)のA−A線端面拡大図である。ディスプレイ台7は、前面部7a、上面部7bおよび後面部7cを有して下方が開放する断面略コ字形をなし、自動販売機の左右方向に延在して形成してある。このように、ディスプレイ台7は、下方が開放する横長の箱形に形成してある。
【0013】
図2(a)に示すように、ディスプレイ台7の上面部7bには、係止穴15が形成してある。係止穴15は、上面部7bの左右方向に複数(本実施の形態では12個)並設してあり、それぞれ商品見本8を立設した態様で挿通係止する。また、図2(b)に示すように、前面部7aには、各係止穴15の前方位置に対応するように配した複数(本実施の形態では12個)の透光穴16が設けてある。また、図3に示すように、後面部7cには、切り起こしにより形成した複数(本実施の形態では2個)の係止片17が設けてある。係止片17は、その先端が後面部7cの後側の下方に向けてあり、中扉6に設けた穴(図示せず)に挿通係止される。これにより、ディスプレイ台7が中扉6に取り付けられる。
【0014】
また、図3に示すように、前面部7aの下端には、前側に延設した水平部分および当該水平部分の前端を上向きにした折り曲げ部分からなり、ディスプレイ台7の左右方向に延在したガイド部40aが設けてある。また、後面部7cの下側には、後面部7cの前側に延設した水平部分および当該水平部分の前端を上向きにした折り曲げ部分からなり、ディスプレイ台7の左右方向に延在したガイド部40bが設けてある。
【0015】
また、図2および図3に示すように、前面部7a、上面部7bおよび後面部7cに囲まれたディスプレイ台7の箱内には、左右方向に沿って蛍光灯18(図中一点鎖線で示す)が設けてある。蛍光灯18は、ディスプレイ台7の箱内に固定した、左右一対の各ソケット(図示せず)に装着してある。
【0016】
ディスプレイ台7には、表示体19が設けてある。図4は表示体を示す斜視図である。図4に示すように、表示体19は、透光性フィルムからなる帯体を無端状にしてある。表示体19の外面には、その周方向に沿って自動販売機の商品収納室(図示せず)に収納した商品に係る情報として例えば冷蔵・温蔵状態をあらわすパターンが施してある。本実施の形態において、商品の冷蔵状態をあらわすパターンは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「つめた〜い」)の背景に寒色の背景色(例えば青色)が印刷してある。また、商品の温蔵状態をあらわすパターンは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「あったか〜い」)の背景に暖色の背景色(例えば赤色)が印刷してある。なお、本実施の形態では、冷温状態をあらわす複数のパターンと、温蔵状態をあらわす複数のパターンとが図4中二点鎖線で示す境目19cを境にして無端状とした帯体の周方向の略半周分ずつ施してある。
【0017】
また、図4に示すように、表示体19の帯状の下端縁には、周方向に沿って一定間隔をおいて穿孔した複数の穴部19aが設けてある。また、穴部19aの一部は、長穴として穿孔した検出用穴部19bをなしている。本実施の形態での検出用穴部19bは、隣接する2つの穴部19aを繋げて穿孔してなる。
【0018】
図2および図3に示すように、表示体19は、ディスプレイ台7の前面部7aの前側および後面部7cの前側を通るようにディスプレイ台7の左右端で折り返して配してある。表示体19は、前面部7aに設けたガイド部40aに、その下端が支持される。また、表示体19は、上面部7bの下面と後面部7cに設けたガイド部40bとの間に、その上端と下端とが支持される。そして、前面部7aの前側を通る略半周分の表示体19の各パターンは、前面部7aに設けた各透光穴16の位置に対応する。これにより、表示体19のパターンは、ディスプレイ台7の係止穴15に立設した各商品見本8に対応して、各商品見本8の商品の冷蔵・温蔵状態をあらわすことになる。この際、ディスプレイ台7の箱内にある蛍光灯18の光が透光穴16を介して透光性フィルムからなる表示体19を透過することでパターンの文字および背景色が明るく表示される。
【0019】
なお、上述したように、表示体19のパターンは、冷温状態をあらわすパターンと、温蔵状態をあらわすパターンとが無端状とした帯体の周方向の略半分ずつに施してある。このため、前面部7aの前側を通る略半周分の表示体19は、各商品見本8に対応する全て(12個)が冷蔵状態のパターンが位置する形態と、全て(12個)が温蔵状態のパターンが位置する形態と、前面部7aの前側に冷蔵状態のパターンと温蔵状態のパターンとの境目19cの1つが位置して一側が冷蔵状態のパターンで他側が温蔵状態のパターンとなる形態とを得ることができる。
【0020】
さらに、図3に示すように、ディスプレイ台7の前面部7aのガイド部40aには、表示部材45が挿通係止してある。表示部材45は、前面部7aの左右方向に沿って横長に形成してあり、前面部7aの前面にある表示体19のさらに前面を覆うようにして配置してある。この表示部材45は、透明板からなり、その面に商品見本8の商品に応じた金額表示が印刷してあり、表示体19のパターンを透過するとともに、そのパターンの例えば下位置に金額表示をあらわしている。
【0021】
ディスプレイ台7には、駆動手段20が設けてある。駆動手段20は、駆動部20Aと従動部20Bとからなり、これら駆動部20Aと従動部20Bとがディスプレイ台7の左右端にそれぞれ配してある。
【0022】
図5(a)は駆動部を示す平面図、図5(b)は駆動部を示す正面図、図5(c)は駆動部を示す左側面図である。駆動部20Aは、本実施の形態ではディスプレイ台7の左端に配してある(図2参照)。図5(a)〜(c)に示すように、駆動部20Aは、上下に分割形成したカバー21aおよびケース21bを基部としている。カバー21aは駆動部20Aの上部ボディをなし、ケース21bは駆動部20Aの下部ボディをなして、これらカバー21aおよびケース21bを一体とした形態でディスプレイ台7に固定してある。駆動部20Aは、上記カバー21aおよびケース21bに対して、主にモータ22と、駆動体としての駆動プーリ23と、支持プーリ24とを設けてなる。
【0023】
モータ22は、ケース21bに固定した基板25に対し、その出力軸22aを下方に向けて取り付けてある。また、基板25には、モータ22の出力軸22aと平行にした駆動軸26が回動可能に支持してある。また、モータ22の出力軸22aと駆動軸26とは、基板25に設けた減速歯車機構27(図5中一点鎖線で示す)を介して互いに連結してある。
【0024】
駆動プーリ23は、円柱状の胴部23aの中心に中心軸23bが一体に設けてある。中心軸23bの軸心には、係合穴23cが設けてある。係合穴23cは、駆動軸26に挿通され、かつ、駆動軸26に設けたDカット部26aに係合するように略D字形の穴部を有している。また、駆動プーリ23の中心軸23bの上端は、ケース21bに一体にしたカバー21a側に支持してある。すなわち、モータ22の駆動によって減速歯車機構27を介して駆動軸26が回動し駆動プーリ23が回動する。また、駆動プーリ23の胴部23aの下端縁には、周方向に沿って一定間隔をおいて突出した複数の突起部23dが設けてある。さらに、駆動プーリ23の中心軸23bの下端には、検出片23eが径外方向に延設してある。
【0025】
支持プーリ24は、駆動プーリ23と平行になるように円柱棒状の上端をカバー21aに、下端をケース21bに回動可能に支持してある。この支持プーリ24は、駆動プーリ23の胴部23aよりも細径をなし、モータ22の外側部分に設けてある。なお、本実施の形態では、支持プーリ24はモータ22の外側部の2箇所に並設してある。
【0026】
図6(a)は従動部を示す平面図、図6(b)は従動部を示す正面図、図6(c)は従動部を示す右側面図である。従動部20Bは、本実施の形態ではディスプレイ台7の右端に配してある(図2参照)。図6(a)〜(c)に示すように、従動部20Bは、ディスプレイ台7に固定した支持体28を基部としている。支持体28は、上下水平板28aと、各上下水平板28aを連結する垂直板28bとにより、正面視(図6(b)参照)で右側に開放する略コ字形をなすように形成してある。従動部20Bは、上記支持体28に対して主に従動プーリ29と、テンション機構30とを設けてなる。
【0027】
従動プーリ29は、円柱状の胴部29aの中心に中心軸29bが設けてある。胴部29aは中心軸29bに対して回動可能としてある。従動プーリ29は、本実施の形態では一対設けてある。各従動プーリ29は、それぞれ中心軸29bの上端を上水平板28a側に、下端を下水平板28a側に支持してある。上下水平板28aには、各中心軸29bの端部をそれぞれ挿通支持する長穴31が設けてある。各長穴31は、左右方向に各々平行に延在してあり、従動プーリ29を左右方向に移動可能にして支持している。また、上下水平板28aには、それぞれ支持板32が重ねて設けてある。各支持板32には、それぞれ各従動プーリ29の中心軸29bの上端および下端が取り付けてあり、各中心軸29bを平行にして支持してある。これにより、一対の従動プーリ29は、各支持板32によって互いに平行な関係が維持され、かつ、上下水平板28aの長穴31によって左右方向に移動可能とされる。
【0028】
テンション機構30は、上下水平板28aの右端縁を折り曲げ形成した立片28cと、各支持板32の左端縁を折り曲げ形成した立片32aとの間にそれぞれ架設した引張りコイルバネからなる。テンション機構30は、各従動プーリ29の中心軸29bの上端および下端を常に右方向に引張り付勢する。
【0029】
上記駆動手段20には、表示体19が架け渡して装着してある。図5に示すように、駆動部20A側には、表示体19の左端の折り返し部分が巻装してある。表示体19は、ディスプレイ台7の左側端において駆動プーリ23の胴部23aの外周面および各支持プーリ24の外周面に接触する態様で巻装してある。この際、表示体19の穴部19a(および検出用穴部19b)が、駆動プーリ23の突起部23dに対して係合する。
【0030】
また、図6に示すように、従動部20Bには、表示体19の右側の折り返し部分が巻装してある。表示体19は、ディスプレイ台7の右側端において各従動プーリ29の外周面に接触する態様で巻装してある。このように、駆動部20Aおよび従動部20Bに巻装した表示体19には、テンション機構30の引張り力が加わる。これにより、表示体19全体に弛みがなく、かつ、駆動部20A側において突起部23dと、穴部19a(および検出用穴部19b)との係合が適宜維持される。
【0031】
そして、モータ22の駆動に際し、駆動プーリ23の回動が表示体19に伝達されて、当該表示体19が駆動プーリ23の廻りに従って周回する。すなわち、表示体19のパターンが周回送り方向に移動し、商品の商品見本8に対応した表示体19のパターンが切り替えられることになる。
【0032】
上記のごとく、表示体19を駆動手段20に架け渡した形態において、表示体19および駆動プーリ23に関して送り係合手段が構成してある。図7は送り係合手段を示す図である。図7に示すように、送り係合手段は、表示体19の穴部19a(および検出用穴部19b)と駆動プーリ23の突起部23dとの係合状態において、穴部19a(および検出用穴部19b)が、突起部23dに対して表示体19の送り方向に大きく形成してある。本実施の形態では、突起部23dが略円錐形状をなして駆動プーリ23の胴部23aの放射方向に延設してあり、これに対して穴部19aが突起部23dの底面部分の円形よりも大なる円形にして穿孔してある。また、検出用穴部19bは、上記構成の隣接する2つの穴部19aを繋げた長穴として穿孔してある。
【0033】
このように、送り係合手段は、表示体19と駆動プーリ23との係合状態において表示体19が自身の送り方向に移動可能としてある。すなわち、送り係合手段は、表示体19の穴部19a(および検出用穴部19b)と駆動プーリ23の突起部23dとの係合状態において表示体19の送り方向に沿う当該表示体19の移動を許容している。このため、図7に示すように、穴部19a(および検出用穴部19b)と突起部23dとの互いの係合において、表示体19の送り方向に遊びが生じる。この遊びは、駆動手段20において表示体19を周回送りするためのモータ22の駆動(駆動プーリ23の回動)を逆転することによって得ることができる。なお、突起部23dの略円錐形状および穴部19aの円形などの形状は上記形態に限られない。例えば、突起部23dに係合する穴部19aが表示体19の送り方向に沿って長穴として形成してあるなど、穴部19a(および検出用穴部19b)が突起部23dに対して表示体19の送り方向に沿って大きく形成してあればよい。
【0034】
また、上述した送り係合手段に替え、表示体19を駆動手段20に架け渡した形態において、駆動プーリ23および駆動軸26に関して回動係合手段を構成してもよい。図8は回動係合手段を示す図である。図8に示すように、回動係合手段は、駆動プーリ23の係合穴23cと駆動軸26との係合状態において、駆動プーリ23が回動方向(表示体の送り方向)に移動できる態様に形成してある。具体的には、駆動プーリ23の係合穴23cと駆動軸26と係合部分に、駆動プーリ23の回動方向にガタ(遊び)を形成する。本実施の形態では、駆動プーリ23における係合穴23cの略D字形の直線部と、駆動軸26のDカット部26aの直線部との間に隙間Hがあり、その他の互いの円弧状の部分が摺接している。
【0035】
このように、駆動プーリ23と駆動軸26との係合状態において駆動プーリ23が自身の回動方向に移動(回動)可能としてある。すなわち、回動係合手段は、駆動プーリ23と駆動軸26との係合状態において駆動プーリ23の回動方向に沿う当該駆動プーリ23の移動(回動)を許容している。この許容された駆動プーリ23の回動方向に沿う移動(回動)は、駆動手段20において駆動プーリ23を回動するためのモータ22の駆動(駆動軸26の回動)を逆転することによって得ることができる。なお、駆動プーリ23の係合穴23cと駆動軸26の係合は、上記略D字形の穴部とDカット部26aとの係合に隙間Hを設けた上記形態に限られない。例えば、係合穴23cが円形穴の外周に凸条(あるいは凹溝)があって、駆動軸26が係合穴23cの円形穴に回転可能に挿通してその凸条(あるいは凹溝)に係合する凹溝(あるいは凸条)を有して、これら凸条と凹溝との間に駆動プーリ23が回動方向に移動(回動)可能となる隙間が設けてある構成でもよい。
【0036】
上述のごとく、駆動手段20によって周回する表示体19の各パターンの送り位置は、検出手段によって検出する。検出手段は、本実施の形態では、駆動部20Aに配置した基準位置検出部35と回転検出部36とからなる。
【0037】
図5に示すように、基準位置検出部35は、本実施の形態ではマイクロスイッチをなし、駆動部20Aのケース21bに設けてある。この基準位置検出部35は、そのアクチュエータ35aを表示体19の検出用穴部19bにのみ係合する。これにより、表示体19の周回送りの基準位置を検出する。
【0038】
また、回転検出部36は、本実施の形態ではマイクロスイッチをなし、駆動部20Aのケース21bに設けてある。この回転検出部36は、そのアクチュエータ36aを駆動プーリ23の検出片23eに係合する。これにより、回転検出部36は、駆動プーリ23の1回転を検出する。なお、本実施の形態では、駆動プーリ23の回転数が表示体19の1パターンを移動させる送り量に対応してある。例えば、駆動プーリ23の1回転が表示体19の1パターンを移動させる送り量に対応してあれば、回転検出部36が駆動プーリ23の1回転を検出すれば表示体19が1パターン分の送り量移動したことになる。
【0039】
また、基準位置検出部35が表示体19の基準位置を検出した基準位置信号、および回転検出部36が駆動プーリ23の1回転を検出した回転信号は、後述の制御手段50に出力している。
【0040】
ところで、上述した商品表示装置は、自動販売機の各商品ラックを冷蔵・温蔵状態に切り替えたとき、当該商品の商品見本に対応する冷温パターンを自動的に切り替えるよう制御している。
【0041】
図9の制御手段を示すブロック図に示すように、商品表示装置の制御手段50には、自動販売機の庫内における各商品収納室に収納された商品の冷蔵状態もしくは温蔵状態を設定する冷温販売モードの設定信号が入力される。この設定信号は、外扉2の後面に設けた冷温販売モード設定スイッチ(図示せず)の切り替えや、自動販売機の外部のリモートコントローラ(図示せず)からの発信により入力できる。自動販売機の庫内における各商品収納室の冷却/加熱ユニットは、設定信号により制御され、設定信号が「COLD」の場合には冷却ユニットが作動し、設定信号が「HOT」の場合には加熱ユニットが作動する。また、制御手段50には、駆動手段20によって周回送りされた表示体19の基準位置を検出する基準位置検出部35からの基準位置信号が入力される。さらに、制御手段50には、表示体19の1パターンの移動に起因する駆動プーリ23の1回転を検出する回転検出部36からの回転信号が入力される。
【0042】
次に、図10の制御手段の動作を示すフローチャートを用いて制御手段50の制御手順を説明するとともに、表示体19のパターンの切り替えについて説明する。
【0043】
ステップS1において設定信号が入力されると、ステップS2〜ステップS4に進む。ステップS2では設定信号に基づいた商品の冷蔵状態もしくは温蔵状態を判別する。ステップS3ではディスプレイ台7に載置した商品見本8の商品の冷温状態を表示するため、設定信号に対応して表示体19の基準位置からの送り量(ここでは駆動プーリ23の回転数)を演算する。ステップS4ではモータ22を駆動して駆動プーリ23を介して表示体19を周回送りする。この表示体19の周回により、ステップS5において基準位置検出部35からの基準位置信号を検出すると、ステップS6に進んでモータ22を停止する。次いで、ステップS7では再びモータ22を駆動して駆動プーリ23を介して表示体19を周回する。この表示体19の周回により、ステップS8においてステップS3で演算した表示体19の送り量に相当する回転検出部36からの回転信号を検出すると、ステップS9に進んでモータ22を停止する。これにより、冷温販売モードの設定信号により設定した商品の冷蔵状態もしくは温蔵状態に対応してディスプレイ台7の商品見本8の冷温状態が表示体19のパターンによって表示されることになる。
【0044】
このように、駆動手段20で表示体19を送って当該表示体19のパターンを移動する際、上述した送り係合手段あるいは回動係合手段が作用する。図7に示すように、送り係合手段は、表示体19と駆動プーリ23との係合状態で表示体19が送り方向に移動できる遊びを設けてある。このため、駆動手段20のモータ22を駆動したとき、当該モータ22の駆動が伝達した駆動プーリ23が回動するが、表示体19を送り始める前に上記遊び分だけ駆動プーリ23のみが回動する。したがって、始動時のモータ22が助走して駆動に勢いが付いた後に表示体19の送りが行われるので、当該モータ22の始動負荷を軽減することが可能となる。
【0045】
また、図8に示すように、回動係合手段は、駆動プーリ23と駆動軸26との係合状態で駆動プーリ23が回動方向(表示体の送り方向)に移動できる隙間Hによる遊び(ガタ)を設けてある。このため、駆動手段20のモータ22を駆動したとき、当該モータ22の駆動が伝達した駆動軸26が回動するが、駆動プーリ23が回転して表示体19を送りはじめる前に上記遊び(ガタ)分だけ駆動軸26のみが回動する。したがって、始動時のモータ22が助走して駆動に勢いが付いた後に駆動プーリ23を介して表示体19の送りが行われるので、当該モータ22の始動負荷を軽減することが可能となる。
【0046】
ところで、本実施の形態では、送り係合手段あるいは回動係合手段による上記遊びを確実に得るため、モータ22の正転駆動によってパターンを移動する態様で表示体19を送り、パターンを移動した駆動手段20の停止時に当該モータ22を逆転駆動するようにしている。
【0047】
このモータ22の正逆転駆動は、上記制御手段50によって行う。例えば、無端状とした表示体19の各パターンを移動するため、当該表示体19の送りを一定方向としてモータ22を正転駆動する。この場合、各パターンの移動を終えて駆動手段20(駆動プーリ23)を停止するとき、モータ22を上記遊び分だけ逆転駆動する。制御手段50では、モータ22を停止させるブレーキ制御としてモータ22の逆転駆動を行う。
【0048】
また、各パターンの移動を終えて駆動手段20(駆動プーリ23)を停止するとき、表示体19の送りを予め1パターン余分に移動させ、当該余分の1パターンを戻すようにモータ22を逆転駆動してもよい。制御手段50では、表示体19の1パターンの移動を回転検出部36からの回転信号によって得ることにより、余分の1パターン分を戻す逆転駆動を行う。
【0049】
このように、モータ22を正逆転駆動することにより、送り係合手段および回動係合手段による遊びを確実に得ることが可能になる。
【0050】
なお、送り係合手段および回動係合手段により遊びを形成する実施の形態として、テンション機構を利用することもできる。この場合、テンション機構は前述したテンション機構30、すなわち、図6に示すそれぞれの従動プーリ29を右方向に引張る構成のテンション機構に替えて、表示体19をその周回方向に引張るように一方の従動プーリ29のみを付勢するように構成されたテンション機構を用いる。これにより、例えば送り係合手段の場合、駆動手段20(駆動プーリ23)を停止した際に、表示体19がテンション機構により周回方向に引張られているので、表示体19はその穴部19aの周回方向端部が駆動プーリ23の突起部23dに当接するまでの周回方向に周回して停止する。このようにして、突起部23dと穴部19aとの間には周回方向に遊びが形成される。
【0051】
図11はテンション機構によって遊びを形成する実施の形態を示す平面図である。図11において、表示体19の穴部19aと、駆動プーリ23の突起部23dとは模擬的に示してある。そして、表示体19の周回方向を矢印Aとすると、テンション機構は図において上側の従動プーリ29を右方向に引張るように付勢する。これにより、駆動プーリ23が停止した際、表示体19は直ちに停止することなく穴部19aの後端が突起部23dに当接するまで周回してから停止する。このため、送り係合手段には周回方向の遊びが形成される。
【0052】
なお、上述した実施の形態では、パターンを有した帯体を無端状とした表示体19を駆動手段20に架け渡した構成を例としているが、無端状でない表示体19を駆動手段20に架け渡して送る構成であっても上記送り係合手段および回動係合手段による効果を同様に得ることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る自動販売機の商品表示装置によれば、送り係合手段によって表示体と駆動手段との係合状態で表示体の送り方向に当該表示体が移動できる遊びが生じる。このため、駆動手段のモータを駆動したとき、当該モータの駆動が伝達した駆動プーリが回動するが、表示体を送り始める前に上記遊び分だけ駆動プーリのみが回動することになる。したがって、始動時のモータが助走して駆動に勢いが付いた後に表示体の送りが行われるので、当該モータの始動負荷を軽減することができる。
【0054】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機の商品表示装置によれば、回動係合手段によって、駆動軸と駆動体との係合状態で駆動体の回動方向に当該駆動体が移動できる遊びが生じる。このため、駆動手段のモータを駆動したとき、当該モータの駆動が伝達した駆動軸が回動するが、駆動プーリが回転して表示体を送りはじめる前に上記遊び分だけ駆動軸のみが回動することになる。したがって、始動時のモータが助走して駆動に勢いが付いた後に駆動プーリを介して表示体の送りが行われるので、当該モータの始動負荷を軽減することができる。
【0055】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機の商品表示装置によれば、モータの正転駆動によって表示体のパターンを移動する態様で表示体を送り、パターンを移動した駆動手段の停止時にモータを逆転駆動する。このため、送り係合手段あるいは回動係合手段においてモータが助走する遊びを確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における商品表示装置を備える自動販売機の斜視図である。
【図2】(a)はディスプレイ台を示す平面図、(b)はディスプレイ台を示す正面図である。
【図3】図2(b)のA−A線端面拡大図である。
【図4】表示体を示す斜視図である。
【図5】(a)は駆動部を示す平面図、(b)は駆動部を示す正面図、(c)は駆動部を示す左側面図である。
【図6】(a)は従動部を示す平面図、(b)は従動部を示す正面図、(c)は従動部を示す右側面図である。
【図7】送り係合手段を示す図である。
【図8】回動係合手段を示す図である。
【図9】制御手段を示すブロック図である。
【図10】制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図11】テンション機構によって遊びを形成する実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
19 表示体
19a 穴部
19b 検出用穴部
19c 境目
20 駆動手段
20A 駆動部
20B 従動部
21a カバー
21b ケース
22 モータ
22a 出力軸
23 駆動プーリ(駆動体)
23a 胴部
23b 中心軸
23c 係合穴
23d 突起部
23e 検出片
24 支持プーリ
25 基板
26 駆動軸
26a Dカット部
27 減速歯車機構
28 支持体
28a 上水平板、下水平板
28b 垂直板
28c 立片
29 従動プーリ
29a 胴部
29b 中心軸
30 テンション機構
31 長穴
32 支持板
32a 立片
35 基準位置検出部
35a アクチュエータ
36 回転検出部
36a アクチュエータ
40a、40b ガイド部
50 制御手段
H 隙間

Claims (3)

  1. 自動販売機の庫内に収納した商品に係る情報をあらわす各パターンを有した帯体をなす表示体と、前記表示体を架け渡した形態としモータの駆動によって前記パターンを移動する態様で当該表示体を送る駆動手段とを有した自動販売機の商品表示装置であって、
    前記表示体と前記駆動手段とを互いに係合しつつ、当該係合状態において前記表示体の送り方向に沿う当該表示体の移動を許容する送り係合手段を備えたことを特徴とする自動販売機の商品表示装置。
  2. 自動販売機の庫内に収納した商品に係る情報をあらわす各パターンを有した帯体をなす表示体と、前記表示体を架け渡した形態としモータの駆動によって前記パターンを移動する態様で当該表示体を送る駆動手段とを有した自動販売機の商品表示装置であって、
    前記駆動手段は前記モータの駆動で回動する駆動軸と、前記駆動軸に係合して当該駆動軸とともに回動することで前記表示体を送る駆動体とを有し、
    前記駆動軸と前記駆動体との係合状態において前記駆動体の回動方向に沿う当該駆動体の移動を許容する回動係合手段を備えたことを特徴とする自動販売機の商品表示装置。
  3. 前記モータの正転駆動によって前記パターンを移動する態様で前記表示体を送り、前記パターンを移動した前記駆動手段の停止時に当該モータを逆転駆動することを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機の商品表示装置。
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