JP3809738B2 - エンジンの冷却装置の異常診断装置 - Google Patents

エンジンの冷却装置の異常診断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの冷却装置の異常診断装置に関するものであって、とくに冷却水温度に応じて開閉してエンジンとラジエータとの間での冷却水の行き来を規制するサーモスタット弁の開故障を検出するための異常診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、水冷式エンジンにはこれを適温に保つために、エンジンのウォータジャケット内の冷却水を第1通路を介してラジエータに送り、該ラジエータで冷却された冷却水を第2通路を介してウォータジャケットに戻す冷却装置が設けられている。ここで、エンジンを適温に保つには、冷却水温度は、おおむね80°C前後であるのが好ましい。なお、冷却水温度が過度に上昇したときにはエンジンが正常に作動しないおそれがあるので、冷却水温度の異常上昇時には、エンジンを強制的に停止させるようにした冷却装置が提案されている(特開平8−319831号公報参照)。
【0003】
かくて、一般にエンジンの冷却装置には、冷却水温度を適温に保つために、第1通路内の冷却水を第2通路にバイパスさせるバイパス通路と、冷却水温度に応じて開閉してウォータジャケットとラジエータとの間での冷却水の行き来を規制するサーモスタット弁とが設けられている。このサーモスタット弁は、基本的には、その周囲の冷却水温度が開弁温度設定値(例えば、82°C)よりも低いときには閉じ、このとき第1通路内の冷却水は、ラジエータを通らず、全面的にバイパス通路を介して第2通路に流れ、冷却水温度は速やかに上昇する。他方、冷却水温度が開弁温度設定値以上となったときにはサーモスタット弁が開き、このとき第1通路内の冷却水の一部は、ラジエータを通って第2通路に流れ、冷却水は適度に冷却されて適温に保たれる。なお、普通のサーモスタット弁は、開弁温度設定値を境に一挙に開閉するわけではなく、これより低い温度から徐々に開き始める。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるサーモスタット弁は、ときには開きぱなしになるといった故障、いわゆる開故障を起こすことがある。そして、サーモスタット弁が開故障を起こした場合は、エンジン始動後に冷却水温度がなかなか上昇しない。このため、エンジンの運転初期には排気ガス温度が十分には高まらず、排気ガス浄化用触媒が十分には機能せず、エミッションが悪化するといった問題が生じる。また、エンジンの各種制御機器は、一般に冷却水温度が所定の設定値まで上昇したときに制御を開始するようになっているが、サーモスタット弁が開故障を起こすと、エンジン始動後においてこれらの制御の開始タイミングが遅れるといった問題が生じる。
【0005】
そこで、サーモスタット弁の開故障を容易にかつ確実に検出することができる手段が求められている。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、簡素な構造でもって、エンジンの冷却装置のサーモスタット弁の異常、とくに開故障を容易にかつ確実に検出することができる手段を提供することを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、(a)冷却水温度に応じて開閉してエンジンとラジエータとの間での冷却水の行き来を規制するサーモスタット弁が設けられているエンジンの冷却装置の異常診断装置において、(b)エンジン及び該エンジンを搭載した車両の運転状態に基づいて、エンジンの冷却水温度を推定する冷却水温度推定手段と、()実際の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段と、()冷却水温度推定手段によって推定された冷却水温度推定値と、冷却水温度検出手段によって検出された冷却水温度とに基づいて、サーモスタット弁の異常の有無を検出する異常検出手段とが設けられ、(e)異常検出手段が、冷却水温度推定値と実際の冷却水温度との差の積算値に基づいてサーモスタット弁の異常の有無を検出するようになっていることを特徴とするものである。なお、サーモスタット弁は、エンジンからラジエータへの冷却水通路、あるいはラジエータからエンジンへの冷却水通路のいずれに配置されていてもよい。
【0008】
ここで、冷却水温度を推定する上で考慮するのが好ましい運転状態としては、例えば、エンジン始動時の冷却水温度、エンジン回転数、車速、吸気温、外気温、点火リタード量、燃料供給停止(フューエルカット)の有無ないしは延継続時間、空燃比のエンリッチ化の有無、ラジエータ冷却用ファンの作動の有無、エアコンヒータの作動の有無、希薄燃焼(リーンバーン)の有無ないしは延継続時間などがあげられる。
【0009】
冷却水温度推定値は、例えば、発熱量推定値から放熱量推定値を減算して得られる熱量が、1次遅れで冷却水に吸収されるものとして、普通の熱収支計算により算出することができる。なお、放熱量推定値は、外気温を考慮して、ないしは外気温に基づいて推定するのが好ましい。
また、異常検出手段は、冷却水温度推定値と実際の冷却水温度の差が基準値より大きいときに、サーモスタット弁が異常であると判定するようになっているのが好ましい。
【0010】
なお、サーモスタット弁の異常診断実施中(冷却水温度推定中)に冷却水温度が下降して、所定水温まで低下したときには、該冷却水温度の推定を最初からやり直すのが好ましい。
【0011】
かくして、この異常診断装置によれば、冷却水温度推定値と実際の冷却水温度とに基づいて、サーモスタット弁の異常、とくに開故障を容易かつ確実に検出することができる。また、一般にエンジンにはもともと、冷却水温度検出手段に相当する水温センサが設けられているので、実際にこの異常診断装置を設ける上においては、格別の冷却水温度検出手段を設ける必要はない。また、一般にエンジンには、マイクロコンピュータを備えたエンジンコントロールユニットが設けられているので、このエンジンコントロールユニットを冷却水温度推定手段及び異常検出手段として利用すれば、冷却水温度推定手段あるいは異常検出手段として格別なハードウエアを設ける必要はなく、既存のエンジンコントロールユニットに冷却水温度推定用及び異常診断用のソフトウエア(プログラム)を組み込むだけですむ。したがって、本発明にかかるこの異常診断装置は、極めて低コストで設けることができる。
【0012】
上記異常診断装置においては、冷却水温度推定手段が少なくとも車速に基づいて冷却水温度を推定し、かつ異常検出手段が、正常なサーモスタット弁が閉弁状態となる冷却水温度領域内でサーモスタット弁の異常の有無を検出するようになっているのが好ましい。この場合、冷却水温度推定手段が、サーモスタット弁の閉弁時における冷却水の漏れ量を考慮して冷却水温度を推定するようになっているのがさらに好ましい。このようにすれば、エンジン高回転時等において、本来は閉弁状態となるべきときにサーモスタット弁に冷却水漏れが生じた場合でも、冷却水温度を正確に推定することができる。なお、このようなサーモスタット弁の冷却水漏れは、該サーモスタット弁がラジエータからエンジンへの冷却水通路に配置された場合に顕著となる。
【0013】
上記異常診断装置においては、異常検出手段が、エンジン始動後において冷却水温度の推定精度を低下させる所定の状態が発生するまでに、サーモスタット弁の異常の有無の検出を終了するようになっているのが好ましい。ここで、冷却水温度の推定精度を低下させる状態としては、例えば、冷却水温度推定手段によって推定される冷却水温度推定値がサーモスタット弁開弁温度に到達すること、エンジンの燃料供給停止(フューエルカット)の延継続時間が所定値を超えること、あるいはエンジンの希薄燃焼(リーンバーン)の延継続時間が所定値を超えることなどがあげられる。なお、エンジンが冷機状態で始動されたときには、燃料供給停止又は希薄燃焼が抑制されるようになっているのが好ましい。
【0014】
冷却水温度推定値がサーモスタット弁開弁温度に到達する前にサーモスタット弁の異常の有無の検出を終了させるのが好ましいのは、サーモスタット弁が開いている状態では冷却水のもつ熱量が大量にラジエータから放熱され、このラジエータでの放熱量を正確に推定することが困難だからである。なお、現実のサーモスタット弁では、開弁温度設定値(例えば、82°C)を境にして一挙に開閉されるわけではなく、該開弁温度設定値より低温状態から徐々に開き始める。したがって、上記のサーモスタット弁の開弁温度は、サーモスタット弁が所定の開度(例えば、50%)となる温度としてもよい。
【0015】
また、燃料供給停止あるいは希薄燃焼の延継続時間が所定値を超える前にサーモスタット弁の異常の有無の検出を終了させるのが好ましいのは、燃料供給停止あるいは希薄燃焼が頻繁に行われた状態では、発熱量が比較的小さいので該発熱量を正確に推定することが困難だからである。したがって、エンジンが冷機状態で始動される場合は、燃料供給停止又は希薄燃焼を抑制することにより、冷却水温度の推定精度を高めることができる。
なお、冷機状態でのエンジン始動後において、燃料供給停止制御あるいは希薄燃焼制御が実行される前に、サーモスタット弁の異常の有無の検出を終了させるようにしてもよい。
【0016】
上記異常診断装置においては、異常検出手段が、外気温度が低いときにサーモスタット弁の異常の有無を検出するようになっているのが好ましい。このようにすれば、サーモスタット弁の異常の有無の判定精度が高められる。
【0017】
上記異常診断装置においては、異常検出手段が、エンジン始動後所定時間内にサーモスタット弁の異常の有無を検出するようになっているのが好ましい。このようにすれば、ブロア(電動ファン)の作動等に伴う一時的な実冷却水温度の低下に起因して誤診断が生じるのが防止される。
【0018】
このエンジン始動後所定時間は、エンジン始動時における実際の冷却水温度に応じて変更されるようになっているのが好ましい。また、異常検出手段が所定の異常判定値に基づいてサーモスタット弁の異常の有無を判定するようになっている場合は、異常判定値がエンジン始動時における実際の冷却水温度に応じて変更されるようになっているのが好ましい。このようにすれば、エンジン始動時の冷却水温度の違いに伴う実冷却水温度の上昇勾配の違いに起因して誤診断が生じるのが防止される。
【0019】
上記異常診断装置において、冷却水温度推定手段がエンジンから冷却水への放熱比率を含む水温推定演算式に基づいて冷却水温度を推定するようになっている場合は、放熱比率がエンジンの点火時期に応じて変更されるようになっているのが好ましい。このようにすれば、点火時期が遅角されることに伴う冷却水への放熱量の違いに起因して誤診断が生じるのが防止される。
【0020】
なお、上記異常診断装置においては、外気温度がエンジン始動時における実際の冷却水温度よりも低いときには、異常検出手段によるサーモスタット弁の異常の有無の検出が禁止され、又は検出結果が実質的に無効とされるようになっているのが好ましい。このようにすれば、半暖機時等において、冷却水温度と外気温度とが異なることに伴う冷却水の推定温度の推定誤差に起因して誤診断が生じるのが防止される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施の形態を具体的に説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を説明する。
図1に示すように、自動車用の水冷式エンジンの冷却装置1においては、エンジン運転時には冷却水が、順に、シリンダブロック2のウォータジャケット(図示せず)と、該シリンダブロック2の上側に配置されたシリンダヘッド3のウォータジャケット(図示せず)とを流通した後、第1通路4に排出されるようになっている。かくして、エンジンは冷却水によって適度に冷却されて適温に保持される一方、冷却水はエンジンによって加熱されて昇温する。なお、図1中のシリンダブロック2及びシリンダヘッド3内の各矢印は、冷却水の流れる方向を大まかに示している。
【0022】
そして、エンジンが暖機状態(冷却水温度が適温まで上昇している普通の運転状態)にあるときには、第1通路4に排出された冷却水の一部は、矢印X1、X2で示すように、ラジエータ5内を通り抜けて冷却された後、第2通路6に排出され、この後ウォータポンプ7を経由してシリンダブロック2のウォータジャケットに戻される。ここで、第1通路4は比較的高い位置に配置され、ラジエータ上端部付近でラジエータ5に接続されている。他方、第2通路6は比較的低い位置に配置され、ラジエータ下端部付近でラジエータ5に接続されている。
【0023】
ここで、ラジエータ5(ひいてはラジエータ内の冷却水)は、走行風あるいは電動ファン8による強制通風により冷却されるようになっている。また、第1通路4内の冷却水の残部は、矢印X3で示すように、ラジエータ5を通らず、第1通路4と第2通路6とを連通させるバイパス通路9を介して、直接第2通路6に流れる。
【0024】
また、第2通路6の、バイパス通路9との接続部より若干ラジエータ寄りの部位には、周囲の冷却水温度に応じて開閉するサーモスタット弁10(いわゆる入口サーモ)が配置されている。なお、サーモスタット弁10の具体的な構造及び機能は後記のとおりである。そして、第1通路4のバイパス通路9との接続部よりエンジン側の部位(エンジン近傍)には、冷却水温度thw(エンジン水温)を検出する水温センサ11(冷却水温度検出手段)が設けられている。
【0025】
そして、各種エンジン制御(例えば、燃料噴射制御、空燃比制御等)を行うほか、冷却水温度を推定するとともにサーモスタット弁10の異常とくに開故障の有無を検出する、マイクロコンピュータを備えたコントロールユニット12(冷却水温度検出手段、異常検出手段)が設けられている。
【0026】
このコントロールユニット12は、後記のとおり、水温センサ11によって検出される冷却水温度thw、吸気温センサ(図示せず)によって検出される吸気温度thaa、外気温センサ(図示せず)によって検出される外気温度tho、車速センサ(図示せず)によって検出される車速V、回転数センサ(図示せず)によって検出されるエンジン回転数Ne、スロットルセンサ(図示せず)によって検出されるスロットル開度TVO、空燃比センサ(図示せず)によって検出される空燃比Kaf(A/F)、エアフローメータ(図示せず)によって検出される吸入空気量g等に基づいて、各種エンジン制御と、冷却水温度の推定と、サーモスタット弁10の異常ないしは故障(例えば、開弁故障)の有無の検出とを行うようになっている。
【0027】
なお、この実施の形態1では前記のとおり、サーモスタット弁10が第2通路6に配置されているが、これを第1通路4に配置してもよい。この場合は、図1中に破線で示すように、サーモスタット弁10’(いわゆる出口サーモ)を、第1通路4の、バイパス通路9との接続部より若干ラジエータ寄りの部位に配置することになる。
【0028】
以下、図2(a)、(b)を参照しつつサーモスタット弁10の具体的な構造を説明する。ここで、図2(a)は閉弁状態にあるサーモスタット弁10を示し、図2(b)は開弁状態にあるサーモスタット弁10を示している。なお、図2(a)、(b)において、H1はラジエータ側であり、H2はエンジン側である。図2(a)、(b)に示すように、サーモスタット弁10には、第2通路6に固定されたケース15と、該ケース15に固定されたピストン16と、第2通路軸線方向すなわちY1、Y2方向に移動可能な可動体17とが設けられている。この可動体17は、ワックスケース18と、該ワックスケース18内に封入された合成ゴムスリーブ19及びワックス20と、ワックスケース18の外周部に固定された弁部材22とで構成されている。ここで、ピストン16のH2側の部分は、ワックスケース18内に挿入されて合成ゴムスリーブ19内に差し込まれている。また、可動体17は、ばね21によって、常時Y2方向に付勢されている。
【0029】
かくして、このサーモスタット弁10において、基本的には、周囲の冷却水温度が開弁温度設定値(例えば、82°C)よりも低いときには、図2(a)にその状態を示すように、可動体17は、ばね21によってY2方向に付勢されてH1側に位置し、弁部材22とケース15とが当接する。このとき、サーモスタット弁10は閉弁状態となり、第2通路6は閉止され、冷却水の流れは止められる。なお、この状態では、ワックス20は固体の状態にある。
【0030】
他方、周囲の冷却水温度が開弁温度設定値以上となったときには、図2(b)にその状態を示すように、ワックス20は昇温・融解して液体となり膨張する。その結果、液状のワックス20が合成ゴムスリーブ19を圧縮し、その結果ピストン16がワックスケース18(合成ゴムスリーブ19)から押し出される。しかしながら、ピストン16はケース15ひいては第2通路6に固定されているので、可動体17がばね21の付勢力に抗してY1方向に移動し、その結果弁部材22とケース15とが離間する。このとき、サーモスタット弁10が開弁状態となり、第2通路6内で、冷却水がY1方向に流れる。図2(b)中において、両矢印は冷却水が流れる経路を示している。なお、前記のとおり、サーモスタット弁10は、開弁温度設定値を境にして一挙に開くわけではなく、該開弁温度設定値より低温状態から徐々に開き始める。
【0031】
このサーモスタット弁10においては、エンジン高回転時には、ウォータポンプ7の吐出圧が高まり、この吐出圧がサーモスタット弁10の弁部材22を開弁方向に押圧する。このため、冷却水温度がサーモスタット弁開弁温度より低い場合でも、弁部材22が開き、第1通路4内の冷却水の一部はラジエータ5を通って第2通路6に流入する。したがって、エンジン高回転時には、冷却水温度を推定する上においてかかるサーモスタット弁10の冷却水漏れを考慮する必要がある。
【0032】
以下、図3に示すフローチャートを参照しつつコントロールユニット12によるエンジン制御を説明するが、一般的なエンジン制御はよく知られており、またかかる一般的なエンジン制御は本願発明の要旨とするところでもないので、その詳しい説明は省略し、ここでは本願発明の要旨に関連する燃料供給停止制御(フューエルカット制御)と空燃比制御(希薄燃焼制御(リーンバーン制御)を含む)とについてのみ説明する。
【0033】
このエンジン制御は、所定のクランク角毎に実行される。そして、このエンジン制御においては、減速時等においてエンジン出力を必要としない運転状態では燃料供給(燃料噴射)を停止して燃費性能を高めるようにしている。また、運転状態に応じて空燃比を変え、とくに低出力領域では空燃比を20以上にして希薄燃焼(リーンバーン)を行い、燃費性能を高めるとともに、エミッション性能を向上させるようにしている。なお、冷機状態でエンジンを始動させた場合は、後で説明するサーモスタット弁10の異常診断の精度を高めるために、燃料供給停止及び希薄燃焼を抑制するのが好ましい。
【0034】
具体的には、まずステップS1で、エンジン回転数Ne、吸気充填量Ce、スロットル開度TVO等の制御情報が入力(検出)される。続いて、ステップS2で、スロットル開度TVOが全閉であるか否かが判定され、全閉であれば(YES)、さらにステップS3で、エンジン回転数Neが、燃料供給停止を行う上での下限回転数Ne1以上であり、かつ上限回転数Ne2以下であるか否かが判定される。
【0035】
そして、ステップS3で、Ne1≦Ne≦Ne2であると判定された場合(YES)、すなわちエンジンが燃料供給停止を支障なく行うことができる運転状態にある場合は、ステップS4で燃料供給が停止される(F/C制御)。続いて、ステップS5で、燃料供給停止の延継続時間をカウントするためのF/CカウンタTF/Cが1だけインクリメントされる。このF/CカウンタTF/Cは、後記のサーモスタット弁10の異常診断ルーチン(図5参照)で用いられる。
【0036】
他方、前記のステップS2で、スロットル開度TVOが全閉でないと判定された場合は(NO)、ステップS6で、例えば図7に示すようなマップを用いて、エンジン回転数Neと吸気充填量Ceとに応じて目標空燃比が設定される(A/Fゾーン判定)。図7に示すように、目標空燃比は、エンジン回転数Neと吸気充填量Ceとに応じて設定された各空燃比領域R1〜Rn毎に好ましく設定されているが、低出力領域では20以上(A/F≧20)となっている。続いて、ステップS7で、空燃比がステップS6で設定された目標空燃比となるよう空燃比制御(フィードバック制御)が行われる。
【0037】
次に、ステップS8で空燃比(A/F)が20以上であるか否か、すなわち希薄燃焼中であるか否かが判定される。ここで、A/F≧20であれば(YES)、ステップS9で希薄燃焼の延継続時間をカウントするためのL/BカウンタTL/Bが1だけインクリメントされる。このL/BカウンタTL/Bは、後記のサーモスタット弁10の異常診断ルーチン(図5参照)で用いられる。なお、A/F<20であれば(NO)、ステップS9をスキップする。
【0038】
以下、図4を参照しつつコントロールユニット12による冷却水温度推定ルーチンを説明する。この冷却水温度推定ルーチンでは、ステップT1〜ステップT11が順に(シ−ケンシャルに)実行される。
ステップT1では、例えば図8に示すような特性でもって、始動時水温ths(エンジン始動時における冷却水温度)に応じて基本判定時間TBASEが設定される。ステップT2では、エンジンないしは車両の運転状態に応じて基本判定時間TBASEを補正するための判定時間補正値Kが設定され、続いてステップT3で、基本判定時間TBASEと判定時間補正値Kとを加算することにより、判定時間Tmが演算される(Tm=TBASE+K)。この判定時間Tmは、後記のサーモスタット弁10の異常診断ルーチン(図5参照)で用いられ、エンジン始動後の経過時間がこの判定時間Tmを超え、かつ後記の吸入空気量積算値qsが所定値を超えているときに、サーモスタット弁10の開故障の有無の判定を行うようにしている。
【0039】
判定時間補正値Kは、例えば、それぞれ図9(a)〜(h)に示すような特性でもって車速と、吸気温と、点火リタード量と、燃料供給停止(フューエルカット)の有無と、濃厚燃焼(エンリッチ燃焼)の有無と、電動ファン8の作動の有無と、エアコンヒータの作動の有無と、空燃比が20以上であるか否かとに応じて設定される各補正値k1〜k8を加算して設定される(K=k1+k2+……k7+k8)。
【0040】
ステップT4では、例えば図10に示すような特性でもって、始動時水温thsに応じて吸気量積算基準値QBが設定される。ステップT5では、吸気量積算基準値QBにエンジンないしは車両の運転状態に応じて設定される吸気量積算値補正値K’を加算することにより吸気量積算値Qmが演算される(Qm=QB+K’)。この吸気量積算値Qmは、後記のサーモスタット弁10の異常診断ルーチン(図5参照)で用いられ、エンジン始動後の経過時間が判定時間Tmを超え、かつ後記の吸入空気量積算値qsがこの吸気量積算値Qmを超えているときに、サーモスタット弁10の開故障の有無の判定を行うようにしている。なお、吸気量積算値補正値K’は、詳しくは図示していないが、前記の判定時間補正値Kの場合と同様の手法で設定される補正値k1’〜k8’を加算することにより設定される。
そして、ステップT6では、前回の吸入空気量積算値qsに今回の吸入空気量qを加算して、今回の吸入空気量積算値qsが演算される(qs=qs+q)。
【0041】
ステップT7では、吸入空気量積算値qsに応じて、基本冷却水温度推定値thwcBが設定される。この基本冷却水温度推定値thwcBは、概略的には、例えば図11に示すように、吸入空気量積算値qsが大きいときほど大きくなるように設定されている。より詳しくは、基本冷却水温度推定値thwcBは、サーモスタット弁10が完全に閉じているものとして演算される第1の基本冷却水温度推定値thwcB1と、サーモスタット弁10の冷却水漏れを考慮して演算される第2の基本冷却水温度推定値thwcB2と、例えば図9(a)に示すような特性で設定される車速に基づく補正値j1とを加算して演算される(thwcB=thwcB1+thwcB2+j1)。
なお、第1の基本冷却水温度推定値thwcB1は、例えば図12(a)に示すような特性でもって、吸入空気量積算値qsに応じて設定される。
また、第2の基本冷却水温度推定値thwcB2は、例えば図12(b)に示すような特性でもって、吸入空気量積算値qsに応じて設定される。
【0042】
ステップT8では基本冷却水温度推定値thwcBを補正するための補正値Jが設定され、続いてステップT9で基本冷却水温度推定値thwcBに冷却水温度補正値Jを加算して今回の冷却水温度推定値thwc(n)が演算される(thwc(n)=thwcB+J)。冷却水温度補正値Jは、例えば、それぞれ図9(b)〜(h)に示すような特性でもって吸気温と、点火リタード量と、燃料供給停止(フューエルカット)の有無と、濃厚燃焼(エンリッチ)の有無と、電動ファン8の作動の有無と、エアコンヒータの作動の有無と、空燃比が20以上であるか否かとに応じて設定される各補正値j2〜j8を加算して設定される(J=j2+j3……k7+k8)。
【0043】
ステップT10では、次の式1により、1次遅れを考慮して、前回の冷却水温度推定値thwc(n-1)と今回の冷却水温度推定値thwc(n)とに基づいてサーモスタット弁10の異常診断ルーチンで用いられる冷却水温度推定値thwcが演算される。なお、式1においてαは0より大きく1より小さい1次遅れ定数である。
【数1】
thwc=(1−α)・thwc(n-1)+α・thwc(n)……………………………式1
ただし、
thwc:今回の冷却水温度推定値[°C]
thwc(n-1):前々回の冷却水温度推定値[°C]
thwc(n):前回の冷却水温度推定値[°C]
α:1次遅れ定数
【0044】
ステップT11では、今回の冷却水温度推定値thwc(n)が前回の冷却水温度推定値thwc(n-1)に置き換えられる。すなわち、次回のルーチンに備えて前回の冷却水温度推定値thwc(n-1)が更新される。
【0045】
以下、この冷却装置1におけるサーモスタット弁10の異常診断手法の概要を説明する。
このサーモスタット弁10の異常診断においては、基本的には、サーモスタット弁10が正常である場合と開故障を起こしている場合とでは、冷却水通路4、6の所定の部位での冷却水温度の上昇パターンが異なることを利用して、サーモスタット弁10の開故障の有無を判定するようにしている。
【0046】
図6は、サーモスタット弁10が正常である場合と、開故障を起こしている場合とについて、冷機状態でのエンジン始動後における、冷却水通路4、6の所定の部位での冷却水温度の時間に対する変化特性を示すグラフである。図5において、グラフA1〜A3とグラフB1〜B3とは、それぞれ次の冷却水温度を示している。なお、P1〜P3位置は、図1中に示されている。
【0047】
1:サーモスタット弁正常時のP1位置の冷却水温度(thw)
2:サーモスタット弁正常時のP2位置の冷却水温度
3:サーモスタット弁正常時のP3位置の冷却水温度
1:サーモスタット弁開故障時のP1位置の冷却水温度(thw)
2:サーモスタット弁開故障時のP2位置の冷却水温度
3:サーモスタット弁開故障時のP3位置の冷却水温度
【0048】
図6から明らかなとおり、サーモスタット弁10が正常に作動している場合は、P1位置の冷却水温度thw(グラフA1)とP2位置の冷却水温度(グラフA2)の差が極めて顕著である。例えば、エンジン始動後250秒の時点では、P1位置の冷却水温度とP2位置の冷却水温度の差は51.1°Cである。これに対して、P1位置の冷却水温度(グラフA1)とP3位置の冷却水温度(グラフA3)の差は比較的小さく、19.6°Cである。他方、サーモスタット弁10が開故障を起こしているときには、P1〜P3位置の各冷却水温(グラフB1〜B3)の間にはさほど差が生じない。
【0049】
そして、図6に示すように、P1位置の冷却水温度すなわち水温センサ11によって検出される冷却水温度thwは、サーモスタット弁10が正常である場合と、開故障を起こしている場合とでは大きく異なる。また、サーモスタット弁10が正常である場合のP1位置の冷却水温度thwは、前記の冷却水温度推定値thwcとほぼ一致する。したがって、冷却水温度推定値thwcと水温センサ11で検出される実際の冷却水温度thwとが大きく異なれば、サーモスタット弁10が開故障を起こしているものと判定することができる。
そこで、この冷却装置1では、基本的には、エンジン始動後の比較的早い時期(正常なサーモスタット弁10が閉弁しているべき時期ないしは状態)において、冷却水温度推定値thwcと実際の冷却水温度thwとの間の差|thwc−thw|が所定の設定値より大きいときには、サーモスタット弁10が開故障を起こしているものと判定するようにしている。
【0050】
以下、図5に示すフローチャートを参照しつつ、コントロールユニット12による、具体的なサーモスタット弁10の異常診断手法を説明する。
この異常診断ルーチンにおいては、まずステップU1で、エンジンがクランキング開始後、完爆状態に達したか否かが判定され、完爆状態に達していなければ(NO)、完爆状態に達するまでこのステップU1が繰り返し実行される(完爆状態に達するまで待機する)。
【0051】
ステップU1でエンジンが完爆状態に達していると判定された場合(YES)、すなわちエンジンが完全に始動したときには、ステップU2で、水温センサ11によって検出される冷却水温度thw、車速センサ(図示せず)によって検出される車速V、回転数センサ(図示せず)によって検出されるエンジン回転数Ne等が入力される。続いて、ステップU3で、エンジン始動時における冷却水温度thwが、始動時水温thsとして記憶される。なお、このステップU3は、エンジン始動後に1回だけ実行される。
【0052】
次に、ステップU4で、始動時水温thsが基準水温ths0より低いか否かが判定される。ここで、基準水温ths0は、サーモスタット弁10の開弁温度付近に設定されている。このステップU4でths≧ths0であると判定された場合は(NO)、ステップU20でこの異常診断ルーチンが停止される(モニタ不可)。けだし、ths≧ths0である場合は、エンジン始動時点ですでに冷却水温度が高くなっており、このためサーモスタット弁10が正常であるか否かによって水温thwにあまり差異が生じないので、上記水温差|thwc−thw|に基づいてサーモスタット弁10の開故障の有無を判定するのは好ましくないからである。
【0053】
他方、前記のステップU4でths<ths0であると判定された場合は(YES)、ステップU5で、エンジン始動後(完爆後)の経過時間をカウントするための第1カウンタT1が1だけインクリメント(加算)される。この第1カウンタT1は、このルーチンが1回実行される毎に1づつインクリメントされ、他方このルーチンは一定の時間間隔で実行されるので、この第1カウンタT1のカウント値(積算値)でエンジン始動後の経過時間を把握することができる。
【0054】
次に、ステップU6で、前記の冷却水温度推定ルーチン(図4参照)で算出された冷却水温度推定値thwcが読み込まれる。続いて、ステップU7で、エンジン回転数Neが基準回転数Ne0以上であるか否かが判定される。エンジン回転数Neがあまり高いと、ウォータポンプ7の吐出圧が上昇するので、サーモスタット弁10が正常な場合でも、冷却水温度が低いときに冷却水の水圧によってサーモスタット弁10が開かれ、冷却水はラジエータ5によってかなり冷却されることになり、冷却水温度推定値thwcの精度が極めて悪くなる。したがって、冷却水温度推定値thwcに基づいてサーモスタット弁10の開故障の有無を判定するのは好ましくない。そこで、この異常診断ルーチンでは、Ne≧Ne0である状態の延継続時間に対応する第2カウンタT2のカウント値(積算値)が所定値T20以上である場合は、後記のステップU18で該異常診断ルーチンを停止するようにしている。
【0055】
そして、ステップU7でNe≧Ne0であると判定された場合は(YES)、ステップU8で、Ne≧Ne0である状態の延継続時間に対応する値をカウントするための第2カウンタT2が1だけインクリメント(加算)される。他方、ステップU7でNe<Ne0であると判定された場合は(NO)、ステップU8をスキップする。
【0056】
次に、ステップU9とステップU10とで、それぞれ、前記のエンジン制御ルーチン(図3)で演算された、燃料供給停止の延継続時間に対応するF/CカウンタTF/Cのカウント値が所定値TF/C0未満であるか否かと、希薄燃焼の延継続時間に対応するL/BカウンタTL/Bのカウント値が所定値TL/B0未満であるか否かとが判定される。ここで、TF/C≧TF/C0又はTL/B≧TL/B0であると判定された場合は(ステップU9又はステップU10でNO)、発熱量が非常に少ないので、これ以上冷却水温度の推定を続行すると、かえって冷却水温度推定値thwcの精度が低下するおそれがある。つまり、冷却水温度推定ルーチンで、燃料供給停止あるいは希薄燃焼に対する補正を行っても、冷却水温度を正確に推定することはできない。そこで、後記のステップU14にスキップして、この時点でサーモスタット弁10の開故障の有無の判定を行うようにしている。
【0057】
他方、ステップU9でTF/C<TF/C0であると判定され(YES)、かつステップU10でTL/B<TL/B0であると判定された場合は(YES)、ステップU11とステップU12とで、それぞれ、第1カウンタT1が、前記の冷却水温度推定ルーチンで演算された判定時間Tmを超えているか否かと、冷却水温度推定ルーチンで演算された吸入空気量積算値qsが吸気量積算値Qmを超えているか否かとが判定される。
【0058】
そして、ステップU11でT1>Tmであると判定され(YES)、かつステップU12でqs>Qmであると判定された場合は(YES)、エンジン始動後十分な時間が経過しており、かつ発熱量が十分であるので、冷却水温度推定値thwcに基づいてサーモスタット弁10の開故障の有無を高精度で判定することができる状態にある。そこで、この場合は、後記のステップU14にスキップして、サーモスタット弁10の開故障の有無の判定を行うようにしている。この過程が、この異常診断における正常な流れである。
【0059】
他方、T1≦Tm又はqs≦Qmであると判定された場合は(ステップU11又はステップU12でNO)、ステップU13で冷却水温度推定値thwcが所定値thw0以上であるか否かが判定される。ここで、thwc<thw0であれば(NO)、冷却水温度推定値thwcと実際の冷却水温度thwとの差があまり生じておらず、したがってサーモスタット弁10の開故障の有無を判定するのは好ましくないので、ステップU2に復帰してステップU2〜ステップU13が繰り返し実行される。
【0060】
また、ステップU13で、thwc≧thw0であると判定された場合は(YES)、サーモスタット弁10がまもなく所定開度以上となるものと予測され、このような状態になったときには冷却水温度を正確に推定することができないので、直ちにステップU14以下でサーモスタット弁10の開故障の有無の判定を行うようにしている。
【0061】
ステップU14では、冷却水温度推定値thwcと実際の冷却水温度thwの差|thwc−thw|が設定値Aより大きいか否かが判定される。ここで、|thwc−thw|≦Aであれば、冷却水温度推定値thwcと実際の冷却水温度thwとがほぼ一致しているので、サーモスタット弁10は正常であるものと判定され、ステップU19でサーモスタット弁10が正常であることが記憶ないしは表示される(サーモスタット正常メモリ)。
【0062】
他方、ステップU14で、|thwc−thw|>Aであると判定された場合は(YES)、ステップU15とステップU16とで、それぞれ、第1カウンタT1が所定値T10より大きいか否かと、第2カウンタT2が所定値T20より小さいか否かとが判定される。そして、ステップU15でT1≦T10であると判定された場合(NO)、又はステップU16でT2≧T20であると判定された場合は(NO)、まだ冷却水温度の推定に最低限必要な時間が経過していないか、又はNe≧Ne0である状態の延継続時間が長く、サーモスタット弁10の冷却水漏れがかなり多いものと考えられるので、サーモスタット弁10の開故障の有無の判定を行うことが好ましくない。そこで、ステップU18で該異常診断ルーチンが停止される(モニタ不可)。
なお、なお、エンジン回転数Neに応じて、上記所定値Aあるいは冷却水温度推定値thwcを変更するようにしてもよいが、サーモスタット弁10における冷却水の漏れ量は、該サーモスタット弁10の経年劣化や製品誤差にもよるので、この異常診断ルーチンのようにするのが好ましい。
【0063】
他方、ステップU15、U16で、T1>T10であり、かつT2<T20であると判定された場合は(ステップU15、U16がいずれもYES)、サーモスタット弁10が開故障を起こしているものと判定され、ステップU17でサーモスタット弁10が開故障を起こしていることが記憶ないしは警告される(ワーニング、サーモスタット故障メモリ)。
【0064】
なお、この実施の形態1にかかる異常診断ルーチンでは、エンジンが完爆した時点から冷却水温度推定値の演算を開始(カウント開始)するようにしているが、エンジン始動後において冷却水温度の変化にあまり影響がない期間は待機して、例えば始動後燃料増量を開始するなどして、冷却水温度が実際に変化し始める時点から冷却水温度推定値の演算を開始(カウント開始)するようにしてもよい。
また、水温センサ11によって検出される水温thwの変化に基づいて冷却水温度を推定するようにしてもよい。
【0065】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2を説明するが、この実施の形態2にかかるエンジンの冷却装置ないしその異常診断装置においては、基本構成は実施の形態1の場合と同様であり、コントロールユニット12による異常診断手法が異なるだけである。よって、以下では説明の重複を避けるため、実施の形態2にかかる異常診断手法についてのみ説明する。
【0066】
以下、図13に示すフローチャートを参照しつつ、実施の形態2にかかるサーモスタット弁10の異常診断手法を説明する。
図13に示すように、この実際の形態2にかかる異常診断ルーチンでは、まずステップV1で、冷却水温度thw(実水温)、始動時冷却水温度ths、吸入空気量g、エンジン回転数Ne、空燃比Kaf(A/F)、車速V、外気温度tho、吸気温度thaa等の各種データ値(制御情報)が入力される。
【0067】
次に、ステップV2で次の式2〜式4により、予測水温上昇率(dθp/dt)、すなわち予測水温θp(冷却水温度推定値thwc)の時間tについての微分値が演算(算出)される。
【数2】
C・(dθp/dt)=Qin−Qout …………………………………………式2
【数3】
Qin=Kw・Kq・g/Kaf+Kn・Ne………………………………………式3
【数4】
Qout=f(V)・(θp−tho) ………………………………………………式4
ただし、
C:冷却系(冷却水)の熱容量[kcal/°C]
θp:予測水温すなわち冷却水温度推定値[°C]
t:時間[sec]
Qin:冷却系(冷却水)に入力される熱量[kcal/sec]
Qout:冷却系(冷却水)から外部へ逃げる熱量[kcal/sec]
Kw:冷却系(冷却水)への放熱比率
Kq:燃料(ガソリン)の発熱量[kcal/g]
g:吸入空気量[g/sec]
Kaf:空燃比(A/F)
Kn:摩擦熱の変換係数[kcal/revolution/60]
Ne:エンジン回転数[r.p.m.]
f(V):放熱係数(車速Vの関数)
V:車速[m/sec]
tho:外気温[°C]
【0068】
式2は、ある系に入力される熱と該系から放出される熱の差は該系の温度上昇を惹起するといった熱力学上の一般原理に基づく熱収支式であり、この冷却系では、これに入力される熱量Qinとこれから逃げる熱量Qoutの差(Qin−Qout)が冷却系の温度上昇を惹起する。なお、式2は常微分方程式であり、該冷却系の熱的な動特性を示している。また、式3において、右辺第1項(Kw・Kq・g/Kaf)は、燃料の燃焼によって生じる熱のうち冷却系(冷却水)に放出(入力)される熱をあらわし、右辺第2項(Kn・Ne)は、エンジンの回転に伴って生じる摩擦熱のうち冷却系(冷却水)に放出(入力)される熱をあらわしている。式4は、流体中に置かれた物体から流体への対流伝熱による放熱量は、流体の流速の関数である伝熱係数(放熱係数)と、物体と流体との間の温度差の積であらわされるといった、伝熱工学上の一般原理に基づく式である。なお、通常、外気温度thoは吸気温度thaaとほぼ一致するので、式4で外気温度thoの代わりに吸気温度thaaを用いてもよい。
【0069】
次に、ステップV3で、次の式5により今回の予測水温θp[k]すなわち冷却水温度推定値が演算される。
【数5】
θp[k]=θp[k-1]+(dθp/dt)・Δt………………………………式5
ただし、
θp[k]:今回の予測水温[°C]
θp[k-1]:前回の予測水温[°C]
t:時間[sec]
Δt:サンプリング時間[sec]
【0070】
式5は、前回に演算された予測水温θp[k-1]に、微小なサンプリング時間Δtにおける温度上昇予測値(dθp/dt)・Δtを加算して今回の予測水温θp[k]とするといった数値計算式である。サンプリング時間Δtは、この故障診断ルーチンの1ルーチン(1サイクル)の実行に要する時間である。なお、この異常診断ルーチンを最初に実行するときには、前回の予測水温θp[k-1]はまだ存在しないので、これに代えて始動時冷却水温度thsを用いることになる。
【0071】
次に、ステップV4で、今回の予測水温θp[k]が所定の設定値Aを超えているか否かが判定される。ここで、設定値Aは、冷却水温度の推定精度が十分に高められるような適切な温度、例えばサーモスタット弁10のの開弁温度近傍(例えば、80°C)に設定される。つまり、予測水温θp[k]が設定値Aに達したときに、正常か異常かの判定が行われることになる。そして、このステップV4で、θp[k]≦Aであると判定された場合は(NO)、冷却水温度の推定精度が十分には得られないので、ステップV9で今回の予測水温θp[k]が前回値に繰り下げられ、この後ステップV1に戻って、ステップV1〜ステップV4が繰り返し実行される。
【0072】
他方、ステップV4でθp[k]>Aであると判定された場合は(YES)、ステップV5で実際の冷却水温度thw(実水温)がしきい値Bより低い(小さい)か否かが判定される。ここで、しきい値Bは、冷却水温度thwがこれより低いとサーモスタット弁10が異常である(開弁故障している)と予想されるような適切な値、例えば上記設定値Aより例えば20°C低い値(例えば、60°C)に設定される。そして、このステップV5で、thw≧Bであると判定された場合は(NO)、実際の冷却水温度thwが予測水温θp[k]すなわち冷却水温度推定値thwcにほぼ一致し、したがってサーモスタット弁10は正常であると予測されるので、ステップV8でサーモスタット弁10は正常であるとの判定(正常判定)が下され、この異常診断ルーチンは終了する。
【0073】
また、前記のステップV5でthw<Bであると判定された場合は(YES)、ステップV6で始動時冷却水温度thsが所定値Cを超えているか否かが判定される。この異常診断ルーチンでは、異常(故障)を正常と判定する誤判定を防止するために、始動時冷却水温度thsがもともと高いときには、異常診断の実行を禁止するようにしている。なお、所定値Cは、例えば25°Cに設定される。
【0074】
かくして、ステップV6でths≦Cであると判定された場合は(NO)、異常診断の実行が禁止されないので、ステップV7でサーモスタット弁10が異常であるとの判定(故障判定)が下されワーニング(警報)が発せられる。他方、ステップV6でths>Cであると判定された場合は(YES)、異常診断の実行が禁止されるので、異常診断を行わずにこの異常診断ルーチンを終了する。
【0075】
図14に、設定値Aを80°Cに設定し、しきい値Bを60°Cに設定し、所定値Cを25°Cに設定して、実施の形態2にかかる故障診断ルーチンを実行した場合における、冷却水温度推定値thwc及び実際の冷却水温度thwの時間に対する変化特性の具体例を示す。
この具体例では、グラフG1で示すように、冷却水温度推定値thwcが80°Cに達した時刻t0(判定タイミング)で、故障か正常化の判定が実施される。そして、例えばグラフG2で示すように、時刻t0で冷却水温度thwがしきい値60°C以上となっていれば、サーモスタット弁10は正常であると判定される。これに対して、例えばグラフG3で示すように、時刻t0で冷却水温度thwがしきい値60°C未満であれば、サーモスタット弁10は異常である(開弁故障している)と判定される。
このように、実施の形態2にかかるエンジンの冷却装置の異常診断装置においても、冷却水温度推定値thwcと実際の冷却水温度thwとに基づいて、サーモスタット弁10の異常ないしは故障、とくに開弁故障を容易かつ確実に検出することができる。
【0076】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3を説明するが、この実施の形態3にかかるエンジンの冷却装置ないしその異常診断装置においては、基本構成は実施の形態1の場合と同様であり、コントロールユニット12による異常診断手法が異なるだけである。よって、以下では説明の重複を避けるため、実施の形態3にかかる異常診断手法についてのみ説明する。
【0077】
以下、図15に示すフローチャートを参照しつつ、実施の形態3にかかるサーモスタット弁10の異常診断手法を説明する。なお、この実施の形態3にかかる異常診断手法は、前記の実施の形態2にかかる異常診断手法(図13)を改良ないしは改善したものであり、したがって実施の形態2における異常診断手法の基本的部分はこの実施の形態3についても当てはまる。
【0078】
図15に示すように、この実際の形態3にかかる異常診断ルーチンでは、まずステップV11で、冷却水温度thw(実水温)、始動時冷却水温度ths、吸入空気量g、エンジン回転数Ne、空燃比Kaf(A/F)、車速V、外気温度tho、吸気温度thaa等の各種データ値(制御情報)が入力される。
【0079】
続いて、ステップV12で、実施の形態2の場合とほぼ同様に、基本的には前記の式2〜式4により、予測水温上昇率(dθp/dt)、すなわち予測水温θp(冷却水温度推定値thwc)の時間tについての微分値が演算(算出)される。ただし、冷却水への放熱比率Kwは、アイドル時と非アイドル時(オフアイドル時)とで切り替えられ、アイドル時には非アイドル時よりも大きい値が設定される。具体的には例えば、放熱比率Kwは、アイドル時には0.4に設定され、非アイドル時には0.3に設定される。これは、アイドル時は非アイドル時に対して点火時期が遅角されているため、熱効率が低下し、冷却水への放熱比率が上昇することを考慮したものである。なお、通常、外気温度thoは吸気温度thaaとほぼ一致するので、式4で外気温度thoの代わりに吸気温度thaaを用いてもよい。
【0080】
次に、ステップV13で、実施の形態2の場合とほぼ同様に、基本的には前記の式5により今回の予測水温θp[k]すなわち冷却水温度推定値が演算される。なお、この異常診断ルーチンを最初に実行するときには、前回の予測水温θp[k-1]はまだ存在しないので、これに代えて始動時冷却水温度thsを用いることになる。
【0081】
次に、ステップV14で、予測水温θp[k]と実際の冷却水温度thw(実水温)との差(θp[k]−thw)の積算値Σ(θp[k]−thw)が演算される。続いて、ステップV15で、現在の吸気温度thaaが、エンジン始動開始時から現時点に至るまでの間における最低吸気温度thaminより低いか否かが判定される。そして、thaa<thaminであれば(YES)、ステップV16で現在の吸気温度thaaの値が新たに最低吸気温度thaminとして採用される(thamin←thaa)。すなわち、最低吸気温度thaminが更新される。他方、ステップV15でthaa≧thaminであると判定された場合は(NO)、最低吸気温度thaminは更新する必要がないので、ステップV16をスキップする。
【0082】
この後、ステップV17で、始動時冷却水温度ths(始動時水温)と最低吸気温度thaminとの差(ths−thamin)が、始動時冷却水温度thsの関数である所定の設定値Dより小さいか否かが判定される。なお、設定値Dの始動時冷却水温度ths(始動時水温)に対する変化特性は、例えば図16に示すような特性に設定される。ここで、(ths−thamin)≧Dであれば(NO)、異常判定は行われず、ステップV11に復帰する。これは、半暖機時等、始動時冷却水温度thsが外気温度tho(吸気温度thaa)よりも高いときにおける予測水温θp[k]の誤差に起因する誤診断を防止するためである。つまり、予測水温θp[k]を推算する演算式(式2〜式5)における各係数は、エンジン始動時の冷却水温度が放置によって外気温度に相当する温度まで十分に低下した状態(エンジン始動時の冷却水温度が外気温度にほぼ等しい)を想定して設定したものであるため、エンジン始動時の冷却水温度が外気温度よりも高いと、予測水温θp[k]の推算に誤差が生じるからである。
【0083】
他方、ステップV17で、(ths−thamin)<Dであると判定された場合は(YES)、ステップV18で、エンジン始動開始時からの経過時間(始動後経過時間)が、始動時冷却水温度thsの関数である所定の設定時間Eより小さい(短い)か否かが判定される。ここで、始動後経過時間がE以上であれば(NO)、異常判定は行われず、ステップV11に復帰する。すなわち、この異常診断手法では、予測水温θp[k]と実際の冷却水温度thw(実水温)との差の積算値Σ(θp[k]−thw)に基づいて異常判定を行うようにしている関係上、エンジン水温の上昇が緩慢で予測水温θp[k]がサーモスタット開弁温度Aに達するまでに長時間を要する低負荷時等においては、上記積算値が大きくなり、サーモスタット弁10が正常であっても開故障と誤診断されるおそれがあるので、このような誤診断を防止する必要があるからである。
【0084】
他方、ステップV18で、始動後経過時間がEより小さい(短い)と判定された場合は(YES)、ステップV19で、今回の予測水温θp[k]が所定の設定値Aを超えているか否かが判定される。ここで、設定値Aは、冷却水温度の推定精度が十分に高められるような適切な温度、例えばサーモスタット弁10の開弁温度近傍(例えば、80°C)に設定される。つまり、予測水温θp[k]が設定値Aに達したときに、正常か異常かの判定が行われることになる。そして、このステップV19で、θp[k]≦Aであると判定された場合は(NO)、冷却水温度の推定精度が十分には得られないので、ステップV24で今回の予測水温θp[k]が前回値に繰り下げられ、ステップV11に復帰する。
【0085】
他方、ステップV19でθp[k]>Aであると判定された場合は(YES)、ステップV20で、予測水温θp[k]と実際の冷却水温度thw(実水温)との差の積算値Σ(θp[k]−thw)が所定の設定値B(例えば、5℃)より大きい(高い)か否かが判定される。ここで、設定値Bは、例えば図17に示すように、始動時冷却水温度ths(始動時水温)に応じて変化させるのが好ましい。
【0086】
ステップV20でΣ(θp[k]−thw)≦Bであると判定された場合は(NO)、予測水温θp[k]と実際の冷却水温度thw(実水温)との差が小さく、冷却水温度thw(実水温)が十分に上昇しているものと考えられるので、ステップV21で、サーモスタットは正しく閉じており正常であるものと判定され(正常判定)、今回の異常診断ルーチンは終了する。
【0087】
他方、ステップV20でΣ(θp[k]−thw)>Bであると判定された場合は(YES)、ステップV22で、始動時冷却水温度thsが所定値Cを超えているか否かが判定される。ここで、ths≦Cであると判定された場合は(NO)、予測水温θp[k]に対して実際の冷却水温度thw(実水温)が低く、冷却水温度thwが十分に上昇していないものと考えられるので、ステップV23でサーモスタット弁10が異常であるとの判定(故障判定)が下されワーニング(警報)が発せられ、今回の異常診断ルーチンは終了する。
また、ステップV22でths>Cであると判定された場合は(YES)、異常診断の実行が禁止されるので、異常診断を行わずにこの異常診断ルーチンを終了する。
【0088】
このように、実施の形態3にかかるエンジンの冷却装置の異常診断装置においても、冷却水温度推定値thwcと実際の冷却水温度thwとに基づいて、サーモスタット弁10の異常ないしは故障、とくに開弁故障を容易かつ確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる異常診断装置を備えたエンジンの冷却装置を模式的に示す側面断面図である。
【図2】 (a)は図1に示す冷却装置に設けられているサーモスタット弁の閉弁状態における縦断面図であり、(b)はこのサーモスタット弁の開弁状態における縦断面図である。
【図3】 コントロールユニットによって実行されるエンジン制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】 コントロールユニットによって実行される冷却水温度推定ルーチンのフローチャートである。
【図5】 コントロールユニットによって実行されるサーモスタット弁の異常診断ルーチンのフローチャートである。
【図6】 サーモスタット弁が正常状態にある場合と開故障状態にある場合とにおける、エンジン始動後の冷却水温度の時間に対する変化特性を示すグラフである。
【図7】 目標空燃比の吸気充填量及びエンジン回転数に対する特性を示す図である。
【図8】 基本判定時間の始動時水温に対する特性を示す図である。
【図9】 (a)〜(h)は、それぞれ、判定時間の補正値及び吸気量積算値の補正値の、車速、吸気温、点火リタード量、燃料供給停止の有無、濃厚燃焼の有無、ファン作動の有無、エアコンヒータの作動の有無及び希薄燃焼の有無に対する変化特性を示す図である。
【図10】 吸気量積算基準値の始動時水温に対する変化特性を示す図である。
【図11】 基本冷却水温度推定値の吸入空気量積算値に対する変化特性を示す図である。
【図12】 (a)は第1の基本冷却水温度推定値の吸入空気量積算値に対する変化特性を示す図であり、(b)は第2の基本冷却水温度推定値の吸入空気量積算値に対する変化特性を示す図である。
【図13】 本発明の実施の形態2にかかるサーモスタット弁の異常診断ルーチンのフローチャートである。
【図14】 実施の形態2にかかるサーモスタット弁の異常診断時における冷却水温度推定値及び実際の冷却水温度の、時間に対する変化特性を示す図である。
【図15】 本発明の実施の形態3にかかるサーモスタット弁の異常診断ルーチンのフローチャートである。
【図16】 実施の形態3にかかるサーモスタット弁の異常診断ルーチンにおける、設定値Dの始動時冷却水温度ths(始動時水温)に対する変化特性を示す図である。
【図17】 実施の形態3にかかるサーモスタット弁の異常診断ルーチンにおける、設定値Bの始動時冷却水温度ths(始動時水温)に対する変化特性を示す図である。
【符号の説明】
1…エンジンの冷却装置、2…シリンダブロック、3…シリンダヘッド、4…第1通路、5…ラジエータ、6…第2通路、7…ウォータポンプ、8…電動ファン、9…バイパス通路、10…サーモスタット弁、10’…サーモスタット弁、11…水温センサ、12…コントロールユニット、15…ケース、16…ピストン、17…可動体、18…ワックスケース、19…合成ゴムスリーブ、20…ワックス、21…ばね、22…弁部材。

Claims (6)

  1. 冷却水温度に応じて開閉してエンジンとラジエータとの間での冷却水の行き来を規制するサーモスタット弁が設けられているエンジンの冷却装置の異常診断装置において、
    エンジン及び該エンジンを搭載した車両の運転状態に基づいて、エンジンの冷却水温度を推定する冷却水温度推定手段と、
    実際の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    上記冷却水温度推定手段によって推定された冷却水温度推定値と、上記冷却水温度検出手段によって検出された冷却水温度とに基づいて、サーモスタット弁の異常の有無を検出する異常検出手段とが設けられ、
    上記異常検出手段が、冷却水温度推定値と実際の冷却水温度との差の積算値に基づいてサーモスタット弁の異常の有無を検出するようになっていることを特徴とするエンジンの冷却装置の異常診断装置。
  2. 上記異常検出手段が、エンジン始動後所定時間内にサーモスタット弁の異常の有無を検出するようになっていることを特徴とする、請求項に記載されたエンジンの冷却装置の異常診断装置。
  3. 上記のエンジン始動後所定時間が、エンジン始動時における実際の冷却水温度に応じて変更されるようになっていることを特徴とする、請求項に記載されたエンジンの冷却装置の異常診断装置。
  4. 上記異常検出手段が所定の異常判定値に基づいてサーモスタット弁の異常の有無を判定するようになっていて、上記異常判定値がエンジン始動時における実際の冷却水温度に応じて変更されるようになっていることを特徴とする、請求項のいずれか1つに記載されたエンジンの冷却装置の異常診断装置。
  5. 上記冷却水温度推定手段がエンジンから冷却水への放熱比率を含む水温推定演算式に基づいて冷却水温度を推定するようになっていて、上記放熱比率がエンジンの点火時期に応じて変更されるようになっていることを特徴とする、請求項のいずれか1つに記載されたエンジンの冷却装置の異常診断装置。
  6. 外気温度がエンジン始動時における実際の冷却水温度よりも低いときには、上記異常検出手段によるサーモスタット弁の異常の有無の検出が禁止され、又は検出結果が実質的に無効とされるようになっていることを特徴とする、請求項のいずれか1つに記載されたエンジンの冷却装置の異常診断装置。
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