JP3808638B2 - 通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の伝送装置を現用系と予備系から成る2重系のリング状伝送路で接続し、伝送装置または現用系の伝送路の故障時には故障区間を切り離して予備系の伝送路に迂回させて通信を継続させる通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ATMセルを使用する伝送装置を2重化されたリング構成の伝送路で接続し、電話や映像等の帯域保証型の固定レートデータの情報をATMセルで通信するリング型の通信システムにおいては、ネットワーク障害(異常)、例えば光ファイバなどの伝送路または伝送装置の故障の際に故障箇所を切り離して通信が継続できるように、図8に示すように、通常時は現用系の伝送路を使用し、ネットワーク異常の発生時には、故障個所を切り離してループバックさせ、予備系の伝送路を使用して通信を継続する方法が用いられる。
【0003】
図8において、複数の伝送装置1a〜1fが現用系の伝送路2と予備系の伝送路3とから成る2重系の伝送路に接続されている。このうち、伝送装置1aには電話、映像等の固定レートデータで帯域保証型通信サービスを行うPBX・MUX4aが接続され、さらにPBX・MUX4aには電話機7aなどの端末が収容されている。
【0004】
また同様に、伝送装置1dには、電話、映像等の固定レートデータで帯域保証型通信サービスを行うPBX・MUX4bが接続され、さらにPBX・MUX4bには電話機7bなどの端末が収容されている。
【0005】
このような通信システムでは、電話機7aと7bとの通話を行う場合には、太実線の矢印で示すように、電話機7aと7b間の帯域保証型のATMセルは、現用系の伝送路2を使用して伝送される。
【0006】
このような2重系のリング状伝送路を用いた通信システムにおいては、一般に、予備系の伝送路3は通常使用されている現用系の伝送路2と同等の通信を確保するために、その伝送できるデータ量(帯域)は現用系に等しい。
【0007】
しかし、予備系の伝送路3は、ネットワーク障害が発生するまで全く使用されないため、その利用効率が悪いという問題があった。
【0008】
そこで、図9に示すように、現用系の伝送路2に障害が発生していない間だけ、予備系の伝送路3を活用し、伝送装置1b,1fに接続したPBX・MUX4c,4dを介して他の電話機7c,7dとの通話データ(ATMセル)を伝送するようにし、予備系の伝送路3の利用効率を向上させる方法が考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図9に示すように構成した場合、現用系の伝送路2に障害が発生した場合、図10に太実線で示すように、現用系の伝送路2が予備系の伝送路3にループバックされるため、それまで予備系の伝送路3で伝送していた通話データは切断されてしまい、帯域保証型の固定レートデータの通信システムとしては実用に耐えないという問題がある。
【0010】
本発明は、2重系伝送路を用いた通信システムにおいて、予備系の伝送路を有効活用してその利用効率を向上させると共に、現用系に障害が発生した場合であっても、その通信を停止することなく継続させることができる通信システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、複数の伝送装置を第1の伝送路と第2の伝送路から成る2重系のリング状伝送路で接続し、前記伝送装置または第1の伝送路の故障時には、該故障区間の両端でループバックして通信を継続させる通信システムにおいて、前記伝送装置は、通常時には、予め割り当てられた最大通信帯域の範囲内で帯域保証型の固定レートデータの通信を前記第1の伝送路を用いて行うように通信経路を設定するとともに、帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記第2の伝送路を用いて行うように通信経路を設定し、故障時には、前記帯域保証型の固定レートデータの通信を前記第2の伝送路に迂回させるとともに、前記第2の伝送路における前記帯域非保証型の可変レートデータの通信の通信帯域を該第2の伝送路の残りの通信帯域まで縮小して該縮小した帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記第1の伝送路に迂回させるように通信経路を設定する通信経路設定手段を具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記伝送装置が、ATMスイッチを具備することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ATMスイッチを、2以上の優先制御機能を持つATMスイッチで構成したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記ATMスイッチを、通常時に予備系の伝送路を使用するデータは通常時に現用系の伝送路を使用するデータの優先順位よりも低位に選択する手段を備えたもので構成したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、複数の伝送装置を現用系と予備系から成る2重系のリング状伝送路で接続し、帯域保証型の固定レートデータおよび帯域非保証型の可変レートデータの通信を行う通信システムにおいて、通信開始に際して前記帯域保証型の固定レートデータの通信に用いる前記現用系の最大通信帯域を申告する申告手段と、通常時には、前記申告手段で申告された最大通信帯域の範囲内で前記帯域保証型の固定レートデータの通信を前記現用系を用いて行うように通信経路を設定するとともに、前記帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記予備系を用いて行うように通信経路を設定し、前記伝送装置または前記伝送装置間の伝送路の故障時には、該故障区間を切り離して、前記帯域保証型の固定レートデータの通信を前記予備系に迂回させて該帯域保証型の固定レートデータの通信を継続させるとともに、前記帯域非保証型の可変レートデータの通信に用いる通信帯域を該予備系の残りの通信帯域まで縮小して該縮小した帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記現用系に迂回させて該帯域非保証型の可変レートデータの通信を継続させる通信経路設定手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
本発明においては、通常時には、予め割り当てられた最大通信帯域、例えば80%の範囲内で帯域保証型の固定レートデータの通信を第1の伝送路(現用系の伝送路)を用いて行うように通信経路を設定し、帯域非保証型の可変レートデータの通信を第2の伝送路(予備系の伝送路)を用いて行うように通信経路を設定する。
故障時には、帯域保証型の固定レートデータの通信を第2の伝送路に迂回させるとともに、第2の伝送路における帯域非保証型の可変レートデータの通信の通信帯域を該第2の伝送路の残りの通信帯域、例えば20%まで縮小し、該縮小した帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記第1の伝送路に迂回させるように通信経路を設定する。
これによって、予備系の伝送路の利用効率を向上させることができるとともに、障害が発生した場合であっても、通信を停止することなく継続させることができる。
【0017】
また、現用系の伝送路を使用するように収容されている端末のデータは、ネットワーク障害の発生時には予備系の伝送路を優先的に使用して伝送される。これに対して、予備系の伝送路を使用するように収容されている端末のデータは、現用系のデータの隙間を使用するなどの形態で通信帯域を通常時よりも狭くして伝送される。これによって、ネットワーク障害の発生時にも、予備系の伝送路を使用するように収容されている端末のデータ通信を停止することなく継続させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる通信システムの一実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明による通信システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【0020】
図1において、システムの各構成要素は図8と同一符号で示している。図8の従来構成と異なる点は、ATMスイッチ1a〜1fには、通常時に固定レートデータである帯域保証型通信サービスについては現用系の伝送路2を使用し、可変レートデータである帯域非保証型通信サービスについては、予備系の伝送路3を使用するように通信経路を設定すると共に、障害時には、予備系で伝送されている帯域非保証型通信サービスの通信帯域を縮小して現用系を用いて伝送されていた帯域保証型通信サービスの通信経路を予備系の通信経路に迂回させ、予備系の通信を継続させる優先制御手段を設けた点が相違する。
【0021】
なお、伝送装置1b,1e,1fには、LAN6a,6bなどの可変レートデータで帯域非保証型通信サービスを行うルータ5a,5b,5cが接続されている。
【0022】
図2は、図1のシステム構成において、ネットワーク障害が発生していない通常時の固定レートデータの通信経路を示すものであり、PBX・MUX4a,4b間のデータは現用系の伝送路2を使用して伝送される。
【0023】
図3は、図1のシステム構成において、通常時の可変データレートの通信経路を示すものであり、LAN6a,6b間の可変データレートのデータは予備系の伝送路3を使用して伝送される。
【0024】
図4は、「×」印で示す地点でネットワーク障害が発生し、その両端の伝送装置1a,1fでループバックを行っている時の通信経路を示すものであり、電話等の固定レートデータとLAN等の可変レートデータ共に、現用系と予備系の両方の伝送路2,3を使用した通信経路が確保される。
【0025】
本発明においては、ネットワーク障害が発生し、現用系と予備系の両方の伝送路2,3を使用したループバック通信経路で通信を継続させる場合、ATMスイッチの優先制御手段により、可変レートデータの通信帯域は通常時よりも縮小される。
【0026】
図5は、ATMスイッチを備えた伝送装置1a〜1eのATMスイッチ内部の優先制御機構を示す図であり、伝送路2または3より入力されたセルはセルヘッダの解析により、帯域保証型の固定レートデータか帯域非保証型の可変レートデータかで選別される。現用系の伝送路2から入力された帯域保証型の固定レートデータのセルは、ATMスイッチ内部のセルバッファ1−1aに格納され、FIFOルールでセレクタ1−3aによって選択されて出力側に出力される。
【0027】
また、予備系の伝送路3から入力された帯域非保証型の可変レートデータのセルは、ATMスイッチ内部のセルバッファ1−2bに格納され、FIFOルールでセレクタ1−3bによって選択されて出力側に出力される。
【0028】
ネットワーク障害が発生した場合、図4に示したようなループバック伝送路が形成され、現用系および予備系の伝送路2、3の両方を使用して固定レートデータと可変レートデータの通信経路が確保されるが、現用系の伝送路2から入力された帯域非保証型の可変レートデータはセルバッファ1−2aに格納され、FIFOルールでセレクタ1−3aによって選択されて出力側の伝送路に出力される。
【0029】
また、予備系の伝送路3から入力された帯域保証型の固定レートデータはセルバッファ1−1bに格納され、FIFOルールでセレクタ1−3bによって選択されて出力側の伝送路に出力される。
【0030】
ここで、セレクタ1−3a,1−3bは、現用系専用のセルバッファ1−1a,1−1bにセルが1つ以上ある場合は必ずこのセルバッファ1−1a,1−1bのセルを優先して出力側に導くように動作する。
【0031】
すなわち、図4に示したようにネットワーク障害が発生した場合は、可変レートデータの通信帯域を通常時よりも縮小させ、帯域保証型の固定レートデータの通信を優先させる。
【0032】
図6は、現用系および予備系の伝送路2、3の帯域割り当て(仮想パス)を示すものであり、図2乃至図4のBおよびB’の部分を示している。ATMセルを伝送する場合、通信を始める際に通信のサービスクラス、帯域保証型か帯域非保証型の区別と、前者の場合は必要な帯域を申告する。
【0033】
帯域非保証型の場合は帯域を申告しない代わりに、伝送路の空いている部分つまり帯域保証型の申告した帯域の残り部分を最大帯域として0から空きの最大までを使用できる。あらかじめ図6に示すように、現用系の伝送路2と予備系の伝送路3の伝送帯域の80%を帯域保証型のサービスすなわちPBX・MUXに割り当てる(図6(a))。
【0034】
正常時は現用系の伝送路2の80%をPBX・MUXが使用する。予備系の伝送路3はLANのみが使用しているので、予備系の伝送路3のすべて100%を使用可能に割り当てる(図6(b))。
【0035】
ネットワーク障害時は、両者のデータが現用系、予備系の伝送路2、3を使用するようになるので、固定レートデータの帯域は図6(c)に示すように80%を維持したまま、LANの使用できる帯域を、帯域保証型データが使用しない残りの20%に縮小させる(図6(d))。この帯域の制御は前記の優先制御手段により自動的に行われる。
【0036】
このようにすることによって、2重系伝送路を用いた通信システムにおいて、ネットワーク異常時に現用系に収容されていた帯域保証サービスの通信を行なっている端末はもちろん予備系に収容された帯域非保証サービスを行なっている端末の通信を停止することなく継続して使用することができる。
【0037】
ここで、予備系に収容されている帯域非保証サービスでは、伝送帯域が縮小されることにより伝送速度は遅くなることになるが、もともと伝送遅延が許容される通信サービスであるため、運用上問題は生じない。
【0038】
図7は、本発明の他の実施形態を示す構成図であり、通常時は現用系の伝送路2で帯域保証型の固定レートデータの通信を行い、予備系の伝送路3で帯域非保証型の可変レートデータの通信を行い、障害時には現用系の通信経路を予備系の通信経路に迂回させ、固定レートデータの通信を継続させるようにしたものである。なお、図1と同一部分は同一符号で示している。
【0039】
このような構成において、電話機7aと7bとの通話を行う場合には、実線の矢印で示すように現用系の伝送路2を用いて通信が行われ、LAN6aとLAN6bとの間で通信を行う場合には、太実線の矢印で示すように予備系の伝送路3を用いて通信が行われる。
【0040】
この場合、予備系の伝送路3は、現用系の伝送路2に異常が発生していない条件でのみ使用される。従って、現用系の伝送路2が正常であれば、予備系の伝送路3を使用してLAN6aとLAN6bとの間で帯域非保証型の可変レートデータの通信を行うことが可能になり、予備系の伝送路3の利用効率を向上させることが可能になる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、予備系の伝送路の利用効率を向上させることが可能になる。
【0042】
また、予備系の伝送路を有効に利用できる他に、ネットワークの障害時にも予備系の伝送路に収容された端末のデータをその伝送帯域は減少するが通信を継続することができる。この場合、伝送帯域が減少しても本来LANなどのアプリケーションは伝送路の空きを期待して通信する形態(ベストエフオートサービス)であるために問題にはならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した通信システムの一実施の形態を示すシステム構成図。
【図2】帯域保証型通信サービスの通信経路の例の説明図。
【図3】帯域非保証型通信サービスの通信経路の説明図。
【図4】ループバック時の通信経路を示す説明図。
【図5】優先制御機構の構造図。
【図6】仮想パス割り当ての概念図。
【図7】本発明の他の実施形態を示す通信システムの構成図。
【図8】従来の通信システムの定常時の伝送経路を示す図。
【図9】従来の通信システムで予備系を使用する場合の定常時の伝送経路を示す図。
【図10】従来の通信システムのネットワーク障害時の伝送経路を示す図。
【符号の説明】
1a〜1f 伝送装置
2 現用系の伝送路
3 予備系の伝送路
4a,4b PBX・MUX
5a,5b ルータ
6a,6b LAN
7a,7b 電話機
1−1a,1−1b,1−2a.1−2b セルバッファ
1−3a,1−3b セレクタ
Claims (5)
- 複数の伝送装置を第1の伝送路と第2の伝送路から成る2重系のリング状伝送路で接続し、前記伝送装置または第1の伝送路の故障時には、該故障区間の両端でループバックして通信を継続させる通信システムにおいて、
前記伝送装置は、
通常時には、予め割り当てられた最大通信帯域の範囲内で帯域保証型の固定レートデータの通信を前記第1の伝送路を用いて行うように通信経路を設定するとともに、帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記第2の伝送路を用いて行うように通信経路を設定し、故障時には、前記帯域保証型の固定レートデータの通信を前記第2の伝送路に迂回させるとともに、前記第2の伝送路における前記帯域非保証型の可変レートデータの通信の通信帯域を該第2の伝送路の残りの通信帯域まで縮小して該縮小した帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記第1の伝送路に迂回させるように通信経路を設定する通信経路設定手段
を具備することを特徴とする通信システム。 - 前記伝送装置は、ATMスイッチを具備することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
- 前記ATMスイッチは、2以上の優先制御機能を持つATMスイッチで構成したことを特徴とする請求項2記載の通信システム。
- 前記ATMスイッチは、通常時に予備系の伝送路を使用するデータは通常時に現用系の伝送路を使用するデータの優先順位よりも低位に選択する手段を備えることを特徴とする請求項3記載の通信システム。
- 複数の伝送装置を現用系と予備系から成る2重系のリング状伝送路で接続し、帯域保証型の固定レートデータおよび帯域非保証型の可変レートデータの通信を行う通信システムにおいて、
通信開始に際して前記帯域保証型の固定レートデータの通信に用いる前記現用系の最大通信帯域を申告する申告手段と、
通常時には、前記申告手段で申告された最大通信帯域の範囲内で前記帯域保証型の固定レートデータの通信を前記現用系を用いて行うように通信経路を設定するとともに、前記帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記予備系を用いて行うように通信経路を設定し、前記伝送装置または前記伝送装置間の伝送路の故障時には、該故障区間を切り離して、前記帯域保証型の固定レートデータの通信を前記予備系に迂回させて該帯域保証型の固定レートデータの通信を継続させるとともに、前記帯域非保証型の可変レートデータの通信に用いる通信帯域を該予備系の残りの通信帯域まで縮小して該縮小した帯域非保証型の可変レートデータの通信を前記現用系に迂回させて該帯域非保証型の可変レートデータの通信を継続させる通信経路設定手段と
を具備することを特徴とする通信システム。
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