JP3805907B2 - 温度制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハ等の被温度制御対象物の温度制御を行う温度制御装置に関し、詳しくは、所望の設定温度に調整した温度流体を被温度制御対象物に循環供給することによって当該被温度制御対象物の温度制御を行う温度制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被温度制御対象物の温度制御を行う温度制御装置には、当該被温度制御対象物に対して所望の設定温度に調整した温度流体を循環供給するようにしたものが提供されている。
【0003】
この種の温度制御装置では、供給した温度流体と被温度制御対象物との間の熱交換により、当該被温度制御対象物を速やかに所望の温度に制御することが可能である。
【0004】
通常、上記のような温度制御装置では、温度流体の循環供給系に蓄熱タンクを介在させるようにしている。蓄熱タンクは、チラー等の冷却手段、あるいはヒータ等の加熱手段によって所定の温度状態に調整された温度流体を貯留するもので、被温度制御対象物を通過した後の温度流体(以下、単に返送流体と称する)の温度変動を緩和・吸収する作用を成す。すなわち、蓄熱タンクにおいては、その内部に貯留された熱量をもつ温度流体と、上述した返送流体との間で熱の授受が行われることになり、被温度制御対象物との熱交換によって生じた返送流体の温度変動が緩和・吸収されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、温度制御すべき被温度制御対象物には、著しく大きな温度変化を伴うものがある。
【0006】
例えば、半導体の製造工程においては、塗布したレジスト膜に残存する溶剤を取り除くためにウェハを110〜130℃に加熱するプリベーキング工程や、エッチング前にレジストと基板との密着を容易にするためにウェハを120〜150℃に加熱するポストベーキング工程等の加熱工程が含まれているとともに、加熱したウェハを都度室温レベル(20℃程度)まで冷却するクーリング工程等の冷却工程が含まれている。すなわちこの半導体製造工程では、1組の加熱工程と冷却工程との間の温度差が100℃以上にも達する。
【0007】
しかも、上記半導体製造工程では、そのスループットを考慮した場合、これら加熱工程と冷却工程とを極めて短時間に切り換える必要がある。
【0008】
このため、上述した大きな温度変化が極めて短い時間に発生することになり、返送流体に発生する温度変動も極めて急激なものとなる。
【0009】
このような返送流体の急激な温度変動を緩和・吸収するためには、蓄熱タンクを大容量化するとともに、これに対応した処理能力の大きなチラーやヒータを設けることが考えられる。
【0010】
しかしながら、上記のような温度制御装置では、大容量の蓄熱タンクおよび処理能力の大きなチラーやヒータを適用するため、当然にその大型化が招来されることになり、設置スペースの増大や使用する温度流体の著しい増大等、新たな問題を生じる。
【0011】
しかも、上述した半導体製造工程は、1つのウェハに対して、洗浄、レジストコーティング、露光、現像、リンス、エッチング等々、温度変化を伴わない工程を行う時間が大半を占める。
【0012】
この結果、上記のような温度制御装置では、こうした工程においてチラーやヒータの処理能力が過剰となり、極めて大きなエネルギ損失を招来する。特に、ON/OFF制御することが困難なチラーにあっては、先に示した温度変化を伴わない工程においても、継続的に運転し続ける必要があるため、上述した問題が顕著となる。
【0013】
本発明は、上記実情に鑑みて、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することなく、温度流体の急激な温度変動を緩和・吸収することのできる温度制御装置を提供することを解決課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段および作用効果】
請求項1に記載の発明では、所望の設定温度に調整した温度流体を被温度制御対象物に循環供給することによって当該被温度制御対象物の温度制御を行う温度制御装置において、内部に温度流体を貯留するための蓄熱部および調温部を有し、かつ該蓄熱部の温度流体が調温部に流入するように構成した蓄熱タンクと、前記蓄熱タンクの蓄熱部を所定の過温度状態に調整する温度調整手段と、前記蓄熱タンクの調温部に貯留された温度流体を前記被温度制御対象物に供給する供給通路と、前記被温度制御対象物に供給された温度流体を前記蓄熱タンクの調温部に返送させる調温部用返送通路と、前記被温度制御対象物に供給された温度流体を前記蓄熱タンクの蓄熱部に返送させる蓄熱部用返送通路と、これら調温部用返送通路および蓄熱部用返送通路を通過する温度流体の流量比を調整する流量比調整手段と、前記被温度制御対象物から返送される温度流体の、供給温度流体に対する温度変動を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記流量比調整手段を駆動し、前記供給流体との温度変動が所定の範囲にある場合に前記蓄熱部用返送通路の通過流量よりも前記調温部用返送通路の通過流量を大きくする一方、前記供給流体との温度変動が前記所定の範囲を超えた場合に前記調温部用返送通路の通過流量よりも前記蓄熱部用返送通路の通過流量を大きくする流量制御手段とを備えるようにしている。
【0015】
この請求項1に記載の発明では、温度流体が蓄熱部用返送通路を通過した場合、過温度状態にある蓄熱タンクの蓄熱部においてその温度変動が緩和・吸収され、その後、さらに蓄熱タンクの調温部においてその温度変動が緩和・吸収されることになる。
【0016】
これら蓄熱タンクの蓄熱部および調温部は、一槽の蓄熱タンクに比べて、それぞれの緩和・吸収すべき温度変動の割合が小さく、しかも温度流体の温度変動に対して互いに相乗的に作用することになるため、当該温度流体の急激な温度変動を十分に緩和・吸収しつつ、それぞれの小容量化を図ることができる。
【0017】
さらに、温度変動が小さい場合には、温度流体の殆どが蓄熱部を通過することなく調温部に対して返送されることになる。したがって、蓄熱部を過温度状態に調整する温度調整手段としては、当該蓄熱部の容量に対応した極小型のものを適用すれば十分である。
【0018】
これらの結果、請求項1に記載の発明によれば、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することなく、温度流体の急激な温度変動を緩和・吸収することが可能となる。
【0019】
なお、過温度状態とは、蓄熱タンクに返送される温度流体の温度変動をより効率よく緩和・吸収するための温度状態である。例えば、被温度制御対象物に供給した温度流体に対して返送される温度流体が低温となる場合には、蓄熱タンクの蓄熱部をその調温部に対してより高温となる過熱状態に調整し、一方、被温度制御対象物に供給した温度流体に対して返送される温度流体が高温となる場合には、蓄熱タンクの蓄熱部をその調温部に対してより低温となる過冷却状態に調整するようにする。
【0020】
請求項2に記載の発明では、上述した請求項1に記載の発明において、被温度制御対象物から前記流量比調整手段に至る間に、該被温度制御対象物から返送される温度流体の温度変動を吸収するための熱交換手段を設けている。
【0021】
この請求項2に記載の発明によれば、上述した蓄熱タンクの蓄熱部および調温部とともに、熱交換手段が相乗的に作用して温度流体の温度変動を緩和・吸収するようになるため、蓄熱タンクの更なる小型化を図ることが可能となる。
【0022】
請求項3に記載の発明では、上述した請求項1または請求項2に記載の温度調整手段として、前記蓄熱タンクの蓄熱部に連通する吸込通路および吹出通路を有し、該吸込通路から吸い込んだ温度流体を冷却した後に吹出通路を介して前記蓄熱部に返送することによって当該蓄熱部を過冷却状態に調整する蓄熱部用冷却手段を適用している。
【0023】
この請求項3に記載の発明によれば、被温度制御対象物の冷却系に適用することが可能となる。
【0024】
しかも、温度流体の循環供給系に対して蓄熱部を過冷却状態に調整するための系を独立させることができるため、それぞれの制御が容易となる。
【0025】
請求項4に記載の発明では、上述した請求項3に記載の発明において、蓄熱タンクの蓄熱部において前記吹出通路の吹出口を前記吸込通路の吸込口よりも上方に配置している。
【0026】
この請求項4に記載の発明によれば、蓄熱部に発生する自然対流により、動力源を要することなく当該蓄熱部の温度を均一にすることができる。
【0027】
請求項5に記載の発明では、上述した請求項4に記載の発明において、吹出通路の吹出口を下方に向けて開口させている。
【0028】
この請求項5に記載の発明によれば、上述した自然対流による蓄熱部の温度均一化が一層顕著となる。
【0029】
請求項6に記載の発明では、上述した請求項1または請求項2に記載の温度調整手段として、前記蓄熱タンクの蓄熱部に配置し、該蓄熱部を過熱状態に調整する蓄熱部用加熱手段を適用している。
【0030】
この請求項6に記載の発明によれば、被温度制御対象物の加熱系に適用することが可能となる。
【0031】
請求項7に記載の発明では、所望の設定温度に調整した温度流体を被温度制御対象物に循環供給することによって当該被温度制御対象物の温度制御を行う温度制御装置において、内部に温度流体を貯留するための蓄熱部および調温部を有し、かつ該蓄熱部の温度流体が調温部に流入するように構成した蓄熱タンクと、前記蓄熱タンクの調温部に貯留された温度流体を前記被温度制御対象物に供給する供給通路と、前記被温度制御対象物に供給された温度流体が排出される主返送通路と、前記主返送通路を通過する温度流体を冷却することによって該温度流体を所定の過冷却状態に調整する返送通路用冷却手段と、前記返送通路用冷却手段を通過した温度流体を前記蓄熱タンクの調温部に返送させる調温部用返送通路と、前記返送通路用冷却手段を通過した温度流体を前記蓄熱タンクの蓄熱部に返送させる蓄熱部用返送通路と、前記調温部用返送通路を通過する温度流体を加熱することによってその過冷却状態を緩和する緩和用加熱手段と、前記調温部用返送通路および前記蓄熱部用返送通路を通過する温度流体の流量比を調整する流量比調整手段と、前記被温度制御対象物から返送される温度流体の、供給温度流体に対する温度変動を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記流量比調整手段を駆動し、前記供給流体との温度変動が所定の範囲にある場合に前記蓄熱部用返送通路の通過流量よりも前記調温部用返送通路の通過流量を大きくする一方、前記供給流体との温度変動が前記所定の範囲を超えた場合に前記調温部用返送通路の通過流量よりも前記蓄熱部用返送通路の通過流量を大きくする流量制御手段とを備えるようにしている。
【0032】
この請求項7に記載の発明では、温度流体が蓄熱部用返送通路を通過した場合、過冷却状態にある蓄熱タンクの蓄熱部においてその温度変動が緩和・吸収され、その後、さらに蓄熱タンクの調温部においてその温度変動が緩和・吸収されることになる。
【0033】
これら蓄熱タンクの蓄熱部および調温部は、一槽の蓄熱タンクに比べて、それぞれの緩和・吸収すべき温度変動の割合が小さく、しかも温度流体の温度変動に対して互いに相乗的に作用することになるため、当該温度流体の急激な温度変動を十分に緩和・吸収しつつ、それぞれの小容量化を図ることができる。
【0034】
さらに、温度変動が小さい場合には、温度流体の殆どが蓄熱部を通過することなく調温部に対して返送されることになる。したがって、蓄熱部を過冷却状態に調整する返送通路用冷却手段としては、当該蓄熱部の容量に対応した極小型のものを適用すれば十分である。
【0035】
これらの結果、請求項7に記載の発明によれば、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することなく、温度流体の急激な温度変動を緩和・吸収することが可能となる。
【0036】
請求項8に記載の発明では、上述した請求項7に記載の発明において、主返送通路において前記返送通路冷却手段を通過する以前の温度流体を前記蓄熱タンクの調温部に返送させるバイパス用返送通路をさらに備えるようにしている。
【0037】
この請求項8に記載の発明によれば、別途ヒータ等の吸熱手段を要することなく、調温部が過冷却状態になる事態を防止することが可能となる。
【0038】
請求項9に記載の発明では、上述した請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8に記載の蓄熱タンクとして、高温側が上方となるように前記蓄熱部および前記調温部を互いに上下に配置し、内部に温度成層を構成するものを適用している。
【0039】
この請求項9に記載の発明によれば、仕切を設けることなく、温度成層を利用して蓄熱タンクの内部に蓄熱部と調温部とを構成することができるようになり、蓄熱タンクの製造作業性や製造コストの点で有利となる。
【0040】
また、蓄熱部と調温部とを互いに上下に配置することにより、設置スペースの点でも有利となる。
【0041】
さらに、蓄熱部から調温部への温度流体の流入が自由であるため、ポンプ等の動力源が不要となる。
【0042】
請求項10に記載の発明では、上述した請求項9に記載の蓄熱タンクとして、前記蓄熱部および前記調温部を仕切り、かつ該蓄熱部の温度流体を前記調温部に流入させるための多数の通孔を有した多孔板を備えるものを適用している。
【0043】
この請求項10に記載の発明によれば、被温度制御対象物に対する温度流体の供給量を増大させた場合にも、多孔板によって蓄熱部と調温部とが確実に画成されるようになる。
【0044】
しかも、多孔板の通孔を通じて蓄熱部から調温部へ温度流体が流入されることになるため、ポンプ等の動力源が必要になることもない。
【0045】
請求項11に記載の発明では、上述した請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8に記載の蓄熱タンクとして、仕切板を介して前記蓄熱部および前記調温部を互いに左右に配置したものであり、該仕切板を乗り越えて前記蓄熱部の温度流体が前記調温部に流入するものを適用している。
【0046】
この請求項11に記載の発明によれば、蓄熱部と調温部とを互いに左右に配置することにより、高さに制限のある場所への設置が可能となる。
【0047】
また、仕切板によって蓄熱部と調温部とが確実に隔絶されるため、被温度制御対象物に対する温度流体の供給量を増大させることが可能となる。
【0048】
さらに、仕切板を乗り越えて蓄熱部から調温部へ温度流体が流入されることになるため、ポンプ等の駆動源が必要になることもない。
【0049】
請求項12に記載の発明では、上述した請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8または請求項9または請求項10または請求項11に記載の発明において、蓄熱タンクの蓄熱部から流入される温度流体に対して、前記供給通路の吸入口を前記調温部用返送通路の吐出口よりも離隔した位置に配置している。
【0050】
この請求項12に記載の発明によれば、蓄熱部から流入された温度流体を、調温部の温度流体と十分に混ざり合った後に被温度制御対象物へ供給することが可能となる。したがって、蓄熱部から流入された直後の温度流体が被温度制御対象物に供給される虞れが無くなり、当該被温度制御対象物の温度制御をより正確に行うことができるようになる。
【0051】
請求項13に記載の発明では、上述した請求項12に記載の発明において、調温部用返送通路を介して返送される温度流体が前記供給通路の吸入口に向けて吐出されるように当該調温部用返送通路の吐出口を開口させている。
【0052】
この請求項13に記載の発明によれば、蓄熱部から流入された温度流体をより確実に調温部の温度流体と混合させることができるようになる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、一実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1および図2は、本発明に係る温度制御装置の第1実施例を概念的に示したものである。ここで例示する温度制御装置は、
(1)ウェハ洗浄
(2)レジストコーティング
(3)プリベーキング(110〜130℃)+クーリング(20℃)
(4)露光
(5)露光後ベーキング(120〜150℃)+クーリング(20℃)
(6)現像
(7)リンス
(8)ポストベーキング(120〜150℃)+クーリング(20℃)
(9)エッチング
というプロセスを経てレジスト膜を成膜する半導体製造工程において、上述したプリベーキング+クーリング工程、または露光後ベーキング+クーリング、さらにポストベーキング+クーリング工程の際に用いられるものである。
【0054】
この温度制御装置では、最初に被温度制御対象物であるウェハWを150℃に加熱し(ベーキング)、その後、このウェハWを20℃まで冷却する(クーリング)というサイクルをウェハ単位に数十秒間隔で繰り返す制御を行う。すなわち、上記温度制御装置は、加熱の際の目標温度と、冷却の際の目標温度という2つの目標温度をもっており、これら加熱と冷却とを交互に繰り返す制御を行うものである。
【0055】
図からも明らかなように、この温度制御装置は、一対のベースプレート10を備えている。ベースプレート10は、それぞれの上面にウェハWを搭載するためのものである。これらベースプレート10は、アルミニウム等の熱伝導率の高い材質によって円形の薄板状に成形されており、それぞれの内部に密閉の流体供給室11を有している。各流体供給室11には、一方の端部に流体吸入管12を接続しているとともに、他方の端部に流体排出管13を接続している。流体吸入管12は、供給切換バルブ14から延在し、供給側三方比例バルブ15を介してそれぞれの流体供給室11に分岐連通している。流体排出管13は、返送切換バルブ16から延在し、返送側三方比例バルブ17を介してそれぞれの流体供給室11に分岐連通している。
【0056】
これら一対のベースプレート10には、供給切換バルブ14および返送切換バルブ16を介してそれぞれの流体供給室11に、加熱側流体循環供給系20および冷却側流体循環供給系40を接続している。
【0057】
加熱側流体循環供給系20は、ベースプレート10を介してウェハWの加熱を行うもので、加熱媒体となる温度流体を貯留するための加熱側蓄熱タンク21を備えている。加熱側蓄熱タンク21は、その内部における高さ方向のほぼ中央部に多孔板22を備えており、この多孔板22よりも上方に位置する部位に加熱側蓄熱部21aを構成しているとともに、該多孔板22よりも下方に位置する部位に加熱側調温部21bを構成している。多孔板22は、多数の通孔22aを有したプレートである。
【0058】
この加熱側蓄熱タンク21の加熱側調温部21bには、加熱の際の目標温度、つまり150℃近傍の温度流体が貯留されている。
【0059】
一方、加熱側蓄熱部21aには、その下方部に蓄熱部用ヒータ(蓄熱部用加熱手段)23が設けられており、該蓄熱部用ヒータ23の加熱作用によって180℃近傍の温度、つまり加熱側調温部21bよりもさらに高温の過熱状態に調整維持された温度流体が貯留されている。
【0060】
これら加熱側蓄熱部21aおよび加熱側調温部21bに貯留された温度流体は、多孔板22を介して互いに流通することが可能である。しかしながら、加熱側蓄熱部21aおよび加熱側調温部21bにおいては、温度流体の流通が通孔22aのみに規制され、かつそれぞれの温度差によって温度成層が構成されるため、互いに混合して温度が一様になってしまう事態が発生することはない。温度流体としては、フッ化炭素液(=フロリナート:登録商標)、エチレングリコール、オイル、水等の液体の中から適宜選択したものを適用している。
【0061】
また、上記加熱側蓄熱タンク21には、加熱側供給通路24と加熱側返送通路25とを接続している。
【0062】
加熱側供給通路24は、その上流側端部が吸入プレート26を介して加熱側調温部21bの下方部に連通し、かつその下流側端部が供給切換バルブ14に接続されている。吸入プレート26は、多孔性物質によってプレート状に構成したもので、多数の吸入口(図1において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で加熱側調温部21bに配置されている。なお、図中の符号27は、加熱側供給通路24に介在させた加熱側供給ポンプである。
【0063】
加熱側返送通路25は、その上流側端部が返送切換バルブ16に接続されている。加熱側返送通路25の下流側端部は、加熱側流量比調整バルブ(流量比調整手段)28を介して2分岐しており、一方が調温部用吐出プレート29を介して加熱側調温部21bの上方部に連通し、加熱側調温部用返送通路30を構成する一方、他方が蓄熱部用吐出プレート31を介して加熱側蓄熱部21aの上方部に連通し、加熱側蓄熱部用返送通路32を構成している。調温部用吐出プレート29および蓄熱部用吐出プレート31は、上述した吸入プレート26と同様に、多孔性物質によってプレート状に構成したもので、多数の吐出口(図1において矢印でその方向を示す)をそれぞれ下方に向けた状態で配置されている。
【0064】
加熱側流量比調整バルブ28は、加熱側調温部用返送通路30および加熱側蓄熱部用返送通路32を通過する温度流体の流量比を調整するための三方比例バルブである。
【0065】
この加熱側返送通路25には、返送切換バルブ16から加熱側流量比調整バルブ28に至る部位に加熱側温度センサ(温度検出手段)33を設けている。
【0066】
加熱側温度センサ33は、加熱側返送通路25を通過する温度流体の温度を検出するもので、その検出結果を加熱側バルブ制御部(流量制御手段)34に与える。
【0067】
加熱側バルブ制御部34は、加熱側温度センサ33の検出結果に基づいて上述した加熱側流量比調整バルブ28を適宜駆動するものである。具体的には、まず、加熱側温度センサ33の検出した温度流体の検出温度に基づいて、加熱側調温部21bに貯留された温度流体との温度差を求める。そしてこの温度差が予め設定した変動範囲内にある場合には、加熱側調温部用返送通路30への温度流体の通過流量を加熱側蓄熱部用返送通路32への温度流体の通過流量よりも大きく設定する。一方、上述した温度差が予め設定した変動範囲を超えている場合には、加熱側調温部用返送通路30への温度流体の通過流量を加熱側蓄熱部用返送通路32への温度流体の通過流量よりも小さく設定する作用を成す。例えば、予め設定した変動範囲を±15℃と設定し、温度差が±15℃未満である場合には、加熱側調温部用返送通路30と加熱側蓄熱部用返送通路32との通過流量比を8:2乃至7:3程度に設定する一方、温度差が±15℃を越えた場合には、加熱側調温部用返送通路30と加熱側蓄熱部用返送通路32との通過流量比を3:7乃至0:10程度に変更する。
【0068】
一方、冷却側流体循環供給系40は、ベースプレート10を介してウェハWの冷却を行うもので、冷却媒体となる温度流体を貯留するための冷却側蓄熱タンク41を備えている。冷却側蓄熱タンク41は、その内部における高さ方向のほぼ中央部に多孔板42を備えており、この多孔板42よりも下方に位置する部位に冷却側蓄熱部41aを構成しているとともに、該多孔板42よりも上方に位置する部位に冷却側調温部41bを構成している。多孔板42は、多数の通孔42aを有したプレートである。
【0069】
この冷却側蓄熱タンク41の冷却側調温部41bには、冷却の際の目標温度、つまり20℃近傍の温度流体が貯留されている。
【0070】
一方、冷却側蓄熱部41aには、冷却用循環系(蓄熱部用冷却手段)60が設けられており、この冷却用循環系60の冷却作用によって5〜10℃程度の温度、つまり冷却側調温部41bよりもさらに低温の過冷却状態に調整維持された温度流体が貯留されている。
【0071】
冷却用循環系60は、主冷却用通路61と、この主冷却用通路61中に介在させた冷却用ポンプ62および主チラー(蓄熱部用冷却手段)63とを備えて構成したもので、冷却側蓄熱部41aに貯留された温度流体を冷却用ポンプ62の駆動によって主チラー63に供給し、該主チラー63によって冷却した後の温度流体を再び冷却側蓄熱部41aに返却する。主冷却用通路61は、その上流側端部が吸込プレート64を介して冷却側蓄熱部41aの下方部に連通し、かつその下流側端部が吹出プレート65を介して冷却側蓄熱部41aの上方部に連通している。吸込プレート64および吹出プレート65は、それぞれ多孔性物質によってプレート状に構成したものである。吸込プレート64は、多数の吸込口(図1において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で配置され、一方、吹出プレート65は、多数の吹出口(図1において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で配置されている。したがって、冷却側蓄熱部41aおいては、自己の自然対流により、動力源を要することなく温度を均一にすることができる。
【0072】
これら冷却側調温部41bおよび冷却側蓄熱部41aに貯留された温度流体は、多孔板42を介して互いに流通することが可能である。しかしながら、冷却側調温部41bおよび冷却側蓄熱部41aにおいては、温度流体の流通が通孔42aのみに規制され、かつそれぞれの温度差によって温度成層が構成されるため、互いに混合して温度が一様になってしまう事態が発生することはない。温度流体としては、加熱側と同一のものを適用している。
【0073】
また、上記冷却側蓄熱タンク41には、冷却側供給通路43と冷却側返送通路44とを接続している。
【0074】
冷却側供給通路43は、その上流側端部が吸入プレート45を介して冷却側調温部41bの上方部に連通し、かつその下流側端部が供給切換バルブ14に接続されている。吸入プレート45は、多孔性物質によってプレート状に構成したもので、多数の吸入口(図1において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で冷却側調温部41bに配置されている。なお、図中の符号46は、冷却側供給通路43に介在させた冷却側供給ポンプである。
【0075】
冷却側返送通路44は、その上流側端部が返送切換バルブ16に接続されている。冷却側返送通路44の下流側端部は、冷却側流量比調整バルブ(流量比調整手段)47を介して2分岐しており、一方が調温部用吐出プレート48を介して冷却側調温部41bの下方部に連通し、冷却側調温部用返送通路49を構成する一方、他方が蓄熱部用吐出プレート50を介して冷却側蓄熱部41aの中央部に連通し、冷却側蓄熱部用返送通路51を構成している。調温部用吐出プレート48および蓄熱部用吐出プレート50は、それぞれ多孔性物質によってプレート状に構成したものである。調温部用吐出プレート48は、多数の吐出口(図1において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で配置され、一方、蓄熱部用吐出プレート50は、多数の吐出口(図1において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で配置されている。なお、蓄熱部用吐出プレート50と、上述した吸込プレート64との上下関係は、互いに逆の態様であっても構わない。
【0076】
冷却側流量比調整バルブ47は、冷却側調温部用返送通路49および冷却側蓄熱部用返送通路51を通過する温度流体の流量比を調整するための三方比例バルブである。
【0077】
この冷却側返送通路44には、返送切換バルブ16から冷却側流量比調整バルブ47に至る部位に冷却側温度センサ(温度検出手段)52および補助冷却用循環系(熱交換手段)70を順次介在させている。
【0078】
冷却側温度センサ52は、冷却側返送通路44を通過する温度流体の温度を検出するもので、その検出結果を冷却側バルブ制御部(流量制御手段)53に与える。
【0079】
冷却側バルブ制御部53は、冷却側温度センサ52の検出結果に基づいて上述した冷却側流量比調整バルブ47を適宜駆動するものである。具体的には、まず、冷却側温度センサ52の検出した温度流体の検出温度に基づいて、冷却側調温部41bに貯留された温度流体との温度差を求める。そしてこの温度差が予め設定した変動範囲内にある場合には、冷却側調温部用返送通路49への温度流体の通過流量を冷却側蓄熱部用返送通路51への温度流体の通過流量よりも大きく設定する。一方、上述した温度差が予め設定した変動範囲を超えている場合には、冷却側調温部用返送通路49への温度流体の通過流量を冷却側蓄熱部用返送通路51への温度流体の通過流量よりも小さく設定する作用を成す。例えば、予め設定した変動範囲を±15℃と設定し、温度差が±15℃未満である場合には、冷却側調温部用返送通路49と冷却側蓄熱部用返送通路51との通過流量比を8:2乃至7:3程度に設定する一方、温度差が±15℃を越えた場合には、冷却側調温部用返送通路49と冷却側蓄熱部用返送通路51との通過流量比を3:7乃至0:10程度に変更する。
【0080】
補助冷却用循環系70は、補助冷却用通路71と、この補助冷却用通路71中に介在させた補助チラー72とを備えて構成したものである。補助冷却用通路71は、その上流側端部が三方比例バルブ73を介して冷却側返送通路44に接続し、かつその下流側端部が該三方比例バルブ73よりも下流において冷却側返送通路44に接続している。
【0081】
この補助冷却用循環系70では、三方比例バルブ73がONすると、冷却側返送通路44を通過する温度流体が補助冷却用通路71によって補助チラー72に供給され、該補助チラー72によって予冷却された後の温度流体が、再び冷却側返送通路44に返却されることになる。
【0082】
以下、上記のように構成した温度制御装置において、ウェハWの温度を150℃と20℃とに数十秒間隔で交互に温度制御する場合の動作について説明する。なお、初期状態としては、加熱側供給ポンプ27および冷却側供給ポンプ46のいずれもがOFFされているものとする。
【0083】
この温度制御装置では、レジストを塗布したウェハWがそれぞれベースプレート10に載置されると、まず、供給切換バルブ14および返送切換バルブ16がそれぞれ加熱側流体循環供給系20に切り換わり、流体吸入管12が加熱側供給通路24に連通されるとともに、流体排出管13が加熱側返送通路25に連通される。
【0084】
しかる後、加熱側供給ポンプ27がONされ、加熱側蓄熱タンク21の加熱側調温部21bに貯留された150℃近傍の温度流体がベースプレート10の流体供給室11に供給されることになる。
【0085】
この状態においては、流体供給室11に供給された温度流体によってベースプレート10が直ちに150℃まで加熱されることになり、さらにこのベースプレート10の熱が速やかにウェハWに伝達され、当該ウェハWの温度が150℃に加熱維持されることになる。この結果、当該ウェハWに対するベーキングを良好に行うことが可能となる。
【0086】
この間、流体供給室11に供給された温度流体は、加熱側返送通路25を介して順次加熱側蓄熱タンク21に返送されることになる。この加熱側蓄熱タンク21に返送される温度流体は、流体供給室11においてベースプレート10およびウェハWとの熱交換を行った後のものであるため、これらベースプレート10およびウェハWとの温度差に応じて温度が変動が生じる。とりわけ、温度流体の供給開始直後においては、ウェハWの温度が室温程度、つまり20℃程度であるため、極めて短い時間に温度流体に著しく大きな温度低下が生じる。
【0087】
このような場合、上記温度制御装置では、加熱側バルブ制御部34によって加熱側流量比調整バルブ28が駆動され、上述したように、加熱側調温部用返送通路30と加熱側蓄熱部用返送通路32との通過流量比が3:7乃至0:10に設定される。すなわち、加熱側返送通路25を通過した温度流体の殆どが加熱側蓄熱部用返送通路32を介して加熱側蓄熱タンク21の加熱側蓄熱部21aに返送され、さらに加熱側調温部21bを通過した後に再びベースプレート10の流体供給室11に供給されるようになる。
【0088】
ここで、上述したように加熱側蓄熱タンク21の加熱側蓄熱部21aには、蓄熱部用ヒータ23によって180℃という過熱状態に調整維持された温度流体が貯留されている。したがって、大きな温度変動が生じた温度流体は、この加熱側蓄熱部21aにおいて十分に加熱され、加熱側調温部21bにおいて温度変動を緩和・吸収することができる程度の温度となる。
【0089】
また、加熱側供給通路24の吸入口を構成する吸入プレート26を、加熱側調温部21bにおいて多孔板22から離隔した位置に配置している。したがって、加熱側蓄熱部21aから流入された温度流体が、直ちに加熱側供給通路24に吸入される虞れが無く、加熱側調温部21bの温度流体と十分に混ざり合った後にベースプレート10の流体供給室11に供給されるようになる。
【0090】
この結果、上記温度制御装置によれば、温度流体に急激な温度変動が生じた場合にも、加熱側蓄熱部21aおよび加熱側調温部21bを通過する際に、それぞれにおいて温度変動を十分に緩和・吸収することができるようになり、ベースプレート10の流体供給室11に対して常に加熱の際の目標温度に調整された温度流体を供給することが可能となる。
【0091】
しかも、これら加熱側蓄熱タンク21の加熱側蓄熱部21aおよび加熱側調温部21bは、一槽の蓄熱タンクに比べて、それぞれの緩和・吸収すべき温度変動の割合が小さくてよい。さらに、温度流体の温度変動に対して互いに相乗的に作用することになる。このため、温度流体の急激な温度変動を十分に緩和・吸収しつつ、それぞれの小容量化を図ることができ、設置スペースの増大や使用する温度流体の著しい増大といった問題を生じる虞れがない。また、多孔板22の通孔22aを通じて加熱側蓄熱部21aに貯留した温度流体が加熱側調温部21bに流入するようになるため、当該温度流体を流入させるために別途ポンプ等の駆動源を設ける必要が無い。
【0092】
なお、上述した温度制御装置においては、加熱側蓄熱部21aと加熱側調温部21bとの間に多孔板22を配置しているため、ベースプレート10に対する温度流体の供給量を増大させた場合にも、それぞれの温度状態が確実に維持されるようになる。しかしながら、加熱側蓄熱部21aを加熱側調温部21bの上方に設ける場合には、温度成層によってそれぞれの温度状態を維持することができる。したがって、ベースプレート10に対する温度流体の供給量が小さい場合には、多孔板22を配置しないものにあっても、同様の作用効果を期待することができる。また、多孔板22を設ける場合には、必ずしも独立したものを設ける必要はなく、調温部用吐出プレート29によって多孔板22を代用することが可能である。
【0093】
一方、ウェハWが150℃近傍の温度に加熱された以降においては、加熱側蓄熱タンク21に返送される温度流体の温度変動が小さくなる。
【0094】
このような場合、上記温度制御装置では、加熱側バルブ制御部34によって加熱側流量比調整バルブ28が駆動され、上述したように、加熱側調温部用返送通路30と加熱側蓄熱部用返送通路32との通過流量比が8:2乃至7:3程度に変更される。すなわち、加熱側返送通路25を通過した温度流体の殆どが加熱側調温部用返送通路30を介して加熱側蓄熱タンク21の加熱側調温部21bに返送され、当該加熱側調温部21bにおいて温度変動が十分に緩和・吸収された後、再びベースプレート10の流体供給室11に供給されるようになる。
【0095】
この間、加熱側蓄熱タンク21の加熱側蓄熱部21aにおいては、蓄熱部用ヒータ23の駆動によって温度流体が加熱され、次の急激な温度変動を吸収するための準備が整えられる。この場合、上記温度制御装置によれば、蓄熱部用ヒータ23として加熱側蓄熱部21aに貯留された温度流体を加熱するだけの極小型のものを用意すればよい。したがって、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することがない。
【0096】
以上のような動作によってウェハWを150℃に加熱して行うベーキング工程が終了すると、以下に示すように、今度はウェハWの温度を20℃まで冷却するクーリング工程を実行する。
【0097】
まず、加熱側供給ポンプ27がOFFされ、その後、供給切換バルブ14および返送切換バルブ16がそれぞれ冷却側流体循環供給系40に切り換わり、流体吸入管12が冷却側供給通路43に連通され、かつ流体排出管13が冷却側返送通路44に連通される。
【0098】
しかる後、冷却側供給ポンプ46がONされ、冷却側蓄熱タンク41の冷却側調温部41bに貯留された20℃近傍の温度流体がベースプレート10の流体供給室11に供給されることになる。
【0099】
この状態においては、流体供給室11に供給された温度流体によってベースプレート10が直ちに20℃まで冷却されるようになり、さらにウェハWの熱がベースプレート10を介して放熱されることになり、当該ウェハWの温度が20℃に冷却維持されることになる。この結果、当該ウェハWに対するクーリングを良好に行うことが可能となる。
【0100】
この間、流体供給室11に供給された温度流体は、冷却側返送通路44を介して順次冷却側蓄熱タンク41に返送されることになる。この冷却側蓄熱タンク41に返送される温度流体は、流体供給室11においてベースプレート10およびウェハWとの熱交換を行った後のものであるため、これらベースプレート10およびウェハWとの温度差に応じて温度が変動が生じる。とりわけ、温度流体の供給開始直後においては、ウェハWの温度が150℃程度であるため、極めて短い時間に温度流体に著しく大きな温度上昇が生じる。
【0101】
このような場合、上記温度制御装置では、冷却側バルブ制御部53によって冷却側流量比調整バルブ47が駆動され、上述したように、冷却側調温部用返送通路49と冷却側蓄熱部用返送通路51との通過流量比が3:7乃至0:10に設定される。すなわち、冷却側返送通路44を通過した温度流体の殆どが冷却側蓄熱部用返送通路51を介して冷却側蓄熱タンク41の冷却側蓄熱部41aに返送され、さらに冷却側調温部41bを通過した後に再びベースプレート10の流体供給室11に供給されるようになる。
【0102】
ここで、上述したように冷却側蓄熱タンク41の冷却側蓄熱部41aには、冷却用循環系60によって5〜10℃程度という過冷却状態に調整維持された温度流体が貯留されている。したがって、大きな温度変動が生じた温度流体は、この冷却側蓄熱部41aにおいて十分に冷却され、冷却側調温部41bにおいて温度変動を緩和・吸収することができる程度の温度となる。
【0103】
また、冷却側供給通路43の吸入口を構成する吸入プレート45を、冷却側調温部41bにおいて多孔板42から離隔した位置に配置している。したがって、冷却側蓄熱部41aから流入された温度流体が、直ちに冷却側供給通路43に吸入される虞れが無く、冷却側調温部41bの温度流体と十分に混ざり合った後にベースプレート10の流体供給室11に供給されるようになる。
【0104】
この結果、上記温度制御装置によれば、温度流体に急激な温度変動が生じた場合にも、冷却側蓄熱部41aおよび冷却側調温部41bを通過する際に、それぞれにおいて温度変動を十分に緩和・吸収することができるようになり、ベースプレート10の流体供給室11に対して常に冷却の際の目標温度に調整された温度流体を供給することが可能となる。
【0105】
しかも、これら冷却側蓄熱タンク41の冷却側蓄熱部41aおよび冷却側調温部41bは、一槽の蓄熱タンクに比べて、それぞれの緩和・吸収すべき温度変動の割合が小さくてよい。さらに、温度流体の温度変動に対して互いに相乗的に作用することになる。このため、温度流体の急激な温度変動を十分に緩和・吸収しつつ、それぞれの小容量化を図ることができ、設置スペースの増大や使用する温度流体の著しい増大といった問題を生じる虞れがない。また、多孔板42の通孔42aを通じて冷却側蓄熱部41aに貯留した温度流体が冷却側調温部41bに流入するようになるため、当該温度流体を流入させるために別途ポンプ等の駆動源を設ける必要が無い。さらに、上記温度制御装置によれば、補助冷却用循環系70を駆動することによって冷却側返送通路44を通過する温度流体を予冷却することができるため、冷却側蓄熱部41aおよび冷却側調温部41bの一層の小容量化を図ることができる。
【0106】
なお、上述した温度制御装置においても、冷却側蓄熱部41aと冷却側調温部41bとの間に多孔板42を配置しているため、ベースプレート10に対する温度流体の供給量を増大させた場合にも、それぞれの温度状態が確実に維持されるようになる。しかしながら、冷却側蓄熱部41aを冷却側調温部41bの下方に設ける場合には、温度成層によってそれぞれの温度状態を維持することができる。したがって、ベースプレート10に対する温度流体の供給量が小さい場合には、多孔板42を配置しないものにあっても、同様の作用効果を期待することができる。また、多孔板42を設ける場合には、必ずしも独立したものを設ける必要はなく、調温部用吐出プレート48、あるいは吹出プレート65によって多孔板42を代用することも可能である。
【0107】
一方、ウェハWが20℃近傍の温度に冷却された以降においては、冷却側蓄熱タンク41に返送される温度流体の温度変動が小さくなる。
【0108】
このような場合、上記温度制御装置では、冷却側バルブ制御部53によって冷却側流量比調整バルブ47が駆動され、上述したように、冷却側調温部用返送通路49と冷却側蓄熱部用返送通路51との通過流量比が8:2乃至7:3程度に変更される。すなわち、冷却側返送通路44を通過した温度流体の殆どが冷却側調温部用返送通路49を介して冷却側蓄熱タンク41の冷却側調温部41bに返送され、当該冷却側調温部41bにおいて温度変動が十分に緩和・吸収された後、再びベースプレート10の流体供給室11に供給されるようになる。
【0109】
この間、冷却側蓄熱タンク41の冷却側蓄熱部41aにおいては、冷却用循環系60の駆動によって温度流体が冷却され、次の急激な温度変動を吸収するための準備が整えられる。この場合、上記温度制御装置によれば、冷却用循環系60に設ける主チラー63として冷却側蓄熱部41aに貯留された温度流体を冷却するだけの極小型のものを用意すればよい。したがって、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することがない。
【0110】
以上のようにして、ウェハWのクーリング工程が終了すると、当該ウェハWが新たなウェハWと交換され、この新たなウェハWに対して同様の加熱、冷却が繰り返し行われる。
【0111】
このように、上記温度制御装置によれば、加熱側流体循環供給系20および冷却側流体循環供給系40のいずれにおいても、蓄熱タンク21,41に蓄熱部21a,41aおよび調温部21b,41bを設け、かつ流量比調整バルブ28,47の駆動により、温度流体の温度変動が大きい場合にのみ蓄熱部21a,41aへ返送される温度流体の流量を多くするようにしているため、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することなく、温度流体の急激な温度変動を緩和・吸収することが可能となる。
【0112】
なお、上述した第1実施形態では、加熱側および冷却側のいずれにおいても蓄熱部21a,41aと調温部21b,41bとを互いに上下に配置しているため、設置スペースの点で有利となる。しかしながら、本発明では、必ずしも蓄熱部および調温部を互いに上下に配置する必要はなく、蓄熱部および調温部を互いに左右方向に配置しても構わない。
【0113】
図3は、蓄熱部および調温部を互いに左右方向に配置した温度制御装置の第2実施形態を示したものである。ここで例示する温度制御装置も、第1実施形態と同様に、先に記載した(1)乃至(9)というプロセスを経てレジスト膜を成膜する半導体製造工程において、上述したプリベーキング+クーリング工程、または露光後ベーキング+クーリング、さらにポストベーキング+クーリング工程の際に用いられるものである。
【0114】
図からも明らかなように、この温度制御装置では、加熱側蓄熱タンク21′および冷却側蓄熱タンク41′のそれぞれに仕切板22′,42′を立設し、個々の蓄熱部21a′,41a′および調温部21b′,41b′を互いに左右方向に配置している。
【0115】
加熱側蓄熱タンク21′には、加熱側蓄熱部21a′の内部にその上方から順次、蓄熱部用ヒータ(蓄熱部用加熱手段)23′および蓄熱部用吐出プレート31′を配置し、また加熱側調温部21b′の内部にその上方から順次、調温部用吐出プレート29′および吸入プレート26′を配置している。加熱側蓄熱部21a′において、蓄熱部用吐出プレート31′は、多数の吐出口(図3において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で配置されている。加熱側調温部21b′において、調温部用吐出プレート29′は、多数の吐出口(図3において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で配置され、また吸入プレート26′は、多数の吸入口(図3において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で配置されている。
【0116】
この加熱側蓄熱タンク21′には、加熱側調温部21b′に加熱の際の目標温度、つまり150℃近傍の温度流体が貯留され、一方、加熱側蓄熱部21a′に180℃近傍の温度、つまり加熱側調温部21b′よりもさらに高温の過熱状態に調整維持された温度流体が貯留されている。
【0117】
これら加熱側蓄熱部21a′および加熱側調温部21b′に貯留された温度流体は、仕切板22′によって互いに流通することができないため、互いに温度が一様になってしまう事態が発生することはない。しかしながら、加熱側蓄熱部21a′に貯留された温度流体がオーバーフローした場合には、当該加熱側蓄熱部21a′に貯留された温度流体が加熱側調温部21b′に流入することが可能である。温度流体としては、第1実施形態と同一のものを適用している。
【0118】
一方、冷却側蓄熱タンク41′には、冷却側蓄熱部41a′の内部にその上方から順次、吹出プレート65′、蓄熱部用吐出プレート50′および吸込プレート64′を配置し、また冷却側調温部41b′の内部にその上方から順次、調温部用吐出プレート48′および吸入プレート45′を配置している。冷却側蓄熱部41a′においては、吹出プレート65′が多数の吹出口(図3において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で配置され、また蓄熱部用吐出プレート50′が多数の吐出口(図3において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で配置され、さらに吸込プレート64′が多数の吸込口(図3において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で配置されている。冷却側調温部41b′においては、調温部用吐出プレート48′が多数の吐出口(図3において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で配置され、吸入プレート45′が多数の吸入口(図3において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で配置されている。
【0119】
この冷却側蓄熱タンク41′には、冷却側調温部41b′に冷却の際の目標温度、つまり20℃近傍の温度流体が貯留され、一方、冷却側蓄熱部41a′に5〜10℃程度の温度、つまり冷却側調温部41b′よりもさらに低温の過冷却状態に調整維持された温度流体が貯留されている。
【0120】
これら冷却側蓄熱部41a′および冷却側調温部41b′に貯留された温度流体は、仕切板42′によって互いに流通することができないため、互いに温度が一様になってしまう事態が発生することはない。しかしながら、冷却側蓄熱部41a′に貯留された温度流体がオーバーフローした場合には、当該冷却側蓄熱部41a′に貯留された温度流体が冷却側調温部41b′に流入することが可能である。温度流体としては、第1実施形態と同一のものを適用している。
【0121】
なお、その他の構成に関しては、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0122】
上記のように構成した温度制御装置においても、第1実施形態と同様に、ウェハWにベーキングを行う場合には、供給切換バルブ14および返送切換バルブ16がそれぞれ加熱側流体循環供給系20に切り換わった後、加熱側供給ポンプ27がONされ、加熱側蓄熱タンク21′の加熱側調温部21b′に貯留された150℃近傍の温度流体がベースプレート10の流体供給室(図示せず)に供給されることになる。
【0123】
これにより、流体供給室(図示せず)に供給された温度流体によってベースプレート10が直ちに150℃まで加熱され、さらにこのベースプレート10の熱が速やかにウェハWに伝達されて150℃に加熱維持されることになり、当該ウェハWに対するベーキングを良好に行うことが可能となる。
【0124】
この間、加熱側返送通路25を介して順次加熱側蓄熱タンク21′に返送される温度流体は、その温度変動が大きい場合、加熱側バルブ制御部34による加熱側流量比調整バルブ28の駆動により、その殆どが加熱側蓄熱部用返送通路32を介して加熱側蓄熱タンク21′の加熱側蓄熱部21a′に返送され、さらにオーバーフローして加熱側調温部21b′を通過した後に再びベースプレート10の流体供給室(図示せず)に供給されるようになる。
【0125】
ここで、上述したように加熱側蓄熱タンク21′の加熱側蓄熱部21a′には、蓄熱部用ヒータ23′によって180℃という過熱状態に調整維持された温度流体が貯留されている。したがって、大きな温度変動が生じた温度流体は、この加熱側蓄熱部21a′において十分に加熱され、加熱側調温部21b′において温度変動を緩和・吸収することができる程度の温度となる。
【0126】
また、加熱側供給通路24の吸入口を構成する吸入プレート26′を、加熱側調温部21b′において、加熱側蓄熱部21a′からオーバーフローした温度流体から離隔した位置に配置している。したがって、加熱側蓄熱部21a′から流入された温度流体が、直ちに加熱側供給通路24に吸入される虞れが無く、加熱側調温部21b′の温度流体と十分に混ざり合った後にベースプレート10の流体供給室(図示せず)に供給されるようになる。
【0127】
この結果、上記温度制御装置によれば、温度流体に急激な温度変動が生じた場合にも、加熱側蓄熱部21a′および加熱側調温部21b′を通過する際に、それぞれにおいて温度変動を十分に緩和・吸収することができるようになり、ベースプレート10の流体供給室(図示せず)に対して常に加熱の際の目標温度に調整された温度流体を供給することが可能となる。
【0128】
しかも、これら加熱側蓄熱タンク21′の加熱側蓄熱部21a′および加熱側調温部21b′は、一槽の蓄熱タンクに比べて、それぞれの緩和・吸収すべき温度変動の割合が小さくてよい。さらに、温度流体の温度変動に対して互いに相乗的に作用することになる。このため、温度流体の急激な温度変動を十分に緩和・吸収しつつ、それぞれの小容量化を図ることができ、設置スペースの増大や使用する温度流体の著しい増大といった問題を生じる虞れがない。さらに小容量の加熱側蓄熱部21a′および加熱側調温部21b′を互いに左右方向に配置しているため、高さに制限があるスペースへの設置も可能となる。また、加熱側蓄熱部21a′に貯留した温度流体がオーバーフローして加熱側調温部21b′に流入するようになるため、当該温度流体を流入させるために別途ポンプ等の駆動源を設ける必要が無い。
【0129】
なお、上述した温度制御装置においては、加熱側蓄熱部21a′と加熱側調温部21b′との間に仕切板22′を配置しているため、ベースプレート10に対する温度流体の供給量を増大させた場合にも、それぞれの温度状態が確実に維持されるようになる。
【0130】
一方、ウェハWが150℃近傍の温度に加熱された以降においては、加熱側蓄熱タンク21′に返送される温度流体の温度変動が小さくなる。
【0131】
このような場合、上記温度制御装置では、加熱側バルブ制御部34による加熱側流量比調整バルブ28の駆動により、その殆どが加熱側調温部用返送通路30を介して加熱側蓄熱タンク21′の加熱側調温部21b′に返送され、当該加熱側調温部21b′において温度変動が十分に緩和・吸収された後、再びベースプレート10の流体供給室(図示せず)に供給されるようになる。
【0132】
この間、加熱側蓄熱タンク21′の加熱側蓄熱部21a′においては、蓄熱部用ヒータ23′の駆動によって温度流体が加熱され、次の急激な温度変動を吸収するための準備が整えられる。この場合、上記温度制御装置によれば、蓄熱部用ヒータ23′として加熱側蓄熱部21a′に貯留された温度流体を加熱するだけの極小型のものを用意すればよい。したがって、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することがない。
【0133】
以上のような動作によってウェハWを150℃に加熱して行うベーキング工程が終了すると、以下に示すように、今度はウェハWの温度を20℃まで冷却するクーリング工程を実行する。
【0134】
すなわち、加熱側供給ポンプ27がOFFされ、供給切換バルブ14および返送切換バルブ16がそれぞれ冷却側流体循環供給系40に切り換わった後、冷却側供給ポンプ46がONされ、冷却側蓄熱タンク41′の冷却側調温部41b′に貯留された20℃近傍の温度流体がベースプレート10の流体供給室(図示せず)に供給されることになる。
【0135】
これにより、流体供給室(図示せず)に供給された温度流体によってベースプレート10が直ちに20℃まで冷却され、さらにウェハWの熱がベースプレート10を介して放熱されるようになり、当該ウェハWに対するクーリングを良好に行うことが可能となる。
【0136】
この間、冷却側蓄熱タンク41′に返送される温度流体は、その温度変動が大きい場合、冷却側バルブ制御部53による冷却側流量比調整バルブ47の駆動により、その殆どが冷却側蓄熱部用返送通路51を介して冷却側蓄熱タンク41′の冷却側蓄熱部41a′に返送され、さらにオーバーフローして冷却側調温部41b′を通過した後に再びベースプレート10の流体供給室(図示せず)に供給されるようになる。
【0137】
ここで、上述したように冷却側蓄熱タンク41′の冷却側蓄熱部41a′には、冷却用循環系60によって5〜10℃程度という過冷却状態に調整維持された温度流体が貯留されている。したがって、大きな温度変動が生じた温度流体は、この冷却側蓄熱部41a′において十分に冷却され、冷却側調温部41b′において温度変動を緩和・吸収することができる程度の温度となる。
【0138】
また、冷却側供給通路43の吸入口を構成する吸入プレート45′を、冷却側調温部41b′において、冷却側蓄熱部41a′からオーバーフローした温度流体から離隔した位置に配置している。したがって、冷却側蓄熱部41a′から流入された温度流体が、直ちに冷却側供給通路43に吸入される虞れが無く、冷却側調温部41b′の温度流体と十分に混ざり合った後にベースプレート10の流体供給室(図示せず)に供給されるようになる。
【0139】
この結果、上記温度制御装置によれば、温度流体に急激な温度変動が生じた場合にも、冷却側蓄熱部41a′および冷却側調温部41b′を通過する際に、それぞれにおいて温度変動を十分に緩和・吸収することができるようになり、ベースプレート10の流体供給室(図示せず)に対して常に冷却の際の目標温度に調整された温度流体を供給することが可能となる。
【0140】
しかも、これら冷却側蓄熱タンク41′の冷却側蓄熱部41a′および冷却側調温部41b′は、一槽の蓄熱タンクに比べて、それぞれの緩和・吸収すべき温度変動の割合が小さくてよい。さらに、温度流体の温度変動に対して互いに相乗的に作用することになる。このため、温度流体の急激な温度変動を十分に緩和・吸収しつつ、それぞれの小容量化を図ることができ、設置スペースの増大や使用する温度流体の著しい増大といった問題を生じる虞れがない。さらに小容量の冷却側蓄熱部41a′および冷却側調温部41b′を互いに左右方向に配置しているため、高さに制限があるスペースへの設置も可能となる。また、冷却側蓄熱部41a′に貯留した温度流体がオーバーフローして冷却側調温部41b′に流入するようになるため、当該温度流体を流入させるために別途ポンプ等の駆動源を設ける必要が無い。
【0141】
なお、上述した温度制御装置においては、冷却側蓄熱部41a′と冷却側調温部41b′との間に仕切板42′を配置しているため、ベースプレート10に対する温度流体の供給量を増大させた場合にも、それぞれの温度状態が確実に維持されるようになる。
【0142】
一方、ウェハWが20℃近傍の温度に冷却された以降においては、冷却側蓄熱タンク41′に返送される温度流体の温度変動が小さくなる。
【0143】
このような場合、上記温度制御装置では、冷却側バルブ制御部53による冷却側流量比調整バルブ47の駆動により、冷却側返送通路44を通過した温度流体の殆どが冷却側調温部用返送通路49を介して冷却側蓄熱タンク41′の冷却側調温部41b′に返送され、当該冷却側調温部41b′において温度変動が十分に緩和・吸収された後、再びベースプレート10の流体供給室(図示せず)に供給されるようになる。
【0144】
この間、冷却側蓄熱タンク41′の冷却側蓄熱部41a′においては、冷却用循環系60の駆動によって温度流体が冷却され、次の急激な温度変動を吸収するための準備が整えられる。この場合、上記温度制御装置によれば、冷却用循環系60に設ける主チラー63として冷却側蓄熱部41a′に貯留された温度流体を冷却するだけの極小型のものを用意すればよい。したがって、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することがない。
【0145】
以上のようにして、ウェハWのクーリング工程が終了すると、当該ウェハWが新たなウェハWと交換され、この新たなウェハWに対して同様の加熱、冷却が繰り返し行われる。
【0146】
このように、上記温度制御装置によれば、加熱側流体循環供給系20および冷却側流体循環供給系40のいずれにおいても、蓄熱タンク21′,41′に蓄熱部21a′,41a′および調温部21b′,41b′を設け、かつ流量比調整バルブ28,47の駆動により、温度流体の温度変動が大きい場合にのみ蓄熱部21a′,41a′へ返送される温度流体の流量を多くするようにしているため、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することなく、温度流体の急激な温度変動を緩和・吸収することが可能となる。
【0147】
なお、上述した第1実施形態および第2実施形態では、加熱側および冷却側において、互いに同一の態様で蓄熱部と調温部とを配置した蓄熱タンクを適用するようにしているが、本発明ではこれらに限定されず、例えば加熱側において蓄熱部と調温部とを互いに上下に配置した蓄熱タンクを適用する一方、冷却側において蓄熱部と調温部とを互いに左右に配置した蓄熱タンクを適用するようにしてもよいし、もちろんこの逆の態様の蓄熱タンクを適用することも可能である。また、蓄熱部と調温部とを配置した蓄熱タンクは必ずしも加熱側および冷却側の両者に用いる必要はない。例えば冷却側のみ本発明のタンクを適用し、加熱側に関しては従来と同様のタンクを適用するようにしてもよいし、この逆の態様でも構わない。
【0148】
図4は、本発明に係る温度制御装置の第3実施形態を概念的に示したものである。ここで例示する温度制御装置も、第1実施形態と同様に、先の(1)乃至(9)というプロセスを経てレジスト膜を成膜する半導体製造工程において、上述したプリベーキング+クーリング工程、または露光後ベーキング+クーリング、さらにポストベーキング+クーリング工程の際に用いられるものである。
【0149】
図からも明らかなように、この温度制御装置は、一対のベースプレート110を備えている。ベースプレート110は、それぞれの上面に被温度制御対象物であるウェハWを搭載するためのものである。これらベースプレート110は、アルミニウム等の熱伝導率の高い材質によって円形の薄板状に成形されており、それぞれの上面に薄膜ヒータ111を備えているとともに、それぞれの内部に密閉の流体供給室(図示せず)を有している。
【0150】
薄膜ヒータ111は、ウェハWの加熱を行うもので、図には明示していないが、ポリイミド樹脂等のように耐熱応力性を有した樹脂の内部に発熱抵抗線を適宜形状、具体的にはその全領域が等発熱密度となる形状に敷設したものである。この薄膜ヒータ111は、加熱すべきウェハWよりも大きな直径を有した薄膜円板状を成しており、溶着シート等の接着手段によって上記ベースプレート110に接着されている。なお、この薄膜ヒータ111の上面には、適宜箇所に0.1mm程度突出するシム(図示せず)を設けている。
【0151】
各流体供給室(図示せず)には、一方の端部に流体吸入管112を接続しているとともに、他方の端部に流体排出管113を接続している。各流体吸入管112は、それぞれ供給ON/OFFバルブ118を具備し、さらに供給側三方比例バルブ115を介して互いに接続されている。一方、各流体排出管113は、返送側三方比例バルブ117を介して互いに接続されている。なお、図中の符号119は、供給ON/OFFバルブ118がOFFされている場合に供給側三方比例バルブ115と返送側三方比例バルブ117との間をバイパスさせるバイパス通路である。
【0152】
これら一対のベースプレート110には、供給側三方比例バルブ115および返送側三方比例バルブ117を介してそれぞれの流体供給室(図示せず)に、冷却側流体循環供給系140を接続している。
【0153】
冷却側流体循環供給系140は、ベースプレート110を介してウェハWの冷却を行うもので、冷却媒体となる温度流体を貯留するための冷却側蓄熱タンク141を備えている。冷却側蓄熱タンク141は、その内部における高さ方向のほぼ中央部に多孔板142を備えており、この多孔板142よりも下方に位置する部位に冷却側蓄熱部141aを構成しているとともに、該多孔板142よりも上方に位置する部位に冷却側調温部141bを構成している。多孔板142は、多数の通孔142aを有したプレートである。
【0154】
この冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bには、冷却の際の目標温度、つまり20℃近傍の温度流体が貯留されている。
【0155】
一方、冷却側蓄熱部141aには、後述する返送通路用チラー(返送通路用冷却手段)170の冷却作用により、5〜10℃程度の温度、つまり冷却側調温部141bよりもさらに低温の過冷却状態に調整維持された温度流体が貯留されている。
【0156】
これら冷却側調温部141bおよび冷却側蓄熱部141aに貯留された温度流体は、多孔板142を介して互いに流通することが可能である。しかしながら、冷却側調温部141bおよび冷却側蓄熱部141aにおいては、温度流体の流通が通孔142aのみに規制され、かつそれぞれの温度差によって温度成層が構成されるため、互いに混合して温度が一様になってしまう事態が発生することはない。温度流体としては、第1実施形態と同一のものを適用している。
【0157】
また、上記冷却側蓄熱タンク141には、冷却側供給通路143と冷却側返送通路144とを接続している。
【0158】
冷却側供給通路143は、その上流側端部が吸入プレート145を介して冷却側調温部141bの上方部に連通し、かつその下流側端部が供給側三方比例バルブ115に接続されている。吸入プレート145は、多孔性物質によってプレート状に構成したもので、多数の吸入口(図4において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で冷却側調温部141bに配置されている。なお、図中の符号146は、冷却側供給通路143に介在させた冷却側供給ポンプである。
【0159】
冷却側返送通路144は、冷却側主返送通路144aと、この冷却側主返送通路144aの下流側端部において2分岐した冷却側調温部用返送通路149および冷却側蓄熱部用返送通路151とを備えて構成している。
【0160】
冷却側主返送通路144aは、その上流側端部が返送側三方比例バルブ117に接続されたもので、その経路中に返送通路用チラー170を備えている。返送通路用チラー170は、冷却側主返送通路144aを通過する温度流体と熱交換を行うことにより、当該温度流体の冷却を行うものである。
【0161】
冷却側調温部用返送通路149は、調温部用吐出プレート148を介して冷却側調温部141bの中央部に連通し、また冷却側蓄熱部用返送通路151は、蓄熱部用吐出プレート150を介して冷却側蓄熱部141aの下方部に連通している。調温部用吐出プレート148および蓄熱部用吐出プレート150は、それぞれ多孔性物質によってプレート状に構成したもので、多数の吐出口(図4において矢印でその方向を示す)をそれぞれ上方に向けた状態で配置されている。
【0162】
また、冷却側調温部用返送通路149には、調温部用吐出プレート148に至る間に緩和用ヒータ(緩和用加熱手段)120を介在させている。緩和用ヒータ120は、冷却側調温部用返送通路149を通過する温度流体と熱交換を行うことにより、上記返送通路用チラー170によって冷却された温度流体を20℃程度まで加熱するためのものである。
【0163】
さらに、冷却側返送通路144には、冷却側調温部用返送通路149と冷却側蓄熱部用返送通路151との分岐部に冷却側流量比調整バルブ(流量比調整手段)147を介在させているとともに、返送側三方比例バルブ117から返送通路用チラー170に至る間に冷却側温度センサ(温度検出手段)152を介在させている。
【0164】
冷却側流量比調整バルブ147は、冷却側調温部用返送通路149および冷却側蓄熱部用返送通路151を通過する温度流体の流量比を調整するための三方比例バルブである。
【0165】
冷却側温度センサ152は、冷却側主返送通路144aを通過する温度流体の温度を検出するもので、その検出結果を冷却側バルブ制御部(流量制御手段)153に与える。
【0166】
冷却側バルブ制御部153は、冷却側温度センサ152の検出結果に基づいて上述した冷却側流量比調整バルブ147を適宜駆動するものである。具体的には、まず、冷却側温度センサ152の検出した温度流体の検出温度に基づいて、冷却側調温部141bに貯留された温度流体との温度差を求める。そしてこの温度差が予め設定した変動範囲内にある場合には、冷却側調温部用返送通路149への温度流体の通過流量を冷却側蓄熱部用返送通路151への温度流体の通過流量よりも大きく設定する。一方、上述した温度差が予め設定した変動範囲を超えている場合には、冷却側調温部用返送通路149への温度流体の通過流量を冷却側蓄熱部用返送通路151への温度流体の通過流量よりも小さく設定する作用を成す。例えば、予め設定した変動範囲を±15℃と設定し、温度差が±15℃未満である場合には、冷却側調温部用返送通路149と冷却側蓄熱部用返送通路151との通過流量比を8:2乃至7:3程度に設定する一方、温度差が±15℃を越えた場合には、冷却側調温部用返送通路149と冷却側蓄熱部用返送通路151との通過流量比を3:7乃至0:10程度に変更する。
【0167】
一方、上記冷却側蓄熱タンク141には、バイパス用返送通路130を接続している。このバイパス用返送通路130は、その上流側端部が分岐バルブ131を介して冷却側主返送通路144aの冷却側温度センサ152から返送通路用チラー170に至る間に接続し、かつその下流側端部がバイパス用吐出プレート132を介して冷却側調温部141bの下方部に連通している。
【0168】
分岐バルブ131は、冷却側主返送通路144aを通過する温度流体の一部をバイパス用返送通路130へ供給するための固定バルブである。この固定バルブの分岐比は、バイパス用返送通路130への温度流体の通過流量よりも、返送通路用チラー170への温度流体の通過流量が多くなるように設定されている。例えば、バイパス用返送通路130と返送通路用チラー170との通過流量が3:7となるように設定されている。
【0169】
バイパス用吐出プレート132は、多孔性物質によってプレート状に構成したもので、多数の吐出口(図4において矢印でその方向を示す)をそれぞれ上方に向けた状態で配置されている。
【0170】
以下、上記のように構成した温度制御装置において、ウェハの温度を150℃と20℃とに数十秒間隔で交互に温度制御する場合の動作について説明する。
【0171】
まず、この温度制御装置では、初期状態としては、冷却側供給ポンプ146がONされ、かつ供給側三方比例バルブ115および返送側三方比例バルブ117のいずれもがONされている一方、供給ON/OFFバルブ118がOFFされた状態にある。
【0172】
この初期状態においては、冷却側供給ポンプ146の作動により、冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bに貯留された20℃近傍の温度流体が供給側三方比例バルブ115に供給された後、ベースプレート110を通過することなく、バイパス通路119を通じて返送側三方比例バルブ117に達し、その後、冷却側主返送通路144aを介して順次冷却側蓄熱タンク141に返送されることになる。
【0173】
この間、冷却側蓄熱タンク141に返送される温度流体は、殆ど温度変動を生じていない。
【0174】
このような場合、上記温度制御装置では、冷却側バルブ制御部153によって冷却側流量比調整バルブ147が駆動され、上述したように、冷却側調温部用返送通路149と冷却側蓄熱部用返送通路151との通過流量比が8:2乃至7:3程度に設定される。すなわち、冷却側主返送通路144aを通過した温度流体は、返送通路用チラー170で冷却された後、その殆どが冷却側調温部用返送通路149を介して冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bに返送される。この場合、緩和用ヒータ120の駆動により、冷却側調温部用返送通路149を通過する際に温度流体が20℃程度まで加熱されることになるため、冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bが20℃を下回るような過冷却状態になることはない。しかも、冷却側主返送通路144aを通過する温度流体の一部は、返送通路用チラー170を通過することなく、分岐バルブ131およびバイパス用返送通路130を通じて冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bに返送されることになる。したがって、上述した緩和用ヒータ120の消費電力を抑えつつ、冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bを20℃に調整維持することができるようになる。
【0175】
一方、上述した初期状態の間、冷却側蓄熱タンク141の冷却側蓄熱部141aにおいては、返送通路用チラー170によって冷却された後の温度流体がそのまま返送されるようになり、5〜10℃程度の温度、つまり冷却側調温部141bよりもさらに低温の過冷却状態に調整維持されることになる。
【0176】
上述した初期状態から、レジストを塗布したウェハWがそれぞれベースプレート110に載置されると、薄膜ヒータ111に所望の加熱電力が供給され、当該薄膜ヒータ111が発熱を開始する。
【0177】
この状態においては、薄膜ヒータ111の熱が速やかにウェハWに伝達され、該ウェハWが直ちに150℃の温度に加熱維持されることになり、当該ウェハWに対するベーキングを良好に行うことが可能となる。なお、上述したベーキングの間においても、冷却側流体循環供給系140は、初期状態のままに保持されている。
【0178】
上述したベーキングが終了すると、薄膜ヒータ111に対する加熱電力の供給が停止され、その後、直ちに供給ON/OFFバルブ118がONされる。
【0179】
この状態においては、流体吸入管112が冷却側供給通路143に連通され、かつ流体排出管113が冷却側主返送通路144aに連通されるため、冷却側供給ポンプ146の作動により、冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bに貯留された20℃近傍の温度流体がベースプレート110の流体供給室(図示せず)に供給されることになる。
【0180】
この結果、流体供給室(図示せず)に供給された温度流体によってベースプレート110が直ちに20℃まで冷却され、さらにウェハWの熱がベースプレート110を介して放熱されることになり、当該ウェハWの温度が20℃に冷却維持されることになる。これにより、当該ウェハWに対するクーリングを良好に行うことが可能となる。
【0181】
この間、流体供給室(図示せず)に供給された温度流体は、冷却側主返送通路144aを介して順次冷却側蓄熱タンク141に返送されることになる。この冷却側蓄熱タンク141に返送される温度流体は、ベースプレート110およびウェハWとの熱交換を行った後のものであるため、これらベースプレート110およびウェハWとの温度差に応じて温度が変動が生じる。とりわけ、温度流体の供給開始直後においては、ウェハWの温度が150℃程度であるため、極めて短い時間に温度流体に著しく大きな温度上昇が生じる。
【0182】
このような場合、上記温度制御装置では、冷却側バルブ制御部153によって冷却側流量比調整バルブ147が駆動され、上述したように、冷却側調温部用返送通路149と冷却側蓄熱部用返送通路151との通過流量比が3:7乃至0:10に設定される。このため、冷却側主返送通路144aを通過した温度流体の殆どが冷却側蓄熱部用返送通路151を介して冷却側蓄熱タンク141の冷却側蓄熱部141aに返送され、さらに冷却側調温部141bを通過した後に再びベースプレート110に供給されるようになる。
【0183】
ここでまず、冷却側主返送通路144aに返送された温度流体は、返送通路用チラー170によって予冷却され、その粗熱が除去されるようになる。さらに、上述したように冷却側蓄熱タンク141の冷却側蓄熱部141aには、5〜10℃程度という過冷却状態に調整維持された温度流体が貯留されている。したがって、冷却側蓄熱部141aに返送された温度流体は、該冷却側蓄熱部141aにおいて十分に冷却され、冷却側調温部141bにおいて温度変動を緩和・吸収することができる程度の温度となる。
【0184】
また、冷却側供給通路143の吸入口を構成する吸入プレート145を、冷却側調温部141bにおいて多孔板142から離隔した位置に配置している。したがって、冷却側蓄熱部141aから流入された温度流体が、直ちに冷却側供給通路143に吸入される虞れが無く、冷却側調温部141bの温度流体と十分に混ざり合った後にベースプレート110に供給されるようになる。
【0185】
この結果、上記温度制御装置によれば、温度流体に急激な温度変動が生じた場合にも、冷却側蓄熱部141aおよび冷却側調温部141bを通過する際に、それぞれにおいて温度変動を十分に緩和・吸収することができるようになり、ベースプレート110に対して常に冷却の際の目標温度に調整された温度流体を供給することが可能となる。
【0186】
しかも、これら冷却側蓄熱タンク141の冷却側蓄熱部141aおよび冷却側調温部141bは、一槽の蓄熱タンクに比べて、それぞれの緩和・吸収すべき温度変動の割合が小さくてよい。さらに、温度流体の温度変動に対して互いに相乗的に作用することになる。このため、温度流体の急激な温度変動を十分に緩和・吸収しつつ、それぞれの小容量化を図ることができ、設置スペースの増大や使用する温度流体の著しい増大といった問題を生じる虞れがない。また、多孔板142の通孔142aを通じて冷却側蓄熱部141aに貯留した温度流体が冷却側調温部141bに流入するようになるため、当該温度流体を流入させるために別途ポンプ等の駆動源を設ける必要が無い。
【0187】
なお、上述した温度制御装置においては、冷却側蓄熱部141aと冷却側調温部141bとの間に多孔板142を配置しているため、ベースプレート110に対する温度流体の供給量を増大させた場合にも、それぞれの温度状態が確実に維持されるようになる。しかしながら、冷却側蓄熱部141aを冷却側調温部141bの下方に設ける場合には、温度成層によってそれぞれの温度状態が維持されるようになる。したがって、ベースプレート110に対する温度流体の供給量が小さい場合には、多孔板142を配置しないものにあっても、同様の作用効果を期待することができる。
【0188】
ところで、上述した動作の間において、冷却側主返送通路144aを通過する温度流体の一部は、返送通路用チラー170を通過することなく、分岐バルブ131およびバイパス用返送通路130を通じて冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bに返送されることになる。しかしながら、当該バイパス用返送通路130を通過する温度流体の流量は、返送通路用チラー170を通過する温度流体の流量に比べて3:7と十分に小さいものであるため、冷却側調温部141bの温度状態に影響を与えることはない。
【0189】
一方、ウェハWが20℃近傍の温度に冷却された以降においては、冷却側蓄熱タンク141に返送される温度流体の温度変動が小さくなる。
【0190】
このような場合、上記温度制御装置では、冷却側バルブ制御部153によって冷却側流量比調整バルブ147が駆動され、上述したように、冷却側調温部用返送通路149と冷却側蓄熱部用返送通路151との通過流量比が8:2乃至7:3程度に変更される。すなわち、冷却側主返送通路144aを通過した温度流体は、返送通路用チラー170で予冷却された後、その殆どが冷却側調温部用返送通路149を介して冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bに返送され、当該冷却側調温部141bにおいて温度変動が十分に緩和・吸収された後、再びベースプレート110に供給されるようになる。この場合、緩和用ヒータ120の駆動により、冷却側調温部用返送通路149を通過する際に温度流体が20℃程度まで加熱されることになるため、上述した初期状態と同様に、冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bが20℃を下回るような過冷却状態になることはない。しかも、冷却側主返送通路144aを通過する温度流体の一部は、返送通路用チラー170を通過することなく、分岐バルブ131およびバイパス用返送通路130を通じて冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bに返送されることになる。したがって、上述した緩和用ヒータ120の消費電力を抑えつつ、冷却側蓄熱タンク141の冷却側調温部141bを20℃に調整維持することができるようになる。
【0191】
一方、上述した動作の間、冷却側蓄熱タンク141の冷却側蓄熱部141aにおいては、返送通路用チラー170によって冷却された後の温度流体が、そのまま返送されるようになり、次の急激な温度変動を吸収するための準備が整えられる。
【0192】
この場合、上記温度制御装置によれば、返送通路用チラー170として冷却側蓄熱部141aに貯留された温度流体を冷却するだけの極小型のものを用意すればよい。したがって、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することがない。
【0193】
しかも、返送通路用チラー170を通過する冷却側主返送通路144aには、ベーキングおよびクーリングのいずれにおいても常に温度流体が通過されることになる。したがって、この冷却側主返送通路144aが凍り付いてしまう事態が発生する虞れもない。
【0194】
以上のようにして、ウェハWのクーリング工程が終了すると、当該ウェハWが新たなウェハWと交換され、この新たなウェハWに対して同様の加熱、冷却が繰り返し行われる。
【0195】
このように、上記温度制御装置によれば、冷却側流体循環供給系140において、蓄熱タンク141に蓄熱部141aおよび調温部141bを設け、かつ流量比調整バルブ147の駆動により、温度流体の温度変動が大きい場合にのみ蓄熱部141aへ返送される温度流体の流量を多くするようにしているため、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することなく、温度流体の急激な温度変動を緩和・吸収することが可能となる。
【0196】
しかも、上記温度制御装置によれば、冷却側主返送通路144aに返送通路用チラー170を介在させるようにしているため、上述した第1および第2実施形態の如く、冷却側蓄熱部141aを冷却するための手段としてポンプ等の駆動源を必要としない。
【0197】
なお、上述した第3実施形態では、冷却側蓄熱部141aと冷却側調温部141bとを互いに上下に配置しているため、設置スペースの点で有利となる。しかしながら、本発明では、必ずしも冷却側蓄熱部141aおよび冷却側調温部141bを互いに上下に配置する必要はなく、これら冷却側蓄熱部141aおよび冷却側調温部141bを互いに左右方向に配置しても構わない。
【0198】
図5は、冷却側蓄熱部および冷却側調温部を互いに左右方向に配置した温度制御装置の第4実施形態を示したものである。ここで例示する温度制御装置も、第3実施形態と同様、先の(1)乃至(9)というプロセスを経てレジスト膜を成膜する半導体製造工程において、上述したプリベーキング+クーリング工程、または露光後ベーキング+クーリング、さらにポストベーキング+クーリング工程の際に用いられるものである。
【0199】
図からも明らかなように、この温度制御装置では、冷却側蓄熱タンク141′に仕切板142′を立設し、冷却側蓄熱部141a′および冷却側調温部141b′を互いに左右方向に配置している。
【0200】
この冷却側蓄熱タンク141′には、冷却側蓄熱部141a′の下方部に蓄熱部用吐出プレート150′を配置し、また冷却側調温部141b′の内部にその上方から順次、バイパス用吐出プレート132′、調温部用吐出プレート148′および吸入プレート145′を配置している。蓄熱部用吐出プレート150′は、多数の吐出口(図5において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で配置されている。バイパス用吐出プレート132′および調温部用吐出プレート148′は、それぞれ多数の吐出口(図5において矢印でその方向を示す)を下方に向けた状態で配置され、また吸入プレート145′は、多数の吸入口(図5において矢印でその方向を示す)を上方に向けた状態で配置されている。
【0201】
冷却側蓄熱タンク141′には、冷却側調温部141b′に冷却の際の目標温度、つまり20℃近傍の温度流体が貯留され、一方、冷却側蓄熱部141a′に5〜10℃程度の温度、つまり冷却側調温部141b′よりもさらに低温の過冷却状態に調整維持された温度流体が貯留されている。
【0202】
これら冷却側蓄熱部141a′および冷却側調温部141b′に貯留された温度流体は、仕切板142′によって互いに流通することができないため、互いに温度が一様になってしまう事態が発生することはない。しかしながら、冷却側蓄熱部141a′に貯留された温度流体がオーバーフローした場合には、当該冷却側蓄熱部141a′に貯留された温度流体が冷却側調温部141b′に流入することが可能である。温度流体としては、第3実施形態と同一のものを適用している。
【0203】
なお、その他の構成に関しては、第3実施形態と同様であるため、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0204】
上記のように構成した温度制御装置においても、初期状態としては、冷却側供給ポンプ146がONされ、かつ供給側三方比例バルブ115および返送側三方比例バルブ117のいずれもがONされている一方、供給ON/OFFバルブ118がOFFされた状態にある。
【0205】
したがって、先に説明した第3実施形態と同様に、冷却側蓄熱タンク141′の冷却側調温部141b′が過冷却状態になることなく20℃に調整維持されているとともに、冷却側蓄熱タンク141′の冷却側蓄熱部141a′が5〜10℃程度の温度、つまり冷却側調温部141b′よりもさらに低温の過冷却状態に調整維持されることになる。
【0206】
一方、ウェハWにベーキングを行う場合には、上述した冷却側流体循環供給系140を初期状態に保持したまま、薄膜ヒータ111に所望の加熱電力を供給し、当該薄膜ヒータ111を発熱させる。
【0207】
この状態においては、薄膜ヒータ111の熱が速やかにウェハWに伝達され、該ウェハWが直ちに150℃の温度に加熱維持されることになり、当該ウェハWに対するベーキングを良好に行うことが可能となる。
【0208】
上述したベーキングが終了すると、薄膜ヒータ111に対する加熱電力の供給が停止され、その後、直ちに供給ON/OFFバルブ118がONされる。
【0209】
この状態においては、流体吸入管112が冷却側供給通路143に連通され、かつ流体排出管113が冷却側主返送通路144aに連通されるため、冷却側供給ポンプ146の作動により、冷却側蓄熱タンク141′の冷却側調温部141b′に貯留された20℃近傍の温度流体がベースプレート110の流体供給室(図示せず)に供給されることになる。
【0210】
この結果、流体供給室(図示せず)に供給された温度流体によってベースプレート110が直ちに20℃まで冷却され、ウェハWの温度が20℃に冷却維持されることになるため、当該ウェハWに対するクーリングを良好に行うことが可能となる。
【0211】
この間、冷却側蓄熱タンク141′に返送される温度流体は、その温度変動が大きい場合、冷却側バルブ制御部153による冷却側流量比調整バルブ147の駆動により、その殆どが冷却側蓄熱部用返送通路151を介して冷却側蓄熱タンク141′の冷却側蓄熱部141a′に返送され、さらにオーバーフローして冷却側調温部141b′を通過した後に再びベースプレート110の流体供給室(図示せず)に供給されるようになる。
【0212】
ここで、冷却側主返送通路144aに返送された温度流体は、返送通路用チラー170によって予冷却され、その粗熱が除去されるようになる。さらに、上述したように冷却側蓄熱タンク141′の冷却側蓄熱部141a′には、5〜10℃程度という過冷却状態に調整維持された温度流体が貯留されている。したがって、冷却側蓄熱部141a′に返送された温度流体は、該冷却側蓄熱部141a′において十分に冷却され、冷却側調温部141b′において温度変動を緩和・吸収することができる程度の温度となる。
【0213】
また、冷却側供給通路143の吸入口を構成する吸入プレート145′を、冷却側調温部141b′において冷却側蓄温部141a′から流入される温度流体に対して離隔した位置に配置している。したがって、冷却側蓄熱部141a′から流入された温度流体が、直ちに冷却側供給通路143に吸入される虞れが無く、冷却側調温部141b′の温度流体と十分に混ざり合った後にベースプレート110に供給されるようになる。
【0214】
この結果、上記温度制御装置によれば、温度流体に急激な温度変動が生じた場合にも、冷却側蓄熱部141a′および冷却側調温部141b′を通過する際に、それぞれにおいて温度変動を十分に緩和・吸収することができるようになり、ベースプレート110の流体供給室(図示せず)に対して常に冷却の際の目標温度に調整された温度流体を供給することが可能となる。
【0215】
しかも、これら冷却側蓄熱タンク141′の冷却側蓄熱部141a′および冷却側調温部141b′は、一槽の蓄熱タンクに比べて、それぞれの緩和・吸収すべき温度変動の割合が小さくてよい。さらに、温度流体の温度変動に対して互いに相乗的に作用することになる。このため、温度流体の急激な温度変動を十分に緩和・吸収しつつ、それぞれの小容量化を図ることができ、設置スペースの増大や使用する温度流体の著しい増大といった問題を生じる虞れがない。さらに小容量の冷却側蓄熱部141a′および冷却側調温部141b′を互いに左右方向に配置しているため、高さに制限があるスペースへの設置も可能となる。また、冷却側蓄熱部141a′に貯留した温度流体がオーバーフローして冷却側調温部141b′に流入するようになるため、当該温度流体を流入させるために別途ポンプ等の駆動源を設ける必要が無い。
【0216】
なお、上述した温度制御装置においては、冷却側蓄熱部141a′と冷却側調温部141b′との間に仕切板142′を配置しているため、ベースプレート110に対する温度流体の供給量を増大させた場合にも、それぞれの温度状態が確実に維持されるようになる。
【0217】
ところで、上述した動作の間において、冷却側主返送通路144aを通過する温度流体の一部は、返送通路用チラー170を通過することなく、分岐バルブ131およびバイパス用返送通路130を通じて冷却側蓄熱タンク141′の冷却側調温部141b′に返送されることになる。しかしながら、当該バイパス用返送通路130を通過する温度流体の流量は、返送通路用チラー170を通過する温度流体の流量に比べて3:7と十分に小さいものであるため、冷却側調温部141b′の温度状態に影響を与える虞れはない。
【0218】
一方、ウェハWが20℃近傍の温度に冷却された以降においては、冷却側蓄熱タンク141′に返送される温度流体の温度変動が小さくなる。
【0219】
このような場合、上記温度制御装置では、冷却側バルブ制御部153による冷却側流量比調整バルブ147の駆動により、冷却側主返送通路144aを通過した温度流体が、返送通路用チラー170で予冷却された後、その殆どが冷却側調温部用返送通路149を介して冷却側蓄熱タンク141′の冷却側調温部141b′に返送され、当該冷却側調温部141b′において温度変動が十分に緩和・吸収された後、再びベースプレート110に供給されるようになる。この場合、緩和用ヒータ120の駆動により、冷却側調温部用返送通路149を通過する際に温度流体が20℃程度まで加熱されることになるため、上述した初期状態と同様に、冷却側蓄熱タンク141′の冷却側調温部141b′が20℃を下回るような過冷却状態になることはない。しかも、冷却側主返送通路144aを通過する温度流体の一部は、返送通路用チラー170を通過することなく、分岐バルブ131およびバイパス用返送通路130を通じて冷却側蓄熱タンク141′の冷却側調温部141b′に返送されることになる。したがって、上述した緩和用ヒータ120の消費電力を抑えつつ、冷却側蓄熱タンク141′の冷却側調温部141b′を20℃に調整維持することができるようになる。
【0220】
一方、上述した動作の間、冷却側蓄熱タンク141′の冷却側蓄熱部141a′においては、返送通路用チラー170によって冷却された後の温度流体がそのまま返送されるようになり、次の急激な温度変動を吸収するための準備が整えられる。
【0221】
この場合、上記温度制御装置によれば、返送通路用チラー170として冷却側蓄熱部141a′に貯留された温度流体を冷却するだけの極小型のものを用意すればよい。したがって、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することがない。
【0222】
しかも、返送通路用チラー170を通過する冷却側主返送通路144aには、ベーキングおよびクーリングのいずれにおいても常に温度流体が通過されることになる。したがって、この冷却側主返送通路144aが凍り付いてしまう事態が発生する虞れもない。
【0223】
以上のようにして、ウェハWのクーリング工程が終了すると、当該ウェハWが新たなウェハWと交換され、この新たなウェハWに対して同様の加熱、冷却が繰り返し行われる。
【0224】
このように、上記温度制御装置によれば、冷却側流体循環供給系140において、蓄熱タンク141に蓄熱部141a′および調温部141b′を設け、かつ流量比調整バルブ147の駆動により、温度流体の温度変動が大きい場合にのみ蓄熱部141a′へ返送される温度流体の流量を多くするようにしているため、装置の大型化および大きなエネルギ損失を招来することなく、温度流体の急激な温度変動を緩和・吸収することが可能となる。
【0225】
しかも、上記温度制御装置によれば、冷却側主返送通路144aに返送通路用チラー170を介在させるようにしているため、上述した第1および第2実施形態の如く、冷却側蓄熱部141a′を冷却するための手段としてポンプ等の駆動源を必要としない。
【0226】
なお、上述した第3および第4実施形態では、薄膜ヒータによってウェハの加熱を行うようにした温度制御装置を例示しているが、第1および第2実施形態と同様に、温度流体によってウェハを加熱するようにしても構わない。同様に、第1および第2実施形態において、第3および第4実施形態と同様に、薄膜ヒータによってウェハの加熱を行うようにすることも可能である。
【0227】
また、上述した実施の形態では、いずれも半導体製造工程においてウェハWの温度制御をするための装置を例示しているが、その他の被温度制御対象物の温度を制御するものにももちろん適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温度制御装置の第1実施形態を示す回路図である。
【図2】図1に示した温度制御装置の冷却系を示した斜視図である。
【図3】本発明に係る温度制御装置の第2実施形態を示す回路図である。
【図4】本発明に係る温度制御装置の第3実施形態を示す回路図である。
【図5】本発明に係る温度制御装置の第4実施形態を示す回路図である。
【符号の説明】
21,21′,41,41′,141,141′…蓄熱タンク、21a,21a′,41a,41a′,141a,141a′…蓄熱部、21b,21b′,41b,41b′,141b,141b′…調温部、22,42,142…多孔板、22a,42a,142a…通孔、22′,42′,142′…仕切板、23,23′…蓄熱部用ヒータ、24,43,143…供給通路、26,26′,45,45′,145,145′…吸入プレート、28,47,147…流量比調整バルブ、29,29′,48,48′,148,148′…調温部用吐出プレート、30,49,149…調温部用返送通路、32,51,151…蓄熱部用返送通路、33,52,152…温度センサ、34,53,153…バルブ制御部、60…冷却用循環系、63…主チラー、64,64′…吸込プレート、65,65′…吹出プレート、70…補助冷却用循環系、120…緩和用ヒータ、130…バイパス用返送通路、144a…主返送通路、170…返送通路用チラー、W…ウェハ。

Claims (13)

  1. 所望の設定温度に調整した温度流体を被温度制御対象物に循環供給することによって当該被温度制御対象物の温度制御を行う温度制御装置において、
    内部に温度流体を貯留するための蓄熱部および調温部を有し、かつ該蓄熱部の温度流体が調温部に流入するように構成した蓄熱タンクと、
    前記蓄熱タンクの蓄熱部を所定の過温度状態に調整する温度調整手段と、
    前記蓄熱タンクの調温部に貯留された温度流体を前記被温度制御対象物に供給する供給通路と、
    前記被温度制御対象物に供給された温度流体を前記蓄熱タンクの調温部に返送させる調温部用返送通路と、
    前記被温度制御対象物に供給された温度流体を前記蓄熱タンクの蓄熱部に返送させる蓄熱部用返送通路と、
    これら調温部用返送通路および蓄熱部用返送通路を通過する温度流体の流量比を調整する流量比調整手段と、
    前記被温度制御対象物から返送される温度流体の、供給温度流体に対する温度変動を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記流量比調整手段を駆動し、前記供給流体との温度変動が所定の範囲にある場合に前記蓄熱部用返送通路の通過流量よりも前記調温部用返送通路の通過流量を大きくする一方、前記供給流体との温度変動が前記所定の範囲を超えた場合に前記調温部用返送通路の通過流量よりも前記蓄熱部用返送通路の通過流量を大きくする流量制御手段と
    を備えることを特徴とする温度制御装置。
  2. 前記被温度制御対象物から前記流量比調整手段に至る間に、該被温度制御対象物から返送される温度流体の温度変動を吸収するための熱交換手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
  3. 前記温度調整手段は、前記蓄熱タンクの蓄熱部に連通する吸込通路および吹出通路を有し、該吸込通路から吸い込んだ温度流体を冷却した後に吹出通路を介して前記蓄熱部に返送することによって当該蓄熱部を過冷却状態に調整する蓄熱部用冷却手段であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の温度制御装置。
  4. 前記蓄熱タンクの蓄熱部において前記吹出通路の吹出口を前記吸込通路の吸込口よりも上方に配置したことを特徴とする請求項3記載の温度制御装置。
  5. 前記吹出通路の吹出口を下方に向けて開口させたことを特徴とする請求項4記載の温度制御装置。
  6. 前記温度調整手段は、前記蓄熱タンクの蓄熱部に配置し、該蓄熱部を過熱状態に調整する蓄熱部用加熱手段であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の温度制御装置。
  7. 所望の設定温度に調整した温度流体を被温度制御対象物に循環供給することによって当該被温度制御対象物の温度制御を行う温度制御装置において、
    内部に温度流体を貯留するための蓄熱部および調温部を有し、かつ該蓄熱部の温度流体が調温部に流入するように構成した蓄熱タンクと、
    前記蓄熱タンクの調温部に貯留された温度流体を前記被温度制御対象物に供給する供給通路と、
    前記被温度制御対象物に供給された温度流体が排出される主返送通路と、
    前記主返送通路を通過する温度流体を冷却することによって該温度流体を所定の過冷却状態に調整する返送通路用冷却手段と、
    前記返送通路用冷却手段を通過した温度流体を前記蓄熱タンクの調温部に返送させる調温部用返送通路と、
    前記返送通路用冷却手段を通過した温度流体を前記蓄熱タンクの蓄熱部に返送させる蓄熱部用返送通路と、
    前記調温部用返送通路を通過する温度流体を加熱することによってその過冷却状態を緩和する緩和用加熱手段と、
    前記調温部用返送通路および前記蓄熱部用返送通路を通過する温度流体の流量比を調整する流量比調整手段と、
    前記被温度制御対象物から返送される温度流体の、供給温度流体に対する温度変動を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記流量比調整手段を駆動し、前記供給流体との温度変動が所定の範囲にある場合に前記蓄熱部用返送通路の通過流量よりも前記調温部用返送通路の通過流量を大きくする一方、前記供給流体との温度変動が前記所定の範囲を超えた場合に前記調温部用返送通路の通過流量よりも前記蓄熱部用返送通路の通過流量を大きくする流量制御手段と
    を備えることを特徴とする温度制御装置。
  8. 前記主返送通路において前記返送通路冷却手段を通過する以前の温度流体を前記蓄熱タンクの調温部に返送させるバイパス用返送通路をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の温度制御装置。
  9. 前記蓄熱タンクは、高温側が上方となるように前記蓄熱部および前記調温部を互いに上下に配置し、内部に温度成層を構成するものであることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8記載の温度制御装置。
  10. 前記蓄熱タンクは、前記蓄熱部および前記調温部を仕切り、かつ該蓄熱部の温度流体を前記調温部に流入させるための多数の通孔を有した多孔板を備えることを特徴とする請求項9記載の温度制御装置。
  11. 前記蓄熱タンクは、仕切板を介して前記蓄熱部および前記調温部を互いに左右に配置したものであり、該仕切板を乗り越えて前記蓄熱部の温度流体が前記調温部に流入することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8記載の温度制御装置。
  12. 前記蓄熱タンクの蓄熱部から流入される温度流体に対して、前記供給通路の吸入口を前記調温部用返送通路の吐出口よりも離隔した位置に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8または請求項9または請求項10または請求項11記載の温度制御装置。
  13. 前記調温部用返送通路を介して返送される温度流体が前記供給通路の吸入口に向けて吐出されるように当該調温部用返送通路の吐出口を開口させたことを特徴とする請求項12記載の温度制御装置。
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