JP3805720B2 - 乳入り飲料用乳化安定剤およびこれを含む乳入り飲料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存、特に加温保存下においてミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿、といった現象が有意に抑制され、乳入り飲料の風味等に影響を及ぼさない乳入り飲料用乳化安定剤及びこれを用いることにより得られる乳入り飲料に関し、また、乳入り飲料のミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿抑制といった乳入り飲料の安定化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乳入り飲料を保存、特に加温条件での保存により、乳化状態が不安定になり、乳成分等が浮上してできるミルク浮き、遊離した乳成分が固化して飲料表面に浮上した白色浮遊物、乳入り飲料中のオイル成分が分離、浮上したオイルオフ、乳入り飲料中の微量成分や乳成分が凝集、沈降した沈殿と言われる現象が問題となっていた。
【0003】
この様なミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿を防止するために、従来より、種々の乳化剤や増粘剤等を用いた方法が提案されている。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤を添加する方法(特開昭58−111641)、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びキサンタンガム、カラギーナン、カゼインナトリウムの一種又は二種以上を添加する方法(特開昭63−226266)、グリセリン脂肪酸エステル、イオタカラギーナンからなる安定剤を添加する方法(特開平1−252273)、増粘タイプのカラギーナンおよび親水性乳化剤を添加する方法(特開平3−83543)、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびイオタカラギーナンを添加する方法(特開平3−266939)、カッパカラギーナン、タマリンド種子及びカゼインナトリウムを添加する方法(特公平4−73989)等が挙げられる。しかしながら、従来の方法においては、充分な効果が得られなかったり、また、乳入り飲料に与える風味、経変臭が問題となることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
乳入り飲料におけるミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿を抑制し、風味においても影響を与えることのない乳入り飲料用乳化安定剤及びこれを含む乳入り飲料を提供することを目的とする。また、乳入り飲料におけるミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿の抑制方法を提供することを目的とする。
【0005】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、グルコン酸ナトリウム及び/又はカリウム、並びに乳化剤からなる乳入り飲料用乳化安定剤を用いることにより、上記課題を解決することを見いだし本発明を完成するに到った。
【0006】
尚、グルコン酸ナトリウム及びカリウムは、保存性の向上、食品の呈味改善、臭いのマスキング、乳入り飲料においては、pH調整や酸味づけ、乳入り飲料用のマグネシウム強化剤としての利用(特開2001−204383)等に利用されていきたが、乳入り飲料用の乳化安定に効果があることは知られていなかった。
【0007】
すなわち本発明は、下記項1に掲げる乳入り飲料用乳化安定剤である。:
項1.グルコン酸ナトリウム及び/又はカリウム、並びに乳化剤を含むことを特徴とする乳入り飲料用乳化安定剤。
項2.乳化剤がショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド等)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチンのうちの一種又は二種以上から選択される項1に記載の乳入り飲料用乳化安定剤。
【0008】
なお、本発明の乳入り飲料用乳化安定剤には下記の態様が含まれる。
(1)乳入り飲料用乳化安定剤が特に、ミルク入りコーヒー及びミルク入り茶類用の乳化安定剤である項1及び2に記載の乳入り飲料用乳化安定剤。
(2)乳入り飲料用乳化安定剤が特に、55℃以上の加温状態で保存される乳入り飲料用の乳化安定剤である項1及び2に記載の乳入り飲料用乳化安定剤
また、本発明は下記項3に掲げる乳入り飲料である:
項3.項1及び2に記載の乳入り飲料用乳化安定剤を含むことを特徴とする乳入り飲料用の乳化安定剤を含む乳入り飲料。
【0009】
なお、本発明の乳入り飲料には下記の態様が含まれる:
(1)乳入り飲料が特にミルク入りコーヒー及びミルク入り茶類である項3記載の乳入り飲料。
(2) 乳入り飲料が特に55℃以上の加温状態で保存される乳入り飲料である項3記載の乳入り飲料。
【0010】
特にまた、本発明は下記項4に掲げる乳入り飲料の安定化方法である:
項4.乳入り飲料にグルコン酸ナトリウム及び/又はカリウム、並びに乳化剤を添加することにより乳入り飲料の安定化方法。
なお、本発明の乳入り飲料の安定化方法には下記の態様が含まれる:
(1)乳入り飲料が特にミルク入りコーヒー及びミルク入り茶類である項4に記載の乳入り飲料の安定化方法。
(2)乳入り飲料が特に55℃以上の加温状態で保存される乳入り飲料である項4に記載の乳入り飲料の安定化方法。
(3)安定化方法が、特に、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿の抑制である項4に記載の乳入り飲料の安定化方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の乳入り飲料用乳化安定剤とは、乳入り飲料における乳化状態を安定に保ち、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿の抑制といった乳入り飲料を安定化するものをいう。
【0012】
本発明の乳入り飲料用乳化安定剤の対象となる乳入り飲料とは、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、濃縮乳、生クリーム、練乳等の乳成分が含有されている飲料であればよい。中でも、牛乳由来の乳成分を含有する乳入り飲料においては、得られるミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿の抑制効果が高いため特に望ましい。乳入り飲料の具体例としては、ミルク入りコーヒー、ミルク入り茶類、ミルク入りココア、ミルクセーキ、ミルクシェイク、酸乳飲料、ミルクイチゴ等が挙げられるが、特に、ミルク入りコーヒー、ミルク入り茶類に関しては、白色浮遊物、沈殿の抑制効果が高いため望ましい。
【0013】
一般にグルコン酸とは、グルコースの酸化物であるが、本発明におけるグルコン酸ナトリウム及びカリウムとしては、これらグルコース酸化物のナトリウム及びカリウム塩である。本発明のグルコン酸は、市場において入手可能であり、例えば、藤沢薬品工業株式会社製の「ヘルシャスA」、「ヘルシャスK」等を挙げることができる。
【0014】
本発明における乳化剤とは、乳入り飲料に一般的に用いられている乳化剤であればよい。具体的には、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド等)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン等の1種又は2種以上を本発明の乳化剤として使用することができる。特に、白色浮遊物の抑制効果の点から、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド等)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンの1種又は2種以上を本発明の乳化剤として用いることが好ましい。
【0015】
本発明の乳入り飲料用乳化安定剤は、グルコン酸ナトリウム及び/又はカリウムと乳化剤を含有すればよく、含有の方法に関しては、従来公知の方法をとることができる。例えば、グルコン酸ナトリウム及び/又はカリウム並びにショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤を粉体混合して、混合物として使用したり、グルコン酸ナトリウム及び/又はカリウム、並びにグリセリン脂肪酸エステルを水に溶解し、液状にて使用したりすることができる。グルコン酸ナトリウム及び/又はカリウムを用いる場合、グルコン酸ナトリウム/カリウムと乳化剤の配合比としては、効果の点より1:40〜10:1、より好ましくは1:24〜5:1の範囲が好ましい。
【0016】
上記配合比であっても、グルコン酸塩の含量が、0.0025〜0.05重量%であることが望ましい。全乳飲料の0.0025重量%より少ないと、充分な効果を得ることができず、0.05重量%より多いと風味に影響を及ぼすことがあるためである。
【0017】
また、本発明の乳入り飲料用乳化安定剤には、その効果を妨げない範囲において、カラギーナン、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム等の増粘剤・安定剤、乳糖、デキストリン、サイクロデキストリン、結晶ブドウ糖等の賦型剤、カゼインナトリウム、重炭酸ソーダ等を添加することができる。
【0018】
尚、本発明の乳入り飲料用乳化安定剤は、粉末、フレーク状、粒状、液状、ペースト状等の何れの形態でも使用することができる。
【0019】
乳入り飲料用乳化安定剤の飲料への使用量としては、使用の対象となる乳入り飲料の種類により一概には規定することができないが、好ましくは、乳入り飲料全重量の0.01〜0.4%、効果の点より、より好ましくは、0.03〜0.3%の範囲の使用が望ましい。0.01%より少ないと、充分な効果が得られず、0.4%より多くても風味に与える影響が多いためである。
【0020】
本発明の乳入り飲料用乳化安定剤を含む乳入り飲料は、従来公知の方法により調製することができる。例えば、湯又は水に本発明の乳入り飲料用乳化安定剤を粉体及び液状等の形態で投入し、撹拌溶解した後に、糖液、牛乳または牛乳及び他の乳成分(全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、生クリーム、練乳を含む)を加え、これに別途抽出したコーヒーエキス、紅茶エキス、果汁成分等を添加し、pH調整した後ホモゲナイズし、殺菌処理を行うことにより、本発明の乳入り飲料用乳化安定剤を含む乳入り飲料を調製することができる。尚、本発明の乳入り飲料用乳化安定剤を添加した乳入り飲料には、乳入り飲料用乳化安定剤の効果を妨げない範囲において、乳入り飲料に一般的に使用される成分、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖等の糖類、エリスリトール、キシリトール、マンニトール等の糖アルコール類、ソーマチン、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムK、アリテーム等の高甘度甘味料、乳化剤、安定剤、香料、酵素、着色料、調味料、増粘剤等を添加することができる。
【0021】
また、本発明は乳入り飲料におけるミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿を防止といった、乳入り飲料の安定化方法を提供するものである。当該方法は、前述するように乳入り飲料の製造工程において、グルコン酸ナトリウム及び/又はカリウム、並びに乳化剤からなる乳入り飲料用乳化安定剤を乳入り飲料に添加することにより実施することができる。当該方法の操作方法、条件、使用材料などについては、前述の記載をそのまま援用することができるが、例えば、グルコン酸ナトリウム及び/又はグルコン酸カリウム及び乳化剤とを湯又は水に混合溶解し、これに、牛乳及び/又は乳成分(全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、生クリーム、練乳等)を加え、重曹溶液を加えpHを調製したのち、コーヒーエキス、紅茶エキス、果汁成分等を加え、ホモゲナイズし、殺菌処理を行うことにより乳入り飲料におけるミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿の抑制といった安定化した乳入り飲料を提供することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明をより詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0023】
(実験例1:グルコン酸Naと乳化剤を用いた乳入り飲料用乳化安定剤の検討)表1に示す配合量に従い、グルコン酸Na(藤沢薬品工業株式会社製「ヘルシャスA」)及び各種乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「リョートーシュガーエステルP-1670:HLB16」)、コハク酸モノグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製「ポエムB−10」))を粉体混合し、実施例1〜7の乳入り飲料用乳化安定剤を作成した。また、比較として、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、コハク酸モノグリ)のみの比較例1〜3を作成した。
【0024】
【表1】
【0025】
得られた、実施例1〜7の乳入り飲料用乳化安定剤及び比較例1〜3とをそれぞれ、下記処方の添加量に従い、砂糖と粉体混合し、この混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、重曹溶液を添加した。コーヒー生豆を粉砕し、豆量の7倍量熱湯を加え、40分間浸漬後ろ過し、20℃まで冷却した抽出液を更に添加し、水にて全量補正後、70℃まで加温し、1段目14.7×106Pa、2段目4.9×106Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後、缶に充填、密封し、その後、レトルト殺菌(123℃ 23分)を行い実施例1〜7及び比較例1〜3含むミルク入り缶コーヒーを調製した。
【0026】
<処方>
コーヒー生豆 6.5(%)
砂糖 5
牛乳 13
実施例1〜7、比較例1〜3 表1記載
10%(w/v)重曹水溶液にて 殺菌後pH6.3になるよう調整
イオン交換水にて全量 100とする
【0027】
得られた缶入りミルクコーヒーを60℃で4週間保存後、2℃で1晩保存後に開缶し、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察した。その結果を表2に記す
【0028】
【表2】
実施例1〜7及び比較例1〜3を用いたミルク入り缶コーヒーの状態
+++:多い、++:やや多い、+:少ない、±:極めて少ない、−:ない
【0029】
表2に示すように、実施例1〜7の乳入り飲料用乳化安定剤を加えて調製したミルク入り缶コーヒーにおいては、比較例1〜3に比して、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿のいずれに関しても有意な抑制効果がみられた。
【0030】
(実験例2:グルコン酸Kと乳化剤を用いた乳入り飲料用乳化安定剤の検討)
表2に示す配合量に従い、グルコン酸カリウム(藤沢薬品工業株式会社製「ヘルシャスK」)及び各種乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「リョートーシュガーエステルP-1670:HLB16」)、コハク酸モノグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製「ポエムB−10」)を粉体混合し、実施例8〜11の乳入り飲料用安定剤を作成した。また、比較として、実験例1で調製した比較例1〜3の乳入り飲料用安定剤を用いた。
【0031】
【表3】
【0032】
得られた、実施例8〜11の乳入り飲料用安定剤及び比較例1〜3とをそれぞれ、下記処方の添加量に従い、砂糖と粉体混合し、この混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、重曹溶液を添加した。コーヒー生豆を粉砕し、豆量の7倍量熱湯を加え、40分間浸漬後ろ過し、20℃まで冷却した抽出液を更に添加し、水にて全量補正後、70℃まで加温し、1段目14.7×106Pa、2段目4.9×106Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後、缶に充填、密封した、その後、レトルト殺菌(123℃ 23分)を行い実施例8〜11及び比較例1〜3の含まれるミルク入り缶コーヒーを調製した。
【0033】
<処方>
コーヒー生豆 6.5(%)
砂糖 5
牛乳 13
実施例8〜11、比較例1〜3 表3記載
10%(w/v)重曹水溶液にて 殺菌後pH6.3になるよう調整
イオン交換水にて全量 100とする
【0034】
得られたミルク入り缶コーヒーを60℃で4週間保存後、2℃で1晩保存後に開缶し、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察した。その結果を表4に記す
【0035】
【表4】
実施例8〜11及び比較例1〜3の乳飲料用安定剤を用いたミルク入り缶コーヒーの状態
+++:多い、++:やや多い、+:少ない、±:極めて少ない、−:ない
【0036】
表4に示すように、実施例8〜11の乳入り飲料用安定剤を加えて調製したミルク入りコーヒーにおいては、比較例1〜3に比して、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿のいずれに関しても有意な抑制効果がみられた。
【0037】
(実験例3:グルコン酸(Na、K)の含有量の検討)
表5に示す配合量に従い、グルコン酸Na(藤沢薬品工業株式会社製「ヘルシャスA」)又はK(藤沢薬品工業株式会社製「ヘルシャスK」)及び乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「リョートーシュガーエステルP-1670:HLB16」))を粉体混合し、実施例12〜19の乳入り飲料用乳化安定剤を作成した。また、比較として、実験例1で調製した比較例1〜3を利用した。
【0038】
【表5】
【0039】
得られた、実施例12〜19の乳入り飲料用安定剤及び比較例1〜3とをそれぞれ、下記処方の添加量に従い、砂糖と粉体混合し、この混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、重曹溶液を添加した。コーヒー生豆を粉砕し、豆量の7倍量熱湯を加え、40分間浸漬後ろ過し、20℃まで冷却した抽出液を更に添加し、水にて全量補正後、70℃まで加温し、1段目14.7×106Pa、2段目4.9×106Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後、缶に充填、密封し、その後、レトルト殺菌(123℃ 23分)を行い実施例12〜19及び比較例1〜3入りのミルク入り缶コーヒーを調製した。
【0040】
<処方>
コーヒー生豆 6.5(%)
砂糖 5
牛乳 13
実施例12〜19、比較例1〜3 表5記載
10%(w/v)重曹水溶液にて 殺菌後pH6.3になるよう調整
イオン交換水にて全量 100とする
【0041】
得られたミルク入り缶コーヒーを60℃で4週間保存後、2℃で1晩保存後に開缶し、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察した。その結果を表6に記す
【0042】
【表6】
実施例12〜19及び比較例1〜3の乳入り飲料用乳化安定剤を用いたミルク入り缶コーヒーの状態
+++:多い、++:やや多い、+:少ない、±:極めて少ない、−:ない
【0043】
表6に示すように、実施例12〜19の飲料用乳化安定剤を加えて調製したミルク入り缶コーヒーにおいては、比較例1〜3に比して、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿に関して抑制効果がみられた。
【0044】
(実施例1:ミルク入り茶飲料)
処方
牛乳 20(%)
砂糖 5.5
紅茶葉(セイロン) 0.8
10w/v%重曹水溶液 調合時pH6.8に調整
本発明の安定剤(以下に記載)
ショ糖脂肪酸エステル(HLB値16) 0.03
グルコン酸カリウム 0.02
イオン交換水にて 全量100.0とする
【0045】
上記処方に示す組成のうち、ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「リョートーシュガーエステルP-1670:HLB16」)とグルコン酸カリウム(藤沢薬品工業株式会社製「ヘルシャスK」)を粉体混合し、本発明の飲料用乳化安定剤を得た。得られた飲料用乳化安定剤と砂糖とを粉体混合し、この粉体混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、重曹溶液を添加した。茶葉に茶葉量の35倍量の90℃〜95℃のお湯を加え、90℃〜95℃で10分間攪拌浸漬した後ろ紙ろ過し、室温まで冷却した抽出液を更に添加し、イオン交換水にて全量補正後、70℃まで加温し、第1段目9.8×106Pa、第2段目4.9×106 Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後容器に充填し、レトルト殺菌(123℃ 20分)を行いミルク入り茶飲料を調製した。得られたミルク入り茶飲料を60℃にて4週間保存後、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察したが、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿とも見られず、風味においても良好なものであった。
【0046】
(実施例2:ミルク入り茶飲料)
処方
牛乳 20(%)
スクラロース 0.1
紅茶葉(セイロン) 0.8
10w/v%重曹水溶液 調合時pH6.8に調整
本発明の安定剤(以下に記載)
コハク酸モノグリ 0.03
グルコン酸ナトリウム 0.02
イオン交換水にて 全量100.0とする
【0047】
上記処方に示す組成のうち、コハク酸モノグリ(理研ビタミン(株)製「ポエムB−10」)とグルコン酸ナトリウム(ヘルシャスA:藤沢薬品工業株式会社)を粉体混合し、本発明の飲料用乳化安定剤を得た。得られた飲料用乳化安定剤とスクラロースとを粉体混合し、この粉体混合物をイオン交換水に加え、75℃10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、重曹溶液を添加した。茶葉に茶葉量の35倍量の90℃〜95℃のお湯を加え、90℃〜95℃で10分間攪拌浸漬した後ろ紙ろ過し、室温まで冷却した抽出液を更に添加し、イオン交換水にて全量補正後、70℃まで加温し、第1段目9.8×106Pa 、第2段目4.9×106 Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後容器に充填し、レトルト殺菌(123℃ 20分)を行いミルク入り茶飲料を調製した。得られたミルク入り茶飲料を60℃にて4週間保存後、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察したが、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿とも見られず、風味においても良好なものであった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の乳入り飲料用乳化安定剤を用いることにより、保存、特に加温保存下においてミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿、といった現象が有意に抑制され、乳入り飲料の風味等に影響を及ぼさない乳入り飲料を提供することができる。また、本発明の乳入り飲料用の乳化安定剤を用いることにより、乳入り飲料のミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿抑制といった安定化した乳入り飲料を提供することができる。
Claims (3)
- グルコン酸ナトリウム及び/又はグルコン酸カリウム、並びに乳化剤を含有することを特徴とする乳入り飲料用乳化安定剤。
- 乳化剤がショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチンのうちの一種又は二種以上から選択される請求項1記載の乳入り飲料用乳化安定剤。
- 乳入り飲料にグルコン酸ナトリウム及び/又はグルコン酸カリウム、並びに乳化剤からなる乳入り飲料用乳化安定剤を添加することによる乳入り飲料の安定化方法。
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