JP4362725B2 - 植物性ステロール含有乳飲料及びその製造方法 - Google Patents

植物性ステロール含有乳飲料及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、植物性ステロール含有乳飲料に関する。詳細には、保存中も長期間安定に植物性ステロールを乳化することが出来、品質保持性、安定性に優れた植物性ステロール含有乳飲料に関する。
近年、日本でも食生活の西洋化・多様化やライフスタイルの変化などにより、コレステロールの過剰摂取の傾向にあると言われている。食品に含まれるコレステロールの過剰摂取により血中のコレステロールを増加させるため、高脂質血症、動脈硬化、不整脈、心筋梗塞などの心血関連の疾病を誘発する要因となっており、日本に於いても現在このような疾病が増える傾向にある。そこで、体内のコレステロールの吸収を阻害して、血清内のコレステロール値を低下させる物質として、植物性ステロールが注目されている。但し、植物性ステロールは、水及び油のいずれにも溶解しにくいと言う欠点を持っているため、食品に応用することが難しく、食品に応用するべく、水や油に乳化させる方法が検討されている。
たとえば、水性分散液又は懸濁液に植物性ステロールを分散する方法として、植物性ステロールなどの高融点脂質及びモノグリセリドなどの非ステロール乳化剤を含み、非ステロール乳化剤の高融点脂質に対する重量比が1/2未満として、例えば150℃で溶融した高融点脂質と乳化剤との混合する方法(特許文献1)、植物性ステロールと乳化剤を混合し60℃〜200℃で加熱して溶融させ溶融物を精製する溶融段階と、該溶融物を、水性飲料単独に又は乳化剤を含む水性飲料中に混合し水性飲料を生成する混合段階と、該水性飲料混合物を高速攪拌し、植物性ステロールが水性飲料に分散された分散液を得る分散段階と、を含む飲料用植物性ステロールの分散方法(特許文献2)などがある。
また、(A)植物ステロール、(B)グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びレシチンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の親油性乳化剤、(C)食用油類、(D)少なくとも1種の親水性のポリグリセリン脂肪酸エステル、および(E)水残部からなり、系全体における乳化剤のHLB値が12以上である請求項1記載の植物ステロール含有水溶性組成物を飲料に添加して、保存安定性に優れた飲料ができると記載されている(特許文献3)。また、水性媒体中に、少なくとも1種の疎水性物質及び/又は融点が約130℃より高い物質、並びに増粘剤を含む、安定で、安定剤を含まない均一懸濁液として、β−シトステロールとキサンタンガムが含まれるスキムヨーグルトが記載されている(特許文献4)。しかし、これらの方法では、ミルクコーヒーやミルクティなどの乳飲料中に植物性ステロールを安定に乳化し、UHT殺菌やレトルト殺菌などを行って長期保存させることは難しかった。
特開平11−146757号公報 特開2002−112747号公報 特開2002−291442号公報 特表2002−505093号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたもので、保存中も長期間安定に植物性ステロールを乳化することが出来、品質保持性、安定性に優れた植物性ステロール含有乳飲料を通常の乳飲料の製造工程で製造することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねていたところ、乳飲料中、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上を含有することにより、通常の乳飲料の製造工程で乳飲料を製造でき、植物性ステロールを長期間安定に乳化できることを見いだした。
そして、レトルト殺菌を行う時などはショ糖脂肪酸エステルを併用添加すると良く、また、キサンタンガム、ネイティブジェランガム及びカラギナンから選ばれる1種又は2種以上を併用することにより、植物性ステロールの長期間の乳化安定性が更に高まることを確認して本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の態様を有する植物ステロール含有乳飲料に関する;
項1.グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする植物性ステロール含有乳飲料。
項2.植物性ステロールが、β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、プラシカステロール、シトスタノール、カンペスタノール及びそれらのエステル塩から選ばれる1種又は2種以上である、項1に記載の植物性ステロール含有乳飲料。
項3.更に、ショ糖脂肪酸エステルを含有する項1又は2に記載の植物性ステロール含有乳飲料。
項4.更に、キサンタンガム、ネイティブジェランガム及びカラギナンから選ばれる1種又は2種以上を含む項1乃至3のいずれかに記載の植物性ステロール含有乳飲料。
項5.植物性ステロールと、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上を含有した状態で、均質化及び加熱殺菌を行うことを特徴とする植物性ステロール含有乳飲料の製造方法。
本発明により、保存中も長期間安定に植物性ステロールを乳化することが出来、油脂分の凝集や沈殿が起こらず、植物性ステロールが安定に乳化した良好な植物性ステロール含有乳飲料を提供できるようになった。
本発明の乳飲料は、植物性ステロールを含み、更に、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上を含有することにより、植物性ステロールを長期間安定に乳化した乳飲料に関する。本発明では、最終的に乳飲料中に植物性ステロール、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上が共存する状態であれば長期間安定に乳化する効果を発揮する。
本発明で言う乳飲料としては、例えば、コーヒー乳飲料、カフェオレ、ミルクティ、ミルクココア、ミルクセーキ、スープ、フルーツ乳飲料、卵乳飲料、抹茶入り乳飲料、豆乳入り乳飲料などと言った、乳成分を含有する、pH5.5〜8.0程度の中性や弱酸性の飲料であれば全ての飲料が該当する。乳成分としては、牛乳、生クリーム、全脂粉乳、脱脂粉乳、全脂練乳、脱脂練乳などが挙げられる。乳成分の乳飲料に対する含有量は、通常は、無脂乳固形分で0.8重量%以上、好ましくは、0.8〜5重量%の範囲である。
本発明で使用する植物性ステロールは、大豆、菜種、綿実などの植物油脂から抽出、精製されたものであり、β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、プラシカステロール、シトスタノール、カンペスタノール及びそれらのエステル塩から選ばれる1種又は2種以上を主成分とするものを使用することが出来、好ましくは、β−シトステロール、カンペステロールおよびスチグマステロール及びそれらのエステル塩から選ばれる1種又は2種以上を主成分とするものである。
また、本発明では植物性ステロールを固体のまま、若しくは、水やアルコールなどの溶媒に溶解/分散させた液体のいずれの状態でも添加しても良いが、水易溶性となるような加工を施した状態で添加することが好ましい。水易溶性となるような加工の方法としては、通常の方法を使用できるが、例えば、当該植物性ステロールと、グリセリン脂肪酸エステルやポリソルベート等の親油性乳化剤およびデキストリンを練り合わせ混合し篩分別したり、流動層造粒したり、噴霧乾燥したりして、粉末化した植物性ステロールを含有する易溶性の粉末とする方法(例えば、特願2004−085626号に記載の方法)や、植物性ステロールを融点以上の温度に加熱、融解した後、アラビアガム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤、水及び多価アルコールを含む液と混合し、乳化若しくは可溶化する方法、植物性ステロールと前記乳化剤とを混合した後、融点以上に加熱融解後、水及び多価アルコールを混合し、乳化若しくは可溶化する方法、植物性ステロール、前記乳化剤、水及び多価アルコールを混合した後、融点以上に加熱、融解後、乳化若しくは可溶化する方法などが挙げられるが、これらの方法に限定されない。水易溶性となるような加工を施した製品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンステロール[商標]シリーズを挙げることができる。
なお、本発明はグリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上を最終乳飲料中共存する状態であれば乳化安定効果を発揮するので、当該植物性ステロールの粉末化の際にグリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上を添加しても良い。
植物性ステロールの乳飲料に対する添加量として、0.1〜5重量%、好ましくは、0.2〜3重量%、更に好ましくは、0.4〜2重量%を例示することができる。
次に、本発明で使用するグリセリン脂肪酸エステルは、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、蒸留モノグリセリド、未蒸留モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を使用することが出来る。好適にはコハク酸モノグリセリドを使用する。グリセリン脂肪酸エステルの乳飲料に対する添加量は、添加する植物性ステロールの濃度や乳飲料の種類、製品の流通状態などによって異なるが、通常、0.005〜0.5重量%、好ましくは、0.01〜0.2重量%、より好ましくは、0.02〜0.05重量%を挙げることができる。これより配合量が少ないと所望の効果が望めず、これを越えるときは、グリセリン脂肪酸エステル特有の風味が強くなり、最終飲食品の風味に影響を与える場合があるからである。
本発明で使用するカゼインナトリウムは、一般的に飲料用の乳化剤や安定剤として使用されているものを使用することができる。カゼインナトリウムの乳飲料に対する添加量は、添加する植物性ステロールの濃度や乳飲料の種類、製品の流通状態によって異なるが、通常、0.01〜1%、好ましくは、0.015〜0.7重量%、より好ましくは、0.05〜0.3重量%を挙げることができる。これより配合量が少ないと所望の効果が望めず、これを越えるときは、カゼインナトリウム特有の風味が強くなり、最終飲食品の風味に影響を与える場合があるからである。
なお、前記グリセリン脂肪酸エステルとカゼインナトリウムは、商業上入手することができる。
本発明で使用する微結晶セルロースは、微結晶セルロースと分散剤や崩壊剤を特定の割合で含有する複合体とした微結晶セルロース製剤を好適に使用することが出来る。微結晶セルロース製剤の製法としては、例えば、パルプを磨砕して得られた微細セルロースを分散剤や崩壊剤と均一に混合して均質なスラリーとしてこれを乾燥することにより得られる方法を挙げることができるが、具体的には、特公昭40−14174号公報、特公昭62−43661号公報、特開平6−335365号公報などに記載のものが使用できる。分散剤や崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ガラクトマンナン(グァーガム、酵素分解グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルギン酸及びその塩、カードラン、ガティガム、カラギナン、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、サイリウムシードガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、ゼラチン、トラガントガム、ファーセレラン、プルラン、ペクチンなどを使用することが出来る。中でも、好ましいのは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギナン、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、難消化性デキストリン、ペクチンである。また、微結晶セルロースの結晶粒子の大きさとしては、平均粒径20μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。本発明で使用する微結晶セルロース製剤は商業上入手可能であり、例えば、旭化成工業株式会社製のアビセル・セオラス製品や、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のホモゲン[商標]NO.1610、ホモゲン[商標]NO.1855などを挙げることができる。
微結晶セルロースの乳飲料に対する添加量は、添加する植物性ステロールの濃度や乳飲料の種類、製品の流通状態によって異なるが、通常0.01〜2重量%、好ましくは、0.05〜1.5重量%、より好ましくは、0.1〜1重量%を挙げることができる。これより配合量が少ないと所望の効果が望めず、これを越えるときは、微結晶セルロース特有の風味が強くなり、最終飲食品の風味に影響を与える場合があるからである。
本発明の植物性ステロール含有乳飲料は、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴としており、これらから選ばれる組み合わせで有れば特に限定はされないが、これら添加剤の組み合わせとして、特に好ましいのは、グリセリン脂肪酸エステル及びカゼインナトリウムの組み合わせ、微結晶セルロース単独、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースの組み合わせである。
中でも、植物性ステロールとしてβ−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、プラシカステロール、シトスタノール、カンペスタノールを使用する場合は、グリセリン脂肪酸エステル及びカゼインナトリウムの組み合わせ、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースの組み合わせを使用するのが好ましい。
また、植物性ステロールとしてβ−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、プラシカステロール、シトスタノール、カンペスタノールのエステル塩を使用する場合は、微結晶セルロース単独或いは、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースの組み合わせを使用するのが好ましい。
更に、本発明では、常温流通やホットベンダーでの高温保存を行う場合、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上に加えて、ショ糖脂肪酸エステルを併用して使用することが好ましく、HLBが13以上で、構成飽和脂肪酸の炭素数を16〜22のものが好ましい。炭素数が16〜22の飽和脂肪酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸などが挙げられ、単独でも2種以上の混合物であってもよい。これらの中で特に好ましいのは、パルミチン酸及びステアリン酸である。ショ糖脂肪酸エステルの配合量は、乳飲料中の植物性ステロールの濃度や乳飲料種類、製品の流通状態によって異なるが、通常、乳飲料に0.005〜1重量%、好ましくは、0.02〜0.5重量%、を例示することができる。これより配合量が少ないと所望の効果が望めず、これを越えるときは、添加剤特有の風味が強くなり、最終飲食品の風味に影響を与える場合があるからである。
また、本発明の乳飲料は、前述に加えて、キサンタンガム、ネイティブジェランガム及びカラギナンから選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。キサンタンガム、ネイティブジェランガム、カラギナン及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上の配合量であるが、乳飲料に対して、0.005〜0.4重量%を例示することができる。これらを含むことにより、より油脂分の凝集や沈殿を防止する効果を高めることができる。
本発明に係る植物性ステロール含有乳飲料は、前述に加えて、必要に応じて、糖類、甘味料、高甘味度甘味料、コーヒー、紅茶、ココア、抹茶、チョコレート、卵黄、卵白等の卵加工品、酸味料、調味料、色素、香料、果汁、ピューレ、保存料、エキス、糊料、pH調整剤、洋酒、ビタミン、その他ミネラル類等を任意に添加することができる。
糖類としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)等をあげることができる。
高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等を挙げることができる。
なお、前述以外の乳化剤として、本発明の効果を損なわず、補完できる範囲内で一般的に用いられているものを使用しても良い。具体的には、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩(ナトリウム塩、カルシウム塩)、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン、ポリソルベート等を挙げることができる。
また、前述以外の安定剤として、本発明の効果を損なわず、補完できる範囲内で一般的に用いられているものを使用しても良い。具体的には、例えば、脱アシル型ジェランガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、タピオカ澱粉、コーンスターチ等の澱粉、乳清タンパク質、ローカストビーンガム、グァーガム、アラビアガム、グルコマンナン、タラガム、プルラン、タマリンドシードガム、トラガントガム、カラヤガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、マクロホモプシスガム、カルボキシメチルセルロース、微小繊維状セルロース、発酵セルロース、大豆多糖類及びデキストリンなどが挙げることができる。
本発明の植物性ステロール含有乳飲料は、乳飲料を充填後、密封・密閉するものであれば特に限定されず、具体的には缶、ビン、紙パック、ペットボトル、ラミネートパック等、種々の保存容器が例示される。
更に、本発明に係る植物性ステロール含有乳飲料の製造方法として、植物性ステロールと、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム及び微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上を含有した状態で、均質化及び加熱殺菌を行うことを特徴とする。
均質化は、一般的な方法を用いることができる。例えば、市販のホモミキサーやホモゲナイザーにて処理する方法を挙げることができるが、2段均質化を行うのが好ましい。均質化条件として、例えば2段均質化を行う場合、60〜80℃で、第一段階 9.8×10Pa(100kgf/cm)、第二段階 4.7×10Pa(50kgf/cm)の計14.7×10Pa(150kgf/cm)を挙げることができる。また、均質化を数回繰り返しても良い。
加熱殺菌は、原材料を混合、均質化の後、容器に充填して密封したのち行うのが一般的である。加熱殺菌条件として、例えば、レトルト殺菌による場合は、121℃で30分間程度、また、原材料を混合後、プレート式熱交換器やチューブラ式熱交換器により加熱殺菌する場合は、低温流通品ならば130℃で2〜5秒程度、ペットボトルや缶等の常温流通品ならば、140℃で15〜60秒程度のUHT殺菌を行う方法、などのいずれの方法によってもよい。このような加熱を行っても、油脂分の凝集や沈殿が起こらず、長期間、植物性ステロールを安定に乳化できる乳飲料が提供できるようになった。
以下に、実験例及び実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「重量部」「重量%」、文中*印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を意味する。
実験例1:植物性ステロール含有コーヒー飲料の調製
処方
Figure 0004362725
Figure 0004362725
本実施例で使用する植物性ステロール含有粉末組成物として、植物性ステロール粉末組成物として、植物性ステロール(製品名Corowise、粒子径25μm、純度88%;カーギル社製)60%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトQ18S、HLB12.0、モノステアリン酸デカグリセリン;太陽化学株式会社製)10%、デキストリン30%の噴霧乾燥品を使用した。
(2)コーヒーの調製
A.コーヒーエキスの抽出
粗挽きしたコーヒー豆に6倍の熱湯を加え、ろ過抽出を行い、20℃まで冷却したものをコーヒーエキスとした。BrixとpHは20℃にて測定し、コーヒーエキスの添加量は下記の計算式により決定した。
添加量(%)=(固形分/Brix)×100
B.砂糖溶液の調製
50部の水に50部の砂糖を加え、80℃まで加温後 10分間攪拌溶解し、冷却したものを砂糖溶液とした。
C.乳溶液の調製
植物性ステロールと牛乳(又は脱脂粉乳、全脂粉乳)を、70℃で10分間攪拌溶解後、冷却したものを乳溶液とした。
D.乳化剤溶液の調製
適量の水に表2の配合の乳化剤を加え、80℃まで加温後10分間攪拌溶解し、冷却したものを乳化剤溶液とした。
E.コーヒー飲料の調製
上記表1及び2に示す処方の配合にて、乳化剤溶液に、砂糖溶液及び乳溶液を添加混合し、10%重曹溶液を加えて更に混合し、コーヒーエキスを加え、水にて全量補正したものを70℃に加温後、第一段9.8×10Pa(100kgf/cm)、第二段4.7×10Pa(50kgf/cm)の圧力にて均質化した。均質化後、レトルト缶に充填し、室温まで冷却後、実施例1については、140℃2秒のUHT殺菌、その他に関しては、123℃20分間レトルト殺菌を行い、缶入りコーヒー飲料を調製した。
(3)評価
60℃保存区は、評価前に常温で半日保存した後に開缶して、リング及び沈殿を評価した。なお、実施例1については、10℃で保存した評価を示す。
<カテゴリーの説明>
表3に示す通りである。
リング:上に浮いた白い部分の量が多い順に+++>++>+>±>−で表す。
沈殿:コーヒーをプラスチックコップに移して、最後のコーヒー液及び瓶の底に残っている固体粒子(沈殿)の量が多い順に+++>++>+>±>−で表す。
Figure 0004362725
(4)結果
下記表4に示す通り、グリセリン脂肪酸エステル(コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)及びカゼインナトリウムを含むコーヒー(実施例1〜3)について、植物性ステロールを安定に乳化でき、更にレトルト殺菌する後、60℃で保存する実施例2〜3は、ショ糖脂肪酸エステルを更に併用すると乳化安定効果が高いことが判った。
Figure 0004362725
実験例2:カフェオレの調製
(1)処方
Figure 0004362725
植物性ステロール含有粉末組成物は実験例1と同じものを使用した。
Figure 0004362725
(2)カフェオレの調製
A.コーヒーエキスの抽出
実験例1のコーヒーの調製方法と同様にして、コーヒーエキスを抽出した。
B.カフェオレの調製
上記表5〜6の処方の配合にて、水に、砂糖、牛乳、植物性ステロール粉末組成物及び表2の配合の乳化剤を加え、80℃まで加温し10分間攪拌溶解して室温まで冷却した後、10%重曹溶液を加えて更に混合し、コーヒーエキスを加え、水にて全量補正したものを70℃に加温後、第一段9.8×10Pa(100kgf/cm)、第二段4.7×10Pa(50kgf/cm)の圧力にて均質化した。均質化後、レトルト缶に充填し、室温まで冷却後、実施例4については、140℃2秒のUHT殺菌、その他に関しては、123℃20分間レトルト殺菌を行い、缶入りカフェオレ飲料を調製した。
(3)評価
実験例1と同様に評価を行うが、実施例4については、10℃で保存した評価を示す。更に実験例1の評価項目に加えて、1週間及び2週間保存後のステロールの析出・浮遊の状態を観察した。析出・浮遊の多い方から順に、+++>++>+>±>−で表す。
(4)結果
下記表7に示す通り、グリセリン脂肪酸エステル(コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)及びカゼインナトリウムを含むカフェオレ(実施例4〜5)について、植物性ステロールを安定に乳化でき、更にレトルト殺菌する後60℃で保存する実施例5は、ショ糖脂肪酸エステルを併用するとリングや沈澱が有意に抑制され、また、植物性ステロールの析出や浮遊もみられず、乳化安定効果が高いことが判った。
Figure 0004362725
実験例3:コーヒー乳飲料の調製
(1)処方
Figure 0004362725
植物性ステロールエステルとして、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンステロール[商標]ESを使用した。
Figure 0004362725
(2)コーヒー乳飲料の調製
A.コーヒーエキスの抽出
粗挽きしたL値20のコーヒー豆1000gに6倍の95℃熱湯を加え、濾過を行い、10分間後得たコーヒーエキスに対して、もう一度先ほどのコーヒー豆を加えて濾過を行い、20℃まで冷却してコーヒーエキスを調製した。
Brixは20℃にて測定し、添加量=(固形分/Brix)×100で計算した。
B.コーヒー乳飲料の調製
上記表8〜9の処方の配合にて、水に、脱脂粉乳、全脂粉乳、乳化剤及び植物性ステロールエステルを加え、80℃まで加温し10分間攪拌溶解した後、20℃まで冷却し、砂糖溶液、スクラロース、10%重曹溶液及びコーヒーエキスを加え、70℃に加温後、水にて全量補正して、第一段9.8×10Pa(100kgf/cm)、第二段4.7×10Pa(50kgf/cm)の圧力にて均質化した。均質化後、レトルト缶に充填し、室温まで冷却後、123℃20分間レトルト殺菌を行い、缶入りコーヒー乳飲料を調製した。
(3)評価
60℃1週間、37℃1週間、37℃6週間保存後に、開缶して、リング浮き、沈殿、白色浮遊物の有無を観察した。リング・沈殿・浮遊の多い方から順に、+++>++>+>±>−で表す。
(4)結果
下記表10に示す通り、微結晶セルロースを使用することにより、植物性ステロールエステルを安定に乳化でき、また、コハク酸モノグリセリド、カゼインナトリウムと併用しても乳化安定効果が良好であり、植物性ステロールの析出や浮遊もみられず、乳化安定効果が高いことが判った。
Figure 0004362725
保存中も長期間安定に植物性ステロールを乳化することが出来、品質保持性、安定性に優れた植物性ステロール含有乳飲料を通常の乳飲料の製造工程で製造できる。

Claims (5)

  1. コハク酸モノグリセリド及びカゼインナトリウム含有することを特徴とする植物性ステロール含有乳飲料。
  2. 植物性ステロールが、β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、プラシカステロール、シトスタノール、カンペスタノール及びそれらのエステル塩から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載の植物性ステロール含有乳飲料。
  3. 更に、ショ糖脂肪酸エステルを含有する請求項1又は2に記載の植物性ステロール含有乳飲料。
  4. 更に、キサンタンガム、ネイティブジェランガム及びカラギナンから選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の植物性ステロール含有乳飲料。
  5. 植物性ステロール、コハク酸モノグリセリド及びカゼインナトリウム含有した状態で、均質化及び加熱殺菌を行うことを特徴とする植物性ステロール含有乳飲料の製造方法。
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