JP3805445B2 - セパレータおよびその取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基礎の断熱材を兼用する発泡ウレタン製の基礎仮枠を用いた断熱基礎仮枠におけるセパレータ取付構造、およびこのような基礎に適したセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
寒冷地用の断熱基礎構造として、基礎仮枠を発泡ウレタン製とし、この基礎仮枠を基礎コンクリートの硬化後も基礎の断熱材としてそのまま残すものを提案した(特願平7−287967号)。これによれば、基礎に優れた断熱性が得られるうえ、基礎仮枠の撤去の必要がないために施工性が向上し、かつ別途に基礎仮枠を準備する必要がなく、コスト低下が図れる。
しかし、一層の施工性の向上およびコスト低下を図るにつき、セパレータの工夫が望まれる。すなわち、従来、セパレータとして各種のものが使用されているが、従来のものは、いずれも枠組された基礎仮枠間に入ってセパレータ両端の木コンやレジコン,ポリコンあるいはフランジを基礎仮枠の内面に設置する必要があり、作業に手間がかかる。また、レジコン等を使用するものでは、構成が複雑で高価になるという問題がある。
【0003】
この発明は、上記の課題を解消するものであり、施工性の向上が図れる簡単な構成のセパレータおよびその取付構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明のセパレータは、対面する一対の基礎仮枠に各々埋め込み状態に設置される第1および第2のセパレータ本体と、前記両基礎仮枠間に介在させる支持筒と、この支持筒内に挿通されて前記両セパレータ本体を接合する継ぎボルトとを備える。前記継ぎボルトは、先端および基端に雄ねじ部を有しかつ基端近傍に軸部よりも大径の雄ねじ部を有する。前記第1のセパレータ本体は、前記継ぎボルトの軸部が挿通可能でかつ前記大径の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、前記第2のセパレータは、前記継ぎボルトの先端の雄ねじ部が螺合する雌ねじ部およびホームタイの接合部を有する。
この構成のセパレータによると、基礎仮枠の施工に際して、予めセパレータ本体の埋め込み設置された基礎仮枠間に支持筒を介在させ、第1のセパレータ本体側の基礎仮枠の外側から継ぎボルトを挿入してねじ込むだけで、セパレータの設置が完了する。このように設置されたセパレータの継ぎボルトの基端および第2のセパレータにホームタイを取付け、パイプ製の横ばた等を取付ける。なお、このセパレータは、次の断熱基礎仮枠に限らず、各種の基礎仮枠に使用することができる。
【0005】
この発明の断熱基礎仮枠のセパレータ取付構造は、上記構成のセパレータを基礎仮枠に取付ける構造であって、前記両セパレータ本体を埋め込み設置する基礎仮枠を、基礎コンクートの硬化後に基礎の断熱材として残される発泡ウレタン製の断熱基礎仮枠としたものである。
基礎仮枠が発泡ウレタン製である場合、セパレータ本体の埋め込みを、基礎仮枠の発泡成形時に行え、発泡ウレタンの持つ接着性で基礎仮枠が堅固に基礎仮枠に接着される。
【0006】
このセパレータ取付構造において、前記両基礎仮枠の内面におけるセパレータ本体取付部の周囲に金属製の補強板を設けることが望ましい。この場合に、前記支持筒の第1のセパレータ本体側の端部外周に、外径側へ突出する複数の係止爪を設ける。第1のセパレータ本体側の補強板には、前記支持筒の端部が挿入される円形開口を設け、この円形開口の周縁に、前記支持筒の係止爪が挿通可能な切欠を設ける。この補強板と第1のセパレータ本体との間に前記係止爪を挟み込み可能な隙間を設ける。
この構成の場合、前記支持筒の先端の係止爪を前記切欠から挿入して前記支持筒を回転させることにより、前記係止爪を前記隙間内に挟み込んで前記支持筒を基礎仮枠に保持させることができる。そのため、支持筒を基礎仮枠に簡単に取付けることができ、現場で支持筒を基礎仮枠に取付けてから、その基礎仮枠を設置することもできる。基礎仮枠は発泡ウレタン製で軽量であるため、このような施工方法が簡単に採用できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図1ないし図4と共に説明する。図3はこのセパレータおよびその取付構造を採用した断熱基礎の断面図である。この基礎1は、寒冷地住宅用の布基礎に応用したものであり、断熱性の基礎仮枠2,2間に基礎コンクリート3を打設し、基礎コンクリート3に鉄筋4を埋め込んで構成される。基礎コンクリート3および基礎仮枠2内にはセパレータ5が埋め込み状態に残される。基礎コンクリート3は、立ち上がり部3aの下端に両側へ広がったベース部3bを有しており、基礎仮枠2はこの基礎コンクリート3の側面に沿う形状とされる。基礎仮枠2は、基礎コンクリート3の硬化後にも基礎1の断熱材として残されるものであり、発泡ウレタン製のものが用いられる。基礎仮枠2の上端には、基礎周辺部材の取付下地となる鉄板等の金属板製の下地材2aが設けられ、発泡ウレタンの発泡成形時の接着性で接着されている。
【0008】
セパレータ5は、図1に示すように、基礎仮枠2,2に各々埋め込み状態に設置される第1および第2のセパレータ本体6A,6Bと、両基礎仮枠2,2間に介在させる支持筒7と、この支持筒7内に挿通されて両セパレータ本体6A,6Bを接合する継ぎボルト8とを備える。
【0009】
継ぎボルト8は、先端および基端に雄ねじ部8a,8bを有し、かつ基端近傍に軸部よりも大径の雄ねじ部8cを有している。大径の雄ねじ部8cは、先端の雄ねじ部8aよりもリードを大きくしてある。第1のセパレータ本体6Aは、樹脂製の筒部6Aaの一端に金属板6Abを一体化して構成され、金属板6Abに、継ぎボルト8が挿通可能でかつ前記大径の雄ねじ部8cと螺合する雌ねじ部9を有している。第2のセパレータ本体6Bは、樹脂製の筒部6Baの一端に金属板6Bbを一体化して構成され、筒部6Baの内径面の全体が雌ねじ10に形成されている。この雌ねじ10の一端側部分が、継ぎボルト8の先端の雄ねじ部8aが螺合する雌ねじ部11となり、他端側部分がホームタイ接合部12となっている。
【0010】
ホームタイ接合部10には、両切ボルトからなるホームタイ用ボルト13がねじ込まれ、このホームタイ用ボルト13の突出部分にホームタイ14がその雌ねじ部で取付けられる。ホームタイ14は、各種の構成のものが使用できるが、図示の例では、雄ねじ部14aにサドル16をナット15で取付け、丸パイプからなる上下2本の横はた17をサドル16で基礎仮枠2の外面に押し付けるものとしてある。第1のセパレータ本体6A側では、継ぎボルト8の基端の雄ねじ部8bに、前記ホームタイ用ボルト13側と同様なホームタイ14が取付けられ、前記と同様に横はた17の保持が行われる。
【0011】
支持筒7は塩ビパイプ等の樹脂製のものであり、図2に示すように、一端にリング状の金属板からなる爪形成材18が接着してある。爪形成材18には、外径側へ突出する複数の係止爪19が等間隔に設けてある。この例では、係止爪19は2個としてある。
一方、両基礎仮枠2の内面におけるセパレータ本体取付部の周囲には鉄板等の金属製の補強板20A,20Bが設けてあり、これら補強板20A,20Bには支持筒7の端部が挿入される円形の開口21(図2)が形成されている。このうち、第1のセパレータ本体6A側の補強板20Aにおける円形開口21の周縁には、支持筒7の各係止爪19が挿通可能な複数の切欠22が設けられる。この補強板20Aと第1のセパレータ本体6Aとの間には、係止爪19を挟み込み可能な隙間d(図1)を全周に設けておく。
なお、補強板20A,20Bおよびセパレータ本体6A,6Bは、基礎仮枠2の発泡成形時にその金型内に配置しておき、発泡成形に伴うウレタン樹脂の接着性で基礎仮枠2に一体に埋め込み状態に接着させる。
【0012】
つぎに、施工方法を説明する。まず、第1のセパレータ本体6Aの埋め込まれた基礎仮枠2に支持筒7を取付ける。支持筒7の取付作業は、図2のように係止爪19が補強板20Aの切欠22に対応する回転角度で支持筒7の先端を補強板20Aの円形開口21に差し込み、支持筒7を1/4回転させる。これにより、支持爪19が同図に鎖線で示すように切欠22から離れた位置に来て、補強板20Aと第1のセパレータ本体6Aとの間の隙間dに挟み込み状態となり、支持筒7が基礎仮枠2に保持される。
【0013】
図4(A)に示すように、この支持筒7の取付けられた基礎仮枠2を所定位置に設置した後、これに対面する基礎仮枠2を所定位置に設置する(同図(B))。この後、第1のセパレータ本体6Aに基礎仮枠2の外側から継ぎボルト8を差し込み、支持筒7に挿通して、その先端を第2のセパレータ本体2Bの雌ねじ部11にねじ込む。これにより、大径の雄ねじ部8cが第1のセパレータ本体6Aの雌ねじ部9に噛み合い始めるので、さらに継ぎボルト8を回転させることで、大径の雄ねじ部8cを前記雌ねじ部9にねじ込む(同図(C))。このねじ込みに伴い、先端と大径部の雄ねじ部8a,8cのリードの差により、両側の基礎仮枠2,2が互いに引き寄せられ、支持筒7の突っ張りで基礎仮枠2,2の間隔が規制される。このようにして各セパレータ5の施工を行った後、両側のホームタイ14を取付け、横はた17をサドル16で保持させる。鉄筋4は、予め所定形状に組んだものを、適宜の過程で基礎仮枠2,2間に配置する。この後、基礎仮枠2,2間に基礎コンクリート3を打設する。基礎コンクリート3の硬化後は、ホームタイ14および継ぎボルト8を撤去し、基礎仮枠2は断熱材としてそのまま残す。屋外側の基礎仮枠2はモルタル(図示せず)を屋外面に塗布する。
なお、基礎仮枠2の設置に際しては、図1(B)に示すように、溝形のレール23を地盤に設置しておき、その上に基礎仮枠2を下端が嵌まるように設置しても良い。レール23は、複数の基礎仮枠2が並ぶ長さのものとする。これにより、基礎仮枠2が整然と並べられ、基礎の通りがでる。
【0014】
この構成のセパレータ5によると、上記のように基礎仮枠2,2の施工に際して、予めセパレータ本体6A,6Bの埋め込み設置された基礎仮枠2,2間に支持筒7を介在させ、基礎仮枠2の外側から継ぎボルト8を挿入してねじ込むだけで、セパレータ5の設置が完了する。そのため、両側の基礎仮枠2,2の設置後にその間の狭い空間で作業を行う必要がなく、施工性が良い。特に、図4と共に前述したように、支持筒5を片方の基礎仮枠2に取付けておくことで、一層の施工能率の向上が図れる。また、このセパレータ5は、木コンやレジコン等が不要であるため、構成が簡単で安価に製作できる。さらに、セパレータ本体6A,6Bは基礎仮枠2内にその発泡成形時に一体化させることができるので、セパレータ本体6A,6Bの基礎仮枠2への取付けも容易に行える。
【0015】
【発明の効果】
この発明のセパレータは、対面する一対の基礎仮枠に埋め込み設置される第1,第2のセパレータ本体と、両基礎仮枠間に介在させる支持筒と、この支持筒内に挿通されて前記両セパレータ本体を接合する継ぎボルトとを備え、前記継ぎボルトは、第1のセパレータ本体に挿通して先端を第2セパレータ本体に螺合させ、かつ基端近傍の大径の雄ねじ部を第1のセパレータ本体に螺合させるように構成したため、簡単な構成でありながら、対面設置された基礎仮枠に外側からの継ぎボルトの挿入およびねじ込み作業により簡単にセパレータの施工が行える。
この発明の断熱基礎仮枠のセパレータ取付構造は、上記構成のセパレータを基礎仮枠に取付ける構造であって、両セパレータ本体を埋め込み設置する基礎仮枠が、基礎コンクートの打設後に基礎の断熱材として残される発泡ウレタン製の断熱基礎仮枠であるため、セパレータ本体の基礎仮枠内への埋め込み設置が、発泡ウレタンの成形時に簡単に行え、また作業性良くセパレータの施工が行える。
このセパレータ取付構造において、基礎仮枠内面のセパレータ本体取付部の周囲に補強板を設けると共に、支持筒の先端に係止爪を設け、この係止爪を前記補強板に設けられた切欠から挿入して支持筒を回転させることにより、前記係止爪を前記補強板とセパレータ本体との間の隙間内に挟み込んで支持筒を基礎仮枠に保持可能とした場合は、支持筒を基礎仮枠に簡単に取付けることができ、セパレータの施工が一層簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかる断熱基礎のセパレータ取付構造の断面図、(B)はその斜視図である。
【図2】同セパレータの支持筒と補強板との関係を示す斜視図である。
【図3】同セパレータ取付構造を採用した基礎の断面図である。
【図4】同セパレータ取付構造の施工過程の説明図である。
【符号の説明】
1…基礎
2…基礎仮枠
5…セパレータ
6A,6B…セパレータ本体
7…支持筒
8…継ぎボルト
8a〜8c…雄ねじ部
9…雌ねじ部
11…雌ねじ部
12…ホームタイ取付部
14…ホームタイ
19…係止爪
20A,20B…補強板
21…円形開口
22…切欠

Claims (3)

  1. 対面する一対の基礎仮枠に各々埋め込み状態に設置される第1および第2のセパレータ本体と、前記両基礎仮枠間に介在させる支持筒と、この支持筒内に挿通されて前記両セパレータ本体を接合する継ぎボルトとを備え、前記継ぎボルトは先端および基端に雄ねじ部を有しかつ基端近傍に軸部よりも大径の雄ねじ部を有し、前記第1のセパレータ本体は前記継ぎボルトの軸部が挿通可能でかつ前記大径の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、前記第2のセパレータは前記継ぎボルトの先端の雄ねじ部が螺合する雌ねじ部およびホームタイの接合部を有するものであるセパレータ。
  2. 請求項1記載のセパレータを基礎仮枠に取付ける構造であって、前記両セパレータ本体を埋め込み設置する基礎仮枠が、基礎コンクートの打設後に基礎の断熱材として残される発泡ウレタン製の断熱基礎仮枠である断熱基礎仮枠のセパレータ取付構造。
  3. 前記両基礎仮枠の内面におけるセパレータ本体取付部の周囲に金属製の補強板を設け、前記支持筒の前記第1のセパレータ本体側の端部外周に、外径側へ突出する複数の係止爪を設け、前記第1のセパレータ本体側の補強板に、前記支持筒の端部が挿入される円形開口を設け、この円形開口の周縁に、前記支持筒の係止爪が挿通可能な切欠を設け、この補強板と第1のセパレータ本体との間に前記係止爪を挟み込み可能な隙間を設け、前記支持筒の先端の係止爪を前記切欠から挿入して前記支持筒を回転させることにより、前記係止爪を前記隙間内に挟み込んで前記支持筒を基礎仮枠に保持可能とした請求項2記載の断熱基礎仮枠のセパレータ取付構造。
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