JP3804577B2 - 限外濾過ユニットの洗浄方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀乳剤製造装置の反応容器の外部に設けられた限外濾過ユニットの洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真用ハロゲン化銀乳剤の製造過程は、ハロゲン化銀粒子核形成、熟成、結晶成長、脱塩の4過程に大別される。この4過程の中で、特に結晶成長過程では、成長に要する銀イオン及びハロゲン化物イオンの供給に伴い大量の水が添加されるので、反応容器内の液量が増大するため、生産性が低下し、大量の水が添加されることでハロゲン化銀粒子濃度(即ちハロゲン化銀粒子間距離)を制御することが困難となりハロゲン化銀粒子のサイズや晶癖の均一性が得られ難かった。
【0003】
これらの対策として、最近では上記4過程で限外濾過ユニットを用いることで生産性の向上及びハロゲン化銀粒子のサイズや晶癖の粒子間均一性の優れたハロゲン化銀粒子を得る技術が採用されている。
【0004】
限外濾過ユニットを有するハロゲン化銀乳剤製造装置及びそれらの利用は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下RDと略す)102巻、アイテム10208、10月、1972年、RD131巻、アイテム13122、3月、1975年、同135巻、アイテム13577、7月、1975年、特公昭59−43727号、特開昭62−113137号、特開平3−140946号、同6−67326号、同11−249245号、同11−295830号、同11−212195号に記載されている。
【0005】
例えば特開平11−249245号、同11−295830号、同11−212195号には、ハロゲン化銀粒子とゼラチンとを含んだハロゲン化銀乳剤を限外濾過装置に導入することで、水と可溶性塩類が透過液として系外へ排出することが可能であるので、反応容器内のハロゲン化銀粒子濃度を上げることが可能となる。これにより、生産性の向上及びハロゲン化銀粒子形成の各過程でハロゲン化銀粒子濃度(即ちハロゲン化銀粒子間距離)を任意に制御することが可能となり、ハロゲン化銀粒子のサイズや晶癖の粒子間均一性により優れたハロゲン化銀乳剤を得られる技術が開示されている。
【0006】
特開平6−67326号には、限外濾過装置をハロゲン化銀粒子と共に存在する可溶性塩を除去する脱塩過程に使用することで、沈殿剤を使用することなしにハロゲン化銀乳剤を濃縮化することで、ハロゲン化銀粒子表面に化学増感を阻害する沈殿剤の吸着がなくなり、感度の調整が容易になるハロゲン化銀乳剤を得られる技術が開示されている。
【0007】
限外濾過は反応容器中から分散体を限外濾過装置の限外濾過ユニットへポンプで送液し、限外濾過ユニットの限外濾過膜と接触させ、膜の両側に圧力差を生じさせることにより行われている。使用する限外濾過膜は、ある特定の大きさ以下の分子を透過するが、より大きな分子及びハロゲン化銀粒子は分散体中に残留させるような大きさの微細孔を有する。使用する限外濾過膜は一般的に分子量カットオフ値が約500〜500,000の範囲、より好ましくは約500〜10,000の範囲の限外濾過膜の中から必要に応じて選択され使用されている。
【0008】
限外濾過ユニットを有したハロゲン化銀乳剤製造装置を使用してハロゲン化銀粒子を製造する時、可溶性塩及び水が限外濾過ユニットの限外濾過膜を通って透過液として系外に排出される。この時、排出量はハロゲン化銀粒子のサイズや晶癖の粒子間均一性を得るために一定でかつ反応容器に添加される銀塩及びハロゲン化塩水溶液の流量の合計に等しいか又はそれより多くなるように精密に制御する必要がある。
【0009】
限外濾過膜を通過する流量は限外濾過膜の表面の付着具合及び限外濾過膜が有している微細孔の詰まり具合に影響されるため、使用後には限外濾過膜の表面及び微細孔に残り物が無い様に洗浄する必要がある。
【0010】
限外濾過ユニットの洗浄は、例えば特開平6−82940号に記載されているハロゲン化銀乳剤製造装置の反応容器を洗浄するときに一緒に洗浄していた。しかし、これらの洗浄方法で限外濾過ユニットを洗浄した場合、使用前の排出量が得られず、送液圧力を上げることで排出量を維持する方法を採用している。
【0011】
しかし、この方法でも洗浄を繰り返すことで送液圧力を上げても必要とする排出量が得られなくなるため、送液圧力が管理値を越えた場合、限外濾過ユニットを交換して使用している。
【0012】
このため限外濾過ユニットの洗浄の度に送液圧力を調べなければならず又限外濾過ユニットの寿命が短いため交換を頻繁に行うため維持費が掛かる欠点を有しているため、送液圧力を管理する必要が無く、限外濾過ユニットの寿命を延ばす限外濾過ユニットの洗浄方法の開発が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的としては、送液圧力を管理する必要がなく、限外濾過ユニットの寿命を延ばす限外濾過ユニットの洗浄方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の構成により達成された。
【0015】
1)ハロゲン化銀乳剤製造装置のハロゲン化銀乳剤を形成する反応容器の外部に設けられた限外濾過ユニットの洗浄方法において、該限外濾過ユニットをハロゲン化銀溶解剤溶液で洗浄した後、更にゼラチン分解溶解剤溶液で洗浄することを特徴とする限外濾過ユニットの洗浄方法。
【0016】
2)前記ハロゲン化銀溶解剤溶液の温度が20〜40℃、限外濾過ユニット内の流速が0.02〜0.2m/sec、洗浄時間が5〜30分であることを特徴とする1)に記載の限外濾過ユニットの洗浄方法。
【0017】
3)前記ゼラチン分解溶解剤溶液の温度が40℃〜60℃、限外濾過ユニット内の流速が0.02〜0.2m/sec、洗浄時間が5〜60分であることを特徴とする1)に記載の限外濾過ユニットの洗浄方法。
【0018】
本発明を図1を参照しながら更に詳細に説明する。
図1は反応容器の外部に限外濾過ユニットを有するハロゲン化銀乳剤製造装置の一例を示す模式図である。
【0019】
図中、1はハロゲン化銀乳剤製造装置を示し、ハロゲン化銀乳剤製造装置1は反応装置2と、反応装置2の外部に設けた限外濾過装置3とを有している。201は反応容器を示し、202は分散媒体を示す。
【0020】
203は反応容器201に、少なくとも1種の銀塩水溶液、好ましくは硝酸銀水溶液を添加するための銀塩水溶液添加ラインを示す。204は、反応容器201に少なくとも1種のハロゲン化塩水溶液、好ましくは臭素や沃素、塩素のアルカリ金属塩水溶液、又はアンモニウム塩水溶液、或いはそれらの混合物を添加するためのハライド添加ラインを示す。
【0021】
203aは銀塩水溶液添加ライン203から反応容器201に添加される銀塩水溶液の流量を制御するためのバルブを示す。204aはハライド添加ライン204から反応容器201に添加されるハロゲン化塩水溶液の流量を制御するためのバルブを示す。
【0022】
205はハロゲン化銀乳剤調製過程で、分散媒体及び反応物溶液(分散媒体とハロゲン化銀粒子の混合物)を攪拌するための攪拌機構を示し、攪拌機構205はあらゆる通常の様式が可能である。
【0023】
銀塩水溶液添加ライン203を通じての銀塩水溶液及びハライド添加ライン204を通じてのハロゲン化塩水溶液の添加は、液面添加でもよいが、より好ましくは攪拌機構205近傍の液中に添加する方がよい。
【0024】
攪拌機構205は、銀塩水溶液とハロゲン化塩水溶液と分散媒体202とを混合し、可溶性銀塩が可溶性ハロゲン化物塩と反応してハロゲン化銀を生成することを可能にする。
【0025】
206は、反応容器201からの液抜き取りバルブを示す。207は分散媒体202の添加ラインを示し、208は添加剤の添加ラインを示す。
【0026】
301は、反応容器201への銀塩水溶液及びハロゲン化塩水溶液の添加による粒子形成過程で、反応容器201内の反応物溶液の一部を、液取り出しライン302を通して限外濾過ユニット303に送る循環ポンプを示す。
【0027】
304は限外濾過ユニット303を通過した反応物溶液を反応容器201に戻す液戻しラインを示す。305は限外濾過ユニット303にかかる圧力を調節する圧力調整用バルブを示す。
【0028】
306は、限外濾過ユニット303により反応物溶液中に含まれる水溶性塩の溶液の一部を分離した液を、限外濾過ユニット303に設けた取り出しバルブ307、308を開き、系外に排出する透過液排出ラインを示す。309は透過液排出ラインを通して系外に排出する透過液量(限外濾過フラックス)を任意に制御できる流量調節用バルブを示す。310は透過液受け容器を示し、311は透過液を示す。図中の矢印は各溶液の流れる方向を示す。
【0029】
本図では、限外濾過ユニット303が一つの場合を示しているが、反応容器の大きさ、濃縮率、反応物の種類から限外濾過ユニット303を配設する数を決めることが好ましい。
【0030】
銀塩水溶液とハロゲン化塩水溶液と分散媒体202とを反応容器中で混合した第一段階では、基盤となるハロゲン化銀核粒子を含む分散物(反応物溶液)が生成される。続いて必要に応じて熟成工程を経て核形成工程を終了する。その後、銀塩水溶液及びハロゲン化塩水溶液の添加を継続すると、第二段階のハロゲン化銀形成、即ち成長工程段階へ移り、その工程で反応生成物として生じた追加のハロゲン化銀が、最初に生成されたハロゲン化銀核粒子の上に沈積して、これら粒子のサイズを増大させる。
【0031】
本図に示される限外濾過ユニットを使用して、反応により生じる水溶性塩の溶液を系外に排出する量を制御することにより反応容器内の溶液濃度を任意に制御することが可能となる。このような方法で、反応容器への銀塩水溶液及びハロゲン化塩水溶液の添加による粒子成長過程においても、粒子間距離を任意に制御しながらの粒子形成が可能となる。
【0032】
本図において示される、粒子成長過程における限外濾過ユニットによる濃縮は、粒子形成過程を通じて連続して実施しても良いし、断続的に実施しても良い。但し、粒子成長過程において限外濾過法を適用する場合には、限外濾過工程への反応物溶液の循環を開始した以降は、少なくとも粒子形成終了時まで反応物溶液の循環を継続することが好ましい。従って、濃縮を中断している時も限外濾過ユニットへの反応物溶液の循環は継続していることが好ましい。これは、反応容器内の粒子と限外濾過工程の粒子間における成長偏在を回避するためである。また、限外濾過工程を通る循環流量は十分に高くすることが好ましい。具体的には、ハロゲン化銀反応物溶液の液取り出しライン及び液戻しラインを含む限外濾過ユニット内における滞留時間は、30秒以内が好ましく、15秒以内がより好ましく、更には10秒以内が特に好ましい。
【0033】
液取り出しライン302、液戻しライン304、限外濾過ユニット303及び循環ポンプ301等を含む限外濾過工程の容積は、反応容器容積の30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが特に好ましい。
【0034】
図2は図1に示す限外濾過ユニットの拡大概略断面図である。
図中、303aは限外濾過膜モジュール303gを収納する外筒部を示し、303bは外筒部303aの限外濾過膜モジュール303gにより反応により生じた水溶性塩を除去した透過液の出口側に取り付けられた蓋部を示し、303cは外筒部303aの反応容器201(図1を参照)中の反応液を供給する側に取り付けられた蓋部を示す。303dは液戻しライン304(図1を参照)に繋がる配管を示す。303eは液取り出しライン302(図1を参照)に繋がる配管を示す。303fは限外濾過膜モジュール303gにより反応液中の反応により生じる水溶性塩を含んだ透過液を系外に排出する配管を示す。図中の矢印は各溶液の流れる方向を示す。
【0035】
限外濾過ユニット303に使用する限外濾過膜モジュール303gは特に限定することはなく、例えば中空糸型、平膜型、管状型、スパイラル型等が挙げられる。この中でも、限外濾過膜の膜面積を広く取れる中空糸を2,000〜5,000本束ねた限外濾過膜モジュールがハロゲン化銀乳剤製造には好ましく使用されている。
【0036】
図3は中空糸を使用した場合の濾過の状態を示す拡大模式図である。
図中、303hは中空糸を示す。303h1は中空糸303hの中空部を示し、303h2は中空糸303hの限外濾過膜を示す。中空糸303hの径は1.0mm以下が好ましい。限外濾過膜303h2は、不要物は通過させ系外に出し、そしてハロゲン化銀粒子のような必要な物質は通過させない構造を有している。この選択的な分離は溶液を液圧で限外濾過膜に押し付けることによりなされている。
【0037】
限外濾過は、限外濾過膜を横切って圧力差ができるように、反応容器内の分散液を限外濾過膜と接触させながら循環させることによって実施するのが好ましい。一般に、限外濾過膜は特定の寸法以下の分子のみ透過することができ、かつそれより大きい分子及びハロゲン化銀粒子を分散液中に保持するような寸法の細孔を有している。適当な膜は、好ましくは約500〜300,000、より好ましくは約500〜50,000の分子量範囲の透過カットオフ特性を示すものの中から選択できる。
【0038】
本図に示される如く、中空糸303hの中空部303h1に圧力を掛けて反応容器内の分散液を流すことで、水溶性の塩類は水と一緒に系外に出され、ハロゲン化銀粒子を分散液中に保持することで濃縮化が行われる。
【0039】
図4は図3のPで示す限外濾過膜の拡大概略図である。
限外濾過膜303h2は、反応溶液と接する緻密層303h22と緻密層303h22の担体である多孔質層303h21とを有する構造となっている。一般的に多孔質層303h21の厚さは30〜60μm、緻密層の厚さは0.1〜1.0μmが好ましいとされる。緻密層は径が0.001〜0.1μmの細孔を有する膜から出来ている。
【0040】
限外濾過膜に使用する素材としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカルボン酸ビニル、ポリ蟻酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリビニルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリフルオロアルキレン(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)、及びポリ弗化ビニリデン、ならびにセルロース系ポリマー(例えば、セルロース及びセルロースエステル(例えば、酢酸セルロース、酪酸セルロース及び酢酪酸セルロース))、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル−ポリアクリロニトリル共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ化ビニリデン、芳香族ポリアミド、酢酸セルロース等が挙げられる。
【0041】
限外濾過膜の製造方法は一般的なロブ−スリラーヤン法で製造することが可能である。
【0042】
図1に示すハロゲン化銀乳剤製造装置に図2〜図4に示す中空糸型の限外濾過膜モジュールを使用した限外濾過ユニットを用い、ハロゲン化銀乳剤を製造するとき、圧力を掛けて限外濾過ユニットに供給されたハロゲン化銀、水溶性塩類、分散媒体等を含んだ反応溶液は限外濾過膜モジュールを構成している中空糸の中空部を通過することで不要となった水溶性塩類を含んだ水を系外に排出し、ハロゲン化銀、分散媒体を含んだ溶液は反応容器に戻される。この様に反応溶液を循環させることで反応溶液を必要とする濃度に濃縮化することができる。
【0043】
この時、分散媒体であるゼラチン及び生成したハロゲン化銀微粒子が次第に中空糸の限外濾過膜の多孔質層の表面に付着し、又、多孔質層の孔と緻密層の細孔に詰まってくるので、水溶性塩類を含んだ水を一定量排出するために送液圧力を制御する方式で管理を行っている。
【0044】
本発明の実施については、限外濾過膜に接触する限外濾過ユニット内の圧力は、好ましくは5.0×104〜2.5×105Paで、更に好ましくは1.5×105Paであり、透過液の出口圧力は、好ましくは1.0×103〜4.0×104Paで、更に好ましくは1.0×103〜1.0×104Paである。
【0045】
膜を横切る圧力差は、好ましくは5.0×104〜1.5×105Paである。もちろん、反応容器及び限外濾過膜の構造、乳剤の粘度、滞留物の濃度及び所望の滞留物の純度に応じて、これらの範囲外の圧力で操作することは当業者が任意に設定することが可能である。
【0046】
一回のハロゲン化銀乳剤製造が終了した後、限外濾過ユニットを洗浄し、使用前の状態に戻すのであるが、従来の反応容器を洗浄する洗浄液で洗浄した場合、何故もとの状態に戻らないかに付き検討した結果次のことが判明した。
【0047】
限外濾過膜の表面に付着する物及び限外濾過膜の多孔層と緻密層の孔に詰まる物は、ゼラチン及びハロゲン化銀微粒子を主成分とする物であることから、例えば特開平6−82940号に記載されているハロゲン化銀溶解液とゼラチン分解液との混合液で洗浄した場合、ハロゲン化銀微粒子がゼラチン分解液により酸化銀となりハロゲン化銀溶解液で溶解しなくなり残存してしまうためであることが判った。
【0048】
これらのことから、我々は鋭意検討を重ねた結果、以下に示す洗浄方法が一番効果的であることを見いだした。即ち、ハロゲン化銀溶解液とゼラチン分解液とをそれぞれ単独に用い、且つハロゲン化銀溶解液で洗浄した後に、ゼラチン分解液で洗浄する方法である。
【0049】
この方法によれば、第一段階でハロゲン化銀は溶解除去され、残されたゼラチンは第二段階で溶解除去されるため、限外濾過膜の表面及び限外濾過膜の多孔層と緻密層の孔に詰まる酸化銀の生成をなくし限外濾過膜を洗浄することが可能となった。洗浄する順番を逆にした場合は、酸化銀が発生してしまうため洗浄効果がなくなってしまう。
【0050】
本発明に使用するハロゲン化銀溶解剤としては、ハロゲン化銀と錯体化合物を形成し、ハロゲン化銀を溶解させるような物質であり、例えば、SO3 2-、S23 2-等の2価の陰イオンを含む物質やCl-、Br-、I-、CN-、SCN-、SeCN-等の1価の陰イオンを含む物質、アンモニア水、EDTA(エチレンジアミンテトラアセテート)等のアミンを含む物質又はチオウレア等の有機物質が挙げられる。これらの物質の中で好ましくは、S23 2-(例えばNa223、(NH4223等)、Br-(例えばKBr等)、I-(例えばKI等)、CN-(例えばKCN等)、SCN-(例えばNH4SCN等)、SeCN-(例えばKSeCN等)等の陰イオンを含む無機塩が溶解度の高い錯体化合物を形成する物質として挙げられる。更に好ましくはI-を含む無機塩(例えばKI、Nal等)が挙げられる。
【0051】
-を含む無機塩が、特に好ましい理由は次の通りである。すなわち、CN-、SCN-、SeCN-を含む無機塩を洗浄溶液として用いる場合には、CN-等を含む塩が有害であるため、限外濾過ユニットの洗浄において厳密な回収を要し、設備が過大になってしまうという難点がある。
【0052】
23 2-を含む無機塩を洗浄溶液として用いる場合には、S23 2-が周知の如くハロゲン化銀の増感剤として用いられ、たとえ数ppmの残留があっても写真性能に大きく影響を及ぼすことから、残留するS23 2-を含む無機塩の厳密な制御が要求される等の難点がある。
【0053】
-を含む無機塩の場合には、かかる難点もなく、又同じハロゲンイオンのうちBr-を含む無機塩を用いた場合より、更に高い溶解度の錯体化合物を得ることができ、更に後述されるようなI-を含む無機塩を用いる特有の利点があるからである。
【0054】
洗浄溶液として用いられるI-を含む無機塩中のI-の濃度としては、1mol/L〜8mol/Lの範囲が望ましく、より好ましくは4mol/L〜7mol/Lの範囲である。
【0055】
本発明に使用するゼラチン溶解剤としては、酸、アルカリ及び蛋白分解酸素等が用いられ、好ましくはアルカリが用いられる。好ましいアルカリとしては、NaOH、KOH等のアルカリ金属の水酸化物、Ca(OH)2等のアルカリ土類金属の水酸化物、NH4OH等が挙げられる。なお、NH4OHを用いた場合、本発明の効果に影響は与えないが、遊離NH3ガスが発生するために作業上の問題を生ずるという難点を含む。
【0056】
アルカリが好ましい理由は次の通りである。即ち酸を用いた場合には、乳剤製造調整装置が耐酸性の材質によって形成されていない場合に勿論用いることができず、完全な耐酸性に形成するとすれば、設備コストの上昇を招き好ましくないという難点を含み、また蛋白分解酵素を用いる場合は、その効力が高い故に後処理でpHを下げた時には中和が必要となり、更に粉体であるため他の工程への浮遊飛散によりトラブルの要因となるという難点を含む。しかし本発明の目的達成においては酸であっても、蛋白分解酵素であっても良いことはもとよりである。
【0057】
洗浄溶液としてNaOHを用いる場合の濃度としては、0.5mol/L〜2.5mol/Lの範囲が望ましく、より好ましくは1.0mol/L〜2.0mol/Lの範囲である。ゼラチンの溶解速度を高めるためは、アルカリを含有する洗浄溶液の温度を高めておくことが望ましい。
【0058】
本発明の洗浄方法としては、図1に示す反応容器にハロゲン化銀溶解剤溶液又はゼラチン分解溶解剤溶液を入れ限外濾過装置を使用して限外濾過ユニットを洗浄しても良いし、図1に示す限外濾過装置の液取り出しラインの途中からハロゲン化銀溶解剤溶液又はゼラチン分解溶解剤溶液を供給し、液戻しラインの途中から回収・循環することで洗浄してもかまわない。
【0059】
ハロゲン化銀溶解剤としてKIを使用したハロゲン化銀溶解剤溶液と、ゼラチン分解溶解剤としてNaOHを使用したゼラチン分解溶解剤溶液とによる具体的な限外濾過ユニットの洗浄方法に付き説明する。洗浄は次の段階で行われる。
【0060】
第1段階は、40〜50℃の純水を流量3〜4L/分で5〜15分間洗浄する。
【0061】
第2段階は、純水による洗浄が終了した後、20〜40℃の4mol/L〜7mol/LのKIを含むハロゲン化銀溶解剤溶液を、流量2〜3L/分で10〜25分間循環洗浄する。
【0062】
第3段階は、ハロゲン化銀溶解剤溶液で洗浄した後、40〜50℃の純水を流量3〜4L/分で5〜15分間洗浄する。
【0063】
第4段階は、純水による洗浄が終了した後、40〜60℃の1.0mol/L〜2.0mol/LのNaOHを含むゼラチン分解溶解剤溶液を、流量2〜3L/分で20〜45分間循環洗浄する。
【0064】
第5段階は、ゼラチン分解溶解剤溶液で洗浄した後、40〜50℃の純水を流量3〜4L/分で5〜10分間洗浄する。
【0065】
上記第1段階〜第5段階を経て限外濾過ユニットを洗浄することで、ハロゲン化銀が酸化銀になることなく限外濾過ユニットの洗浄が終了する。
【0066】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀組成は任意であり、例えば塩化銀、臭化銀、沃化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀、及びこれらの混合物等の任意のハロゲン化銀が包含されるが、特に沃臭化銀が好ましく用いられる。沃臭化銀を用いる場合、その沃化銀の含有量は、ハロゲン化銀粒子全体での平均沃化銀含有率として4mol%以上であることが好ましく、6.0〜10.0mol%であることが更に好ましい。
【0067】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、分散媒体を含む溶液中に、銀イオン(一般に水溶性銀塩溶液)とハロゲン化物イオン(一般に水溶性ハロゲン化物塩溶液)を添加して調製することができる。ここで分散媒体を含む水溶液とは、ゼラチンその他の親水性コロイドを構成し得る物質(バインダーとなり得る物質など)により保護コロイドが水溶液中に形成されているものをいい、好ましくはコロイド状の保護ゼラチンを含有する水溶液である。
【0068】
本発明を実施する際、上記分散媒体としてゼラチンを用いる場合は、ゼラチンは石灰処理されたものでも、酸を使用して処理されたものでもどちらでもよい。ゼラチンの製法の詳細はアーサー・ヴアイス著、ザ・マクロモレキュラー・ケミストリー・オブ・ゼラチン、(アカデミック・プレス、1964年発行)に記載がある。保護コロイドとして用いることができるゼラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一或いは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質がある。
【0069】
【実施例】
次に本発明の効果を実施例によって具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるのものではない。
【0070】
実施例1
分散媒体として2質量%のゼラチンとハロゲン化銀として径0.6μmの沃臭化銀微粒子とを12質量%含む沃臭化銀乳剤4Lを50℃にて、限外濾過ユニットに3L/分で1時間循環させた後、以下に示す段階で限外濾過ユニットの洗浄を実施し洗浄済み限外濾過ユニットを作製し101とした。
【0071】
尚、この時限外濾過ユニット内の圧力は、1.5×105Pa、透過液の出口圧力は、1.0×104Pa、膜を横切る圧力差は1.4×105Paとなるように送液圧力を制御した。
【0072】
限外濾過ユニットには径0.8mm、透過カットオフ分子量6000を有する中空糸を2,000本束ねた限外濾過膜モジュールを使用した。
【0073】
第1段階は、45℃の純水を流量4L/分で5分間洗浄した。
第2段階は、純水による洗浄が終了した後、25℃の4.0mol/LのKIを含むハロゲン化銀溶解剤溶液を、流量3L/分で10分間循環洗浄した。
【0074】
第3段階は、ハロゲン化銀溶解剤溶液で洗浄した後、45℃の純水を流量4L/分で5分間洗浄した。
【0075】
第4段階は、純水による洗浄が終了した後、50℃の1.0mol/LのNaOHを含むゼラチン分解溶解剤溶液を、流量3L/分で20分間循環洗浄した。
【0076】
第5段階は、ゼラチン分解溶解剤溶液で洗浄した後、45℃の純水を流量4L/分で10分間洗浄した。
【0077】
洗浄段階で第2段階と第4段階とを逆にした他は全て同じ条件で洗浄を実施し洗浄済み限外濾過ユニットを比較として作製し102とした。
【0078】
評価
2%ゼラチン水溶液を洗浄済み限外濾過ユニット101、102に供給した時の限外濾過膜を透過し系外に排出した流量を単位時間当たりの質量で測定し、使用前の限外濾過膜を透過し系外に排出した流量を100とした相対比較を行い相対比較値として結果を表1に示す。
【0079】
この時限外濾過ユニット内の圧力は、1×105Pa、透過液の出口圧力は、1×104Pa、膜を横切る圧力差は9×104Paとなるように送液圧力を制御した。
【0080】
【表1】
Figure 0003804577
【0081】
本発明の有効性が確認された。
【0082】
【発明の効果】
送液圧力を管理する必要がなく、限外濾過ユニットの寿命を延ばす限外濾過ユニットの洗浄方法の開発を提供することができ、作業効率が上がり且つ限外濾過ユニット交換の頻度が大幅に減り経費節減が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応容器の外部に限外濾過ユニットを有するハロゲン化銀乳剤製造装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示す限外濾過ユニットの拡大概略断面図である。
【図3】中空糸を使用した場合の濾過の状態を示す拡大模式図である。
【図4】図3のPで示す限外濾過膜の拡大概略図である。
【符号の説明】
1 ハロゲン化銀乳剤製造装置
2 反応装置
201 反応容器
3 限外濾過装置
302 液取り出しライン
303 限外濾過ユニット
303g 限外濾過膜モジュール
303h 中空糸
303h1 中空部
303h2 限外濾過膜
303h21 多孔質層
303h22 緻密層
304 液戻しライン

Claims (3)

  1. ハロゲン化銀乳剤製造装置のハロゲン化銀乳剤を形成する反応容器の外部に設けられた限外濾過ユニットの洗浄方法において、該限外濾過ユニットをハロゲン化銀溶解剤溶液で洗浄した後、更にゼラチン分解溶解剤溶液で洗浄することを特徴とする限外濾過ユニットの洗浄方法。
  2. 前記ハロゲン化銀溶解剤溶液の温度が20〜40℃、限外濾過ユニット内の流速が0.02〜0.2m/sec、洗浄時間が5〜30分であることを特徴とする請求項1に記載の限外濾過ユニットの洗浄方法。
  3. 前記ゼラチン分解溶解剤溶液の温度が40℃〜60℃、限外濾過ユニット内の流速が0.02〜0.2m/sec、洗浄時間が5〜60分であることを特徴とする請求項1に記載の限外濾過ユニットの洗浄方法。
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