JP3804025B2 - 融合性リポソーム、その製造方法およびその使用方法 - Google Patents

融合性リポソーム、その製造方法およびその使用方法 Download PDF

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Description

本出願は、1992年12月4日出願の米国特許出願第985,673号の一部継続出願であり、融合性(fusogenic、他の脂質二分子膜への増強された融合性)リポソーム、該リポソームの製造方法及び該リポソームの他の脂質二分子膜(lipid bilayer)への融合を制御する方法に関する。
リポソームは、両親媒性脂質分子の一つ又はそれ以上の二分子膜からなる自己集合構造体であり、そのそれぞれが、内部水性容積を取り囲んでいる。脂質二分子膜を構成する両親媒性脂質分子は、一つ又は二つの非極性(疎水性)アシル鎖に共有結合で結合されている極性(親水性)ヘッドグループ領域を含んでいる。疎水性アシル鎖と脂質分子を取り囲んでいる水溶液との間のエネルギー的に好ましくない接触によって、極性ヘッドグループが水溶液に向かって配向し、一方、アシル鎖が二分子膜の内部に向かって配向するように、脂質分子が再配列されると一般に信じられている。その最終結果は、二つの相対する単分子膜(monolayer)からなるエネルギー的に安定な脂質二分子膜構造となり、アシル鎖が、水性媒体と接触するのを有効に遮蔽する。
リポソームは種々の方法で調製することができる。Banghamの方法(J.Mol.Bio.,13巻、238〜252頁(1965年))により,“通常の”マルチラメラ(multilamellar)リポソーム(MLV)が作られる。“通常の”MLVは、その水性区画間に不均等な溶質分布を持つことができ、それによって区画間に浸透圧が生じる。Lenk等(米国特許第4,522,803号、同第5,030,453号及び同第5,169,637号)、Fountain等(米国特許第4,588,578号)及びCulliS等(米国特許第4,975,282号)は、水性区画のそれぞれに取り込まれた溶質の分布が実質的に等しい、即ち、ラメラ間の溶質分布が実質的に等しいマルチラメラリポソームの製造方法を開示している。実質的に等しいラメラ間溶質分布を持つということは、これらMLVの水性区画間の浸透圧がより小さいことを意味し、従って、一般に、通常のMLVよりも安定であるといえる。ユニラメラ(unilamellar)リポソームは、音波処理(Paphadjopoulos等(1968年)参照)又は押出(Cullis等、米国特許第5,008,050号及びLoughrey等、米国特許第5,059,421号)により、MLVから製造できる。
リポソームには、生理活性剤を受動的に(passively)、即ち、水溶性の剤である場合には、リポソームが形成される媒体中に分子を可溶化することにより、あるいはリポソームが調製される脂質溶液に脂質溶解性の剤を加えることにより、装填することができる。イオン化し得る生理活性剤も、リポソーム膜を横切る電気化学電位勾配を創設し、次いで剤をリポソームの外側の媒体に加えることによってリポソームに装填することができる(Bally等、米国特許第5,077,056号参照)。
リポソーム内に取り込まれた薬剤は、毒性を低減するか、効能を高めることにより、又はその両方によって治療指数を高めることができる。更に、循環系における他の粒状物質と同様に、リポソームは、洞様毛細血管を有する組織中における細網内皮系の食細胞によって摂取され、それによってしばしば細胞内感染部位へと向けられる。
生体膜の融合は、エンドサイトーシス、受精及び蛋白質の細胞内輸送を始めとする多様な細胞輸送機能における重要なプロセスである。リポソームと細胞の融合は、リポソームの最外層二分子膜が、細胞の原形質膜と単一化することと定義される(Huang(1983年)参照)。融合が起こるためには、最外層の脂質二分子膜の脂質が、細胞の原形質膜の脂質と混合しなければならない。脂質間に融合が起こるメカニズムとして提案されているものは、帯電ヘッドグループの中和を包含し、非二分子膜形成性(nonbilayer-preferring)構造を生ずる脂質種の形が効果的に変化することになる。これらは、膜融合の造核部位として作用するミセル又は二分子膜におけるその他の欠陥を順次生ずる(Cullis及びHope(1978年))。
リポソームを使用した研究により、リポソームが融合する傾向と成分脂質が六角形のH11相のような非二分子膜を取る傾向との間の相関関係が実証され、例えば、反転ミセル又はその他の二分子膜欠陥のような非二分子膜構造が、融合事象における中間構造であることを示唆するに至った(例えば、Cullis等(1978年)参照)。脂質の組成は、リポソームが非二分子膜構造を取る傾向に寄与していると考えられる(例えば、Martin及びMacDonald(1976年)、Martin及びMacDonald(1976年)、Weismann等(1997年)参照)。例えば、負に帯電しているリン脂質(例えば、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS)等)を含む膜は、Ca++のような2価の陽イオンの存在下で融合することが示されている(Hope等(1983年))。合成陽イオン脂質は、高濃度の負に帯電した対イオンを用いて、融合することが示されている(Duzgunes等(1989年))。不飽和ジグリセリド類も有力なフーソゲン(fusogen)であると考えられている(Das及びRand(1986年))。更に、帯電していない脂質は、非二分子構造をより容易に取ることができ、従って、その帯電した形のものよりも融合性が高いと考えられる(例えば、Gruner等(1985年)参照)。
陽イオン脂質は、哺乳動物の細胞形質移入(トランスフェクション)の効率を増大させるのに有効であることが判っている(例えば、Malone等(1989年)、Konopka等(1991年)参照)。これらの適用をリポソームでカプセル化された物質の生体内搬送にまで拡張すると、陽イオン脂質に起因する細胞毒、溶血及び凝固応答の増大の問題が生じる(Senior等(1991年))。これらの影響は、正電荷の閾レベル以上で生ずるようであり、陽イオン種の性質に大きく依存するとは考えられない。新規な陽イオンヘッドグループを合成することによって、陽イオン種の毒性の影響を解決しようとする試みが為されているが、大部分は未解決のままである。これら脂質を目的とする薬剤搬送へ適用できる可能性があれば、陽イオン濃度を低減することによって、毒性副作用の低減が計られ、これらの化合物の生体内融合性を制御する能力が、望ましいものとなる。
反対電荷を有する小胞個体群(population)間の融合も実証されている(Stamatos等(1988年))。誘導された脂質不斉を使用するリポソームの制御された融合について、従来、発表されている(Eastman等(1991年)、Eastman等(1992年)、Redelmeier等(1990年)。しかしながら、これらは、陰イオン性のイオン化し得る脂質を使用するものであり、この陰イオン脂質を移送するために用いられるpH勾配は、陽イオン薬剤をリポソームに装填するためのそれとは逆である(Bally等、米国特許第5,077,056号参照)。これらの薬剤装填リポソームの制御された融合は、類似の融合性陽イオン脂質によってよりよく行なわれるであろう。
リポソームと生体膜の融合により、リポソームの内容物を細胞に搬送することができる。リポソームの水性内容物の細胞質への注入は、カルボキシルフルオレセインの蛍光デクェンチング(dequenching)によって示されている(Weinstein等(1977年)、Huang等(1978年))。その他の報告も、リポソームに取り込まれた生理活性物質(例えば、cAMP、リシン(ricin)、アクチノマイシンD、Ca++、mRNA、ウイルス及びウイルスのゲノム)を、リポソーム脂質二分子膜と細胞膜との融合によって、細胞内部に導入できることを示している(例えば、Paphadjopoulos等(1974年)、Dimitriadis及びButters(1979年)、Theoharides及びDouglas(1978年)、Ostro等(1978年)、Dimitriadis(1978年)、Wilson等(1979年)、Fraley等(1980年))。しかしながら、他の研究では、融合はリポソームの細胞との相互作用の主たるメカニズムではないことを示唆している(例えば、Szoka等(1980年)、Hagins及びYoshikami(1982年)、Pagano及びTakeichi(1977年)参照)。
上記刊行物は参考のために挙げたが、これら刊行物は、いずれも、イオン化し得る陽イオン脂質及び膜内外pH勾配を有するリポソームを含むリポソーム組成物を開示しておらず、二分子膜内外分布を制御するためのこのような勾配の使用、従って、イオン化し得る脂質の融合可能性も開示していない。
発明の要旨
本発明は、(i)中性の二分子膜形成性(bilayer-preferring)脂質並びにプロトン化し得る陽イオンヘッドグループ及び不飽和アシル鎖を有する融合促進有効量のイオン化し得る脂質からなる最外層の脂質二分子膜と、(ii)第一のpHを有する水溶液を含む最外層脂質二分子膜に隣接する区画とを有するリポソームとを含有するリポソーム組成物を提供する。この組成物は、第二のpHを有するリポソームの外側の水溶液をも含んでおり、第一のpHは最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaより小さく、第二のpHは最外層脂質二分子膜中のイオンし得る脂質のpKaよりも大きく、それによって、最外層脂質二分子膜を横切るpH勾配が存在し、またそれによって、イオン化し得る脂質が最外層脂質二分子膜の内側単分子膜内に蓄積される。
該リポソームは、ユニラメラリポソームであることができ、ユニラメラリポソームは、大ユニラメラ(large unilamellar)リポソームであることが好ましい。該リポソームは、マルチラメラリポソームであってもよく、マルチラメラリポソームが、その水性区画内に取り込まれた溶質を含んでおり、該マルチラメラリポソームの各々の水性区画に含まれる溶質の濃度が実質的に等しいことが好ましい。リポソーム中の内部水溶液は、緩衝水溶液であることが好ましく、更に好ましくは、pHが約4.0の緩衝水溶液である。pHが4.0の緩衝水溶液は、クエン酸塩緩衝液であることが好ましい。
イオン化し得る脂質の融合促進有効量とは、代表的には、リポソームの最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質の濃度を、約1モル%〜約20モル%にするのに十分な量であり、好ましくは、この範囲内において、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質の好ましい融合促進有効量は、最外層二分子膜中のイオン化し得る脂質の濃度を、約5モル%〜約10モル%にするのに十分な量である。
イオン化し得る脂質の陽イオンヘッドグループは、好ましくはアミノ基であり、不飽和アシル鎖は、好ましくはオレイン酸鎖である。現在好ましい本発明の実施態様に於いては、陽イオンヘッドグループはアミノ基、不飽和アシル鎖はオレイン酸鎖、イオン化し得る脂質は1−N,N−ジメチルアミノジオレイルプロパン(AL−1)である。イオン化し得る脂質は、±−オレオイル−2−ヒドロキシ−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−2)、不斉±−1,2−ジアシル−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−3〜AL−5)及び±−1,2−ジデカノイル−1−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−6)からなる群からも選ぶことができる。現在、イオン化し得る脂質は、より好ましくは、1−N,N−ジメチルアミノジオレオイルプロパン(AL−1)である。
リポソームの外側の水溶液は、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも大きいpHを有する緩衝水溶液であることが好ましい。イオン化し得る脂質がAL−1であるときは、外部緩衝水溶液のpHは、約7.5であることが好ましい。リポソームは、更に、中性の非二分子膜形成性脂質、例えばジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含むことができる。リポソームは、生理活性剤を含むことができ、その代表的な例は、核酸、殺菌剤、抗癌剤又は抗炎症剤である。リポソームの外側の水溶液は、薬理学的に許容され得る水溶液であることができ、リポソーム組成物は、医薬組成物であることができる。
本発明は、中性の二分子膜形成性脂質並びに陽イオンヘッドグループ及び不飽和アシル鎖を有する融合促進有効量のイオン化し得る脂質からなる最外層脂質二分子膜を有し、イオン化し得る脂質は、最外層脂質二分子膜の内側の単分子膜内に蓄積されている脱水リポソームを提供するものでもある。
更に、ここにおいては、第二の脂質二分子膜へのリポソームの融合を制御する方法が提供される。この方法は、水溶液中でリポソームを調製することからなり、該リポソームは(1)中性の二分子膜形成性脂質並びにプロトン化し得る陽イオンヘッドグループ及び不飽和アシル鎖を有する融合促進有効量のイオン化し得る脂質からなる最外層の脂質二分子膜と、(2)水溶液を含む最外層脂質二分子膜に隣接する区画とを含んでいる。水溶液のpHは、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも小さい。次いで、リポソームの外側の水溶液のpHを、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも高くして、それによって最外層脂質二分子膜を横切るpH勾配を確立する。イオン化し得る脂質は、pH勾配に応じて、最外層脂質二分子膜の内側の単分子膜中に蓄積される。第二の脂質二分子膜へのリポソームの融合が起きるときに、このpH勾配が低下するので、リポソームが第二の脂質二分子膜に融合する。
本発明の方法において用いられるリポソームは、生理活性剤を含むことができ、その代表的な例は、核酸、殺菌剤、抗癌剤又は抗炎症剤である。リポソームが制御された方法で融合される第二の脂質二分子膜は、細胞の原形質膜であることが好ましく、哺乳動物細胞の原形質膜であることが最も好ましい。
本発明は、水溶液がリポソームの内側と外側にあるように、水溶液中に剤を含むリポソームを調製することを包含する、生理活性剤を細胞に導入する方法を提供する。リポソームは、中性の二分子膜形成性脂質並びに陽イオンヘッドグループ及び不飽和アシル鎖を有するイオン化し得る脂質を含む最外層脂質二分子膜からなる。内部水溶液のpHは、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも低い。外部水性媒体のpHは、最外層脂質二分子膜を横切るpH勾配が存在し、次いで、イオン化し得る脂質が最外層脂質二分子膜の内側の単分子膜内に蓄積されるように、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも高くされる。内部水溶液のpHは、細胞がリポソームと接触する前に、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも高くされる。該細胞は、哺乳動物細胞であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1 (A)0〜10モル%のAL−1を含むEPC/Cholリポソームに関するTNS蛍光の検量線。x軸:AL−1モル%;y軸:蛍光。誤差バー(error bar)は、示されていない場合は、丸印よりも小さい。(B)EPC/Chol(55:45)リポソームのTNS蛍光に及ぼすpH勾配と10モル%AL−1の影響を示す蛍光トレース。リポソームは、0モル%のAL−1(下の方のトレース)あるいは10モル%のAL−1(上の方のトレース)で調製された。内部緩衝液は、300mMのクエン酸塩、pH4.0(下の方のトレース)あるいは20mMのHEPES緩衝液、pH7.5(上の方のトレース)であった。x軸:時間(秒);y軸:蛍光。
図2 EPC/Chol(55:45)リポソームの蛍光に及ぼすpHの影響。示されたデータは、重複実験からの平均値を示し、誤差バーは、他に示されていない場合は、丸印よりも小さい。破線は、滴定曲線の逆第一導関数(inverted first derivative)であり、その最高値は、脂質二分子膜中のAL−1については、6.7のpKaを示している。x軸:pH;y軸:%ΔF/ΔFmaxである。
図3 RET蛍光プローブ希釈によるEPC/Chol(55:45)リポソーム及びEPC/DOPE/Chol(30:25:55)リポソームの融合に及ぼす0及び10モル%AL−1の影響。示されているデータは、pH勾配が消失した場合としない場合についての実験の異なるトレースであり、ΔFmaxは、最終濃度が0.8mMとなるようにTriton X−100を添加することにより求めた。x軸:時間(秒);y軸:蛍光。
図4 RET蛍光プローブ希釈によるEPC/Chol(55:45、モル/モル)リポソームの融合に及ぼすAL−A濃度(0〜20モル%)の影響。x軸:時間(秒);y軸:蛍光。
図5 pH4.0及び7.5において、100mM酢酸アンモニウム中で、EPC/Chol(55:45)中10モル%AL−1−d4で調製されたMLVの2H−NMRスペクトル。x軸:振動数(kHz)。
図6 AL−1含有リポソームの融合速度に及ぼすDOPE濃度の影響。融合測定は、上述のように行われた。x軸:時間(秒);y軸:%ΔF/ΔFmaxである。
図7 0及び5モル%AL−1並びにEPC/Chol/DOPE(35:20:45、モル/モル)からなるリポソームの融合。x軸:時間(秒);y軸:%ΔF/ΔFmaxである。
図8 pH4.0及び7.5において、20mMのHEPES、20mMの酢酸ナトリウム、150mMの塩化ナトリウムで緩衝され、EPC/DOPE/Cholリポソーム中、5モル%のAL−1−d4で調製された凍結融解MLVの、A:2H−NMR(x軸:振動数(kHz))スペクトル、B:31P−NMR(x軸:δ/ppm)。
図9 RET蛍光プローブ希釈によるEPC/Chol/DOPE(35:20:45)リポソームの融合に及ぼすアミノ脂質の影響。トレース(一番上から一番下へ):AL−1、AL−5、AL−4、AL−3、AL−6、AL−2及びブランク。x軸:時間(秒);y軸:%ΔF/ΔFmaxである。
図10 合成アミノ脂質構造。
発明の詳細な説明
本発明は、(i)中性の二分子膜形成性脂質並びにプロトン化し得る陽イオンヘッドグループ及び不飽和アシル鎖を有する融合促進有効量のイオン化し得る脂質からなる最外層の脂質二分子膜と、(ii)第一のpHを有する水溶液(内部水溶液)を含む最外層脂質二分子膜に隣接する区画とを有するリポソームを含有するリポソーム組成物を提供する。この組成物は、第二のpHを有するリポソームの外側の水溶液をも含んでいる。第一のpHは、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaより小さく、第二のpHは最外層脂質二分子膜中のイオンし得る脂質のpKaよりも大きく、それによって、最外層脂質二分子膜を横切るpH勾配が存在し、pH勾配に応じて、イオン化し得る脂質が、最外層脂質二分子膜の内側単分子膜内に蓄積される。
リポソームは、一つ又はそれ以上の二分子膜からなる自己集合構造体であり、そのそれぞれが、水溶液を含む区画を取り囲んでいる。リポソームの各二分子膜は、極性、親水性ヘッドグループが周囲の水溶液に向かって配向し、一方、疎水性アシル鎖が二分子膜の内部に向かって配向して、周囲の水性相から遠ざかるような、両親媒性脂質分子の組み合わせにより形成される。その結果、脂質二分子膜は、脂質分子の内側及び外側単分子膜の両方を有する。
ユニラメラリポソームは、一つの脂質二分子膜を有し、マルチラメラリポソームは二つ以上の脂質二分子膜を有する。本発明のリポソーム組成物で使用されるリポソームは、ユニラメラリポソーム、好ましくは大ユニラメラリポソーム(LUV)であることができる。LUVは、約50nmよりも大きい径を有するユニラメラリポソームである。リポソームは、マルチラメラリポソーム(MLV)であってもよく、MLVは、その水性区画内に取り込まれた溶質を含み、各水性区画中の溶質の濃度が実質的に等しいことが好ましい。このようなMLVは、実質的に等しいラメラ間溶質分布を有している。一般的に、本発明のリポソームのサイズは、それらの直径で測定すると、約5000nm以下である。リポソームのサイズは、通常の熟練した技術者によく知られ、容易に実施できる技術、例えば準電気光散乱によって測定できる。
ユニラメラリポソームの“最外層脂質二分子膜”は、リポソームにおける単一の脂質二分子膜であり、マルチラメラリポソームにおいては、“最外層脂質二分子膜”は、リポソームの外側の水溶液(“外部水溶液”)と接触している脂質二分子膜である。リポソームは、種々の方法で調製できる(例えば、Cullis等(1987年)、Bangham等(1965年)、Lenk等(米国特許第4,522,803号、同第5,030,453号及び同第5,169,637号)、Fountain等(米国特許第4,588,578号)及びCullis等(米国特許第4,975,282号参照)。
リポソームは、中性(不電荷、非陽イオン/非陰イオン、非プロトン性)ヘッドグループ及び二分子膜形成性アシル鎖からなる中性二分子膜形成性脂質を含む最外層脂質二分子膜を有する。これらのアシル鎖は、対称でも、(長さや炭素原子数が不均一な)非対称のものでもよく、又(隣接炭素原子間に二重結合を含まない)飽和であっても、(隣接炭素原子間に一つ又はそれ以上の二重結合を含む)不飽和であってもよく、一般には、二分子膜に取り込まれた他の脂質のアシル鎖とパック(pack)している適合性のアシル鎖を採用することにより、二分子膜中の非二分子膜形成性脂質の相分離を抑制又は防止していると考えられる。二分子膜形成性脂質は、他の二分子膜形成性脂質及び非二分子膜形成性脂質との関係におけると同様に、それ自身の上に安定な脂質二分子膜を形成することができる。二分子膜形成性脂質は、一般に、そのヘッドグループの表面積とそのアシル鎖の断面積との間に、実質的な類似性を有する。二分子膜形成性脂質のアシル鎖は、一般に、二分子膜中で、互いに略平行に配向されている。二分子膜形成性脂質は、一般に、二分子膜適合性構造を取り、一般に、二分子膜欠陥の生成には係わっていない。中性二分子膜形成性脂質は、卵ホスファチジルコリンのようなホスファチジルコリン又はその他の中性二分子膜形成性脂質であることができる。
リポソームの最外層脂質二分子膜は、プロトン化し得る陽イオンヘッドグループ、即ちプロトンを受容して、正に帯電し、中性となるようにプロトンを放出することができるヘッドグループを有する融合促進有効量のイオン化し得る脂質をも含んでいる。また、イオン化し得る脂質は、不飽和アシル鎖、好ましくは2つの不飽和アシル鎖をも含んでいる。陽イオンヘッドグループは、ジメチルアミノ基又はトリメチルアミノ基のようなアミノ基であることが好ましいが、プロトン化されて正に帯電し、脱プロトン化されて中性となる他の基でもよい。
不飽和アシル鎖は、一般に、非二分子膜形成性である。非二分子膜形成性のアシル鎖は、一般に、二分子膜中においてその鎖が平行に配向するような構造を取らない。そのようなアシル鎖の断面積は、一般的には、二分子膜形成性のアシル鎖とは異なり、互いに等しくなく、ヘッドグループ表面積とも等しくない。これは、非平行配向であるためであると考えられている。非二分子膜形成性のアシル鎖含有脂質を含む二分子膜は、一般に、同じ長さ(炭素原子数)の二分子膜形成性アシル鎖脂質を含む二分子膜と比べて、Tm、即ちゲルから流動状態への遷移が起こる温度が低くなる。非二分子膜形成性の脂質が二分子膜に取り込まれると、一般に、二分子膜に欠陥が形成され、二分子膜形成性脂質を用いるよりも不安定になる傾向が増大する。このような欠陥は、一般に、脂質二分子膜の融合に係わっていると考えられる。理論によって制限される意図は全くないが、二分子膜の不安定化、従って、融合には、融合性脂質のヘッドグループの大きさとアシル鎖が占める面積の大きさの間の実質的な不均衡が必要であると考えられる。
好ましい不飽和アシル鎖は、オレイン酸鎖であり、第9と第10炭素原子間に二重結合を持つ18の炭素鎖を有するアシル鎖である。しかし、不飽和アシル鎖は、二分子膜中に脂質がしっかりくっついていて、非二分子膜形成性である限り、一般的に、12〜24の炭素原子と1〜4の二重結合を有する、例えばパルミトレイン酸塩(炭素原子16、二重結合1)又はアラキドン酸塩(炭素原子20、二重結合4)のような他のアシル鎖であってもよい。陽イオンヘッドグループがアミノ基であり、不飽和アシル鎖がオレイン酸鎖であり、イオン化し得る脂質が2つのこのような鎖を含むことが好ましく、1−N,N−ジメチルアミノジオレオイルプロパン(AL−1)が好ましい。AL−1は、光学活性であってもラセミ体、即ち異性体の光学不活性混合物であってもよいが、ラセミ体であることが好ましい。
他の適当なイオン化し得る脂質は、滴定可能なヘッドグループ、即ち、永久的な正電荷を持たず、むしろ周囲のpH変化に応じてプロトン化されたり、脱プロトン化されたりするヘッドグループと、非二分子膜形成性のアシル鎖を有する脂質である。これらとしては、±−オレオイル−2−ヒドロキシ−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−2)、不斉±−1,2−ジアシル−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−3〜AL−5)及び±−1,2−ジデカノイル−1−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−6)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの脂質のそれぞれの融合性能力は、例えば、それぞれ等量の脂質でリポソームを調製し、次いでリポソーム融合の相対速度を調べることによって比較することができる。リポソーム融合は、多くの手段、例えば蛍光プローブ希釈実験(例えば、下記実施例4参照)によってモニターすることができる。図9は、イオン化し得る脂質AL−1、AL−2、AL−3、AL−4、AL−5及びAL−6を含むリポソームの相対的な融合速度を比較するデータを示す。
リポソームは、第一のpHを有する水溶液(内部水溶液)を含む最外層脂質二分子膜に隣接した区画を有する。リポソームは、第二のpHを有する水溶液(外部水溶液)に懸濁させる。代表的には、リポソームは水溶液中で調製されるが、水溶液は、リポソームによって取り込まれるとともに、その中で、リポソームは懸濁されている。従って、内部及び外部水溶液は、初めは一般に同一組成及び同一pHを有している。それらのpHは、リポソームの最外層脂質二分子膜中におけるイオン化し得る脂質のpKaよりも小さい。
化合物のpKa、即ちその酸解離定数は、その化合物が半分解離するpH、即ち溶液中に存在する化合物分子の約半分が脱プロトン化されるpHである。pKaは、式log(〔HA〕/〔H+〕〔A-〕)によって定義することができ、ここで、HAはプロトン化された化合物、A-は脱プロトン化された化合物である。ヘンダーソン・ハッセルバッハの式(pH=pKa+log(〔A-〕/〔HA〕))は、溶液のpHと、溶液中に存在する化合物のプロトン化されたもの及び脱プロトン化されたものの相対濃度との間の関係を述べている。脂質二分子膜中のそのpKaより大きいpHにおいて、二分子膜中に存在するイオン化し得る脂質の半分よりも多くが脱プロトン化され、従って中性となる。イオン化し得る脂質のpKaの測定は、よく知られ、容易に実施できる手段、例えばTNS蛍光滴定によって行うことができる。
内部及び外部水溶液の両方のpHが二分子膜におけるそのpKaよりも低いときは、イオン化し得る脂質は、実質的にプロトン化され、一般に、最外層脂質二分子膜の内側及び外側の単分子膜の間に、ほぼ均一に分布している。即ち、イオン化し得る脂質の約50%が内側の単分子膜に、50%が外側の単分子膜に存在する。
第一のpHよりも大きく、二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも大きい第二のpHを持つ外部水溶液を得るように、外部水溶液のpHを高めることによって、最外層脂質二分子膜を横切るpH勾配を確立する。プロトン化され、帯電したイオン化し得る脂質は、pH勾配に応じて、最外層脂質二分子膜の内側の単分子膜中に蓄積する。ここで用いられている、“蓄積”とは、二分子膜を横切るpH勾配が存在するとき、最外層二分子膜に存在するイオン化し得る脂質の約50%以上が、内側の単分子膜内にあるということ、好ましくは約75〜約100%、より好ましくは約90〜約100%、最も好ましくは約100%のプロトン化された、イオン化し得る脂質が、pH勾配に応じて内側の単分子膜内にあることを意味する。
例えば、本発明の好ましい実施態様においては、イオン化し得る脂質はAL−1である。AL−1と、例えば卵ホスファチジルコリン(EPC)及びコレステロール(Chol)、又はEPC、Chol及びジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)とで、リポソームを調製することができる。EPC、Chol及びDOPEは、中性の脂質であるので、EPC/Chol又はEPC/Chol/DOPE二分子膜中のAL−1のpKaは、約6.7である。従って、AL−1/EPC/Chol又はAL−1/EPC/Chol/DOPEリポソームに関して、第一のpH、即ち内部水溶液のpHは、6.7より低く、このようなAL−1含有リポソームに関する第一のpHは、好ましくは約4.0である。代表的には、内部水溶液は、緩衝水溶液であり、好ましい緩衝水溶液は現在ではクエン酸緩衝液である。
リポソームがAL−1/EPC/Chol又はAL−1/EPC/Chol/DOPEを含む場合は、第二のpH、即ち外部水溶液のpHは、6.7より大きく、約7.5であることが好ましい。しかしながら、他の脂質をAL−1/EPC/Chol又はAL−1/EPC/Chol/DOPEに混合すると、そこで、AL−1のpKaが影響を受けることがある。AL−1以外のイオン化し得る脂質は、AL−1と異なるpKaを持つことがある。従って、第一及び第二のpHは、リポソームの組成が変わった場合は、その好ましいpH値から変更してもよい。
第一pHが最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaより低いとき、第二のpHはそのpKaより大きく、イオン化し得る脂質は最外層脂質二分子膜の内側の単分子膜内に蓄積され、イオン化し得る脂質の正電荷は、実質的に外側の単分子膜からなくなっており、外部環境に曝されることから遮蔽される。動物に投与すると、正に帯電した脂質は、毒性副作用を引き起こし、オプソニン作用(opsonization)、即ち、血漿蛋白質のリポソーム外表面への結合、を促進することがあり、それによって、動物の循環からのリポソームの除去(clearance)を促進する。内側の単分子膜に正電荷を蓄積すると、毒性副作用やオプソニン作用の可能性が最少になる。
更に、イオン化し得る脂質の内側の単分子膜への蓄積を誘起するpH勾配は、陽イオン親油性生理活性剤、例えばアントラサイクリン抗腫瘍剤、ドキソルビシン、をリポソームに装填するために使用することもできる(例えばBally等、米国特許第5,077,056号参照。)。
pH勾配の低下により、内部pHは、イオン化し得る脂質のpKaよりも高くなる。これにより、蓄積されたイオン化し得る脂質は、実質的に脱プロトン化されることになる。次いで、実質的に脱プロトン化された中性のイオン化し得る脂質は、最外層脂質二分子膜の内側及び外側単分子膜の間に、ほぼ均一に分布する。中性のイオン化し得る脂質は、外側の単分子膜内で他の脂質二分子膜に曝された場合、“融合性”である。即ち、リポソームの他の脂質二分子膜への融合を促進することができる。二分子膜中で約7より低いpKaを有するイオン化し得る脂質を使用することは、pH勾配が、例えば動物内において、生理学的pHで低下し、イオン化し得る脂質が実質的に脱プロトン化され、融合性であることを意味する。リポソームの内部pHは、イオン化し得る脂質の実質的な脱プロトン化を誘起するのに、一般に生理学的pHよりも高くする必要はない。実質的に生理学的pHよりも高いpKaを有するイオン化脂質は、動物に投与すると、動物内では実質的に脱プロトン化されないので、融合性ではない可能性がある。
イオン化し得る脂質は、“融合促進有効量”で、最外層脂質二分子膜中に存在する。リポソームと他の脂質二分子膜の融合は、リポソームの最外層脂質二分子膜とその他の脂質二分子膜、例えば細胞膜との融合と定義することができる(例えばHuang(1983年)参照)。融合が起こるためには、最外層脂質二分子膜の脂質が、その他の脂質二分子膜の脂質と混合しなければならない。理論によって制限される意図は全くないが、融合が起こるためには、脂質上の帯電したヘッドグループは、中和されなければならず、脂質の形態が有効に変化し、非二分子膜形成性の構造を生じるものと考えられる。
本発明の目的のためには、イオン化し得る脂質の“融合促進有効量”は、イオン化し得る脂質が脱プロトン化され、中性になるとき、リポソームの別の脂質二分子膜への融合を促進するのに有効なイオン化し得る脂質の量である。イオン化し得る脂質の融合促進有効量は、一般に、二分子膜が他の二分子膜と融合するのを促進するのに十分な程度の欠陥をその二分子膜中に生成するのに有効である。代表的には、イオン化し得る脂質の“融合促進有効量”は、最外層脂質二分子膜中に約1モル%〜約20モル%のイオン化し得る脂質の濃度を確立するのに十分な量である。望ましくは、イオン化し得る脂質の融合促進有効量は、最外層脂質二分子膜中に約5モル%〜約10モル%のイオン化し得る脂質の濃度を確立するのに十分な量である。
リポソームは、中性非二分子膜形成性脂質を含むことも可能である。ここで用いられる場合、“中性非二分子膜形成性脂質”は、非陽イオン、非陰イオンヘッドグループ及び非二分子膜形成性アシル鎖を有する両親媒性脂質である。非二分子膜形成性アシル鎖は、一般に二分子膜中で、平行な配向で配列されておらず、また、一般にそのヘッドグループ表面とアシル鎖断面によって占められる面積は同様ではない。このようなアシル鎖について、最も好ましいパッキング構造は、一般に、非二分子膜構造にある。非二分子膜形成性脂質を含む二分子膜は、一般に、同じ長さ(炭素原子数)の二分子膜形成性アシル鎖脂質を含む二分子膜に比べて、Tm、即ちゲルから流動状態への遷移が起こる温度が低くなる。従って、非二分子膜形成性脂質は、一般に、ゲルから流動状態への二分子膜の遷移を促進し、それによって、一般に、二分子膜の他の二分子膜への融合を促進する。本発明の現在の好ましい実施態様においては、中性、非二分子膜形成性脂質は、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である。
リポソームは、当業者によく知られた、あるいは必要以上の実験を行うことなしに当業者が決定できる量及び理由に基づき、蛋白質及び他の脂質、例えばコレステロールやその誘導体を含むことも可能である。
リポソームは、従来の医薬を含む生理活性剤及び動物内あるいは生体内動物細胞で生理活性を有する関連生理活性化合物又は組成物を含むことができる。生理活性剤としては、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗腫瘍剤、代謝拮抗物質、炭水化物、ポリペプチド、ペプチド、蛋白質、毒素、酵素、ホルモン、神経伝達物質、糖蛋白質、リポ蛋白質、免疫グロブリン、免疫モジュレーター、血管拡張剤、染料、放射線標識化合物、放射線不透過性化合物、蛍光性化合物、多糖類、細胞受容体結合分子、抗炎症剤、散瞳性化合物、局部麻酔剤、麻薬、抗緑内障剤、ビタミン、核酸、ポリヌクレオチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、MRI及び放射線造影剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
該リポソーム組成物は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに投与され、リポソーム中に取り込まれるか、あるいはリポソームに結合されている生理活性剤を動物の細胞に搬送することができる。該組成物を動物に投与する場合、外部水溶液は、動物にとって耐えられる、即ち、実質的に無毒なものである。従って、外部水溶液は、薬理学的に許容し得る溶液、即ち“キャリアー”である。薬理学的に許容し得るキャリアーは、一般に、目的とする投与経路及び標準的な薬理学的プラクティスに基づいて選択される。静脈内、腹膜内、筋肉内、皮下又は乳房内経路を経由する非経口投与用若しくは注射用に、リポソーム組成物の無菌溶液が調製され、溶質の全濃度を調整して製品を等張にしてもよい。非経口投与用に用いられる代表的なキャリアーとしては、D5W(5%重量/体積 デキストロース/水)のようなデキストロース含有水溶液及び生理学的に容認され得る食塩水が挙げられるが、これらに限定されるものではない。薬理学的に許容し得るキャリアーとしては、アルコール類、アラビアゴム、ベンジルアルコール類、ゼラチン、ラクトース、アミロース又は澱粉のような炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸(silic acid)、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなども挙げられる。それらは、例えば防腐剤、抗酸化剤などの成分を、当業者が決定できる範囲内の量及び理由に基づき、含むことができる。
本発明は、中性、非二分子膜形成性脂質並びにプロトン化し得る陽イオンヘッドグループ及び不飽和アシル鎖を有する融合促進有効量のイオン化し得る脂質からなる最外層脂質二分子膜を有する脱水リポソームであり、イオン化し得る脂質が、最外層脂質二分子膜の内側の単分子膜に蓄積されている脱水リポソームをも提供する。リポソームの脱水により、リポソームの保存期間を延長することができ、脱水リポソームは必要に応じて再構成することが可能である。リポソームは、標準凍結乾燥装置若しくはその同等装置を用いて、凍結で脱水することができる。凍結乾燥は、参照のために記載するSchneider等(米国特許第4、229、360号)及びJanoff等(米国特許第4,880,635号)に述べられた方法に従って、リポソーム製品中に1つ又はそれ以上の保護糖を混合した後、行うことが好ましい。保護糖は、脱水が凍結せずに行われる場合には、省略することができ、リポソーム調製工程において十分な水をリポソーム製品内に残すことによって、脱水−再水和プロセスの間のリポソーム二分子膜の実質的な部分の完全性を維持することができる。
本発明は、水溶液中でリポソームを調製することからなり、該リポソームは、中性の二分子膜形成性脂質並びにプロトン化し得る陽イオンヘッドグループ及び不飽和アシル鎖を有する融合促進有効量のイオン化し得る脂質を含む最外層脂質二分子膜を含む、リポソームの第二の脂質二分子膜への融合を制御する方法を提供する。リポソームは、水溶液を含む最外層脂質二分子膜に隣接する区画をも含んでいる。その水溶液のpHは、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも低い。次いで、リポソーム外部の水溶液のpHを、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも高くするので、最外層脂質二分子膜を横切るpH勾配が生じ、イオン化し得る脂質が、そのpH勾配に応じて最外層脂質二分子膜の内側単分子膜に蓄積する。リポソームが第二の脂質二分子膜と融合する場合は、内部水媒体のpHを最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも高くする。リポソームは、ユニラメラリポソーム、好ましくは大ユニラメラリポソーム、あるいはマルチラメラリポソーム、好ましくは実質的に等しいラメラ間溶質分布を持つマルチラメラリポソームであることができる。第二の脂質二分子膜は、細胞の原形質膜が好ましく、その細胞は、哺乳動物の細胞が好ましい。しかしながら、第二の脂質二分子膜は、リポソーム脂質二分子膜又はバクテリアの細胞膜等の他の脂質二分子膜であってもよい。外部水溶液のpHは、一般に、その水溶液に、目的とするpHを得るのに十分な量の塩基を加えるか、あるいはその外部水溶液を、目的とするpHを有する第二の水溶液と交換することにより高くする。
イオン化し得る脂質は、融合促進有効量、即ちリポソームの第二の脂質二分子膜への融合を促進するのに効果的な量で、最外層脂質二分子膜中に存在する。代表的には、イオン化し得る脂質の“融合促進有効量”は、最外層脂質二分子膜中において、約1モル%〜約20モル%のイオン化し得る脂質の濃度を確立するのに十分な量である。好ましくは、イオン化し得る脂質の融合促進有効量は、最外層脂質二分子膜中において、約5モル%〜約10モル%のイオン化し得る脂質の濃度を確立するのに十分な量である。
リポソームを第二の脂質二分子膜へ融合させたい場合は、pH勾配を低減するように、リポソームの内部pHを、二分子膜中におけるイオン化し得る脂質のpKaよりも高くする。最外層脂質二分子膜の内側単分子膜中に蓄積された、プロトン化され/帯電したイオン化し得る脂質は、二分子膜に隣接した内部水溶液のpHが二分子膜中における脂質pKaよりも高くなると、実質的に脱プロトン化される。次いで、実質的に脱プロトン化され/中性のイオン化し得る脂質は、最外層脂質二分子膜中に、ほぼ均一に分布する。即ち、約50%が内側単分子膜に、約50%が外側単分子膜に存在する。外側単分子膜中の中性脂質は、他の脂質二分子膜への融合を促進することができる。該リポソーム組成物を動物に投与し、リポソーム中に貯えられたプロトンが外部環境へ漏出するにつれ、pH勾配を徐々に動物内で消失させることによって、pH勾配を低減することができる。リポソームの内部pHが生理学的なpHに近づくにつれて、生理学的pHより低いpKaを有するイオン化し得る脂質は、実質的に脱プロトン化される。脂質二分子膜を横切ってイオンを運ぶのを促進するイオノホア、例えばニゲリシン(nigericin)、を使用することによっても、あるいは中性の形で脂質二分子膜を横切ることのできるイオン、例えばアンモニウムイオン、を加えることによっても、pH勾配を低減させることができる。内部pHがpKaよりも高くなると、帯電したイオン化し得る脂質は、実質的に脱プロトン化され、中性の脂質が、最外層脂質二分子膜の内側及び外側単分子膜間にほぼ均一に分布される。
本発明の方法で使用されるリポソームは、生理活性剤を含むことが可能である。脂質の融合が制御される第二の脂質二分子膜は、細胞の原形質膜が好ましく、その細胞は、哺乳動物の細胞が好ましい。哺乳動物内、即ち生体内で、リポソームを哺乳動物細胞の原形質膜へ融合させるのが好ましい。代表的には、融合は、リポソーム内容物が哺乳動物細胞の細胞膜に搬送されるように起こる。
また、水溶液中で生理活性剤を含むリポソームを調製することからなり、該リポソームは、中性の二分子膜形成性脂質並びにプロトン化し得る陽イオンヘッドグループ及び不飽和アシル鎖を有する融合促進有効量のイオン化し得る脂質を含む最外層脂質二分子膜を含む、生理活性剤を細胞、好ましくは哺乳動物細胞に導入する方法もここに提供される。その水溶液は、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも低いpHを有し、生成したリポソームにより取り込まれると共に、そのリポソームを取り囲む。リポソームは、水溶液を含む最外層脂質二分子膜に隣接する区画をも含んでいる。次いで、リポソーム外部の水溶液のpHを、最外層脂質二分子膜中のイオン化し得る脂質のpKaよりも高くするので、最外層脂質二分子膜を横切るpH勾配が生じ、イオン化し得る脂質が、そのpH勾配に応じて最外層脂質二分子膜の内側単分子膜内に蓄積する。次いで、例えば、リポソームを動物に投与することにより、あるいはリポソームが細胞と融合する場合は、イオノホアを使用することにより、pH勾配は低減する。次に、リポソームが細胞に融合し、それによって生理活性剤が細胞に導入されるように、リポソームが細胞に接触する。
本発明は、以下の実施例により更によく理解されるであろう。しかしながら、これらの実施例が、その後に続く請求範囲で規定されているような本発明を単に説明するだけのものであることは、当業者が容易に理解するところである。
実施例
実施例1
脂質及び化学薬品材料
卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、N−(7−ニトロ−2,1,3−ベンゾキシジアゾール−4−イル)−1,2−ジオレオイル−sn−ホスファチジルエタノールアミン(NBD−PE)及びN−(リッサミン(lissamine)ローダミンBスルフォニル)−1,2−sn−ホスファチジルエタノールアミン(Rh−Pe)は、Avanti Polar Lipids(Alabaster,AL)から取得した。オレイン酸、コレステロール(Chol)、ニゲリシン、2−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸カリウム(TNS)及びすべての緩衝液は、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO)から取得した。3−N,N−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール及び塩化オキサリルは、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)から購入し、9,10−d2−オレイン酸は、MSD Isotopes(Montreal,PQ)から供給された。有機溶媒は、すべてHPLCグレードであり、再蒸留せずに使用した。
AL−1の合成
Levantis及びSilvius(1990年)の方法により、本化合物を調製した。10mlのベンゼンに溶解した1.0g(3.5mmol)のオレイン酸に、3ml(35mmol)の塩化オキサリルを、撹拌せずに室温で1時間かけてゆっくり添加することにより、塩化オレイルを調製した。真空下で、溶剤と過剰の塩化オキサリルを除去した後、その酸塩化物を5mlのジエチルエーテルに溶解し、更に、0.20g(1.7mmol)の3,N−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオールと0.15gのピリジンを含むエーテル5mlを添加した。得られた混合物を、室温で30分間撹拌した後、1mlのメタノールで冷却した。真空下で溶剤を除去した。粗生成物を50mlのヘキサンに溶解し、2×25mlの0.1M塩化ナトリウムで洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下でヘキサンを除去すると、わずかに黄色味がかったオイルが得られた。シリカゲル(70〜230メッシュ)のカラムクロマトグラフィーで、酢酸エチルにより溶出したところ、0.92g(84%)の純生成物(TLC、Rf=0.5)が得られた。200MHz、1H−NMR(CDCl3)、TNS(Jカップリング、インテグレーション(J-coupling,integration))からのδppm:5.3(dd、4H)、5.1(m、1H)、4.0(dd、1h)、2.4(dd、2H)、2.2(s、6H)、2.0〜0.8(m、62H)。この方法を、重水素化された類似体(deuterated analog)である、rac−1−N,N−ジメチルアミノ−2,3−ビス(9,10−ジデュウテリオオレオイル)プロパン(AL−1−d4)及び±−1,2−ジデカノイル−1−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−6)を調製するのにも用いた。
±−オレオイル−2−ヒドロキシ−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−2)及び不斉±−1,2−ジアシル−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−3〜AL−5)の調製
上記のようにして調製した塩化オレオイル(3.4mmol)を、5mlのTHFに溶解し、25mlのTHFに溶解した5倍過剰の3−N,N−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール(2.0g、17mmol)及び0.15gのピリジンに添加した。粗1−モノオレオイル−2−ヒドロキシ−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−2)を単離し、溶離液(Rf0.4)として酢酸エチル/メタノール(3:1)を使用して、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した。その後、1当量の塩化アセチル、塩化ブチリル又は塩化デカノイルにより、反応条件でアシル化して、それぞれ、AL−3、AL−4及びAL−5を製造した。
LUVの調製
窒素下で、脂質のクロロホルム溶液を乾燥し、引き続き、高真空下で残留溶剤を1時間除去することにより、公知の方法で、リポソーム様リポソーム(liposomal liposome)を調製した。得られた脂質フィルムを、適当な緩衝液と渦巻き(vortex)混合することにより水和して、マルチラメラリポソーム(MLV)を製造した。凍結融解を5回行って、均一な混合物を得た。MLVを、2枚の細孔サイズが100nmのポリカーボネートフィルターから10回押し出して、大ユニラメラリポソームを製造した(例えば、Bally等、米国特許第4,885,172号、Cullis等、米国特許第4,975,282号、Cullis等、米国特許第5,008,050号、Loughrey等、米国特許第5,059,421号参照)。
実施例2
TNF蛍光による脂質不斉の測定
リポソームの内側単分子膜へのAL−1の移送を、Eastman等(1991年)から採用された方法を用いるTNF蛍光により実証した。まず、EPC/Chol(55:45)に、0、2.5、5.0、7.5及び10.0モル%のAL−1を含み、20mMHEPES、150mM NaCl、pH7.5中、全脂質5mMのLUVを用いて、AL−1濃度の関数としてのTNF蛍光を検定した。90μlの一部を、20mM HEPES、150mM NaCl、5μM TNS、pH7.5、2.9mlに添加して、5分間にわたって蛍光をモニターした。上述のように、10モル%AL−1、内部pH7.5で調製したリポソームも、比較のために使用した。
結果を図1に示す。pH勾配を与えた後、TNF蛍光により、AL−1含有リポソームの表面電荷をモニターして、AL−1の二分子膜を横切る分布に及ぼすpH勾配の影響を実証した。0.5モル%AL−1の濃度では、表面電荷が増加するにつれて、蛍光が一様に増加することが認められた(図1A参照)。しかし、高濃度では、蛍光が水平となり、減少し始める。この影響は、コレステロールを含まないEPC内にAL−1を含むリポソームでは認められず、蛍光は、20モル%AL−1まで、直線的に増加した。EPC/Chol(55:45)内に10モル%AL−1を含むリポソームは、凝集して、TNS相互作用のためのリポソーム表面積が減少するという徴候が初期に現れた。
EPC/Chol(55:45)に10モル%AL−1を含む場合について、TNF蛍光に及ぼすpH勾配の影響を、図1Bで説明する。図の一番上の曲線は、10モル%AL−1について、内部及び外部がpH7.5で勾配のない状態における、蛍光を時間の関数として示す。一番下の曲線は、小胞に関するもので、内部pHが4、外部pHが7.5であるが、AL−1は含まれていない。これらの曲線に認められる蛍光の緩やかな減少は、実験の過程でTNSが光漂白(photobleaching)される結果である。残りの曲線は、勾配を有する10モル%AL−1についてのもので、リポソームの増加した表面電荷の大部分、従って、AL−1は、外側の単分子膜から極めて急速に失われたことを示している。4分後、蛍光は、EPC/Cholリポソームのそれと等しく、実質的に、すべてのAL−1が内側単分子膜に移動してしまったことを示した。二分子膜を横切るAL−1の脂質移動は、融合の制御にそれを使用するのに有用である。AL−2〜AL−6についても、同様な挙動が認められた(図9参照)。
実施例3
イオン化し得る脂質のpK a の測定
リポソーム膜内のAL−1が、その電荷を失うときのpHを測定するために、0及び10モル%AL−1とEPC/Chol(55:45)を含むLUVを、5mM HEPES、5mM酢酸アンモニウム中で、pH4.0で調製した。5mM HEPES、5mM酢酸アンモニウム、2μM TNS中に、3.0から10.0までの範囲のpHで、全脂質が0.25mMとなるように試料を希釈した。最終濃度が0.01μMとなるようにニゲリシンを添加することにより、小胞膜を横切るpHを等しくした。
結果は、図2に提示されており、pH勾配が存在していない場合の種々のpH値におけるTNS蛍光を示す。このデータから、AL−1の共役酸については、pKaが6.7であることが明らかである。合成アミノ脂質AL−2〜AL−6について、同様のpH滴定曲線から導かれた結果の比較を表1に示す(下記参照)。リポソームに取り込まれた場合、アミンの酸−塩基特性に及ぼす化学構造の影響は、観察されたpKa値及びpH7.5で変化したまま残っているアミノ脂質種の画分の変化として表される。これらの変化は、相対的な炭化水素の鎖長とヘッドグループの極性とによって影響を受けるので、アミンヘッドグループの脂質二分子膜内への浸透の深さに由来することができる。化合物AL−2は、単一のオレオイル鎖と未置換ヒドロキシル基を有しているだけであり、pKaは約7.57である。2位置におけるヒドロキシルを酢酸塩でエステル化すると、AL−3となり、pKaは6.79に低下し、pH7.5における中性種の画分は、AL−1での11%に比較して、16%である。残りの化合物AL−4、AL−5、AL−6も、pKa及びpH7.5における相対電荷が、AL−1のそれらの値に近づくのに十分な炭化水素含有量を有している。
Figure 0003804025
実施例4
脂質−混合融合測定
Struck等(1981年)により記載されているような、蛍光プローブ希釈から生ずる共鳴エネルギー転移の減少によって、融合をモニターした。pH4.0の300mMクエン酸塩中で、EPC/Chol(55:45)及びEPC/DOPE/Chol(30:25:45)における0及び10モル%AL−1により、LUVを調製した。外部緩衝液は、20mM HEPES(150mM NaCl、pH7.5)であった。各AL−1濃度において、各脂質組成物について、NDB−PE及びRh−PEの両方の0.7モル%を含むリポソームも調製した。標識したリポソームと標識しないリポソームとを1:3の割合で混合し、全脂質が0.2mMとなるように希釈した。セファデックス(Sephadex)G−25カラムで、外部緩衝液を300mMスクロース、1mMクエン酸塩、pH4.0に交換し、その後、試料を10mM脂質に希釈した。融合測定のために、20μlの蛍光標識リポソームと、60μlの標識していないリポソームとを、3.92mlの20mM HEPES、150mM NaCl、pH7.5に添加した。室温で5分間インキュベートした後、3mlをキュベットに加え、5分間にわたって蛍光をモニターした。励起及び発光波長は、それぞれ、465nm及び535nmであり、発光530nmカットオフフィルターを用いた。勾配を消失させ、融合を生じさせるために、最終濃度が100mMとなるように30秒で酢酸アンモニウムを加えた。ゼロ蛍光(F0)を、酢酸アンモニウムを加えていないトレースに当てはめ、Fmaxを、100μlの25mMトリトンX−100を添加後測定したトレースに当てはめることにより、蛍光の変化のパーセント(%F/Fmax)を求めた。すなわち、
%(F/Fmax)=100×((F−F0)/(Fmax−F0))
融合に及ぼすAL−1濃度変更(0〜20モル%)の影響を検討するために、それぞれ0.5モル%のNBD−PEとRh−PEを有するものと有しないものについて、内部の、pH4.0、300mMクエン酸ナトリウム緩衝液と外部の、20mM HEPES緩衝液(150mM NaCl、pH7.5)とを用いて、EPC/Chol(55:45)を含むリポソームを調製した。標識したリポソームと標識しないリポソームとを1:3の割合で混合し、全脂質が0.20mMとなるように希釈した。最終濃度が100mMとなるように酢酸アンモニウムを30秒で添加することにより、pH勾配は消失した。
AL−1含有リポソームの融合速度に及ぼすDOPE濃度変更の影響を検討するために、EPC/DOPE/Chol(55−X:X:45、X=0、5、10、15、20)、10モル%AL−1を有し、それぞれ0.5モル%のNBD−PEとRh−PEを有するものと有しないものについて、内部の、pH4.0、300mMクエン酸ナトリウム緩衝液と外部の、20mM HEPES緩衝液(150mM NaCl、pH7.5)とを用いたLUVを調製した。
EPC/DOPE/Chol(35:20:45)リポソームの融合に及ぼすアミノ脂質構造の影響を検討するために、5モル%の上記アミノ脂質(AL−1〜AL−6)を有し、内部の、pH4.0、300mMクエン酸ナトリウム緩衝液と外部の、20mM HEPES緩衝液(150mM NaCl、pH7.5)とを用いたリポソームを調製した。融合測定は、上述のように行った。
結果を図3、4、6、7及び9に示す。酸性の内部液を有するリポソームの膜を横切るpH勾配は、ニゲリシンなどのイオノホアにより、あるいは中性アンモニウムの形で膜を横切って、内部pHを高めることができるアンモニウムイオンを添加することにより、消失させることができる。AL−1が、独占的に内側単分子膜に存在するLUVについては、pH勾配の消失により、AL−1が単分子膜間で再分配されるものと期待されよう。AL−1が脱プロトン化され、二分子膜が不安定な条件下では、リポソームの融合が起こり得る。
膜融合は、蛍光標識脂質NDB−PE及びRh−PE間のRETの消失によってモニターした。これらの標識の両方を含むリポソームが、非標識リポソームと融合した場合は、蛍光プローブの得られた希釈液が、NDB−PEについて蛍光の増加を示す。これらの標識された脂質のリポソーム間の顕著な交換は、凝集系においてさえも、起こるとは思われず、膜脂質の混合に際してのみ、蛍光が増加する。
10モル%AL−1を含むLUVにおける融合を実証するための蛍光プローブ希釈測定の使用を、図3及び4に示す。EPC/Chol(55:45)を含み、AL−1を含まない非標識及び標識リポソーム(3:1)は、pH勾配の消失に際し、蛍光の増加を示さない。アンモニウム溶液の添加のために、わずかな蛍光の減少が認められた。10及び20モル%のAL−1を含む同様なリポソームでは、3%近辺のΔF/ΔFmaxの値において、蛍光が急激に増大する。これは、正常濃度(0.18モル%)の4分の1において、蛍光標識でリポソームを調製することにより測定したとき、非標識及び標識リポソームの3:1混合物については、80%のΔF/ΔFmaxを与えるはずである全体の起こり得る脂質混合の制限量(a limited amount of the total possible lipid mixing)を示しているに過ぎない。観察された低い蛍光増加は、AL−1ではEPC/Cholリポソーム中でpH勾配で制御された融合を引き起こすことができるが、そうするためのその能力が制限されていること示している。約20%よりも大きいAL−1濃度に関しては、EPC/Cholリポソームにおいて、押し出し後、急激で完全な凝集が認められた。
脂質二分子膜にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含むことにより、EPC/Cholリポソームの融合性を高めることができる。図3は、EPC/DOPE/Chol(35:20:45)の融合に及ぼす10モル%AL−1の影響を実証する蛍光トレースを示す。アミノ脂質なしでは、酢酸アンモニウムでpH勾配が消失した場合、融合の証拠は極めて少なかった。しかし、AL−1を含んだ場合は、5分間で、ΔF/ΔFmaxが約10%に上昇し、15分間にわたって上昇し続けた。この結果は、制御融合におけるAL−1の有用性を示すものであり、観察される融合の範囲で、脂質組成物の重要性を説明するものである。EPCの代わりにDOPEの濃度を増やしていった、10モル%AL−1を含有するEPC/DOPE/Cholについての融合測定の結果を、図6に示す。DOPE濃度を35:20:45の脂質比(EPC/DOPE/Chol、モル/モル)まで増大させるにつれて、融合速度が大きくなることは明らかである。この組成は、5分後に、ΔF/ΔFmaxが5%よりも大きくなる。しかし、DOPEのこの濃度では、低pHにおいて、リポソームに若干の凝集が認められた。DOPE濃度が高くなると、急激に凝集が起こった。
EPC/DOPE/Chol(35:20:45)リポソームにおいて、AL−1の濃度を約5モル%まで減らした場合に認められる最良の融合速度を図7に示す。この組成でpH4.0において、安定なリポソームが調製され、外部pHを7.5に上げた場合に、安定なままであった。pH勾配が消失すると、最初の5分間で、ΔF/ΔFmaxがほぼ直線状に、10%よりも高い値に上昇する。融合速度は、時間と共に低下したが、15分の測定時間の間は、融合が継続した。
EPC/DOPE/Chol(35:20:45)リポソームに各アミノ脂質の5モル%を含むリポソームについて、融合を測定することにより、アミノ脂質AL−1〜AL−6の融合能力を比較した。結果を図9に示す。単一のオレオイル鎖を有するAL−2は、アミノ脂質を含まないリポソームと比較して、リポソーム融合をほとんど増加させない。融合活性の欠如は、このような二分子膜において、AL−2のpKaが相対的に高く、AL−2の単一のアシル鎖が占める二分子膜中の面積が相対的に小さいことに起因するものと考えられる。理論によって制限される意図は全くないが、二分子膜の不安定化、即ち、融合には、融合性脂質のヘッドグループの大きさとそのアシル鎖が占める面積の大きさの間の実質的な不均衡が必要であると考えられる。AL−3を含むリポソームは、実質的により大きい融合速度を示し、AL−3の第二の鎖を長くして、ブチリル(AL−4)又はデカノイル(AL−5)にすると、融合速度が更に大きくなり、AL−1含有リポソームで達成された速度に近づく。二つのデカノイル鎖を有する化合物AL−6をリポソームに混合すると、比較的pKaが低いにも拘わらず、限られた混合が行われるにすぎない。
実施例5
2 H−NMR分光法
重水素除去水を用い、pH4.0及びpH7.5において、100mM酢酸アンモニウムで、上述のようにして、EPC/Chol(55:45)に10モル%AL−1−d4を含む凍結解凍MLVを調製した。サンプル濃度は、全脂質が約150mMであった。5.3μs90°パルス及び200ms繰り返し遅延(repeat delay)のスピンエコーシークェンスを用いて、30.7MHzにおいて、Bruker MSL200分光計で、広幅四重極スペクトルを記録した。温度は、液体窒素フロー系で、20℃に保持した。pH4.0のサンプルについて、フリーインダクションディケイ(free induction decay)(FID)信号を、一晩(約280,000スキャン)蓄積し、一方、pH7.0のサンプルでは、比較できる信号対雑音(signal-to-noise)を、約770スキャンで行った。100Hz線広がり(line-broadening)を用いて、FIDを変換した。
実施例6
2 H−NMR及び 31 P−NMR分光法
重水素除去水を用い、pH4.0及びpH7.5において、20mM HEPES、20mM酢酸アンモニウム、150mM NaClで、EPC/Chol(55:45)に5モル%AL−1−d4を含む凍結解凍MLVを調製した。サンプル濃度は、全脂質が約200mMであった。5μs90°パルス、50μsパルス間隔、30.5μsリングダウン(ring-down)遅延及び300ms繰り返し時間を用いて、46.175MHzにおいて、自家製の300MHz分光計で、2H−NMR広幅スペクトルを記録した。8段階位相サイクリングの四重極エコーシークェンスを用いて、200,000スキャンを蓄積した。得られたフリーインダクションディケイ(FID)を100Hz線広がりで変換した。2.8μsパルス及び30s繰り返しを用いて、81MHzにおいて、Bruker MSL200分光計で、高解像度31Pスペクトルを記録した。温度は、液体窒素フロー系で、23℃に保持した。1000スキャンにわたって、FIDを蓄積し、50Hz線広がりで変換した。
NMR分光法の結果を図5及び8に示す。EPC/Chol(55:45)リポソームにおける10モル%AL−1については、融合の程度が限られていることが認められ、これは、アミノ脂質の脱プロトン化された形が、二分子膜中で安定ではなかったが、この不安定性が、脂質膜に永久的な非二分子膜構造を与えなかったことを示した。このことは、二分子膜中での中性アミンの溶解度が限られていることの結果であったかもしれない。広範囲にわたる融解が起こり得る前に、AL−1の分離した結晶領域又は流体領域が形成されるのかもしれない。
重水素鎖標識類似体、AL−1−d4を合成し、10モル%EPC/Chol(55:45)の濃度で、MLVに混合することにより、AL−1の相挙動を調べた。この実験でMLVを使用する際には、NMR時間スケールにおいて、LUVを急激に振り混ぜることを避けた。図4において、pH4.0の2H−NMRスペクトルが、二分子膜中の脂質について期待される大きさの、AL−1−d4の鎖標識位置に対応する四重極スプリッティングを示している。pH7.5では、二分子膜のシグナルはもはや存在せず、スペクトルの中央部に強い等方性のピークが現れる。これは、pH7.5における分離した流体領域に、AL−1が存在していることの強力な証拠である。中和及びAL−1の再分配に際して認められる限定された融合度は、これらの領域の形成の結果であると考えられる。
図8AにおけるpH4.0の2Hスペクトルは、脂質二分子膜に取り込まれた脂質のオレオイル鎖に期待される範囲で、四重極重水素スプリッティングを示す。pH7.5で調製されたサンプルでは、四重極スプリッティングが減少し、これは、二分子膜の水準(オーダー)が低下していること関連しているようであるが、二分子膜は存続している。更に、約12kHzのスプリッティングについて明確なシグナルが存在し、これは、H11相内にあるアミノ脂質のプロトンから生じるものと考えられる。従って、このシグナルの出現は、膜が融合することになる二分子膜の不安定化と一致する。
リン脂質EPC及びDOPEの相挙動における付随する変化は、図8Bに示す31P−NMRスペクトルで明らかである。pH4.0の試料については、上部(upfield)にピークがあり、下部(downfield)にショルダーがある、典型的な二分子膜のシグナルが認められた。pH7.5の試料については、下部のシグナルがわずかに減少し、より強い下部ショルダーとして、H11シグナルが見られる。
実施例7
凍結粉砕(freeze-fracture)顕微鏡検査
EPC/Chol(55:45)又はEPC/DOPE/Chol(30:25:45)中10モル%からなるLUVを、pH4.0において、300mMクエン酸アンモニウムで、上述のようにして、全脂質濃度を150mMにして調製した。セファデックスG−25カラムで、外部緩衝液を1mMクエン酸塩、300mMスクロース、pH4.0に交換した。各試料200μlに、50μlの500mM酢酸アンモニウム、pH7.5を加えた。サンプルを室温で30分間保持した後、白金/カーボンレプリカを調製した(Fisher及びBranton(1974年)参照)。
実施例8
凍結粉砕(freeze-fracture)顕微鏡検査
EPC/DOPE/Chol(30:25:45)中5モル%からなるLUVを、pH4.0において、300mMクエン酸アンモニウムで、上述のようにして、全脂質濃度を100mMにして調製した。セファデックスG−25カラムで、外部緩衝液を1mMクエン酸塩、300mMスクロース、pH4.0に交換した後、約10mM脂質となるように、20mMHEPES、150mMNaCl、pH7.5で試料を希釈した。対照サンプルを取り除いた後、最終濃度が100mMとなるように3mM酢酸アンモニウム、pH7.5を加えて、pH勾配を消失させた。pH勾配が存在する対照サンプルの他に、勾配消失後4、15及び30分目のサンプルについて、白金/カーボンレプリカを調製した(Fisher及びBranton(1974年)参照)。

Claims (17)

  1. (a)次の(i)及び(ii)を含有するユニラメラリポソーム:
    (i)二分子膜形成性ホスファチジルコリン並びに1モル%〜20モル%の1−N,N−ジメチルアミノジオレイルプロパン(AL−1)、±−オレオイル−2−ヒドロキシ−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−2)、不斉±−1,2−ジアシル−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−3〜AL−5)及び±−1,2−ジデカノイル−1−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−6)からなる群から選ばれる融合性を有するイオン化し得る脂質を含有する二分子膜と、
    (ii)第一のpHを有する水溶液を有する内部区画、及び
    (b)第二のpHを有する上記リポソームの外側の水溶液
    を含有するリポソーム組成物であって、
    内部水溶液の第一のpHは二分子膜中の融合性を有するイオン化し得る脂質のpKaより小さく、外側水溶液の第二のpHは二分子膜中の融合性を有するイオン化し得る脂質のpKaよりも大きく、
    それによって、二分子膜を横切るpH勾配が存在し、また
    それによって、融合性を有するイオン化し得る脂質が二分子膜の内側単分子膜内に蓄積されることを特徴とする、
    リポソーム組成物。
  2. ユニラメラリポソームが大ユニラメラリポソームである請求項1のリポソーム組成物。
  3. 水溶液が緩衝水溶液である請求項1のリポソーム組成物。
  4. 緩衝水溶液のpHが4.0である請求項3のリポソーム組成物。
  5. 緩衝水溶液がクエン酸塩緩衝液である請求項4のリポソーム組成物。
  6. 二分子膜の5モル%から10モル%が融合性を有するイオン化し得る脂質である請求項1のリポソーム組成物。
  7. 融合性を有するイオン化し得る脂質が1−N,N−ジメチルアミノジオレイルプロパンである請求項1のリポソーム組成物。
  8. 二分子膜が更に、中性のヘッドグループ及び少なくとも1つの不飽和アシル鎖を含む脂質を含有する請求項1のリポソーム組成物。
  9. 脂質がジオレオイルホスファチジルエタノールアミンである請求項8のリポソーム組成物。
  10. リポソームが生理活性剤を含む請求項1のリポソーム組成物。
  11. 生理活性剤が、核酸、殺菌剤、抗癌剤又は抗炎症剤である請求項10のリポソーム組成物。
  12. 外側の水溶液が薬理学的に許容され得る水溶液である請求項1のリポソーム組成物。
  13. 二分子膜形成性ホスファチジルコリン並びに1モル%〜20モル%の1−N,N−ジメチルアミノジオレイルプロパン(AL−1)、±−オレオイル−2−ヒドロキシ−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−2)、不斉±−1,2−ジアシル−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−3〜AL−5)及び±−1,2−ジデカノイル−1−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−6)からなる群から選ばれる融合性を有するイオン化し得る脂質を含有する二分子膜を有し、上記融合性を有するイオン化し得る脂質が二分子膜の内側単分子膜内に蓄積されている、脱水ユニラメラリポソーム。
  14. (a)二分子膜形成性ホスファチジルコリン1−N,N−ジメチルアミノジオレイルプロパン(AL−1)、±−オレオイル−2−ヒドロキシ−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−2)、不斉±−1,2−ジアシル−3−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−3〜AL−5)及び±−1,2−ジデカノイル−1−N,N−ジメチルアミノプロパン(AL−6)からなる群から選ばれる融合性を有するイオン化し得る脂質;及び二分子膜中の融合性を有するイオン化し得る脂質のpKaより小さいpHを有する水溶液とから、
    二分子膜の5モル%〜20モル%が融合性を有するイオン化し得る脂質であり、そして水溶液は得られるリポソームの内側と外側の両方にあるようにリポソームを調製し、
    (b)リポソームの外側の水性媒体のpHを、二分子膜中の融合性を有するイオン化し得る脂質のpKaよりも高くし、それによって、該二分子膜を横切るpH勾配が存在し、またそれによって、融合性を有するイオン化し得る脂質が二分子膜の内側単分子膜内に蓄積されるようにし、そして
    (c)このpH勾配を低下せしめて、内部水溶液のpHが二分子膜中の融合性を有するイオン化し得る脂質のpKaより大きくなるようにすること
    を包含する、ヒト以外の細胞膜へのリポソームの融合を制御する方法。
  15. リポソームが生理活性剤を含む請求項14の方法。
  16. 細胞がヒト以外の哺乳動物の細胞である請求項14の方法。
  17. 工程(b)の後に、該リポソームがヒト以外の哺乳動物に投与される請求項14の方法。
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