JP3803773B2 - 硬質焼結体切削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般に硬質焼結体切削工具に関するものであり、より特定的には、ダイヤモンド焼結体または立方晶窒化硼素を含有する焼結体が工具母材に強固にかつ高剛性に接合されてなる硬質焼結体切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細なダイヤモンド粒子を鉄族金属等の結合材を用いて超高圧高温下で焼結して得られるダイヤモンド焼結体は、切削工具、伸線ダイス、ドリルビット耐摩工具の刃先材料として、従来の超硬合金に比べ、格段に優れた耐摩耗性を有している。また、微細な立方晶窒化硼素を種々の結合材を用いて焼結した材料は、高硬度の鉄族金属や鋳鉄の切削に対して優れた性能を示す。
【0003】
図2は、従来の硬質焼結体工具の断面図である。
硬質焼結体部1は、ダイヤモンド複合焼結体または立方晶窒化硼素複合焼結体で構成され、超硬合金製支持体2に裏打ちされた状態で、一体焼結により作製される。硬質焼結体部1の超硬合金支持体2側を、主にAgやCuからなるろう材3を介して、工具母材4にろう接することにより、硬質焼結体工具が得られる。
【0004】
この場合、ろう付け工程において、急速な加熱と冷却がこれら複合焼結体中に加えられるために、条件によっては硬質焼結体部1と超硬合金製支持体2間の接合界面において、これら材料間の熱膨張差に起因する亀裂や割れが発生する場合があった。さらに、切削工具として完成した場合も、焼結体の条件条件によっては、硬質焼結体部1と超硬合金製支持体2の界面の接合強度が不足し、過酷な切削条件下では、切削中に剥離や欠損が発生する場合があり、工具の信頼性の点で問題があった。
【0005】
このような問題を克服するために、たとえば特開昭60−85940号公報では、ダイヤモンド焼結体あるいは立方晶窒化硼素焼結体と超硬合金製支持体との接合界面に、TiやZrなどの炭化物・窒化物を形成させることにより、この接合部分の信頼性を向上させることを提案している。しかし、この場合も、結果的には熱膨張差の異なる異種材料を接合した複合焼結体であるために、改善の効果は少なく、問題点を解決することはできなかった。
【0006】
一方、硬質焼結体部(ダイヤモンド焼結体および立方晶窒化硼素焼結体で形成される)と、超硬合金製支持体との接合界面をなくすために、図3に示すように、ダイヤモンド焼結体あるいは立方晶窒化硼素焼結体1を、直接工具母材4に接合させることが考えられている。このような工具の構造は、特開昭59−13466号公報、特開昭68−187603号公報、実公昭64−4839号公報、特開平2−27440号公報、特公平3−17791号公報、特開平7−124804号公報、特開平9−103901号公報に開示されている。ここでは、予めダイヤモンド焼結体あるいは立方晶窒化硼素焼結体1の表面に活性金属層を成形した後に、Ag,Cuを主とするろう材3により工具母材4に接合させるか、あるいはAg−Cu−Ti、Cu−Ti、Ag−Ti、Au−Ta、Au−Nbなど、Ag、Cu、Auなどの軟質金属に、Ti,Zr,Taなどの活性金属を含む活性ろう材を用いて、直接工具母材4に接合することが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3に示す従来の硬質焼結体切削工具の場合、AgやCuなどの軟質金属からなるろう材3を介して、ダイヤモンド焼結体、あるいは立方晶窒化硼素焼結体が直接工具母材4に接合されているために、過酷な切削条件下ではろう材3の変形による被削材精度の低下や、被削面粗さの悪化、あるいは剛性不足によるびびりの発生、さらには工具刃先の切削熱が、熱伝導率の高いダイヤモンド焼結体や立方晶窒化硼素焼結体1を介して、直接ろう材3に流れ込むために、ろう材3が流出し、工具に欠損が発生する、などの問題点があった。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、硬質焼結体が、割れや亀裂を有することなく、強固かつ高剛性に工具母材に接合されてなる硬質焼結体切削工具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ダイヤモンドおよび/または立方晶窒化硼素を20容量%以上含有する焼結体部が、接合層を介して工具母材に直接接合されている硬質焼結体切削工具にかかるものである。上記接合層が、該接合層全体に対して2〜15重量%の、WまたはMoの少なくとも一方からなる粒子と、該接合層全体に対して1〜10重量%の、TiまたはZrの少なくとも一方と、AgまたはCuの少なくとも一方からなる残部と、不可避不純物と、からなることを特徴とする。
【0010】
この発明の好ましい実施態様によれば、上記接合層中の、WまたはMoの粒子径が、0.5〜30μmの範囲内にある。
【0011】
この発明のさらに好ましい実施態様によれば、上記残部は、AgおよびCuの両者を含み、Agに対するCuの重量比率が5〜70重量%である。
【0012】
この発明のさらに好ましい実施態様によれば、上記接合層の融点は780℃〜950℃である。
【0013】
この発明のさらに好ましい実施態様によれば、上記焼結体部の厚みは、0.25〜1.5mmである。
【0014】
この発明のさらに好ましい実施態様によれば、上記工具母材は超硬合金からなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者は、ダイヤモンド焼結体または立方晶窒化硼素を含有する焼結体が工具母材に直接接合され、この焼結体が割れや亀裂を有することなく強固かつ高剛性に接合される接合方法の研究を鋭意行なった。
【0016】
その結果、図1を参照して、接合層5を、該接合層全体に対して2〜15重量%の、WまたはMoの少なくとも一方からなる粒子と、該接合層全体に対して1〜10重量%の、TiまたはZrの少なくとも一方と、AgまたはCuの少なくとも一方からなる残部と、不可避不純物とから形成することにより、ダイヤモンド焼結体または立方晶窒化硼素を20容量%以上含有する焼結体部1を、割れや亀裂の発生なく強固かつ高剛性に工具母材4に接合できることを見出した。
【0017】
ここで、接合層の主成分となり得る金属材料はAg、Cu,Auなど、一般にろう材として用いられる低融点であり、かつ軟質の金属であればどのような金属の組合せでもよい。経済性を考慮に入れた場合、Ag−Cu合金が好ましい。これによると、Ag−Cuの共晶組成付近では低融点となり、低温度での接合が可能となる。
【0018】
すなわち、上述のような軟質金属が接合層の主成分となることにより、ダイヤモンド焼結体あるいは立方晶窒化硼素焼結体と、工具母材との接合時に発生する熱膨張差による歪みを吸収し、焼結体中に発生する割れや亀裂を防止することが可能となる。そして、このような軟質金属による緩衝効果を得るためには、接合される材料間での熱歪みを、可能な限り小さくしておく必要がある。このため、接合材料の融点を引き下げる必要があり、接合材の主成分がAgおよびCuからなる場合において、Agに対するCuの重量比率が、5〜70重量%の範囲にあれば、共晶組成による融点降下作用が顕著に現われ、好適であることを見出した。そして、接合材がこのような範囲内の組成であれば、接合材の融点は780℃〜950℃となり、低温での接合を可能とすることを見出した。
【0019】
一方、このようなAg、Cuなどの軟質金属を直接ダイヤモンド焼結体あるいは立方晶窒化硼素焼結体と接合させるためには、Ti,Zr,Taなどの活性金属の添加が必要不可欠となる。これら活性金属は、ダイヤモンド焼結体あるいは立方晶窒化硼素焼結体の表面で、表面エネルギを低下させ、接合層の主成分の濡れ性を向上させる役割を果たす。このような効果を引出すためには、Ti,Zr,Taなどの活性金属は、接合層中で、1重量%以上必要となる。一方、接合層中にて、活性金属が増加した場合、活性金属による脆い金属間化合物が増加して、逆に接合強度は低下することになる。このため、Ti,Zr,Taなどの活性金属は、接合層中で10重量%以下となることが必要となる。
【0020】
ここで、上記のような組成を持つ軟質金属による接合層では、接合層部分の剛性や、接合強度の面で問題があることは前述のとおりである。発明者は、これらの改善のために鋭意研究を行なった結果、上記軟質金属に、WあるいはMoを添加することにより、接合層の剛性と強度が飛躍的に改善されることを見出した。ここで添加されるWとMoは粉末の状態で添加されるために、接合層中で、硬質分散粒子としてふるまう。
【0021】
すなわち、硬質粒子であるWとMoが、軟質金属中で均一に存在することにより、接合層の剛性を高め、また接合層中ての亀裂の伝播を阻止することにより、飛躍的な接合強度の向上が図られることになる。
【0022】
ここで、硬質分散粒子としては、主成分である軟質金属以上の高融点を持つ金属、またはそれらの炭化物、窒化物、酸化物等が考えられる。このうち、接合層の主成分であるAgやCuとの濡れ性や、添加されているTi,Zr,Taなどの活性金属との反応性を考慮した場合、WおよびMoが最も好適である。すなわち、硬質分散粒子として添加される粒子は、高温となる接合時において、主成分であるAgおよびCuに溶解や反応せず、かつこれら主成分の液相化や流動性を妨げてはならない。このためには、AgやCuに対して実質的に溶解せず、かつ添加される粒子上でのAgやCuの濡れ性が優れることが求められる。WおよびMoは、AgやCuに対して、実質的に溶解せず、またAgやCuとの濡れ性に非常に優れており、このような用途に好適であることが見出された。
【0023】
ここで、前述した接合層の剛性および強度を向上させるためには、WあるいはMoが接合層中で2重量%以上必要である。また、接合層中でのWあるいはMoの量が、15重量%を超えた場合、接合体に対するAgやCuの接触面積が少なくなり、急激に接合強度が低下することになる。このため、添加されるWあるいはMo粉末は、2〜15重量%の範囲にあることが必要となる。
【0024】
一方、このような接合体による接合層の厚みは、通常10μm〜200μm程度の厚みとなる。このため、添加されるWあるいはMo粉末の粒径が30μmを超えた場合、接合層の主成分であるAgやCu同士の接触を低下させることになり接合層そのものの強度が、急激に低下することになる。さらに、添加されるWあるいはMo粉末の粒径が0.5μm未満である場合、接合層中でこれら粉末は凝集しやすくなり、それが破壊の起点となり、強度を低下させやすくなることも見出された。このため、添加されるWあるいはMo粉末の粒径は、0.5〜30μmの範囲内にあることが必要である。
【0025】
ところで、上記のような高剛性の接合層を用いても、ダイヤモンド焼結体あるいは立方晶窒化硼素焼結体の厚みが0.25mm未満となった場合には、工具刃先に発生した切削熱が、熱伝導率の高いダイヤモンド焼結体や立方晶窒化硼素焼結体を介して、大量に接合層部分に流れ込むために、接合層部分の温度が上昇し、これの変形や、変形に起因する欠損が発生しやすくなる。このため、接合されるダイヤモンド焼結体または立方晶窒化硼素焼結体の厚みは、0.25mm以上必要であることが見出された。また、ダイヤモンド焼結体または立方晶窒化硼素焼結体の厚みが1.5mmを超えると、切れ刃の研磨に要する労力が多大になる。このため、ダイヤモンド焼結体または立方晶窒化硼素焼結体の厚みは、経済性の観点から1.5mm以下であることが望ましいことが見出された。
【0026】
また、硬質焼結体が接合される工具母材としては、超硬合金、鋼、セラミックス等、切削抵抗に耐え得る強度を有する材料であれば、どのような材料でも構わない。接合される硬質焼結体との熱膨張差や、材料強度等を考慮に入れた場合、超硬合金が最も好適である。
【0027】
【実施例】
実施例1
表1に、接合層中のWあるいはMoの含有量が、接合強度や切削性能に及ぼす影響を調べるために準備された種々の接合材の例を示している。
【0028】
【表1】
【0029】
表1において、接合材1A〜1Dは、いずれもAg、Cuが主成分として用いられており、接合材中のWの含有量が種々変えられている。
【0030】
まず、接合材試料を作製するため、表1に記載される組成を有する接合材粉末を作製し、これを有機溶剤と混ぜ合わせることにより、ペースト状の接合材1A〜1Dを得た。立方晶窒化硼素焼結体と超硬合金母材との接合強度の評価を行なうために、断面が2.5×2.5mmの四角形形状を有し、長手方向の長さが10mmである棒状の立方晶窒化硼素焼結体と超硬合金製サンプルを作製した。そして、これの断面部分に、上記1A〜1Dの接合材を塗布し、真空中、表1の温度にて加熱することにより、断面部分同士の接合を行なった。なお、そのときの真空度は1×10-5torrであった。その後、1A〜1Dにより接合された試料2A〜2Dは、断面積が2×2mmの四角形状になるように、試料の長手方向の4面に研削加工が施された。この接合部分における剪断強度を評価した結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
試料2Dは、接合材中のWの含有量が多いために、接合に関与するAgやCu、あるいはTiと被接合材との接触面積が小さくなり、明らかな接合強度の低下が認められた。これに対して、2A〜2Cは高い接合強度を有しているが、中でも2Bと2Cは、含有しているWが硬質分散粒子として効果があるために、接合層部分の強度が向上し、高い接合強度を有することが明らかとなった。
【0033】
引続き、切削性能の評価を行なうため、1A〜1Dの接合材を用いて立方晶窒化硼素焼結体と超硬合金製母材を接合させて、表3に示されるテスト工具3A〜3Dを作製した。なお、立方晶窒化硼素焼結体の厚みは0.75mmであった。
【0034】
【表3】
【0035】
その結果、工具3Aは接合層部分の剛性が低く、びびりが発生し、これが原因で切削中に工具の欠損が生じた。また、工具3Dは接合強度が低いために、切削初期に焼結体が接合部から剥離し、継続切削を行なうことが不可能であった。これに対して、工具3B,3Cは、焼結体の接合強度が高く、かつ接合層の剛性が高いために、切削中に焼結体の剥離や欠損が発生することなく、安定した加工を行なうことが可能であった。
【0036】
実施例2
表4に、接合層中のWあるいはMoの粒子径が、接合強度に及ぼす影響を調べるために準備された種々の接合材の例を示している。
【0037】
【表4】
【0038】
表4における接合材4A〜4Dは、いずれもAg、Cuが主成分として用いられており、接合材中のMoの粒子径が種々変えられている。
【0039】
接合材試料を作製するため、実施例1と同様に、表4に記載される組成を有する接合材粉末を作製し、これを有機溶剤と混ぜ合わせることにより、ペースト状の接合材4A〜4Dを得た。ダイヤモンド焼結体と超硬合金製母材との接合強度の評価を行なうために、断面が2.5×2.5mmの四角形形状を有し、長手方向の長さが10mmである棒状のダイヤモンド焼結体と超硬合金製サンプルを作製した。そして、これの断面部分に、上記4A〜4Dの接合材を塗布し、真空中、表4の温度にて加熱することにより、断面部分同士の接合を行なった。そのときの真空度は8×10-5torrであった。その後、4A〜ADにより接合された試料5A〜5Dは、断面積が2×2mmの四角形形状になるように、試料の長手方向の4面に研削加工が施された。この接合部分の接合層の厚みは30μmであった。表5に、この接合材試料のせん断強度を評価した結果を示す。
【0040】
【表5】
【0041】
試料5Dは、接合材中のMo粒子径が大きく、接合層中の主成分であるAgやCu同士の接触が低下した結果、接合層そのものの強度が急激に低下し、低いせん断強度を示すことが明らかとなった。また、細かいMo粒子を含む試料5Aでは、接合層中にMo粒子の凝集部分が観察され、これが破壊の起点となって、低い荷重でせん断されることが明らかとなった。これに対して、5B、5Cでは、硬質分散粒子であるMoが、接合層中でのAgやCu同士の接触を妨げることがなく、接合層中の亀裂伝播を防ぐために、高いせん断強度を示すことが明らかとなった。
【0042】
実施例3
表6は、接合層の主成分であるAgとCuの組成が、接合強度に及ぼす影響を調べるために準備された種々の接合材の例を示している。
【0043】
【表6】
【0044】
表4における接合材6A〜6Dは、いずれもAg、Cuが主成分として用いられており、接合材中のAgとCuの組成が種々変えられている。
【0045】
接合材試料を作製するため、実施例1と同様に、表6に記載される組成を有する接合材粉末を作製し、これを有機溶剤と混ぜ合わせることによりペースト状の接合材6A〜6Dを得た。立方晶窒化硼素焼結体と超硬合金製母材との接合強度の評価を行なうために、断面が3.5×3.5mmの四角形形状を有し、長手方向の長さが8mmである棒状のダイヤモンド焼結体と超硬合金製サンプルを作製した。そして、これの断面部分に、上記6a〜6dの接合材を塗布し、Ar雰囲気中、表6の温度にて加熱することにより、断面部分同士の接合を行なった。その後、6A〜6Dにより接合された試料7A〜7Dは、断面積が3×3mmの四角形形状になるように、試料の長手方向4面に研削加工が施された。研削加工実施後にこれらサンプルの接合界面を観察した結果、いずれのサンプルにも亀裂や割れは観察されなかった。表7に、この接合材試料のせん断強度を評価した結果を示す。
【0046】
【表7】
【0047】
試料7Dは、接合時には亀裂や割れは観察されなかったものの、接合温度が高いために、立方晶窒化硼素焼結体と超硬合金製母材との接合界面付近に、大きな熱歪みが発生した。その結果、これが原因で、せん断強度測定時に立方晶窒化硼素焼結体界面が破壊して、低いせん断強度となった。これに対して、低い温度で接合された試料7A〜7Cは熱歪みの発生が少なく、高いせん断強度を示すことが明らかとなった。
【0048】
実施例4
表8は、接合される硬質焼結体の厚みが、切削性能に及ぼす影響を調べるために準備された種々の切削工具の例を示している。
【0049】
【表8】
【0050】
すなわち、表8における切削工具8A〜8Dは、実施例1と同様の方法により、表8に記載された接合材により立方晶窒化硼素焼結体が剛性の工具母材上に接合され、工具が作製された、これが、表9に示す条件にて切削評価が行なわれた。
【0051】
【表9】
【0052】
その結果、工具9Aは立方晶窒化硼素焼結体の厚みが薄いために、刃先に発生した切削熱が大量に接合層部分に流入するために、接合層部分が軟化し、接合強度の低下を招き、これが原因で切削中に工具に欠損が発生した。これに対して、9B〜9Dは立方晶窒化硼素焼結体の厚みが厚いために、刃先で発生した切削熱が分散・放熱されるために、接合層部分の軟化が発生せず、高い接合強度が維持されているために、安定した加工が可能であることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬質焼結体切削工具の断面図である。
【図2】硬質焼結体切削工具の第1の従来例の断面図である。
【図3】硬質焼結体切削工具の第2の従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 硬質焼結体部
4 工具母材
5 接合層
Claims (6)
- ダイヤモンドおよび/または立方晶窒化硼素を20容量%以上含有する焼結体部が、接合層を介して工具母材に直接接合されている硬質焼結体切削工具において、
前記接合層が、
該接合層全体に対して2〜15重量%の、WまたはMoの少なくとも一方からなる粒子と、
該接合層全体に対して1〜10重量%の、TiまたはZrの少なくとも一方と、
AgまたはCuの少なくとも一方からなる残部と、
不可避不純物と、からなることを特徴とする硬質焼結体切削工具。 - 前記接合層中のWまたはMoの粒子径が、0.5〜30μmの範囲内である、請求項1に記載の硬質焼結体切削工具。
- 前記残部はAgおよびCuの両者を含み、
Agに対するCuの重量比率が5〜70重量%である請求項1に記載の硬質焼結体切削工具。 - 前記接合層の融点が780℃〜950℃である請求項1に記載の硬質焼結体切削工具。
- 前記焼結体部の厚みが0.25〜1.5mmである請求項1に記載の硬質焼結体切削工具。
- 前記工具母材が超硬合金からなる、請求項1に記載の硬質焼結体切削工具。
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