JP2000246484A - 高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法 - Google Patents
高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法Info
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- JP2000246484A JP2000246484A JP11055660A JP5566099A JP2000246484A JP 2000246484 A JP2000246484 A JP 2000246484A JP 11055660 A JP11055660 A JP 11055660A JP 5566099 A JP5566099 A JP 5566099A JP 2000246484 A JP2000246484 A JP 2000246484A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料との強
固なろう付け方法を実現する。 【解決手段】ろう材であるCu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ
素)を添加する。ろう材中のBを高融点金属の主成分と
を積極的に化学結合させてバリア層を形成させ、ステン
レス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点金属側
へ拡散することを防止し、これらが脆弱な化合物層を形
成することを阻止する。
固なろう付け方法を実現する。 【解決手段】ろう材であるCu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ
素)を添加する。ろう材中のBを高融点金属の主成分と
を積極的に化学結合させてバリア層を形成させ、ステン
レス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点金属側
へ拡散することを防止し、これらが脆弱な化合物層を形
成することを阻止する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高融点金属とステ
ンレス鋼又は鉄鋼材料との強固なろう付け方法に関する
ものである。
ンレス鋼又は鉄鋼材料との強固なろう付け方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】同種または異種の金属を接合するいわゆ
る溶接の中でもろう接(ろう付け)方式は母材に変化を
与えない、操作が容易である、応用範囲が広い等の理由
で多用されている。ろう付けは接合母材の間に金属(ろ
う材)を介在させ、その流れ及びぬれの性質を利用して
母材を溶融させることなく接合する技術である。加熱に
よりろう材のみが溶融し、母材の接合面の隙間に毛管現
象により充填される。従って母材の性質、ろう材の組
成、接合面形状、溶融加熱条件などが接合の良否を左右
することになる。そのため、作業雰囲気を真空や還元性
雰囲気に調整したり、フラックス等を用いて接合部の酸
化を防止したり、接合母材毎に最適なろう材を選択した
りすることが接合強度を大きく左右し、換言すれば接合
の良否を決定付けるのであり、ろう付けに関与する技術
者は皆、これら最適な接合条件の発見に心血を注いでい
るところである。
る溶接の中でもろう接(ろう付け)方式は母材に変化を
与えない、操作が容易である、応用範囲が広い等の理由
で多用されている。ろう付けは接合母材の間に金属(ろ
う材)を介在させ、その流れ及びぬれの性質を利用して
母材を溶融させることなく接合する技術である。加熱に
よりろう材のみが溶融し、母材の接合面の隙間に毛管現
象により充填される。従って母材の性質、ろう材の組
成、接合面形状、溶融加熱条件などが接合の良否を左右
することになる。そのため、作業雰囲気を真空や還元性
雰囲気に調整したり、フラックス等を用いて接合部の酸
化を防止したり、接合母材毎に最適なろう材を選択した
りすることが接合強度を大きく左右し、換言すれば接合
の良否を決定付けるのであり、ろう付けに関与する技術
者は皆、これら最適な接合条件の発見に心血を注いでい
るところである。
【0003】本願では、高融点金属、即ち、融点が2000
℃以上の金属で、例えばMo、W、Ta、Nb、V、Re、Ir、R
h、Ru、Os、Tc等の高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼
材料との接合を対象としている。
℃以上の金属で、例えばMo、W、Ta、Nb、V、Re、Ir、R
h、Ru、Os、Tc等の高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼
材料との接合を対象としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、高融点金属と
ステンレス鋼又は鉄鋼材料との接合にもろう付けの手法
が採用されているが、ろう材として、例えば99.9Cu等の
銅ろう、Ag-5Pd等の銀ろう、Cu-20Sn等の青銅ろうが用
いられている。しかし、Ag-5Pd等の銀ろう、Cu-20Sn等
の青銅ろうを例えばモリブデン合金とステンレス鋼との
接合に用いた場合には十分な接合強度を得ることができ
ず、具体的には20Kgf/mm2前後のものであった。また、
同じ母材を純銅ろうにより接合した場合には、他のろう
材よりは強度は出るものの、用途によってはまだ十分な
水準には達していなかった。
ステンレス鋼又は鉄鋼材料との接合にもろう付けの手法
が採用されているが、ろう材として、例えば99.9Cu等の
銅ろう、Ag-5Pd等の銀ろう、Cu-20Sn等の青銅ろうが用
いられている。しかし、Ag-5Pd等の銀ろう、Cu-20Sn等
の青銅ろうを例えばモリブデン合金とステンレス鋼との
接合に用いた場合には十分な接合強度を得ることができ
ず、具体的には20Kgf/mm2前後のものであった。また、
同じ母材を純銅ろうにより接合した場合には、他のろう
材よりは強度は出るものの、用途によってはまだ十分な
水準には達していなかった。
【0005】このような従来技術の課題を鑑みて、本発
明は、高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう
付け接合において、新しい知見に基づいた新規の手法に
より、強固な接合を実現する方法を提供することを目的
としている。
明は、高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう
付け接合において、新しい知見に基づいた新規の手法に
より、強固な接合を実現する方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材
料とのろう付け方法では、Cu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ
素)を存在させたろう材を用い、ろう材中のBと高融点
金属の主成分とを化学結合させてバリア層を形成させる
ことを特徴としている。
め、本発明に係る高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材
料とのろう付け方法では、Cu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ
素)を存在させたろう材を用い、ろう材中のBと高融点
金属の主成分とを化学結合させてバリア層を形成させる
ことを特徴としている。
【0007】該バリア層が新規に形成されることによ
り、高融点金属の主成分とステンレス鋼又は鉄鋼材料中
の成分とが拡散混合することを防止し、即ちこれらの成
分が脆い化合物層を形成することが阻止され、結果とし
て接合部位の強度を良好なものとすることができる。
り、高融点金属の主成分とステンレス鋼又は鉄鋼材料中
の成分とが拡散混合することを防止し、即ちこれらの成
分が脆い化合物層を形成することが阻止され、結果とし
て接合部位の強度を良好なものとすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高融点金属と
ステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法を、モリブ
デン合金とステンレス鋼との接合を一例に用いて説明す
る。
ステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法を、モリブ
デン合金とステンレス鋼との接合を一例に用いて説明す
る。
【0009】本願発明者らはまず、従来の純銅ろうによ
る接合を行い、故意の破断実験を試みた。サンプルに
は、高融点金属としてモリブデン合金TZMを、ステンレ
ス鋼にSUS403を用いた。純銅ろうでろう付けしたサンプ
ルをマイクロカッターにより切断し、切断面を電子顕微
鏡EPMAによりFe、Cr、Cu、Moの各成分について観察し
た。このときの分析結果を図2に示す。左上がFe成分、
右上がCr成分、左下がCu成分、右下がMo成分の分布を表
したもので、図右の色別レベル尺に示すように、色が白
く表現されている場所程その元素の存在比率は高い。
る接合を行い、故意の破断実験を試みた。サンプルに
は、高融点金属としてモリブデン合金TZMを、ステンレ
ス鋼にSUS403を用いた。純銅ろうでろう付けしたサンプ
ルをマイクロカッターにより切断し、切断面を電子顕微
鏡EPMAによりFe、Cr、Cu、Moの各成分について観察し
た。このときの分析結果を図2に示す。左上がFe成分、
右上がCr成分、左下がCu成分、右下がMo成分の分布を表
したもので、図右の色別レベル尺に示すように、色が白
く表現されている場所程その元素の存在比率は高い。
【0010】左側にSUS(ステンレス鋼)、右側にTZM
(モリブデン合金)を配置し、ろう材として従来の銅ろ
うを中間に挟んでろう付けしたところ、接合後の状態
は、これら4枚の分析結果より総合的に判断して、図左
上欄外に示すようになっていた。即ち、左側のSUS層か
ら順にCuろう層、Mo、Crを含むα-Fe層(体心立方晶Fe
層)、Fe7Mo6層(左のSUS中のFe成分が右側に拡散し、T
ZM中のMo成分と結合してろう付け後に新たに形成された
化合物)、TZM層となっていることがわかる。
(モリブデン合金)を配置し、ろう材として従来の銅ろ
うを中間に挟んでろう付けしたところ、接合後の状態
は、これら4枚の分析結果より総合的に判断して、図左
上欄外に示すようになっていた。即ち、左側のSUS層か
ら順にCuろう層、Mo、Crを含むα-Fe層(体心立方晶Fe
層)、Fe7Mo6層(左のSUS中のFe成分が右側に拡散し、T
ZM中のMo成分と結合してろう付け後に新たに形成された
化合物)、TZM層となっていることがわかる。
【0011】そして、このように従来の手法によりろう
付けされたものは、Cuろうでろう付けされた部分の強度
が低いためこの位置で破断されるというのが通説であっ
たが、本願発明者らが従来法によりろう付けされたサン
プルの故意の破断実験を試みてその破断面を詳細に調べ
たところ、その破断面にはFe7Mo6層が露出していること
が判った。即ち、CuろうによるSUSとTZMとの接合におけ
る破断部位は、Cuろう層ではなく、SUS中のFe成分とTZM
中のMo成分とが結合してろう付け後に新たに形成される
化合物Fe7Mo6層であり、このFe7Mo6層が強度的に脆弱で
あるがためにろう付け強度が上がらない原因となってい
たことを突き止めた。
付けされたものは、Cuろうでろう付けされた部分の強度
が低いためこの位置で破断されるというのが通説であっ
たが、本願発明者らが従来法によりろう付けされたサン
プルの故意の破断実験を試みてその破断面を詳細に調べ
たところ、その破断面にはFe7Mo6層が露出していること
が判った。即ち、CuろうによるSUSとTZMとの接合におけ
る破断部位は、Cuろう層ではなく、SUS中のFe成分とTZM
中のMo成分とが結合してろう付け後に新たに形成される
化合物Fe7Mo6層であり、このFe7Mo6層が強度的に脆弱で
あるがためにろう付け強度が上がらない原因となってい
たことを突き止めた。
【0012】そこで、本願発明者らは、上述した新規の
知見をもとに、高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料
との強固なろう付け方法を発明した。即ち、母材である
ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点
金属側へ拡散して高融点金属の主成分と化学的に結合し
て脆弱な化合物層が形成されることを防止する方法を実
現した。そのための手段として、ろう材であるCu中に0.
5〜2.0wt%のB(ホウ素)を添加し、ろう材中のBと高融
点金属の主成分とを積極的に化学結合させてバリア層を
形成させ、ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成
分が高融点金属側へ拡散し、脆弱な化合物層を形成する
ことを阻止するようにした。
知見をもとに、高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料
との強固なろう付け方法を発明した。即ち、母材である
ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点
金属側へ拡散して高融点金属の主成分と化学的に結合し
て脆弱な化合物層が形成されることを防止する方法を実
現した。そのための手段として、ろう材であるCu中に0.
5〜2.0wt%のB(ホウ素)を添加し、ろう材中のBと高融
点金属の主成分とを積極的に化学結合させてバリア層を
形成させ、ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成
分が高融点金属側へ拡散し、脆弱な化合物層を形成する
ことを阻止するようにした。
【0013】この新規のろう付け方法の効果を確認する
ため、前述した従来のろう付け実験と同様のサンプルを
作成し、同様に故意の破断実験を試みた。サンプルに
は、高融点金属としてモリブデン合金TZMを、ステンレ
ス鋼にSUS403を用いた。形状はいずれも直径15mm、長さ
15mmの円柱で、ろう付けする面は予め3μmのアルミナ
砥粒でバフ研磨を行った。ろう材には厚さ100μmのCu-
1.8wt%Bを用い、これをSUS403とTZMとの間に挟み、1×
10 -8Torrの真空雰囲気中で図1に示す温度パターンによ
りろう付け処理を行った。なお、図1において1090℃ま
で昇温しているのはCuの融点が1080℃であることに由来
している。
ため、前述した従来のろう付け実験と同様のサンプルを
作成し、同様に故意の破断実験を試みた。サンプルに
は、高融点金属としてモリブデン合金TZMを、ステンレ
ス鋼にSUS403を用いた。形状はいずれも直径15mm、長さ
15mmの円柱で、ろう付けする面は予め3μmのアルミナ
砥粒でバフ研磨を行った。ろう材には厚さ100μmのCu-
1.8wt%Bを用い、これをSUS403とTZMとの間に挟み、1×
10 -8Torrの真空雰囲気中で図1に示す温度パターンによ
りろう付け処理を行った。なお、図1において1090℃ま
で昇温しているのはCuの融点が1080℃であることに由来
している。
【0014】このようにして作成されたろう付けサンプ
ルをマイクロカッターにより切断し、切断面を同様に電
子顕微鏡EPMAにより観察したものを図3に示す。これは
図2と同様にEPMAによりFe、Cr、Cu、Moの各成分につい
て観察したものであり、左上がFe成分、右上がCr成分、
左下がCu成分、下中央がMo成分、右下がB成分の分布を
表しており、図右の色別レベル尺に示すように、色が白
く表現されている場所程その元素の存在比率は高い。ま
た、図はいずれも左側にSUS、右側にTZMが配置され、そ
の間にろう材Cu-Bを挟んだ状態でろう付けしたものの様
子を表している。
ルをマイクロカッターにより切断し、切断面を同様に電
子顕微鏡EPMAにより観察したものを図3に示す。これは
図2と同様にEPMAによりFe、Cr、Cu、Moの各成分につい
て観察したものであり、左上がFe成分、右上がCr成分、
左下がCu成分、下中央がMo成分、右下がB成分の分布を
表しており、図右の色別レベル尺に示すように、色が白
く表現されている場所程その元素の存在比率は高い。ま
た、図はいずれも左側にSUS、右側にTZMが配置され、そ
の間にろう材Cu-Bを挟んだ状態でろう付けしたものの様
子を表している。
【0015】図3が示すように、本発明のろう付け方法
によれば、ろう材中のBがモリブデン合金TZM中のMoと化
合しMo-Bの化合物層(バリア層)を形成していることが
わかる(Mo成分とB成分のみが両方高い存在比率を示し
ている)。そして、図3の上半分に示したFe成分とCr成
分がTZM側(図右側)に拡散することを防止している。
これは図2に示した従来法においてFe成分とCr成分とがT
ZM側(図右側)に大きく拡散していることと比較して明
らかな差異である。本法の図3によれば、SUS中のFe成分
やCr成分はMo-Bのバリア層により確実にTZM層とは隔離
され、脆弱なFe7Mo6層が形成されていない。即ち、強固
なろう付けが実現されている。接合強度を測定するた
め、ろう付けしたサンプルを5×1×30mmの短冊状に切断
・研磨し、引張り試験を行った。結果は55kgf/mm2であ
り、従来法の20Kgf/mm2と比較して大変強固な接合とな
ったことが確認された。
によれば、ろう材中のBがモリブデン合金TZM中のMoと化
合しMo-Bの化合物層(バリア層)を形成していることが
わかる(Mo成分とB成分のみが両方高い存在比率を示し
ている)。そして、図3の上半分に示したFe成分とCr成
分がTZM側(図右側)に拡散することを防止している。
これは図2に示した従来法においてFe成分とCr成分とがT
ZM側(図右側)に大きく拡散していることと比較して明
らかな差異である。本法の図3によれば、SUS中のFe成分
やCr成分はMo-Bのバリア層により確実にTZM層とは隔離
され、脆弱なFe7Mo6層が形成されていない。即ち、強固
なろう付けが実現されている。接合強度を測定するた
め、ろう付けしたサンプルを5×1×30mmの短冊状に切断
・研磨し、引張り試験を行った。結果は55kgf/mm2であ
り、従来法の20Kgf/mm2と比較して大変強固な接合とな
ったことが確認された。
【0016】ところで、本ろう付け法で使用するろう材
は、Cu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ素)を添加したもので
あるが、この数値限定の根拠について説明する。上述し
たサンプル作成法を用いて、Bの添加量を考察するため
の実験を別途行っており、その結果を図4に示す。ろう
材Cu中に占めるBの重量比率(wt%)が0.5wt%を下回る
とMo-Bバリア層が形成されずBの効果が現われない。一
方、2wt%を越えると形成されるMo-Bバリア層の厚みが
厚くなりすぎて接合強度の低下が始まってしまう。従っ
て、ろう材中におけるBの好ましい存在比率は0.5〜2.0w
t%と特定される。
は、Cu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ素)を添加したもので
あるが、この数値限定の根拠について説明する。上述し
たサンプル作成法を用いて、Bの添加量を考察するため
の実験を別途行っており、その結果を図4に示す。ろう
材Cu中に占めるBの重量比率(wt%)が0.5wt%を下回る
とMo-Bバリア層が形成されずBの効果が現われない。一
方、2wt%を越えると形成されるMo-Bバリア層の厚みが
厚くなりすぎて接合強度の低下が始まってしまう。従っ
て、ろう材中におけるBの好ましい存在比率は0.5〜2.0w
t%と特定される。
【0017】また、ろう付け温度を下げるための公知の
技術であるろう材中の第3元素の存在効果についても確
認した。Cu-0.5wt%Bの2元系ろう材に第3の元素としてAg
を1wt%添加したところ、Agを添加しない場合のろう付け
温度は1090℃であるのに対し、Agを添加した場合は1050
℃でろう付けすることが可能となった。同様の効果はAg
の他、Ni、Sn、Pdでも確認された。
技術であるろう材中の第3元素の存在効果についても確
認した。Cu-0.5wt%Bの2元系ろう材に第3の元素としてAg
を1wt%添加したところ、Agを添加しない場合のろう付け
温度は1090℃であるのに対し、Agを添加した場合は1050
℃でろう付けすることが可能となった。同様の効果はAg
の他、Ni、Sn、Pdでも確認された。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る高融
点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法に
おいては、従来のろう付け手法の強度が上がらない原因
が例えばFe7Mo6等の母材成分による化合物層であるとい
う新規の知見により、ろう材であるCu中に0.5〜2.0wt%
のB(ホウ素)を添加し、ろう材中のBと高融点金属の主
成分とを積極的に化学結合させてバリア層を形成させ、
ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点
金属側へ拡散してこれらが脆弱な化合物層を形成するこ
とを阻止することが可能となり、強固なろう付けを実現
することができた。また、高融点金属とステンレス鋼又
は鉄鋼材料という汎用材料における強固なろう付けが実
現可能となったことにより、様々な利用分野における加
工可能性が拡大され、これらの材料を更に有用なものと
することができた。
点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法に
おいては、従来のろう付け手法の強度が上がらない原因
が例えばFe7Mo6等の母材成分による化合物層であるとい
う新規の知見により、ろう材であるCu中に0.5〜2.0wt%
のB(ホウ素)を添加し、ろう材中のBと高融点金属の主
成分とを積極的に化学結合させてバリア層を形成させ、
ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点
金属側へ拡散してこれらが脆弱な化合物層を形成するこ
とを阻止することが可能となり、強固なろう付けを実現
することができた。また、高融点金属とステンレス鋼又
は鉄鋼材料という汎用材料における強固なろう付けが実
現可能となったことにより、様々な利用分野における加
工可能性が拡大され、これらの材料を更に有用なものと
することができた。
【図1】ろう付けの温度パターンを示す図である。
【図2】従来のろう付け方法による接合結果を示すEPMA
による観察結果である。
による観察結果である。
【図3】本発明のろう付け方法による接合結果を示すEPM
Aによる観察結果である。
Aによる観察結果である。
【図4】ろう材におけるBの存在比率と引張り強度との関
係を示す実験結果である。
係を示す実験結果である。
Claims (1)
- 【請求項1】高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料と
のろう付け方法であって、Cu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ
素)を存在させたろう材を用い、ろう材中のBと高融点
金属の主成分とを化学結合させてバリア層を形成させる
ことを特徴とする高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材
料とのろう付け方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11055660A JP2000246484A (ja) | 1999-03-03 | 1999-03-03 | 高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11055660A JP2000246484A (ja) | 1999-03-03 | 1999-03-03 | 高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000246484A true JP2000246484A (ja) | 2000-09-12 |
Family
ID=13005011
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11055660A Pending JP2000246484A (ja) | 1999-03-03 | 1999-03-03 | 高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000246484A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005509525A (ja) * | 2001-11-22 | 2005-04-14 | レール・リキード−ソシエテ・アノニム・ア・ディレクトワール・エ・コンセイユ・ドゥ・スールベイランス・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード | ろう付けされた銅製熱交換機、および溶接によるその製造方法 |
KR101277287B1 (ko) * | 2010-03-12 | 2013-06-20 | 연세대학교 산학협력단 | 가스포집모듈 및 그 제조 방법 |
CN112975101A (zh) * | 2019-12-13 | 2021-06-18 | 安泰天龙钨钼科技有限公司 | 一种钼铼合金扩散焊接钢材的方法 |
-
1999
- 1999-03-03 JP JP11055660A patent/JP2000246484A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005509525A (ja) * | 2001-11-22 | 2005-04-14 | レール・リキード−ソシエテ・アノニム・ア・ディレクトワール・エ・コンセイユ・ドゥ・スールベイランス・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード | ろう付けされた銅製熱交換機、および溶接によるその製造方法 |
JP4680502B2 (ja) * | 2001-11-22 | 2011-05-11 | レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード | ろう付けされた銅製熱交換機、および溶接によるその製造方法 |
KR101277287B1 (ko) * | 2010-03-12 | 2013-06-20 | 연세대학교 산학협력단 | 가스포집모듈 및 그 제조 방법 |
CN112975101A (zh) * | 2019-12-13 | 2021-06-18 | 安泰天龙钨钼科技有限公司 | 一种钼铼合金扩散焊接钢材的方法 |
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