JP2000246484A - 高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法 - Google Patents

高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法

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JP2000246484A
JP2000246484A JP11055660A JP5566099A JP2000246484A JP 2000246484 A JP2000246484 A JP 2000246484A JP 11055660 A JP11055660 A JP 11055660A JP 5566099 A JP5566099 A JP 5566099A JP 2000246484 A JP2000246484 A JP 2000246484A
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brazing
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high melting
steel
stainless steel
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Katsuaki Suganuma
克昭 菅沼
Katsuhiko Kada
勝彦 加田
Hideki Sato
秀樹 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料との強
固なろう付け方法を実現する。 【解決手段】ろう材であるCu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ
素)を添加する。ろう材中のBを高融点金属の主成分と
を積極的に化学結合させてバリア層を形成させ、ステン
レス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点金属側
へ拡散することを防止し、これらが脆弱な化合物層を形
成することを阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高融点金属とステ
ンレス鋼又は鉄鋼材料との強固なろう付け方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】同種または異種の金属を接合するいわゆ
る溶接の中でもろう接(ろう付け)方式は母材に変化を
与えない、操作が容易である、応用範囲が広い等の理由
で多用されている。ろう付けは接合母材の間に金属(ろ
う材)を介在させ、その流れ及びぬれの性質を利用して
母材を溶融させることなく接合する技術である。加熱に
よりろう材のみが溶融し、母材の接合面の隙間に毛管現
象により充填される。従って母材の性質、ろう材の組
成、接合面形状、溶融加熱条件などが接合の良否を左右
することになる。そのため、作業雰囲気を真空や還元性
雰囲気に調整したり、フラックス等を用いて接合部の酸
化を防止したり、接合母材毎に最適なろう材を選択した
りすることが接合強度を大きく左右し、換言すれば接合
の良否を決定付けるのであり、ろう付けに関与する技術
者は皆、これら最適な接合条件の発見に心血を注いでい
るところである。
【0003】本願では、高融点金属、即ち、融点が2000
℃以上の金属で、例えばMo、W、Ta、Nb、V、Re、Ir、R
h、Ru、Os、Tc等の高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼
材料との接合を対象としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、高融点金属と
ステンレス鋼又は鉄鋼材料との接合にもろう付けの手法
が採用されているが、ろう材として、例えば99.9Cu等の
銅ろう、Ag-5Pd等の銀ろう、Cu-20Sn等の青銅ろうが用
いられている。しかし、Ag-5Pd等の銀ろう、Cu-20Sn等
の青銅ろうを例えばモリブデン合金とステンレス鋼との
接合に用いた場合には十分な接合強度を得ることができ
ず、具体的には20Kgf/mm2前後のものであった。また、
同じ母材を純銅ろうにより接合した場合には、他のろう
材よりは強度は出るものの、用途によってはまだ十分な
水準には達していなかった。
【0005】このような従来技術の課題を鑑みて、本発
明は、高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう
付け接合において、新しい知見に基づいた新規の手法に
より、強固な接合を実現する方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材
料とのろう付け方法では、Cu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ
素)を存在させたろう材を用い、ろう材中のBと高融点
金属の主成分とを化学結合させてバリア層を形成させる
ことを特徴としている。
【0007】該バリア層が新規に形成されることによ
り、高融点金属の主成分とステンレス鋼又は鉄鋼材料中
の成分とが拡散混合することを防止し、即ちこれらの成
分が脆い化合物層を形成することが阻止され、結果とし
て接合部位の強度を良好なものとすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高融点金属と
ステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法を、モリブ
デン合金とステンレス鋼との接合を一例に用いて説明す
る。
【0009】本願発明者らはまず、従来の純銅ろうによ
る接合を行い、故意の破断実験を試みた。サンプルに
は、高融点金属としてモリブデン合金TZMを、ステンレ
ス鋼にSUS403を用いた。純銅ろうでろう付けしたサンプ
ルをマイクロカッターにより切断し、切断面を電子顕微
鏡EPMAによりFe、Cr、Cu、Moの各成分について観察し
た。このときの分析結果を図2に示す。左上がFe成分、
右上がCr成分、左下がCu成分、右下がMo成分の分布を表
したもので、図右の色別レベル尺に示すように、色が白
く表現されている場所程その元素の存在比率は高い。
【0010】左側にSUS(ステンレス鋼)、右側にTZM
(モリブデン合金)を配置し、ろう材として従来の銅ろ
うを中間に挟んでろう付けしたところ、接合後の状態
は、これら4枚の分析結果より総合的に判断して、図左
上欄外に示すようになっていた。即ち、左側のSUS層か
ら順にCuろう層、Mo、Crを含むα-Fe層(体心立方晶Fe
層)、Fe7Mo6層(左のSUS中のFe成分が右側に拡散し、T
ZM中のMo成分と結合してろう付け後に新たに形成された
化合物)、TZM層となっていることがわかる。
【0011】そして、このように従来の手法によりろう
付けされたものは、Cuろうでろう付けされた部分の強度
が低いためこの位置で破断されるというのが通説であっ
たが、本願発明者らが従来法によりろう付けされたサン
プルの故意の破断実験を試みてその破断面を詳細に調べ
たところ、その破断面にはFe7Mo6層が露出していること
が判った。即ち、CuろうによるSUSとTZMとの接合におけ
る破断部位は、Cuろう層ではなく、SUS中のFe成分とTZM
中のMo成分とが結合してろう付け後に新たに形成される
化合物Fe7Mo6層であり、このFe7Mo6層が強度的に脆弱で
あるがためにろう付け強度が上がらない原因となってい
たことを突き止めた。
【0012】そこで、本願発明者らは、上述した新規の
知見をもとに、高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料
との強固なろう付け方法を発明した。即ち、母材である
ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点
金属側へ拡散して高融点金属の主成分と化学的に結合し
て脆弱な化合物層が形成されることを防止する方法を実
現した。そのための手段として、ろう材であるCu中に0.
5〜2.0wt%のB(ホウ素)を添加し、ろう材中のBと高融
点金属の主成分とを積極的に化学結合させてバリア層を
形成させ、ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成
分が高融点金属側へ拡散し、脆弱な化合物層を形成する
ことを阻止するようにした。
【0013】この新規のろう付け方法の効果を確認する
ため、前述した従来のろう付け実験と同様のサンプルを
作成し、同様に故意の破断実験を試みた。サンプルに
は、高融点金属としてモリブデン合金TZMを、ステンレ
ス鋼にSUS403を用いた。形状はいずれも直径15mm、長さ
15mmの円柱で、ろう付けする面は予め3μmのアルミナ
砥粒でバフ研磨を行った。ろう材には厚さ100μmのCu-
1.8wt%Bを用い、これをSUS403とTZMとの間に挟み、1×
10 -8Torrの真空雰囲気中で図1に示す温度パターンによ
りろう付け処理を行った。なお、図1において1090℃ま
で昇温しているのはCuの融点が1080℃であることに由来
している。
【0014】このようにして作成されたろう付けサンプ
ルをマイクロカッターにより切断し、切断面を同様に電
子顕微鏡EPMAにより観察したものを図3に示す。これは
図2と同様にEPMAによりFe、Cr、Cu、Moの各成分につい
て観察したものであり、左上がFe成分、右上がCr成分、
左下がCu成分、下中央がMo成分、右下がB成分の分布を
表しており、図右の色別レベル尺に示すように、色が白
く表現されている場所程その元素の存在比率は高い。ま
た、図はいずれも左側にSUS、右側にTZMが配置され、そ
の間にろう材Cu-Bを挟んだ状態でろう付けしたものの様
子を表している。
【0015】図3が示すように、本発明のろう付け方法
によれば、ろう材中のBがモリブデン合金TZM中のMoと化
合しMo-Bの化合物層(バリア層)を形成していることが
わかる(Mo成分とB成分のみが両方高い存在比率を示し
ている)。そして、図3の上半分に示したFe成分とCr成
分がTZM側(図右側)に拡散することを防止している。
これは図2に示した従来法においてFe成分とCr成分とがT
ZM側(図右側)に大きく拡散していることと比較して明
らかな差異である。本法の図3によれば、SUS中のFe成分
やCr成分はMo-Bのバリア層により確実にTZM層とは隔離
され、脆弱なFe7Mo6層が形成されていない。即ち、強固
なろう付けが実現されている。接合強度を測定するた
め、ろう付けしたサンプルを5×1×30mmの短冊状に切断
・研磨し、引張り試験を行った。結果は55kgf/mm2であ
り、従来法の20Kgf/mm2と比較して大変強固な接合とな
ったことが確認された。
【0016】ところで、本ろう付け法で使用するろう材
は、Cu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ素)を添加したもので
あるが、この数値限定の根拠について説明する。上述し
たサンプル作成法を用いて、Bの添加量を考察するため
の実験を別途行っており、その結果を図4に示す。ろう
材Cu中に占めるBの重量比率(wt%)が0.5wt%を下回る
とMo-Bバリア層が形成されずBの効果が現われない。一
方、2wt%を越えると形成されるMo-Bバリア層の厚みが
厚くなりすぎて接合強度の低下が始まってしまう。従っ
て、ろう材中におけるBの好ましい存在比率は0.5〜2.0w
t%と特定される。
【0017】また、ろう付け温度を下げるための公知の
技術であるろう材中の第3元素の存在効果についても確
認した。Cu-0.5wt%Bの2元系ろう材に第3の元素としてAg
を1wt%添加したところ、Agを添加しない場合のろう付け
温度は1090℃であるのに対し、Agを添加した場合は1050
℃でろう付けすることが可能となった。同様の効果はAg
の他、Ni、Sn、Pdでも確認された。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る高融
点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法に
おいては、従来のろう付け手法の強度が上がらない原因
が例えばFe7Mo6等の母材成分による化合物層であるとい
う新規の知見により、ろう材であるCu中に0.5〜2.0wt%
のB(ホウ素)を添加し、ろう材中のBと高融点金属の主
成分とを積極的に化学結合させてバリア層を形成させ、
ステンレス鋼又は鉄鋼材料中のFe、Cr等の成分が高融点
金属側へ拡散してこれらが脆弱な化合物層を形成するこ
とを阻止することが可能となり、強固なろう付けを実現
することができた。また、高融点金属とステンレス鋼又
は鉄鋼材料という汎用材料における強固なろう付けが実
現可能となったことにより、様々な利用分野における加
工可能性が拡大され、これらの材料を更に有用なものと
することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ろう付けの温度パターンを示す図である。
【図2】従来のろう付け方法による接合結果を示すEPMA
による観察結果である。
【図3】本発明のろう付け方法による接合結果を示すEPM
Aによる観察結果である。
【図4】ろう材におけるBの存在比率と引張り強度との関
係を示す実験結果である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料と
    のろう付け方法であって、Cu中に0.5〜2.0wt%のB(ホウ
    素)を存在させたろう材を用い、ろう材中のBと高融点
    金属の主成分とを化学結合させてバリア層を形成させる
    ことを特徴とする高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材
    料とのろう付け方法。
JP11055660A 1999-03-03 1999-03-03 高融点金属とステンレス鋼又は鉄鋼材料とのろう付け方法 Pending JP2000246484A (ja)

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