JP3803767B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールを筆記媒体とするボールペンチップを有する筆記具に関し、特に、チップのボール抱持力の維持向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールを筆記媒体とするボールペンまたは塗布具は、インキ収容筒に収容されたインキが重力と毛細管力によりチップ側に移動し、そのチップに抱持されたボールの表面にインキが供給されて付着し、ボールの回転につれてインキが紙面に転写吸収されることによって筆記または塗布がなされるようになっている。
【0003】
この筆記または塗布は、ボールペンまたは塗布具の本体軸筒部分を紙面に対してやや傾けた状態で把持し、チップの先端部のボールを紙面に押圧接触せしめて行うが、この時、回転するボールとともに、チップの先端部にボールを抱持するために形成した全周かしめ部の最先端小口部分や、小口部分に連続するかしめの部分も紙面に接触せしめられる。
【0004】
従来、ボールペンまたは塗布具のチップは、前記全周かしめ部を形成した際、その最先端小口部分と、最先端小口部分に連続するかしめの部分にはエッジが形成されているのが一般的である。この従来のチップは、筆記または塗布の状態で紙面に当接せしめれば、前記エッジが紙面に接触して引っかきを生じ、その結果、引っかきにより紙面が削られ、削られた紙繊維や紙かすがボールの回転につれて前記最先端小口部分よりチップの内縁に巻き込まれてしまうことがあった。
【0005】
前記のような紙繊維や紙かすのチップ内縁への巻き込みは、筆記かすれや筆記切れなどの筆記不具合を生じせしめるので、特開平9−122566号公報に示されているように、前記エッジをバレル加工によって丸め処理し、紙面の引っかきを低減する方法も試みられたが、処理後のチップの先端部の寸法が一定しないこと、また、最先端小口部部分の肉厚・幅寸法が小さく仕上がってしまった場合などは、紙面との繰り返し接触によりその最先端小口部分が摩耗してしまい、ボールを抱持できない状態(ボール飛び)が発生するなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、筆記の際の紙繊維や紙かすの巻き込み発生を回避することにより筆記かすれや筆記切れなどの筆記不具合を防止する好適な筆記具を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ボールを有しボールを抱持するための全周かしめ部を先端に形成したボールペンチップを軸体先端部より露出させてなる筆記具において、前記ボールと前記軸体先端部の肩部分との外接線よりも少なくとも内側に前記全周かしめ部の最先端小口が位置するよう、前記軸体先端部の全周を膨出形状にしたことを要旨とする。
【0008】
【実施例】
本発明を添付の図面に従って説明する。図1は先軸1と中軸2と尾軸3を外装軸体として設けるとともに先軸1の先端部よりボールペンチップ4の先端を露出させた筆記具の、キャップ(図示しない)を外した状態の外観を示したものであり、また、図2は図1の筆記具を、先軸1のみ半断面図として内部の機構を現したものである。
【0009】
前記先軸1の内方の先端側には、内蔵される筆記具リフィール5の先端部6を支持する複数のリブ7が配置されている。また、前記先軸1の後端側の内方には係合凹凸部8が形成され、中軸2の先軸側小径部9には全周リブ10が配置されている。そして、前記係合凹凸部8が全周リブ10を乗り越えて先軸1が中軸2に圧入装着され、中軸2に対して強く係合し、中軸2より先軸1が容易には外れないようになっている。
【0010】
ここで、前記先軸1の外径寸法は6mm以上の寸法になっているが、先軸1の先端部の肩部分1aはRを有する滑らかな膨出形状(曲面)に形成されている。そして、前記ボールペンチップ4の、先軸1の前端面よりの突出量は3mm以下の寸法になっている。つまり、前記ボールペンチップ4の先軸1よりの突出量は、先軸1の外径寸法の2分の1以下の突出量に制限して設定されているのである。
【0011】
前記リブ7はリフィール5の先端部6を支持しているが、このリブ7の後端に前記リフィール5のパイプ部前端が当接することによってボールペンチップ4の先軸1前端面よりの突出寸法が決められている。尚、リフィル5は、中軸2の後方に配置された尾軸3の内方突部(図示しない)でその後端を支えられている。一般に、ボールペンに使用されているリフィールのパイプ部は押し出し成形による成型品が使用されることが多いが、長手寸法がばらついても、前記リブ7の後端にパイプ部前端を当接させることでボールペンチップ4の突出寸法を狙いの値に定めることができるのである。
【0012】
当該筆記具の外装軸体の材質としては、ハイインパクトスチロール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、耐衝撃性アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどや、それらのリサイクル材が用いられる。例え、筆記具が破断したとしても、破断面が鋭利になることがない。尚、前記先軸1は透明材で形成されても良い。また、中軸2に一体に成形されてもよい。
【0013】
筆記具の先端部を拡大した図3に基づいて説明する。ボールペンチップ4は、ボール4aを有し、先端にはこのボール4aを抱持するための全周かしめ部4bが形成されている。そして、全周かしめ部4bの最先端はインキを吐出するとともに筆記持時の余分なインキをチップ内に取り込む最先端小口部分4cになっている。尚、前記全周かしめ部4bの最先端小口部分4cは前記ボール4aと前記先軸1先端部の肩部分1aとの外接線11よりも少なくとも内側に位置するようになっている。
【0014】
作用を説明する。軸体を紙面Pに対してやや傾けた状態で把持し、ボールペンチップ4の先端のボール4aを紙面Pに押圧接触せしめて筆記を行う。この時、回転するボール4aとともに、チップに形成した全周かしめ部4bの最先端小口部分4cも紙面に近接するが、前記ボール4aと前記先軸1先端部の肩部分1aとの外接線11よりも少なくとも内側に前記全周かしめ部4bの最先端小口部分4cが位置しているので、例え先軸1先端部の肩部分1aが紙面Pに接触したとしても前記最先端小口部分4cが直接紙面に触れることがない。
【0015】
図4に第2例を示し説明する。前記例と同じ部分については説明を省略する。本例は、先軸12の先端にチップホルダー13を配置し、チップホルダー13の先端部を膨出形状にしたものである。ボールペンチップ14は、ボール14aを有し、全周かしめ部14bの最先端小口部分14cは前記ボール14aと前記チップホルダー13先端部の肩部分13aとの外接線15よりも少なくとも内側に位置するようになっている。
【0016】
第2例の筆記具は筆記の際、ボールペンチップ14の先端部分が見易いと言う利点がある。
【0017】
この他にも種々なせる。先軸の外径寸法やボールペンチップの先軸よりの突出量は、もちろん例示した寸法以外の寸法を選択することができるし、また、先軸またはチップホルダーの先端部の肩部分については、Rを有する滑らかな膨出形状(曲面)に形成されているものを説明したが、膨出形状は先端部の全周に形成されている。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、ボールを有しボールを抱持するための全周かしめ部を先端に形成したボールペンチップを軸体先端部より露出させてなる筆記具において、前記ボールと前記軸体先端部の肩部分との外接線よりも少なくとも内側に前記全周かしめ部の最先端小口が位置するよう、前記軸体先端部の全周を膨出形状にしたので、筆記の際の紙繊維や紙かすの巻き込み発生を回避することができ、筆記かすれや筆記切れなどの筆記不具合を発生することのない好適な筆記具を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の筆記具の外観を示す図。
【図2】 図1の筆記具の先軸のみ半断面図として内部の機構を現した図。
【図3】 作用を説明する図。
【図4】 第2例を説明する図。
【符号の説明】
1 先軸
1a 肩部分
2 中軸
3 尾軸
4 ボールペンチップ
4a ボール
4b 全周かしめ部
4c 最先端小口部分
5 リフィール
6 先端部
7 リブ
8 係合凹凸部
9 小径部
10 全周リブ
11 外接線
12 先軸
13 チップホルダー
13a 肩部分
14 ボールペンチップ
14a ボール
14b 全周かしめ部
14c 最先端小口部分
15 外接線
P 紙面

Claims (1)

  1. ボールを有しボールを抱持するための全周かしめ部を先端に形成したボールペンチップを軸体先端部より露出させてなる筆記具において、前記ボールと前記軸体先端部の肩部分との外接線よりも少なくとも内側に前記全周かしめ部の最先端小口が位置するよう、前記軸体先端部の全周を膨出形状にしたことを特徴とする筆記具。
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