JP3803489B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてモータの過熱保護を行う場合に好適なモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータは長期の使用や過負荷などの各種要因により過熱する場合がある。この過熱によってモータが焼損する等の不都合があるため、モータの過熱保護を行う必要がある。
【0003】
従来では、上記過熱保護のために、モータの発熱状態を直接的に或いは間接的に検出し、その検出温度がモータ毎に定められている許容温度(モータの焼損を回避するために設定されている限界温度)を越えた場合にはモータを停止させるとともに、警報を発するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにモータの検出温度が許容温度以上となったときにモータを停止させるものでは、そのモータを用いた作業現場においては作業停止という事態が発生し、円滑な作業の流れを乱してしまう不都合がある。
【0005】
特に、モータを所定のサイクルタイムで間欠駆動しながらモータ周囲の装置と協動してワークに加工を施す製造現場では、ワークの製作不良やそれに伴う不良品廃棄という生産効率上の無駄が生じるおそれがある。
【0006】
又、警報が発せられた時点では既にモータが停止しているため、その後に作業者がモータの過熱の要因を検討することになってしまい、モータ停止時間が必要以上に長くなって、更なる作業効率、生産効率の低下を招く。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、特にモータを所定のサイクルタイムで間欠駆動させる場合において、モータの破損を確実に防止しつつモータの運転が即座に停止してしまう不都合を回避し得るモータ制御装置を得ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明では、モータを予め定めた標準サイクルタイムで間欠駆動させるモータ制御装置において、モータの発熱温度を検出する温度検出手段と、その温度検出手段により検出された検出温度が第1基準温度を越えたとき、モータのサイクルタイムを標準サイクルタイムよりも長い設定サイクルタイムに切換える第1の制御手段と、前記温度検出手段により検出された検出温度が第1基準温度よりも高いモータ許容温度である第2基準温度を越えたとき、モータを停止させる第2の制御手段と、モータが第1の制御手段によって設定サイクルタイムで駆動されている場合に、前記温度検出手段により検出された検出温度が第1基準温度よりも低く設定した第3基準温度を下回ったとき、モータのサイクルタイムを標準サイクルタイムに戻す第3の制御手段とを備え、前記温度検出手段により検出された検出温度が前記第1基準温度を越えたとき、外部にそれを知らせるべく警報出力を行うとともに、前記温度検出手段により検出された検出温度が前記第3基準温度よりも小さくなったとき、警報出力を停止する警報手段を備えた。
【0009】
この手段により、モータは通常時は予め定めた標準サイクルタイムで間欠駆動され、その間、温度検出手段によりモータの発熱温度が検出され続ける。そして、検出された温度が、モータ許容温度である第2基準温度よりも低い第1基準温度を越えると、第1の制御手段によりサイクルタイムを標準サイクルタイムよりも長い設定サイクルタイムに切換えられる。なお、サイクルタイムを長くするには、例えば間欠駆動の各サイクル間の停止時間を長くしたり、モータの回転速度を遅くすればよい。ここで、設定サイクルタイムとしてもなおモータの発熱温度が上昇し、第2基準温度を越えた場合には、第2の制御手段によりモータが停止される。一方、設定サイクルタイムとしたことでモータの発熱温度が低下し、第3基準温度を下回った場合には、第3の制御手段によりモータのサイクルタイムが設定サイクルタイムから標準サイクルタイムに戻される。
【0010】
モータの長期の使用などで一時的に発熱温度が上昇することはよくみられるが、この場合、第1の制御手段を備えていることで即座にモータが停止されることがないため、モータを用いた作業現場において即座に作業停止してしまうことを防止することができ、円滑な作業の流れを確保することができる。
【0011】
又、モータの発熱が一時的な要因ではなく、そのままモータを駆動しつづけると同モータが破損してしまうような事態を招きそうな場合には、第2の制御手段を備えていることで、モータの破損を回避することができる。従って、作業者はこのモータ停止時にモータの異常な発熱の要因を取り除くことができる。
【0012】
更に、第1の制御手段にて長い設定サイクルタイムでモータを駆動しつづけることは作業効率上好ましくないが、第3の制御手段を備えていることで、モータの過熱状態が解消した場合には標準サイクルタイムに戻してモータを駆動させることができる。従って、モータ保護と作業効率の両立を図ることができる。
【0013】
又、モータのサイクルタイムを通常時の標準サイクルタイムに戻す条件である第3基準温度を第1基準温度よりも低く設定したため、モータの発熱温度が第1基準温度前後にある場合においてサイクルタイムが短い周期で長くなったり短くなったりする不都合も解消できる。
【0015】
また、警報手段により、通常時よりもサイクルタイムを長くして運転していることが作業者に報知され、モータが停止される前に、発熱の原因を探る等の対処を行うことができる。その結果、全体としての作業効率の低下を防ぐことができる。
【0017】
さらに、警報手段により、通常時のサイクルタイムでの運転に復帰したことを作業者が理解できる。
請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明の手段に加え、各基準温度のうち少なくとも第1基準温度と第3基準温度とを調節設定可能な基準温度設定手段を備えた。
【0018】
この手段により、モータの使用環境や作業現場の状況に応じて、サイクルタイムを長くしたり戻したりする温度を調節することができる。
請求項3に係る発明では、請求項1に係る発明の手段に加え、設定サイクルタイムを調節設定可能なサイクルタイム設定手段を備えた。
【0019】
この手段により、設定サイクルタイムを長くなる方向へ調節すればモータの過熱状態を即座に解消することができ、設定サイクルタイムを通常時の標準サイクルタイムよりも短くならない範囲で短くする方向へ調節すれば作業効率の低下を抑えつつモータの過熱状態を解消することができる。従って、請求項5に係る発明では、モータの使用環境等を考慮しつつ最適な設定サイクルタイムを選択することができるという利点がある。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
まず、図1に示したモータ1を駆動制御するためのモータ制御回路を中心としたブロック回路図に基づいて回路構成を説明する。
【0021】
モータ1は本実施の形態では三相誘導モータにより構成されている。モータ1にはレゾルバ2が接続されている。レゾルバ2はモータ1の回転数を検出し回転検出信号であるレゾルバ信号を出力するものであり、回転検出手段としての機能を有する。レゾルバ2にはR/Dコンバータ3が接続されている。R/Dコンバータ3はレゾルバ2からのレゾルバ信号をデジタル信号に変換する変換手段としての機能を有する。R/Dコンバータ3には第1乃至第3の各制御手段を構成するCPU4が接続され、CPU4にはR/Dコンバータ3からの回転検出信号であるデジタル信号が入力される。
【0022】
CPU4には、モータ1を所定の標準サイクルタイムで間欠駆動させるための制御プログラム等を記憶した記憶手段としてのROM5と、各種情報を一時的に記憶する記憶手段としてのRAM6とがそれぞれ接続されている。RAM6には、レゾルバ2からCPU4に入力されたモータ1の回転数が記憶される。
【0023】
CPU4には電流制御回路7が接続され、CPU4から出力される電流指令信号が電流制御回路7に入力される。電流制御回路7の出力側にはインバータ回路8が接続されている。インバータ回路8の出力側に接続された各電流供給線9,10,11にはモータ1が接続されている。U相電流供給線9及びV相電流供給線10には、それぞれ電流センサ12,13が配設されている。U相電流供給線9に対応して配設された電流センサ12はモータ1のU相電流レベルを検出してこれに対応するU相電流信号を信号線14に出力する。又、V相電流供給線10に対応して配設された電流センサ13はモータ1のV相電流レベルを検出してこれに対応するV相電流信号を信号線15に出力する。
【0024】
両信号線14,15は電流制御回路5に接続され、U相電流信号及びV相電流信号を電流制御回路7に出力する。両信号線14,15には分岐信号線16,17がそれぞれ接続され、両分岐信号線16,17はW相電流変換器18の入力側に接続されている。W相電流変換器18はU相電流信号とV相電流信号とからW相電流レベルを換算しW相電流信号を出力する。W相電流変換器18の出力側に接続された信号線19は、電流制御回路7に接続され、W相電流信号を電流制御回路7に出力する。
【0025】
各信号線14,15,19は、更にそれぞれダイオード20を介して共通の加算器21に接続され、各相の電流信号を半波整流した後に加算される。加算器21にはA/Dコンバータ22を介してCPU4に接続され、その加算されて得られた総電流信号に対応するデジタル信号をCPU4に出力する。
【0026】
CPU4は総電流信号に対応するデジタル信号に基づいてモータ1の検出温度Dを演算し、この検出温度DをRAM6に記憶させる。従って、両電流センサ12,13はモータ1の発熱温度を間接的に検出する温度検出手段としての機能を有する。
【0027】
電流制御回路7は、CPU4から出力されるモータ1を所定のサイクルタイムで間欠駆動するための電流指令信号と、実際にモータ1に流れた電流値に係る各信号(U相電流信号、V相電流信号及びW相電流信号)とを入力し、モータ1に実際に流れる電流が電流指令信号に合致するようにインバータ回路6に制御信号を出力する。そして、インバータ回路6は電流制御回路5からの制御信号に応じて各電流供給線7,8,9に供給する電流を調節し、モータ1をCPU4からの電流指令信号に合致するように間欠駆動させる。
【0028】
CPU4には、入出力インターフェイス23を介して、シーケンサ24が接続されている。シーケンサ24はモータ1の間欠駆動と同期して周辺機器を駆動させるものであり、CPU4からシーケンサ24へシーケンサ制御信号が出力される。なお、シーケンサ24からCPU4へは周辺機器の検出信号等が出力される。
【0029】
CPU4には、入出力インターフェイス21を介して、警報器25、起動スイッチ26、第1温度設定スイッチ27、第2温度設定スイッチ28、第3温度設定スイッチ29及びサイクルタイム設定スイッチ30が、それぞれ接続されている。
【0030】
警報器25はCPU4からのアラーム信号に基づいて外部の作業者に所定の状況を伝達するための警報動作を行う一方、CPU4からのアラームリセット信号に基づいて警報動作を停止するものであり、警報手段として機能する。起動スイッチ26は作業者によりオンオフ操作される切換スイッチであり、その切換状態に応じてオン信号又はオフ信号をCPU4に出力する。
【0031】
第1温度設定スイッチ27は作業者により第1基準温度d1を任意に調節するために操作される可変ボリュームであり、その調節状態に応じて第1基準温度d1に係る信号をCPU4に出力する。従って、第1温度設定スイッチ27は温度設定手段として機能する。第1温度設定スイッチ27により設定された第1基準温度d1はRAM6に記憶される。
【0032】
第2温度設定スイッチ28は作業者により第2基準温度d2を任意に調節するために操作される可変ボリュームであり、その調節状態に応じて第2基準温度d2に係る信号をCPU4に出力する。従って、第2温度設定スイッチ28は温度設定手段として機能する。第2温度設定スイッチ28により設定された第2基準温度d2はRAM6に記憶される。
【0033】
第3温度設定スイッチ29は作業者により第3基準温度d3を任意に調節するために操作される可変ボリュームであり、その調節状態に応じて第3基準温度d3に係る信号をCPU4に出力する。従って、第3温度設定スイッチ29は温度設定手段として機能する。第3温度設定スイッチ29により設定された第3基準温度d3はRAM6に記憶される。
【0034】
ここで、第1基準温度d1、第2基準温度d2及び第3基準温度d3について説明すると、第2基準温度d2はモータ1の許容温度であり、検出温度Dが第2基準温度d2を越えるとモータ1が焼損する虞れがあるとされる限界温度である。従って、第2基準温度d2はモータ1の種類や大きさによって予め判るものである。第1基準温度d1は第2基準温度d2よりも低い値に設定されるものであり、モータ1の通常の運転時には検出温度Dが第1基準温度d1を越えないように設定されており、モータ1の長期の使用等の要因によって検出温度Dが第1基準温度d1を一時的に越える可能性のある値となっている。第1基準温度d1はモータ1のサイクルタイムを切換える基準となる。第3基準温度d3は第1基準温度d1よりも更に低い値に設定されるものであり、モータ1の過熱状態が充分に回避されたことを判別するために使用されるものである。
【0035】
サイクルタイム設定スイッチ30は作業者によりモータ1の設定サイクルタイムを任意に調節するために操作される可変ボリュームであり、その調節状態に応じて設定サイクルタイムに係る信号をCPU4に出力する。従って、サイクルタイム設定スイッチ30はサイクルタイム設定手段として機能する。このサイクルタイム設定スイッチ30の調節によって、モータ1の回転速度を通常時よりも遅い所定の値に調節し得るようになっている。サイクルタイム設定スイッチ30により設定された設定サイクルタイムはRAM6に記憶される。そして、CPU4はモータの発熱状態に応じて標準サイクルタイムに応じた電流指令信号と設定サイクルタイムに応じた電流指令信号とのいずれかを選択する。
【0036】
次に、以上のように構成されたモータ制御回路の作用について図2のグラフ図及び図3のフローチャート図に基づいて説明する。なお、各ステップにおいて括弧内に記載した手段は、CPU4が有する機能実現手段である。
【0037】
さて、モータ1を含む作業現場において作業開始されると、ステップ1(モータ1を標準サイクルタイムで駆動させる駆動制御手段として機能するステップ)において、モータ1はCPU4からの電流指令信号に基づいて標準サイクルタイムで間欠駆動される。併せてCPU4からシーケンサ24へのシーケンサ制御信号に基づいて、周辺装置がモータ1に同期して駆動される。
【0038】
そして、ステップ2(検出温度Dと第1基準温度d1との比較手段として機能するステップ)において、検出温度Dと第1基準温度d1とを比較し、検出温度Dが第1基準温度d1を越えない限り、標準サイクルタイムにて通常の作業を行わせる。即ち、図2において時間t1までは標準サイクルタイムで運転されることになる。
【0039】
図2において時間t1では検出温度Dが第1基準温度d1と一致する。従って、時間t1を過ぎたところで、ステップ2において検出温度Dが第1基準温度d1を越えたと判別される。すると、ステップ3(警報器25を動作させるための警報制御手段として機能するステップ)において、CPU4は警報器25にアラーム信号を出力し、警報器25に警報動作を行わせる。その後、ステップ4(モータ1を設定サイクルタイムで駆動させる駆動制御手段として機能するステップ)において、CPU4はモータ1を設定サイクルタイムで間欠駆動させる。併せてCPU4からシーケンサ24へのシーケンサ制御信号に基づいて、周辺装置がモータ1に同期して駆動される。
【0040】
その後、ステップ5(検出温度Dと第2基準温度d2との比較手段として機能するステップ)において、検出温度Dと第2基準温度d2とを比較する。図2において時間t1から時間t2までの間は検出温度Dが第2基準温度d2を越えることはないため、ステップ5での判断はNOとなる。
【0041】
ここで、検出温度Dが第2基準温度d2を越えていないと判断すると、ステップ6(検出温度Dと第3基準温度d3との比較手段として機能するステップ)において、検出温度Dと第3基準温度d3とを比較する。そして、検出温度Dが第3基準温度d3よりも小さくなるのを待って、ステップ7に移行する。図2では時間t2の時点でステップ7に移行する。
【0042】
ステップ7(警報器25を動作停止させるための警報制御手段として機能するステップ)では、CPU4は警報器25にアラームリセット信号を出力し、警報器25の警報動作を停止させる。その後、ステップ1に戻ってモータ1を標準サイクルタイムで間欠駆動させる。
【0043】
一方、図2において時間t3において検出温度Dが第1基準温度d1を越えたことを受けてステップ3で設定サイクルタイムに切換えたにもかかわらず、どんどん検出温度Dが上昇すると、やがて図2において時間t4に示すように検出温度Dが第2基準温度d2に達する。すると、ステップ5において、検出温度Dが第2基準温度d2を越えたと判断し、ステップ8に移行する。
【0044】
ステップ8(モータ1を停止させる停止制御手段として機能するステップ)では、ステップ5においてモータ1が許容温度である第2基準温度d2を越えたと判断されたことを受けて、モータ1を保護すべく即座にモータ1を停止させる。このモータ1の停止によりモータ1は自然冷却される。又、このモータ1の停止状態において作業者はモータ1が異常過熱した要因を探し、その要因を取り除くことができる。
【0045】
そして、ステップ9(検出温度Dと第3基準温度d3との比較手段として機能するステップ)では、検出温度Dと第3基準温度d3とを比較する。ここではモータ1が停止されたままであるため、自然冷却されてやがて検出温度Dが第3基準温度d3を下回る。図2では時間t5において検出温度Dが第3基準温度d3を下回り、この時点でステップ11に移行する。
【0046】
続いて、ステップ10(警報器25を動作停止させるための警報制御手段として機能するステップ)では、CPU4は警報器25にアラームリセット信号を出力し、警報器25の警報動作を停止させる。
【0047】
その警告動作の停止後に、ステップ11(起動スイッチ26が操作されたか否かを判断する判断手段として機能するステップ)において作業者が起動スイッチ26を操作するのを待ってステップ1に戻り、モータ1を標準サイクルタイムで間欠駆動させる。
【0048】
従って、本実施形態において得られる代表的な効果は次のとおりである。
(1)モータ1の長期の使用などで一時的に発熱温度が上昇することはよくみられるが、この場合、検出温度Dが第1基準温度d1を越えると設定サイクルタイムでモータ1が駆動されて温度上昇を抑えることができる。その結果、即座にモータ1が停止されることがないため、モータ1を用いた作業現場において即座に作業停止してしまうことを防止することができ、円滑な作業の流れを確保することができる。特に、ワークを加工する製造工程ではワークの加工不良を防止することができ、不良品破棄という事態も回避し得る。
【0049】
(2)モータ1の発熱が一時的な要因ではなく、そのままモータ1を駆動しつづけると同モータ1が破損してしまうような事態を招きそうな場合には、検出温度Dがモータ許容温度である第2基準温度d2を越えたことを条件としてモータ1即刻停止させることができる。その結果、モータ1の破損を回避することができる。又、このモータ1の停止時に作業者は異常な発熱の要因を取り除くことができる。
【0050】
(3)一旦サイクルタイムを通常時の標準サイクルタイムよりも長い設定サイクルタイムに切換えた後、その状態のままモータ1を駆動しつづけることは作業効率上好ましくないが、検出温度Dが第3基準温度d3よりも下回った場合、即ちモータ1の過熱状態が充分に解消した場合には通常時の標準サイクルタイムに復帰するため、モータ1の保護と作業効率の両立を図ることができる。
【0051】
(4)モータ1のサイクルタイムを標準サイクルタイムに戻す条件である第3基準温度d3を第1基準温度d1よりも低く設定したため、モータ1の発熱温度が第1基準温度d1前後にある場合においてサイクルタイムが短い周期で長くなったり短くなったりする不都合も解消できる。
【0052】
(5)警報器25を設けて、検出温度Dが第1基準温度d1よりも高くなった場合には警報を行うようにした。従って、通常時よりもサイクルタイムを長くして運転していることが作業者に報知され、モータ1が停止される前に、過熱の要因を探る等の対処を行うことができる。その結果、全体としての作業効率の低下を防ぐことができる。
【0053】
(6)警報器25は、検出温度Dが第3基準温度d3を下回ったとき、警報解除されるようになっている。従って、通常時の標準サイクルタイムでの運転に復帰したことを作業者が容易に理解できる。
【0054】
(7)第1基準温度d1乃至第3基準温度d3をそれぞれ第1温度設定スイッチ27乃至第3温度設定スイッチ29により調節設定し得るようにした。その結果、モータ1の使用環境や作業現場の状況に応じて、サイクルタイムを長くしたり戻したりする基準となる温度を適宜調節することができる。
【0055】
(8)モータ1過熱時の設定サイクルタイムをサイクルタイム設定スイッチ30により調節設定し得るようにした。従って、設定サイクルタイムを長くなる方向へ調節すればモータ1の過熱状態を即座に解消することができ、設定サイクルタイムを通常時のサイクルタイムよりも短くならない範囲で短くする方向へ調節すれば作業効率の低下を抑えつつモータ1の過熱状態を解消することができる。その結果、モータ1の使用環境等を考慮しつつ最適な設定サイクルタイムを選択することができるという利点がある。
【0056】
(9)モータ1のサイクルタイムの変更時には、CPU4からのシーケンサ制御信号によってシーケンサ24をモータ1と同期させるようにした。その結果、モータ1のサイクルタイムが変更されても、モータ1に関連して動作している周辺機器を確実に同期させることができる。
【0057】
(10)モータ1をCPU4の電流指令信号に応じて駆動させるために設けた電流センサ12,13を、モータ1の温度検出の手段として兼用させたため、回路構成を簡略化し得る。
【0058】
(11)以上からモータ1の許容負荷に余裕をもたせなくとも突然停止してしまうおそれがないため、モータ1の選定としては許容負荷ぎりぎりでの使用も可能となる。
【0059】
以上の実施形態の他、次のような別の実施形態とすることも可能である。
・モータ1として三相タイプに限らず二相タイプ或いは四相以上のタイプのモータで実施してもよい。又、モータ1としてはDDモータ、ブラシレスモータ、ACモータ等の他のタイプのモータに具体化して実施してもよい。
【0060】
・温度検知は、直接か間接かを問わない。従って、サーミスタ等の温度検知素子をモータの発熱部位(例えば巻線)の近傍に配置して直接温度検知を行ってもよい。
【0061】
・モータ1の停止後、起動スイッチ26による再起動操作を不要とし、温度のみを条件としてもよい。即ち、図3のフローチャートにおいてステップ11を省略してもよい。この場合、作業者は過熱原因を取り除くのみでよいため、モータ1の起動のための操作が完全に不要となる。
【0062】
・サイクルタイムを長くするために、モータ1の回転速度を遅くする以外に、例えば各サイクル間でのモータ1の停止時間を長くするようにしてもよい。この場合も、前記サイクルタイム設定スイッチ30によって停止時間を調節するように構成することができる。
【0063】
・モータ1の回転検出は、レゾルバ2以外にもロータリエンコーダ等の他の回転検出手段により行ってもよい。
・第1基準温度d1、第2基準温度d2、第3基準温度d3及び設定サイクルタイムの少なくとも一つを予めRAM6等の記憶手段に記憶させておき、それに対応する第1温度設定スイッチ27、第2温度設定スイッチ28、第3温度設定スイッチ29及びサイクルタイム設定スイッチ30を省略してもよい。
【0064】
以上の各実施形態から把握される請求項以外の特徴的手段を以下に列挙する。
なお、括弧内は実施形態において対応する構成を示している。
(1)モータのサイクルタイムの切換え時には、外部シーケンサ(シーケンサ24)をモータと同期させるべくシーケンサ制御信号を出力する出力手段(CPU4)を備えたモータ制御装置。この手段によれば、モータのサイクルタイムが変更されても、モータに関連して動作している周辺機器を確実に同期させることができる。
【0065】
(2)設定サイクルタイムは、通常時の標準サイクルタイムと比べてモータの回転速度を遅くしたものであるモータ制御装置。
【0066】
(3)設定サイクルタイムは、通常時の標準サイクルタイムと比べて各サイクル間の停止時間を延ばすことによってなされるモータ制御装置。
【0067】
(4)温度検出手段はモータに流れる電流を検出することにより間接的に温度検出を行う電流検出手段(電流センサ12,13)であるモータ制御装置。この手段によれば、モータの回転制御の際に用いる電流検出手段を温度検出に兼用させることができ、回路構成を簡略化し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータ及びモータ制御装置のブロック回路図。
【図2】モータの発熱温度の時間的変化を示すグラフ図。
【図3】モータ制御のフローチャート図。
【符号の説明】
1…モータ、4…第1,第2及び第3の制御手段としてのCPU、5,6…記憶手段としてのROM及びRAM、12,13…温度検出手段としての電流センサ、25…警報手段としての警報器、27,28,29…基準温度設定手段としての第1,第2及び第3の各温度設定スイッチ、30…サイクルタイム設定手段としてのサイクルタイム設定スイッチ。
Claims (3)
- モータを予め定めた標準サイクルタイムで間欠駆動させるモータ制御装置において、
モータの発熱温度を検出する温度検出手段と、
その温度検出手段により検出された検出温度が第1基準温度を越えたとき、モータのサイクルタイムを標準サイクルタイムよりも長い設定サイクルタイムに切換える第1の制御手段と、
前記温度検出手段により検出された検出温度が第1基準温度よりも高いモータ許容温度である第2基準温度を越えたとき、モータを停止させる第2の制御手段と、
モータが第1の制御手段によって設定サイクルタイムで駆動されている場合に、前記温度検出手段により検出された検出温度が第1基準温度よりも低く設定した第3基準温度を下回ったとき、モータのサイクルタイムを標準サイクルタイムに戻す第3の制御手段と
を備え、
前記温度検出手段により検出された検出温度が前記第1基準温度を越えたとき、外部にそれを知らせるべく警報出力を行うとともに、前記温度検出手段により検出された検出温度が前記第3基準温度よりも小さくなったとき、警報出力を停止する警報手段を備えたモータ制御装置。 - 各基準温度のうち少なくとも第1基準温度と第3基準温度とを調節設定可能な基準温度設定手段を備えた請求項1記載のモータ制御装置。
- 設定サイクルタイムを調節設定可能なサイクルタイム設定手段を備えた請求項1記載のモータ制御装置。
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