JP3803467B2 - 誘導補助器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療器具に係り、特に内視鏡下の手術において体腔内の所定部位に体外から挿入したカテーテルや内視鏡等の他の医療器具を誘導するための誘導補助器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、腹壁に小さな切開口を形成するのみで、開腹する手術を行うことなく、その小切開口を通じて腹腔内にトラカールや内視鏡等の器具を導入し、鉗子等で病変部を処置する内視鏡下手術が広く行われるようになってきた。特に結石治療を行う内視鏡下胆嚢摘出術が最も良く行われている。このような術式は大きく開腹する必要がないため、患者への負担が少ない、入院期間が短い、美容上優れる等の種々の利点があるとされる。
【0003】
このような内視鏡下の胆嚢摘出術において、胆嚢を摘出する前に総胆管内に結石がないかどうかを確認する必要があり、このために軟性内視鏡を胆嚢管の途中から総胆管内まで挿入し、総胆管内を観察するようにしている。
そこで、まず気腹した腹腔内を腹腔鏡で観察しながら鋏鉗子により胆嚢と総胆管を結ぶ胆嚢管の途中に切込みを入れ、ついで、この切込み開口部分から軟性内視鏡の挿入部を差し込み、挿入部を総胆管内まで挿入する。この場合、腹腔内はCO2 ガスで拡張されており、空洞であるため、軟性内視鏡の挿入部は気腹した腹腔内空間に浮遊する状態にある。このため、胆嚢管の切込み開口部に軟性内視鏡の挿入部の先端を、直接的に差し込むことは一般に困難である。従って、軟性内視鏡の挿入部を把持鉗子にて把持し、胆嚢管の切込み開口部まで誘導する必要があった。
ところが、前述の把持鉗子により把持して挿入部の先端を切込み開口部へ誘導する手技は軟性内視鏡の可撓性のある挿入部を把持鉗子にて直接に把持するために軟性内視鏡を損傷させやすいという問題点があった。
【0004】
このような問題を解決するために、図23に示すように把持鉗子の把持部91における一対の把持片92,92の把持面部分を、特にシリコンゴムなどの弾性体で形成した製品が知られている(特開平8−103449号公報を参照)。 また、別の解決策として、特開平6−38923号公報に示されるように、軟性内視鏡の挿入部に軟性の挿入補助具を被せ、この挿入補助具を介して、軟性内視鏡の挿入部を間接的に把持する方式も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図23に示す把持鉗子を使用する場合、把持鉗子の把持部における一対の把持片92,92が基端側より閉じ始める枢支構造になっている。このため、この一対の把持片92,92によって軟性内視鏡の挿入部を把持しようとする際、軟性内視鏡の挿入部が軟性であることから、前記把持片92,92の把持面から逃げ易く、確実に把持することが困難なものであった。挿入部の外表面には患者の血液や脂肪等が付着しているため、特に滑り易く、挿入部の把持作業を、より困難にするという問題があった。
【0006】
また、前述した従来の把持鉗子は一対の把持片92,92をリンク機構により開閉操作する方式であるために、そのリンク機構部分の外径が通常、外径10mm以上になってしまう。外径10mm以上になる把持鉗子を体内に挿入するためにはトラカール外套管、およびこれを刺入するために腹壁に形成する切込み開口部分をそれだけ大きくすることになる。このような切込み開口部は術後、縫合を必要となるため、更なる低侵襲の手術を行う上ではこの種の把持鉗子は使用上問題となるものであった。
【0007】
一方、特開平6−38923号公報で提案されている挿入補助具によって軟性内視鏡の挿入部を把持しようとする場合には、挿入部の先端からかなり離れた部分を把持することになるため、実際上、内視鏡の挿入部先端を切込み開口部に挿入させる誘導力がうまく伝わらず、誘導操作がかなり難しいものであった。さらに別の案内管に挿入補助具を通す必要があるため、使用者にとっての手順が煩雑になるという問題があった。
【0008】
本発明は前述した課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、カテーテルや軟性内視鏡等の被誘導物に損傷を与える事なくその被誘導物を確実に把持して所定部位に誘導でき、かつ簡便な構造を持った誘導補助器具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】
(手段)
本発明は、体腔内に導入したカテーテルや内視鏡等の医療器具を体腔内の切込み開口部等の所定部位に誘導するための誘導補助器具において、挿入部用シース部と、このシース部に装着された進退自在な操作ロッドと、この操作ロッドの先端に連接され、鉤状の把持部を有し、その把持部内側に前記医療器具の被把持部分を受け止める把持面を形成した把持部材と、前記シース部の先端に連接され、前記操作ロッドを挿通する筒状の部材からなり、前記把持部材の把持部と対向してその把持部内に取り込んだ前記医療器具の被把持部分を受け止めて弾性的に変形して前記把持部の把持面との間で前記医療器具の被把持部分を挟み込む弾性部材と、前記シース部の基端側に設けられ、前記操作ロッドを介してこの操作ロッドの先端に連接された把持部材或いは弾性部材を進退させると共に、前記把持部材の把持部と前記弾性部材との間に前記医療器具の被把持部分を挟み込む把持操作を行う把持操作手段と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
(作用)
把持部材の鉤状の把持部に被誘導対象の医療器具を取り込み、この鉤状の把持部とこれに対向する弾性部材との間で、前記被誘導対象の医療器具を前後から挟み込んで把持する。また、被誘導対象の医療器具は弾性部材の所定の弾性力量で挟み込まれて保持され、体腔内の所定部位に誘導される。
【0011】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1乃至図5を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
(構成)
図1は第1実施形態に係る誘導補助器具1の全体の外観を概略的に示す図である。この誘導補助具1はステンレスやポリエチレン等の材料で中空管状に形成された挿入部用シース2を備える。シース2の基端には操作部3が設けられ、シース2の先端には後述する如くの把持手段4が設けられている。シース2を形成する中空管状部材の外径は約5mmが望ましい。シース2の内腔内には図3及び図4で示すように、連結棒を兼ねた操作ロッド5が挿通され、この操作ロッド5はシース2の長軸方向に沿って前後にスライド自在に装着されている。
【0012】
また、操作部3には弾性ステンレスまたはポリプロピレン等の弾性樹脂で作られた板状の弾性材をU型のアーム状に形成したハンドル21が設けられている。このハンドル21の一端は前記シース2の後端に固定された後部材22の外周面部に形成した周回溝23に被嵌して係合することにより取着されている。ハンドル21の他端は操作ロッド5の後端に形成した係合部24に係合している。ハンドル21は常態で開く向きに広がるような弾性特性を有し、この弾性的開拡力によって操作ロッド5を後方へ退避させるように常時、付勢し、操作ロッド5に弾性力を付与する弾性力付与手段を構成している。また、ハンドル21は変形操作することにより前記操作ロッド5を進退操作することができるようになっており、これにより操作ロッド5を介して後述する把持部材を進退することにより把持手段の把持動作を操作する把持操作手段を構成している。
【0013】
前記シース2はその後端部において、例えばOリング等のシール部材(図示せず)により封止されており、操作ロッド5はそのシール部材を気密的に貫通してスライド自在に取り付けられている。
【0014】
図2ないし図4で示すように、シース2に装着された操作ロッド5の先端には把持手段4における把持部材6が一体または一体的に連設されている。この把持部材6の先端部はシース2の先端から突き出している。把持部材6の先端部には鉤状の把持部(鉤状部、フック部)25が形成されている。この鉤状の把持部25は凹型の把持面26を形成している。また、シース2の先端部にはシリコンゴム等の生体適合性に優れた樹脂によって管状(筒状)に作られた弾性部材7が、シース2の先端部分にインサート成形または接着等により固定されている。この弾性部材7は把持部材6の把持部25に対向する把持受け部材を構成している。そして、この把持部材6の把持部25と弾性部材7の間に被誘導対象物を挟み込む把持手段4を構成し、この把持手段4は前述したハンドル21によって操作ロッド5を介して把持部材6を進退させることにより開閉操作させられるものである。
【0015】
前記把持部25は図3に示すように、凹型の把持面26を形成してその内側には半円状の把持用開口8を形成している。把持面26が凹型の把持部25の一端、ここでは上端が、開放端縁部9を形成しており、前記把持手段4が閉じるとき、この開放端縁部9の部分がシース2の先端にある弾性部材7の先端上縁部10と当接し、把持収納用空間部12を閉塞するようになっている。一方、把持部25の他端、ここでは下端部分は後方へ延長して前記操作ロッド5に連続して連接されている。
【0016】
さらに、図4に示すように、水平面で縦断して、それを上から見たとき、把持部25の開口内面中央部分はシース2の基端側へ向かって突き出し、把持面26を形成すると共に、その左右側面は斜めに傾斜している。そして、左右均等な山形の凸部11となっている。
【0017】
また、図4で示す如く、把持部25は左右両方の部分が開放すると共に、図3で示す如く、その把持面26が半円状の凹型である把持収納用空間部12を形成している。一方、弾性部材7の先端左右部分は半円状の把持収納用空間部12に向き合って連通するように円弧状に切り欠かれており、この切欠部13はその把持収納用空間部12に取り込んだ被把持対象物のシース2側に位置する外周表面部分を包み込んで取り囲み、被把持対象物を押さえ付けるようになっている。
【0018】
シース2の先端部に設けられた弾性部材7は弾性的な受け部材であり、これは操作ロッド5を貫通させるために略管状に形成されている。弾性部材7の先端部7aはシース2の最先端から単独で突き出し、把持収納用空間部12内に取り込んだ被把持対象物を受け止めるときに弾性的に変形し、前述した把持部材6の把持部25との間で挟み込む被把持対象物を所定の一定の弾性力量で受け止めるための受け止め用弾性手段を構成している。
尚、被把持対象物を挟み込まない通常の状態では把持部25はその開放端縁部9が弾性部材7の先端上縁部10の部分に突き当たって閉じられている。
【0019】
さらに、把持部材6の、その下端から後方へ延長して操作ロッド5に至る接続部分14にはガイド用切欠き溝部15が形成されている。このガイド用切欠き溝部15にはシース2の先端部及び弾性部材7の一部が嵌まり込んで位置させられ、把持部材6の接続部分14の部分をシース2の長軸方向に沿ってガイドすると共に把持部材6の回転を抑制するようになっている。
【0020】
弾性部材7の後端部における内腔は先端側の部分よりも径が小さく、この小径部16内には操作ロッド5が比較的密に通り、操作ロッド5をシース2の中心に位置させると共に、操作ロッド5の前後へのスライドをガイドするようになっている。つまり、弾性部材7の後端部は環状に形成され、この構成により操作ロッド5を案内するガイド手段を構成している。
【0021】
また、操作ロッド5と把持部材6は操作部3のハンドル21から操作ロッド5を外した後、操作ロッド5をシース2の先端側へ引き抜くことで外せる着脱可能な構造となっている。シース2内は図示しないOリングや弁等の公知の技術より気密な構造となっている。
【0022】
(作用)
通常、操作ロッド5は操作部3におけるハンドル21の弾性により後方へ付勢されており、このために、待機状態においては、前記把持部25は操作ロッド5と共に後退しており、把持部25における開放端縁部9は図3及び図4で示すようにシース2の先端にある弾性部材7の先端上縁部10と当接し、把持部25は閉じられた状態にある。
【0023】
そこで、操作部3のハンドル21を押し潰すように変形操作すると、操作ロッド5が前進し、把持部材6が前方へ押し出され、図2で示すように、把持部25の把持収納用空間部12が開く。ハンドル21を解放すると、ハンドル21の弾性付勢力により操作ロッド5を介して把持部材6を後退させ、把持部25が再び閉じる状態になる。つまり、操作部3のハンドル21によって把持部25を開閉することができる。
【0024】
次に、この誘導補助器具1を用いて腹腔鏡下胆嚢摘出術を行う場合について説明する。図5は腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われている状況を示している。腹腔31はCO2 ガス等で気腹され、腹壁32には複数のトラカール(案内管)33a,33bが刺通されている。また、腹腔31には、図示しない他のトラカールを通じて同じく図示しない腹腔鏡が導入され、この腹腔鏡により腹腔31内の状況を観察している。同図5中、35は胆嚢、36は胆嚢管、37は総胆管を示す。
【0025】
腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行する際には、まず、軟性内視鏡40を胆嚢管36から総胆管37内まで挿入して、総胆管37内に結石が生じているかどうかを検査し、結石がある場合にはその軟性内視鏡40を使用して結石を除去する手技を行う。
そこで、誘導補助器具1を用いて軟性内視鏡40を誘導する作業について説明する。まず、予め図示しない他のトラカールを通じて腹腔31内に鋏鉗子(図示せず)を導入し、胆嚢管36の途中に切り込みを加えて、胆嚢管36に切込み開口部41を形成する。
【0026】
ついで、一方のトラカール33aを通じて腹腔31内に誘導補助器具1の挿入部としてのシース2を導入する。この後、又はその前に、別のトラカール33bを通じて腹腔31内に軟性内視鏡40の挿入部42を導入する。
この後、腹腔31内に挿入した誘導補助器具1の操作部3にあるハンドル21を操作し、把持部25を開く。そして、図5に示すように、開放した把持部25の開口8内に軟性内視鏡40の挿入部42を導入位置させる。把持部25の開放した開口8内に挿入部42が入り込んだところで、ハンドル21を解放すれば、そのハンドル21の弾性付勢力で、操作ロッド5を介して把持部25を後方へ引き、把持部25は自動的に閉じる。これにより、その把持部25内に取り込んだ軟性内視鏡40の挿入部42を、把持部25と弾性部材7との間で挟み込んで保持する(図5)。つまり、軟性内視鏡40の挿入部42は把持部25の半円状の把持収納用空間部12内に取り込まれ、かつ把持部材6の把持部25と、弾性的な変形が可能な弾性部材7の先端縁との間に挟み込まれる際、その弾性部材7の先端縁が挿入部42の外形状に応じて変形し、弾性的な付勢力を与えながらその挿入部42を挟み込む。
【0027】
このようにして、誘導補助器具1の把持手段4には軟性内視鏡40の挿入部42が弾性的な力を与えながら挟み込んで把持し、そのまま挿入部42の先端を胆嚢管36の切込み開口部41に誘導し、切込み開口部41から胆嚢管36内に差し込み、胆嚢管36から総胆管37内まで導入する。そして、導入した軟性内視鏡40により総胆管37内を観察し、結石の有無を検査する。結石の存在が認められたときにはその軟性内視鏡40を通じて、例えばバスケット鉗子等を導入し、このバスケット鉗子等によって総胆管37内の結石の砕石・把持・回収等を行う。
また、軟性内視鏡40の挿入部42が総胆管37内まで挿入した後は誘導補助器具1による把持を解除してもよいが、そのまま把持を続けてもよい。
【0028】
(効果)
把持手段4の把持部25で被把持対象物を把持するとき、その把持部25内に被把持対象物を取り込み、その把持部25をシース2の軸方向に後退させて、把持部25と、シース2の先端にある弾性部材7との間で弾性的に挟み付けるために被把持対象物は滑ることがなく、被把持対象物を確実に把持できると共に、内視鏡等の被把持対象物に損傷を与える事がない。また、把持部25を設けた把持部材6をシース2の長軸方向に進退させる構成であるために先端把持部分の構成の簡略化とコンパト化が図れる。
【0029】
また、被把持対象物を把持するため、弾性部材7が弾性的に変形して被把持対象物に対する接触面積が増えるため、その被把持対象物の把持部分の略全周を押さえて包み込むように把持できるために把持中に滑ることがなくなり、被把持対象物をより確実に把持することができる。
また、シース2の先端部に設けられた弾性部材7に切欠部13のような鉤部を設け、これによって把持収納用空間部12に取り込んだ被把持対象物のシース2側に位置する表面部分を取り囲むように押さえるから被把持対象物の把持が安定する。
【0030】
また、操作部3における弾性材たるハンドル21で被把持対象物を把持する向きに把持部25を弾性的に付勢しているので、ハンドル21を放しても一定の力での把持力が持続的に加わり把持状態を維持できる。
さらに、弾性材を利用したハンドル21を用いるために、操作部3にリンク機構を必要とせず、操作部3を簡単な構造にすることができ、かつ操作部3の細径化がなされる。
【0031】
尚、確実に把持するために、前記把持部25の少なくとも把持部分の少なくとも一部をシリコンゴム等の弾性体で形成してもよい。把持手段4の把持部25に対向する弾性部材7の方を鉤状部としてもよい。
【0032】
本実施形態の他の変形例として、図6で示すように、把持部25の凸部11の頂点位置を片側に偏らせたものであってもよい。この変形例のものによれば、例えば軟性内視鏡40の挿入部42を、図6で示すように、角度を付けて斜めに把持することができ、このように斜めに把持することにより、軟性内視鏡40の挿入部42の先端を切込み開口部41に差し込みしやすくなる。
【0033】
さらに、図7で示すように、例えば公知の技術を用いることにより、シース2の途中部分に関節部43を設け、操作部3に設けた湾曲ノブ44で関節部43を屈曲操作することによりシース2の先端部の向きを変え得るようにしてもよい。
【0034】
また、図8で示すように、例えば公知の技術を用いることにより、シース2を軸まわりに回転自在とし、操作部3に設けた回転ノブ45で軸まわりにシース2を回転させ得るようにしてもよい。
これらの場合には把持対象物、例えば軟性挿入部の先端を所望の方向へ向けることが可能となり、より誘導操作性が向上する。
本発明はシース2の先端部に設けられた弾性部材7に切欠部13のような鉤部を設けた場合には把持手段の把持部材6の把持部25に鉤部を設けないものでもよい。
【0035】
[第2実施形態]
図9乃至図11を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
(構成)
本実施形態は前述した第1実施形態でのシース2の外周部分に外筒46を、その長軸方向に移動自在に被せ、その外筒46の先端部分でシース2の先端の弾性部材7の部分を部分的に覆う構造としたものである。外筒46の先端部における一部には望ましくは把持対象物、例えば軟性内視鏡の挿入部における断面積の大きさが入る程度の取込み用切欠き47を設けてある。
【0036】
また、外筒46の基端部には把持グリップ48を設ける。把持グリップ48の内部には外筒46の回転をロックする図示しないロック機構が設けられている。このロック機構は公知のラッチや弾性ピンなどで構成してもよい。
他の構造は前述した第1実施形態と同様の構造であるため、その説明を省略する。
【0037】
(作用)
図5のように、トラカールから軟性内視鏡40の挿入部42を体内に挿入した後、他のトラカールから本実施形態の誘導補助器具1を挿入し、その把持手段4で挿入部42を把持する。
通常は外筒46の先端にある切欠き47を把持部25の開口8の方向に合わせた状態で把持する。誘導補助器具1のシース2と軟性内視鏡40の挿入部42は直角になるように把持される(図10)。
誘導補助器具1を操作し、切込み開口部41から胆嚢管36内へ挿入部42を押し込んでいく。
【0038】
ここで、軟性内視鏡40の挿入部42の先端が押し込まれる方向と胆嚢管36の走行方向が異なる場合、外筒46を回転させ、外筒46の切欠き47の位置を側方に位置させる(図11)。
【0039】
切欠き47の部分で、弾性部材7の変形量が切欠き47のない部分に比べて大きく、左右で変形量が異なるため、誘導補助器具1に対する把持対象物の挿入部42の角度が90°から変化して傾き、胆嚢管36の走行方向に合わせた状態で挿入部42の先端を胆嚢管36の切込み開口部41内に押し込んでいくことができる。
【0040】
(効果)
従って、把持対象物の挿入部42を、滑ることなく確実に把持できることに加え、胆嚢管36の走行方向に合わせて把持する角度を変えることができるために把持操作性がより向上する。
【0041】
[第3実施形態]
図12乃至図16を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。この第3実施形態の基本的な構成は前述した第1実施形態のものと同じである。この第3実施形態では把持部材6の把持部25の具体的な各種の態様を挙げる。
【0042】
まず、図12及び図13で示す把持部材6について説明する。図12は操作ロッド5及びその先端に設けられる把持部材6の部分を上から見た状態の平面図であり、図13は図12中、B−B線に沿って把持部材6を断面してその把持部25を見た縦断面図である。
【0043】
図13で示す如く、この把持部25の把持面26は1種類の円弧状の曲面からなる凹型に形成されている。この把持面26における円弧状の曲面の曲率半径をRとし、カテーテルや内視鏡等の医療器具の被把持対象物27の直径をDとするとき、2R≧Dの関係に設定されている。このような関係に設定すると、把持部25内に被把持対象物27を確実に取り込んで包み込めると共に、把持部25内に取り込む際に被把持対象物27を噛み込んだり片当たりしてその被把持対象物27を潰して壊す虞がない。
【0044】
また、把持部25の把持面26における、被把持対象物27の長手方向に沿う把持面方向は、前述した図6の場合と同様に、シース2の長手軸方向に直角ではなく斜めに形成され、被把持対象物27を斜めに把持することができるようになっている。
【0045】
図14に示す形態の把持部25は凹型に形成されているが、その把持面26は平面に形成されている。把持面26を形成する平面は操作ロッドを兼ねた操作ロッド5のスライド軸方向L(シース2の長軸方向に一致する)に対して直交する平面になっている。この場合にも、把持部25内にカテーテルや内視鏡挿入部等の被把持対象物27を包み込んで取り込めるために、その被把持対象物27を確実に把持することができる。
【0046】
図15に示す形態の把持部25は平面からなる2つの把持面26a,26bを有しており、両方の把持面26a,26bはスライド軸上で交差するVの字状に配置され、かつ、各把持面26a,26bは把持部材6のスライド軸方向Lに対して、向きは逆向きであるが、同じ角度θ1 で傾斜している。把持面26a,26bが把持部材6のスライド軸上Lで交差するVの字状に配置されているためにその把持面26a,26bの間に、カテーテルや内視鏡挿入部等の被把持対象物27を包み込んで中央側に寄せ付けながらその把持部25内の中央位置に被把持対象物27を取り込み、その被把持対象物27を安定した状態で確実に把持することができる。
【0047】
ところで、前記把持面26a,26bの角度θ1 は、45゜より大きく90゜以下に設定されている(45゜≦θ1 ≦90゜)。
ここで、把持面26a,26bの角度θ1 が、仮に45゜より小さいと(θ1 <45゜)、把持部25の把持面26a,26bに被把持対象物27を当てて把持する際の力関係を見ると、図15で示すようになる。つまり操作ロッド5での牽引力をF1 とすれば、把持面26a,26bのくさび効果により被把持対象物27を締め付ける成分F2 が増加する。F1 は被把持対象物27を把持する力、F2 は被把持対象物27を潰そうとする力であり、被把持対象物27を把持する力F1 より、被把持対象物27を潰そうとする力F2 が大きくなってしまう。
【0048】
一方、θ1 ≧45゜であれば、F1 ≧F2 であり、くさび作用により被把持対象物27を締め付ける成分F2 は牽引把持力F1 を越えることがない。従って、θ1 ≧45゜の関係に設定すれば、被把持対象物27を締め付け過ぎて損傷させる虞がない。特に軟性な被把持対象物27の損傷を防止することができる。
尚、図14で示した場合はその把持面26の角度θ1 が90゜の特異な場合であると見ることができる。
【0049】
図16に示す形態の把持部25は曲面からなる1つの把持面26aと、平面からなる1つの把持面26bを有し、それらの把持面26a,26bは略スライド軸上で交差するVの字状に配置されている。そして、曲面からなる把持面26aはこれに把持位置で接するカテーテルや内視鏡挿入部等の被把持対象物27との共通接線Tが、前記スライド軸方向Lに対して角度θ2 で傾斜している。また平面からなる把持面26bの平面はスライド軸方向Lに対して逆向きの同じ角度θ2 で傾斜している。この場合にも前記同様の関係、つまり、45゜≦θ1 ≦90゜の関係で設定がなされている。その理由及び作用効果は前記同様である。
【0050】
前記把持面26aの曲面の中心は通常、Vの字状に交差する把持面26a,26bの角度の2等分線(前記スライド軸方向Lに平行)よりも他方の把持面26b側の領域に位置するが、その2等分線上または把持面26a側の領域に位置してもよい。後者の場合には直径の小さな被把持対象物でも角度θ2 以上で接する状態で把持できるようになる。また、曲面からなる把持面26aにおいて一般的な被把持対象物27が接する点よりも他方の把持面26b側の面部分を角度θ2 で傾斜させた平面にしてもよい。
【0051】
尚、第3実施形態における把持部25の把持面は前述した各形態の場合に限らず、その把持部25における把持面は1つ以上の平面または曲面、あるいは1つ以上の平面と1つ以上の曲面の複合面であってもよい。
【0052】
[第4実施形態]
図17乃至図21を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。この第4実施形態の基本的な構成は前述した第1実施形態の場合と同様であるが、以下、相違点を中心に説明する。
【0053】
この第4実施形態での操作部3は図19で示す如く構成されている。すなわちシース2の後端部には内筒部材51が同軸的に取着固定されている。この内筒部材51の外周にはそれぞれ筒状の前側外装部材52と後側外装部材53が被嵌されている。前側外装部材52はその内孔の先端側部分の径を大きく、後端側部分の径を小さく形成してなり、その先端側部分と後端側部分の間には突当て段差端面54が形成されている。内筒部材51の外周は前側外装部材52の内孔の径に合わせて先端側部分の径を大きく、後端側部分の径を小さく形成してあり、その段差端面55が前記突当て段差端面54に突当て係合するようになっている。そして、前側外装部材52はその段差端面55を突当て段差端面54に突き当てた状態で内筒部材51の外周に例えば接着により固定されている。
【0054】
内筒部材51の後端側外周部分は前端側外周部分より小径であり、この小径な後端外周部分56には板状の弾性材をU型のアーム状に形成したハンドル57の前端が嵌め込まれている。ハンドル57の前端部には装着孔59が形成されており、この装着孔59を前記内筒部材51の後端側外周部分56の外周に嵌め込むことにより装着するようになっている。ここで、内筒部材51の後端側外周部分56と、これに被嵌する装着孔59の形状は係合可能な矩形等の異形であり、このため、ハンドル57は内筒部材51の後端側外周部分56の回りに回動できないように装着される。
【0055】
前記内筒部材51の後端側外周部分56の後端部には後側外装部材53をねじ込むねじ部61が形成されている。そして、内筒部材51のねじ部61に、後側外装部材53をねじ込むことにより前側外装部材52と後側外装部材53の間にハンドル57の前端部分を挟み込んで固定し、これによりハンドル57の前端部は操作部3に固定的に装着される。後側外装部材53を外すことによりハンドル57を取り外すことができるようになっている。
【0056】
ハンドル57の後端部は操作ロッド5の後端部に形成した小径な溝状の係合部24に係合して連結される。ハンドル57の後端部には図18で示す如くの係合用スリット62が形成されている。この係合用スリット62の中央寄りの一端には、操作ロッド5の後端頭部63を通せる径の大きさの孔部64が連設されている。そこで、操作ロッド5の後端に、ハンドル57の後端部を装着する場合には係合用スリット62の孔部64に操作ロッド5の後端頭部63を差し込み、操作ロッド5の係合部24に、係止用スリット62を嵌め込んで係着する。また、逆の手順で操作ロッド5からハンドル57を取り外すことができる。
【0057】
後側外装部材53の後端部外周65には例えばゴム製の気密用キャップ66が着脱自在に装着されるようになっており、気密用キャップ66には前記操作ロッド5が気密的に貫通するようになっている。そして、操作部3において、この気密用キャップ66によりシース2の後端側を気密的にシールする一方、操作ロッド5の進退移動は自由なものである。
【0058】
また、後側外装部材53の後端部内周67は他の器具、例えばシリンジ68が装着されるテーパ口部69が形成されている。シース2に、他の器具、例えば洗滌用シリンジ68を接続する場合には気密用キャップ66を取り外してテーパ口部69に、そのシリンジ68の口部を差し込んで嵌合させることにより簡単に装着する。
【0059】
前記構成から知れる如く、シース2、操作ロッドとしての操作ロッド5、これを操作するハンドル57、及び気密用キャップ66が、別々になるように分解することが可能である。操作ロッド5はその把持部4が太径であるので、シース2の先方から引き抜く。このように、主要な各部を簡単に分解することができるので、各部の洗滌が容易であると共に、それらの洗滌・滅菌性の向上が図れる。また、例えば、テーパ口部69に洗滌用シリンジ68を接続して、洗滌液をシース2内に注入すればそのシース2の内部を効率よく洗滌することができる。
【0060】
さらに、この第4実施形態では、待機状態での、操作ロッド5の後退位置を定める位置規制手段が組み込まれている。つまり、前記操作ロッド5の後端部を先端部より細く形成し、その後端部と先端部の間に段差端面を形成してこれを突当て部71とする。また、内筒部材51の内面にはその内径を細くして段差端面からなる受け部(ストッパ)72を形成する。そして、この受け部72に前記操作ロッド5の突当て部71を突き当てることにより操作ロッド5が最も後退した最終位置が定められる。
【0061】
この操作ロッド5が最も後退した最終位置において、これに対応して、その操作ロッド5の先端に設けられた把持部材6が最も後退した最終位置となる。このとき、把持部材6の把持部25の先端である、その上端の開放端縁部9が、弾性部材7の先端に当たらないように設定されている(図19を参照)。つまり、待機状態において、操作ロッド5はハンドル57の弾性力によりシース2内に向けて引かれており、操作部3における受け部72には操作ロッド5の突当て部71が突き当たり、操作ロッド5は最も後退した最終位置に止められている。このとき、把持部材6の把持部25の先端と弾性部材7の先端の間には僅かな隙間73を形成した状態で、その把持部25は閉じている。従って、待機状態において、把持部材6の把持部25の先端が弾性部材7に押し付けられないので、弾性部材7は変形することなく、弾性部材7の負担を無くせるため、弾性部材7の劣化を防止し、把持手段の耐久性を高めることができる。もっとも、把持するときには前述した如く弾性的に変形して把持作用を行う。
【0062】
尚、前記位置規制手段の構成は、待機位置において把持部材6の把持部25の先端が弾性部材7の先端に全く当たらず、両者の間に隙間が形成されるように設定したが、把持部25の先端と弾性部材7の先端が一致、または把持部25の先端が弾性部材7の先端に僅かに押し当たる程度のものに設定するものでも前記効果と略同様な効果が得られる。
【0063】
以上の実施形態では、待機状態においての操作ロッド5が最も後退した最終位置を定める位置規制手段を、操作部3の領域内に組み込んであるが、シース2の領域内に組み込んでもよい。図20はその一例を示すものである。すなわち、シース2の先端に取り付ける弾性部材7をインサート成形により固定する筒状の先端接続部材75を設け、この先端接続部材75の内面に受け部(ストッパ)76を形成し、これに対応して操作ロッド5の周部に突当て部77を形成したものである。受け部76と突当て部77はいずれも段差端面によって形成されている。そして、待機状態において操作ロッド5の突当て部77がシース2側の受け部76に突き当たり、操作ロッド5が最も後退した最終位置を定める。このとき、把持部材6の把持部25の先端と弾性部材7の先端の間には僅かな隙間73が形成され、弾性部材7は把持部材6の把持部25が押し当たらない(図20の状態を参照)。従って、弾性部材7が変形することなく、弾性部材7の負担を無くせるため、弾性部材7が劣化を防止し、把持手段の耐久性を高めることができる。
【0064】
[第5実施形態]
前記図21を参照して、本発明の第5実施形態を説明する。この第5実施形態の基本的な構成は前述した第4実施形態の場合と同様であるが、把持部25においての次の点に着目したものである。すなわち、図21(a)で示す如く、把持部材6における把持部25の把持面26で、被把持対象部材、例えば内視鏡の挿入部42を保持する把持部25の把持中心O1 がシース2の中心軸(長軸)L1 上に位置する関係である。また、ここでは把持される挿入部42の中心軸(長軸)L2 が、シース2の中心軸L1 にくい違うことなく直接に交差しており、さらに把持中心O1 に一致している。つまり、中心軸L1 、中心軸L2 、及び把持中心O1 が一点で交わっている。尚、操作ロッド5の中心軸はシース2の中心軸L1 に一致しており、同じ長軸を共有する。このため、把持部25の中心O1 は操作ロッド5の中心軸上に位置する。
【0065】
このような実施形態の構成によれば、把持部25の把持中心O1 がシース2の中心軸L1 上に位置するため、把持部25を形成する把持部材6がシース2の外径よりはみ出さない外形で極力大きく形成することができる。つまり、この種の器具はトラカールや内視鏡等を通じて導入されるためにその外径に制限があり、その決められたシース2の外径dの円内領域において形成されるべき把持部25の把持面積を最大にすることができる。このため、有効かつ十分な把持機能を持たせることができる。また、図21(d)で示す如く、内視鏡の挿入部42をシース2の長軸に対して斜めに把持する場合でも十分に保持する機能を持たせることができる。
【0066】
また、図21(b)で示す如く、把持部材6の把持部25における部分は前方から見て略円形であるため、把持部材6の部分が体内の組織に当たっても組織を損傷させない。把持部材6の把持部25における部分は前方から見て同じく円形で、シース2の外径に略一致しているため、把持部25における把持領域を極力大きくすることができる。
【0067】
また、被把持対象物の把持する向きがシース2の長軸L1 に対して斜めにするため、把持部材6の鉤状の把持部25によって形成される溝状の把持面26の方向をシース2の長軸L1 に対して斜めに形成した。この把持部25に向き合う弾性部材7の先端縁にはその斜めの方向に傾斜する受け部80が形成されている。尚、傾斜する部分は把持部25側だけでも弾性部材7側だけでもよく、少なくともその一方のものであってもよいが、両方、少なくとも把持部4側にだけ設ける方が安定した把持が可能である上で望ましい。
【0068】
これにより把持部25に対して確実に被把持対象物を挟み込んで把持することができる。この場合、斜めに保持する被把持対象物、例えば内視鏡の挿入部42の中心軸L2 がシース2の長軸L1 に対してなす傾斜角度θは50゜〜70゜である。
【0069】
被把持対象物を傾斜する状態で保持する場合には、体腔内での被把持対象物が自然に誘導し易い向きになる。例えば腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行する際には通常、予め設定されたトラカールの穿刺位置や内視鏡等との位置が手技的に定められており、前記被把持対象物の保持傾斜角度が50゜〜70゜であると、解剖学的に見てその誘導補助器具1の斜め前方に位置する胆嚢管の途中に形成した切込み開口部に内視鏡の挿入部42を誘導し易くなる。
【0070】
さらに、この実施形態では図21(b)で示す如く、把持部部材6における鉤状の把持部25の先端縁には把持面26内に取り込む被把持対象部材、例えば内視鏡の挿入部42を包み込むヒサシ部(傘部)78が突き出して形成されているが、このヒサシ部78の把持面26の溝底面からの突出量lはその把持する挿入部42の中心軸L2 よりも突き出さないように設定されている。また、ヒサシ部78の先端は把持する挿入部42の中心軸L2 、つまり把持面26の溝の走行方向と平行に形成されている。
【0071】
このように、ヒサシ部78の突出量lが把持する挿入部42の中心軸L2 を越えないように設けたから、把持部25に把持した挿入部42を離すとき、ヒサシ部78に引っ掛かりにくい。つまり、把持した被把持対象部材を簡単に解放させることができる。このヒサシ部の突出量が把持する被把持対象部材の中心軸を越えないように設ける形態のものは被把持対象部材をシース2の軸方向に直角な場合にも適用することが可能である。
【0072】
[第6実施形態]
図22を参照して、本発明の第6実施形態を説明する。この実施形態では前述した実施形態における把持部材6の把持部25における凹型の把持面26に弾性部材を設けたものである。
【0073】
図22(a)で示すものは例えばシリコンゴム等のシート状の弾性部材81を把持面26の形状に沿って曲面状に貼り付けたものである。図22(b)で示すものはその弾性部材81の表面を凹凸82に形成したものである。
【0074】
このように把持部25の把持面26に弾性部材81を設けることによりその弾性で、前記弾性部材7との間で被把持対象部材を把持する際の把持性を高めることができる。さらに、図22(b)で示すものはその弾性部材81の表面に凹凸82を形成したので、把持する被把持対象部材の損傷を防ぎ、かつ被把持対象部材をすべらすことなく引き寄せることができる。
【0075】
尚、本発明は前述した実施形態においての把持部材をシースの先端に設け、弾性部材を操作ロッドの先端に設け、その両者の位置関係を逆に設置するようにしてもよいものである。この場合、弾性部材は筒状の部材に構成する必要がなくなる。
【0076】
先述した説明によれば請求項に記載のものの他に少なくとも以下のような事項が得られる。各項を組み合わせたものも可能である。
<付記>
(1-1) 体腔内に導入したカテーテルや内視鏡等の医療器具を体腔内の切込み開口部等の所定部位に誘導するための誘導補助器具において、
挿入部用シース部と、このシース部に装着された進退自在な操作ロッドと、この操作ロッド及び前記シース部のいずれか一方の先端に連接され、鉤状の把持部を有する把持部材と、前記操作ロッド及び前記シース部の他方の部材の先端に連接され前記把持部材の把持部と対向してその把持部内に取り込んだ前記医療器具の被把持部分を受け止め、前記把持部との間で前記医療器具の被把持部分を挟み込む弾性部材と、前記シース部の基端側に設けられ、前記操作ロッドを介してこの操作ロッドの先端に連接された把持部材或いは弾性部材を進退させると共に、前記把持部材の把持部と前記弾性部材との間に前記医療器具の被把持部分を挟み込む把持操作を行う把持操作手段とを具備したことを特徴とする誘導補助器具。
【0077】
(1-2) 体腔内に導入したカテーテルや内視鏡等の医療器具を体腔内の切込み開口部等の所定部位に誘導するための誘導補助器具において、
挿入部用シース部と、このシース部内に装着された操作ロッドと、この操作ロッドの先端に連接されその操作ロッドにより前後に進退する鉤状の把持部を有する把持部材と、この把持部材の把持部と対向して前記シース部の先端位置に前記把持部内に取り込んだ前記医療器具の被把持部分を受け止める弾性部材と、この弾性部材と前記把持部材の把持部との間で前記医療器具の被把持部分を弾性力を付与しながら挟み込む把持手段と、前記シース部の基端側に設けられ前記操作ロッドを介して前記把持部材を進退操作する操作手段とを具備したことを特徴とする誘導補助器具。
【0078】
(2) 体腔内に導入したカテーテルや内視鏡等の医療器具を体腔内の切込み開口部等の所定部位に誘導するための誘導補助器具において、
挿入部用シース部と、このシース部に装着された操作ロッドと、この操作ロッドの先端に連接されその操作ロッドにより前後に進退し、把持面が凹型である把持部を有する把持部材と、この把持部材の把持部と対向して前記シース部の先端位置に前記把持部位内に取り込んだ前記医療器具の被把持部分を受け止める弾性部材と、この弾性部材と前記把持部との間に前記医療器具の被把持部分を挟み込んで把持する把持手段と、前記シース部の基端側に設けられ前記操作ロッドを介して前記把持部材を進退操作する操作手段とを具備したことを特徴とする誘導補助器具。
【0079】
(3) 弾性部材は、シース部の先端に連接した筒状の部材であることを特徴とする第1,2項に記載の誘導補助器具。
(4) 弾性部材は、シリコンゴムであることを特徴とする第1〜3項に記載の誘導補助器具。
(5) 操作手段は、把持部材を弾性部材に向けて移動させる向きに操作ロッドを移動させるように操作ロッドを付勢する弾性材を有し、待機状態では把持部は弾性部材に当たり閉じていることを特徴とする第1〜3項に記載の誘導補助器具。
【0080】
(6) 操作手段の弾性材は、U型板状材であることを特徴とする第5項に記載の誘導補助器具。
(7) 操作手段の弾性材は、コイルスプリングであることを特徴とする第5項に記載の誘導補助器具。
(8) 把持部材の把持部における鉤状部分が、把持部材の側方へ開口することを特徴とする第1,2項に記載の誘導補助器具。
(9) 把持手段の把持部材における把持部が、半円形に開口することを特徴とする付記第1,2項に記載の誘導補助器具。
【0081】
(10)把持部材の把持部における凹型である把持面が、1つ以上の平面または曲面か、1つ以上の平面、あるいは1つ以上の曲面の複合した面によって構成したことを特徴とする第2項に記載の誘導補助器具。
(11)把持部材の把持部における凹型である把持面が、曲面を有して構成され、医療器具と接する曲面部分の曲率半径をR、医療器具の直径をDとするとき、 2R≧Dの関係で、前記把持面を構成したことを特徴とする第2,10項に記載の誘導補助器具。
【0082】
(12)把持部材の把持部における凹型である把持面が、平面を有して構成され、医療器具と接する平面部分と、シース部の長軸L1 とのなす角θ1 が45゜以上、90゜以下であることを特徴とする第2,10項に記載の誘導補助器具。
(13)把持部材の把持部における凹型である把持面が、曲面を有して構成され、その曲面の、医療器具と接する曲面部分の共通接線と、シース部の長軸L1 とのなす角θ1 が、45゜以上、90゜以下であることを特徴とする第2,10項に記載の誘導補助器具。
【0083】
(14)操作手段は、把持部材を弾性部材に向けて移動させる向きに操作ロッドを移動させる付勢力を操作ロッドに付与する弾性力付与手段を備え、待機状態では把持手段が閉じていることを特徴とする第1,2項に記載の誘導補助器具。
(15)待機状態で把持手段が閉じ、このとき、把持部材と弾性部材の押し付けられる前の位置に把持部材を停止させるストッパ手段を設けたことを特徴とする第14項に記載の誘導補助器具。
(16)ストッパ手段は、操作ロッドの一部に設けた突当て部を、弾性部材以外のシース部側に設けた受け部に突き当て、把持部材を停止させる構成としたことを特徴とする第15項に記載の誘導補助器具。
【0084】
(17)ストッパ手段は、シース部の手元部に設けた操作部の部材に、操作ロッドの一部に設けた突当て部を突き当て、把持部材を停止させる構成としたことを特徴とする第15項に記載の誘導補助器具。
(18)シース部と操作ロッドが同じ長軸を共有し、かつ把持部材の把持部中心が前記長軸の延長上にあることを特徴とする第1,2項に記載の誘導補助器具。
【0085】
(19)把持手段は、その把持部材と弾性部材との間に医療器具の被把持部分を挟み込んで把持したときに、シース部の長軸と、医療器具の長軸とのなす角θが、50゜〜70゜であることを特徴とする第1,2項に記載の誘導補助器具。
(20)把持部材の把持面の方向と弾性部材の受面の方向の少なくとも一方とシース部の長軸とのなす角θが、50゜〜70゜であることを特徴とする第19項に記載の誘導補助器具。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、カテーテルや軟性内視鏡等の被誘導対象物に損傷を与える事なく、その被誘導物に血液、脂肪等が付着している場合でも滑ることなく確実に把持して所定部位に被誘導対象物を誘導することができる。また、先端の把持手段の構成の簡略化とコンパクト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る誘導補助器具の外観の斜視図。
【図2】第1実施形態に係る誘導補助器具の把持部付近の斜視図。
【図3】第1実施形態に係る誘導補助器具の把持部付近を鉛直面で縦断した断面図。
【図4】第1実施形態に係る誘導補助器具の把持部付近を図3中A−A線に沿って水平面で縦断した断面図。
【図5】第1実施形態に係る誘導補助器具を用いて腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われている途中の状況を示す説明図。
【図6】第1実施形態に係る誘導補助器具の変形例を示し、その把持部付近を水平面で縦断した断面図。
【図7】第1実施形態に係る誘導補助器具の他の変形例を示す誘導補助器具の外観図。
【図8】第1実施形態に係る誘導補助器具のさらに他の変形例を示す誘導補助器具の外観図。
【図9】第1実施形態に係る誘導補助器具の外観斜視図。
【図10】第2実施形態に係る誘導補助器具の把持部付近を水平面で縦断した断面図。
【図11】第2実施形態に係る誘導補助器具の把持部付近を水平面で縦断した断面図。
【図12】第3実施形態に係る誘導補助器具の操作ロッド及びその先端に設けられる鉤状部の部分を上から見た状態の平面図。
【図13】図12中、B−B線に沿って断面して鉤状部を見た縦断面図。
【図14】第3実施形態に係る誘導補助器具の他の鉤状部を図12中、B−B線に対応する部分に沿って断面してその他の鉤状部を見た縦断面図。
【図15】第3実施形態に係る誘導補助器具のさらに他の鉤状部を図12中、B−B線に対応する部分に沿って断面してその他の鉤状部を見た縦断面図。
【図16】第3実施形態に係る誘導補助器具のさらに他の鉤状部を図12中、B−B線に対応する部分に沿って断面してその他の鉤状部を見た縦断面図。
【図17】第4実施形態に係る誘導補助器具全体の側面図。
【図18】同じく第4実施形態に係る誘導補助器具を分解して示す側面図。
【図19】同じく第4実施形態に係る誘導補助器具の縦断面図。
【図20】同じく第4実施形態に係る誘導補助器具の変形例の先端部付近の縦断面図。
【図21】第5実施形態に係る誘導補助器具を示し、(a)はその先端部付近を縦断して横から見た断面図、(b)はその先端部の正面図、(c)はその先端部付近の平面図、(d)はその先端部付近を縦断して上から見た断面図。
【図22】第6実施形態に係る誘導補助器具の把持部材の縦断面図。
【図23】従来の把持器具の把持部の外観斜視図。
【符号の説明】
1…誘導補助器具、2…挿入部用シース、3…操作部、5…操作ロッド、
6…把持部材、7…弾性部材、8…開口、9…開放端縁部、10…先端上縁部、
11…凸部、12…把持収納用空間部、21…ハンドル、25…把持部、
31…腹腔、32…腹壁、35…胆嚢、36…胆嚢管、37…総胆管。
Claims (3)
- 体腔内に導入したカテーテルや内視鏡等の医療器具を体腔内の切込み開口部等の所定部位に誘導するための誘導補助器具において、
挿入部用シース部と、
このシース部に装着された進退自在な操作ロッドと、
この操作ロッドの先端に連接され、鉤状の把持部を有し、その把持部内側に前記医療器具の被把持部分を受け止める把持面を形成した把持部材と、
前記シース部の先端に連接され、前記操作ロッドを挿通する筒状の部材からなり、前記把持部材の把持部と対向してその把持部内に取り込んだ前記医療器具の被把持部分を受け止めて弾性的に変形して前記把持部の把持面との間で前記医療器具の被把持部分を挟み込む弾性部材と、
前記シース部の基端側に設けられ、前記操作ロッドを介してこの操作ロッドの先端に連接された把持部材或いは弾性部材を進退させると共に、前記把持部材の把持部と前記弾性部材との間に前記医療器具の被把持部分を挟み込む把持操作を行う把持操作手段と、
を具備したことを特徴とする誘導補助器具。 - 前記把持部材の把持面は、前記操作ロッドの進退方向に対して斜めに傾斜している面を含むことを特徴とする請求項1に記載の誘導補助器具。
- 前記把持操作手段は、前記把持部材と前記弾性部材が近づく向きに前記操作ロッドを移動させる付勢力をその操作ロッドに与える弾性力付勢手段と、待機位置において前記把持部材に前記弾性部材が押し付けられる前の位置に前記操作ロッドを停止させるストッパ手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導補助器具。
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