JP3803134B2 - ディスペンサー装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明はディスペンサー装置に関する。さらに詳しくは、2kg/cm2未満の低圧で液体などを噴霧ないし噴出させるディスペンサー装置に関する。なお本発明が対象とする内圧が2kg/cm2未満のものは、エヤゾール装置ではない(高圧ガス取締法参照)。
【0002】
【従来の技術】
通常のエヤゾール装置は耐圧性を有する金属製または合成樹脂製の有底筒状の容器本体と、その上端に設けられたマウンティングカップにより保持されるエヤゾールバルブと、容器本体内に充填した液化ガスあるいは圧縮ガスなどのプロペラントおよび原液とから構成されている。プロペラントにより生じる容器本体内の内圧は通常は2〜5kg/cm2であり、バルブを解放することにより、バルブに取り付けたノズルから原液を噴霧ないし吐出するようにしている。さらに容器本体は、環境温度が50℃になったときでも破裂せず、漏れが所定値以下となるような耐圧性およびシール性が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の金属製の容器本体を備えたエヤゾール装置は耐圧性が充分高い反面、重量が大きく、しかも使用した後は廃棄物の容積が大きい。すなわちエヤゾール装置はリサイクルしにくいので全体を廃棄することになるが、容器本体はしっかりした作りになっており、押しつぶしにくい。そのためそのままの形状で廃棄される。また焼却処分する場合は可燃性の液化ガスはもちろんであるが、圧縮ガスの場合でも、内圧が高くなって破裂する危険性がある。
【0004】
他方、合成樹脂製の容器本体を用いたエヤゾール装置は耐圧性の点から、かなり厚くする必要がある。そのため廃棄する場合につぶすことができない。したがって軽量にすることはできても容積はそれほど小さくすることはできない。また合成樹脂は周囲温度が高くなると軟化して剛性が低下するので、それほど高温にならなくてもバルブが吹き飛ぶ場合がある。そのため従来の合成樹脂製のエヤゾール装置は、100cm3 以下の小容積のものしか採用されていない。
【0005】
本発明は容積が大きくても重量がそれほど大きくならず、また周囲温度が所定の範囲内では剛性が失われず、しかも使用後の廃棄処分が容易なエヤゾール装置を提供することを技術課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のディスペンサー装置は、熱可塑性を有さない紙を主体とする耐圧構造壁を構成するパイプおよびそのパイプ内に密接して収容されるガス非透過性の合成樹脂製の内袋を備えた容器本体と、その容器本体の上端開口部を塞ぐように設けられるバルブと、前記内袋内に充填された圧力2kg/cm2未満の圧縮ガスおよび原液とからなることを特徴としている。また、紙を主体とするパイプは、再使用可能なものとすることができる。
【0007】
前記ディスペンサー装置においては、前記パイプの上端に剛性材料からなる筒状のドームを設け、そのドームの上端のビード部に、前記内袋の上端とバルブを保持するマウンティングカップの周縁とを一緒に巻き締めするようにしてもよい。
【0008】
また前記耐圧構造壁を柔軟な紙製の袋とし、シール壁をその紙製の袋に密接された合成樹脂製の袋としてもよい。その場合は内圧を1kg/cm2以内とするのが好ましい。
【0009】
【作用】
本発明のディスペンサー装置においては、容器本体が熱可塑性を有しない材料から構成されているので、周囲の温度がある程度上昇しても、バルブが抜け飛ぶことが少ない。また可燃性の材料からなるので、使用後に焼却することができる。そのため廃棄処分が簡単である。ただし再使用可能な紙製の耐圧構造壁は、回収して再度使用することができる。さらに容器本体を紙を主体とする耐圧構造壁を構成するパイプとガス非透過の合成樹脂製の内袋とから構成しており、内袋がパイプに密接しているので、紙を主体とするパイプ内袋を介した内圧に抗して容器の強度を保持し、形状を維持すると共に、内袋が内容物、すなわち圧縮ガスと原液の漏出を防ぐ。また充填時の内圧が2kg/cm2未満と低いので、紙製の構造壁であっても充分に内圧に抗することができる。しかしながら使用後は内圧が低下し、内圧が0近くなるので、外部から部分的に力を加えると比較的容易に変形する。そのため廃棄するときにつぶして容積を小さくすることができる。また構造壁は紙を主体としているので、周囲温度が上昇しても容器内部まで温度が伝わりにくく、内部の温度は上昇しにくい。しかも紙製の構造壁は、所定の範囲内であれば、剛性が低下しない。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本発明のディスペンサー装置の好ましい実施の形態を説明する。図1は本発明のディスペンサー装置の一実施形態を示す断面図、図2は図1の要部拡大断面図、図3は本発明の範囲外のディスペンサー装置を示す一部切り欠き斜視図、図4は本発明の範囲外のバルブの取りつけ状態を示す要部断面図、図5の本発明の範囲外のディスペンサー装置を示す斜視図である。
【0011】
図1において符号1は容器本体であり、その容器本体1の上端開口部にはエヤゾールバルブ2により気密に塞がれている。容器本体1の内部には、原液3が充填され、その上の空所4には圧縮ガスが充填されている。
【0012】
容器本体1は円筒状の紙を主体とするパイプ5と、その中に収容される合成樹脂製の内袋6とを備えており、パイプ5の上端にはアルミニウムなどの金属板製の筒状のドーム7が固着されている。パイプ5はラップフィルムなどの巻き芯に使用する厚さ0.3〜4mm程度の板紙製の筒を、所定の長さに切断したものなどを使用することができる。パイプ5の厚さは厚いほうが内圧に対抗する強度、外部から加わる力に対抗する強度、耐座屈性、断熱性などが高いため、たとえば1mm以上、とくに1.5〜2mm以上にするのが好ましい。しかし材料の節約および使用後の廃棄の容易さを考えると、3mm以下、なかんずく2.5〜2.0mm以下にするのが好ましい。紙としては板紙などの外包装用の紙材料が好ましいが、所定の強度を有するものであればいずれも使用することができる。なお比較的厚手の紙製のパイプ5およびドーム7などは、回収して再使用することもできる。
【0013】
パイプ5の外表面を合成樹脂フィルム、たとえばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどのフィルムでラッピングないしコーティングすると、耐湿性が向上すると共に、引っ張り強度が向上し、内圧に対抗する強度が高くなるので好ましい。なおフィルムはパイプ5の内面にラッピングないしコーティングしてもよく、また紙の間に積層してもよい。パイプ5の材料として、紙と合成樹脂フィルムとのラミネート材、あるいは紙とアルミニウム箔などの金属箔とのラミネート材など、紙と他のシートとのラミネート材を用いて、引っ張り強度を向上させたり、気密性を向上させることもできる。それらの強度が高い紙材料を用いる場合は場合は、厚さを薄くすることができる。しかもこのような強度が高い紙製のパイプ5は、再使用し易い利点がある。
【0014】
前記の内袋6はガスバリヤ性の合成樹脂、たとえばエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの単層ないし多層のフィルムから構成されている。この内袋6は平坦なフィルムを袋状に溶着して構成することもできるが、充分な強度を与えるため、とくに底部を球面状にして内圧に対抗する充分な強度を与えるため、ブロー成形により立体的に一体に成型するのが好ましい。そのような内袋として、いわゆる二重エヤゾール容器、すなわち金属容器の内部に柔軟な内袋を収容し、内袋内に原液を充填し、内袋と金属容器の間にプロペラントを充填するタイプのエヤゾール装置における内袋を、そのまま採用することができる。内袋6の底部側は0.3〜2.0mm程度と厚くし、胴部は0.1〜1mm程度、上部は0.2〜1mm程度と薄くするのが好ましい。なお内袋6としてアルミニウム箔などの金属箔を採用することもでき、金属箔と合成樹脂フィルムのラミネートシートを採用することもできる。その場合の金属箔の厚さは、たとえば5〜50μm 程度、ラミネートシートは50〜200μm 程度が好ましい。
【0015】
前記ドーム7は図2に示すように、パイプ5の内周面に接着される円筒部7aと、その上端から連続する円錐台状の肩部7bと、その上端に形成される外向きにカールしたビード部7cとからなり、たとえばアルミニウムの深絞り缶(1ピース缶)の上部を切断するか、あるいは同様の製造工程により製造しうる。なおドーム7も紙製品または合成樹脂成形品などで製造することもできる。
【0016】
バルブ2は図2に示すように、マウンティングカップ8と、それに対してバルブラバー9を介して固着したハウジング10と、ハウジング10内に上下動自在に収容されたステム11と、ステム11を上方に付勢するバネ12とからなる公知のものである。またハウジング10の下端にはディップチューブ13が嵌合されている。バルブ2は他の形態のもの、たとえばステム11を傾倒させることにより噴出させるものなどであってもよい。本実施形態ではバルブ2のマウンティングカップ8の周縁と内袋6の上端は一緒にドーム7のビード部7cに巻き締めている。しかしマウンティングカップ8の周縁を直接パイプ5の上端に固着するようにしてもよい。
【0017】
容器本体1の内容積はとくに制限されない。すなわち金属缶で使用されている大きさのものは紙パイプと内袋の容器本体でも可能であり、10〜300cm3 程度が用いられる。パイプ5と内袋6の厚さおよび強度は、容器本体の容積および内圧の大きさに応じて適切に選択する。通常は2kg/cm2の基準内圧に対し、その1.5〜2倍、すなわち3〜4kg/cm2の耐圧性を持たせるようにする。
【0018】
上記のディスペンサー装置Aはステム11上に取りつけた押しボタン14を押すことにより、バルブを開き、圧縮ガスの加圧力で原液を噴霧などの形態で吐出することができる。圧縮ガスとしては通常は窒素を用いるが、空気、炭酸ガス、酸素などであってもよい。またこのようなエヤゾール装置で用いる原液は、トリートメント、整髪料、補湿液、除こう液、化粧水などの化粧品、さらに園芸用、家庭用などの殺虫剤、飲料水、抗菌スプレー、食用油などの食品など、通常のエヤゾール装置で使用する原液を用いることができる。また吐出形態も噴霧、液状吐出のいずれも採用しうる。ただし低圧の圧縮ガスを用いることから、泡状に吐出する発泡吐出はできない。
【0019】
上記のディスペンサー装置Aはパイプ5や合成樹脂製の内袋6を容器本体1に用いているので、直射日光が当たる位置に置いたり、ストーブのそばに置いた場合でも、容器の温度が上がりにくく、安全である。さらに使用後は比較的簡単につぶすことができ、低容積で廃棄することができる。なおパイプ5の厚さを1〜2mm程度と薄くしておけば、一層廃棄し易い。その場合は内圧を1kg/cm2以下程度に下げておく。またパイプ5と内袋6およびドーム7を外せるようにしておけば、可燃物と非燃物とに分けて廃棄することもできる。さらに万一、内圧が残存している状態で廃棄し、誤って焼却炉内で焼却したとしても、残存圧力が低く、パイプ5や内袋6が燃えるので、爆発する危険が少ない。
【0020】
図3のディスペンサー装置Bは本発明の範囲外のものであるが、市販されている牛乳や酒の紙パックと同じ直方体状の紙容器20を容器本体として用いたものである。紙容器20は紙の一面に合成樹脂フィルムをコーティングした紙基材を箱状に折り曲げ、所定の側縁同士を接着したものである。バルブ2はたとえば合成樹脂製のマウンティングカップ8を紙容器20の上面に接着することにより固定する。また図4に示すように、マウンティングカップ8のフランジ部21にネジ22を形成し、固定用のナット23で挟み込むことにより固定することもできる。
【0021】
このものは紙容器20を構成する紙基材の厚さが1〜2mmと薄いので、内圧は1kg/cm2以下と低くする。しかし廃棄する場合は、前述の板紙製のパイプ5を用いるエヤゾール装置Aに比して一層廃棄し易い。このものはたとえばステムの上端にチューブを取りつけ、病人や幼児に飲料を飲ませるのに使用することができる。
【0022】
図5のディスペンサー装置Cは本発明の範囲外のものであるが、紙とアルミニウム箔および合成樹脂フィルムをラミネート下複合基材を筒状に構成した紙容器24と、その開口部25に挟んで固定したバルブ2とから構成される。開口部25はヒートシールなどで閉じることができる。このものも図5のディスペンサー装置Bと同様の原液を収容することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明のディスペンサー装置は熱可塑性を有さず、かつ可燃性の材料からなるガス非透過性の容器本体を用いており、さらに内圧が2kg/cm2未満と低いので、周囲温度が高くなっても比較的安全である。また使用後は焼却できるので、廃棄処分が容易で安全である。また容器本体を紙を主体とする耐圧構造壁であるパイプと、ガス非透過性のシール壁となる内袋とから構成しているので、容積が大きくても重量がそれほど大きくならない。また熱伝導率が低いので、周囲温度が高くなっても内部の温度はそれほど上がらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスペンサー装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】本発明の範囲外のディスペンサー装置の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図4】本発明の範囲外のバルブの取りつけ状態を示す要部断面図である。
【図5】本発明の範囲外のディスペンサー装置の他を示す斜視図である。
【符号の説明】
A ディスペンサー装置
1 容器本体
2 バルブ
3 原液
4 空所
5 パイプ
6 内袋
7 ドーム
B ディスペンサー装置
20 紙容器
C ディスペンサー装置
24 紙容器

Claims (3)

  1. 熱可塑性を有さない紙を主体とする耐圧構造壁を構成するパイプおよびそのパイプ内に密接して収容されるガス非透過性の合成樹脂製の内袋を備えた容器本体と、
    その容器本体の上端開口部を塞ぐように設けられるバルブと、
    前記内袋内に充填された圧力2kg/cm2未満の圧縮ガスおよび原液とからなる
    ディスペンサー装置。
  2. 前記紙を主体とするパイプが再使用可能なものである請求項1記載のディスペンサー装置。
  3. 前記パイプの上端に剛性材料からなる筒状のドームが設けられており、そのドームの上端のビード部に、前記内袋の上端とバルブを保持するマウンティングカップの周縁とが一緒に巻き締めされている請求項1記載のディスペンサー装置。
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