JP3803006B2 - 給紙装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給紙装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリやこれらの複合機、印刷機等の画像形成装置に適用されて、用紙を積層保持する底板と、底板に積層された複数枚の用紙を1枚ずつ分離給送する給紙部材とを備える用紙収納部を、装置本体に用紙の給送方向と直交する方向にスライド自在に収納する給紙装置がある。
【0003】
このような給紙装置には、特開平9−290934号公報や特開平6−144600号公報に開示されているように、給紙部材によって分離給送される1山目の用紙を積層する第1底板と、操作者による2山目の用紙の補充を受け付ける第2底板とを用紙収納部内に設けて、第1底板上の1山目の用紙がなくなると第2底板上に積層された2山目の用紙を第1底板上に移送させるようにしたものがある。これによって、単一の用紙収納部内に用紙を2山積層保持することが可能になり、大量の用紙を消費する場合にも用紙補充の頻度を少なくすることが可能になる。
【0004】
特に、特開平6−144600号公報では、一端が第2底板に取り付けられて用紙の給紙方向の両側を規制する一対のサイドフェンスが設けられた給紙装置が開示されている。同公報に開示された技術によれば、用紙収納部の引き出しに際して、底板上に積層された用紙に作用する慣性力をサイドフェンスにより抑制することが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平9−290934号公報に開示された技術では、底板上に多量の用紙を積層した状態で用紙収納部を引き出しまたは収納する際には、用紙に慣性力が作用するため、特に上位側の用紙が正規の位置からずれてしまう、あるいは、積層した用紙が崩れてしまうといった事態が発生することが懸念される。
【0006】
また、特開平6−144600号公報に開示された技術でも、サイドフェンスは第2底板側の一端部で固定されているため、用紙を多量に積層した状態で用紙収納部を引き出しまたは収納する際に、サイドフェンスと第2底板との固定部から離れた位置にある上位の用紙からの過剰な慣性力が作用した場合には、サイドフェンスが撓んで折角積層した用紙が正規の位置からずれてしまう。
【0007】
用紙が正規の位置からずれてしまうと、2山目の用紙の移送に際して、用紙の一部が周辺の部材に干渉して用紙の移送ができなくなってしまう。用紙が正規の位置からずれた場合には、操作者が用紙収納部内の用紙の位置を元に戻さなくてはならず、作業が煩雑になる。
【0008】
加えて、特開平6−144600号公報に開示された技術では、サイドフェンスが底板に固定されているため、用紙収納部に積層する用紙サイズによってはサイドフェンスとの間に隙間が生じ、このために用紙収納部を引き出しまたは収納する際に用紙が正規の位置からずれてしまう。
【0009】
このため、各種サイズの用紙を積層する場合には、各サイズ毎に合わせたサイドフェンスを用意しなければならず、部品点数や、サイドフェンスを交換する作業等が増加してしまう。
【0010】
本発明は、用紙補充に際して、用紙のずれを防止することができる給紙装置および画像形成装置を得ることを目的とする。
【0011】
本発明は、用紙補充に際して、用紙のずれを防止するとともに、操作者に対して、用紙補充に際する作業性を向上させることができる給紙装置および画像形成装置を得ることを目的とする。
【0012】
本発明は、補強部材等を設けるスペースを格別確保せずに、用紙補充に際する用紙のずれを防止することができる給紙装置および画像形成装置を得ることを目的とする。
【0013】
本発明は、用紙補充に際して、各種サイズの用紙のずれを防止することができる給紙装置および画像形成装置を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の給紙装置は、ケーシングと、前記ケーシング内に引き出し自在に収納される用紙収納部と、前記用紙収納部内に並列的に配置され、各々独立して用紙を積層保持する第1および第2底板と、前記第1底板上に積層された前記用紙を1枚ずつに分離して前記用紙収納部の引き出し方向に略直交する方向に給紙する給紙部材と、前記第2底板上に積層された前記用紙を前記第1底板上へ移送する移送部材と、前記移送部材による前記用紙の移送経路に干渉して設けられて前記用紙収納部内の用紙の移動を規制する規制部材と、前記移送部材による前記用紙の移送中においては前記移動経路上から前記規制部材を退避させる退避手段と、前記給紙部材による給紙動作中における前記用紙収納部の引き出しに際しては前記第2底板のみの引き出しを許容するスライドロック機構と、前記給紙部材による給紙方向下流側を開放して一端部側が前記第2底板に固定されて他端部側が上方に延出された一対のガイドフェンスと、一部が引き出し側の前記ガイドフェンスに固定され、別の一部が収納側の前記ガイドフェンスに固定された固定部材と、を備える。
【0015】
したがって、給紙動作の実行の有無に関わらず用紙収納部が引き出しあるいは収納されることによって、第2底板上に積層された用紙の慣性力がガイドフェンスに作用された場合にも、固定部材によってガイドフェンスの間隔が一定に保持される。また、移送部材によって第2底板上に積層された用紙が移送される際には、退避手段によって規制部材が移送経路から退避される。これによって、大量の用紙を積層するために用紙収納部内に積層された2山目の用紙である第2底板上に積層された用紙を、所定の位置に保持することが可能になる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の給紙装置において、前記固定部材と前記ガイドフェンスとの固定は、解除可能である。
【0017】
したがって、例えば用紙を補充する際等に、固定部材とガイドフェンスとの固定が解除される。これによって、用紙を補充する際に固定を解除した固定部材を取り外すことで、用紙の補充をスムーズに行うことが可能になる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の給紙装置において、前記固定部材は、前記ガイドフェンスの上側に設けられ、前記引き出し側の前記ガイドフェンスとの固定が解除可能であり、前記収納側の前記ガイドフェンスに対して回動自在に取り付けられている。
【0019】
したがって、例えば用紙を補充する際等に、操作者に対して手前側となる引き出し側における固定部材とガイドフェンスとの固定が解除され、収納側のガイドフェンスとの固定位置が回動中心とされて回動される。これによって、用紙を補充する際の作業スペースを確保するために固定部材とガイドフェンスとの固定を解除した場合にも、固定部材の紛失を防止することが可能になる。
【0020】
請求項4記載の発明の給紙装置は、ケーシングと、前記ケーシング内に引き出し自在に収納される用紙収納部と、前記用紙収納部内に並列的に配置され、各々独立して用紙を積層保持する第1および第2底板と、前記第1底板上に積層された前記用紙を1枚ずつに分離して前記用紙収納部の引き出し方向に略直交する方向に給紙する給紙部材と、前記第2底板上に積層された前記用紙を前記第1底板上へ移送する移送部材と、前記移送部材による前記用紙の移送経路に干渉して設けられて前記用紙収納部内の用紙の移動を規制する規制部材と、前記移送部材による前記用紙の移送中においては前記移動経路上から前記規制部材を退避させる退避手段と、前記給紙部材による給紙動作中における前記用紙収納部の引き出しに際しては前記第2底板のみの引き出しを許容するスライドロック機構と、前記給紙部材による給紙方向下流側を開放して一端部側が前記第2底板に固定されて他端部側が上方に延出された一対のガイドフェンスと、少なくとも一部が収納側の前記ガイドフェンスに固定され、前記用紙収納部が前記ケーシング内に収納されている状態では別の一部が前記ケーシングの内壁面に当接される衝撃吸収部材と、を備える。
【0021】
したがって、給紙動作の実行の有無に関わらず用紙収納部が引き出しあるいは収納されることによって、第2底板上に積層された用紙の慣性力がガイドフェンスに作用された場合にも、衝撃吸収部材によってガイドフェンスに作用した慣性力が吸収される。また、移送部材によって第2底板上に積層された用紙が移送される際には、退避手段によって規制部材が移送経路から退避される。これによって、補強部材を設けることが装置のレイアウト上困難な場合にも、大量の用紙を積層するために用紙収納部内に積層された2山目の用紙である第2底板上に積層された用紙の慣性力によって装置内に発生する衝撃や振動を低減することが可能になる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の給紙装置において、前記収納側の前記ガイドフェンスは前記用紙の給紙方向と略直交する方向に変位自在である。
【0023】
したがって、例えば積層する用紙サイズに合わせて、収納側のガイドフェンスが用紙の給紙方向と略直交する方向に変位される。これによって、積層する用紙サイズに依存することなく、用紙収納部の引き出しあるいは収納に際して、第2底板上に積層された用紙の慣性力によって装置内に発生する衝撃や振動を低減することが可能になる。
【0024】
請求項6記載の発明の画像形成装置は、請求項1ないし5いずれか一記載の給紙装置と、前記給紙装置により給紙された用紙に所定の画像を形成する画像形成部と、を備える。
【0025】
したがって、例えば用紙の補充に際して、請求項1ないし5いずれか一記載の作用が実現される。これによって、装置の利便性の向上を図ることが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図5に基づいて説明する。本実施の形態は、画像形成装置としての複写機1への適用例である。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態の複写機1を示す縦断面図である。複写機1のケーシング2内には、ケーシング2の上側に配置された画像読取ユニット3と、画像読取ユニット3の下側に配置された画像形成ユニット4と、ケーシング2内下側に配置された給紙装置としての給紙ユニット5とから形成されている。
【0028】
画像読取ユニット3には、上面に原稿が載置されるコンタクトガラス6が設けられている。このコンタクトガラス6の下側には、照明ランプ7とミラー8とが搭載された第1走行体9と、ミラー10、11が搭載された第2走行体12とが、図示しないモータによって副走査方向に2:1の速度比で移動可能に設けられている。ミラー11からの反射光路上には、結像レンズ13を介してCCD14が配置されている。
【0029】
画像形成ユニット4内には、給紙ユニット5から給紙された用紙を画像形成部15、定着器16を経由して排紙トレイ17へ案内する用紙案内路18が形成されている。画像形成部15には、感光体19が配置されている。この感光体19の周囲には、感光体19の表面を一様に帯電させる帯電器20、感光体19の表面を露光走査することで潜像を形成する露光器21、潜像に対してトナーを付着させることでトナー像を形成する現像器22、このトナー像を給紙ユニット5から給紙された用紙に転写させる転写器23、一対のローラ24、25に巻回されて用紙を所定方向へ搬送する搬送ベルト26、および、感光体19表面に残存するトナーを除去するクリーナー27が設けられている。画像形成部15によりトナー像が転写された用紙は、定着器16により加圧および加熱されることによりトナー像が定着される。
【0030】
給紙ユニット5には、ケーシング2に対して、図1中紙面手前側にスライド自在に収納されて、それぞれが複数枚の用紙を積層保持する給紙トレイ28、29および大量給紙トレイ30が設けられている。給紙トレイ28、29については詳細な説明を省略するが、大量給紙トレイ30は、給紙方向に直交する方向に延出する一対のスライドレール31にスライド自在に支持されており、これによって、大量給紙トレイ30のスライドを可能にしている。なお、本実施の形態では、大量給紙トレイ30が用紙収納部とされている。
【0031】
給紙トレイ28、29および大量給紙トレイ30に積層保持された用紙は、給紙方向下流側(図1中右側)にそれぞれ設けられた給紙部材としての給紙部32により、画像形成ユニット4に向けて1枚ずつ分離給送される。
【0032】
給紙部32は、圧接された最上位の用紙を給紙方向下流側へ向けて送り出すピックアップローラ33、ピックアップローラ33により送り出された用紙を1枚ずつ分離する分離ローラ34、35により形成されている。
【0033】
大量給紙トレイ30については後述するが、給紙トレイ28、29では、給紙トレイ28、29の下方に設けられた付勢部材36によって用紙を上方へ付勢することにより、ピックアップローラ33に用紙を圧接させている。
【0034】
給紙部32によって分離された用紙は、搬送ローラ37によって給紙ユニット5中の所定の搬送経路を搬送されて画像形成ユニット4に排紙される。
【0035】
次に、大量給紙トレイ30について詳細に説明する。図2は給紙ユニット5の大量給紙トレイ30を図1中の紙面手前側に引き出した状態を示す斜視図、図3は大量給紙トレイ30の一部を示す断面図、図4はその平面図である。
【0036】
大量給紙トレイ30内は、それぞれが独立して複数枚の用紙を積層保持する第1収納部38と第2収納部39とに2分されている。
【0037】
第1収納部38には、後述する昇降機構40(図5参照)により昇降自在であって給紙部32により分離給送される用紙を積層保持する第1底板41が設けられている。
【0038】
この第1底板41には、給紙方向に直交する方向の両側、すなわち、大量給紙トレイ30の引き出し側と収納側で用紙の位置を規制する一対の第1サイドフェンス50が設けられている。第1サイドフェンス50は、ラックアンドピニオン機構51により、給紙方向に直交する方向に沿ってスライド自在に設けられている。
【0039】
第1サイドフェンス50の用紙と対峙する側の裏面側には、規制部材としてのL字型のエンドフェンス53が設けられている。エンドフェンス53は、一端が第1サイドフェンス50に設けられた支軸52を回動中心として第1サイドフェンス50から離反する方向へ回動自在に取り付けられ、給紙方向上流側(図1中左側)に位置する他端が大量給紙トレイ30の内側へ向けて折り曲げられている。
【0040】
本実施の形態では、エンドフェンス53は、第1サイドフェンス50のスライドに対応して、給紙方向に直交する方向に沿ってスライド自在である。
【0041】
ここで、図5は、昇降機構40を示す斜視図である。給紙方向下流側の第1底板41の下側には、両端側にローラ42が取り付けられた底板上昇軸43が給紙方向に対して直交する向きに設けられている。このローラ42には、ローラR1、R2を巻回された2本の底板上昇ワイヤ44の一端がそれぞれ取り付けられている。一方の底板上昇ワイヤ44の他端は、第1底板41の下側に給紙方向に対して直交する向きに設けられた支持部材45の両端にそれぞれ取り付けられている。他方の底板上昇ワイヤ44の他端は、第1底板41の下側で支持部材45に略平行にに設けられた支持部材46にそれぞれ取り付けられている。底板上昇軸43の一方の端部には、底板上昇軸43の軸方向に対して直交するピン47が取り付けられている。このピン47は、ケーシング2内に固定的に設けられたモータ48に取り付けられたカップリング49に係合されている。
【0042】
第2収納部39には、操作者によって補充される用紙を積層する第2底板54が設けられている。第2底板54の引き出し側と収納側とには、一端部側が第2底板54に固定されて他端側が上方に延出されて、給紙方向に直交する方向の両側で積層された用紙の移動を規制するガイドフェンスとしての一対の第2サイドフェンス55(55a、55b)が設けられている。
【0043】
第2収納部38の給紙方向上流側には、給紙方向に沿ってスライド自在な押圧部材56が設けられている。この押圧部材56は、スライダ63に取り付けられている。スライダ63は、DCモータ57により正逆回転自在に駆動される駆動プーリー58と従動プーリー59、60、61とに巻回されたタイミングベルト62に結合されている。本実施の形態では、押圧部材56、DCモータ57、駆動プーリー58、従動プーリー59、60、61が移送部材とされている。
【0044】
また、本実施の形態では、押圧部材56はスライダ63に変位自在に取り付けることが可能な構成となっており、積層する用紙サイズに合わせて押圧部材56の取り付け位置を変更することが可能である。
【0045】
スライダ63には突出片64が形成されている。大量給紙トレイ30には、この突出片64を検出する図示しない検出センサが設けられている。本実施の形態では、突出片64が検出センサによって検出される位置が押圧部材56のホームポジションとされている。
【0046】
第2サイドフェンス55の第1サイドフェンス50と反対側の端面、および、第2サイドフェンス55の上側には固定部材65、66が設けられている。固定部材65は、一部が第2サイドフェンス55aにねじ留めされ、別の一部が第2サイドフェンス55bにねじ留めされている。また、固定部材66は、一部が第2サイドフェンス55aにねじ留めされ、別の一部が第2サイドフェンス55bにねじ留めされている。この固定部材65、66を形成する材質としては、所定の外力が加わった際に伸縮しないものであればよく、プラスチック等の合成高分子材料や金属等格別な材質の限定はない。
【0047】
また、大量給紙トレイ30内には、画像形成動作の実行の有無に応じて、第1収納部38のスライドを規制するスライドロック機構としてのロック機構67が設けられている。このロック機構67は、ケーシング2内に固定的に設けられたソレノイド68と、第1ロック爪69と、連結部材70と、第2ロック爪72とにより形成されている。第1ロック爪69は、ソレノイド68のON/OFFにより揺動されて、ソレノイド68がONの状態では第1収納部38の一部に係合される。第2ロック爪72は、第1収納部38に設けられた支軸71を回転中心として回転自在に設けられている。第2ロック爪72は、ソレノイド68のON/OFFにより連結部材70を介して揺動されて、ソレノイド68がOFFの状態では第2収納部39の一部に係合されて、第1収納部38と第2収納部39とを一体化させる。
【0048】
加えて、特に図示しないが、複写機1は制御部を有しており、この制御部によって画像読取ユニット3、画像形成ユニット4および給紙ユニット5の各部を駆動制御する。
【0049】
制御部は、センサ(図示せず)により第1収納部38の用紙がなくなったことが検出されると、モータ48を回転駆動させることによってカップリング49に係合されたピン47を回転させて、ローラ42に巻回されている底板上昇ワイヤ44を伸ばす。これによって、第1底板41が、水平を維持して下降される。
【0050】
また、制御部は、第1底板41の用紙積層面の高さが、図3に示すように、第2底板54の用紙積層面の高さと同等あるいは低くなるまで第1底板41を下降させた時点で、支軸52を回動中心としてエンドフェンス53を第1サイドフェンス50から離反する方向へ回動させる。これによって、第1収納部38と第2収納部39とが完全に連通される。ここに、退避手段が実現される。
【0051】
なお、第2底板54上に積層された用紙を第1底板上に移送させる場合以外には、制御部によってエンドフェンス53の回動が規制される。これによって、移送時意外に第2底板54上の用紙が給紙方向に沿って下流側に移動した場合にも、図3に示すように、エンドフェンス53によってそれ以上の移動が規制され、給紙部32による給紙を妨げることを防止することができる。
【0052】
さらに、制御部は、エンドフェンス53を回動させることにより第1収納部38と第2収納部39とが完全に連通されると、DCモータ57を回転駆動させて、この駆動力をタイミングベルト62を介してスライダ63に伝達させる。これによって、スライダ63が給紙方向に沿ってスライドされ、スライダ63に取り付けられた押圧部材56が第2底板54上の用紙を第1底板41上に移送する。なお、用紙移送後は、突出片64が検出センサによって検出される位置までDCモータ57を逆回転駆動させる。これによって、押圧部材56がホームポジションに復帰される。
【0053】
加えて、制御部は、用紙の移送が終了すると、エンドフェンス53を回動させることにより大量給紙トレイ30に積層保持された用紙の移動を規制するとともに、昇降機構40におけるモータ48を逆回転駆動させることにより、最上位紙がピックアップローラ33に圧接されるまで第1底板41を再び上昇させる。
【0054】
また、制御部は、画像形成動作の実行中の有無に応じて、ロック機構67のソレノイド68のON/OFFを制御する。具体的に、非画像形成動作中にはソレノイド68がOFFとされて第2ロック爪72により第1収納部38と第2収納部39とを一体化させ、画像形成ユニット4での画像形成動作中にはソレノイド68がONとされて第1ロック爪69により第1収納部38のみのスライドを規制する。これによって、大量給紙トレイ30に対しての用紙の補充を、画像形成動作中であっても待機状態であってもいずれの場合にも受け付けることが可能になる。
【0055】
このような構成において、大量給紙トレイへの用紙の補充態様について説明する。用紙の補充に際しては、操作者は、まず、大量給紙トレイ30を図1中紙面手前側に引き出し、大量給紙トレイ30を引き出した状態で第2底板54上に用紙を積層した後、大量給紙トレイ30をケーシング2内に収納する。このとき、積層された用紙自身の慣性力によって第2底板54上に積層された用紙が手前側にずれようとする力が作用するが、固定部材65、66によって第2サイドフェンス55の間隔が一定に保持されているため、第2底板54に積層された用紙のずれを防止することができる。
【0056】
一方、大量給紙トレイ30をケーシング2内に完全に収納して、大量給紙トレイ30が停止する位置では、用紙の慣性力によって用紙が収納側にずれようとする力が作用するが、固定部材65、66によって第2サイドフェンス55の間隔が一定に保持されているため、第2底板54に積層された用紙のずれを防止することができる。
【0057】
なお、第1底板41上に積層された用紙は、ピックアップローラ33により圧接されているため、大量給紙トレイ30のスライドに際して用紙に慣性力が作用した場合にも用紙がずれたり崩れたりすることはない。
【0058】
また、本実施の形態では、画像形成装置として複写機1への適用例を示したが、これに限るものではなく、例えば、ファクシミリやインクジェットプリンタ、複写機とファクシミリとプリンタとの複合機や印刷機等へ適用してもよい。
【0059】
次に、第2の実施の形態について図6を参照して説明する。第2の実施の形態では、固定部材66の固定が解除自在である点が第1の実施の形態と異なる点である。
【0060】
図6は、本発明の第2の実施の形態の大量給紙トレイ30を示す斜視図である。第2の実施の形態では、固定部材66が、第2サイドフェンス55a側に設けられた支点73を回動中心として、大量給紙トレイ30から離反する方向へ回動自在に設けられている。固定部材66の第2サイドフェンス55b側の端部は、下方へ向けて突出する突起74が形成されている。この突起74は、固定部材66が用紙を固定する際には、第2サイドフェンス55bの上面に形成された孔75に係合される。
【0061】
このような構成において、大量給紙トレイ30への用紙の補充態様について説明する。用紙を補充する際には、まず、操作者は、第2サイドフェンス55bと固定部材66の突起74との係合を解除し、固定部材66を支点73を回動中心として大量給紙トレイ30から離反する方向へ回動させて第2底板54を完全に開放させる。この状態で第2底板54上に用紙を積層し、再び第2サイドフェンス55bの孔75と固定部材66の突起74とを係合させて、大量給紙トレイ30をケーシング2内に収納する。このとき、用紙の慣性力によって用紙が手前側にずれようとする力が作用するが、第2サイドフェンス55bの孔75と固定部材66の突起74とが係合しているため、第2サイドフェンス55の間隔が確実に一定に保持される。
【0062】
これによって、第2底板54上に用紙を高く積層した場合にも、第2底板54に積層された用紙がずれてしまうことなく、積層した状態のままケーシング2内に収納することができる。
【0063】
また、大量給紙トレイ30をケーシング2内に完全に収納して、大量給紙トレイ30が停止する位置では、用紙の慣性力によって用紙が収納側にずれようとする力が作用するが、第2サイドフェンス55bの孔75と固定部材66の突起74とが係合しているため、第2サイドフェンス55の間隔が確実に一定に保持される。
【0064】
これによって、第2底板54上に用紙を高く積層した場合にも、第2底板54に積層された用紙のずれを防止するとともに、用紙の補充に際する作業性の向上を図ることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、第2サイドフェンス55a側の固定部材66は、用紙の補充の際にも常に本体と一体であるため、固定部材の紛失を防止して、より利便性の高い複写機1を提供することができる。
【0066】
次に、第3の実施の形態について図7を参照して説明する。第3の実施の形態では、固定部材65が設けられておらず、第2サイドフェンス55aのケーシング2の収納側(図7中紙面左奥側)に、弾性部材が取り付けられている点が第1の実施の形態と異なる点である。
【0067】
図7は、本発明の第3の実施の形態の大量給紙トレイ30を示す斜視図である。第3の実施の形態の大量給紙トレイ30では、第2サイドフェンス55aのケーシング2の収納側に、支持部材76を介して弾性部材77が取り付けられている。支持部材76は、支持部材76の上側と下側とに形成された孔(図示せず)と、この孔に対峙する位置で第2サイドフェンス55aに上側と下側とに形成された孔とを重ねてねじ留めすることによって、第2サイドフェンス55aに固定される。弾性部材77は、用紙補充後に、大量給紙トレイ30をケーシング2内に完全に収納することで大量給紙トレイ30が停止する位置でケーシング2の内壁面に所定の当接力で当接するように取り付けられている。本実施の形態では、支持部材76および弾性部材77が衝撃吸収部材とされている。
【0068】
なお、弾性部材77は、例えばゴム、ウレタン等の所定の弾性を有する材質により形成されているものであればよい。また、支持部材76および弾性部材77により形成される衝撃吸収部材は、大量給紙トレイ30をケーシング2内に完全に収納した状態で、ケーシング2の内壁面に当接するものであればよく、大きさおよび形状の格別な指定を伴うものではない。
【0069】
このような構成において、大量給紙トレイ30への用紙の補充態様について説明する。用紙を補充する際には、大量給紙トレイ30を図1中紙面手前側に引き出した状態で第2底板54上に用紙を積層し、大量給紙トレイ30をケーシング2内に収納する。このとき、大量給紙トレイ30をケーシング2内に完全に収納することで大量給紙トレイ30が停止する位置において、用紙の慣性力によって作用する第2サイドフェンス55bを収納側に押圧する力が、弾性部材77によって吸収される。また、弾性部材77をケーシング2の内壁面という高強度の構造部材に当接させることにより、用紙の慣性力によって作用する第2サイドフェンス55bを収納側に押圧する力をより確実に低減することができる。
【0070】
これによって、例えば第2サイドフェンスの厚みが薄い場合等、第2底板54上に積層された用紙の移動を規制するための補強部材を新たに設けることが装置のレイアウト上困難である場合にも、大量給紙トレイ30のスライドによって装置内に発生した衝撃や振動等に起因する用紙のずれを確実に防止することが可能になる。
【0071】
なお、本実施の形態では、大量給紙トレイ30をケーシング2内に完全に収納した時点で、弾性部材77がケーシング2の内壁面に当接するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、上面開口の大量給紙トレイ30を使用した場合には、第2サイドフェンス55aと、第2サイドフェンス55aと対峙する大量給紙トレイ30の内壁面との間に支持部材76および弾性部材77を設けて、弾性部材77が常に第2サイドフェンス55aと第2サイドフェンス55aと対峙する大量給紙トレイ30の内壁面とに当接するようにしてもよい。
【0072】
次に、第4の実施の形態について図8を参照して説明する。第4の実施の形態では、積層する用紙のサイズに合わせて第2サイドフェンス55aをスライドさせた場合にも、弾性部材77による用紙の慣性力の吸収が可能である点が第3の実施の形態と異なる点である。
【0073】
図8は、本発明の第4の実施の形態の大量給紙トレイ30の一部を示す断面図である。第4の実施の形態では、第2サイドフェンス55aは、給紙方向に対して直交する方向に沿ってスライド自在に設けられている。この第2サイドフェンス55aの一端には、一端部に弾性部材77が取り付けられた支持部材76の他端部が着脱自在に取り付けられている。第4の実施の形態では、支持部材76が位置決め部材とされている。
【0074】
支持部材76には第2サイドフェンス55aのスライド方向に沿って上下に2個ずつの孔(図示せず)が形成されている。上側および下側にそれぞれ2個ずつ形成された孔は、第2底板54上に積層する用紙サイズに応じていずれか一方が選択される。本実施の形態では、B5サイズの用紙と、A4サイズとの2種類の用紙サイズに対応した位置に、第2サイドフェンス55aを変位させることが可能である。
【0075】
ここで、図8(a)は第2底板54状にB5サイズの用紙を積層する場合の第2サイドフェンス55aの取り付け状態を示す断面図、図8(b)は第2底板54状にA4サイズの用紙を積層する場合の第2サイドフェンス55aの取り付け状態を示す断面図である。第4の実施の形態では、支持部材76に第2サイドフェンス55aのスライド方向に沿って上下に2個ずつの孔(図示せず)が形成されているため、図8に示すように、第2底板54上に積層する用紙サイズに応じて第2サイドフェンス55aの取り付け位置が2段階に調整される。
【0076】
このような構成において、B5サイズの用紙を積層している状態からA4サイズの用紙を積層する状態に変更する際の第2サイドフェンス55aの変位態様、および、大量給紙トレイ30への用紙の補充態様について説明する。まず、操作者は、補充する用紙サイズに合わせた位置に、第2サイドフェンス55aを変位させる。次に、第2サイドフェンス55aの変位によって距離aから距離bへ変化した第2サイドフェンス55aとケーシング2との距離に対応させて、支持部材76に形成された孔を選択する。そして、選択された孔と第2サイドフェンス55aに形成された孔とをねじ留めする。このようにして、第2底板54上に積層する用紙サイズの変更に合わせて第2サイドフェンス55aにねじ留めする孔を支持部材76で変更することにより、第2底板54上に積層する用紙サイズを変更した場合にも、大量給紙トレイ30をケーシング2内に収納した状態における第2サイドフェンス55aとケーシング2の内壁面との間に隙間が生じない。
【0077】
これによって、例えば第2サイドフェンス55の厚みが薄い場合等、第2サイドフェンス55に補強部材を取り付けることが困難な場合にも、また、用紙がどのサイズであっても、大量給紙トレイ30をケーシング2内に収納することにより発生する衝撃や振動等に起因する用紙のずれを確実に防止することができる。
【0078】
なお、第4の実施の形態では、支持部材76に、第2サイドフェンス55aのスライド方向に沿って上下に2個ずつの孔を形成することにより、支持部材76の取り付け位置を段階的に調整することを可能としたが、これに限るものではなく、例えば、図9に示すように、支持部材76の上側と下側とに第2サイドフェンス55aのスライド方向を長手方向とする長孔78を形成することによって、支持部材76の取り付け位置を無段階的に調整するようにしてもよい。これによって、より多種類の用紙サイズに対応することができる。
【0079】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の給紙装置によれば、給紙動作の実行の有無に関わらず用紙収納部が引き出しあるいは収納されることによって、第2底板上に積層された用紙の慣性力がガイドフェンスに作用した場合にも、固定部材によってガイドフェンスの間隔を一定に保持することにより、大量の用紙を積層するために用紙収納部内に積層された2山目の用紙である第2底板上に積層された用紙を、所定の位置に保持することが可能になるので、用紙補充に際して、用紙のずれを防止することができる。
【0080】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の給紙装置において、用紙を補充する際に固定を解除した固定部材を取り外すことで、用紙の補充をスムーズに行うことが可能になるので、用紙補充に際して用紙のずれを防止するとともに、操作者に対して用紙補充に際する作業性を向上させることができる。
【0081】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の給紙装置において、例えば用紙を補充する際等に、操作者に対して手前側となる引き出し側における固定部材とガイドフェンスとの固定を解除して、収納側のガイドフェンスとの固定位置を回動中心として回動させることによって、用紙を補充する際の作業スペースを確保するために固定部材とガイドフェンスとの固定を解除した場合にも、固定部材の紛失を防止することが可能になるので、利便性の高い給紙装置を得ることができる。
【0082】
請求項4記載の発明の給紙装置によれば、給紙動作の実行の有無に関わらず用紙収納部が引き出しあるいは収納されることによって、第2底板上に積層された用紙の慣性力がガイドフェンスに作用した場合にも、衝撃吸収部材によってガイドフェンスに作用した慣性力を吸収することによって、補強部材を設けることが装置のレイアウト上困難な場合にも、大量の用紙を積層するために用紙収納部内に積層された2山目の用紙である第2底板上に積層された用紙の慣性力によって装置内に発生する衝撃や振動を低減することが可能になるので、補強部材等を設けるスペースを格別確保せずに、用紙補充に際する用紙のずれを防止することができる。
【0083】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の給紙装置において、例えば積層する用紙サイズに合わせて、収納側のガイドフェンスを用紙の給紙方向と略直交する方向に変位させることにより、積層する用紙サイズに依存することなく、用紙収納部の引き出しあるいは収納に際して、第2底板上に積層された用紙の慣性力によって装置内に発生する衝撃や振動を低減することが可能になるので、用紙補充に際して、各種サイズの用紙のずれを防止することができる。
【0084】
請求項6記載の発明の画像形成装置によれば、例えば用紙の補充に際して、請求項1ないし5いずれか一記載の作用が実現されるので、操作者に対して、利便性を向上させた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の複写機1を示す縦断面図である。
【図2】給紙ユニットの大量給紙トレイを図1中の紙面手前側に引き出した状態を示す斜視図である。
【図3】大量給紙トレイの一部を示す断面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】昇降機構を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の大量給紙トレイを示す斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の大量給紙トレイを示す斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の大量給紙トレイの一部を示す断面図である。
【図9】別の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 ケーシング
5 給紙装置
15 画像形成部
30 用紙収納部
32 給紙部材
41 第1底板
53 規制部材
54 第2底板
56〜61 移送部材
65、66 固定部材
67 スライドロック機構
76、77 衝撃吸収部材
76 位置決め部材
77 弾性部材

Claims (6)

  1. ケーシングと、
    前記ケーシング内に引き出し自在に収納される用紙収納部と、
    前記用紙収納部内に並列的に配置され、各々独立して用紙を積層保持する第1および第2底板と、
    前記第1底板上に積層された前記用紙を1枚ずつに分離して前記用紙収納部の引き出し方向に略直交する方向に給紙する給紙部材と、
    前記第2底板上に積層された前記用紙を前記第1底板上へ移送する移送部材と、
    前記移送部材による前記用紙の移送経路に干渉して設けられて前記用紙収納部内の用紙の移動を規制する規制部材と、
    前記移送部材による前記用紙の移送中においては前記移動経路上から前記規制部材を退避させる退避手段と、
    前記給紙部材による給紙動作中における前記用紙収納部の引き出しに際しては前記第2底板のみの引き出しを許容するスライドロック機構と、
    前記給紙部材による給紙方向下流側を開放して一端部側が前記第2底板に固定されて他端部側が上方に延出された一対のガイドフェンスと、
    一部が引き出し側の前記ガイドフェンスに固定され、別の一部が収納側の前記ガイドフェンスに固定された固定部材と、
    を備える給紙装置。
  2. 前記固定部材と前記ガイドフェンスとの固定は、解除可能である請求項1記載の給紙装置。
  3. 前記固定部材は、前記ガイドフェンスの上側に設けられ、前記引き出し側の前記ガイドフェンスとの固定が解除可能であり、前記収納側の前記ガイドフェンスに対して回動自在に取り付けられている請求項1または2記載の給紙装置。
  4. ケーシングと、
    前記ケーシング内に引き出し自在に収納される用紙収納部と、
    前記用紙収納部内に並列的に配置され、各々独立して用紙を積層保持する第1および第2底板と、
    前記第1底板上に積層された前記用紙を1枚ずつに分離して前記用紙収納部の引き出し方向に略直交する方向に給紙する給紙部材と、
    前記第2底板上に積層された前記用紙を前記第1底板上へ移送する移送部材と、
    前記移送部材による前記用紙の移送経路に干渉して設けられて前記用紙収納部内の用紙の移動を規制する規制部材と、
    前記移送部材による前記用紙の移送中においては前記移動経路上から前記規制部材を退避させる退避手段と、
    前記給紙部材による給紙動作中における前記用紙収納部の引き出しに際しては前記第2底板のみの引き出しを許容するスライドロック機構と、
    前記給紙部材による給紙方向下流側を開放して一端部側が前記第2底板に固定されて他端部側が上方に延出された一対のガイドフェンスと、
    少なくとも一部が収納側の前記ガイドフェンスに固定され、前記用紙収納部が前記ケーシング内に収納されている状態では別の一部が前記ケーシングの内壁面に当接される衝撃吸収部材と、
    を備える給紙装置。
  5. 前記収納側の前記ガイドフェンスは前記用紙の給紙方向と略直交する方向に変位自在である請求項4記載の給紙装置。
  6. 請求項1ないし5いずれか一記載の給紙装置と、
    前記給紙装置により給紙された用紙に所定の画像を形成する画像形成部と、
    を備える画像形成装置。
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