JP3802273B2 - 画像記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラー画像記録用の感光材料に対し、LED(light−emitting diode/発光ダイオード)素子から出射される光を利用してカラー画像を記録する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カラープリンターや色校正装置等のラスター走査型のカラー画像記録装置においては、一般にR、G、Bと呼称される赤色、緑色、青色の光に各々感光する赤感層、緑感層、青感層を備えたカラー画像記録用の感光材料が使用される。そして、このカラー画像記録用の感光材料に対し、赤色の光を出射する光源より赤色の光を、また、緑色の光を出射する光源より緑色の光を、さらに、青色の光を出射する光源より緑色の光を各々照射することにより、カラー画像を記録する構成となっている。
【0003】
このような画像記録装置においては、例えば、赤色の光を出射する光源としてその波長が632.8nmのレーザビームを出射するヘリウムネオンレーザを、また、緑色の光を出射する光源としてその波長が514.5nmのレーザビームを出射するアルゴンイオンレーザを、さらに、青色の光を出射する光源としてその波長が441.6nmのレーザビームを出射するヘリウムカドミウムレーザを、各々使用することができる。
【0004】
しかしながら、画像記録装置にこのような3種のガスレーザを使用した場合には、装置が極めて大型化し、また、そのコストも極めて高価となるため、実用的ではない。このため、近年、ガスレーザに換えてLED素子を使用することが検討されている。
【0005】
ところで、このような画像記録装置にLED素子を使用した場合には、LED素子の輝度の低さが問題となる。例えば、赤色の光を出射するLED素子としては、ガリウムとアルミニュウムと砒素を材質としたLED素子が開発されているが、緑色や青色の光を高い輝度をもって出射するLED素子は実用化されていなかった。
【0006】
しかしながら、近年、緑色や青色の光を高い輝度をもって出射するLED素子として、ガリウム(Ga)とナイトライド(N)とを利用したガリウムナイトライドLED素子や、インジウム(In)とガリウム(Ga)とナイトライド(N)とを利用したインジウムガリウムナイトライドLED素子等が開発されている(例えば、特開平4−100666号公報または特開平8−316528号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらのガリウムナイトライドLED素子やインジウムガリウムナイトライドLED素子(この明細書において、これらを総称して「GaN系LED素子」という)等のLED素子を上述した画像記録装置に応用する場合には、特に緑色と青色との間に発生する分色混合(分光混合)が問題となる。ここで、分色混合とは、赤色、緑色、青色の光が、それらと対応する赤感層、緑感層、青感層以外の感光層に影響を与え、感光材料の発色が濁る現象を指す。
【0008】
図16は、一般的なカラー画像記録用の感光材料の分光感度を示す図である。この図において、SRは赤感層の感光領域を、SGは緑感層の感光領域を、また、SBは青感層の感光領域を各々示している。
【0009】
一方、図17は、赤色にガリウムとアルミニュウムと砒素などを材料としたLED素子を、また、青色と緑色に上述したGaN系LED素子等を使用した場合の、赤色、緑色、青色の光の発光スペクトルを示す図である。この図において、LRは赤色の光を出射するためのLED素子から出射される光の波長領域を、LGは緑色の光を出射するためのLED素子から出射される光の波長領域を、また、LBは青色の光を出射するためのLED素子から出射される光の波長領域を各々示している。
【0010】
図16および図17に示すように、緑感層の感光領域と青感層の感光領域とは互いに重複しており、また、緑色の光を出射するためのLED素子から出射される光の波長領域と青色の光を出射するためのLED素子から出射される光の波長領域とは互いに重複している。このため、青感層は図18においてハッチングを付した領域で緑色の光を出射するためのLED素子から出射される光により感光してしまうことになり、緑感層は図19においてハッチングを付した領域で青色の光を出射するためのLED素子から出射される光により感光してしまうことになる。
【0011】
このため、緑色の光を出射するためのLED素子から出射される光と青色の光を出射するためのLED素子から出射される光とをダイクロイックミラーを介して合成することにより、緑色の光を出射するためのLED素子から出射される光と青色の光を出射するためのLED素子から出射される光との波長領域の重複を防止することが考えられる。
【0012】
しかしながら、ダイクロイックミラーの反射(透過)強度は、図20示すように、一定の傾斜を有する。そして、この傾斜領域の範囲は、LED素子より出射される無偏光の光の場合には、通常、50nm程度となる。このため、このダイクロイックミラーの反射(透過)強度特性を、必要な波長領域に対応させてシフトしたとしても、単一のダイクロイックミラーを使用しただけでは、緑色の光を出射するためのLED素子から出射される光と青色の光を出射するためのLED素子から出射される光との波長領域の重複を防止して上述した分色混合を防止することは不可能である。
【0013】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、光源としてLED素子を使用した場合においても、分色混合の発生を防止することができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、赤色、緑色、青色の光に各々感光するカラー画像記録用の感光材料に対し、赤色、緑色、青色の光を照射してカラー画像を記録する画像記録装置において、赤色の光を出射する第1のLED素子と、緑色の光を出射する第2のLED素子と、青色の光を出射する第3のLED素子と、前記第1、第2、第3のLED素子から出射された光を前記感光材料に照射するための光学系と、前記第2のLED素子と前記感光材料との間、または、前記第3のLED素子と前記感光材料との間の少なくとも一方に配設され、特定の波長領域の光のみを通過させることにより、前記第2のLED素子から出射された光の波長領域と前記第3のLED素子から出射された光の波長領域が重複することを防止する波長帯域制限手段と、前記第1、第2、第3のLED素子の各々に対応させて、前記光学系に関し前記感光材料と共役な位置に配設されたアパーチャ部材とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記波長帯域制限手段は、前記第2のLED素子と前記感光材料との間、および、前記第3のLED素子と前記感光材料との間の両方に配設されている。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2いずれかに記載の発明において、前記第1のLED素子から出射された赤色の光と、前記第2のLED素子から出射された緑色の光と、前記第3のLED素子から出射した青色の光とを合成して前記感光材料に照射する合成手段を備えている。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記合成手段はクロスプリズムから構成されている。
【0018】
請求項5に記載の発明は、赤色、緑色、青色の光に各々感光するカラー画像記録用の感光材料に対し、赤色、緑色、青色の光を照射してカラー画像を記録する画像記録装置において、赤色の光を出射する第1のLED素子と、緑色の光を出射する第2のLED素子と、青色の光を出射する第3のLED素子と、前記第1、第2、第3のLED素子から出射された光を前記感光材料に照射するための光学系と、前記第2のLED素子と前記感光材料との間に配設された、緑色の光を反射する第1のダイクロイック素子と、前記第3のLED素子と前記感光材料との間に配設された、青色の光を反射または透過する第2のダイクロイック素子と、前記第1、第2、第3のLED素子の各々に対応させて、前記光学系に関し前記感光材料と共役な位置に配設されたアパーチャ部材とを備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5いずれかに記載の発明において、前記第2のLED素子が、前記第1のLED素子および前記第3のLED素子よりも多数配設されている。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記アパーチャ部材は、前記第1、第2、第3のLED素子の各々に対応させて配設される。
請求項8に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記アパーチャ部材は、前記合成手段と感光材料の間に配設される。
請求項9に記載の発明は、赤色、緑色、青色の光に各々感光するカラー画像記録用の感光材料に対し、赤色、緑色、青色の光を照射してカラー画像を記録する画像記録装置において、赤色の光を出射する第1のLED素子と、ガリウムナイトライドLED素子またはインジウムガリウムナイトライドLED素子から成り、緑色の光を出射する第2のLED素子と、ガリウムナイトライドLED素子またはインジウムガリウムナイトライドLED素子から成り、青色の光を出射する第3のLED素子と、前記第2のLED素子と前記感光材料との間に配設され、前記第2のLED素子から出射された緑色の光のうち、前記感光材料における緑感層の感光領域と重複する波長領域の光のみを通過させ、青感層の感光領域と重複する波長領域の光は透過させない波長帯域制限手段と、前記第3のLED素子と前記感光材料との間に配設され、前記第3のLED素子から出射された青色の光のうち、前記感光材料における青感層の感光領域と重複する波長領域の光のみを通過させ、緑感層の感光領域と重複する波長領域の光は透過させない波長帯域制限手段と、赤色および緑色の光は透過するが青色の光は反射する膜特性を有する第1の誘電体多層膜と、緑色および青色の光を透過するが赤色の光は反射する膜特性を有する第2の誘電体多層膜とを有し、前記第1のLED素子から出射された赤色の光と、前記第2のLED素子から出射された緑色の光と、前記第3のLED素子から出射した青色の光とを合成して前記感光材料に照射するクロスプリズムとを備えたことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る画像記録装置の斜視図である。
【0022】
この画像記録装置は、光源部9と結像光学系4とからなる記録ヘッド5と、その外周部に感光材料6を巻回した記録ドラム7とを備える。この画像記録装置においては、光源部9から、結像光学系4を介して、記録ドラム7に巻回された状態で回転する感光材料6に光ビームを照射するとともに、記録ヘッド5を記録ドラム7の軸線方向に移動させることにより、感光材料6に対して必要な画像を記録する構成となっている。
【0023】
図2は、この画像記録装置における光源部9および結像光学系4等を示す側面概要図である。なお、図2においては、後述するシリンドリカルレンズ33や開口絞り41等は、図示を省略している。また、各光源素子は、いわゆるLEDランプ形状のもので図示し、簡略化している。
【0024】
この光源部9は、青色の光を出射するための光源ユニット3bと、緑色の光を出射するための光源ユニット3gと、赤色の光を出射するための光源ユニット8とを備える。
【0025】
先ず、この光源ユニット3b、3g、8のうち、光源ユニット3b、3g(これらを総称する場合には「光源ユニット3」という)の構成について説明する。図3は光源ユニット3の構成を示す斜視図であり、図4はその正面図である。
【0026】
この光源ユニット3は、その基端部にコネクタ31を備えた配線基板32と、この配線基板32の先端部に複数個列設されたGaN系LED素子1と、これらのGaN系LED素子1と対向する位置に配設されたシリンドリカルレンズ33とから構成されるユニットを、GaN系LED素子1の列設方向と直交する方向に3列配設した構成を有する。
【0027】
すなわち、図3示すように、3個の配線基板32の先端部は、左右一対の櫛歯状位置決め部材36に形成された凹部37内に挿入され、固定される。このため、これらの配線基板32は、左右一対の櫛歯状位置決め部材36により、互いに等間隔離隔した平行な姿勢で精度よく位置決めされる。
【0028】
また、図4に示すように、3個の配線基板32は、各配線基板32の先端部に列設されたGaN系LED素子1のピッチPの1/3の距離[P/3]だけ、GaN系LED素子1の列設方向に互いにずれた位置に配置されている。
【0029】
なお、GaN系LED素子1から出射される光の臨界角を大きくする目的で、GaN系LED素子1とシリンドリカルレンズ33との間に、空気より大きい屈折率を有するシリコーン樹脂等の透明部材をポッティングするようにしてもよい。
【0030】
各配線基板32の先端部に複数個列設されたGaN系LED素子1は、各々、ボンディングワイヤー34を介して、配線基板32に形成された導電パターン35とワイヤーボンディングされている。すなわち、各GaN系LED素子1は、配線としてのボンディングワイヤー34および導電パターン35を介して、コネクタ31と電気的に接続されている。また、このコネクタ31は、図示を省略したGaN系LED素子1のドライバーと接続されている。
【0031】
図5は、各配線基板32の先端部に列設された複数個のGaN系LED素子1の斜視図である。また、図6は、GaN系LED素子1の三面図であり、図6(a)はその平面図、図6(b)はその正面図、また、図6(c)はその右側面図である。
【0032】
このGaN系LED素子1は、基板11の表面上に形成された発光層(活性層)12を含む半導体積層構造部16と、この半導体積層構造部16の表面上に形成されたP電極13と、半導体積層構造部16の一部をエッチングによって削ったその上面に形成されたN電極14とを備える。そして、このLED素子1においては、P電極13とN電極14との間に電流を流すことにより、半導体積層構造部16の表面15または端面17から光が出射する構成となっている。なお、光が発生するのは発光層12であるが、その光は半導体積層構造部16へ広がり、そこから外部に出射されるのが一般的である。
【0033】
このGaN系LED素子1においては、P電極13とN電極14とが基板11に対して同一側に形成されていることから、半導体積層構造部16の表面15から出射される光がこれらのP電極13およびN電極14によって遮られることになり、半導体積層構造部16の表面15から出射する光の輝度が低く、また、半導体積層構造部16の表面15における光出射領域の形状も略8の字状の形状となる。このため、このGaN系LED素子1においては、半導体積層構造部16の端面17から出射される光を有効に利用することが好ましい。
【0034】
このとき、このGaN系LED素子1においては、図6(c)に示すように、N電極14が基板11から半導体積層構造部16の一部をエッチングにより削ったその上面に形成されていることから、半導体積層構造部16の4方の端面17のうち2方の端面17から出射された光の一部は、N電極14により遮られる。また、半導体積層構造部16の4方の端面17のうち2方の端面17から出射された光の一部は、N電極14にワイヤーボンディングされたボンディングワイヤー34(図3参照)によっても遮られる。このため、このGaN系LED素子1における4方の端面17から出射する光のうち、図5および図6に示す矢印ア方向に出射する光は、図5および図6に示す矢印イ方向に出射される光よりもその光量が小さいことになる。
【0035】
このため、この光源ユニット3においては、図5および図6に示す矢印イ方向の光がシリンドリカルレンズ33に有効に入射するように、各GaN系LED素子1を、そのN電極14およびこのN電極14にワイヤーボンディングされたボンディングワイヤー34が、半導体積層構造部16とシリンドリカルレンズ33との間に配置されない方向に配置している。
【0036】
従って、図3に示す各配線基板32の先端部における複数個のGaN系LED素子1は、そのN電極14およびN電極14にワイヤーボンディングされたボンディングワイヤー34が半導体積層構造部16とシリンドリカルレンズ33との間に配置されない状態で、その発光層12の長手方向と平行な方向に列設されることにより、5個のGaN系LED素子1によるアレイを構成することになる。
【0037】
そして、この光源ユニット3においては、上記の構成を有する配線基板32が3層、その位置を各配線基板32の先端部に列設されたGaN系LED素子1のピッチPの1/3の距離[P/3]だけ、GaN系LED素子1の列設方向(その発光層12の長手方向)にずらせた状態で配設されていることから、15個のGaN系LED素子1から出射する光を利用した二次元配列の光ビームを得ることができる。
【0038】
なお、このGaN系LED素子1としては、光源ユニット3bにおいては青色の波長域の光を出射するものが、また、光源ユニット3gにおいては緑色の波長域の光を出射するものが使用される。
【0039】
次に、この光源ユニット3と上述した結像光学系4との関係について説明する。図7は結像光学系4をGaN系LED素子1およびシリンドリカルレンズ33とともに示す平面図であり、図8はその側面図である。
【0040】
なお、図7および図8においては、各配線基板32の先端部に列設された5個のGaN系LED素子1のうちの3個のみを図示し、他の2個については図示を省略している。また、図7および図8においては、後述するクロスプリズム70、アパーチャプレート68、波長帯域制限フィルター73、74およびリレー光学系67等については、その図示を省略している。
【0041】
さらに、GaN系LED素子1における半導体積層構造部16の端面17の長手方向の像とGaN系LED素子1における半導体積層構造部16の端面17の厚さ方向の像とは、後述するアパーチャプレート68b、68gにより整形されることになるが、説明の便宜上、ここではこれらのアパーチャプレート68b、68gについては言及しない。
【0042】
この結像光学系4は、GaN系LED素子1における半導体積層構造部16の端面17の長手方向の像を、図1に示す記録ドラム7に巻回された感光材料6上に縮小投影するためのものであり、フィールドレンズ38と対物レンズ39とから構成される。これらのフィールドレンズ38と対物レンズ39とからなる結像光学系4は、両側テレセントリック光学系を構成する。また、フィールドレンズ38と対物レンズ39との間には、開口絞り41が配設されている。
【0043】
図8に示すように、シリンドリカルレンズ33のパワーのある断面において、各GaN系LED素子1から出射された光の主光線は、結像光学系4の物体側で結像光学系4の光軸に平行になるように設定されている。また、結像光学系4が両側テレセントリック光学系であることから、各GaN系LED素子1から出射された光の主光線は、感光材料6側においても結像光学系4の光軸に平行となる。
【0044】
結像光学系4の縮小倍率は、画像記録装置に要求される解像度により決定される。例えば、GaN系LED素子1の一辺の長さはおよそ300μm程度であり、その配列ピッチP(図4参照)はおおよそ0.5〜1.0mm程度である。そして、感光材料6への記録ビームのピッチは、上述したように[P/3]となる。このため、この[P/3]の値と画像記録装置に要求される解像度とに基づいて、結像光学系4の縮小倍率を決定すればよい。
【0045】
一方、上述したシリンドリカルレンズ33は、GaN系LED素子1における半導体積層構造部16の端面17の厚さ方向の像を、結像光学系4の開口絞り41の位置(すなわち瞳面上と等価な位置)に、開口絞り41の大きさの範囲内(瞳の大きさの範囲内)で拡大投影するためのものである。
【0046】
一般に、GaN系LED素子1における半導体積層構造部16の厚さ方向の寸法は数μm程度である。このため、開口絞り41の直径を5mm程度とした場合には、シリンドリカルレンズ33を利用して、GaN系LED素子1における半導体積層構造部16の端面17の厚さ方向の像を最大2000倍程度まで拡大投影することができる。このため、シリンドリカルレンズ33のパワーのある面内において、その効率が低下することを防止し、GaN系LED素子1から出射される光を効率的に利用することが可能となる。
【0047】
なお、シリンドリカルレンズ33の拡大率を過度に大きくした場合には、GaN系LED素子1とシリンドリカルレンズ33との位置精度も極めて高精度に設定する必要がある。
【0048】
ここで、上述した実施形態においては、シリンドリカルレンズ33はGaN系LED素子1における半導体積層構造部16の端面17の厚さ方向の像を、結像光学系4の開口絞り41の位置に投影している。このとき、この開口絞り41の位置そのものは、結像光学系4の瞳位置ではない。しかしながら、両側テレセントリック光学系をなす結像光学系4の場合には瞳位置は無限遠にあることから、開口絞り41の位置に投影することは無限遠(すなわち瞳位置)に投影することと等価となる。
【0049】
以上のような構成を有する光源ユニット3および結像光学系4においては、GaN系LED素子1における半導体積層構造部16の端面17の長手方向の像を感光材料6上に縮小投影するための結像光学系4と、GaN系LED素子1における半導体積層構造部16の端面17の厚さ方向の像を結像光学系4の開口絞り41の位置にその大きさの範囲内で拡大投影するためのシリンドリカルレンズ33とを組み合わせて使用していることから、各GaN系LED素子1からその発光層12と直交する方向に大きな角度で発散する光は、シリンドリカルレンズ33を介して結像光学系4に効率的に入射する。そして、結像光学系4に入射した光は、記録ドラム7に巻回された感光材料6上に縮小投影される。このため、光の効率を低下させることなく高い解像度で画像を記録することが可能となる。
【0050】
このとき、結像光学系4が両側テレセントリック光学系から構成されていることから、その焦点深度を深くすることができる。従って、感光材料6における結像光学系4の光軸方向の位置が多少変化しても、高精度に画像を記録することが可能となる。
【0051】
また、この実施形態に係る光源ユニット3においては、各GaN系LED素子1を、そのN電極14およびこのN電極14にワイヤーボンディングされたボンディングワイヤー34が半導体積層構造部16とシリンドリカルレンズ33との間に配置されない方向に配置していることから、半導体積層構造部16における4方の端面17のうち輝度の高い端面17から出射された光を、有効に感光材料6に照射することが可能となる。
【0052】
さらに、各配線基板32上に列設された複数のGaN系LED素子1から発散する光を、単一のシリンドリカルレンズ33を利用して集光する構成であることから、複数のGaN系LED素子1から発散する光を集光するために必要な構成を簡略化し、部品点数を削減することが可能となる。
【0053】
次に、光源ユニット8の構成について説明する。図9は光源ユニット8の構成を示す斜視図であり、図10はその要部を示す正面図である。
【0054】
この光源ユニット8は、その表面に導電パターン55、63が形成されたセラミック製の配線基板52と、この配線基板52の端面50に列設された複数個のLED素子2とから構成されるユニットを、LED素子2の列説方向と直交する方向に3列配設した構成を有する。なお、配線基板52の表面の面積は、その端面50の面積に比べて十分に大きくなっている。
【0055】
図9示すように、3個の配線基板52の先端部は、左右一対の櫛歯状位置決め部材36に形成された凹部37内に挿入され、固定される。このため、これらの配線基板52は、左右一対の櫛歯状位置決め部材36により、互いに等間隔離隔した平行な姿勢で精度よく位置決めされる。
【0056】
また、図10に示すように、3個の配線基板52は、各配線基板52の端面50に列設されたLED素子2のピッチPの1/3の距離[P/3]だけ、LED素子2の列設方向に互いにずれた位置に配置されている。
【0057】
図11は、LED素子2の斜視図である。
【0058】
このLED素子2は、基板21の表面上に発光層(活性層)22を含む形で半導体の層を複数重ね合わせた半導体積層構造部26を形成しており、この半導体積層構造部26の最上面に形成されたP電極23と、基板21の裏面側に形成されたN電極24とを備える。このLED素子2においては、基板21に対して互いに逆側に形成されたP電極23とN電極24との間に電流を流すことにより、半導体積層構造部26の表面25または端面27から光が出射する構成となっている。
【0059】
このLED素子2のP電極23は、図9に示すように、各々、ボンディングワイヤー54を介して、配線基板52の表面に形成された導電パターン55とワイヤーボンディングされている。すなわち、各LED素子2は、配線としてのボンディングワイヤー54および導電パターン55を介して、コネクタ51と電気的に接続されている。また、このコネクタ51は、図示を省略したLED素子2のドライバーと接続されている。
【0060】
一方、このLED素子2のN電極24は、配線基板52の端面50に印刷された電極61に対して、銀ペースト等の導電性の接着剤によりボンディングされている。この電極61は、配線基板52に形成されたビアホール62および配線基板52の表面に形成された導電パターン63を介してコネクタ51と電気的に接続されている。
【0061】
このような構成を有する光源ユニット8においては、各LED素子2から発生する熱はセラミック製の配線基板52全体に広がる。そして、この熱は、この配線基板52の表面全体より大気中に放出される。このとき、配線基板52の表面の面積は、その端面50の面積に比べて十分に大きくなっていることから、各LED素子2から発生する熱は、十分大きな配線基板52の表面より有効に放熱されることになる。
【0062】
また、配線基板52の表面は十分大きな面積を有することから、導電パターン55等の電気的な配線密度を粗く設置することができる。このため、電気的なクロストークの発生を防止することが可能となる。
【0063】
この光源ユニット8と上述した結像光学系4との関係は、上述した光源ユニット3と結像光学系4との関係と同様である。但し、この光源ユニット8には光源ユニット3におけるシリンドリカルレンズ33は配設されていない。このため、LED素子2の像が結像光学系4の開口絞り41の位置に拡大投影されることはない。
【0064】
なお、上述した光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射される青色の光、光源ユニット3gのGaN系LED素子1から出射される緑色の光、および、光源ユニット8のLED素子2から出射される赤色の光は、各々、図17に示す発光スペクトルを有する。
【0065】
再度図2を参照して、この光源部9は、光源ユニット3bにおけるGaN系LED素子1から出射された青色の光と、光源ユニット3gにおけるGaN系LED素子1から出射された緑色の光と、光源ユニット8のLED素子2から出射された赤色の光とを合成して感光材料6に照射する合成手段としてのクロスプリズム70を備える。
【0066】
このクロスプリズム70は、エクスプリズムとも呼称される光学素子であり、4個の直角プリズムを、その頂点を一致させた状態で接着させた構成を有する。そして、これらの直角プリズムの接合面のうち、一方の接合面には、赤色および緑色の光は透過するが青色の光は反射する(青色より波長の短い光を反射する)膜特性を有する第1の誘電体多層膜71が形成されている。また、他方の接合面には、緑色および青色の光を透過するが赤色の光は反射する(赤色より波長の長い光を反射する)膜特性を有する第2の誘電体多層膜72が形成されている。
【0067】
このクロスプリズム70と上述した結像光学系4との間には、一対のレンズ65、66から成るリレー光学系67が配設されている。このリレー光学系67は、結像光学系4と同様、両側テレセントリック光学系となっている。
【0068】
また、クロスプリズム70と各光源ユニット1b、1g、2の間には、各々、図12に示すアパーチャプレート68b、68g、68rが配設されている。これらのアパーチャプレート68b、68g、68rは、各々、図4に示すGaN系LED素子1または図10に示すLED素子2の配置と対応する配置で穿設された複数個の円形のアパーチャ75を有する。
【0069】
これらのアパーチャプレート68b、68g、68rは、リレー光学系67および結像光学系4に関し、感光材料6と共役な関係となっている。このため、これらのアパーチャプレート68b、68g、68rにおけるアパーチャ75の像が感光材料6上に投影されることになる。
【0070】
また、結像光学系4の光軸方向に関して感光材料6とほぼ同一の位置で、かつ、感光材料6を巻回した記録ドラム7から側方に離隔した位置に、フォトセンサー76が配設されている。画像の記録を開始するに先立ち、記録ヘッド5が、GaN系LED素子1またはLED素子2から結像光学系4を介して出射される光がフォトセンサー76に入射する位置に移動し、このフォトセンサー76により光量を測定することで、各LED素子の光量バランスを合わせる構成となっている。
【0071】
さらに、クロスプリズム70とアパーチャプレート68bとの間、および、クロスプリズム70とアパーチャプレート68gとの間には、各々、干渉フィルターより成る波長帯域制限フィルター73、74が配設されている。
【0072】
これらの波長帯域制限フィルター73、74のうち、波長帯域制限フィルター73は、光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射された青色の光のうち、図16示す青感層の感光領域SBと重複する波長領域の光のみを通過させ、緑感層の感光領域SGと重複する波長領域の光は透過させない(図19に示すハッチングを付した領域を感光させる波長領域の光を通過させない)特性を有する。すなわち、この波長帯域制限フィルター73としては、例えば、460nmより短い波長の光のみを透過させる特性を有するものを使用する。
【0073】
一方、他方の波長帯域制限フィルター74は、光源ユニット3gのGaN系LED素子1から出射された緑色の光のうち、図16に示す緑感層の感光領域SGと重複する波長領域の光のみを通過させ、青感層の感光領域SBと重複する波長領域の光は透過させない(図18に示すハッチングを付した領域を感光させる波長領域の光を通過させない)特性を有する。すなわち、この波長帯域制限フィルター734しては、例えば、500nmより長い波長の光のみを透過させる特性を有するものを使用する。
【0074】
上記波長帯制限フィルター73としては、例えば、ハイパスフィルターやバンドパスフィルターを使用することができる。また、上記波長帯制限フィルター74としては、例えば、ローパスフィルターやバンドパスフィルターを使用することができる。より具体的には、誘電体を多層に蒸着し形成する干渉フィルターを用いることができ、これにより、透過波長と遮断される波長との境界の傾斜領域を数nm程度まで急峻にすることが可能となる。この特性を利用することで、必要な波長領域内の光量を有効に利用できる。
【0075】
以上のような構成を有する画像記録装置においては、光源ユニット3bにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される青色の光、光源ユニット3gにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される緑色の光、および、光源ユニット8における複数個のLED素子2から出射される赤色の光は、クロスプリズム70により合成された後、リレー光学系67および結像光学系4を介して記録ドラム7に巻回された感光材料6上に照射される。そして、感光材料6における青感層、緑感層および赤感層は、これらの青色の光、緑色の光および赤色の光により感光する。
【0076】
このとき、上述したように、光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射された青色の光のうち緑感層の感光領域SGと重複しない波長領域の光のみが感光材料6に到達し、光源ユニット3gのGaN系LED素子1から出射された緑色の光のうち青感層の感光領域SBと重複しない波長領域の光のみが感光材料6に到達する。このため、従来のLED素子を利用した画像記録装置において発生する分色混合の発生を防止することができる。
【0077】
また、単一のダイクロイックミラー等により青色の波長領域の光と緑色の波長領域の光とを分離する構成ではないため、図20に示すダイクロイックミラーの反射(透過)強度の傾斜に起因する分色混合の発生を確実に防止することが可能となる。
【0078】
なお、上述した実施形態においては、クロスプリズム70と各光源ユニット1b、1g、2の間に、アパーチャプレート68b、68g、68rを個別に配置している。このため、各アパーチャプレート68b、68g、68rにおけるアパーチャ75の大きさや形状を、赤色、緑色、青色の各々の光に必要とされる光量等に対応させて最適なものに調整するようにすればよい。
【0079】
例えば、緑色の光を出射するLED素子において、現在市販されているうちでは高輝度な部類に属するGaN系LED素子1ですら、上述した用途に用いる場合には、カラー画像記録用の感光材料6の緑感層の感度が青感層と比べて低いため、その光量が不足する。そこで、緑色に対応するアパーチャプレート68gにおけるアパーチャ75の大きさを、色にじみの許容される範囲で他の色に比べて大きくすることにより、より多くの光量での露光を可能とすることができ、青感層または赤感層を露光させる場合に比べ不足している緑色の露光量を補償することができる。
【0080】
一方、上述した、感光材料6の緑感層の感度が青感層と比べて低いことによる緑色の光を出射するためのGaN系LED素子1の光量不足に対応するため、緑色の光を出射するための光源ユニット3gにおけるGaN系LED素子1の数を、青色の光を出射するための光源ユニット3bにおけるGaN系LED素子1の数および赤色の光を出射するための光源ユニット8におけるLED素子2の数より多くなるようにしてもよい。
【0081】
なお、赤感層は青感層または緑感層と比べ最も感度が低いが、赤色のLED素子は光出力が高く、制約を受ける例は少ない。また、青感層は緑感層や赤感層と比べ最も感度が高く、光源に緑色と同程度の輝度を持つ青色LEDを用いると十分な露光量が得られるので、制約を受けることはまれである。
【0082】
図13は、上述した実施形態に対応するアパーチャプレート68gの説明図である。
【0083】
このアパーチャプレート68gには、図12に示す他のアパーチャプレート68b、68rに比べて、2倍の数のアパーチャ75が形成されている。一方、緑色の光を出射するための光源ユニット3gにおけるGaN系LED素子1は、図13に示すアパーチャプレート68gにおけるアパーチャ75の配置に対応するように配置されている。より具体的には、図4に示す3個の配線基板32を、それぞれその配列方向に2倍の数設置している。
【0084】
この実施形態においては、緑色の光を出射するための光源ユニット3gにおけるGaN系LED素子1が、青色の光を出射するための光源ユニット3bにおけるGaN系LED素子1および赤色の光を出射するための光源ユニット8におけるLED素子2の2倍の数設置されていることになる。このため、青感層または赤感層を露光させる場合に比べ不足している緑色の露光量を、緑色の光を出射するGaN系LED素子1の数を増加させることにより補償することが可能となる。
【0085】
なお、前述した図12に示す実施形態のようにクロスプリズム70と各光源ユニット1b、1g、2の間にアパーチャプレート68b、68g、68rを個別に配置するかわりに、共通のアパーチャプレートを使用するようにしてもよい。
【0086】
図14は、このような実施形態に係る光源部9および結像光学系4等を示す側面概要図である。なお、図2に示す実施形態と同一の部材については、同一の符号を付している。
【0087】
この実施形態においては、リレー光学系67と結像光学系4との間に、赤色、緑色、青色共通のアパーチャプレート69を配設している。このアパーチャプレート69は、図12に示すアパーチャプレート68b、68g、68rと同様の構成を有する。この実施形態では、さらに、各LED素子の光量バランスを合わせるため等に使用するフォトセンサー76を、ハーフミラー78によって光路を折り返し、結像光学系4の絞り位置に等価な位置付近に設置している。
【0088】
このように、リレー光学系67と結像光学系4との間に赤色、緑色、青色共通のアパーチャプレート69を配設する構成とした場合においては、光源ユニット3bにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される青色の光と、光源ユニット3gにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される緑色の光と、光源ユニット8における複数個のLED素子2から出射される赤色の光とを感光材料6上の同一位置に正確に照射することができる。このため、露光後の感光材料に色ずれが発生することを確実に防止することが可能となる。
【0089】
なお、上述した実施形態においては、光源ユニット3b、3gに各々対応させて一対の波長帯域制限フィルター73、74を配設しているが、これらの波長帯域制限フィルター73、74のうち、いずれか一方を省略することも可能である。
【0090】
すなわち、例えば、光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射された青色の光に対しては、波長帯域制限フィルター73を利用してその波長領域を調整するとともに、光源ユニット3gのGaN系LED素子1から出射された緑色の光に対しては、波長帯域制限フィルター74を利用することなく、クロスプリズム70における第1の誘電体多層膜71または第2の誘電体多層膜72を利用してその波長領域を調整する構成としてもよい。
【0091】
また、感光材料6における青感層または緑感層のいずれか一方の感度が他方の感度に比べて極めて低い場合等においても、これらの波長帯域制限フィルター73、74のうち、いずれか一方を省略することが可能となる。このような場合においては、青感層または緑感層のうち感度が低いものは他方の光が多少照射されても感光しないことから、感度が低い方の色に対応する波長帯域制限フィルターのみを使用するようにすればよい。例えば、緑感層の感度が低い場合、波長帯域制限フィルター73を省略可能である。
【0092】
さらに、上述した実施の形態においては、光源ユニット3bにおけるGaN系LED素子1から出射された青色の光と、光源ユニット3gにおけるGaN系LED素子1から出射された緑色の光と、光源ユニット8におけるLED素子2から出射された赤色の光とを合成して感光材料6に照射する合成手段としてクロスプリズム70を使用するとともに、波長帯域制限手段として波長帯域制限フィルター73、74を使用している。
【0093】
しかしながら、この合成手段および波長帯域制限手段を、複数個のダイクロイック素子により構成してもよい。
【0094】
図15はこのような実施形態に係る光源部9の要部を示す概要図である。
【0095】
この実施形態においては、上述したクロスプリズム70および波長帯域制限フィルター73、74の換わりに、3枚のダイクロイックミラー81、82、83を使用している。
【0096】
すなわち、この実施形態においては、上述した青色の光を出射するための光源ユニット3bと対向する位置には、例えば460nmより波長の短い光を反射し、460nmより波長の長い光を透過するダイクロイックミラー81が配設されている。このため、光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射された青色の光のうち、図16示す青感層の感光領域SBと重複する波長領域の光はダイクロイックミラー81により感光材料6に向けて反射し、緑感層の感光領域SGと重複する波長領域の光(図19に示すハッチングを付した領域を感光させる波長領域の光)はダイクロイックミラー81を透過することになる。
【0097】
また、上述した緑色の光を出射するための光源ユニット3gと対向する位置には、例えば500nmより波長の長い光を反射し、500nmより波長の短い光を透過するダイクロイックミラー82が配設されている。このため、光源ユニット3gのGaN系LED素子1から出射された緑色の光のうち、図16に示す緑感層の感光領域SGと重複する波長領域の光はダイクロイックミラー82により感光材料6に向けて反射し、青感層の感光領域SBと重複する波長領域の光(図18に示すハッチングを付した領域を感光させる波長領域の光)はダイクロイックミラーを透過することになる。
【0098】
なお、光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射されダイクロイックミラー81により感光材料6に向けて反射した光は、このダイクロイックミラー82をそのまま透過する。
【0099】
さらに、上述した赤色の光を出射するための光源ユニット8と対向する位置には、例えば600nmより波長の長い光を反射し、600nmより波長の短い光を透過するダイクロイックミラー83が配設されている。このため、光源ユニット8のLED素子2から出射された赤色の光は、ダイクロイックミラー83により感光材料6に向けて反射する。
【0100】
なお、光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射されダイクロイックミラー81により感光材料6に向けて反射した光と、光源ユニット3gのGaN系LED素子1から出射されダイクロイックミラー82により感光材料6に向けて反射した光とは、このダイクロイックミラー83をそのまま透過する。
【0101】
この実施形態に係る画像記録装置においては、光源ユニット3bにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される青色の光、光源ユニット3gにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される緑色の光、および、光源ユニット8における複数個のLED素子2から出射される赤色の光は、ダイクロイックミラー81、82、83により合成された後、第1実施形態と同様のリレー光学系67および結像光学系4を介して記録ドラム7に巻回された感光材料6上に照射される。そして、感光材料6における青感層、緑感層および赤感層は、これらの青色の光、緑色の光および赤色の光により感光する。
【0102】
このとき、2枚のダイクロイックミラー81、82の作用により、光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射された青色の光のうち緑感層の感光領域SGと重複しない波長領域の光のみが感光材料6に到達し、光源ユニット3gのGaN系LED素子1から出射された緑色の光のうち青感層の感光領域SBと重複しない波長領域の光のみが感光材料6に到達する。このため、従来のLED素子を利用した画像記録装置において発生する分色混合の発生を防止することができる。
【0103】
なお、ダイクロイックミラー81として、例えば460nmより波長の短い光を透過し、460nmより波長の長い光を反射する特性を有するものを使用するとともに、光源ユニット3bをダイクロイックミラー81に対してダイクロイックミラー82と対象な位置(ダイクロイックミラー82から見てダイクロイックミラー81の裏面側の位置)に配設するようにしてもよい。
【0104】
この場合においては、光源ユニット3bのGaN系LED素子1から出射された青色の光のうち、図16示す青感層の感光領域SBと重複する波長領域の光は感光材料6に向けてダイクロイックミラー81を透過し、緑感層の感光領域SGと重複する波長領域の光(図19に示すハッチングを付した領域を感光させる波長領域の光)はダイクロイックミラー81により反射されることになる。
【0105】
さらに、単一のダイクロイックミラー等により青色の波長領域の光と緑色の波長領域の光とを分離する構成ではないため、図20に示すダイクロイックミラーの反射(透過)強度の傾斜に起因する分色混合の発生を確実に防止することが可能となる。
【0106】
なお、上述したダイクロイックミラー81、82、83に換えて、ダイクロイックプリズムを使用するようにしてもよい。この場合においては、ダイクロイックミラー81、82、83において発生しやすい非点収差を防止することが可能となる。また、図2および図14に示す実施形態のようにクロスプリズム70を使用した場合においても、同様に、非点収差を防止することが可能となる。
【0107】
上述した実施形態においては、いずれも、光源ユニット3bにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される青色の光と、光源ユニット3gにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される緑色の光と、および、光源ユニット8における複数個のLED素子2から出射される赤色の光とを、クロスプリズム70またはダイクロイックミラー81、82、83を利用して合成した上で、感光材料6に照射する構成となっているが、光源ユニット3bにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される青色の光と、光源ユニット3gにおける複数個のGaN系LED素子1から出射される緑色の光と、光源ユニット8における複数個のLED素子2から出射される赤色の光とを、個別に感光材料6上に照射するようにしてもよい。
【0108】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、緑色の光を出射する第2のLED素子と感光材料との間、または、青色の光を出射する第3のLED素子と感光材料との間の少なくとも一方に、特定の波長領域の光のみを通過させることにより第2のLED素子から出射された光の波長領域と第3のLED素子から出射された光の波長領域が重複することを防止する波長帯域制限手段を配設したことから、光源としてLED素子を使用した場合においても、分色混合の発生を防止することが可能となる。
また、第1、第2、第3のLED素子の各々に対応させて、光学系に関し感光材料と共役な位置にアパーチャ部材を配設したことから、アパーチャの像を感光材料に投影することができる。
【0109】
請求項2に記載の発明によれば、波長帯域制限手段が第2のLED素子と感光材料との間、および、第3のLED素子と感光材料との間の両方に配設されていることから、設計の自由度を向上させながら、分色混合の発生を確実に防止することが可能となる。
【0110】
請求項3に記載の発明によれば、第1のLED素子から出射された赤色の光と、第2のLED素子から出射された緑色の光と、第3のLED素子から出射した青色の光とを合成して感光材料に照射する合成手段を備えることから、合成された光により精度よく画像を記録することが可能となる。
【0111】
請求項4に記載の発明によれば、合成手段がクロスプリズムから構成されていることから、単一の素子を使用して赤色の光と緑色の光と青色の光とを合成することができ、また、非点収差の発生を防止することが可能となる。
【0112】
請求項5に記載の発明によれば、緑色の光を出射する第2のLED素子と感光材料との間に配設された緑色の光を反射する第1のダイクロイック素子と、青色の光を出射する第3のLED素子と感光材料との間に配設された青色の光を反射または透過する第2のダイクロイック素子とを備えたことから、光源としてLED素子を使用した場合においても、分色混合の発生を防止することが可能となる。
また、第1、第2、第3のLED素子の各々に対応させて、光学系に関し感光材料と共役な位置にアパーチャ部材を配設したことから、アパーチャの像を感光材料に投影することができる。
【0113】
請求項6に記載の発明によれば、緑色の光を出射する第2のLED素子が赤色の光を出射する第1のLED素子および青色の光を出射する第3のLED素子よりも多数配設されていることから、第2のLED素子の露光量不足をその数を増加させることにより補償することが可能となる。
【0114】
請求項7に記載の発明によれば、アパーチャ部材が、第1、第2、第3のLED素子の各々に対応させて配設されることから、そのアパーチャの大きさや形状を赤色、緑色、青色の各々の光に必要とされる光量等に対応させて最適なものに調整することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、アパーチャ部材が、前記合成手段と感光材料の間に配設されることから、第1、第2、第3のLED素子から出射された光を感光材料の同一の位置に正確に照射することができ、色ずれの発生を防止することが可能となる。
請求項9に記載の発明によれば、ガリウムナイトライドLED素子またはインジウムガリウムナイトライドLED素子から成り、緑色の光を出射する第2のLED素子と、ガリウムナイトライドLED素子またはインジウムガリウムナイトライドLED素子から成り、青色の光を出射する第3のLED素子とを使用することから、高い輝度をもった光で画像を記録することができる。
このとき、第2のLED素子から出射された緑色の光のうち、感光材料における緑感層の感光領域と重複する波長領域の光のみを通過させ青感層の感光領域と重複する波長領域の光は透過させない波長帯域制限手段と、第3のLED素子から出射された青色の光のうち、感光材料における青感層の感光領域と重複する波長領域の光のみを通過させ緑感層の感光領域と重複する波長領域の光は透過させない波長帯域制限手段とを備えることから、ガリウムナイトライドLED素子またはインジウムガリウムナイトライドLED素子を使用した場合においても、分色混合の発生を防止することが可能となる。
また、赤色および緑色の光は透過するが青色の光は反射する膜特性を有する第1の誘電体多層膜と、緑色および青色の光を透過するが赤色の光は反射する膜特性を有する第2の誘電体多層膜とを有し、前記第1のLED素子から出射された赤色の光と、前記第2のLED素子から出射された緑色の光と、前記第3のLED素子から出射した青色の光とを合成して前記感光材料に照射するクロスプリズムを備えたことから、単一の素子を使用して効率的に赤色の光と緑色の光と青色の光とを合成し、合成された光により精度よく画像を記録することが可能となる。また、ダイクロイックミラーを用いた場合に対して非点収差の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る画像記録装置の斜視図である。
【図2】画像記録装置における光源部9および結像光学系4等を示す側面概要図である。
【図3】光源ユニット3の構成を示す斜視図である。
【図4】光源ユニット3の構成を示す正面図である。
【図5】GaN系LED素子1の斜視図である。
【図6】GaN系LED素子1の三面図である。
【図7】結像光学系4をGaN系LED素子1およびシリンドリカルレンズ33とともに示す平面図である。
【図8】結像光学系4をGaN系LED素子1およびシリンドリカルレンズ33とともに示す側面図である。
【図9】光源ユニット8の構成を示す斜視図である。
【図10】光源ユニット8の要部を示す正面図である。
【図11】LED素子2の斜視図である
【図12】アパーチャプレート68b、68g、68rの説明図である。
【図13】他の実施形態に係るアパーチャプレート68gの説明図である。
【図14】他の実施形態に係る光源部9および結像光学系4等を示す側面概要図である。
【図15】他の実施形態に係る光源部9の要部を示す概要図である。
【図16】一般的なカラー画像記録用の感光材料の分光感度を示す図である。
【図17】赤色、緑色、青色の光の発光スペクトルを示す図である。
【図18】カラー画像記録用の感光材料の分光感度と赤色、緑色、青色の光の発光スペクトルとを示す図である。
【図19】カラー画像記録用の感光材料の分光感度と赤色、緑色、青色の光の発光スペクトルとを示す図である。
【図20】ダイクロイックミラーの反射(透過)強度を示す説明図である。
【符号の説明】
1 GaN系LED素子
2 LED素子
3 光源ユニット
4 結像光学系
5 記録ヘッド
6 感光材料
7 記録ドラム
8 光源ユニット
9 光源部
33 シリンドリカルレンズ
67 リレー光学系
68 アパーチャプレート
70 クロスプリズム
71 第1の誘電体多層膜
72 第2の誘電体多層膜
73 波長帯域制限フィルター
74 波長帯域制限フィルター
75 アパーチャ
81、82、83 ダイクロイックミラー
Claims (9)
- 赤色、緑色、青色の光に各々感光するカラー画像記録用の感光材料に対し、赤色、緑色、青色の光を照射してカラー画像を記録する画像記録装置において、
赤色の光を出射する第1のLED素子と、
緑色の光を出射する第2のLED素子と、
青色の光を出射する第3のLED素子と、
前記第1、第2、第3のLED素子から出射された光を前記感光材料に照射するための光学系と、
前記第2のLED素子と前記感光材料との間、または、前記第3のLED素子と前記感光材料との間の少なくとも一方に配設され、特定の波長領域の光のみを通過させることにより、前記第2のLED素子から出射された光の波長領域と前記第3のLED素子から出射された光の波長領域が重複することを防止する波長帯域制限手段と、
前記光学系に関し前記感光材料と共役な位置に配設されたアパーチャ部材と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。 - 請求項1に記載の画像記録装置において、
前記波長帯域制限手段は、前記第2のLED素子と前記感光材料との間、および、前記第3のLED素子と前記感光材料との間の両方に配設されている画像記録装置。 - 請求項1または請求項2いずれかに記載の画像記録装置において、
前記第1のLED素子から出射された赤色の光と、前記第2のLED素子から出射された緑色の光と、前記第3のLED素子から出射した青色の光とを合成して前記感光材料に照射する合成手段を備えた画像記録装置。 - 請求項3に記載の画像記録装置において、
前記合成手段はクロスプリズムから構成される画像記録装置。 - 赤色、緑色、青色の光に各々感光するカラー画像記録用の感光材料に対し、赤色、緑色、青色の光を照射してカラー画像を記録する画像記録装置において、
赤色の光を出射する第1のLED素子と、
緑色の光を出射する第2のLED素子と、
青色の光を出射する第3のLED素子と、
前記第1、第2、第3のLED素子から出射された光を前記感光材料に照射するための光学系と、
前記第2のLED素子と前記感光材料との間に配設された、緑色の光を反射する第1のダイクロイック素子と、
前記第3のLED素子と前記感光材料との間に配設された、青色の光を反射または透過する第2のダイクロイック素子と、
前記光学系に関し前記感光材料と共役な位置に配設されたアパーチャ部材と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。 - 請求項1乃至請求項5いずれかに記載の画像記録装置において、
前記第2のLED素子が、前記第1のLED素子および前記第3のLED素子よりも多数配設されている画像記録装置。 - 請求項3に記載の画像記録装置において、
前記アパーチャ部材は、前記第1、第2、第3のLED素子の各々に対応させて配設される画像記録装置。 - 請求項3に記載の画像記録装置において、
前記アパーチャ部材は、前記合成手段と感光材料の間に配設される画像記録装置。 - 赤色、緑色、青色の光に各々感光するカラー画像記録用の感光材料に対し、赤色、緑色、青色の光を照射してカラー画像を記録する画像記録装置において、
赤色の光を出射する第1のLED素子と、
ガリウムナイトライドLED素子またはインジウムガリウムナイトライドLED素子から成り、緑色の光を出射する第2のLED素子と、
ガリウムナイトライドLED素子またはインジウムガリウムナイトライドLED素子か ら成り、青色の光を出射する第3のLED素子と、
前記第2のLED素子と前記感光材料との間に配設され、前記第2のLED素子から出射された緑色の光のうち、前記感光材料における緑感層の感光領域と重複する波長領域の光のみを通過させ、青感層の感光領域と重複する波長領域の光は透過させない波長帯域制限手段と、
前記第3のLED素子と前記感光材料との間に配設され、前記第3のLED素子から出射された青色の光のうち、前記感光材料における青感層の感光領域と重複する波長領域の光のみを通過させ、緑感層の感光領域と重複する波長領域の光は透過させない波長帯域制限手段と、
赤色および緑色の光は透過するが青色の光は反射する膜特性を有する第1の誘電体多層膜と、緑色および青色の光を透過するが赤色の光は反射する膜特性を有する第2の誘電体多層膜とを有し、前記第1のLED素子から出射された赤色の光と、前記第2のLED素子から出射された緑色の光と、前記第3のLED素子から出射した青色の光とを合成して前記感光材料に照射するクロスプリズムと、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
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