JP3801732B2 - 車両損傷データ認識システム及び車両損傷データ認識プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体 - Google Patents
車両損傷データ認識システム及び車両損傷データ認識プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、事故や悪戯等により損傷した車両の損傷データを認識するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に事故や悪戯等により損傷した車両を修理する場合、サービス工場等のフロントマン等が修理を行う位置や範囲を特定し、修理に伴う部品を選定するとともに、修理を行うメカニック等の工賃を算出し、作業指示書または見積書を作成している。
【0003】
ところで、修理に必要な部品の特定やこの部品の価格等の算出までの時間を短縮するために、CD−ROM等の記憶媒体から供給される部品データベース等を利用したコンピュータ処理による修理見積作成システムが用いられるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような修理見積作成システムを用いることによって、確かに見積書や作業指示書の作成時間の短縮を図ることができるが、各作業項目の選択や交換部品の特定等は、フロントマン等の判断によるところが多いために、見積もり作業者の実務経験によって作成までに要する時間が大きく異なることも少なくない。
【0005】
ここで、見積書や作業指示書の作成は、マニュアル作成する場合もコンピュータ見積もりシステムを利用して作成する場合も、車両の損傷位置、損傷面積、損傷程度等を特定する作業から開始するが、これらの作業は、熟練した見積もり作業者の経験に基づく勘により行われていることが多い。
【0006】
すなわち、損傷部分をアッシー交換する場合は比較的容易に見積書等を作成することができる場合もあるが、例えば、たたき出しによる外装の板金作業を伴う場合等については、その損傷位置や損傷面積または損傷の程度によって作業の難易度や作業時間が異なるため、熟練作業者でなければ正確な見積書等を作成することは困難である。
【0007】
そして、未熟な見積もり作業者では、目視のみに基づく大雑把な特定作業となる場合があり、正確な損傷の特定をするには、時間と手間をかけても困難であった。
【0008】
また、熟練した見積もり作業者であっても、例えば塗装費用の算出では、損傷位置や損傷程度によって異なる複雑に規則化された指数に基づくため、定量的な形での見積もりを短時間に行うことは困難であった。
【0009】
そして、見積書等を提示されたユーザー等においては、前述のように、見積書作成自体に高度な専門知識が必要なため、見積もり結果としての見積書に対して、点検や変更指示を行うことはできるものではなかった。
【0010】
本発明は前記事項に鑑みなされたものであり、損傷の種類を容易かつ正確に特定する車両損傷データ認識システムを提供することを技術的課題とする。
また、特定した損傷データに基づき、容易に修理費の見積もり、あるいは修理内容の指示を行うシステムを提供することを技術的課題とする。
【0011】
さらに、専門知識を有しない者(例えば見積書等を受け取るユーザー)が、容易に見積もり内容の評価を行えるシステムを提供することを技術的課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明の車両損傷データ認識システムは、車種と対応付けられたイメージデータを含む車両属性データ、及び損傷の形状に応じた標識を含む標識データを格納する記憶装置と、前記修理対象車両の車種を特定する修理車両データの入力、並びに前記標識の選択及びドロップ及び変更の入力を受ける入力装置と、前記修理車両データの入力によって特定された車種と対応するイメージデータに基づいて、修理対象車両の画像を表示すると共に、前記標識データの標識を表示させ、前記入力により選択された標識を前記画像上のドロップされた位置に変更された大きさで表示する表示装置と、前記選択された標識に応じて前記修理対象車両の損傷の形状を特定し、前記ドロップされた画像上の位置から該損傷の位置を特定し、前記画像に対する標識の大きさから該損傷の面積を特定する。
【0013】
前記計算装置は、前記特定された損傷の形状、位置、面積及び車両属性データに基いて、修理対象車両の修理費見積もりを行うことができる。また、前記計算装置は、前記特定された損傷の形状、位置、面積及び車両属性データに基いて、修理対象車両の修理内容を指示することができる。
【0016】
前記計算装置は、前記標識データにより特定された損傷を修復するための複数の作業内容を比較対象として前記表示装置に表示することができる。
そして、前記計算装置は、前記複数の作業内容のうち、所定の作業内容を複数同時に前記表示装置に表示することが望ましい。
【0017】
また、前記計算装置が表示する複数の作業内容には、修正作業あるいは交換作業を含むことができる。
また、前記計算装置が表示する複数の作業内容には、塗装作業を含むことができる。
【0018】
また、前記計算装置が表示する複数の作業内容には、同一作業を複数ランクに表したランク別作業を含むことができる。
また、前記計算装置が表示する作業内容には、各作業内容に対する修理費データを含むことができる。
【0019】
前記計算装置は、表示装置に表示された複数の作業内容のうち選択された作業内容について、さらに詳細な見積もりを行うことができる。
前記計算装置は、表示装置に表示された複数の作業内容のうち選択された作業内容について、さらに詳細な修理内容の指示を行うこともできる。
【0020】
また、本発明の車両損傷データ認識プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、車種と対応付けられたイメージデータを含む車両属性データ、及び損傷の形状に応じた標識を含む標識データを格納する記憶装置を有するコンピュータに、前記修理対象車両の車種を特定する修理車両データの入力を受けるステップと、前記修理車両データの入力によって特定された車種と対応するイメージデータに基づいて、修理対象車両の画像を表示すると共に、前記標識データの標識を表示させるステップと、前記標識の選択及びドロップ及び変更の入力を受けるステップと、前記入力により選択された標識を前記画像上のドロップされた位置に変更された大きさで表示するステップと、前記選択された標識に応じて前記修理対象車両の損傷の形状を特定し、前記ドロップされた画像上の位置から該損傷の位置を特定し、前記画像に対する標識の大きさから該損傷の面積を特定するステップと、を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体とすることができる。
【0022】
なお、前記損傷の種類として、損傷位置、損傷面積を例示できるが、さらに具体的な損傷の形状、損傷の程度、損傷の態様、損傷の深さ等を特定できるようにしてもよい。
【0023】
また、損傷位置の特定としては、車両の各部位を特定することとしてもよいし、あるいは各部位のさらに部分的な位置を特定することとしてもよい。
この損傷位置の特定にあたっては、損傷箇所が所定の損傷位置であった場合、修理費を見積もる際に標準修理費よりも高低をつけて見積もりを行うようにすることもできる。これは、損傷部位によっては、修理作業に困難性を伴うこともあるし、あるいは、同一部位内においても、部位の中央部と端部とでは、鈑金作業や塗装作業における難易度が異なる場合があるためである。例えば、外板パネルの端部では、隣接するパネルの塗装色と同調させるために、時間や材料費が標準よりも増加することがある。
【0024】
なお、部位という用語は、車両の一の部品に対して関連するある程度のまとまりをもつ部品のグループを表すものである。ある程度のまとまりとは、一の部品に近接する部品のグループであってもよいし、あるいは、一の部品を修理する際に関係する部品のグループ(例えば、一の部品を修理する際に脱着が必要となる部品を含むグループ)であってもよい。なお、一の部品をして一の部位としてもよい。
【0025】
本発明によれば、入力装置から入力された修理車両の修理車両データに基づいて、修理車両データに対応する、予め記憶装置に格納した車両属性データを検索して、これら修理車両データ、車両属性データの少なくとも一方を表示装置に表示する。
【0026】
そして、記憶装置に格納した修理車両の損傷の種類に対応させた標識データを、表示装置で表示している修理車両データ上、あるいは車両属性データ上で指定することによって修理車両の損傷の種類を特定する。
【0027】
この損傷の種類の特定の際、前記標識データを、表示装置で表示している修理車両データ上、車両属性データ上で表示させて損傷の位置を特定するが、標識データの大きさを自由に変更することにより、損傷位置の特定とともに損傷の面積を特定することができる。
【0028】
このように損傷の種類に対応した標識データを、対象となる修理車両のデータ上で指定、表示することで修理対象車両の損傷データの認識を行うものである。次に、前記計算装置が修理費の見積もりを行うには、表示装置に表示した車両属性データまたは修理車両データ上で指定される標識データに基づいて、損傷位置(損傷部位)の交換または修正のいずれかを選択し、修理車両の損傷が影響する範囲または部品のいずれかを特定し、損傷位置(損傷部位)の板金面積さらには板金位置を特定して修理費見積もりを行うこともできる。
【0029】
そして、修正作業を選択すると、塗装作業を行う際の、損傷位置の塗装色を特定し、塗装範囲を特定するとともに、塗装方法を特定して、これら作業の工賃や部品・材料費等を積算した詳細な修理費見積もりを行う。
【0030】
また、交換作業を選択すると、塗装作業を行うか否かの選択をし、塗装作業を行う場合は、損傷位置の塗装色を特定し、塗装範囲を特定するとともに、塗装方法を特定して、これら作業の工賃や部品・材料費等を積算した詳細な修理費見積もりを行う。
【0031】
このように損傷の位置や面積を特定すると、次にその損傷の程度に応じて、交換または修正のいずれかを選択する。そして、損傷による衝撃によって影響を受ける部位(範囲や部品)、損傷部位の板金面積や損傷部位内における板金位置、さらに、塗装色や塗装方法を特定して修理費見積もりを行うことができるものである。
【0032】
また、この計算装置は、各車種毎に対応する車両諸元データ、部品データ、塗装色データ、塗装方法データ、板金修理に要する工賃データ、部品の交換または修理に要する工賃データのうち少なくとも1つを車両属性データとして用いることができる。
【0033】
さらに、この計算装置は、車両属性データを基準として標識データを用い修理費見積もりを行うとともに、修正または交換にかかる各作業をランク別に表示し、修正や交換等の各作業に対応する修理費を、それぞれ独立して表示するようにしてもよい。
【0034】
また、ランク別の修正作業またはランク別の交換作業若しくはランク別の修理費等を複数同時に表示するようにしてもよい。
【0035】
【発明の実施の形態】
「実施の形態1」
以下、本実施の形態1に係る車両修理指示システムを図1〜9図に基づいて具体的に説明する。
【0036】
本実施の形態に係る車両修理指示システムは、図1に示すようにパーソナルコンピュータ1(以下、PCという。)と、このPC1に入出力インタフェース2を通じて接続した補助記憶装置3、キーボードまたはマウス若しくはライトペン等から構成する入力装置4、デジタルスチルカメラ5と、さらに、PC1に入出力インタフェース2を通じて接続した表示装置6、印字装置7、通信装置8で構成する出力装置とから形成する。
【0037】
ここで、PC1に入出力インタフェース2を通じて接続した補助記憶装置3は、フロッピーディスク装置やハードディスクまたは光ディスク装置を用いることができる。
【0038】
そして、入力装置4としては、キーボード等の他にOCR、OMR、バーコードリーダ、ディジタイザ、イメージスキャナ、音声認識装置を接続することもできる。なお、出力装置としては、表示装置6等の他に作図装置、マルチメディア処理装置を接続することもでき、さらに、通信装置8は、通信回線を通じて端末装置に接続することもできる。
【0039】
次に、修理車両の画像データを取り込む装置としては、デジタルスチルカメラ5の他に投光部と受光光学部、光電変換部を有する光センサ等を用いることもできる。ここで、これら光センサの投光部には、連続光用ではタングステンランプやハロゲンランプ、蛍光灯等を、間欠光用ではキセノンランプを用いる。そして、受光光学系としては、ビジコンやシリコンビジコン、カルニコン等を用いたITVカメラや半導体センサまたはMOS形、CCD形の固定カメラを使用し、光電変換部には撮像管や個体撮像管素子、光電変換素子等で形成する。
【0040】
一方、損傷部位に照射する光源としてレーザ光を用いることもできる。ここで、レーザ光を使用する場合は、図示はしていないがHe−Neレーザ光等を集光レンズにより、損傷位置で必要なスポット径になるように収束し、電磁振動鏡により損傷位置の幅方向に光を走査し、反射鏡によって損傷位置の表面に照射する。このときの損傷位置からの反射回析光をオプティカルファイバ等にて作成した集光系で集光し、光電子倍増管で電気信号に変換するものである。
【0041】
次に、PC1は、主記憶装置1b(ハードディスク、ROM、RAM〔以下メモリという〕)及び中央処理装置1a(以下CPUという)で構成する。そして、修理車両の修理指示を行うPC1は、OSによる制御の下にメモリ1bまたは補助記憶装置3にキャッシュされているプログラムを起動し、所定のタスク(プロセス)を実行する。このPC1は、複数のタスクを仮想的にかつ同時に並列して実行するマルチタスクを行うこともできる。
【0042】
なお、PC1の機能の一部には、メモリ管理装置の機能が備えられている。すなわち、このメモリ管理装置は、読み出しまたは書き込みを行うためにプロセスが指定するメモリ1b上の論理アドレスを、実際にメモリ1bに読み書きする物理ページの番地を示す物理アドレスに変換する機能をも有している。
【0043】
次に、PC1本体を構成するCPUは、与えられたデータに対して四則演算、論理演算等を行う演算装置1a2と、実行される命令部1b1のアドレスをもとにメモリ1bからCPUに命令を取り込み、命令の内容を解読し必要な動作指示を他の装置に対して出す制御装置1a1とを有する。
【0044】
この制御装置1a1は、図1に示すように入力装置4等に対して入力制御指令を出し、メモリ1bに対しては、メモリ1b制御指令を出し、出力装置等に対しては、出力制御指令を出す。
【0045】
そして、入力装置4等より入力されたコマンドは最初にメモリ1bへと転送されてメモリ1bでは、与えられたコマンドからデータ及び命令を選択するとともに、選択されたデータ及び命令をCPUの制御装置1a1に転送する。
【0046】
ここで、デジタルスチルカメラ5により取り込まれ、入出力インタフェース2を通じてメモリ1bへと転送された画像データまたはキーボード等の入力装置4より入力された修理車両データは、メモリ1bのデータ部1b2に格納される。
【0047】
ところで、このデータ部1b2には、損傷の種類に対応させた標識データ6cを格納していて、これら標識データ6cは、たとえば、図4に示すように直線は、ほぼ直線の引っかき傷等を表し、四角形は、ほぼ角張った凹みや歪みを表し、円形は、丸みを帯びた凹みや歪みを表し、三角形は、飛び石や鋭利な物で刺した刺し傷等を表し、さらに、撓んだ線形は、外装表面の波打ちや歪みを表し、任意形状は、その他の表現が不可能な損傷を表す。
【0048】
そして、データ部1b2には、各車種毎に対応するとともに、これら各車種のグレードに対応した車両諸元データ及び部品データ並びに塗装色データ、塗装方法データを格納している。
【0049】
また、車両の部品価格及び部品交換または修理に要する工賃のデータ群を格納するとともに、修理に伴う車両の損傷部位と損傷に伴って交換または修理が必要となる部品との対応データを車両属性データとして格納している。さらに、作業毎に対応する板金修理に要する工賃データをも格納している。
【0050】
また、これら格納したデータには、それぞれランク付けすることができ、たとえば、交換する部品においても新品の純正部品を最高位のランクにし、優良部品等を中位のランクにするとともに、中古の純正部品を最下位のランクとして格納することができる。
【0051】
これにより、見積時において選択肢を持たせ、ユーザーに情報を開示して選択させることができ、中古部品ネットワーク等の利用密度を高めたり、リサイクル促進提案も可能となる。
【0052】
なお、これら格納されたデータには、過去の修理車両のデータと、このデータから把握される過去の修理車両の損傷データと、前記過去の修理車両に使用した部品データと、前記過去の修理車両の損傷部位データに基づいて当該修理車両の損傷部位を検索する車両イメージデータを車両属性データとして格納している。
【0053】
次に、制御装置1a1では、メモリ1bから転送された修理車の修理車両データ及び画像データ並びに命令を解読して、必要な動作指示を演算装置1a2に与える。そして、演算装置1a2では、与えられた修理車両データ及び画像データ並びに命令に対して論理演算等の演算を行う。
【0054】
すなわち、メモリ1bから読み込まれ制御装置1a1で解読された命令は、入力された修理車両データ等をデータ部1b2に格納し、この修理車両データ等から最初に修理車両データに対応する車両属性データを検索する。そして、図2に示すように車両属性データの中からグラフィックス6a画面を表示装置6に表示させる。
【0055】
ここで、表示させるグラフィックス6aは、2次元の平面的なグラフィックス6aでも良いし、3次元の立体的な3Dグラフィックス6aでも良い。さらに、デジタルスチルカメラ5等で取り込んだ修理車両の画像データを同時に表示させることもできる。
【0056】
次に、グラフィックス6a画面を表示装置6に表示させると次の命令がメモリ1bから制御装置1a1に読み込まれて制御装置1a1からこの命令が演算装置1a2に与えられる。そして、修理車両のボンネット6bをマウスを用いてクリックすると損傷部分がボンネット6bであると特定し、さらに、他の部分と区別するために色付けをして表示装置に表示させ、これをデータ部1b2にフィードバックして格納させる。
【0057】
このように損傷部分を決定すると、制御装置1a1にメモリ1bから次の命令が読み込まれ、図4に示すようにボンネット6bを表示装置6に表示させるように演算装置1a2に指示をし、さらに、あらかじめ格納した標識データ6cとともにこれら標識データ6cの操作ガイドを同時に表示装置6に表示させる。
【0058】
ここで、この操作ガイドは、他のキーを押すことで表示装置から消すことができる。また、この操作ガイドを適時表示、非表示させる手段も搭載されている。次に、標識データ6cの内から損傷の種類に応じた標識6dを選択させるとともに、表示したボンネット6bのグラフィック画面上にこの標識6dをドラッグアンドドロップにて表示させる。
【0059】
次に、損傷の面積に応じてこの標識6dの大きさを変更させる。ここで、標識6dの大きさの変更は、たとえば、損傷がほぼ直線の引っかき傷であり、標識データ6cの中から直線の標識6dを選択した場合、損傷の位置にドラッグアンドドロップにて表示させ、さらに、マウスの左ボタンをクリックしながらドラッギングして右方向に引き、損傷の大きさまで引き伸ばしクリックを解くとその長さで引っかき傷の大きさが特定される。
【0060】
また、損傷がほぼ角張った凹みや歪み等であり、標識データ6cの中から四角形の標識6dを選択した場合、損傷の位置にドラッグアンドドロップにて表示させ、さらに、マウスの左ボタンをクリックしながらドラッギングして右斜め下方に引き、損傷の大きさまで引き伸ばしクリックを解くとその範囲で角張った凹みや歪みの大きさが特定される。
【0061】
このようにすることで、演算装置1a2では、損傷の種類(形状)及び損傷の位置並びに損傷の範囲を特定してこれらのデータを修理車両データとしてデータ部1b2に格納する。
【0062】
ここで、損傷の面積の解析は、指定されグラフィック画面上に表示された標識6dの面積を計算することで求る。たとえば、表示された標識6dが四角形である場合の面積は、縦×横で求められるし、円形である場合の面積は、πr2で求めることができる。さらに、三角形では、(底辺×高さ)/2で求めることができ、任意形状の面積は楕円として、π×長軸×短軸で求めることができる。
【0063】
この場合、あらかじめ修理車両のボンネット等の縮尺率に対応した面積を格納しておき、このボンネットに表示させた標識6dがボンネットの全面積に対して何%であるかを割り出すことにより算出することができる。
【0064】
また、このような計算方式とは別に、グラフィック画面のドット数を計算することで面積を算出することもできる。たとえば、標識6dが円形である場合、この円形のドット数を計算して面積を算出することやあらかじめボンネット6bのドット数を格納しておき、指定した円形のドット数がボンネット6bのドット数の何%であるかを割り出して、ボンネット6bのドット数にこの割合を乗することでも良い。
【0065】
ところで、メモリ1bに格納され制御装置1a1に読み込まれ、さらに演算装置1a2に与えられる命令には、損傷位置の交換または修正を指定された標識6dに基づいて選択させることや損傷位置の損傷が影響する範囲または部品を特定させることが含まれる。
【0066】
さらに、損傷位置の損傷の種類や損傷範囲に基づいて、板金位置及び板金面積を特定することが含まれる。なお、損傷位置の交換または修正を選択すると、交換に伴って塗装作業を行うか否かの選択をさせることもできる。そして、塗装作業を行う場合に損傷位置の塗装色、塗装範囲、塗装方法を自動的に認識、特定させることもできる。
【0067】
次に、本実施の形態では、交換を選択し、交換に要する工賃や部品の価格を決定して図6に示すように交換に係る費用を表示装置6に表示させる。ここで、交換のみならず修理をした際の費用をも同時に表示させることができる。また、交換の部品に対して新品の純正部品を使用するかまたは中古の純正部品を使用するかの特定をすることもできる。
【0068】
また、ユーザーの希望を取り入れて修理専門家の立場から想定した修正、交換のコースをあらかじめ複数登録しておき、これを適時選択することで、コース内容に応じた費用算出を行うことができる。
【0069】
たとえば、車両価格が安いためあまり金額をかけた修正等をして欲しくないという希望を取り入れた見積をするエコノミーコース、新車同様の修正、交換等をして欲しいという希望や、または高級車であるから万全を期したいという希望を取り入れたスーパーコース等を任意に設定することができ、コースに応じた見積を行うことができる。
【0070】
なお、上記各例では、修正、交換の内容に応じたコース設定としているが、費用に応じたコース設定、たとえば、総額20万円までの範囲内で修理をして欲しいとか、費用はいくらかかっても良い等の費用毎のコース設定や、修正、交換作業中の代行貸出車両の有無や、修正、交換作業とともに所定の車両の整備、点検をも行うことにする等のオプション別のコース設定等、本実施の形態に係る車両修理指示システムを用いる側が車両ユーザーに提供できる各種のサービス体系に応じたコース設定として、よりきめ細やかなニーズに答えるシステムとして活用することができる。
【0071】
そして、これらの特定等が終了すると、交換に係る費用をすべて積算して表示装置6に表示させる。たとえば、フードの交換では、単位時間あたりの作業工賃であるレバーレートを7,000円に設定すると、これに作業の難易度に対応した指数0.70を乗じて技術料金が4,900円、交換する部品の価格がフード41,900円であり、これらの合計が46,800円となる。
【0072】
次に、塗装ではレバーレートを7,000円に設定すると、これに指数4.90を乗じて技術料金が34,300円となり、塗料の費用が4,190円であり、これらの合計が38,490円となる。したがって、交換に伴う総合計費用は、85,290円となる。
【0073】
また、図7に示すようにボンネット6bの修理にかかる合計金額が表示されるとともに、修理コース及び作業時間並びに預かり日数が表示される。
本実施の形態1では、ボンネット6bの修理にかかる費用はレバーレートを7,000円に設定し、これに指数3.15を乗じて技術料金が22,050円となり、ボンネット6bの費用が41,900円であり、技術料金及び部品料金の合計金額が68,140円になる。
【0074】
次に、本実施の形態1に係る車両修理指示システムに用いる計算装置の動作原理をフローチャート図8〜9に基づいて説明する。
まず、修理車の車種を特定する車両ナンバー等の修理車両データを入力装置4により入力し、入出力インタフェース2を通じてPC1に転送する(ステップ100)。
【0075】
次に、PC1の制御装置1a1は、記憶装置に格納された修理車両データ及び車両属性データを読み込む命令を演算装置1a2に与え(ステップ101)、さらに、演算装置1a2ではこの命令に基づいて修理車両データからこの修理車両データに対応する車両属性データを検索してレジスタへと読み込む(ステップ102)。
【0076】
次に、検索した車両属性データ、修理車両データの双方またはいずれかを表示装置6に表示する(ステップ103)。本実施の形態1では、表示装置6に表示させる画像をセダンまたはハードトップ等のイラストグラフィックス6aとして表示させる。
【0077】
また、特定の車種の全体像をイラストグラフィックス6a画像で表示するようにしても良い。さらに、この表示画面には、損傷の種類に対応した標識6dデータを同時に表示している。
【0078】
次に、損傷の種類に合わせて標識6dデータを選択すると(ステップ104)制御装置1a1は、選択された標識6dデータがどの損傷を表しているかを特定する命令を演算装置1a2に与え、演算装置1a2では、この命令に基づいて修理車両の損傷の種類(形状)を特定する(ステップ105)。
【0079】
次いで、グラフィックス6a画像上でマウスを用いて標識6dデータをドラッグし損傷部分にドロップして表示するとともに、損傷の大きさに合わせてこの標識6dの大きさを変更する(ステップ106)。
【0080】
これにより制御装置1a1は、ドロップさせた位置を損傷位置として特定するとともに、ドロップされた標識6dの大きさにより損傷部分の面積を計算する命令を演算装置1a2に与え、演算装置1a2は、この命令に基づいて損傷の位置を特定し(ステップ107)、損傷の面積を特定する(ステップ108)。なお、これら特定した損傷の種類、損傷の位置、損傷の面積は、演算装置1a2よりメモリ1bにフィードバックされ格納される。
【0081】
同時に、演算装置1a2は、損傷位置の修正または交換にかかる費用をそれぞれ算出し、制御装置1a1は演算装置1a2にこの損傷位置の修正または交換にかかる費用を表示装置に表示させる。
【0082】
次に、演算装置1a2は、損傷位置の修正または交換を操作者に選択させる(ステップ109)。
さらに、演算装置1a2は、修正を選択すると次に損傷による衝撃で影響を受ける範囲や部品を特定する(ステップ110)。この影響を受ける範囲及び部品の特定は、あらかじめ記憶装置に格納された修理作業データ及び対応する部品データに基づいて行われる。
【0083】
なお、過去の修理車両のデータと、このデータから把握される過去の修理車両の損傷データと、過去の修理車両に使用した部品データと、過去の修理車両の損傷部位データに基づいて修理車両の損傷部位を検索する車両イメージデータからなる車両属性データとの比較演算を行うことにより前記特定を行うようにしても良い。
【0084】
そして、影響を受ける範囲や部品が存在し、これらを特定すると制御装置1a1は、これらの範囲や部品の修理の必要があるか否かの判断を行う命令を演算装置1a2に与え、演算装置1a2は、操作者からの入力を待って修理の有無を判断する(ステップ111)。ここで、操作者がこれらの範囲や部品の修理が必要と認め、この指令を入力装置4から入力すると、制御装置1a1は、演算装置1a2にこれらの修理にかかる費用を初期設定されたファーストコースに基づいて算出させ(ステップ112)、さらに、操作者から他の作業ランクが入力されると(ステップ113)、演算装置1a2は、この費用及び作業ランクをメモリ1bにフィードバックして格納する。
【0085】
なお、作業ランクは、あらかじめメモリ1bに格納された車両属性データに基づいて設定されるが、この作業ランクは、その都度入力装置4から入力することによって変更ができる。
【0086】
次に、これら修理を行う範囲や部品のすべてを特定するかまたは影響を受ける範囲や部品がない場合、制御装置1a1は演算装置1a2に対して板金位置と板金面積を特定させる(ステップ114)。ここで、板金の必要がないときは、これら板金位置と板金面積を特定は行わない。
【0087】
そして、板金の必要があり板金位置と板金面積を特定すると演算装置1a2は、塗装色を特定するとともに(ステップ115)、塗装方法を特定する(ステップ116)。これらの特定は、あらかじめ記憶装置に格納された車両属性データに基づいて行われる。なお、これらを特定すると演算装置1a2は、特定の結果をメモリ1bへとフィードバックして格納する。
【0088】
次に、制御装置1a1は、演算装置1a2にこれらの修理にかかる費用を初期設定されたファーストコースに基づいて計算させ(ステップ117)、さらに、操作者から他の作業ランクが入力されると(ステップ118)、演算装置1a2は、この費用及び作業ランクをメモリ1bにフィードバックして格納する。
【0089】
そして、修理を行う位置等を表した作業指示を表示させるとともに(ステップ119)、見積書、作業指示書を作成させる(ステップ120)。さらに、これらの書類を印字装置等から印刷して出力する(ステップ121)。
【0090】
また、ステップ109に戻って修理位置の交換を選択すると、制御装置1a1は演算装置1a2に交換部品を特定させる命令を与え、この命令に基づいて演算装置1a2は、交換部品を特定する(ステップ122)。これら交換部品の特定もあらかじめ記憶装置に格納された車両属性データに基づいて行われる。
【0091】
次に、交換部品の特定が終了すると演算装置1a2は、交換にかかる費用を計算し(ステップ123)、操作者から作業ランクが入力されると(ステップ124)、演算装置1a2は、この費用及び作業ランクをメモリ1bにフィードバックして格納する。
【0092】
そして、修理を行う位置等を表した作業指示を表示させるとともに(ステップ125)、見積書、作業指示書を作成させる(ステップ126)。
次に、これら交換部品の塗装が必要か否かの判断を操作者に求める(ステップ137)。ここで、塗装の必要がないと判断するとその時点で操作は終了するが、塗装の必要があるものと判断した場合、ステップ115からステップ121までの処理を行う。
「実施の形態2」
次に、本実施の形態2に係る車両修理指示システムを図10〜図25に基づいて具体的に説明する。
【0093】
本実施の形態2では、修理車両の損傷箇所が複数の部分に及んでいる場合、この損傷箇所を修正する車両修理指示システムである。なお、本実施の形態2に係る車両修理指示システムの構成は、実施の形態1と同様であるので説明は省略する。
【0094】
最初にメモリ1bから読み込まれ制御装置1a1で解読された命令は、入力された修理車両データ等をデータ部1b2に格納し、この修理車両データ等から最初に修理車両データに対応する車両属性データを検索する。
【0095】
そして、図10に示すように車両属性データの中からグラフィックス6a画面を表示装置6に表示させる。
次に、グラフィックス6a画面を表示装置6に表示させると次の命令がメモリ1bから制御装置1a1に読み込まれて制御装置1a1からこの命令が演算装置1a2に与えられる。
【0096】
この命令は、修理車両の損傷部分を特定させる命令を演算装置1a2に与えるものである。この命令により演算装置1a2では、マウスを用いて損傷した部分を特定させる指示を表示装置6に表示させる。本実施の形態2では、車両の前部のボンネット6b及び左側のフロントフェンダー並びに左側のドアを損傷しているものとする。
【0097】
そして、修理車両のボンネット6bをマウスを用いてクリックすると損傷部分がボンネット6bであると特定し、さらに、他の部分と区別するためにボンネット6bの色彩を変化させる等強調表示をして表示装置に表示させ、これをデータ部1b1にフィードバックして格納させる。
【0098】
次に、図12に示すように車両の左側フロントフェンダー6eにカーソルを合わせてクリックすると演算装置1a2では、損傷部位を車両の左側フロントフェンダーと判断し、さらに、他の部分と区別するために左側フロントフェンダー6eの色彩を変化させる等強調表示をして表示装置に表示させ、これをデータ部1b1にフィードバックして格納させる。
【0099】
さらに、図13に示すように車両の左側フロントドア6fにカーソルを合わせてクリックすると演算装置1a2では、損傷部位を車両の左側フロントドアと判断し、さらに、他の部分と区別するために左側左側フロントドア6fの色彩を変化させる等の強調表示をして表示装置に表示させ、これをデータ部1b1にフィードバックして格納させる。したがって、演算装置1a2は、ボンネット6b、左側フロントフェンダー、左側フロントドアの3カ所が損傷しているものと特定する。
このように損傷部分を決定すると、制御装置1a1にメモリ1bから次の命令が読み込まれ、図14に示すようにボンネット6bを表示装置6に表示させるように演算装置1a2に指示をし、さらに、あらかじめ格納した標識データ6cとともに、これら標識データ6cの操作ガイドを表示装置6に表示させる。
【0100】
次に、図15に示すように表示したボンネット6bのグラフィック画面上に、この標識6dをドラッグアンドドロップにて表示させる。ここで、円形の標識6dを選択しボンネット6bの損傷は丸みを帯びた凹みや歪みであることを表し、この標識6dに基づいて演算装置1a2は、損傷の面積を計算して表示装置6に表示するとともに、作業時間や難易度を表示する。
【0101】
次に、損傷の面積に応じてこの標識6dの大きさを変更させる。ここで、標識6dの大きさの変更は、実施の形態1と同様であるので説明は省略する。
ところで、表示装置6に表示される作業時間や難易度は、以下に示す指数表によって算出される。
難易度▲1▼〜▲3▼について、損傷毎にYES・NOを判断し、指数値を検索する。
【0102】
ここで、軽度な損傷とは、1損傷あたりの面積が3dm2以下で、著しい折れ、潰れ、延び等が認められない損傷をいう。なお、同一パネルに複数の損傷がある場合は、1損傷毎にランクを判定し、高いランクのテーブルを使用する。ただし、面積は、合計の面積で指数値を検索する。
【0103】
パネル裏面からハンマ等で作業ができる損傷は、付属品を脱着すれば裏面から作業できる損傷を含むものである。
そして、同一パネルに損傷が複数である場合は、以下の運用にする。なお、パネル裏面の損傷も表面の損傷と同様に扱う。
次に、メモリ1bからこれらの基準を読み出した演算装置1a2では、損傷の種類及び損傷の位置並びに損傷の範囲を特定してこれらのデータを修理車両データとしてデータ部1b2に格納する。
【0104】
さらに、修正に要する工賃や部品の価格を決定して図16に示すように修正に係る費用を表示装置6に表示させる。ここで、修正のみならず交換をした際の費用をも同時に算出し、対比的に表示させる。
【0105】
ここで、修正の部品に対して新品の純正部品を使用するかまたは中古の純正部品を使用するかの特定をすることもできるし、初期設定されたファーストコースの他に、修理のコースをスーパーコースやエコノミーコースにすることもできる。
【0106】
そして、これらの特定等が終了すると、修正、交換に係る費用を各々積算して対比的に表示装置6に表示させる。たとえば、フードの修正では、レバーレートを7,000円に設定し、これに作業の難易度に対応した指数1.90を乗じて技術料金が13,300円、インシュレータ脱着では、レバーレートを7,000円に設定し、これに作業の難易度に対応した指数0.10を乗じて技術料金が700円となる。
【0107】
次に、塗装ではレバーレートが7,000円であり、これに指数3.85を乗じて技術料金が26,950円、塗料の費用が2,760円であり、塗装にかかる費用の合計は、29,710円になる。
【0108】
したがって、ボンネット6bの修正にかかる総額は43,710円になる。
また、交換の場合、フードは、レバーレートを7,000円に設定し、これに作業の難易度に対応した指数0.70を乗じて技術料金が4,900円、フードの部品金額が41,900円であり、フードの交換にかかる費用は46,800円となる。
【0109】
次に、塗装はレバーレートを7,000円に設定し、これに指数2.85を乗じて技術料金が19,950円となり、塗料の費用が4,190円であり、塗装にかかる費用は、24,140円となる。
【0110】
したがって、この見積を提示されたユーザーは、対比的に両者を比較検討することができ、交換、修正の益、不益を十分に認識した上で、いずれかを選択することができる。したがって、見積が透明かつ明瞭であるため、ユーザーからの信頼も得易い。
【0111】
なお、ボンネット6bは、交換するよりも修理をする方が料金が安くなることが確認できるが、見積者において交換の利益をユーザーに十分に説明して交換を推奨することも信頼の上で可能となる。
【0112】
次に、フロントフェンダーの損傷を特定する。図17に示すように表示したフロントフェンダーのグラフィック画面上に、標識6dをドラッグアンドドロップにて表示させる。ここで、円形の標識6dを選択しフロントフェンダーの損傷は丸みを帯びた凹みや歪みであることを表し、この標識6dに基づいて演算装置1a2は、損傷の面積を計算して表示装置6に表示するとともに、作業時間や難易度を表示する。
【0113】
また、このフロントフェンダーには、複数の損傷が認められるため直線状の標識6dを選択し、この標識6dをクリックアンドドロップにて合わせて表示させる。
【0114】
ここで、図18に示すように線状の標識6dはフロントフェンダーの損傷が線傷であることを表し、この標識6dに基づいて演算装置1a2は、損傷の面積を計算して表示装置6に表示するとともに、作業時間や難易度を表示する。
【0115】
次に、これらの特定等が終了すると、これらの修正に係る費用をすべて積算して表示装置6に表示させる。たとえば、図19に示すようにフロントフェンダーの修正は、レバーレートを7,000円に設定し、これに作業の難易度に対応した指数2.10を乗じて技術料金が14,700円、クリアランスランプは、レバーレートを7,000円に設定し、これに指数0.30を乗じて技術料金が2,100円、インナーフェンダーの修正は、レバーレートを7,000円に設定し、これに指数0.20を乗じて技術料金が1,400円になる。
【0116】
次に、塗装はレバーレートを7,000円に設定し、これに指数3.85を乗じて技術料金が26,950円となり、塗料の費用が2,050円であり、技術料金及び塗料の合計金額が29,000円になる。
【0117】
したがって、左フロントフェンダーの修正にかかる総額は、45,800円になる。
また、交換の場合、フロントフェンダーは、レバーレートを7,000円に設定し、これに指数0.60を乗じて技術料金が4,200円、フロントフェンダーの部品金額が28,800円であり、塗装はレバーレートを7,000円に設定し、これに指数2.15を乗じて技術料金が15,050円となり、塗料の費用が2,050円である。したがって、左フロントフェンダーの交換にかかる総額は、50,100円になる。
【0118】
次に、フロントドアの損傷を特定する。図20に示すように表示したフロントドアのグラフィック画面上に、標識6dをドラッグアンドドロップにて表示させる。ここで、線形の標識6dを選択しフロントドアの損傷は線状の傷であることを表し、この標識6dに基づいて演算装置1a2は、損傷の面積を計算して表示装置6に表示するとともに、作業時間や難易度を表示する。
【0119】
次に、損傷の特定等が終了すると、ドアの修正に係る費用をすべて積算して表示装置6に表示させる。たとえば、図21に示すようにフロントドアの修正は、レバーレートを7,000円に設定し、これに作業の難易度に対応した指数1.40を乗じて技術料金が9,800円、トリム、サービスホール脱着は、レバーレートを7,000円に設定し、これに指数0.30を乗じて技術料金が2,100円、塗装はレバーレートを7,000円に設定し、これに指数2.60を乗じて技術料金が18,200円となり、塗料の費用が1,760円である。したがって、左フロントドアの修正にかかる総額は、31,860円になる。
【0120】
また、交換の場合、フロントドアは、レバーレートを7,000円に設定し、これに指数2.40を乗じて技術料金が16,800円、フロントドアの部品金額が43,200円であり、塗装は、レバーレートを7,000円に設定し、これに指数2.60を乗じて技術料金が18,200円となり、塗料の費用が2,690円である、したがって、左フロントドアの交換にかかる総額は、80,890円になる。
【0121】
次に、フロントドアの修正に関して修正コースを初期設定されたファーストコース6hとは別に他のコースを選択することができる。たとえば、図22に示すようにエコノミーコース6g、スーパーコース6iのいずれかを選択することができる。このようにすることでユーザーの希望に応じて見積書等を作成することができるとともに、ユーザーの希望コースでの修理作業に着手することができる。
【0122】
そして、初期設定されたファーストコースをそのまま設定すると、損傷ランク6jとして損傷の程度、損傷位置、さらに作業性の各項目が表示される。
この損傷ランク6jは、損傷の種類や損傷の位置、損傷の面積が特定されると自動的に判断され、図23に示すように損傷の程度は、損傷面積が3dm2以下で著しい折れ、つぶれ、延びがない旨を表示するとともに、損傷位置は、プレスライン部またはパネル端部に及ばない位置、さらに、作業性は、パネル裏面からハンマ及びドリー、スプーン等で作業ができる旨を表示する。ここで、これらの判定に誤りがあると判断した場合、それぞれYES・NOでこれらを変更することができる。
【0123】
次に、図24に示すようにこれらの特定が終了すると左フロントドアの付属品脱着作業に要する作業時間の参考時間0.30が表示される。ここで、作業時間の参考時間とは別に左フロントドアの修正や交換に伴う各種のオプションを表示させることもできる。
【0124】
最後に、図25に示すようにこれらボンネット6b、フロントフェンダー、フロントドアの修正にかかる合計金額が表示されるとともに、修正コース及び作業時間並びに預かり日数が表示される。
【0125】
本実施の形態2では、ボンネット6bの修正にかかる費用はレバーレートを7,000円に設定し、これに指数5.85を乗じて技術料金が40,950円となり、塗料の費用が2,760円であり、技術料金及び塗料料金の合計金額が43,710円になる。
【0126】
そして、フロントフェンダー6eの修正にかかる費用はレバーレートを7,000円に設定し、これに指数6.25を乗じて技術料金が43,750円となり、塗料の費用が2,050円であり、技術料金及び塗料料金の合計金額が45,800円になる。
【0127】
さらに、フロントドア6fの修正にかかる費用はレバーレートを7,000円に設定し、これに指数4.30を乗じて技術料金が30,100円となり、塗料の費用が1,760円であり、技術料金及び塗料料金の合計金額が31,860円になる。
【0128】
したがって、この修正にかかる費用の総合計は、119,270円のなる。ここで、これらボンネット6b、フロントフェンダー6e、フロントドア6fの修正にかかる見積データをそれぞれ個別にデータファイルとして保持している。
【0129】
このようにすることで、修理位置に個別に対応させ、ユーザーに判断材料を明確に表示できる。したがって、ユーザーからの変更希望に容易に答えることができる。
【0130】
なお、図示はしていないが交換や修正にかかる費用の計算のみならず、これらの作業を行うメカニック等に対する作業指示を行うこともできるとともに、さらに、自動車学校等でこのシステムを用いて教材として使用することもできる。またはデジタルカメラ等で撮影した修理車両の画像データ等を表示装置に同時に表示させることもできる。
【0131】
【発明の効果】
本発明によれば、損傷の種類を容易かつ正確に特定する車両損傷データ認識システムを提供することができる。
【0132】
また、特定した損傷データに基づき、容易に修理費の見積もり、あるいは修理内容の指示を行うシステムを提供することができる。さらに、専門知識を有しない者(例えば見積書等を受け取るユーザー)が、容易に見積もり内容の評価を行えるシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る車両修理指示システムのブロック図
【図2】本実施形態1に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の入力方向を指定する図
【図3】本実施形態1に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の損傷位置を指定する図
【図4】本実施形態1に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の標識データを指定する図
【図5】本実施形態1に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の交換を指定する図
【図6】本実施形態1に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の交換費用を表示する図
【図7】本実施形態1に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の交換費用の総額を表示する図
【図8】本実施形態1に係る車両修理指示システムの動作原理を示すフローチャート図
【図9】本実施形態1に係る車両修理指示システムの動作原理を示すフローチャート図
【図10】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の入力方向を指定する図
【図11】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の損傷位置を指定する図
【図12】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の損傷位置を指定する図
【図13】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の損傷位置を指定する図
【図14】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の標識データを指定する図
【図15】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の損傷の種類、位置、面積を特定する図
【図16】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の修正費用を表示する図
【図17】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の損傷の種類、位置、面積を特定する図
【図18】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の損傷の種類、位置、面積を特定する図
【図19】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の修正費用を表示する図
【図20】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の標識データを指定する図
【図21】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の修正費用を表示する図
【図22】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の修正のコースを表示する図
【図23】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の損傷のランクを指定する図
【図24】本実施形態2に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の付属品脱着作業の時間を表示する図
【図25】本実施形態1に係る車両修理指示システムの表示装置に表示された修理車両の修正費用の総額を表示する図
【符号の説明】
1 ・・・パーソナルコンピュータ
1a ・・・中央処理装置
1a1 ・・・制御装置
1a2 ・・・演算装置
1b ・・・主記憶装置
1b1 ・・・命令部
1b2 ・・・データ部
2 ・・・入出力インタフェース
3 ・・・補助記憶装置
4 ・・・入力装置
5 ・・・デジタルスチルカメラ
6 ・・・表示装置
7 ・・・グラフィックス画面
Claims (13)
- 修理対象車両の損傷データを認識するシステムにおいて、
車種と対応付けられたイメージデータを含む車両属性データ、及び損傷の形状に応じた標識を含む標識データを格納する記憶装置と、
前記修理対象車両の車種を特定する修理車両データの入力、並びに前記標識の選択及びドロップ及び変更の入力を受ける入力装置と、
前記修理車両データの入力によって特定された車種と対応するイメージデータに基づいて、修理対象車両の画像を表示すると共に、前記標識データの標識を表示させ、前記入力により選択された標識を前記画像上のドロップされた位置に変更された大きさで表示する表示装置と、
前記選択された標識に応じて前記修理対象車両の損傷の形状を特定し、前記ドロップされた画像上の位置から該損傷の位置を特定し、前記画像に対する標識の大きさから該損傷の面積を特定する計算装置と、
を備えることを特徴とする車両損傷データ認識システム。 - 前記計算装置は、前記特定された損傷の形状、位置、面積及び車両属性データに基いて、修理対象車両の修理費見積もりを行うことを特徴とする請求項1記載の車両損傷データ認識システム。
- 前記計算装置は、前記特定された損傷の形状、位置、面積及び車両属性データに基いて、修理対象車両の修理内容を指示することを特徴とする請求項1記載の車両損傷データ認識システム。
- 前記計算装置は、前記標識データにより特定された損傷を修復するための複数の作業内容を比較対象として前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両損傷データ認識システム。
- 前記計算装置は、前記複数の作業内容のうち、所定の作業内容を複数同時に前記表示装置に表示することを特徴とする請求項4記載の車両損傷データ認識システム。
- 前記計算装置が表示する複数の作業内容には、修正作業あるいは交換作業が含まれることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の車両損傷データ認識システム。
- 前記計算装置が表示する複数の作業内容には、塗装作業が含まれることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の車両損傷データ認識システム。
- 前記計算装置が表示する複数の作業内容には、同一作業を複数ランクに表
したランク別作業が含まれることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の車両損傷データ認識システム。 - 前記計算装置が表示する作業内容には、各作業内容に対する修理費データが含まれることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の車両損傷データ認識システム。
- 前記計算装置は、表示装置に表示された複数の作業内容のうち選択された作業内容について、さらに詳細な見積もりを行うことを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の車両損傷データ認識システム。
- 前記計算装置は、表示装置に表示された複数の作業内容のうち選択された作業内容について、さらに詳細な修理内容の指示を行うことを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の車両損傷データ認識システム。
- 車種と対応付けられたイメージデータを含む車両属性データ、及び損傷の形状に応じた標識を含む標識データを格納する記憶装置を有するコンピュータに、
前記修理対象車両の車種を特定する修理車両データの入力を受けるステップと、
前記修理車両データの入力によって特定された車種と対応するイメージデータに基づいて、修理対象車両の画像を表示すると共に、前記標識データの標識を表示させるステップと、
前記標識の選択及びドロップ及び変更の入力を受けるステップと、
前記入力により選択された標識を前記画像上のドロップされた位置に変更された大きさで表示するステップと、
前記選択された標識に応じて前記修理対象車両の損傷の形状を特定し、前記ドロップされた画像上の位置から該損傷の位置を特定し、前記画像に対する標識の大きさから該損傷の面積を特定するステップと、
を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。 - 前記特定した損傷の形状、位置、面積及び車両属性データに基いて修理対象車両の修理費見積もりを行うステップをコンピュータにさらに実行させるプログラムを記録した請求項12記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
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