JP3801711B2 - インクジェット記録用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットによる記録を付すための記録用シートに関するものであり、ジェットインクの定着性が良好であり、しかも優れた耐水性と耐光性とを有する記録画像を形成することができ、高湿度雰囲気中でも記録画像からのインクの浸み出しがなく、長時間に亙る光の照射を受けても記録画像が劣化することがなく、安定した記録画像を維持することができるインクジェット記録用シートを提供する。
【0002】
しかも、このインクジェット記録用シートを包装材料に用いたときには、この包装材料による包装物の作成前又は後に、包装材料の表面に存在するインク受理層にインクジェット記録を行なうことができ、更にこの包装材料による包装物の封緘部を、インク受理層面同士の合掌貼りタイプのヒートシールによっても作成することのできるインクジェット記録用シートを提供するものである。
【0003】
又本発明は上記の特性に加えて、支持体の一方の面のインク受理層と支持体の他方の面とがヒートシール可能であるという特性をも具備するインクジェット記録用シートに関するものであり、このインクジェット記録用シートを包装材料に用いたときには、この包装材料による包装物の作成前又は後に、包装材料の表面に存在するインク受理層にインクジェット記録を行なうことができ、かつこの包装材料による包装物の封緘部を、表−裏の封筒貼りタイプのヒートシールによっても形成することのできるインクジェット記録用シートを提供する。
【0004】
【従来の技術】
インクジェット記録が付されるインクジェット記録用シートには、支持体に対してジェットインクの吸液性能を有する無機質粉末からなる顔料とバインダーとを含有するコーティング剤を含浸させたり、あるいは支持体の上にこのコーティング剤を、ブレードコート、バーコート、ロールコート等の方法でコーティングする等して、支持体の表面にインク受理層を形成したものが使用されている。
【0005】
ところで、近年このインクジェット記録用シートの用途が拡大するに従って、該インクジェット記録が付されるインクジェット記録用シートに対して、インク受理層に形成される記録画像の耐光性や耐水性も要求されるようになってきている。
【0006】
しかるに、上記の無機質粉末からなる顔料を配合してなるインク受理層を有するインクジェット記録用シートは、インク受理層に形成した記録画像の耐光性が不十分であるだけでなく、耐水性にも乏しく、高湿度雰囲気中に放置したときには記録画像からのインクの浸み出しが生ずる等の欠点を有する。
【0007】
又、上記の無機質粉末からなる顔料を配合してなるインク受理層を有するインクジェット記録用シートは、インク受理層自体のヒートシール特性が不十分であるために、このインクジェット記録用シートを包装材料にした包装物の封緘部をヒートシールによって形成するときには、支持体の他方の面(非インク受理層面)にヒートシール特性を備えさせることにより、インク受理層の反対側の支持体面同士をヒートシールするタイプの貼着部からなる封緘部に限られるため、例えば背貼り部を封緘部とするような包装物を作成することができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、ジェットインクの定着性が良好であり、しかも優れた耐水性と耐光性とを有する記録画像を形成することができ、高湿度雰囲気中でも記録画像からのインクの浸み出しがなく、長時間に亙る光の照射を受けても記録画像が劣化することがなく、安定した記録画像を維持することのできるインクジェット記録を行なうことができ、しかもインク受理層面同士をヒートシールすることのできるインクジェット記録用シートを提供することにある。
【0009】
更に本発明の別の目的は、上記の特性に加えて、支持体の一方の面のインク受理層と支持体の他方の面とがヒートシール可能であるという特性をも具備するインクジェット記録用シートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の構成による本発明のインクジェット記録用シートによって解決される。
【0011】
すなわち本発明は、支持体上に、分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物とアミノ基を有する化合物との反応生成物であって、5〜500mgKOH/gのアミン価を有し、かつガラス転移温度が15〜250℃の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子からなる顔料を配合したインク受理層を設けたインクジェット記録用シートからなる。
【0013】
上記の構成による本発明のインクジェット記録用シートにおいては、分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物としては、下記の[化5]で表示される化合物、又は下記の[化6]で表示される化合物であることが好ましい。
【0014】
【化5】
Figure 0003801711
(式中、−O−R−O−、及び−O−R−O−は、2価フェノール残基を表わし、両者は同一であっても、異なっていてもよい。又kは、0以上の整数を表わす。)
【0015】
【化6】
Figure 0003801711
[式中、−O−R3 −は、1価フェノール残基を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、グリシジルエーテル基、アルキル基、アリル基、又はアラルキル基(ただしアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のときには、グリシジル置換基を有していてもよい)を表わし、nは0を含む整数を表わす。]
【0017】
又本発明は、支持体の一方の面に、分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物とアミノ基を有する化合物との反応生成物であって、5〜500mgKOH/gのアミン価を有し、かつガラス転移温度が15〜250℃の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子からなる顔料を配合したインク受理層を設けてなり、しかも支持体の一方の面のインク受理層と支持体の他方の面とがヒートシール可能であるインクジェット記録用シートからなる。
【0018】
上記の分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物としては、下記の[化7]で表示される化合物、又は下記の[化8]で表示される化合物であることが好ましい。
【0019】
【化7】
Figure 0003801711
(式中、−O−R−O−、及び−O−R−O−は、2価フェノール残基を表わし、両者は同一であっても、異なっていてもよい。又kは、0以上の整数を表わす。)
【0020】
【化8】
Figure 0003801711
[式中、−O−R3 −は、1価フェノール残基を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、グリシジルエーテル基、アルキル基、アリル基、又はアラルキル基(ただしアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のときには、グリシジル置換基を有していてもよい)を表わし、nは0を含む整数を表わす。]
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートにおいて、インク受理層を設けるための支持体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ナイロン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のプラスチックフィルム、紙、不織布、更にはこれらの積層シート等が好適である。
【0022】
支持体として、それ自体が熱溶着性を有しているか、あるいはインク受理層を形成する側の反対面が熱溶着特性を具備するものを使用することにより、本発明のインクジェット記録用シートを、支持体の一方の面に形成されているインク受理層と支持体の他方の面との間でのヒートシール可能なものにすることができる。そして、これを包装材料として使用することにより、支持体の一方の面のインク受理層と支持体の他方の面とをヒートシールしたタイプの封緘部を形成し得るものにすることができる。
【0023】
なお、支持体の少なくとも他方の面、つまりインク受理層を形成する側の反対面が熱溶着特性を有するインクジェット記録用シートにするには、支持体としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の無延伸の単体フィルムを使用すればよく、又支持体自体の熱溶着特性が不十分なときには支持体になる基材の裏面にヒートシール層を形成すればよい。
【0024】
このヒートシール層は、例えば、HDPE、LDPE、L・LDPE、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、無延伸PEフィルム、無延伸EVAフィルム等を、ドライラミネートや押出しラミネート等によって積層して形成し得る。又、前記ヒートシール層は、EVA、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ランダムコポリマー、コポリエステル等、配向効果の少ない低温でのヒートシール性の良好な延伸配向フィルムを積層したものでもよい。
【0025】
押出しラミネートによってヒートシール層を形成する方法としては、支持体になる基材に対して、有機チタネート系、ポリエチレン・イミン、ウレタン系、ポリエステル系等のアンカー剤を塗布し、該アンカー剤の塗布面に、PP、EVA、アイオノマー等によるヒートシール層をフィルム状に溶融押出し成形する押出しラミネート法、或は2台以上の押出し機を用いて基材になる樹脂とヒートシール層になる樹脂とを、溶融状態でダイ内部あるいはダイの開口部で接合させる共押し出しラミネート法等を利用することができる。
【0026】
配向効果の少ない低温でのヒートシール性の良好な延伸フィルムからなるヒートシール層を積層した支持体は、基材になる未延伸プラスチックフィルムと未延伸のヒートシール層との積層フィルム延伸配向処理することによっても製造することができる。
【0027】
支持体にインク受理層を形成するに先立って、該インク受理層の形成予定面である支持体面を予め易接着処理に付しておくことが好ましい。
【0028】
易接着処理の1例は、ポリアクリル系、ポリウレタン系、熱可塑性エラストマー樹脂等の水分散型の熱可塑性樹脂、あるいはポリエステル系等の有機溶剤可溶性の熱可塑性樹脂によるアンカー樹脂層を形成し、該アンカー樹脂層を介してインク受理層を形成するものであり、これによって支持体とインク受理層との間の接着強度を高くすることができる。
【0029】
上記のアンカー樹脂層の塗工量が0.05g(dry)/m2 未満になると均質なアンカー樹脂層になり難く、また、3.0g(dry)/m2 を超えるようになると、該アンカー樹脂層の存在によるインク受理層と支持体との間の接着性の改良の点においては不経済になる。従ってアンカー樹脂層を形成するときには、通常0.05〜3.0g(dry)/m2 程度にする。
【0030】
又、易接着処理の他の例としては、支持体のインク受理層の形成予定面を、空気中、窒素中、炭酸ガス中等でのコロナ放電処理に付すものであってもよい。
【0031】
支持体に対するインク受理層の形成は、バインダー成分をなす樹脂と、ジェットインクの吸液性能を与える空隙を作ると共にインクの定着性能を高め、かつ安定剤としての作用を果たす上記の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子からなる顔料と、所望に応じて配合される他の有機質粉末や無機質粉末等の顔料と、分散剤、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、湿潤剤、耐水化剤等の各種の助剤とを配合成分とする水系の塗工剤の塗工層として形成し得る。
【0032】
インク受理層に使用するバインダー成分としての樹脂は、インク受理層に混入させる非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子との馴染みがよく、しかもジェットインクに対する親和性、透過性又は膨潤性を有するものが好ましく、例えばポリビニルアルコール、澱粉及び澱粉誘導体、ポリ酢酸ビニル等の水溶性高分子の水溶液や、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体等の水系高分子エマルジョン等が使用される。
【0033】
インク受理層に配合する非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子は、分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物とアミノ基を有する化合物との反応生成物であって、5〜500mgKOH/gのアミン価を有し、ガラス転移温度が15〜250℃の範囲内のアミノ基含有樹脂によるものである。
【0034】
この微粒子をなす非水溶性のアミノ基含有樹脂のアミン価が5mgKOH/g未満になると、ジェットインクに対するインク受理層の定着性が不十分になり、又、アミン価が500mgKOH/gを超えると、インク受理層に形成した記録画像の耐湿性が悪くなる。なお、ジェットインクに対するインク受理層の定着性、及びインク受理層に形成した記録画像の耐湿性の点からは、10〜500mgKOH/gのアミン価を有する非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子がより好ましく、又30〜400mgKOH/gのアミン価を有する非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子がより一層好ましい。
【0035】
又、この微粒子をなす非水溶性のアミノ基含有樹脂のガラス転移温度が15℃よりも低くなると、該樹脂の融着が生じ易いことから、インク受理層にべたつきが生じたり、インク受理層のジェットインクの吸収速度が低下したりする。かかる観点から、より好ましい非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子は、ガラス転移温度が30℃以上のものである。
【0036】
更に又、この非水溶性のアミノ基含有樹脂のガラス転移温度が250℃よりも高くなると、微粒子にするための粉砕性が悪くなり、微細な粒径のアミノ基含有樹脂になり難く、これによってインク受理層のジェットインクの定着性が悪くなり、又十分な耐水性を有するインク受理層になり難くなる。かかる観点から、より好ましい非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子は、ガラス転移温度が200℃以下のものである。
【0037】
従って、インク受理層に配合する上記の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子としては、アミン価が10〜500mgKOH/g、ガラス転移温度が30〜200℃のものが好ましく、アミン価が30〜400mgKOH/g、ガラス転移温度が30〜200℃のアミノ基含有樹脂によるものがより好ましい。
【0038】
なおここで、上記の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)にて、昇温速度10℃/min.で測定したときの温度である。
【0039】
更に上記の微粒子をなすアミノ基含有樹脂は、インク受理層に形成した記録画像に耐水性を備えさせる点から非水溶性であることが必要である。なお非水溶性であれば、上記のアミノ基含有樹脂は、架橋したものであっても、あるいは未架橋のものであってもよい。
【0041】
本発明のインクジェット記録用シートにおけるインク受理層中に配合するアミノ基含有樹脂の微粒子は、分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物とアミノ基を有する化合物との反応生成物を使用して得られるものであって、この反応生成物を得る際の分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物としては、例えば下記の[化9]で表示されるエポキシ化合物、又は下記の[化10]で表示されるエポキシ化合物が挙げられる。
【0042】
【化9】
Figure 0003801711
(式中、−O−R−O−、及び−O−R−O−は、2価フェノール残基を表わし、両者は同一であっても、異なっていてもよい。又kは、0以上の整数を表わす。)
【0043】
【化10】
Figure 0003801711
[式中、−O−R3 −は、1価フェノール残基を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、グリシジルエーテル基、アルキル基、アリル基、又はアラルキル基(ただしアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のときには、グリシジル置換基を有していてもよい)を表わし、nは0を含む整数を表わす。]
【0044】
上記の[化9]で表示されるエポキシ化合物のうちの2価フェノール類エポキシ化合物としては、各種の1価フェノール類とケトン類及びアルデヒド類との縮合によって得られるビスフェノール類、含硫黄及び含酸素ビスフェノール類、ビフェノール類、2価フェノール及びその誘導体、ジヒドロキシナフタレン誘導体等が挙げられる。
【0045】
更に具体的には、ビスフェノール類及びビフェノール類として、下記の[化11]で表示する化合物が挙げられる。
【0046】
【化11】
Figure 0003801711
(式中、R1 〜R8 は、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子を表わし、R1 〜R8 のうちの2個以上が同一であってもよい。Xは、不存在、又は−CH2 −、−C(CH32 −、−C(CF32 −、−S−、−SO2 −、−O−、−CO−のいずれの2価の基を表わし、nは0以上の整数を表わす。)
【0047】
又、2価フェノール及びその誘導体としては、下記の[化12]で表示する化合物が挙げられる。
【0048】
【化12】
Figure 0003801711
(式中、R1 〜R8 は、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子を表わし、R1 〜R8 のうちの2個以上が同一であってもよい。nは0以上の整数を表わす。)
【0049】
更に又、ジヒドロキシナフタレン誘導体としては、下記の[化13]で表示する化合物が挙げられる。
【0050】
【化13】
Figure 0003801711
(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子を表わし、R1 〜R4 のうちの2個以上が同一であってもよい。nは0以上の整数を表わす。)
【0052】
更に、[化10]で表示されるエポキシ化合物としては、各種の1価フェノール類、ビスフェノール類、ビフェノール類、3価以上の多価フェノール類、(ポリ)ヒドロキシナフタレン類とホルムアルデヒドとの縮合体のエポキシ化合物が挙げられる。
【0053】
本発明のインクジェット記録用シートにおけるインク受理層中に配合するアミノ基含有樹脂にするために、上記の各エポキシ化合物に反応させるアミノ基を有する化合物についての制限は特に無く、第1級〜第4級のアミノ基を少なくとも1個以上有するアミン類であればよい。
【0054】
具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン類及びその誘導体、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類及びその誘導体、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族2級アミン類及びその誘導体、エチルアミン、ブチルアミン等の脂肪族1級アミン類及びその誘導体、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族3級アミン類及びその誘導体、アニリン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族アミン類及びその誘導体、アミノフェノール等のフェノール性水酸基を有する芳香族アミン類及びその誘導体、イミダゾール類、ヒドラジット類、ジシアンジアミド、アンモニア、ピリジン及びその誘導体等が挙げられる。
【0055】
なお、上記のアミノ基含有樹脂は、エポキシ化合物とアミン類とを、−10〜200℃の反応温度で、触媒の存在下又は非存在下に、5分〜20時間反応させることによって容易に得られる。
【0056】
インク受理層中に含有させる微粒子状をなす非水溶性のアミノ基含有樹脂の粒径は特に制限されるものではないが、平均粒径が1〜30μm、好ましくは2〜10μmにあるものがよい。
【0057】
なお、上記の微粒子状をなす非水溶性のアミノ基含有樹脂の平均粒径は、コールターカウンターモデルTA−11(コールターエレクトロニクス社製)により測定した数平均のメジアン径である。
【0058】
インク受理層中に含有させる微粒子状をなす非水溶性のアミノ基含有樹脂の量は、インク受理層中の顔料全体の30重量%以上の割合で存在していれば十分であり、このアミノ基含有樹脂による顔料以外の顔料、例えば従来のインク受理層に使用していた無機質粉末や有機質粉末からなる顔料を、インク受理層中の顔料全体の70重量%までであれば、併用してもよい。
【0059】
上記のアミノ基含有樹脂による顔料以外の顔料として使用し得る顔料は、例えば合成シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミナ等の無機質顔料や、プラスチックピグメント、尿素樹脂顔料、メラミン樹脂顔料等であり、20〜300ml/100gの吸油量を有するものが好ましく、100〜300ml/100gの吸油量を有するものが更に好ましい。なお、アミノ基含有樹脂による顔料以外の顔料は、2種以上を混合使用することができ、このときには、これらの混合系が上記の吸油量を有していることが好ましい。
【0060】
インク受理層におけるバインダー成分をなす樹脂は、上記の微粒子状をなす非水溶性のアミノ基含有樹脂からなる顔料とそれ以外の顔料との合計100重量部に対して、10〜40重量部の範囲内で配合するのがよい。
【0061】
インク受理層の厚さは、該インク受理層によるジェットインクの吸収作用が十分であり、かつこのインク受理層の形成作業を良好に行ない得るように、1〜20μ、好ましくは2〜15μ程度にするのがよい。
【0062】
上記の構成による本発明のインクジェット記録用シートにおいて、支持体におけるインク受理層の形成予定面に、ポリアクリル系、ポリウレタン系、スチレン・ブタジエン共重合体等によるアンカー樹脂層を、水系のエマルジョン形態の塗工剤による塗工層として形成し、かつインク受理層を該インク受理層のバインダー成分である水溶性高分子の水溶液、或はアクリル系樹脂やスチレン・ブタジエン共重合体等の水系エマルジョン溶液からなる塗工剤の塗工層として形成するようにすれば、有機溶剤系の塗工剤を使用するときに生ずる環境汚染や操業機械の汚染等の作業上の弊害がなく、しかも廉価に製造し得る。
【0063】
又、支持体には、インク受理層を形成する面の反対側に、必要に応じて他の樹脂製のフィルム状物や紙等を積層してもよく、支持体のインク受理層を設ける側の反対面に、粘着剤層及び剥離シートを順次積層したものにすることにより、例えばワッペンやシールのような感圧接着によって被貼着物に貼り合わせることのできるタイプのインクジェット記録用シートにすることもできる。
【0064】
【作用】
分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物とアミノ基を有する化合物との反応生成物であって、5〜500mgKOH/gのアミン価を有し、かつガラス転移温度が15〜250℃の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子からなる顔料を配合したインク受理層は、該インク受理層中にて前記アミノ基含有樹脂が微粒子状に微粉砕又は乳化分散した状態をなしており、この状態にあるアミノ基含有樹脂の微粒子がインク受理層中にジェットインクを吸収し得る空隙を作る有機顔料として良好な定着性を果たすと共に、該アミノ基含有樹脂のアミノ基とジェットインク中の染料のスルホン酸基とが反応して、耐水性及び耐光性に優れた記録画像を作成し得る機能をインク受理層に備えさせる作用を果たす。
【0065】
又、上記のアミノ基含有樹脂の微粒子からなる顔料を配合したインク受理層は、該インク受理層中のアミノ基含有樹脂の微粒子が熱溶着性を有するものであるために、インク受理層自体がヒートシール特性を備えたものになる。
【0066】
これによって、本発明のインクジェット記録用シートは、ジェットインクの定着性が良好であり、しかも優れた耐水性と耐光性とを有する記録画像を形成することができ、高湿度雰囲気中でも記録画像からのインクの浸み出しがなく、長時間に亙る光の照射を受けても記録画像が劣化することがなく、安定した記録画像を維持することのできるインクジェット記録を行なうことができ、かつインク受理層面同士をヒートシールすることのできる特性が備えられたものになる。
【0067】
なお、インクジェット記録用シートにおいては、通常の定着剤として汎用されている第4級アンモニウム塩を配合してなるインク受理層を有するものであっても、インク受理層中の前記定着剤とジェットインク中の染料とが反応するために、耐水性のある記録画像を形成することができるようになる。
【0068】
しかしながら、第4級アンモニウム塩による上記の作用を達成するためには、インク受理層中に例えばシリカのような比表面積の大きな無機質顔料を第4級アンモニウム塩に対して大量に併用しなけらばならない。この第4級アンモニウム塩を使用するときに上記無機質顔料を併用する理由は、インク受理層中にて顔料の表面を覆った状態で第4級アンモニウム塩が顔料に固着した後、インク受理層に飛来してくるジェットインクと反応することによって上記の作用を果たすためである。
【0069】
従って、第4級アンモニウム塩を配合してなるインク受理層は、一般にシリカのような比表面積が大きく、かつ吸油量の大きな無機質顔料を大量に含有するものであるために、このインク受理層を形成するための塗工剤の調整が困難であり、しかもこの塗工剤はその流動特性がチキソトロピー性であることから、インク受理層である塗工層の形成面での問題も多い。
【0070】
更に、第4級アンモニウム塩は分子量が小さい程反応性が高いため、分子量の小さいもの程前記したジェットインク中の染料との反応による耐水性の向上を図れるが、分子量の小さい第4級アンモニウム塩を配合したインク受理層に対して形成した記録画像は、耐光性が悪く、画像の色劣化が激しくなるという問題がある。
【0071】
これに対して、上記の本発明のインクジェット記録用シートにおけるインク受理層中の微粒子をなすアミノ基含有樹脂の微粒子は、ジェットインクを吸収し得る空隙を作ることによるジェットインクの吸収機能と、ジェットインク中の染料と反応する定着機能とを同時に果たし、しかも熱溶着性をも有するものであり、これを配合してなるインク受理層は、ジェットインクの定着性が良好であり、しかも記録画像が優れた耐水性を有するものになり、高湿度雰囲気中でも記録画像からのインクの浸み出しがなく、かつ記録画像が優れた耐光性を有し、長時間に亙る光の照射を受けても画像の劣化を生ずることがなく、安定した記録画像を維持することができ、更にインク受理層自体がヒートシール特性を備えたものになる。
【0072】
従って、本発明のインクジェット記録用シートを包装材料として使用した包装物は、その封緘部を、インク受理層面同士をヒートシールして形成することが可能である。
【0073】
又、支持体として、それ自体が熱溶着性を有しているか、あるいはインク受理層を形成する側の反対面が熱溶着特性を具備するものを使用し、この支持体の一方の面にインク受理層を形成してなる本発明のインクジェット記録用シートは、支持体の一方の面に形成されているインク受理層と支持体の他方の面との間でのヒートシールも可能であり、このインクジェット記録用シートを包装材料として使用した包装物は、その封緘部を、インク受理層面同士をヒートシールして形成し得るだけでなく、支持体の一方の面のインク受理層と支持体の他方の面とをヒートシールして形成することも可能である。
【0074】
なお、本発明のインクジェット記録用シートを包装材料として使用したときの封緘部を上記のようにヒートシールによって形成するには、例えば一定温度に加熱した熱板をシール予定面に圧着するヒートシール法を初め、インパルスシール法、熱溶断シール法、インパルス溶断シール法、溶融シール法、高周波シール法、超音波シール法等を適用することができる。
【0075】
【実施例】
以下、本発明のインクジェット記録用シートの具体的な構成を製造実施例に基づいて説明し、該インクジェット記録用シートの特性を比較例のインクジェット記録用シートの特性と比較して説明する。
【0076】
実施例1
分散液(1)の調製
アミン価53mgKOH/g、ガラス転移温度58℃、重量平均分子量3900の下記の[化14]で示される化合物からなる非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)「東都化成 (株) :ZX−1163−4」100重量部と、分散剤としてのスチレン−マレイン酸共重合体のハーフエステル化物アンモニウム塩「荒川化学 (株) :KS1333」5重量部とを固形成分とする30重量%の水分散液を、ペイントシェーカーで16時間処理し、分散液(1)を得た。
【0077】
【化14】
Figure 0003801711
【0078】
塗工液(1)の調製
上記の分散液(1)350重量部、固形成分55.0重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の水分散液「住友化学 (株) :Sumikaflex401」36.5重量部、蛍光染料「日本曹達 (株) :ケイコールBXNL」4.8重量部、及び添加水を十分に撹拌し、固形成分30重量%の塗工液(1)を得た。
【0079】
インクジェット記録用シートの作成
上記の塗工液(1)を、米坪90g/m2 の上質紙からなる支持体上に、バーコーターによって10g(dry)/m2 に塗工し、これを乾燥させてインク受理層を形成し、本発明の1実施例品であるインクジェット記録用シートを得た。
【0080】
実施例2
実施例1にて使用した非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)の代わりに、アミン価99mgKOH/g、ガラス転移温度62℃、重量平均分子量4500の下記の[化15]で示される化合物からなる非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(B)「東都化成 (株) :ZX−1516−4」を使用し、それ以外の構成は前記実施例1の対応するものと同一にして、本発明の別の実施例品であるインクジェット記録用シートを得た。
【0081】
【化15】
Figure 0003801711
【0082】
実施例3
実施例1にて使用した非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)の代わりに、上記の[化14]で示される化合物であって、アミン価73.4mgKOH/g、ガラス転移温度50℃、重量平均分子量3200の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(C)「東都化成 (株) :ZX−1163−2」を使用し、それ以外の構成は前記実施例1の対応するものと同一にして、本発明の更に別の実施例品であるインクジェット記録用シートを得た。
【0083】
比較例1
実施例1にて使用した非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)の代わりに、下記の[化16]で示される化合物からなるアミノ基を含有しないガラス転移温度53℃の樹脂の微粒子(D)「東都化成 (株) :YD−014」を安定剤として使用し、それ以外の構成は前記実施例1の対応するものと同一にして、比較のためのインクジェット記録用シートを得た。
【0084】
【化16】
Figure 0003801711
【0085】
比較例2
分散液(2)の調製
上記の比較例1で使用したアミノ基を含有しない樹脂の微粒子(D)100重量部と、スチレン−マレイン酸共重合体のハーフエステル化物アンモニウム塩「荒川化学 (株) :KS1333」からなる分散剤5重量部とを固形成分とする30重量%の水分散液を、ペイントシェーカーで16時間処理し、分散液(2)を得た。
【0086】
塗工液(2)の調製
上記の分散液(2)350重量部、固形成分55.0重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の水分散液「住友化学 (株) :Sumikaflex401」36.5重量部、蛍光染料「日本曹達 (株) :ケイコールBXNL」4.8重量部、定着剤としてのジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体「旭電化工業 (株) :DM−20A」15重量部、及び添加水を十分に撹拌し、固形成分30重量%の塗工液(2)を得た。
【0087】
インクジェット記録用シートの作成
上記の塗工液(2)を利用し、実施例1に説明したインクジェット記録用シートの作成方法に準じ、比較のためのインクジェット記録用シートを得た。
【0088】
比較例3
塗工液(3)の調製
シリカ「富士シリシア (株) :SYLYSIA470」100重量部、固形成分55.0重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の水分散液「住友化学 (株) :Sumikaflex401」36.5重量部、蛍光染料「日本曹達 (株) :ケイコールBXNL」4.8重量部、定着剤としてのジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体「旭電化工業 (株) :DM−20A」15重量部、及び添加水を十分に撹拌し、固形成分30重量%の塗工液(3)を得た。
【0089】
インクジェット記録用シートの作成
上記の塗工液(3)を利用し、実施例1に説明したインクジェット記録用シートの作成方法に準じ、比較のためのインクジェット記録用シートを得た。
【0090】
実施例4
インクジェット記録用シートの作成
Tダイから押し出し成形した厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂フィルムの片面をコロナ放電処理に付した支持体に対して、該支持体のコロナ放電処理面に、下記の分散液(3)350重量部と分散液(4)470重量部とを混合してなる塗工液(4)を、6g(dry)/m2 に塗工し、これを乾燥させてインク受理層を形成し、本発明の実施例品であるインクジェット記録用シートを得た。
【0091】
分散液(3)の調製
アミン価53mgKOH/g、ガラス転移温度58℃、重量平均分子量3900の上記の[化14]で示される化合物からなる非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)「東都化成 (株) :ZX−1163−4」100重量部と、分散剤としてのスチレン−マレイン酸共重合体のハーフエステル化物アンモニウム塩「荒川化学 (株) :KS1333」5重量部とを固形成分とする30重量%の水分散液を、ペイントシェーカーで16時間処理し、分散液(3)を得た。
【0092】
分散液(4)の調製
シリカ「日本シリシア (株) :ニップシール」100重量部、固形成分55.0重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体「住友化学工業 (株) :Sumikaflex473」40重量部、及び添加水を十分に撹拌し、固形成分30重量%の分散液(4)を得た。
【0093】
実施例5
実施例4にて使用した非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)の代わりに、アミン価99mgKOH/g、ガラス転移温度62℃、重量平均分子量4500の上記の[化15]で示される化合物からなる非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(B)「東都化成 (株) :ZX−1516−4」を使用し、それ以外の構成は前記実施例4の対応するものと同一にして、本発明の別の実施例品であるインクジェット記録用シートを得た。
【0094】
実施例6
実施例4にて使用した非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)の代わりに、上記の[化14]で示される化合物であって、アミン価73.4mgKOH/g、ガラス転移温度50℃、重量平均分子量3200の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(C)「東都化成 (株) :ZX−1163−2」を使用し、それ以外の構成は前記実施例3の対応するものと同一にして、本発明の更に別の実施例品であるインクジェット記録用シートを得た。
【0095】
比較例4
実施例4にて使用した非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)の代わりに、上記の[化16]で示される化合物からなるアミノ基を含有しないガラス転移温度53℃の樹脂の微粒子(D)「東都化成 (株) :YD−014」を安定剤として使用し、それ以外の構成は前記実施例4の対応するものと同一にして、比較のためのインクジェット記録用シートを得た。
【0096】
比較例5
分散液(5)の調製
上記の実施例4にて使用した非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子(A)の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体の微粉末「160℃での溶融粘度:2000cps」を使用し、それ以外の構成は前記実施例4の対応するものと同一にして、比較のためのインクジェット記録用シートを得た。
【0097】
比較例6
塗工液(5)の調製
シリカ「日本シリシア (株) :ニップシールHD」100重量部、固形成分55.0重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の水分散液「住友化学 (株) :Sumikaflex473」36.5重量部、定着剤としてのジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体「日東紡績 (株) :PAS−H−1L」15.0重量部、及び添加水を十分に撹拌し、固形成分30重量%の塗工液(5)を得た。
【0098】
インクジェット記録用シートの作成
上記の塗工液(5)を利用し、実施例4に説明したインクジェット記録用シートの作成方法に準じ、比較のためのインクジェット記録用シートを得た。
【0099】
なお、以上の実施例及び比較例で使用した樹脂微粒子(A)〜(D)の重量平均分子量は、JIS K 6721−1977 塩化ビニル樹脂試験方法における「3.1 比粘度」の測定方法に準じた極限粘度法に基づく平均重合度から算出したものである。
【0100】
[実験1]
上記の実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3による各インクジェット記録用シートについて、インク受理層におけるジェットインクの定着性、インク受理層に形成したインクジェット記録画像の耐水性、耐光性、及び耐湿性を、以下の試験方法によって測定した。その結果を[表1]に示す。
【0101】
ジェットインクの定着性試験
20℃、20%RHの雰囲気中で、エプソン (株) 製のインクジェットプリンター「MJ−700V2C」によって、上記の各インクジェット記録用シートに記録し、印字直後の各記録シートの黒色印字部分の印字濃度をマクベス濃度計「RD914」によって測定した。
【0102】
記録画像の耐水性試験
20℃、20%RHの雰囲気中で、エプソン (株) 製のインクジェットプリンター「MJ700−V2C」によって、上記の各インクジェット記録用シートに記録し、この印字面を温度20℃の流水槽に3分間浸漬した後の黒色印字部分の印字濃度をマクベス濃度計「RD914」によって測定し、印字直後の各記録シートの黒色印字部分の印字濃度と比較した。
【0103】
記録画像の耐光性試験
20℃、20%RHの雰囲気中で、エプソン (株) 製のインクジェットプリンター「MJ700−V2C」によって、上記の各インクジェット記録用シートに記録し、続いて40℃、50%RHの雰囲気中にて、この印字面をキセノンウェザーメータ「XWL−6R:須賀試験機 (株) 」により、照射エネルギー63w/m2 にて24時間照射した後に、黒色印字部分の印字濃度をマクベス濃度計「RD914」によって測定し、印字直後の各記録シートの黒色印字部分の印字濃度と比較した。
【0104】
記録画像の耐湿性試験
20℃、20%RHの雰囲気中で、エプソン (株) 製のインクジェットプリンター「MJ700−V2C」によって、上記の各インクジェット記録用シートに記録した後、これを40℃、90%RHの雰囲気中に24時間保存したときの各記録シートにおける印字部のマゼンタインクの浸み出しの程度を、目視によって確認した。インクの浸み出しが殆どない・・・・○、インクの浸み出しがややある・・・・△、インクの浸み出しが激しい・・・・×によって、[表1]に示す。
【0105】
[実験2]
ヒートシール試験
上記の実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3による各インクジェット記録用シートのインク受理層面同士を、シール用の治具「FUJI MFJ (株) :ポリシーラー310型」により、170℃、2秒間の加熱条件でヒートシールした後、該ヒートシール部を観察した。ヒートシール部が完全にシールされているもの・・・・○、部分的にシールされているもの・・・・△、全くシールされていないもの・・・・×によって、[表1]に示す。
【0106】
【表1】
Figure 0003801711
【0107】
[実験3]
ヒートシール試験
上記の実施例4〜実施例6及び比較例4〜比較例6による各インクジェット記録用シートの表,裏を、シール用の治具「FUJI MFJ (株) :ポリシーラー310型」により、170℃、2秒間の加熱条件でヒートシールした後、該ヒートシール部を観察した。ヒートシール部が完全にシールされているもの・・・・○、部分的にシールされているもの・・・・△、全くシールされていないもの・・・・×によって、[表2]に示す。
【0108】
[実験4]
ラッピング試験
又、上記の実施例4〜実施例6及び比較例4〜比較例6による各インクジェット記録用シートを、該インクジェット記録用シートのインク受理層が包装材料の表面層になるようにして使用し、厚さ約1cmのA4版書籍を、ザンダム (株) 製のラッピン用機により、溶断温度400℃、ライン速度8000冊/時間のインパルス溶断シール法にてラッピングし、センターシール部を前記包装材料の表,裏のヒートシールによって形成した包装物を得た。この包装物のセンターシール部を観察し、該センターシール部がシールされているもの・・・・○、シールされていないもの・・・・×によって、[表2]に示す。
【0109】
[実験5]
印字適性試験
上記の[実験4]によって得られた包装物の表面であるインク受理層面に、サイテックス6240プリンティングシステム(インキジェットプリンター:Scitex Digital Printing inc.)を用いて、ライン速度100〜150m/分の宛名印刷を行なったところ、いずれの包装物に対しても解像度の高いインクジェット印刷を行なうことができた。又、この宛名の印字直後に指先で印字部分を擦っても、印字が滲み出すことがなかった。
【0110】
[実験6]
印字部の耐水性試験
更に、上記の[実験5]による宛名印刷を行なった包装物を、常温の水道水に1時間浸漬し、印字の滲み出し状態を観察した。印字部の滲み出しが全くないもの・・・・○、印字部の滲み出しがあるもの・・・・×によって、[表2]に示す。
【0111】
[実験7]
落下試験
上記の[実験5]による宛名印刷を行なった包装物を、高さ5mの位置からコンクリート床面に落下させ、包装物のセンターシール部の破裂の有,無を観察した。センターシール部に破裂の無いもの・・・・○、破裂のあるもの・・・・×によって、[表2]に示す。
【0112】
[実験8]
揉み試験
上記の[実験5]による宛名印刷を行なった包装物から剥取った包装材料を、掌で揉んだ後にこれを広げてから又同様にして掌で揉むことによる繰り返しの揉み試験を10回行ない、包装物のセンターシール部になっていた包装材料の溶着部に発生した破裂の有,無を観察した。溶着部に破裂の無いもの・・・・○、破裂のあるもの・・・・×によって、[表2]に示す。
【0113】
【表2】
Figure 0003801711
【0114】
【効果】
本発明のインクジェット記録用シートは、ジェットインクの定着性が良好であり、しかも優れた耐水性と耐光性とを有する記録画像を形成することができ、高湿度雰囲気中でも記録画像からのインクの浸み出しがなく、長時間に亙る光の照射を受けても記録画像が劣化することがなく、安定した記録画像を維持することができる。
【0115】
又、本発明のインクジェット記録用シートは、インク受理層自体にヒートシール性を有するものであるため、これを包装材料として使用したときには、包装物の表面になるインク受理層同士のヒートシール部、つまり表−表のヒートシール部を形成することができる。
【0116】
更に本発明のインクジェット記録用シートのうちの、支持体の他方の面(非インク受理層面)がヒートシール特性を有するものであるときには、インクジェット記録用シートの表,裏の間でのヒートシールも可能である。
【0117】
以上に記載した諸特性により、本発明のインクジェット記録用シートは、これを郵送便や宅配便等によって発送するときの包装物の包装材料として使用することにより、ヒートシールによって封緘部を形成した包装物にすることができる。
【0118】
このため、本発明のインクジェット記録用シートを包装材料として使用するときには、印刷によって予め発信元の住所、名称、PR事項等を記録しておくことができ、又包装物にした後で、包装物が扁平でないものの場合には、インキジェットによる非接触型の記録方式により、又包装物が扁平なものの場合には、上記の非接触型の記録方式は勿論のこと、更にドットプリンターや熱転写記録等の接触型の記録方式により、住所、氏名等の宛先を記録することができる。
【0119】
従来のダイレクトメールの発送は、宛先の住所、氏名を記録した1連のラベルを別途作成しておき、包装物の表面に1枚ごとに宛先用のラベルを貼着して行なってしているが、この方法によるものは、ラベルの貼着ミスがあると、貼着ミスを生じた宛先のラベルだけを更に作成し直さなくてはならなく、ダイレクトメール用の宛先の住所、氏名を一括して収録してある中から特定のものだけを抽出してラベルを作成し直す作業が殆ど不可能であるため、ラベルの貼着ミスを生じた宛先にはダイレクトメールは発送洩れのままになっているのが実情である。
【0120】
これに対して、上記の本発明のインクジェット記録用シートを包装材料とする包装物を作成した後、この包装物の表面のインキ吸収層に住所、氏名等の宛先を記録する方式を採れば、ラベルの貼着ミスがないため、ラベルの貼着ミスによるダイレクトメールの発送洩れを無くすことができる。
【0121】
又、本発明のインクジェット記録用シートは、支持体に対して形成するインキ吸収層を水系の塗工剤の塗工層として形成し得るため、有機溶剤系の塗工剤を利用する場合に生ずる作業上の弊害がない。
【0122】
更に本発明のインクジェット記録用シートは、インク受理層中に配合されている非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子が、上記の通り熱溶着性能を有するために、インク受理層の外観が良好であり、このインクジェット記録用シートの取り扱い中にインク受理層が剥離するようなことがない。

Claims (4)

  1. 支持体上に、分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物とアミノ基を有する化合物との反応生成物であって、5〜500mgKOH/gのアミン価を有し、かつガラス転移温度が15〜250℃の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子からなる顔料を配合したインク受理層を設けてなることを特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. 上記の分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物が、下記の[化1]で表示される化合物、又は下記の[化2]で表示される化合物であることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録用シート。
    Figure 0003801711
    (式中、−O−R−O−、及び−O−R−O−は、2価フェノール残基を表わし、両者は同一であっても、異なっていてもよい。又kは、0以上の整数を表わす。)
    Figure 0003801711
    [式中、−O−R−は、1価フェノール残基を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、グリシジルエーテル基、アルキル基、アリル基、又はアラルキル基(ただしアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のときには、グリシジル置換基を有していてもよい)を表わし、nは0を含む整数を表わす。]
  3. 支持体の一方の面に、分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物とアミノ基を有する化合物との反応生成物であって、5〜500mgKOH/gのアミン価を有し、かつガラス転移温度が15〜250℃の非水溶性のアミノ基含有樹脂の微粒子からなる顔料を配合したインク受理層を設けてなり、しかも支持体の一方の面のインク受理層と支持体の他方の面とがヒートシール可能であることを特徴とするインクジェット記録用シート。
  4. 上記の分子中に1個以上のエポキシ基を有する芳香族化合物が、下記の[化3]で表示される化合物、又は下記の[化4]で表示される化合物であることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録用シート。
    Figure 0003801711
    (式中、−O−R−O−、及び−O−R−O−は、2価フェノール残基を表わし、両者は同一であっても、異なっていてもよい。又kは、0以上の整数を表わす。)
    Figure 0003801711
    [式中、−O−R−は、1価フェノール残基を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、グリシジルエーテル基、アルキル基、アリル基、又はアラルキル基(ただしアルキル基、アリル基、及びアラルキル基のときには、グリシジル置換基を有していてもよい)を表わし、nは0を含む整数を表わす。]
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