JP3801709B2 - 排気ガス浄化用触媒の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は排気ガス浄化用触媒の製造方法および製造装置に関し、更に詳しくは、自動車等の排気ガス浄化に用いる高温雰囲気下において優れた浄化率を有する排気ガス浄化用触媒の製造方法、および排気ガス浄化用触媒の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の排気ガス浄化のための3元触媒被膜、例えば白金・ロジウムから成る合金の触媒金属被膜の形成、即ちメタル基体への担持方法としては近年になり乾式法で作製(担持)する方法が開示されている。
この場合、メタル基体表面への合金の触媒金属被膜の作製(担持)する方法としてはスパッタリング法、真空蒸着法が用いられている。
【0003】
また、乾式法によるメタル基体への触媒金属被膜の担持方法としては、例えば特開平2-207842号公報で、フッ化白金およびフッ化ロジウムの混合気体を用いて、活性アルミナをコートした担体に、白金およびロジウムを担持させる方法、また、特開平4-187247号公報で、活性アルミナをコートしたメタル担体を1000℃以上に加熱し、物理的蒸着法(PVD法)または化学的蒸着法(CVD法)によりメタル担体に触媒金属を担持させる方法、また、特開平5-154381号公報で、金属帯基体の表面に、真空成膜法により0.2μm以上、2μm以下の貴金属触媒の混合層を設ける方法、が夫々提案されている。
【0004】
また、近年、表面に触媒金属被膜を担持した平板状のメタル基体と、表面に触媒金属被膜を担持した波形状のメタル基体とを交互に重ね合わせ、これらを多重に巻き付けたハニカム構造の触媒管から成る排気ガス浄化用触媒はエンジン発動直後の排気ガスの浄化率向上を図るため、触媒管をエンジン直下に据え置く傾向にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エンジン発動直後の排気ガスの浄化率向上を図るために、エンジン直下に据え置かれた触媒管は、燃料ガスの燃焼直後による排気ガスにより加熱されるが、その温度は700〜800℃に達すると言われている。
このため触媒金属被膜には高温度条件下に伴う耐熱性が要求されている。
ところでロジウムを含有する合金の触媒被膜を600℃以上の大気雰囲気下に保持すると、合金の触媒被膜の表面に安定な酸化ロジウムが被覆されることが報告されている(触媒討論会講演予稿集 第56巻 第106頁 1985年)。
【0006】
従って、従来の合金から成る触媒金属被膜においては、高温条件下において白金、パラジウムが関与する酸化触媒の触媒性能が劣化することが問題となっていた。
【0007】
本発明は前記問題点を解消する排気ガス浄化用触媒の製造方法、および製造装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は温度600℃以上の高温酸化雰囲気下において白金・ロジウム合金膜上に生成する酸化ロジウム被覆層による酸化触媒の特性劣化を防止することを目的とする。
【0009】
上記課題を解決するための具体的な手段を以下に記述する。
【0010】
本発明の排気ガス浄化用触媒の製造方法は、真空容器内で真空蒸着法によりメタル基体表面に触媒金属材を蒸着させて触媒金属被膜を形成担持する排気ガス浄化用触媒の製造方法において、真空容器の内部に送出ローラ、巻取ローラ及びガイドローラを配設し、ガイドローラは他のローラに対して段違いに配置する一方、酸化触媒金属材と還元触媒金属材の各蒸発源をそれぞれ真空容器の内部に配設してなる装置を用いるとともに、メタル基体として断面が波形で帯状のものを用い、メタル基体を送出ローラに巻き付けるとともに、巻き付けたメタル基体の先端はガイドローラを経由して巻取ローラに取り付け、巻取ローラから繰り出されるメタル基体を巻取ローラで巻き取りながら各蒸発源から金属材を蒸発させ、メタル基体の一方の波形面に酸化触媒金属被膜を形成担持させる一方、メタル基体の他方の波形面には還元触媒金属被膜を形成担持させることを特徴とする。
【0011】
本発明の排気ガス浄化用触媒の製造装置は、真空容器内で真空蒸着法によりメタル基体表面に触媒金属材を蒸着させて触媒金属被膜を形成担持した排気ガス浄化用触媒を製造する装置において、真空容器の内部に送出ローラ、巻取ローラ及びガイドローラを配設し、ガイドローラは他のローラに対して段違いに配置する一方、断面が波形で帯状のメタル基体を送出ローラに巻き付けるとともに、巻き付けたメタル基体の先端をガイドローラを経由して巻取ローラに取り付けることで、送出ローラから繰り出されるメタル基体を巻取ローラで巻き取るように構成し、メタル基体の一方の波形面に酸化触媒金属被膜を形成担持させる一方、メタル基体の他方の波形面には還元触媒金属被膜を形成担持させるべく、酸化触媒金属材と還元触媒金属材の各蒸発源をそれぞれ真空容器の内部に配設したことを特徴とする。
【0012】
酸化触媒金属材と還元触媒金属材の各蒸発源をガイドローラを挟んで他のローラと反対側に配置するとともに、各蒸発源の間に仕切り板を配設するのが好ましい。
【0013】
本発明は白金のような酸化触媒金属材と、ロジウムのような還元触媒金属材をスパッタリング法、または真空蒸着法により個々に蒸発させ、メタル基体表面の異なった位置に酸化触媒金属被膜と還元触媒金属被膜を分散させて形成担持する。
湿式法ではこれら貴金属の触媒金属被膜を容易に分散できない難点があったが、本発明方法における触媒金属被膜の形成担持は乾式法なので、酸化触媒金属と還元触媒金属の夫々の分散担持を容易に行なえる。
【0014】
また、600℃以上の高温雰囲気下においても、ロジウム層に酸化ロジウム膜が被覆されるのみで、酸化触媒被膜に関する浄化率特性が損なわれることはない。また、酸化触媒金属被膜と還元触媒金属被膜との面積比を調節することで、酸化触媒金属の特性、還元触媒金属の特性、或いは3元触媒の特性の各特性を優先的かつ選択的に引き出すことが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は白金のような酸化触媒金属材と、ロジウムのような還元触媒金属材をスパッタリング法、または真空蒸着法により個々に蒸発させ、メタル基体表面の異なった位置に酸化触媒金属被膜と還元触媒金属被膜を分散させて形成担持する。
【0016】
分散担持する方法として以下に3つの手段を述べる。
▲1▼ 真空容器内において、スパッタリング法、または真空蒸着法によりメタル基体に触媒金属被膜を成膜担持する場合、マスキング板による酸化触媒被膜と還元触媒被膜の分散パターンを形成する。
▲2▼ 真空容器内において真空蒸着法により、波形状のメタル基体に触媒金属被膜を形成担持する場合、酸化触媒金属材と還元触媒金属材の各々の蒸発物質の入射角度に方向性をもたせ、波形状のメタル基体表面の左右側部に酸化触媒被膜と還元触媒被膜を夫々分散担持させる方法。
▲3▼ ハニカム構造の排気ガス浄化用触媒において、波形状のメタル基体に酸化触媒被膜を形成担持し、平型状のメタル基体に還元触媒被膜を形成担持する。
【0017】
湿式法ではこれら貴金属の触媒金属被膜を容易に分散できない難点があったが、本発明方法における触媒金属被膜の形成担持は乾式法なので、酸化触媒金属と還元触媒金属の夫々の分散担持を容易に行なえることが出来る。
【0018】
【実施例】
先ず、本発明の排気ガス浄化用触媒の製造装置について説明する。
【0019】
実施例1
図1は本発明の排気ガス浄化用触媒の製造装置の1実施例を示すものであり、平板状のメタル基体の表面の異なる位置に酸化触媒金属被膜と還元触媒金属被膜とを分散して形成担持させる際に用いる製造装置である。
【0020】
図中、1は真空容器を示し、該真空容器1内を真空ポンプ等の真空排気系2にバルブ3を介して接続し、真空容器1内を所定の圧力に設定出来るようにすると共に、該真空容器1内にガス導入系4を介してガス供給源5を接続し、該ガス導入系4より希ガス、例えばアルゴンガスを導入出来るようにした。
【0021】
また、真空容器1内の上方に触媒金属被膜を担持すべきメタル基体6を基体保持装置7により保持するようにし、メタル基体6の裏面側にメタル基体6を所定温度に加熱する赤外線ヒーター8を配置した。
【0022】
また、真空容器1内の下方であってメタル基体6に対向する位置に、酸化触媒金属材9、例えば白金ターゲット備えた電極9aと、還元触媒金属材10、例えばロジウムターゲットを備えた電極10aとを間隔を存して配置すると共に、酸化触媒金属材9と還元触媒金属材10とが夫々メタル基体6に指向するようした。
また、電極9aと電極10aとに所定の高周波電力を印加してスパッタリングを行なうためのRF電源11をローパスフィルター12を介して接続した。
【0023】
また、メタル基体6の前方に酸化触媒金属被膜と還元触媒金属被膜とをメタル基体6表面の異なる位置に分散させて形成担持させるマスキング板13を可動可能に配置した。
【0024】
尚、図中、11aはアース、14は赤外線ヒーター8の加熱電源、15はRF電源11から各電極9a、10aに高周波電力を印加する際の切換えスイッチを示す。
【0025】
実施例2
図4は本発明の排気ガス浄化用触媒の製造装置の他の実施例を示すものであり、コルゲート加工した波形状のメタル基体の波形表面の異なる位置に酸化触媒金属被膜と還元触媒金属被膜とを分散担持させる際に用いる製造装置である。
【0026】
図中、21は真空容器を示し、該真空容器21内を真空ポンプなどの真空排気系22にバルブ23を介して接続した。
【0027】
また、真空容器21内に触媒金属被膜を担持すべき連続した波形状のメタル基体26の送出ローラー27と、表面に触媒金属被膜が担持されたメタル基体26の巻取ローラー28から成る1対のローラー(27、28)を配置した。
【0028】
また、送出ローラー27と、巻取ローラー28との間であって、両ローラー27、28に対向する位置にメタル基体26表面の波形形状に対応する凹凸を表面に備えるガイドローラー29を配置した。
【0029】
また、ガイドローラー29の近傍に例えば白金から成る酸化触媒金属材30の蒸発源30aを波形状のメタル基体26表面の一方の波形面26aに酸化触媒金属被膜が形成担持されるように配置すると共に、例えばロジウムから成る還元触媒金属材31の蒸発源31を波形状のメタル基体26表面の他方の波形面26bに還元触媒金属被膜が形成担持されるように配置した。また、両蒸発源30a、31aの間に仕切り板32を配置した。
【0030】
次に、前記製造装置を用いて製造する排気ガス浄化用触媒の具体的実施例を比較例と共に説明する。
【0031】
実施例3
本実施例は前記図1に示す製造装置を用いて、図2に示すメタル基体表面の異なる位置に酸化触媒金属被膜と、還元触媒金属被膜とを分散担持した排気ガス浄化用触媒を製造する1例である。
【0032】
先ず、メタル基体6として市販の幅100mm、厚さ0.05〜0.1mmの巻状のステンレス板R20-5SRを大気雰囲気炉内に設置し、温度1000℃で、1時間加熱し、メタル基体6の表面にα型アルミナの針状結晶から成るセラミック層を形成した。
【0033】
次に、この熱処理を施した巻状のメタル基体6(セラミック層を備えるステンレス板)を幅100mm、長さ100mmに切断し、これを真空容器1内の基体保持装置7に設置した後、メタル基体6の基体保持装置7の前方にステンレス製の縦、横各3mmの方形状の開口部を縦、横夫々40個つづ備えるマスキング板13を配置した。
【0034】
また、真空容器1内の電極9aに酸化触媒金属材9として直径150mm、厚さ2.0mmの白金ターゲットを取り付け、また、電極10aに還元触媒金属材10として直径150mm、厚さ2.0mmのロジウムターゲットを取り付けた。
【0035】
続いて、真空容器1内の圧力を真空排気系2により0.13Pa(1.0mTorr)に設定すると共に、ガス供給源5よりガス導入系4を介して真空容器1内にアルゴンガスを導入した。
【0036】
そして、赤外線ヒーター8によりメタル基体6を温度300℃に維持した状態で、電極9aにRF電源12より周波数13.56MHzを発振させて電極9aの周囲にアルゴンプラズマを発生させ、スパッタリング法により白金ターゲットにスパッタリングして、図2に示すようなメタル基体6表面の一部に膜厚0.01μm(100Å)の酸化触媒金属被膜(白金膜)16を形成、担持した後、マスキング板13を移動させた。
次に、電極10aにRF電源12より周波数13.56MHzを発振させて電極10aの周囲にアルゴンプラズマを発生させ、スパッタリング法によりロジウムターゲットにスパッタリングして、図2に示すようなメタル基体6表面の酸化触媒金属被膜(白金膜)16とは異なる位置に膜厚0.01μm(100Å)の還元触媒金属被膜(ロジウム膜)17を形成、担持した。
【0037】
このようにして図2に示すようにメタル基体6表面の異なる位置に酸化触媒金属被膜(白金膜)16と、還元触媒金属被膜(ロジウム膜)17とを格子縞状に分散し、形成担持した排気ガス浄化用触媒Aを製造した。
【0038】
また、マスキング板13を酸化触媒金属被膜と還元触媒金属被膜の面積比を可変出来るように構成することにより、メタル基体6表面に酸化触媒金属被膜16と、還元触媒金属被膜17の担持面積比が異なった各種の排気ガス浄化用触媒Aが容易に製造することが出来る。
【0039】
実施例4
本実施例は前記実施例3にて作製されたメタル基体6表面に酸化触媒金属被膜16と、還元触媒金属被膜17とが格子縞状に分散担持された排気ガス浄化用触媒Aを用い、図3に示すハニカム構造の触媒管を作製し、排気ガスの浄化率を調べることとした。
【0040】
先ず、図2に示す排気ガス浄化用触媒Aをそのまま平板状のメタル基体18とし、これとは別に排気ガス浄化用触媒Aをコルゲート加工により波形状のメタル基体19に加工した。
【0041】
次に、平板状のメタル基体18と、波形状のメタル基体19とを交互に重ね合わせ、これらを多重に巻き付け、組み合わせし、接合部分を溶接により接合して、図3に示す外径60mm、長さ100mmのハニカム構造の触媒管20を作製した。
【0042】
このハニカム構造の触媒管20の排気ガス(炭化水素:CH、一酸化炭素:CO、酸化窒素:NOx)の浄化率を浄化前後の各ガスの赤外線吸収スペクトル強度の差から換算して求めた。その結果を表1に示す。
【0043】
比較例1
上記実施例の如く、酸化触媒金属材と還元触媒金属材を分散せず、担体表面に白金・ロジウム合金(組成5:1wt%)を同様にスパッタリング法により100Å担持させたハニカム構造から成る触媒管を作製した。
【0044】
このハニカム構造の触媒管の排気ガス(炭化水素:CH、一酸化炭素:CO、酸化窒素:NOx)の浄化率を前記実施例4と同様の方法で調べ、その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から明らかなように、600℃以上という高温使用時において本発明の実施例4(分散型)は、従来の比較例1(合金被膜)に比して浄化率が向上していることが分かる。
【0047】
実施例5
本実施例は前記図4に示す製造装置を用いて、図5に示すメタル基体がコルゲート加工された波形状のメタル基体表面の異なる位置に酸化触媒金属被膜と、還元触媒金属被膜とを分散担持した排気ガス浄化用触媒を製造する1例である。
【0048】
先ず、メタル基体26として市販の幅100mm、厚さ0.05〜0.1mmの巻状のステンレス板R20-5SRを大気雰囲気炉内に設置し、温度1000℃で、1時間加熱し、メタル基体26の表面にα型アルミナの針状結晶から成るセラミック層を形成した。
【0049】
次に、この熱処理を施した巻状のメタル基体26(セラミック層を備えるステンレス板)をコルゲート加工して波形状のメタル基体33(26)を作製した。
【0050】
このコルゲート加工を施した波形状のメタル基体33を真空容器21内の送出ローラー27に取り付けると共に、該メタル基体33をガイドローラー29を経て巻取ローラー28側に搬送出来るようにした。
【0051】
また、蒸発源30a内の酸化触媒金属材(白金)30、並びに蒸発源31a内の還元触媒金属材(ロジウム)31に電子ビームを照射し、夫々の金属材を蒸発させた。
【0052】
この時、メタル基体を送出ローラー27よりガイドローラー29側に搬送させながら、波形状のメタル基体33がガイドローラー29に到達した際(図示例ではガイドローラー29の左側)に、メタル基体33の一方の波形面33a(26a)に酸化触媒金属材30を蒸着させて膜厚0.01μm(100Å)の酸化触媒金属被膜(白金)34を形成担持した後、更にメタル基体33を巻取ローラー28側に搬送させながら、波形状のメタル基体33が巻取ローラー28側に搬送され始めた際(図示例ではガイドローラー29の右側)に、メタル基体33の他方の波形面33b(26b)に還元触媒金属材31を蒸着させて膜厚0.01μm(100Å)の還元触媒金属被膜(ロジウム)35を形成担持した。
【0053】
このようにして酸化触媒金属材30と、還元触媒金属材31のメタル基体への蒸着入射方向を変え、波形(凹凸)形状のメタル基体自身による蒸着の遮蔽効果を利用することにより、図5に示すような波形状のメタル基体33の異なる位置に酸化触媒金属被膜34と、還元触媒金属被膜35とを横縞状に分散して担持した波形状のメタル基体33から成る排気ガス浄化用触媒Bを製造することが出来る。
【0054】
また、前記実施例4では平板状のメタル基体と波形状のメタル基体とに酸化触媒金属被膜と、還元触媒金属被膜とを格子縞状に担持した排気ガス浄化用触媒Aを用い、これらを交互に重ね合わせ、多重に巻き付け、組み合わせて図3に示すようなハニカム構造の触媒管を作製したが、本発明はこれに限定されるものではなく、平板状のメタル基体に表面に還元触媒金属被膜(ロジウム被膜)のみを形成担持した排気ガス浄化用触媒を用い、波形状メタル基体に表面に酸化触媒金属被膜(白金被膜)のみを担持した排気ガス浄化用触媒を用い、これらを交互に重ね合わせ、多重に巻き付け、組み合わせて図3に示すようなハニカム構造の触媒管を作製してもよい。また、平板状のメタル基体に酸化触媒金属被膜と、還元触媒金属被膜とを格子縞状に担持した排気ガス浄化用触媒を用い、波形状のメタル基体に酸化触媒金属被膜と、還元触媒金属被膜とを横縞状に担持した排気ガス浄化用触媒を用いこれらを交互に重ね合わせ、多重に巻き付け、組み合わせて図3に示すようなハニカム構造の触媒管を作製してもよい。
【0055】
また、酸化触媒金属被膜と還元触媒金属被膜との面積比を調節することで、酸化触媒金属の特性、還元触媒金属の特性、或いは3元触媒の特性の各特性を優先的かつ選択的に引き出すことが可能となる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の製造方法によるときは、メタル基体表面の異なる位置に酸化触媒金属被膜と、還元触媒金属被膜を分散させて担持するようにしたので、従来の白金・ロジウムの合金被膜を担持した排気ガス浄化用触媒に比して、優れた耐熱性と、それに伴う高温雰囲気下における優れた触媒機能を有し、排気ガスの浄化率の向上した排気ガス浄化用触媒を容易に製造することが出来る効果がある。
【0057】
また、本発明の製造装置によるときは、従来の白金・ロジウムの合金被膜を担持した排気ガス浄化用触媒に比して、優れた耐熱性と、それに伴う高温雰囲気下における優れた触媒機能を有し、排気ガスの浄化率が向上したメタル基体表面の異なる位置に酸化触媒金属被膜と、還元触媒金属被膜を分散担持した排気ガス浄化用触媒を容易に製造することが出来る製造装置を提供することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の排気ガス浄化用触媒の製造装置の1実施例の概略截断面図、
【図2】 本発明の排気ガス浄化用触媒の1実施例の斜視図、
【図3】 本発明の排気ガス浄化用触媒を用いて作製したハニカム構造の触媒管の斜視図、
【図4】 本発明の排気ガス浄化用触媒の製造装置の他の実施例の概略截断面図、
【図5】 本発明の排気ガス浄化用触媒の他の実施例の斜視図。
【符号の説明】
1、21 真空容器、 2、22 真空排気系、
4、24 ガス導入系、 6、26 メタル基体、
9、30 酸化触媒金属材、 10、31 還元触媒金属材、
13 マスキング板、 16、34 酸化触媒金属被膜、
17、35 還元触媒金属被膜、 18 平板状のメタル基体、
19、33 波形状のメタル基体、 20 触媒管、
27、28 ローラー、 29 ガイドローラー、
A、B 排気ガス浄化用触媒。
Claims (3)
- 真空容器内で真空蒸着法によりメタル基体表面に触媒金属材を蒸着させて触媒金属被膜を形成担持する排気ガス浄化用触媒の製造方法において、
真空容器の内部に送出ローラ、巻取ローラ及びガイドローラを配設し、ガイドローラは他のローラに対して段違いに配置する一方、酸化触媒金属材と還元触媒金属材の各蒸発源をそれぞれ真空容器の内部に配設してなる装置を用いるとともに、メタル基体として断面が波形で帯状のものを用い、
メタル基体を送出ローラに巻き付けるとともに、巻き付けたメタル基体の先端はガイドローラを経由して巻取ローラに取り付け、
巻取ローラから繰り出されるメタル基体を巻取ローラで巻き取りながら各蒸発源から金属材を蒸発させ、
メタル基体の一方の波形面に酸化触媒金属被膜を形成担持させる一方、メタル基体の他方の波形面には還元触媒金属被膜を形成担持させる
ことを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。 - 真空容器内で真空蒸着法によりメタル基体表面に触媒金属材を蒸着させて触媒金属被膜を形成担持した排気ガス浄化用触媒を製造する装置において、
真空容器の内部に送出ローラ、巻取ローラ及びガイドローラを配設し、ガイドローラは他のローラに対して段違いに配置する一方、
断面が波形で帯状のメタル基体を送出ローラに巻き付けるとともに、巻き付けたメタル基体の先端をガイドローラを経由して巻取ローラに取り付けることで、送出ローラから繰り出されるメタル基体を巻取ローラで巻き取るように構成し、
メタル基体の一方の波形面に酸化触媒金属被膜を形成担持させる一方、メタル基体の他方の波形面には還元触媒金属被膜を形成担持させるべく、酸化触媒金属材と還元触媒金属材の各蒸発源をそれぞれ真空容器の内部に配設した
ことを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置。 - 酸化触媒金属材と還元触媒金属材の各蒸発源をガイドローラを挟んで他のローラと反対側に配置するとともに、各蒸発源の間に仕切り板を配設したことを特徴とする請求項2記載の排気ガス浄化用触媒の製造装置。
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