JP3801591B2 - 電子デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子デバイスおよびその製造方法に関し、特にチップがフェースダウンボンディングで実装される電子デバイスに適用して有効な技術に関するものである。
所定の導体パターンにより回路素子が形成されたチップの実装形態として、当該チップが用いられる電子機器の小型化の要請から、実装面積を狭小化できるフェースダウンボンディングが用いられることがある。このフェースダウンボンディングは、チップの主面である素子形成面にバンプ(導体突起)を形成し、素子形成面が実装基板の実装面と対向するようにして、導体突起を介してチップを実装基板に電気的および機械的に接続するものである。
そして、チップ11における主面(素子形成面)11aの保護と実装基板13に対する接合強度のアップのために、図5に示すように、バンプ12により形成されるチップ11と実装基板13との間の空隙に樹脂15を流し込んで封止するUnder−fill処理が行われている。
ここで、MMIC(Microwave Monolithic Integrated Circuit)などの高周波デバイスでは、主面である素子形成面やバンプに付着した樹脂により周波数特性に悪影響が及ぶことがある。これは、素子の周囲は空気が存在するという前提で設計されているにも拘わらず、空気よりも誘電率の大きい樹脂が付着したためと考えられる。
チップをフェースダウンボンディングした電子デバイスにおけるUnder−fill処理の前後での周波数特性の変動を図6に示す。図6において、破線が樹脂封止前の周波数特性、実線が樹脂封止後の周波数特性である。図6に示すように、樹脂封止後では約5GHz以上の周波数帯域において変動幅が大きくなり、樹脂封止後の周波数特性に比較して約3GHz低くシフトしているのが分かる。
このような周波数特性の変動を防止するために、図7に示すように、フェースダウンボンディングにより実装基板13に搭載されたチップ11の周縁部に高粘度の樹脂15を塗布し、主面11aである素子形成面には樹脂が付着しないようにしたGlob−top処理が知られている。
しかしながら、この技術によっても、チップ周縁付近の電極パッドやバンプには樹脂が付着し、電極パッドやバンプはチップ上の回路素子よりも形状が大きいことから、図8に示すように、依然として特性変動を防止するには至っていない。
樹脂の付着による周波数特性の変動防止を目的として、たとえば特開平11−260945号公報には、補強天板をチップに貼り付け、その周囲と実装基板との間に樹脂を充填する技術が開示されている。また、特開2001−53092号公報には、実装基板に搭載されたチップをフィルムシートで包み込む技術が開示されている。さらに、特開平10−32275号公報には、実装基板に搭載されたチップの周囲に接着樹脂を用いて枠材を固定し、枠材とチップとの空隙に樹脂材を充填する技術が開示されている。
特開平11−260945号公報 特開2001−53092号公報 特開平10−32275号公報
しかしながら、特開平11−260945号公報に記載の技術では、封止すべき間隙(つまり、補強天板と実装基板との間隙)が高く、しかも横から樹脂を注入するようになるので、樹脂の拡がり量が大きくなって実質的な実装面積が大きくなる。また、樹脂をチップに触れないようにするためには天板を十分に大きくする必要があり、小型化の要請に反する。
また、特開2001−53092号公報に記載の技術では、フィルムシートがチップを覆っているだけなので、チップの実装基板に対する機械的保持はバンプのみで行われるようになり、十分なシェア強度が確保されずに耐振動衝撃性に問題がある。
そして、特開平10−32275号公報に記載の技術では、枠材を実装基板に押し付けて固定する際に枠材を実装基板に固定するための樹脂が内側にはみ出してバンプや素子形成面に付着するおそれがある。
そこで、本発明は、フェースダウンボンディングによりチップが実装基板に搭載された電子デバイスにおいて導体突起やチップの主面への封止樹脂の付着を防止することのできる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る電子デバイスは、素子基板の主面上に所定の導体パターンが形成されたチップと、前記チップが導体突起を介してフェースダウンボンディングにより実装された実装基板と、前記実装基板に配置されて前記チップを取り囲み、高さが前記導体突起の頂点よりも高く、且つ前記導体突起の設けられた前記チップの上端面よりも低いフレーム部と、前記導体突起および前記主面と非接触で前記チップおよび前記フレーム部を覆って前記実装基板に接着され、前記チップを気密封止するとともに前記チップおよび前記フレーム部を前記実装基板に固定する樹脂と、を有することを特徴とする。
本発明の好ましい形態において、前記フレーム部は非導電材で構成されていることを特徴とする。
本発明のさらに好ましい形態において、前記フレーム部は、前記実装基板とは別体の枠状部材、または前記実装基板上において薄膜が枠状にパターニングされて積層形成された枠状薄膜であることを特徴とする。
本発明の好ましい形態において、前記フレーム部と前記チップとの間隙は50〜500μmであり、前記樹脂の粘度は20〜85Pa・sであることを特徴とする。
本発明のさらに好ましい形態において、前記樹脂はUV硬化樹脂であることを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る電子デバイスの製造方法は、素子基板の主面上に所定の導体パターンが形成されたチップを用意し、導体突起を介して前記チップをフェースダウンボンディングにより実装基板に実装し、前記チップを取り囲むようにして、高さが前記導体突起の頂点よりも高く、且つ前記導体突起の設けられた前記チップの上端面よりも低い枠状部材を前記実装基板上に載置し、前記チップおよび前記枠状部材を覆って前記実装基板まで至るように樹脂を塗布してこれを硬化させることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る電子デバイスの製造方法は、素子基板の主面上に所定の導体パターンが形成されたチップを用意し、前記チップが実装される実装基板上に、前記チップを取り囲む枠状に薄膜を積層ならびにパターニングして、高さが前記導体突起の頂点よりも高く、且つ前記導体突起の設けられた前記チップの上端面よりも低い枠状薄膜を形成し、導体突起を介して前記チップをフェースダウンボンディングにより前記枠状薄膜内に実装し、前記チップおよび前記枠状薄膜を覆って前記実装基板まで至るように樹脂を塗布してこれを硬化させることを特徴とする。
本発明の好ましい形態において、前記フレーム部と前記チップとの間隙を50〜500μmとし、20〜85Pa・sの粘度を有する樹脂を用いることを特徴とする。
本発明のさらに好ましい形態において、UV硬化性の樹脂を用いることを特徴とする。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、封止樹脂の導体突起およびチップの主面に対する付着を防止することができる。これにより、誘電率の大きな樹脂の付着による周波数特性のシフトが防止できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態における電子デバイスを示す断面図、図2は図1の電子デバイスにおける樹脂封止前後での周波数特性の変動を示すグラフ、図3は本発明の実施の形態における変形例としての電子デバイスを示す断面図である。
図1において、本実施の形態の電子デバイス10は、GaAs(ガリウム砒素)単結晶などの素子基板の主面11a上に所定の導体パターンにより回路素子が形成された高周波デバイスであるMMICなどのチップ11が、チップ11の同じく主面11aに設けられたはんだバンプやスタッドバンプなどのバンプ(導体突起)12を介してフェースダウンボンディングにより実装基板13に実装されたものである。
実装基板13には、チップ11を取り囲む枠状部材(フレーム部)14aが、チップ11との間に隙間を形成して配置されている。この枠状部材14aは非導電材で構成されており、また実装基板13とは別体になっている。
そして、バンプ12や主面11aと非接触でチップ11および枠状部材14aを覆って実装基板13に接着した樹脂15が塗布されている。このような樹脂15によりチップ11が気密封止されるとともに、チップ11および枠状部材14aが実装基板13に固定される。
なお、樹脂15が主面11aと実装基板13との間隙にまで流れ込んだりバンプ12に付着しないようにするため、枠状部材14aの高さは少なくともバンプ12の高さと同じ、望ましくはバンプ12の高さよりも50μm以上高くなっている。但し、チップ11をハンドリングするためのコレット(図示せず)がチップ11よりも大きい場合であって枠状部材14aを実装基板13に載置した後にチップ11を実装する場合には、コレットと枠状部材14aとの干渉を防止するために、枠状部材14aの高さはチップ11の高さよりも低くするのがよい。
以上に説明した電子デバイス10における樹脂封止前後での周波数特性の変動を図2に示す。前述のように、樹脂15がチップ11と枠状部材14aとを覆うようにして実装基板に接着しているので、空気よりも誘電率の大きい樹脂15がバンプ12および主面11aと接触しなくなり、周波数特性のシフトは殆ど発生していない。
次に、このような構成を有する電子デバイスの製造方法について説明する。
先ず、前述したチップ11を用意し、これをフェースダウンボンディングによりバンプ12を介して固相拡散接合技術を用いて実装基板13の所定位置に実装する。
次に、チップ11を取り囲むようにして実装基板13上に枠状部材14aを載置し、チップ11および枠状部材14aを覆って実装基板13まで至るように樹脂15を塗布する。
最後に、たとえば樹脂15がUV硬化型であればUV光を照射することにより、熱硬化型であれば加熱することにより、当該樹脂15を硬化させる。
ここで、枠状部材14aとチップ11との間隙(ギャップ幅)、および樹脂15の粘度について説明する。
本発明者は、ギャップ幅と樹脂粘度とを30種類異ならせた電子デバイスを各10個ずつ、合計300個作製し、それぞれについて周波数特性のシフト発生率、耐衝撃性、耐湿性についての評価を行った。耐衝撃性試験は、高さ1mからコンクリート上に自重落下させてチップの剥離状態を見た。耐湿試験は温度85℃、湿度85%の雰囲気下に200時間放置した後の特性変動の有無を見た。
評価結果を表1に示す。
Figure 0003801591
表1において、実施例1〜15に示すように、樹脂の粘度が約20〜85Pa・sの範囲で、且つチップと枠状部材の間隙が50〜500μmの範囲にあると、樹脂の流動が適度に保たれ、バンプや導体パターンの形成された素子基板の主面に到達しない程度で固定できる。これにより、樹脂がバンプや素子基板の主面に接触することはないので、周波数特性のシフトは生じず、なおかつ耐湿性および耐衝撃性に優れた電子デバイスを得ることができる。
一方、比較例1〜4に示すように、ギャップ幅が500μmより大きくなると、たとえ樹脂粘度が60〜80Pa・sであったとしても、バンプや主面への樹脂の流れ込みが生じ、周波数特性のシフトを生じさせる結果となった。
また、樹脂の粘度が85Pa・sを上回ると、バンプや主面への樹脂の流れ込みは生じないものの、固定のための樹脂流し込みが困難になるうえ、樹脂の濡れが不十分となり、固定そのものが不完全となる。この結果、比較例5〜9に示す通り、耐湿性と耐衝撃性が極めて劣化する。逆に、比較例10〜12に示す通り、樹脂粘度が20Pa・sとなると、樹脂は間隙内に止まらずにバンプや主面へ到達する結果となり、これによる特性シフトが生じてしまう。
以上のことから、枠状部材14aとチップ11との間隙は50〜500μmとし、20〜85Pa・sの粘度の樹脂15を用いるのがよい。なお、既に述べたように樹脂種は熱硬化型およびUV硬化型の何れでもよいが、硬化時の粘度低下の少ないUV硬化型樹脂の方が望ましい。
ここで、図1においてフレーム部としての枠状部材14aは実装基板13と別体になっているが、図3に示すように、実装基板13上に薄膜を枠状にパターニングして積層形成した枠状薄膜14bをフレーム部としてもよい。なお、枠状薄膜14bを構成する薄膜も、非導電材を用いるのがよい。
なお、枠状薄膜14bを用いる場合における電子デバイスの製造方法は、次の通りである。
すなわち、前述したチップ11を用意する。また、チップ11が実装される実装基板13上には、チップ11を取り囲む枠状に枠状薄膜14bを形成する。
次に、バンプ12を介してチップ11をフェースダウンボンディングにより実装基板13の枠状薄膜14b内に実装する。
そして、チップ11および枠状薄膜14bを覆って実装基板13まで至るように樹脂15を塗布してこれを硬化させる。
(参考の形態)
図4は本発明の参考の形態における電子デバイスを示す断面図である。
図示する電子デバイス10では、実装基板13にキャビティ13aが形成され、チップ11はこのキャビティ13a内にバンプ(導体突起)12を介してフェースダウンボンディングにより実装されている。そして、樹脂15は、バンプ12およびチップ11の主面11aと非接触でチップ11およびキャビティ13aを覆って実装基板13に接着されており、このような樹脂15によりチップ11が気密封止されるとともにこれが実装基板13に固定されている。
実施の形態において説明したフレーム部(枠状部材14a、枠状薄膜14b)を用いるのではなく、参考の形態のように、実装基板13に形成したキャビティ13aにチップ11を実装するようにしてもよい。なお、フレーム部に換えてキャビティ13aを用いた場合には、前述したフレーム部とチップ11との間隙は、キャビティ13aとチップ11との間隙になる。
なお、キャビティ13aにチップ11を実装する場合における電子デバイスの製造方法は、次の通りである。
すなわち、前述したチップ11を用意する。また、チップ11が実装される実装基板13に、チップ11が入り込む形状のキャビティ13aを形成する。
次に、バンプ12を介してチップ11をフェースダウンボンディングにより実装基板13のキャビティ13a内に実装する。
そして、チップ11およびキャビティ13aを覆って実装基板13まで至るように樹脂15を塗布してこれを硬化させる。
以上の説明においては、実装基板13に実装されるチップ11として高周波デバイスであるMMICが適用されているが、本発明におけるチップの種類はMMICに限定されるものではなく、素子基板上に導体パターンが形成された様々なチップを適用することが可能である。
本発明の実施の形態における電子デバイスを示す断面図である。 図1の電子デバイスにおける樹脂封止前後での周波数特性の変動を示すグラフである。 本発明の実施の形態における変形例としての電子デバイスを示す断面図である。 本発明の参考の形態における電子デバイスを示す断面図である。 従来の電子デバイスにおける封止形態の一例を示す断面図である。 図5の電子デバイスにおける樹脂封止前後での周波数特性の変動を示すグラフである。 従来の電子デバイスにおける封止形態の他の一例を示す断面図である。 図7の電子デバイスにおける樹脂封止前後での周波数特性の変動を示すグラフである。
符号の説明
10 電子デバイス
11 チップ
11a 主面
12 バンプ(導体突起)
13 実装基板
13a キャビティ
14a 枠状部材(フレーム部)
14b 枠状薄膜(フレーム部)
15 樹脂

Claims (9)

  1. 素子基板の主面上に所定の導体パターンが形成されたチップと、
    前記チップが導体突起を介してフェースダウンボンディングにより実装された実装基板と、
    前記実装基板に配置されて前記チップを取り囲み、高さが前記導体突起の頂点よりも高く、且つ前記導体突起の設けられた前記チップの上端面よりも低いフレーム部と
    前記導体突起および前記主面と非接触で前記チップおよび前記フレーム部を覆って前記実装基板に接着され、前記チップを気密封止するとともに前記チップおよび前記フレーム部を前記実装基板に固定する樹脂と、
    を有することを特徴とする電子デバイス。
  2. 前記フレーム部は非導電材で構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子デバイス。
  3. 前記フレーム部は、前記実装基板とは別体の枠状部材、または前記実装基板上において薄膜が枠状にパターニングされて積層形成された枠状薄膜であることを特徴とする請求項1記載の電子デバイス。
  4. 前記フレーム部と前記チップとの間隙は50〜500μmであり、
    前記樹脂の粘度は20〜85Pa・sであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子デバイス。
  5. 前記樹脂はUV硬化樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子デバイス。
  6. 素子基板の主面上に所定の導体パターンが形成されたチップを用意し、
    導体突起を介して前記チップをフェースダウンボンディングにより実装基板に実装し、
    前記チップを取り囲むようにして、高さが前記導体突起の頂点よりも高く、且つ前記導体突起の設けられた前記チップの上端面よりも低い枠状部材を前記実装基板上に載置し、
    前記チップおよび前記枠状部材を覆って前記実装基板まで至るように樹脂を塗布してこれを硬化させることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  7. 素子基板の主面上に所定の導体パターンが形成されたチップを用意し、
    前記チップが実装される実装基板上に、前記チップを取り囲む枠状に薄膜を積層ならびにパターニングして、高さが前記導体突起の頂点よりも高く、且つ前記導体突起の設けられた前記チップの上端面よりも低い枠状薄膜を形成し、
    導体突起を介して前記チップをフェースダウンボンディングにより前記枠状薄膜内に実装し、
    前記チップおよび前記枠状薄膜を覆って前記実装基板まで至るように樹脂を塗布してこれを硬化させることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  8. 前記フレーム部と前記チップとの間隙を50〜500μmとし、
    20〜85Pa・sの粘度を有する樹脂を用いることを特徴とする請求項6または7記載の電子デバイスの製造方法。
  9. UV硬化性の樹脂を用いることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
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