JP3801529B2 - 親水性シリコーンゴム組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状エーテル基を有するシロキサン化合物を含有する親水性シリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、環状エーテル基を有するシラン又はシロキサン化合物としては、ポリマーの主鎖がポリエーテルであり、その末端に加水分解性の有機基を有するケイ素原子が結合したものが知られているが、この種のものは、主鎖がポリエーテルであるため、耐熱性、耐候性などの点で十分でなく、シリコーンゴムの特性を有するものではない。
【0003】
また、主鎖がポリシロキサンであり、側鎖にエーテル基を有するポリマーを用いた室温硬化性組成物が特開平7−150046号公報に提案されているが、これは親水性を発現するという点においては十分ではない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、良好な親水性を有し、しかもシリコーンゴム本来の特性を与える親水性シリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記平均組成式(1)で示される環状エーテル基を有するオルガノポリシロキサンをシリコーンゴム組成物の主成分として用いることにより、良好な親水性が付与され、かつ強度、伸びなどの物性も良好なシリコーンゴムを得ることができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は、
(a)下記平均組成式(1)
R1 aR2 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、R1は互いに同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基又は水酸基、R2は下記式(2)で示される環状エーテル基であり、a,bは正数で、bは0.02〜1、a+bは1.95〜2.40である。)
で示される環状エーテル基を有する重合度100以上のオルガノポリシロキサン100重量部、
(b)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ 10〜70重量部、
(c)硬化剤
を含有してなることを特徴とする親水性シリコーンゴム組成物
を提供する。
【0007】
【化2】
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明の親水性シリコーンゴム組成物は、
(a)環状エーテル基を有するオルガノポリシロキサン、
(b)補強性シリカ粉末、
(c)硬化剤
を含有する。
【0009】
本発明に係る組成物において、(a)成分の環状エーテル基を有するオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)
R1 aR2 bSiO(4-a-b)/2 (1)
で示されるものである。
【0010】
ここで、R1は互いに同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基又は水酸基であり、一価炭化水素基は炭素原子数1〜8であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等や、これらの炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子やシアノ基などで置換された基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基やシアノエチル基等が挙げられる。これらの中ではメチル基、ビニル基、フェニル基等が好適である。
【0011】
また、R2は下記式(2)で示される環状エーテル基である。
【0012】
【化3】
【0013】
更に、a,bは正数で、bは0.02〜1、特に0.05〜1、a+bは1.95〜2.40を満足する数である。この場合、bはポリマー中での環状エーテル基の含有量を示しており、bが0.02未満では親水性を発現するといった点から含有量が少なすぎ、またbが1を超えるとポリマーの合成が困難となるといった問題が生じる。
【0014】
上記式(1)で示されるオルガノポリシロキサンは、種々の重合方法が可能である。以下に代表的な重合方法を例示する。
【0015】
〔1〕環状エーテル基を有する環状シロキサンの開環重合による方法
環状エーテル基を有するシクロトリシロキサン、シクロテトラシロキサン等をリチウム、ナトリウム、カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の触媒により開環重合することが可能である。例えば{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ペンタメチルシクロトリシロキサンを原料として使用し、リチウムシリコネートを重合触媒として使用した場合、環状エーテル基とメチル基が結合したケイ素原子とメチル基が2個結合したケイ素原子の比率が1対2であるシロキサンを得ることが可能である。この場合、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ペンタメチルシクロトリシロキサンと同時に用いて環状エーテル基の含有量をコントロールすることもできる。また、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ヘプタメチルシクロテトラシロキサンを原料として使用し、カリウムシリコネートを触媒としてもシロキサンポリマーを得ることができる。この場合もオクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状エーテル基を有しないシロキサンを同時に使用しても差し支えない。更に、ビニル基を有する環状シロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルテトラシロキサンを共に重合し、ポリマー中にビニル基を導入することも可能であるほか、重合時にポリマー末端となるヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサンを添加して、重合度やポリマー末端をコントロールすることもできる。また、重合が終了した後、トリメチルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ジエチルアミノトリメチルシラン等で処理することにより、ポリマー末端がトリメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等で停止したポリマーを得ることができる。
【0016】
〔2〕環状エーテル基を有するアルコキシシロキサンを加水分解し、次いで重合を行う方法
{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}メチルジメトキシシランを塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、陽イオン交換樹脂等の酸性触媒、或いは水酸化セシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルフォスフォニウムハイドロオキサイド、陰イオン交換樹脂等の塩基性触媒で加水分解したのち、鎖長延長することにより合成可能である。
【0017】
例えば、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}メチルジメトキシシランをテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド触媒で加水分解して、反応により副生するメタノールを除去した後、水の存在下で加熱することにより生成したシラノール基同士の縮合が起こり、分子鎖末端にOH基を有するオイル状ポリマーを得ることができる。必要に応じ、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等のシロキサンを同時に加えることにより、共重合体を得ることができる。
【0018】
添加するオクタメチルテトラシロキサンの添加量を変えることにより、任意の割合で環状エーテル基が導入されたポリマーを得ることができ、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンの添加量を変えることによりビニル基量をコントロールすることができる。
【0019】
〔3〕側鎖にSi−H基を有するオルガノポリシロキサンに2−アリルオキシ−メチル−1,4−ジオキサンを白金等の触媒存在下で付加させる方法
分子内に少なくとも1個以上のSi−H基を有するオルガノポリシロキサンに不飽和基を有する環状エーテル基である2−アリルオキシ−メチル−1,4−ジオキサンを付加させることにより得ることができる。Si−H基を有するポリマーの重合方法としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンとを硫酸で平衡化重合することにより得ることができる。
【0020】
このようにして得られたポリマーへの付加反応は、トルエン、キシレン等の芳香族系、或いはヘキサン、ペンタンのような脂肪族系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒の存在下で反応させることが可能であるが、経済的な問題から無溶媒での実施が好ましい。また、付加反応の触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール処理物、白金のシクロプロパン錯体、白金のエチレン錯体等を用いることができる。また、塩化ロジウム、塩化ロジウムのトリフェニルフォスフィン錯体、テトラブチルアンモニウムハイドライドと塩化ロジウムの錯体などのロジウム錯体も使用可能である。更に、Si−H基を有する環状シロキサンと2−アリルオキシ−メチル−1,4−ジオキサンとのモル比は1〜10で行われるが、経済性を考えて1〜2の間での実施が好ましい。
【0021】
反応終了後は、未反応の2−アリルオキシ−メチル−1,4−ジオキサンを減圧下で除去することにより、目的の環状エーテル基を有するオルガノポリシロキサンが得られる。
【0022】
上記(a)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、分子構造の異なる2種以上の混合物であってもよい。なお、このオルガノポリシロキサンの重合度が100以上のものであればよいが、液状タイプのシリコーンゴム組成物の場合は重合度100〜2,000、ミラブルタイプのシリコーンゴム組成物の場合は重合度3,000〜100,000であることが好ましい。
【0023】
また、(b)成分としての補強性シリカ粉末は機械的強度の優れたシリコーンゴムを得るために必須とされるものであるが、この目的のためには比表面積(BET法)が50m2/g以上、好ましくは100m2/g以上、特に150〜400m2/gのものとする必要があり、これには煙霧質シリカ、沈澱シリカ及びこれらの表面を疎水化処理したシリカ等が例示されるが、親水性の面より疎水化処理されていないシリカが好ましい。なお、このシリカ粉末の添加量は、前記した(a)成分としてのオルガノポリシロキサン100重量部に対して10重量部未満では少なすぎて十分な補強効果が得られず、70重量部より多くすると加工性が悪くなるので、10〜70重量部とすることが必要とされるが、この好ましい範囲は20〜70重量部とされる。
【0024】
次に、本発明に係るシリコーンゴム組成物を構成する(c)成分としての硬化剤は、架橋反応の機構に応じて従来公知のものとすればよい。従って、この架橋反応が炭化水素同士で行われる場合には有機過酸化物、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等を(a)成分としてのオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部添加すればよい。
【0025】
一方、架橋反応がケイ素原子に結合している水酸基と、アルコキシ基、アセトキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、イミノキシ基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基等の加水分解性基などとの間の脱水反応、脱アルコール反応、脱カルボン酸反応、脱ケトン反応、脱オキシム反応、脱アミン反応、脱アミド反応などの縮合反応によって行われる場合には、(a)成分としてのオルガノポリシロキサンは、分子鎖末端が例えばジメチルヒドロキシシリル基、或いはメトキシ基、エトキシ基等の低級アルコキシ基を有するジメチルアルコキシシリル基、メチルジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基などで封鎖されたものを用い、必要に応じジブチル錫ジラウレート、ジオクテン酸錫等の有機錫化合物、ステアリン酸鉄、オクチル酸鉛、チタンテトラプロポキサイド、チタンテトラブトキサイドなどの有機チタン化合物などの有機酸塩、ジブチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類等の触媒の存在下、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシ基を有するメチルトリアルコキシシラン、エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランやメチルトリブタノオキシムシラン、メチルトリ(ヘキサノシム)シラン、メチルトリ(イソプロペノキシム)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート、プロピルオルソシリケート等の架橋剤を使用すればよい。
【0026】
更に、前記した(a)成分としてのオルガノポリシロキサンがケイ素原子に直結したアルケニル基を有するものであるときには、これにケイ素原子に直結した水素原子を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを硬化剤として使用して、これらの付加反応によって架橋を行わせ、これによって硬化させてもよい。ここに使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
【0027】
これにはジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位〔H(CH3)2SiO0.5単位〕とSiO2単位とからなる低粘度流体、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されるが、これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンはいずれも重合度が300以下のものが好適である。
【0028】
この硬化剤としてのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、(a)成分としてのオルガノポリシロキサンのアルケニル基に対して、ケイ素原子に直結した水素原子が50〜500モル%となる割合で用いるのが好ましい。
【0029】
なお、この付加反応には公知の白金触媒を添加することが好ましく、これは白金元素単体、白金化合物、白金コンプレックスのいずれであってもよく、これには塩化白金第一酸、塩化白金第二酸などの塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示されるが、この添加量は(a)成分のオルガノポリシロキサンに対して白金原子として1〜2,000ppmの範囲とすることが好ましい。
【0030】
これらの架橋方式のうちでは、特に安定した架橋を得る点から付加架橋が好ましい。
【0031】
なお、シリコーンゴム組成物は上記した(a),(b),(c)成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダーミキサー)などのゴム練り機を用いて均一に混合し、必要に応じて加熱処理を施すことによって得ることができるが、これには必要に応じて増量剤としての粉砕石英や珪藻土、炭酸カルシウムなどの充填剤などを添加してもよい。
【0032】
更には必要に応じて、着色剤、耐熱性向上剤、難燃助剤、帯電防止剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤、或いは充填用分散剤などを添加することは任意とされるが、この充填用分散剤として使用されるジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子シロキサンなどは本発明の効果を損わないように最小限に止めることが好ましい。
【0033】
【発明の効果】
本発明の親水性シリコーンゴム組成物によれば、良好な親水性が付与され、かつ強度、伸びなどの物性も良好なシリコーンゴムを与えることができる。
【0034】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0035】
〔合成例1〕環状エーテル基含有オルガノポリシロキサンの重合方法
温度計、撹拌子、及び100mlの滴下ロートを備え、窒素置換した300mlフラスコ中に、ペンタメチルシクロトリシロキサン100.0g(0.480mol)及び塩化白金酸0.10gを加えた。室温下で滴下ロートから2−アリロキシメチル−1,4−ジオキサン79.6g(0.5037mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間続け、次いで蒸留することにより、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ペンタメチルシクロトリシロキサン157.3g(0.429mol、収率89.4%)を得た。
【0036】
次に、温度計、撹拌子を備えた100mlフラスコ中に{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ペンタメチルシクロトリシロキサン30.0g(0.0818mol)及びテトラヒドロフラン20.0gを加えた。
【0037】
ここに1.05mol/1−n−ブチルリチウムのヘキサン溶液0.070mlを添加し、80℃で3時間重合を行った。重合終了後は、酢酸を0.50g添加し、1時間撹拌を続けた。減圧下でテトラヒドロフラン及び過剰量の酢酸を除去することにより、無色透明オイル状生成物を得ることができた。
【0038】
粘度 1,450cp
GPCにより求めた分子量 5,800
1H−NMRで分析したところ、片末端がOH基とブチルジメチルシロキシ基で、以下の平均組成式で示されるポリマーであることが確認できた。
【0039】
【化4】
【0040】
〔合成例2〕
温度計、撹拌子、及び100mlの滴下ロートを備え、窒素置換した300mlフラスコ中に、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン100.0g(0.480mol)及び塩化白金酸0.10gを加えた。室温下で滴下ロートから2−アリロキシメチル−1,4−ジオキサン79.6g(0.5037mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間続け、次いで蒸留することにより、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ヘプタメチルシクロテトラシロキサン157.3g(0.429mol、収率89.4%)を得た。
【0041】
次に、温度計、撹拌子を備えた100mlフラスコ中に{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ヘプタメチルシクロテトラシロキサン20.0g及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの15%水溶液0.2mlを加えた。80℃で4時間重合を続けた後、酢酸を加え、中和した。重合物をトルエンに溶解し、飽和食塩水100mlで3回洗浄を行った。有機相をストリップし、トルエンを除去したところ、無色透明オイル状生成物が得られた。
【0042】
粘度 890cp
GPCにより求めた分子量 1,200
1H−NMRで分析したところ両末端がOH基で、以下の組成式で示されるポリマーであることが確認できた。
Me1.76R2 0.24OH0.18SiO0.91
【0043】
〔合成例3〕
温度計、撹拌子、及び100mlの滴下ロートを備え、窒素置換した300mlフラスコ中に、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}メチルジメトキシシラン及び水を加えた。ここにテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド5水和物を加えた。室温下で2分間撹拌したところ、均一溶液となった。室温下で更に48分反応させた。減圧下で副生するメタノール、過剰に存在する水を除去しながら80℃で2時間反応を続けたところ、無色透明オイル状生成物が得られた。
【0044】
次に、温度計、撹拌子、窒素置換した100mlフラスコに、上記反応により得られたオイル状生成物8.0g、オクタメチルシクロテトラシロキサン51.6g、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルテトラシロキサン0.63g及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド5水和物0.10gを加えた。80℃で4時間重合した後、30℃に冷却し、酢酸2.0gを加え、1時間撹拌した。得られた淡黄色オイル状生成物をトルエンに溶解し、水相が中性となるまで洗浄を繰り返した。トルエン相を分離し、80℃減圧下の条件でトルエンを除去したところ、無色透明オイル状ポリマーが得られた。
【0045】
粘度 15,000cp
GPCにより求めた分子量 32,800
1H−NMRで分析したところ両末端がOH基で、以下の組成式で示されるポリマーであることが確認できた。
Me1.95R2 0.05OH0.005SiO
【0046】
〔実施例1〜3〕
上記合成例1〜3の各ポリマーを用い、各ポリマー100重量部に対して煙霧式シリカ(エロジル200、日本アエロジル社製)40重量部及び両末端シラノール基で封鎖されたα,ω−ジメチルポリシロキサンジオール(重合度3)5重量部を添加し、2本ロールで混合してベースコンパウンドを得た。
【0047】
このコンパウンド100重量部に対し、塩化白金酸のアルコール溶液(白金含有量1.0%)0.5重量部、メチルハイドロジェンシロキサン(メチルハイドロジェンシロキサンシロキサン単位を50モル%含有)1.2重量部を添加し、120℃で10分間プレスキュアーし、シリコーンゴムシートを得た。
【0048】
〔比較例1〕
実施例1〜3のポリマーに代えて、ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が8,000であるゴム状オルガノポリシロキサン100重量部を用いた以外は実施例1〜3と同様にしてシリコーンゴムシートを得た。
【0049】
得られたシリコーンゴムシートの物性を測定した結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
〔実施例4〕
合成例2で得られたポリマー100g及び炭酸カルシウム120gを混合した後、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン8g、ジブチル錫ジラウレート0.2gを添加し、室温下で2週間放置し、厚さ2mmのシートを得た。その特性の結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状エーテル基を有するシロキサン化合物を含有する親水性シリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、環状エーテル基を有するシラン又はシロキサン化合物としては、ポリマーの主鎖がポリエーテルであり、その末端に加水分解性の有機基を有するケイ素原子が結合したものが知られているが、この種のものは、主鎖がポリエーテルであるため、耐熱性、耐候性などの点で十分でなく、シリコーンゴムの特性を有するものではない。
【0003】
また、主鎖がポリシロキサンであり、側鎖にエーテル基を有するポリマーを用いた室温硬化性組成物が特開平7−150046号公報に提案されているが、これは親水性を発現するという点においては十分ではない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、良好な親水性を有し、しかもシリコーンゴム本来の特性を与える親水性シリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記平均組成式(1)で示される環状エーテル基を有するオルガノポリシロキサンをシリコーンゴム組成物の主成分として用いることにより、良好な親水性が付与され、かつ強度、伸びなどの物性も良好なシリコーンゴムを得ることができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は、
(a)下記平均組成式(1)
R1 aR2 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、R1は互いに同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基又は水酸基、R2は下記式(2)で示される環状エーテル基であり、a,bは正数で、bは0.02〜1、a+bは1.95〜2.40である。)
で示される環状エーテル基を有する重合度100以上のオルガノポリシロキサン100重量部、
(b)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ 10〜70重量部、
(c)硬化剤
を含有してなることを特徴とする親水性シリコーンゴム組成物
を提供する。
【0007】
【化2】
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明の親水性シリコーンゴム組成物は、
(a)環状エーテル基を有するオルガノポリシロキサン、
(b)補強性シリカ粉末、
(c)硬化剤
を含有する。
【0009】
本発明に係る組成物において、(a)成分の環状エーテル基を有するオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)
R1 aR2 bSiO(4-a-b)/2 (1)
で示されるものである。
【0010】
ここで、R1は互いに同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基又は水酸基であり、一価炭化水素基は炭素原子数1〜8であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等や、これらの炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子やシアノ基などで置換された基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基やシアノエチル基等が挙げられる。これらの中ではメチル基、ビニル基、フェニル基等が好適である。
【0011】
また、R2は下記式(2)で示される環状エーテル基である。
【0012】
【化3】
【0013】
更に、a,bは正数で、bは0.02〜1、特に0.05〜1、a+bは1.95〜2.40を満足する数である。この場合、bはポリマー中での環状エーテル基の含有量を示しており、bが0.02未満では親水性を発現するといった点から含有量が少なすぎ、またbが1を超えるとポリマーの合成が困難となるといった問題が生じる。
【0014】
上記式(1)で示されるオルガノポリシロキサンは、種々の重合方法が可能である。以下に代表的な重合方法を例示する。
【0015】
〔1〕環状エーテル基を有する環状シロキサンの開環重合による方法
環状エーテル基を有するシクロトリシロキサン、シクロテトラシロキサン等をリチウム、ナトリウム、カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の触媒により開環重合することが可能である。例えば{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ペンタメチルシクロトリシロキサンを原料として使用し、リチウムシリコネートを重合触媒として使用した場合、環状エーテル基とメチル基が結合したケイ素原子とメチル基が2個結合したケイ素原子の比率が1対2であるシロキサンを得ることが可能である。この場合、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ペンタメチルシクロトリシロキサンと同時に用いて環状エーテル基の含有量をコントロールすることもできる。また、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ヘプタメチルシクロテトラシロキサンを原料として使用し、カリウムシリコネートを触媒としてもシロキサンポリマーを得ることができる。この場合もオクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状エーテル基を有しないシロキサンを同時に使用しても差し支えない。更に、ビニル基を有する環状シロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルテトラシロキサンを共に重合し、ポリマー中にビニル基を導入することも可能であるほか、重合時にポリマー末端となるヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサンを添加して、重合度やポリマー末端をコントロールすることもできる。また、重合が終了した後、トリメチルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ジエチルアミノトリメチルシラン等で処理することにより、ポリマー末端がトリメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等で停止したポリマーを得ることができる。
【0016】
〔2〕環状エーテル基を有するアルコキシシロキサンを加水分解し、次いで重合を行う方法
{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}メチルジメトキシシランを塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、陽イオン交換樹脂等の酸性触媒、或いは水酸化セシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルフォスフォニウムハイドロオキサイド、陰イオン交換樹脂等の塩基性触媒で加水分解したのち、鎖長延長することにより合成可能である。
【0017】
例えば、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}メチルジメトキシシランをテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド触媒で加水分解して、反応により副生するメタノールを除去した後、水の存在下で加熱することにより生成したシラノール基同士の縮合が起こり、分子鎖末端にOH基を有するオイル状ポリマーを得ることができる。必要に応じ、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等のシロキサンを同時に加えることにより、共重合体を得ることができる。
【0018】
添加するオクタメチルテトラシロキサンの添加量を変えることにより、任意の割合で環状エーテル基が導入されたポリマーを得ることができ、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンの添加量を変えることによりビニル基量をコントロールすることができる。
【0019】
〔3〕側鎖にSi−H基を有するオルガノポリシロキサンに2−アリルオキシ−メチル−1,4−ジオキサンを白金等の触媒存在下で付加させる方法
分子内に少なくとも1個以上のSi−H基を有するオルガノポリシロキサンに不飽和基を有する環状エーテル基である2−アリルオキシ−メチル−1,4−ジオキサンを付加させることにより得ることができる。Si−H基を有するポリマーの重合方法としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンとを硫酸で平衡化重合することにより得ることができる。
【0020】
このようにして得られたポリマーへの付加反応は、トルエン、キシレン等の芳香族系、或いはヘキサン、ペンタンのような脂肪族系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒の存在下で反応させることが可能であるが、経済的な問題から無溶媒での実施が好ましい。また、付加反応の触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール処理物、白金のシクロプロパン錯体、白金のエチレン錯体等を用いることができる。また、塩化ロジウム、塩化ロジウムのトリフェニルフォスフィン錯体、テトラブチルアンモニウムハイドライドと塩化ロジウムの錯体などのロジウム錯体も使用可能である。更に、Si−H基を有する環状シロキサンと2−アリルオキシ−メチル−1,4−ジオキサンとのモル比は1〜10で行われるが、経済性を考えて1〜2の間での実施が好ましい。
【0021】
反応終了後は、未反応の2−アリルオキシ−メチル−1,4−ジオキサンを減圧下で除去することにより、目的の環状エーテル基を有するオルガノポリシロキサンが得られる。
【0022】
上記(a)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、分子構造の異なる2種以上の混合物であってもよい。なお、このオルガノポリシロキサンの重合度が100以上のものであればよいが、液状タイプのシリコーンゴム組成物の場合は重合度100〜2,000、ミラブルタイプのシリコーンゴム組成物の場合は重合度3,000〜100,000であることが好ましい。
【0023】
また、(b)成分としての補強性シリカ粉末は機械的強度の優れたシリコーンゴムを得るために必須とされるものであるが、この目的のためには比表面積(BET法)が50m2/g以上、好ましくは100m2/g以上、特に150〜400m2/gのものとする必要があり、これには煙霧質シリカ、沈澱シリカ及びこれらの表面を疎水化処理したシリカ等が例示されるが、親水性の面より疎水化処理されていないシリカが好ましい。なお、このシリカ粉末の添加量は、前記した(a)成分としてのオルガノポリシロキサン100重量部に対して10重量部未満では少なすぎて十分な補強効果が得られず、70重量部より多くすると加工性が悪くなるので、10〜70重量部とすることが必要とされるが、この好ましい範囲は20〜70重量部とされる。
【0024】
次に、本発明に係るシリコーンゴム組成物を構成する(c)成分としての硬化剤は、架橋反応の機構に応じて従来公知のものとすればよい。従って、この架橋反応が炭化水素同士で行われる場合には有機過酸化物、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等を(a)成分としてのオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部添加すればよい。
【0025】
一方、架橋反応がケイ素原子に結合している水酸基と、アルコキシ基、アセトキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、イミノキシ基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基等の加水分解性基などとの間の脱水反応、脱アルコール反応、脱カルボン酸反応、脱ケトン反応、脱オキシム反応、脱アミン反応、脱アミド反応などの縮合反応によって行われる場合には、(a)成分としてのオルガノポリシロキサンは、分子鎖末端が例えばジメチルヒドロキシシリル基、或いはメトキシ基、エトキシ基等の低級アルコキシ基を有するジメチルアルコキシシリル基、メチルジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基などで封鎖されたものを用い、必要に応じジブチル錫ジラウレート、ジオクテン酸錫等の有機錫化合物、ステアリン酸鉄、オクチル酸鉛、チタンテトラプロポキサイド、チタンテトラブトキサイドなどの有機チタン化合物などの有機酸塩、ジブチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類等の触媒の存在下、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシ基を有するメチルトリアルコキシシラン、エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランやメチルトリブタノオキシムシラン、メチルトリ(ヘキサノシム)シラン、メチルトリ(イソプロペノキシム)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート、プロピルオルソシリケート等の架橋剤を使用すればよい。
【0026】
更に、前記した(a)成分としてのオルガノポリシロキサンがケイ素原子に直結したアルケニル基を有するものであるときには、これにケイ素原子に直結した水素原子を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを硬化剤として使用して、これらの付加反応によって架橋を行わせ、これによって硬化させてもよい。ここに使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
【0027】
これにはジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位〔H(CH3)2SiO0.5単位〕とSiO2単位とからなる低粘度流体、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されるが、これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンはいずれも重合度が300以下のものが好適である。
【0028】
この硬化剤としてのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、(a)成分としてのオルガノポリシロキサンのアルケニル基に対して、ケイ素原子に直結した水素原子が50〜500モル%となる割合で用いるのが好ましい。
【0029】
なお、この付加反応には公知の白金触媒を添加することが好ましく、これは白金元素単体、白金化合物、白金コンプレックスのいずれであってもよく、これには塩化白金第一酸、塩化白金第二酸などの塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示されるが、この添加量は(a)成分のオルガノポリシロキサンに対して白金原子として1〜2,000ppmの範囲とすることが好ましい。
【0030】
これらの架橋方式のうちでは、特に安定した架橋を得る点から付加架橋が好ましい。
【0031】
なお、シリコーンゴム組成物は上記した(a),(b),(c)成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダーミキサー)などのゴム練り機を用いて均一に混合し、必要に応じて加熱処理を施すことによって得ることができるが、これには必要に応じて増量剤としての粉砕石英や珪藻土、炭酸カルシウムなどの充填剤などを添加してもよい。
【0032】
更には必要に応じて、着色剤、耐熱性向上剤、難燃助剤、帯電防止剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤、或いは充填用分散剤などを添加することは任意とされるが、この充填用分散剤として使用されるジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子シロキサンなどは本発明の効果を損わないように最小限に止めることが好ましい。
【0033】
【発明の効果】
本発明の親水性シリコーンゴム組成物によれば、良好な親水性が付与され、かつ強度、伸びなどの物性も良好なシリコーンゴムを与えることができる。
【0034】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0035】
〔合成例1〕環状エーテル基含有オルガノポリシロキサンの重合方法
温度計、撹拌子、及び100mlの滴下ロートを備え、窒素置換した300mlフラスコ中に、ペンタメチルシクロトリシロキサン100.0g(0.480mol)及び塩化白金酸0.10gを加えた。室温下で滴下ロートから2−アリロキシメチル−1,4−ジオキサン79.6g(0.5037mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間続け、次いで蒸留することにより、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ペンタメチルシクロトリシロキサン157.3g(0.429mol、収率89.4%)を得た。
【0036】
次に、温度計、撹拌子を備えた100mlフラスコ中に{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ペンタメチルシクロトリシロキサン30.0g(0.0818mol)及びテトラヒドロフラン20.0gを加えた。
【0037】
ここに1.05mol/1−n−ブチルリチウムのヘキサン溶液0.070mlを添加し、80℃で3時間重合を行った。重合終了後は、酢酸を0.50g添加し、1時間撹拌を続けた。減圧下でテトラヒドロフラン及び過剰量の酢酸を除去することにより、無色透明オイル状生成物を得ることができた。
【0038】
粘度 1,450cp
GPCにより求めた分子量 5,800
1H−NMRで分析したところ、片末端がOH基とブチルジメチルシロキシ基で、以下の平均組成式で示されるポリマーであることが確認できた。
【0039】
【化4】
【0040】
〔合成例2〕
温度計、撹拌子、及び100mlの滴下ロートを備え、窒素置換した300mlフラスコ中に、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン100.0g(0.480mol)及び塩化白金酸0.10gを加えた。室温下で滴下ロートから2−アリロキシメチル−1,4−ジオキサン79.6g(0.5037mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間続け、次いで蒸留することにより、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ヘプタメチルシクロテトラシロキサン157.3g(0.429mol、収率89.4%)を得た。
【0041】
次に、温度計、撹拌子を備えた100mlフラスコ中に{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}ヘプタメチルシクロテトラシロキサン20.0g及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの15%水溶液0.2mlを加えた。80℃で4時間重合を続けた後、酢酸を加え、中和した。重合物をトルエンに溶解し、飽和食塩水100mlで3回洗浄を行った。有機相をストリップし、トルエンを除去したところ、無色透明オイル状生成物が得られた。
【0042】
粘度 890cp
GPCにより求めた分子量 1,200
1H−NMRで分析したところ両末端がOH基で、以下の組成式で示されるポリマーであることが確認できた。
Me1.76R2 0.24OH0.18SiO0.91
【0043】
〔合成例3〕
温度計、撹拌子、及び100mlの滴下ロートを備え、窒素置換した300mlフラスコ中に、{3−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メトキシ〕プロピル}メチルジメトキシシラン及び水を加えた。ここにテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド5水和物を加えた。室温下で2分間撹拌したところ、均一溶液となった。室温下で更に48分反応させた。減圧下で副生するメタノール、過剰に存在する水を除去しながら80℃で2時間反応を続けたところ、無色透明オイル状生成物が得られた。
【0044】
次に、温度計、撹拌子、窒素置換した100mlフラスコに、上記反応により得られたオイル状生成物8.0g、オクタメチルシクロテトラシロキサン51.6g、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルテトラシロキサン0.63g及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド5水和物0.10gを加えた。80℃で4時間重合した後、30℃に冷却し、酢酸2.0gを加え、1時間撹拌した。得られた淡黄色オイル状生成物をトルエンに溶解し、水相が中性となるまで洗浄を繰り返した。トルエン相を分離し、80℃減圧下の条件でトルエンを除去したところ、無色透明オイル状ポリマーが得られた。
【0045】
粘度 15,000cp
GPCにより求めた分子量 32,800
1H−NMRで分析したところ両末端がOH基で、以下の組成式で示されるポリマーであることが確認できた。
Me1.95R2 0.05OH0.005SiO
【0046】
〔実施例1〜3〕
上記合成例1〜3の各ポリマーを用い、各ポリマー100重量部に対して煙霧式シリカ(エロジル200、日本アエロジル社製)40重量部及び両末端シラノール基で封鎖されたα,ω−ジメチルポリシロキサンジオール(重合度3)5重量部を添加し、2本ロールで混合してベースコンパウンドを得た。
【0047】
このコンパウンド100重量部に対し、塩化白金酸のアルコール溶液(白金含有量1.0%)0.5重量部、メチルハイドロジェンシロキサン(メチルハイドロジェンシロキサンシロキサン単位を50モル%含有)1.2重量部を添加し、120℃で10分間プレスキュアーし、シリコーンゴムシートを得た。
【0048】
〔比較例1〕
実施例1〜3のポリマーに代えて、ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が8,000であるゴム状オルガノポリシロキサン100重量部を用いた以外は実施例1〜3と同様にしてシリコーンゴムシートを得た。
【0049】
得られたシリコーンゴムシートの物性を測定した結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
〔実施例4〕
合成例2で得られたポリマー100g及び炭酸カルシウム120gを混合した後、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン8g、ジブチル錫ジラウレート0.2gを添加し、室温下で2週間放置し、厚さ2mmのシートを得た。その特性の結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
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